JP2019071834A - 糸状菌における二次代謝産物の生産 - Google Patents
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Abstract
【課題】麹菌等の微生物のポリケタイド類化合物生産性を制御する新規な手段の提供。【解決手段】以下の(a)又は(b)の蛋白質:(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、又は(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質、及び、該蛋白質又はそれをコードするDNAの発現を阻害又は抑制する工程、又は、該DNAの少なくとも一部を破壊若しくは欠失させ、又はその機能を阻害・抑制する工程を含む、糸状菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法等。麹菌として、Ku遺伝子が破壊された株菌を用いる、方法。【選択図】図7
Description
本発明は、糸状菌、特に、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)及びアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)等の麹菌の二次代謝産物産生に関与する蛋白質、該蛋白質をコードする遺伝子、及び麹菌の該二次代謝産物産生を制御する方法等に関する。より詳細には、二次代謝産物であるクルクミン等のポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質、該蛋白質をコードする遺伝子の発現を制御等することにより当該二次代謝産物産生を増大させる方法等に関する。
糸状菌、特に、麹菌は様々な酵素類(蛋白質加水分解酵素、アミラーゼ類等)を産生・分泌し、その優れた澱粉糖化能力及び蛋白質分解力等により、醤油、酒、味噌などの醸造食品の製造に工業的に用いられている。
近年の麹菌(アスペルギルス・オリゼ)の全ゲノム配列の決定やマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析などの進展に伴い、遺伝子工学的な改変、特に、染色体レベルの改変により酵素等の生産性や増殖速度の改良などの効果が期待される糸状菌である。また、麹菌には、二次代謝産物生合成の基本骨格を形成する遺伝子(バックボーン遺伝子)が多く存在することが明らかになっている(例えば、非特許文献1参照)。
実際に、アスペルギルス・オリゼは、上記のような醸造食品の製造に用いられるのみならず、フェリクロームなど産業的にも非常に重要な低分子化合物の生産能を有することが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、アスペルギルス・オリゼを用いて、これら低分子化合物の産生を増大させる方法が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
ここで、ポリケタイド (polyketide)類とは、アセチルCoAを出発物質とし、マロニルCoAを伸張物質としてポリケトン鎖を合成した後、様々な修飾を受けて生合成された化合物の総称であって、マクロライド、ポリエン、アセトゲニン、ポリエーテル、芳香族ポリケチド(ポリフェノール)等が含まれる。
この中で、クルクミン (curcumin) は、ウコン(ターメリック、学名Curcuma longa)などに含まれる黄色のポリフェノール化合物であり、クルクミノイドに分類される。スパイスや食品領域の着色剤として利用され、法規上は食品添加物(着色料)に分類される。例えば、ウコン中でクルクミンが作られるときには、DCS(Diketide CoA synthase:ジケイドCoA生合成酵素)と、CUS(Curcumin synthease:クルクミン生合成酵素)の2種類の酵素が働いて、クルクミンを作っている可能性が高いことが報告されている。クルクミンの生理作用として抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗アミロイド作用、抗炎症作用などが知られている。
商業ベースでのクルクミンは、伝統的な生薬原料の製作と同様に、栽培されたウコン等を原材料にし、有機溶媒抽出法やアルコール抽出法などによって、分離および抽出を行い、生産することが現在は主とされている。また下記のように生合成の正確な経路の探索および生化学的な(酵素利用による)合成法の研究もさかんに検討されている。
一方で、ポリケタイド合成酵素(PKS)の一種である、クルクミンを合成する酵素は、現在までにDCSで1つ、CURSで3つの遺伝子が単離されている。これは、当初、全ゲノム解析の行われていたイネゲノム中で、機能未知なカルコン合成酵素様遺伝子を網羅的に解析していた過程で、クルクミノイド合成酵素として報告されてきた遺伝子である(非特許文献2、3)。
このようなポリケタイド類化合物の生合成に関する遺伝子を利用した技術に関して、例えば、マロニルCoA由来化合物を産生するためのアセチルCoAカルボキシラーゼ変種及び該酵素の遺伝子による組み換え微生物を利用したマロニルCoA由来化合物の生産方法等に関する発明が公開されている(特許文献4)。
また、アスペルギルス属等の糸状真菌におけるポリケタイド合成酵素等のシンテターゼの異種発現を含む、微生物二次代謝物の製造方法等に関する発明が公開されている(特許文献5)。
更に、ポリケタイド合成酵素遺伝子をレポーター遺伝子として利用する技術に関する発明が公開されている(特許文献6)。
Khaldi et al. (2010) Fungal Genet Biol. 47, 736−741
Katsuyama, Y.; Kita, T.; Funa, N.; Horinouchi, S. (2009) J. Biol. Chem. 284 (17): 11160−11170
Katsuyama, Y.; Kita, T.; Horinouchi, S. (2009) FEBS Lett. 583 (17): 2799−2803
Takahashi T,et al. (2006) Mol.Genet.Genomics,275:460−470
ポリケタイド類化合物等の二次代謝産物の生産に関与する新たな遺伝子を同定し、麹菌等の微生物の該二次代謝産物生産性を制御する新規な手段等を提供することにある。
前記目的の達成のために、種々の検討を行った結果、アスペルギルス・オリゼのゲノム情報、及び遺伝子組み換え技術を活用することで、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する遺伝子として、遺伝子(AO090701000767、以下、「AOsnf1」という場合がある)を同定し、該遺伝子又はそれにコードされる蛋白質の発現を阻害又は抑制する等によってポリケタイド類化合物の産生を増大することが出来ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の各態様に係わる。
[態様1]
以下の(a)又は(b)の蛋白質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、又は
(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質。
[態様2]
以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のDNA:
(a)上記の蛋白質をコードするDNA、
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
(c)(b)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA、又は
(d)(b)の塩基配列からなるDNAと80%以上の配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA。
[態様3]
糸状菌における態様1又は2記載の蛋白質又はDNAの発現を阻害又は抑制する工程を含む、該糸状菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法。
[態様4]
糸状菌における態様2記載のDNAの少なくとも一部を破壊若しくは欠失させ、又はその機能を阻害・抑制する工程を含む、該糸状菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法。
[態様5]
麹菌としてKu遺伝子が破壊された菌株を用いる、態様3又は4記載の方法。
[態様6]
糸状菌に於いてポリケタイド類化合物が異種発現されている、態様3〜5のいずれか一項に記載の方法。
[態様7]
ポリケタイド類化合物がクルクミンである、態様3〜6のいずれか一項に記載の方法。
[態様8]
態様2記載のDNAの少なくとも一部が破壊若しくは欠失又はその機能が阻害若しくは抑制されていることを特徴とする糸状菌形質転換体。
[態様9]
更に、ポリケタイド合成酵素遺伝子が導入されている、態様8記載の形質転換体。
[態様10]
麹菌である態様8又は9記載の形質転換体。
[態様11]
態様8〜10のいずれか一項に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からポリケタイド類化合物を回収することを特徴とする、ポリケタイド類化合物の製造方法。
[態様12]
ポリケタイド類化合物がクルクミンである、請求項11記載の方法。
[態様1]
以下の(a)又は(b)の蛋白質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、又は
(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質。
[態様2]
以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のDNA:
(a)上記の蛋白質をコードするDNA、
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
(c)(b)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA、又は
(d)(b)の塩基配列からなるDNAと80%以上の配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA。
[態様3]
糸状菌における態様1又は2記載の蛋白質又はDNAの発現を阻害又は抑制する工程を含む、該糸状菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法。
[態様4]
糸状菌における態様2記載のDNAの少なくとも一部を破壊若しくは欠失させ、又はその機能を阻害・抑制する工程を含む、該糸状菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法。
[態様5]
麹菌としてKu遺伝子が破壊された菌株を用いる、態様3又は4記載の方法。
[態様6]
糸状菌に於いてポリケタイド類化合物が異種発現されている、態様3〜5のいずれか一項に記載の方法。
[態様7]
ポリケタイド類化合物がクルクミンである、態様3〜6のいずれか一項に記載の方法。
[態様8]
態様2記載のDNAの少なくとも一部が破壊若しくは欠失又はその機能が阻害若しくは抑制されていることを特徴とする糸状菌形質転換体。
[態様9]
更に、ポリケタイド合成酵素遺伝子が導入されている、態様8記載の形質転換体。
[態様10]
麹菌である態様8又は9記載の形質転換体。
[態様11]
態様8〜10のいずれか一項に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からポリケタイド類化合物を回収することを特徴とする、ポリケタイド類化合物の製造方法。
[態様12]
ポリケタイド類化合物がクルクミンである、請求項11記載の方法。
本発明によって、麹菌に於けるポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードする遺伝子の発現を阻害又は抑制する等によって、ポリケタイド類化合物の生産を増大させる等ポリケタイド類化合物の産生を人為的に制御することが可能となる。
1.ポリケタイド類化合物の生合成に関連する蛋白質及びDNA
本発明は、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質及び当該蛋白質をコードするDNAを提供する。
より具体的には、本発明は、以下の(a)又は(b)の蛋白質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、又は
(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個(例えば、2〜5個)のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質;及び、
以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のDNA:
(a)上記の蛋白質をコードするDNA、
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
(c)(b)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA、又は
(d)(b)の塩基配列からなるDNAと80%以上の配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA、に係る。尚、本発明の蛋白質の一例として、以下の実施例に示されるように、遺伝子AO090701000767にコードされた、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を挙げることが出来る。
本発明は、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質及び当該蛋白質をコードするDNAを提供する。
より具体的には、本発明は、以下の(a)又は(b)の蛋白質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、又は
(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個(例えば、2〜5個)のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質;及び、
以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のDNA:
(a)上記の蛋白質をコードするDNA、
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
(c)(b)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA、又は
(d)(b)の塩基配列からなるDNAと80%以上の配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA、に係る。尚、本発明の蛋白質の一例として、以下の実施例に示されるように、遺伝子AO090701000767にコードされた、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を挙げることが出来る。
本明細書において「ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質」とは、糸状菌、特に麹菌において生合成されるポリケタイド類化合物の産生量に影響を与え得る蛋白質である。
ここで、「ポリケタイド類化合物の産生量に影響を与え得る」とは、例えば、当該蛋白質又はDNAの発現が阻害若しくは抑制されるか、又は、当該DNAの少なくとも一部が破壊若しくは欠失する又はその機能が阻害若しくは抑制されることによって、宿主である糸状菌に於いて生合成されるポリケタイド類化合物の産生が増大すること(及び/又は細胞内マロニルCoA量が増加すること)等を意味する。
ポリケタイド類化合物が生合成される宿主微生物に関して特に制限はないが、例えば、アスペルギルス属及びトリコデルマ属を含むトリコモナス科糸状菌を挙げることが出来る。
本発明のDNAは本発明の蛋白質をコードDNAである。従って、配列番号1で表されるDNAのようなイントロンを含むゲノム由来のDNAに加えて、アミノ酸をコードする領域のみからなる塩基配列(すなわち、エクソン部分のみが結合された塩基配列)からなるcDNAも含まれる。
このようなcDNAは、当業者に公知の任意の方法によって、本明細書に開示の塩基配列情報に基づき調製した適当なプライマーを用いて、麹菌等の適当な微生物のmRNAを鋳型としたPCR等により取得することが可能である。また、本発明のDNAは当業者に公知の任意の方法によって化学合成することも可能である。
さらに、本発明のDNAには、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、それぞれポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNAが含まれる。
ここで、ハイブリダイゼーションは、例えば、Molecular cloninng third.ed.(Cold Spring Harbor Lab.Press,2001)、又はカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al.,1987))に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
本明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、温度60℃〜68℃において、ナトリウム濃度15〜900mM、好ましくは15〜600mM、さらに好ましくは15〜150mM、pH6〜8であるような条件を挙げることができる。
従って、配列番号1で表される塩基配列を含むDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、該DNAの全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で、約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上である塩基配列を含有するDNA等を挙げることができる。
一方、本発明の蛋白質には、上記の蛋白質に加えて、更に、配列番号2で表されるアミノ酸配列と約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上である配列相同性を示すアミノ酸配列からなる、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質も含まれる。
2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性を決定するために、配列は、比較に最適な状態に前処理される。例えば、一方の配列にギャップを入れることにより、他方の配列とのアラインメントの最適化を行う。その後、各部位におけるアミノ酸残基又は塩基が比較される。第一の配列におけるある部位に、第二の配列の相当する部位と同じアミノ酸残基又は塩基が存在する場合、それらの配列は、その部位において同一である。2つの配列における配列相同性は、配列間での同一である部位数の全部位(全アミノ酸又は全塩基)数に対する百分率で示される。
上記の原理に従い、2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性は、例えば、Karlin及びAltschulのアルゴリズム(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268、1990及びProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877、1993)により決定される。このようなアルゴリズムを用いたBLASTプログラムやFASTAプログラムは、主に与えられた配列に対し、高い配列相同性を示す配列をデータベース中から検索するために用いられる。これらは、例えば、米国National Center for Biotechnology Informationのインターネット上のウェブサイトにおいて利用可能である。
上記のような塩基配列の配列相同性又はコードするアミノ酸配列の配列相同性を示すようなDNAは、上記のようにハイブリダイゼーションを指標に得ることもでき、ゲノム塩基配列解析等によって得られた機能未知のDNA群又は公共データベースの中から、当業者が通常用いている方法により、例えば、前述のBLASTソフトウェアを用いた検索により発見することも容易である。さらに、本発明遺伝子は種々の公知の変異導入方法によって得ることもできる。
本明細書で使用する場合、「相同性」は同一性を指す場合がある。「同一性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つの塩基配列又はアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメントにおける、オーバーラップする全塩基又は全アミノ酸残基に対する、同一塩基又はアミノ酸残基の割合(%)を意味する。好ましくは、当該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方若しくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである。
2.ポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法
本発明は更に、糸状菌、特に、麹菌における上記の蛋白質又はDNAの発現を阻害又は抑制する工程、又は、麹菌における上記のDNAの少なくとも一部を破壊若しくは欠失させ、又はその機能を阻害・抑制する工程を含む、該麹菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法に係る。
本発明は更に、糸状菌、特に、麹菌における上記の蛋白質又はDNAの発現を阻害又は抑制する工程、又は、麹菌における上記のDNAの少なくとも一部を破壊若しくは欠失させ、又はその機能を阻害・抑制する工程を含む、該麹菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法に係る。
例えば、本明細書の実施例2で示されるように、AOsnf1遺伝子(配列番号1)を相同組み換えにより破壊した麹菌を作製したところ、AOsnf1の発現が消失又は著しく低下し、その結果、ポリケタイド類化合物の一種であるクルクミンが高生産される。
更に、本明細書の実施例2に記載したAOsnf1遺伝子の探索経緯に鑑みて、当該遺伝子の少なくとも一部を破壊若しくは欠失させ、又はその機能を阻害・抑制することによって、細胞内のマロニルCoAが高蓄積されるものと考えられる。又、既に述べたように、ポリケタイド類化合物はアセチルCoAを出発物質とし、マロニルCoAを伸張物質としてポリケトン鎖が合成される過程を経て生合成される。従って、本発明方法によって、クルクミンに限らず、他の種類のポリケタイド類化合物の生合成産生量も有意に増大されるものと考えられる。
本発明方法に於いて、ポリケタイド類化合物が生合成される宿主である糸状菌の好適例として麹菌等を挙げることが出来る。麹菌としては、本発明に係るポリケタイド類化合物等の生産能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、アスペルギルス・オリゼ RIB40株及びその変異株を好適に用いることができる。
ウコン及びイネ等の他種生物(植物)由来のクルクミン合成酵素(CUS)遺伝子等のポリケタイド合成酵素遺伝子(塩基配列)は既に数多く知られている。
そこで、係る宿主である糸状菌に対する異種遺伝子として、例えば、本明細書の実施例1に記載されているようなアジアイネ(Oryza sativa)等の他種生物(植物)由来のクルクミン合成酵素(CUS)遺伝子等のポリケタイド合成酵素遺伝子(群)の少なくとも一種が導入され、該遺伝子が宿主である糸状菌に於いて発現されている(異種発現)形質転換体を使用することも可能である。
そこで、係る宿主である糸状菌に対する異種遺伝子として、例えば、本明細書の実施例1に記載されているようなアジアイネ(Oryza sativa)等の他種生物(植物)由来のクルクミン合成酵素(CUS)遺伝子等のポリケタイド合成酵素遺伝子(群)の少なくとも一種が導入され、該遺伝子が宿主である糸状菌に於いて発現されている(異種発現)形質転換体を使用することも可能である。
このような異種遺伝子であるポリケタイド合成酵素遺伝子が導入された形質転換体である「ポリケタイド類化合物生産変異体」は、当業者に公知の任意の遺伝子工学的技術、例えば、下記に示すような相同組み換え等の技術を利用して容易に作製することができる。
このような相同組み換えには、例えば、本明細書の実施例1に記載されているように、異種遺伝子であるポリケタイド合成酵素遺伝子の他に、プロモーター、エンハンサー配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等の各種の制御配列、pyrG、ura3及びniaDのような栄養要求性を相補する遺伝子や、アンピシリンやカナマイシン、オリゴマイシンなどの薬剤に対する抵抗遺伝子等のマーカー遺伝子等を適宜含むDNA(遺伝子)導入(又は、破壊)断片をPCR等により作製し使用することが出来る。
尚、アスペルギルス菌は相同組み換え頻度が低いため、相同組み換えで本発明の変異体を作製する場合には、非相同組み換えに関与するKu70及びKu80等のKu遺伝子が抑制された形質転換菌を使用することが好ましい。
このようなKu遺伝子の抑制は、当業者に公知の任意の方法で実施することができる。例えば、Ku遺伝子破壊ベクターを使用したKu遺伝子を破壊又は、Ku遺伝子のアンチセンス発現ベクターを利用するアンチセンスRNA法によって、Ku遺伝子を不活化することが可能である。こうして得られる形質転換菌は、このようなKu遺伝子の抑制に関する遺伝子操作が施される前の元の菌と比較して、相同組み換え頻度が顕著に上昇している。具体的には、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも約60倍上昇している。
このような相同組み換え頻度が上昇した形質転換菌の例として、アスペルギルス・ソーヤ ASKUPTR8株(wh, ΔpyrG, ku70::ptrA)、及び、アスペルギルス・オリゼ RkuN16ptr1株(特許文献3又は非特許文献4等)を挙げることができる。なお、アスペルギルス・ソーヤ ASKUPTR8株は、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6に所在の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに平成16年12月2日付で寄託され、受託番号FERM P−20311が付されている。その後、平成17年11月17日付で特許手続上の微生物の寄託等の国際的承認に関するブタペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−10453が付与されている。
糸状菌における上記の蛋白質又はDNAの発現を阻害若しくは抑制する工程、又は、麹菌における上記のDNAの少なくとも一部を破壊若しくは欠失させる、又はその機能を阻害・抑制する工程は、糸状菌を培養する任意の時点及び期間に於いて、当業者に公知の任意の遺伝子工学的手段・方法で行うことが出来る。
例えば、蛋白質又はDNA(遺伝子)レベルでの発現を阻害又は抑制する方法の例としては、アンチセンスRNA法及びRNA干渉法等によって、当該DNAから転写されたmRNAから蛋白質への翻訳を阻止する方法を挙げることが出来る。
又、糸状菌における上記のDNA(遺伝子)の少なくとも一部を破壊又は欠失させる、又はその機能を阻害・抑制する方法の例としては、本明細書の実施例2に記載されているように相同組み換えによる当該遺伝子の破壊、及び、CRISPR/Cas9システムに代表されるゲノム編集を利用して、ゲノム上の任意の部位をヌクレアーゼで切断することにより、切断部位での変異の導入や相同組み換えを誘発する方法を挙げることが出来る。ゲノム編集については、これまでに複数の糸状菌においてこのシステムを応用した技術が確立されている。特に、アスペルギルス・オリゼにおいてCas9とガイドRNAを発現するプラスミドを導入することで標的とする遺伝子に変異導入が可能であることを示し、CRISPR/Cas9システムを用いたアスペルギルス・オリゼにおけるゲノム編集技術も確立されている(Katayama T, Tanaka Y, Okabe T, Nakamura H, Fujii W, Kitamoto K, & Maruyama J (2016) Biotechnol Lett 38: 637−642)。このような方法に於いて相同組み換えを利用する場合にも、上記のような相同組み換え頻度が上昇した形質転換菌を使用することが好ましい。
3.ポリケタイド類化合物高生産形質転換体及びその用途
更に、本発明は、本発明DNAの少なくとも一部が破壊若しくは欠失又はその機能が阻害若しくは抑制されていることを特徴とする上記糸状菌の形質転換体に係る、その結果、該形質転換体は、かかるDNAの欠失又はその機能の阻害若しくは抑制前(対照株)と比較して、生合成されるポリケタイド類化合物の産生が有意に増大しており(例えば、同条件下で培養した場合に約2倍以上)、即ち、「ポリケタイド類化合物高生産形質転換体」となる。
更に、本発明は、本発明DNAの少なくとも一部が破壊若しくは欠失又はその機能が阻害若しくは抑制されていることを特徴とする上記糸状菌の形質転換体に係る、その結果、該形質転換体は、かかるDNAの欠失又はその機能の阻害若しくは抑制前(対照株)と比較して、生合成されるポリケタイド類化合物の産生が有意に増大しており(例えば、同条件下で培養した場合に約2倍以上)、即ち、「ポリケタイド類化合物高生産形質転換体」となる。
このような形質転換体は、既に述べたような、当業者に公知の任意の遺伝子工学的手段・方法で容易に作製することが出来る。更に、上記のポリケタイド類化合物生産変異体と同様に、該形質転換体には予め異種遺伝子としてポリケタイド合成酵素遺伝子(群)の少なくとも一種が導入されていることが好ましい。
更に本発明は、上記形質転換体を培養し、得られる培養物からポリケタイド類化合物を回収することを特徴とする、ポリケタイド類化合物を製造する方法にも係る。例えば、本発明の麹菌形質転換体を固体培地若しくは液体培地で培養した培養物からポリケタイド類化合物を取得することが可能である。
尚、ポリケタイド類化合物は、例えば、培養物(菌体)を適当な手段で粉砕後、酢酸エチル等の適当な有機溶剤による抽出等の、当業者に公知の任意の手段によって、容易に回収することができる。
その結果、本発明のDNAが欠失又はその機能が阻害若しくは抑制されていない菌株を培養した場合と比較して、より多量のポリケタイド類化合物を回収することが可能となる。
尚、ポリケタイド類化合物は、例えば、培養物(菌体)を適当な手段で粉砕後、酢酸エチル等の適当な有機溶剤による抽出等の、当業者に公知の任意の手段によって、容易に回収することができる。
その結果、本発明のDNAが欠失又はその機能が阻害若しくは抑制されていない菌株を培養した場合と比較して、より多量のポリケタイド類化合物を回収することが可能となる。
尚、ポリケタイド類化合物の生産量の増大の割合は、本明細書の実施例に記載されているように、UVクロマトグラムで得られた該化合物由来のピーク面積を比較することによって算出される。
本発明の各方法における、培養系・培地の選択、培養温度・時間等の培養条件及び、ポリケタイド類化合物の抽出方法は、以下の実施例等を参考に、当業者が適宜設定することができる。
以下、実施例に則して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの記載によって何等制限されるものではない。
なお、以下の実施例における各遺伝子操作の手段・条件等は、特に断わりがない限り、例えば、特開平08−80196号公報等に記載されている当業者に公知の一般的な方法に従い実施した。
ポリケタイド類化合物生産変異体の作製
アスペルギルス・オリゼ RIB40(RkuN16ptr1株)のamylaseB遺伝子領域にクルクミン合成酵素(CUS)をコードする遺伝子を導入し、該遺伝子を異種発現するポリケタイド類化合物生産変異体を作製した。
アスペルギルス・オリゼ RIB40(RkuN16ptr1株)のamylaseB遺伝子領域にクルクミン合成酵素(CUS)をコードする遺伝子を導入し、該遺伝子を異種発現するポリケタイド類化合物生産変異体を作製した。
<アスペルギルス・オリゼへのクルクミン合成遺伝子の導入>
以下、CUS遺伝子断片を作製した方法を具体的に挙げる。
アスペルギルス・オリゼ RIB40(寄託機関:独立行政法人酒類総合研究所、寄託番号ID:RIB40)のゲノムを鋳型として、Primer amyPU(配列番号3)及びamyPL(配列番号4)を用いて、amylaseBのプロモーター領域を含む断片をPCRにより増幅した。
同様に、Primer amyTU(配列番号5)及びamyTL(配列番号6)を用いて、amylaseBのターミネーター領域を含む断片を増幅した。
以下、CUS遺伝子断片を作製した方法を具体的に挙げる。
アスペルギルス・オリゼ RIB40(寄託機関:独立行政法人酒類総合研究所、寄託番号ID:RIB40)のゲノムを鋳型として、Primer amyPU(配列番号3)及びamyPL(配列番号4)を用いて、amylaseBのプロモーター領域を含む断片をPCRにより増幅した。
同様に、Primer amyTU(配列番号5)及びamyTL(配列番号6)を用いて、amylaseBのターミネーター領域を含む断片を増幅した。
尚、アスペルギルス・オリゼRIB40株のゲノム配列は、2005年に決定されており(Nature,438:1157,2005)、その情報はDOGANのデータベースから入手可能である(http://www.bio.nite.go.jp/dogan/MicroTop?GENOME_ID=ao)。
さらに、Oryza sativa由来のcDNA(完全長cDNAが国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 遺伝資源センターのイネゲノムリソースセンター(rgrc)から提供されている)を鋳型としてCUS遺伝子をPrimer CU(配列番号7)及びCL(配列番号8)を用いてPCRにより増幅した。尚、CUS遺伝子はイネゲノムDNAにおけるOS07g17010遺伝子(NCBI Accession No. AK109558)に相当し、その配列情報は特開2008−228686号公報にも記載されている。
また、プラスミドpUC18(タカラバイオ社製)を制限酵素pstI(タカラバイオ社製)により反応させた。
PCR反応液及び制限酵素反応液をFastGene Gel/PCR Extraction Kit(日本ジェネティクス社製)で精製した。
また、プラスミドpUC18(タカラバイオ社製)を制限酵素pstI(タカラバイオ社製)により反応させた。
PCR反応液及び制限酵素反応液をFastGene Gel/PCR Extraction Kit(日本ジェネティクス社製)で精製した。
Primer amyPL及びamyTUは、上記で増幅したCUS遺伝子断片に相補的な配列を有しており、また、Primer amyPU及びamyTLは、プラスミドpUC18(タカラバイオ社製)のpstI部位に相補的な配列を有しているため、3断片をIn−fusionクローニングキット(タカラバイオ社製)を用いてライゲーションし、amylaseBのプロモーター領域、CUS遺伝子及びamylaseBのターミネーター領域をこの順で含む、プラスミドpUC−CUSを得た。ライゲーションは、キットの所定のプロトコールに従って行った。
以下、CUS遺伝子をamylaseB遺伝子領域に導入するための遺伝子断片を調製した方法を具体的に挙げる。
アスペルギルス・オリゼ RIB40のゲノムを鋳型として、Primer amyLU(配列番号9)及びamyLL(配列番号10)を用いて、amylaseB遺伝子プロモーターの上流側配列を含む断片をPCRにより増幅した。
同様に、Primer amyTU(配列番号5)及びamyRL(配列番号11)を用いて、amylaseBの下流側配列を含む断片を増幅した。
さらに、Primer GU(配列番号12)及びGL(配列番号13)を用いて、選択マーカーpyrG遺伝子の断片を増幅した。
また、上記のプラスミドpUC−CUSを鋳型として、Primer amyPU−G(配列番号14)及びCL(配列番号8)を用いて、上記のamylaseBのプロモーター領域、CUS遺伝子及びamylaseBのターミネーター領域を含む断片を増幅した。
PCR反応液をFastGene Gel/PCR Extraction Kit(日本ジェネティクス社製)で精製した。
同様に、Primer amyTU(配列番号5)及びamyRL(配列番号11)を用いて、amylaseBの下流側配列を含む断片を増幅した。
さらに、Primer GU(配列番号12)及びGL(配列番号13)を用いて、選択マーカーpyrG遺伝子の断片を増幅した。
また、上記のプラスミドpUC−CUSを鋳型として、Primer amyPU−G(配列番号14)及びCL(配列番号8)を用いて、上記のamylaseBのプロモーター領域、CUS遺伝子及びamylaseBのターミネーター領域を含む断片を増幅した。
PCR反応液をFastGene Gel/PCR Extraction Kit(日本ジェネティクス社製)で精製した。
上記で精製した各断片を混合したものを鋳型とし、Primer amyLU−2(配列番号15)及びamyRL−2(配列番号16)のプライマーを用いたPCR反応を行うことにより、上記の4つの断片が融合した1つの断片を得た。
上記で融合した断片とプラスミドpUC18(タカラバイオ社製)のpstIの制限酵素反応液をFastGene Gel/PCR Extraction Kit(日本ジェネティクス社製)で精製し、各断片をIn−fusionクローニングキット(タカラバイオ社製)を用いてライゲーションし、pUC−pyrGCUSを得た。
プラスミドpUC−pyrGCUSを鋳型として、Primer pUCLU(配列番号17)及びpUCRL(配列番号18)を用いて断片を増幅した。
この断片は、amylaseB遺伝子の上流及び下流の部分の配列を両端に有した構造をしているため、相同組み換えによる置換導入を行うCUS遺伝子導入断片となる。
この断片は、amylaseB遺伝子の上流及び下流の部分の配列を両端に有した構造をしているため、相同組み換えによる置換導入を行うCUS遺伝子導入断片となる。
こうして得られたCUS遺伝子導入断片を用いて、アスペルギルス・オリゼ RkuN16ptr1株を宿主とした形質転換を行い、CUS遺伝子導入株を取得した。
CUS遺伝子導入の確認は、CUS遺伝子のCU−2(配列番号19)及びCL−2(配列番号20)のプライマーを用いたPCRにより行った。
CUS遺伝子導入の確認は、CUS遺伝子のCU−2(配列番号19)及びCL−2(配列番号20)のプライマーを用いたPCRにより行った。
<アスペルギルス・オリゼにおけるクルクミンの生産>
MPY寒天プレート(maltose 3.0%,polypeptone 1.0%,yeast extract 0.5%,KH2PO4 0.5%,NaNO3 0.1%,MgSO4・7H2O 0.05%,casamino acid 0.1%,寒天 2%,pH6.0)に、CUSの基質アナログであるferuloyl−N−acetylcysteamine(feruloyl−NAC)7.4mgをジメチルスルホキシドに溶解させて塗布し、RkuN16ptr1株のpyrG遺伝子のみを相補した株(control−1株)を対照とし、得られたCUS導入株(ΔamyB::CUS)を2.0×107 胞子/mlに調整した胞子懸濁液10 μlを5箇所植菌し30℃で3日間培養した。
MPY寒天プレート(maltose 3.0%,polypeptone 1.0%,yeast extract 0.5%,KH2PO4 0.5%,NaNO3 0.1%,MgSO4・7H2O 0.05%,casamino acid 0.1%,寒天 2%,pH6.0)に、CUSの基質アナログであるferuloyl−N−acetylcysteamine(feruloyl−NAC)7.4mgをジメチルスルホキシドに溶解させて塗布し、RkuN16ptr1株のpyrG遺伝子のみを相補した株(control−1株)を対照とし、得られたCUS導入株(ΔamyB::CUS)を2.0×107 胞子/mlに調整した胞子懸濁液10 μlを5箇所植菌し30℃で3日間培養した。
培養終了後、菌体を含む寒天プレートを液体窒素で凍らせ、乳鉢及び乳棒を用いて破砕し、50ml容プラスチックチューブに移した。次に、50mM Tris−HCl(pH7.5)バッファーを5ml加え、6N HClを100μl加えて、pH試験紙によりpH3〜4であることを確認した。酢酸エチル溶液25mlを加え、15分間超音波処理し、酢酸エチル層を回収した。この操作を2回行い、得られた酢酸エチル層を遠心濃縮機に供し濃縮乾固させ、1mlのメタノールに再溶解させたものをサンプルとした。
検出は、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析装置)(アジレント社製1100シリーズ高速液体クロマトグラフィー、及びブルカー・ダルトニクス社製HCT plus質量分析装置)を用いて行った。
分離カラムは、ODSカラム(ナカライテスク社製 コスモコア(R) 内径2.1mm、長さ150mm)を用い、溶離液は、0.1%vol%蟻酸−蒸留水をA液、0.1%vol%蟻酸−アセトニトリルをB液とし、0分から2分までをA液95%、B液5%で流し、30分までにA液が5%、B液が95%に達するように濃度勾配をかけ、その後32分から33分でA液が95%、B液が5%とする方法でサンプル5μlを分離した。流速は、毎分0.3mlで行った。
質量分析は、Electrospray ionization(ESI)をイオン化法として用い、ヒーターガス温度は350℃、ネブライザーガスは50psi、窒素ガス流速4l/minとし、正イオン検出モードより検出した。
その結果、クルクミンの極大吸収波長である420nmにおいて、クルクミン標品(和光純薬工業社製)を用いて同様の測定をしたスタンダードと対比し、control−1株(対照株)ではクルクミンのピークが確認できないものの、CUS導入株はクルクミン由来のピークが検出できることが明らかとなった。
UVクロマトグラムを図1に示す。UVクロマトグラムにおいて検出されたピークのマススペクトル、プロダクトイオンスペクトル及びUVスペクトルを図2、3、4に示す。
ポリケタイド類化合物高生産形質転換体の作製
実施例1の結果から、アスペルギルス・オリゼ RIB40(RkuN16ptr1株)を用いてクルクミンを異種生産できることが明らかになった。次に、この菌株を用いて、ポリケタイド類化合物高生産形質転換体を作製した。
実施例1の結果から、アスペルギルス・オリゼ RIB40(RkuN16ptr1株)を用いてクルクミンを異種生産できることが明らかになった。次に、この菌株を用いて、ポリケタイド類化合物高生産形質転換体を作製した。
<ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質の候補の探索>
次に、クルクミンの基質となるマロニルCoAを高蓄積させる関連遺伝子の探索を行った。酵母サッカロマイセス・セレビシエにおいてアセチルCoAカルボキシラーゼをリン酸化するSnf1を欠失させることで、細胞内マロニルCoA量が増加したという報告がある( Molecular and cellular biology. 2013 Dec;33(23):4701-17)。そこで、上記のゲノムデータベースの情報に基づき、当業者に公知の方法によって、アスペルギルス・オリゼRIB40株におけるSnf1のアミノ酸配列相同性検索を行ったところ、相同性51.6%の蛋白質を見出した。そこで、本蛋白質をコードする遺伝子AO090701000767(「AOsnf1」という場合がある)をポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードする遺伝子の候補であると考えて、該遺伝子を破壊した株を作製し、クルクミンの生産量を評価した。
次に、クルクミンの基質となるマロニルCoAを高蓄積させる関連遺伝子の探索を行った。酵母サッカロマイセス・セレビシエにおいてアセチルCoAカルボキシラーゼをリン酸化するSnf1を欠失させることで、細胞内マロニルCoA量が増加したという報告がある( Molecular and cellular biology. 2013 Dec;33(23):4701-17)。そこで、上記のゲノムデータベースの情報に基づき、当業者に公知の方法によって、アスペルギルス・オリゼRIB40株におけるSnf1のアミノ酸配列相同性検索を行ったところ、相同性51.6%の蛋白質を見出した。そこで、本蛋白質をコードする遺伝子AO090701000767(「AOsnf1」という場合がある)をポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードする遺伝子の候補であると考えて、該遺伝子を破壊した株を作製し、クルクミンの生産量を評価した。
<pyrGマーカーを除いたCUS導入株(ΔpyrG、ΔamyB::CUS)の作製>
以下、CUS遺伝子を導入後に選択マーカーpyrG遺伝子を再利用するため、pyrGマーカーを除いたCUS導入株を作製した方法を具体的に挙げる。
以下、CUS遺伝子を導入後に選択マーカーpyrG遺伝子を再利用するため、pyrGマーカーを除いたCUS導入株を作製した方法を具体的に挙げる。
pyrG遺伝子領域内に相同組み換えを生じるようにするため、アスペルギルス・オリゼ RIB40のゲノムを鋳型として、Primer GU(配列番号12)及びG1(配列番号21)、G2(配列番号22)及びG3(配列番号23)、G4及(配列番号24)びGL(配列番号13)を用いて増幅した。
また、プラスミドpUC−pyrGCUSを鋳型として、Primer amyLL(配列番号10)及びamyPU−G(配列番号14)を用いて増幅した。
また、プラスミドpUC−pyrGCUSを鋳型として、Primer amyLL(配列番号10)及びamyPU−G(配列番号14)を用いて増幅した。
上記のPCR反応液をFastGene Gel/PCR Extraction Kit(日本ジェネティクス社製)で精製し、各断片をIn−fusionクローニングキット(タカラバイオ社製)を用いてライゲーションして、pUC−RpyrGCUSを得た。
pUC−RpyrGCUSを鋳型として、Primer pUCLU(配列番号17)及びpUCRL(配列番号18)を用いて増幅した。
こうして得られた遺伝子導入断片を用いて、アスペルギルス・オリゼ RkuN16ptr1株を宿主とした形質転換を行い、遺伝子導入株を取得した。
pUC−RpyrGCUSを鋳型として、Primer pUCLU(配列番号17)及びpUCRL(配列番号18)を用いて増幅した。
こうして得られた遺伝子導入断片を用いて、アスペルギルス・オリゼ RkuN16ptr1株を宿主とした形質転換を行い、遺伝子導入株を取得した。
遺伝子導入した株を1.0×107 胞子/mlに調整した胞子懸濁液10μlを、2mg/ml 5fluoroortic acid(シグマ社製)及び15mM ウリジンを含むCzapekDox寒天プレートに植菌し、30℃で5日間培養した。
得られたpyrG遺伝子欠損株の確認は、pyrG遺伝子領域が増幅されるPrimer GU(配列番号12)及びGL(配列番号13)を用いてPCRを行い、pyrG遺伝子に相当する増幅断片長の変化を指標に行った。
<ポリケタイド類化合物高生産形質転換体の作製>
こうして得られた、pyrGマーカーを除いたCUS導入株(ΔpyrG、ΔamyB::CUS)を宿主として、AOsnf1を破壊する株を作製した。
こうして得られた、pyrGマーカーを除いたCUS導入株(ΔpyrG、ΔamyB::CUS)を宿主として、AOsnf1を破壊する株を作製した。
以下、AOsnf1の遺伝子破壊断片を作製した方法を具体的に挙げる。
アスペルギルス・オリゼ RIB40のゲノムを鋳型として、Primer snf1LU(配列番号25)及びsnf1LL(配列番号26)を用いて、AOsnf1の上流側配列を含む断片をPCRにより増幅した。
同様に、AOsnf1の下流側配列を含む断片をPrimer snf1RU(配列番号27)及びsnf1RL(配列番号28)を用いて増幅した。
さらに、選択マーカーpyrG遺伝子の断片をPrimerGU(配列番号12)及びGL(配列番号13)で増幅した。
アスペルギルス・オリゼ RIB40のゲノムを鋳型として、Primer snf1LU(配列番号25)及びsnf1LL(配列番号26)を用いて、AOsnf1の上流側配列を含む断片をPCRにより増幅した。
同様に、AOsnf1の下流側配列を含む断片をPrimer snf1RU(配列番号27)及びsnf1RL(配列番号28)を用いて増幅した。
さらに、選択マーカーpyrG遺伝子の断片をPrimerGU(配列番号12)及びGL(配列番号13)で増幅した。
得られたPCR反応液を精製し、これら3つの断片を混合したものを鋳型とし、snf1LU−2(配列番号29)及びsnf1RL−2(配列番号30)のプライマーを用いたPCR反応を行い、これら3つの断片が融合した1つの断片を得た。
この断片は、AOsnf1の上流及び下流の部分配列がpyrG遺伝子の両端に存在する構造を有しているため、相同組み換えによるAOsnf1の置換破壊を行う遺伝子断片となる。
こうして得られた遺伝子破壊断片を用いて、アスペルギルス・オリゼΔpyrG、ΔamyB::CUS株を宿主とした形質転換を行い、遺伝子破壊株を取得した。
こうして得られた遺伝子破壊断片を用いて、アスペルギルス・オリゼΔpyrG、ΔamyB::CUS株を宿主とした形質転換を行い、遺伝子破壊株を取得した。
遺伝子破壊の確認は、snf1LU−2(配列番号29)及びsnf1RL−2(配列番号30)のプライマーを用いたPCRにより挿入断片を増幅し、制限酵素XbaI(タカラバイオ社製)を反応させることで、目的サイズのDNA断片が検出されることにより行った。
<クルクミン生産量の比較>
上記のCUS遺伝子を導入した株(ΔpyrG、ΔamyB::CUS)(control−2株)及び該株でAOsnf1を破壊した株を実施例1と同様の方法で培養、抽出を行いLC/MSによるクルクミン生産量の検討を行った。
上記のCUS遺伝子を導入した株(ΔpyrG、ΔamyB::CUS)(control−2株)及び該株でAOsnf1を破壊した株を実施例1と同様の方法で培養、抽出を行いLC/MSによるクルクミン生産量の検討を行った。
マスクロマトグラム、UVクロマトグラム、及びUVクロマトグラムで得られたクルクミン由来のピーク面積を算出し、control−2株のピーク面積(クルクミン生産量)を1としたときの相対値を図5、6及び7にそれぞれ示す。また、標品のクルクミンを用いて検量線を作成し、図8に示す。その結果、AOsnf1破壊株(ΔAOsnf1株)は、control―2株(対照株)に比べてクルクミン生産量が2倍以上に増加していることが確認された。
以上の結果から、AOSnf1蛋白質は、ポリケタイド類化合物であるクルクミンの産生を制御していることが示された。
糸状菌、特に、アスペルギルス・オリゼ等の麹菌の代謝物から単離された、又はアスペルギルス・オリゼ等の麹菌を宿主として用い生産された二次代謝産物を有効成分とする医薬品、飲食品、化粧品等の提供を実現することができる。
Claims (12)
- 以下の(a)又は(b)の蛋白質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、又は
(b)(a)のアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質。 - 以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のDNA:
(a)上記の蛋白質をコードするDNA、
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA、
(c)(b)の塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA、又は
(d)(b)の塩基配列からなるDNAと80%以上の配列相同性を示す塩基配列からなるDNAであって、ポリケタイド類化合物の生合成に関与する蛋白質をコードするDNA。 - 糸状菌における請求項1又は2記載の蛋白質又はDNAの発現を阻害又は抑制する工程を含む、該糸状菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法。
- 糸状菌における請求項2記載のDNAの少なくとも一部を破壊若しくは欠失させ、又はその機能を阻害・抑制する工程を含む、該糸状菌により生合成されるポリケタイド類化合物の産生を増大させる方法。
- 麹菌としてKu遺伝子が破壊された菌株を用いる、請求項3又は4記載の方法。
- 糸状菌に於いてポリケタイド類化合物が異種発現されている、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
- ポリケタイド類化合物がクルクミンである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項2記載のDNAの少なくとも一部が破壊若しくは欠失又はその機能が阻害若しくは抑制されていることを特徴とする糸状菌形質転換体。
- 更に、ポリケタイド合成酵素遺伝子が導入されている、請求項8記載の形質転換体。
- 麹菌である請求項8又は9記載の形質転換体。
- 請求項8〜10のいずれか一項に記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からポリケタイド類化合物を回収することを特徴とする、ポリケタイド類化合物の製造方法。
- ポリケタイド類化合物がクルクミンである、請求項11記載の方法。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
CN110592073A (zh) * | 2019-09-25 | 2019-12-20 | 江西科技师范大学 | 一种基于crispr技术定向遗传改造米曲霉基因的方法 |
CN114591929A (zh) * | 2022-04-18 | 2022-06-07 | 杭州师范大学 | 一种温郁金来源的姜黄素合成酶、基因、载体、工程菌及应用 |
-
2017
- 2017-10-17 JP JP2017200794A patent/JP2019071834A/ja active Pending
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CN110592073A (zh) * | 2019-09-25 | 2019-12-20 | 江西科技师范大学 | 一种基于crispr技术定向遗传改造米曲霉基因的方法 |
CN114591929A (zh) * | 2022-04-18 | 2022-06-07 | 杭州师范大学 | 一种温郁金来源的姜黄素合成酶、基因、载体、工程菌及应用 |
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