JP6445884B2 - 抗菌物質 - Google Patents

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Description

本発明は、麹菌の抗菌物質生合成に関与する蛋白質、該蛋白質の発現を制御する転写制御因子蛋白質、該蛋白質をコードする遺伝子、及び麹菌の該化合物産生性を制御する方法等に関する。より詳細には、乳酸菌等の微生物の増殖を抑制する作用を有する抗菌物質(ヘプテリジック酸)の生合成に関与する蛋白質、該蛋白質をコードする遺伝子の転写を正に制御する転写制御因子蛋白質、及び該転写制御因子をコードする遺伝子の発現を促進又は抑制することにより当該抗菌物質の産生を制御する方法等に関する。
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)及びアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)等の麹菌は、様々な酵素類(蛋白質加水分解酵素、アミラーゼ類等)を産生・分泌し、その優れた澱粉糖化能力及び蛋白質分解力等により、醤油、酒、味噌などの醸造食品の製造に工業的に用いられている。
近年の麹菌(アスペルギルス・オリゼ)の全ゲノム配列の決定やマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析などの進展に伴い、遺伝子工学的な改変、特に、染色体レベルの改変により酵素等の生産性や増殖速度の改良などの効果が期待される糸状菌である。また、アスペルギルス・オリゼには、二次代謝産物生合成の基本骨格を形成する遺伝子(バックボーン遺伝子)が多く存在することが明らかになっている(例えば、非特許文献1参照)。
実際に、アスペルギルス・オリゼは、上記のような醸造食品の製造に用いられるのみならず、フェリクロームなど産業的にも非常に重要な低分子化合物の生産能を有することが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、アスペルギルス・オリゼを用いて、これら低分子化合物の産生を増大させる方法が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
醤油醸造では麹菌以外にも乳酸菌等の微生物が醸造に関与しており、麹造りの際に麹菌が産生する抗菌活性を有する低分子化合物は、これらの微生物の生育に影響を及ぼす。従って、醤油醸造においては、抗菌活性を有する低分子化合物の産生を制御することが醤油の品質の安定化に寄与する。
Khaldi et al. (2010) Fungal Genet Biol. 47, 736−741
特開2002−360262号公報 特開2013−017408号公報
乳酸菌増殖抑制活性を有する抗菌物質を麹菌の代謝産物より見出すとともに、該抗菌物質の生産に関与する新たな遺伝子を同定し、麹菌等の微生物の該化合物生産性を制御する新規な手段を提供することにある。
前記目的の達成のために、種々の検討を行った結果、アスペルギルス・オリゼ等の麹菌がヘプテリジック酸の生合成能を有することを初めて発見するとともに、その培養物から単離した抗菌物質ヘプテリジック酸が各種乳酸菌に対して増殖抑制作用を有していることを見出した。
さらに、アスペルギルス・オリゼのゲノム情報、及び遺伝子組み換え技術を活用することで、ヘプテリジック酸の生合成に関与する蛋白質をコードする遺伝子(XM_001825994.2)、及び該遺伝子の発現を正に制御する転写制御因子をコードする遺伝子(XM_001826001.2)を明らかとし、麹菌において該転写制御因子をコードする遺伝子の発現を制御することによって該化合物の生産量を制御することができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の各態様に係わる。
[態様1]
以下の(a)又は(b)の蛋白質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、セスキテルペンサイクラーゼ活性を有する蛋白質。
[態様2]
以下の(a)、(b)又は(c)のDNA:
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
(b)(a)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、セスキテルペンサイクラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(c)(a)の塩基配列からなるDNAと80%以上の配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、セスキテルペンサイクラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
[態様3]
以下の(a)又は(b)の蛋白質:
(a)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の転写を正に制御する機能を有する蛋白質。
[態様4]
以下の(a)、(b)又は(c)のDNA:
(a)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、
(b)(a)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、ヘプテリジック酸の生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質をコードするDNA、
(c)(a)の塩基配列からなるDNAと80%以上の配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質をコードするDNA。
[態様5]
糸状菌における態様1又は3記載の蛋白質、あるいは態様2又は4記載のDNAの発現を阻害又は抑制する工程を含む、ヘプテリジック酸の産生を減少させる方法。
[態様6]
糸状菌における態様3記載の蛋白質又は態様4記載のDNAの発現を促進する工程を含む、ヘプテリジック酸の産生を増大させる方法。
[態様7]
糸状菌における態様2又は4記載のDNAの少なくとも一部を欠失させ、又はその機能を阻害・抑制する工程を含む、ヘプテリジック酸の産生を減少させる方法。
[態様8]
ヘプテリジック酸の産生の消失又は増大のための遺伝子操作が、Ku遺伝子が破壊された糸状菌の菌株に対して行われる、態様5〜7記載の方法。
[態様9]
態様5若しくは7に記載の方法により得られる、ヘプテリジック酸の産生が消失していることを特徴とする糸状菌。
[態様10]
態様6記載の方法により得られる、ヘプテリジック酸の産生が増大していることを特徴とする糸状菌。
[態様11]
態様9又は10記載の糸状菌を用いることを特徴とする、醸造食品を製造する方法。
[態様12]
態様10記載の糸状菌を用いることを特徴とする、ヘプテリジック酸を製造する方法。
アスペルギルス・オリゼの代謝物から単離された抗菌物質(ヘプテリジック酸 Heptelidic Acid (以下、「HA」という場合がある。))は微生物の増殖抑制活性を有することから、これを有効成分として医薬品に用いることで、効果の高い新規な抗菌物質の提供を実現することができる。
また、本発明によって、HA生合成に関与する蛋白質をコードする遺伝子が初めて同定された。さらに、該遺伝子の発現を正に制御する転写制御因子をコードする遺伝子も初めて同定された。この結果、HA生合成に関与する蛋白質をコードする遺伝子、該遺伝子の発現を正に制御する転写制御因子をコードする遺伝子の発現を負に制御しヘプテリジック酸の生産を消失させる、又は転写制御因子をコードする遺伝子を正に制御しヘプテリジック酸の産生量を増大させるなどヘプテリジック酸の産生を人為的に制御することが可能となる。例えば、ヘプテリジック酸産生の正の制御は抗菌物質としてのヘプテリジック酸の産生量の増大に寄与することができる。また、醸造食品の製造においては、ヘプテリジック酸の産生量を増大させた麹菌を用い防黴性の高い麹を作ることや、逆にヘプテリジック酸の産生が減少した麹菌を用いることで使用可能な乳酸菌等の幅を広げるなど、用途に応じて使い分けることで、醤油様調味料等の醸造食品を製造する際の品質向上に寄与することができる。
麹菌アスペルギルス・ソーヤ NBRC4239及びアスペルギルス・オリゼ RIB40を用いたしょうゆ諸味中での乳酸菌テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)D10及びNBRC12172の増殖。 アスペルギルス・オリゼ RIB40の小麦製麹抽出物からヘプテリジック酸を単離した際のHPLCクロマトグラム。矢印は、ヘプテリジック酸のピークを示す。 乳酸菌テトラジェノコッカス・ハロフィラス D10を被検菌とした、ペーパーディスク法による分画物の抗菌活性の評価結果を示す写真。 乳酸菌テトラジェノコッカス・ハロフィラス NBRC12172及びD10のHAに対する感受性を比較したグラフ。 control−1株及び各遺伝子破壊株の代謝物のLC−MSのトータルイオンクロマトグラム。 control−2株及びhepR強制発現株の代謝物のLC−MSのトータルイオンクロマトグラム。 control−2株のHA産生量を基準とした相対的HA産生量を示すグラフ (n=3)。 リアルタイムPCRによるhepR破壊株及び強制発現株のhepA発現量を比較したグラフ (n=3)。
1.ヘプテリジック酸の発現及び生産に関連する蛋白質及びDNA
本発明は、1)ヘプテリジック酸の生合成に関与する蛋白質及び当該蛋白質をコードするDNA(XM_001825994.2);並びに2)ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質及び当該蛋白質をコードするDNA(XM_001826001.2)を提供する。
より具体的には、本発明により見出された1)及び2)の蛋白質は、配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列からなり、それぞれヘプテリジック酸の生合成に関与する蛋白質、そして、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質をコードする。1)及び2)の蛋白質はHAの生合成に関与することから、本発明では、当該蛋白質をそれぞれ「HepA」及び「HepR」と呼ぶ。
本明細書において「ヘプテリジック酸の生合成に関与する蛋白質」とは、微生物におけるヘプテリジック酸の産生量に影響を与え得る蛋白質であって、当該蛋白質をコードする遺伝子の発現量又は当該蛋白質の活性がヘプテリジック酸の産生量と相関し得るものが挙げられる。一例としてセスキテルペンサイクラーゼ活性を有する蛋白質が挙げられる。
さらに、本発明に係る蛋白質には、該蛋白質に加えて、配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列において、1個又は数個、例えば2〜5個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列(上記アミノ酸配列と配列相同性を有するアミノ酸配列)からなり、それぞれヘプテリジック酸の生合成に関与する蛋白質、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質も含まれる。
1)及び2)のDNAは、配列番号1又は3で表される塩基配列からなるDNAであり、本発明では、当該DNAをそれぞれ「hepA」及び「hepR」遺伝子と呼ぶ。ここで、「配列番号1で表される塩基配列からなるDNA」又は「配列番号3で表される塩基配列からなるDNA」には、イントロンを含むゲノム由来のDNAに加えて、アミノ酸をコードする領域のみからなる塩基配列(すなわち、エクソン部分のみが結合された塩基配列)からなるcDNAも含まれる。
このようなcDNAは、当業者に公知の任意の方法によって、本明細書に開示の塩基配列情報に基づき調製した適当なプライマーを用いて、麹菌のmRNAを鋳型としたPCR等により取得することが可能である。また、本発明のDNAは当業者に公知の任意の方法によって化学合成することも可能である。
さらに、本発明のDNAには、上記DNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、及び上記DNAと約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上である配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、それぞれヘプテリジック酸の生合成に関与する蛋白質、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質をコードするDNAが含まれる。
ここで、ハイブリダイゼーションは、例えば、Molecular cloninng third.ed.(Cold Spring Harbor Lab.Press,2001)、又はカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al.,1987))に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
本明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、温度60℃〜68℃において、ナトリウム濃度15〜900mM、好ましくは15〜600mM、さらに好ましくは15〜150mM、pH6〜8であるような条件を挙げることができる。
従って、配列番号1又は3で表される塩基配列を含むDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、該DNAの全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で、約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上である塩基配列を含有するDNA等を挙げることができる。
2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性を決定するために、配列は、比較に最適な状態に前処理される。例えば、一方の配列にギャップを入れることにより、他方の配列とのアラインメントの最適化を行う。その後、各部位におけるアミノ酸残基又は塩基が比較される。第一の配列におけるある部位に、第二の配列の相当する部位と同じアミノ酸残基又は塩基が存在する場合、それらの配列は、その部位において同一である。2つの配列における配列相同性は、配列間での同一である部位数の全部位(全アミノ酸又は全塩基)数に対する百分率で示される。
上記の原理に従い、2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性は、例えば、Karlin及びAltschulのアルゴリズム(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268、1990及びProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877、1993)により決定される。このようなアルゴリズムを用いたBLASTプログラムやFASTAプログラムは、主に与えられた配列に対し、高い配列相同性を示す配列をデータベース中から検索するために用いられる。これらは、例えば、米国National Center for Biotechnology Informationのインターネット上のウェブサイトにおいて利用可能である。
上記のような塩基配列の配列相同性又はコードするアミノ酸配列の配列相同性を示すようなDNAは、上記のようにハイブリダイゼーションを指標に得ることもでき、ゲノム塩基配列解析等によって得られた機能未知のDNA群又は公共データベースの中から、当業者が通常用いている方法により、例えば、前述のBLASTソフトウェアを用いた検索により発見することも容易である。さらに、本発明遺伝子は種々の公知の変異導入方法によって得ることもできる。
本明細書で使用する場合、「相同性」は同一性を指す場合がある。「同一性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つの塩基配列又はアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメントにおける、オーバーラップする全塩基又は全アミノ酸残基に対する、同一塩基又はアミノ酸残基の割合(%)を意味する。好ましくは、当該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方若しくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである。
2.ヘプテリジック酸非生産又は高生産形質転換体及びその用途
実施例で示されるように、hepA遺伝子(配列番号1)及びhepR遺伝子(配列番号3)をそれぞれ相同組み換えにより破壊した麹菌を作製したところ、hepAの発現が消失又は著しく低下し、その結果、ヘプテリジック酸も生産されなくなることを確認した。
一方、hepR遺伝子(配列番号3)の発現が増強された麹菌を作製したところ、hepAの発現が増加し、その結果、ヘプテリジック酸の産生量が親株の4倍以上に増加することを確認した。
従って、本発明は、糸状菌におけるhepA及び/又はhepR遺伝子、並びに/あるいはhepA及び/又はhepRの発現を阻害又は抑制するか、当該遺伝子の少なくとも一部を欠失させ、又はその機能を阻害・抑制することによって、ヘプテリジック酸の産生を減少させる方法を提供する。本発明は、さらに、糸状菌におけるhepRの発現を促進することを含む、ヘプテリジック酸の産生を増大させる方法を提供する。
本発明は、ヘプテリジック酸産生菌の該化合物非生産又は高生産変異体にも係る。本発明に係る変異体の作成に用いることができるヘプテリジック酸産生菌は、ヘプテリジック酸の生産能を有する微生物であれば特に限定されず、あらゆる微生物を用いて、本発明に係る化合物ヘプテリジック等を生産することができる。一例として、麹菌等のアスペルギルス属菌やトリコデルマ属菌などの糸状菌が挙げられる。
このアスペルギルス属菌は、本発明に係る化合物ヘプテリジック酸等の生産能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、アスペルギルス・オリゼ RIB40株及びその変異株を好適に用いることができる。
上記のヘプテリジック酸非生産又は高生産変異体は、当業者に公知の任意の相同組み換え等で作製することができる。アスペルギルス菌は相同組換え頻度が低いため、相同組換えで本発明の変異体を作製する場合には、非相同組換えに関与するKu70及びKu80等のKu遺伝子が抑制された形質転換菌を使用することが好ましい。
このようなKu遺伝子の抑制は、当業者に公知の任意の方法で実施することができる。例えば、Ku遺伝子破壊ベクターを使用したKu遺伝子を破壊又は、Ku遺伝子のアンチセンス発現ベクターを利用するアンチセンスRNA法によって、Ku遺伝子を不活化することが可能である。こうして得られる形質転換菌は、このようなKu遺伝子の抑制に関する遺伝子操作が施される前の元の菌と比較して、相同組み換え頻度が顕著に上昇している。具体的には、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも約60倍上昇している。
このような相同組み換え頻度が上昇した形質転換菌の例として、特許文献4に記載されているアスペルギルス・ソーヤ ASKUPTR8株(wh, ΔpyrG, ku70::ptrA)、及び、アスペルギルス・オリゼ RkuN16ptr1株を上げることができる。なお、アスペルギルス・ソーヤ ASKUPTR8株は、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6に所在の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに平成16年12月2日付で寄託され、受領番号FERM P−20311が付されている。その後、平成17年11月17日付で特許手続上の微生物の寄託等の国際的承認に関するブタペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−10453が付与されている。
本発明に係るヘプテリジック酸を生産しないか、生産能が低下した変異体、及びヘプテリジック酸を高生産する変異体は、醸造食品を製造する際の品質向上に寄与することができる。本明細書において、醸造食品とは、かかる変異体を用いて製造される、あらゆる醸造食品を意味し、例えば、醤油、酒、味噌などが挙げられる。
ヘプテリジック酸を高生産する変異体の場合、変異体を当業者に公知の任意の方法で培養することにより、より多量のヘプテリジック酸を効率的に取得することができる。例えば、本発明の麹菌を、固体培地若しくは液体培地で培養した培養物からヘプテリジック酸を取得することが可能である。このような生産方法における、培養系・培地の選択、培養温度・時間等の培養条件及び、ヘプテリジック酸の抽出方法は、以下の実施例等を参考に、当業者が適宜設定することができる。
以下、実施例に則して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの記載によって何等制限されるものではない。
なお、以下の実施例における各遺伝子操作の手段・条件等は、特に断わりがない限り、例えば、特開平8−80196号公報等に記載されている当業者に公知の一般的な方法に従い実施した。
<アスペルギルス・オリゼ RIB40 乳酸菌増殖抑制物質の探索>
アスペルギルス・オリゼ RIB40を用いてしょうゆ諸味を作成し、乳酸菌テトラジェノコッカス・ハロフィラス D10(以下、D10)及びNBRC12172(以下、NBRC12172)を植菌して生育を観察する試験を行った。コントロールとしてアスペルギルス・ソーヤ NBRC4239を用いて作成したしょうゆ諸味についても同様の試験を行った。しょうゆ諸味の作製は、杉山らの方法(Sugiyama S. (1984) Food Microbiol., 1, 339−34(7))で行った。乳酸菌は、Bact Todd Hewitt培地(BD Falcon社製)にNaCl濃度が15%になるように添加した培地(以下、BTH15)で定常期初期まで培養したものを105 〜106 cfu/ml諸味になるように添加した。4日間培養した後、しょうゆ諸味を15%食塩水を用いて希釈系列を作製し、それをBTH15寒天培地に撒いて乳酸菌の生菌数の測定を行った。その結果、アスペルギルス・オリゼ RIB40を用いたしょうゆ諸味中では、NBRC12172は増殖できるが、D10は増殖できないことが確認された(図1)。
上述の杉山らの方法において用いる原料の比率を変え、抗菌物質の生産に関与している原料を探った結果、関与しているのは小麦であった。
以上の結果から、アスペルギルス・オリゼ RIB40は、乳酸菌の菌株特異的な何らかの抗菌物質を生産している可能性が考えられたので、次に、アスペルギルス・オリゼ RIB40の培養物から抗菌物質の単離・同定を行うこととした。
<ヘプテリジック酸の単離・精製>
上述の杉山らの方法において、大豆は使用せずに小麦のみを用いた培地300gにアスペルギルス・オリゼ RIB40の分生子3x108胞子を植菌し30℃で2日間培養し、小麦製麹物を調製した。
得られた小麦製麹物200gにアセトンを550ml加え抽出を行い、次いで、アセトン抽出物を減圧濃縮し、分子量分画で3,000以下の画分をプールした。
得られた画分を凍結乾燥で濃縮し、HPLC(島津製作所社製LC−8A)に接続したODSカラム(ナカライテスク社製Cosmosil 5C18−ARII 20×250mm)に供し分画を行った。
溶離液Aは、超純水+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、溶離液Bは、アセトニトリル+0.1% TFAとし、Aを10minアイソクラティックで流した後に、AからBまで50minのリニアグラジエントで溶出した。流速は2.5ml/minとし、5mlずつのフラクションを得た。クロマトグラムを図2に示す。
各フラクションを減圧濃縮及び凍結乾燥し、250μlの水に溶解した分画物を用いて抗菌活性の測定を行った。
活性の測定は、ペーパーディスク法を用いて行った。被検菌をNBRC12172及びD10とし、それぞれ106〜107cfu/mlで植菌したBTH15培地上に80μlの分画物をしみ込ませたディスクフィルター(アドバンテック社製)を置き30℃で2−3日間培養した後、形成された阻止円を観察した。その結果、アセトニトリル濃度約60%で溶出されるピークにNBRC12172の増殖は阻害せず、D10の増殖のみを阻害する活性が見られた。D10を被検菌とした測定結果を図3に示す。このD10の阻止円は、BTH15培地でのみ明瞭に形成され、BTH5(上述のBact Todd Hewitt培地にNaCl濃度が5%になるように添加した培地)では形成されなかった。
ODSカラム後の活性を有するフラクションを−20℃にて3時間静置した後に、上層のアセトニトリルフラクションを減圧濃縮することで、活性を有する物質を得た。
得られた物質のNMR解析の結果、1H−NMR及び13C−NMRのスペクトルが、Calhoun L. A. et al. (1992) Mycol. Res. 96, 281−286に記載のヘプテリジック酸のスペクトルと一致したことから、アスペルギルス・オリゼ RIB40の産生する乳酸菌増殖抑制物質は、ヘプテリジック酸であることが明らかとなった。
アスペルギルス・オリゼ RIB40が生産する抗菌物質として、HAが同定されたため、NBRC12172及びD10のHAに対する感受性を調べた。しょうゆ諸味中のHA濃度を推測したところ、0.02−0.04mg/mlであったため、0.015あるいは0.030 mg/mlの標準品HA(コスモ・バイオ社製)を添加したBTH15培地20mlにNBRC12172及びD10を106〜107cfu/mlになるように接種して、生育を観察した。生育はOD600でモニターした。その結果、NBRC12172は、HAの濃度依存的に生育が遅れる程度であったが、D10は、0.015mg/mlのHAの存在で、生育が著しく低下し、0.030mg/mlでは生育が阻害された(図4)。
<HA生合成遺伝子及び転写制御遺伝子破壊株の作製>
実施例1の結果から、アスペルギルス・オリゼ RIB40がHAの生合成能を有することが明らかとなった。
次に、その生合成に関与する遺伝子クラスターの探索を行うこととした。HAの基本骨格がセスキテルペンであることからセスキテルペンサイクラーゼをコードすると予測される遺伝子の解析を行ったところ、hepAを含むセスキテルペン生合成遺伝子クラスターを見出した。このセスキテルペン生合成遺伝子クラスターには隣接してコードされる転写制御因子(hepR)が存在していたことから、hepA及びhepRをそれぞれ破壊した株を作製し、HAの産生能を評価した。
以下、hepAの遺伝子破壊断片を作製した方法を具体的に挙げる。
アスペルギルス・オリゼ RIB40株のゲノムを鋳型として、Primer hepAのLU(配列番号5)及びLL(配列番号6)を用いて、hepAの上流側配列を含む断片をPCRにより増幅した。
同様に、hepAの下流側配列を含む断片をPrimer hepAのRU(配列番号7)及びRL(配列番号8)を用いて増幅した。
さらに、選択マーカーpyrG遺伝子の断片をPrimerPU(配列番号9)及びPL(配列番号10)で増幅した。
Primer hepAのLL及びRUは、上記で増幅したpyrG遺伝子断片に相補的な配列を有しているため、これら3つの断片を混合したものを鋳型とし、hepAのLU−2(配列番号11)及びRL−2(配列番号12)のプライマーを用いたPCR反応を行うことにより、3つの断片が融合した1つの断片を得た。
この断片は、hepAの上流及び下流の部分配列がpyrG遺伝子の両端に存在する構造をしているため、相同組み換えによる置換破壊を行う遺伝子破壊断片となる。
同様の手順で、hepRの遺伝子破壊断片を調製した。用いたプライマー配列を表1に示す。
こうして得られた遺伝子破壊断片を用いて、アスペルギルス・オリゼ RkuN16ptr1株(特開2006−158269号参照)を宿主とした形質転換を行い、遺伝子破壊株を取得した。
遺伝子破壊の確認は、各遺伝子のLU及びRL(hepA:配列番号5及び8、hepR:配列番号13及び16)のプライマーを用いたPCRにより、選択マーカーの遺伝子に相当する増幅断片長の変化を指標に行った。
<ヘプテリジック酸産生量の定性的評価>
RkuN16ptr1株のpyrG遺伝子のみを相補した株(control−1株)を対照とし、得られたhepA破壊株(以下、「ΔhepA」という場合がある。)及びhepR破壊株(以下、「ΔhepR」という場合がある。)を、それぞれMPP液体培地(maltose 3.0%, malt extract 2.0%, polypeptone 0.2%, pH 7.0)40mlに4×107胞子/mlに調整した胞子懸濁液100μlを植菌し30℃で5日間培養した。
培養終了後、菌体をメッシュサイズ70μmのセルストレイナー(BD Falcon社製)で除去し培養液を得た。次に、この培養液1mlをガラスバイアルに移し、酢酸エチル溶液2mlで抽出を行った。得られた酢酸エチル層(1.6ml)を遠心濃縮機に供し濃縮乾固させ、160μlのアセトニトリルに再溶解させたものをサンプルとした。
検出は、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析装置)(アジレント社製1100シリーズ高速液体クロマトグラフィー、及びアプライドバイオシステム社製QSTAR Elite質量分析装置)を用いて行った。
分離カラムは、ODSカラム(財団法人化学物質評価研究機構 L−column 粒子径5μm、内径2.1mm、長さ100mm)を用い、溶離液は、0.1vol%蟻酸水をA液、0.1vol%蟻酸−アセトニトリルをB液とし、0分から5分までをA液95%、B液5%で流し、25分までにA液5%、B液95%に達するように濃度勾配をかけ、その後35分から36分でA液95%、B液5%とする方法でサンプル5μlを分離した。流速は、毎分0.2mlで行った。
質量分析は、Electrospray ionization(ESI)をイオン化法として用い、イオンスプレー電圧は5500V、ヒーターガス温度は450℃、ネブライザーガス(GS1)は50psi、ターボガス(GS2)は50psi、カーテンガス(Nitrogen)は30psiとし、正イオン検出モードより検出した。
その結果、HA標品(100μM)を用いて同様に測定したスタンダードと対比し、control-1株ではHAのピークが確認できるものの、hepA破壊株及びhepR破壊株はいずれもHAのピークが消失していることが明らかとなった。
トータルイオンクロマトグラムを図5に示す。
<転写制御遺伝子強制発現株の作製>
実施例2の結果より、転写制御因子(HepR)はHA生合成遺伝子の転写制御能を有している可能性が強く示唆された。HepRが生合成遺伝子クラスター全体の発現を制御している転写制御因子であるならば、hepRのみを強制発現させるだけで、HAの産生量が増加すると考えられる。そこで、次に、hepR遺伝子の強制発現株を作製しHA産生能の評価を行った。
hepR遺伝子を麹菌内で発現させるために用いる発現プラスミドを構築するため、アミラーゼ遺伝子プロモーター及びターミネーター、遺伝子挿入用マルチクローニングサイト、マーカー遺伝子としてアスペルギルス・オリゼ niaD遺伝子を含むプラスミドpAPTLN(特開2008−161064号参照)を使用した。
以下に、発現用のプラスミドの構築方法を示す。
まず、アスペルギルス・オリゼ RIB40株のゲノムを鋳型として、Primer hepR−ClaU(配列番号19)及びSpeL(配列番号20)を用いて、hepRのORF断片をPCRにより増幅した。
PCR反応液をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社製)で精製した後、pAPTLNのマルチクローニングサイト上のClaI−SpeI部位にIn-fusion クローニングキット(タカラバイオ社製)を用いてライゲーションし、hepR発現用プラスミドpAP−hepRを得た。
ライゲーションは、キットの所定のプロトコールに従って行った。
得られたpAP−hepRを用いて、アスペルギルス・オリゼ RkuAFN株(EUKARYOTIC CELL,(2011)10(7):945−955)を宿主とした形質転換を行い、hepR強制発現株(以下、「OE−hepR」という場合がある。)を取得した。
また、コントロールとしてマーカー遺伝子(niaD)のみを相補した形質転換体を得るためにpAPTLNを用いた形質転換も同様に行った。
得られた形質転換体の確認は、プラスミド上のマルチクローニングサイトが増幅されるプライマーpAP−F及びpAP-R(配列番号21、22)を用いたPCRにより、hepR遺伝子に相当する増幅断片長の変化を指標に行った。
用いたプライマー配列を表2に示す。
RkuAFN株のniaD遺伝子のみを相補した株(control−2株)及びhepR強制発現株を実施例2と同様の方法で培養、抽出を行いLC/MSによるHA産生量の検討を行った。その結果、hepR強制発現株は、contorol-2株に比べHA産生量が4倍以上に増加していた。
トータルイオンクロマトグラム、及び実施例2で得られた破壊株の結果も合せたHA産生量の相対値を図6、7にそれぞれ示す。
<転写制御因子によるHA生合成遺伝子制御能評価>
hepR破壊株及び強制発現株におけるhepA遺伝子の発現変動を、定量的リアルタイムPCRを用いて測定した。実施例2及び3の結果から、control-1株及びcontrol-2株のHA産生量に大きな差は見られなかったことから、control-1株のみを対照株とした。
各株をMPP液体培地40mlに植菌し30℃で2日間培養した。
培養後、ろ過により菌体を回収し液体窒素で凍結させ乳鉢と乳棒を用いて破砕した。得られた破砕菌体からISOGEN(ニッポンジーン社製)によるRNAの抽出、RNase Free DNaseI(タカラバイオ社製)によるDNAの分解を行い、最後にRNeasy Mini kit(QIAGEN社製)を用いた精製によりtotal RNAを得た。各工程は、キットの所定のプロトコールに従って行なった。
得られたtotal RNA 1μgをPrimeScriptTM RT reagent Kit(タカラバイオ社製)を用いて逆転写しcDNAを調製した。このcDNAを5倍希釈したものを鋳型とし、Sybr Premix Ex Taq(タカラバイオ社製)により定量的リアルタイムPCRを行った。
hepA遺伝子及び内部標準として、Histone 2B(H2B)遺伝子(AO090020000006)を、それぞれ検量線法を用いて測定した。
定量的リアルタイムPCRに使用したプライマーの配列を表11に記した。
定量的リアルタイムPCRの結果、hepA遺伝子の発現量は、HAの産生量と高い相関を示しており、hepR破壊株では発現量がcontrol-1株に比べ著しく低下し、強制発現株では4倍以上の発現増加が見られることが明らかとなった(図8)。
以上の結果から、HepRは、hepA遺伝子の正の転写制御因子であり、hepA遺伝子の発現制御を介してHAの産生を制御していることが強く示唆された。

Claims (8)

  1. 糸状菌における以下の(a1)又は(b1)の蛋白質:
    (a1)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
    (b1)(a1)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、セスキテルペンサイクラーゼ活性を有する蛋白質、又は
    以下の(a2)又は(b2)の蛋白質:
    (a2)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
    (b2)(a2)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の転写を正に制御する機能を有する蛋白質、
    あるいは
    以下の(a1)又は(b1)のDNA:
    (a1)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
    b1)(a1)の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を示す塩基配列からなるDNAであって、セスキテルペンサイクラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、又は
    以下の(a2)又は(b2)のDNA:
    (a2)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、
    b2)(a2)の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を示す塩基配列からなるDNAであって、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質をコードするDNA、
    の発現を阻害又は抑制する工程を含む、ヘプテリジック酸の産生を減少させる方法。
  2. 糸状菌における以下の(a2)又は(b2)の蛋白質:
    (a2)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、
    (b2)(a2)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の転写を正に制御する機能を有する蛋白質、
    又は
    以下の(a2)又は(b2)のDNA:
    (a2)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、
    b2)(a2)の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を示す塩基配列からなるDNAであって、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質をコードするDNAの発現を促進する工程を含む、ヘプテリジック酸の産生を増大させる方法。
  3. 糸状菌における以下の(a1)又は(b1)のDNA:
    (a1)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
    b1)(a1)の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を示す塩基配列からなるDNAであって、セスキテルペンサイクラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA、
    又は
    以下の(a2)又は(b2)のDNA:
    (a2)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、
    b2)(a2)の塩基配列からなるDNAと90%以上の配列同一性を示す塩基配列からなるDNAであって、ヘプテリジック酸生合成遺伝子の発現を正に制御する機能を有する蛋白質をコードするDNAの少なくとも一部を欠失させ、又はその機能を阻害又は抑制する工程を含む、ヘプテリジック酸の産生を減少させる方法。
  4. ヘプテリジック酸の産生の減少又は増大のための遺伝子操作が、Ku遺伝子が破壊された糸状菌の菌株に対して行われる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1又は3に記載の方法により得られる、ヘプテリジック酸の産生が減少していることを特徴とする糸状菌。
  6. 請求項2記載の方法により得られる、ヘプテリジック酸の産生が増大していることを特徴とする糸状菌。
  7. 請求項5又は6記載の糸状菌を用いることを特徴とする、醸造食品を製造する方法。
  8. 請求項6記載の糸状菌を用いることを特徴とする、ヘプテリジック酸を製造する方法。
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