JP7409644B2 - コウジ酸非生産生物によるコウジ酸の生産 - Google Patents

コウジ酸非生産生物によるコウジ酸の生産 Download PDF

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Description

本明細書は、コウジ酸を本来的に生産しない生物におけるコウジ酸の生産に関する。
糸状菌であるコウジカビ Aspergillus oryzae の生産物は、食品、化学、医薬品産業など様々な分野で広く利用されている。例えば、A. oryzae は、酒、醤油、味噌、酢などの日本古来の食品生産に利用されてきている。
ここで、Aspergillus 属菌等が生産するコウジ酸は、これらの菌がグルコース等の糖を発酵する過程によって生成されることが知られており、例えば、美白効果、抗菌効果等が知られている。一方、かかるコウジ酸の生合成経路は未だ不明である(非特許文献1)。
A. oryzae の全ゲノム塩基配列が明らかにされたことから、コウジ酸生産菌である A. oryzae における発現解析により、その発現量を正に制御することによりコウジ酸の産生能が向上する遺伝子が判明してきている(特許文献1)。これらは、AO090113000136(以下、単に、AO136という。以下、同じ。)遺伝子、AO137遺伝子及びAO0138遺伝子である。
特開2010-246532号公報
J. Microbiol. 28: 1340-1346
しかしながら、特許文献1では、コウジ酸増産に貢献する遺伝子を特定したものの、本来的にコウジ酸産生能を有する A. oryzae において、AO136遺伝子の発現量を正に制御することでコウジ酸産生能を増強したことが確認されているに過ぎない。
また、現在においても、AO136をコウジ酸を生産しない他の生物種において発現させたとしても、コウジ酸を産生できることを期待できない。コウジ酸の生合成経路も当該経路を構成する酵素群は未だ特定されておらず、その詳細が不明である以上、コウジ酸非生産菌に一つの遺伝子を導入したからといって、当該非生産菌がコウジ酸を生産しない以上、AO136以外の生合成経路の全ての酵素又は代替経路を備えているとは考えられないからである。
また、ゲノム情報が公開されているほとんどの Aspergillus 属菌には、AO136のオルソログがコードされていないし、AO136~AO138以外にどのような遺伝子がコウジ酸の生合成経路に存在するのかは全く知られていない。
したがって、コウジ酸の生合成経路が不明である現状においても、AO136をコウジ酸非生産の他の生物種において発現させたとしても、コウジ酸を産生できるかどうかを予測することはできなかった。その結果として、コウジ酸非生産生物におけるコウジ酸を生産させた例は未だ報告されていない。
本明細書は、コウジ酸をコウジ酸非生産生物において生産させる方法及びそのための要素を提供する。
本発明者らは、A. oryzae においてコウジ酸高生産時に高発現する遺伝子である AO136に着目した。そして、当該遺伝子産物である AO136タンパク質の機能解析及びコウジ酸の生合成経路を探索するために、当該遺伝子をコウジ酸が生産されることが知られていないコウジ酸非生産生物である A. nidulans に導入した。その結果、意外にも、コウジ酸非生産生物においてもコウジ酸を生産できることを見出した。また、本発明者らは、AO136遺伝子をシロイヌナズナやカイコに導入した場合においても、同様に、コウジ酸を生産することを見出した。本明細書は、これらの知見に基づき以下の手段を提供する。
[1]コウジ酸の生産方法であって、
コウジ酸非生産生物(ただし、ヒトを除く。)において、
以下の(a)~(d);
(a)配列番号1で表される塩基配列を有するDNA
(b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
からなる群から選択される少なくとも1種のDNAを発現させてコウジ酸を生産する工程、を備える、方法。
[2]前記コウジ酸非生産生物は、Aspergillus属菌及びPenicillium 属菌以外の生物である、[1]に記載の方法。
[3]前記コウジ酸非生産生物は、原核生物、Aspergillus 属菌及び Penicillium 属菌以外の真核微生物、植物及び動物からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]遺伝的改変生物であって、
コウジ酸非生産生物(ただし、ヒトを除く。)において、
以下の(a)~(d);
(a)配列番号1で表される塩基配列を有するDNA
(b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
からなる群から選択される少なくとも1種のDNAを発現可能に保持する、生物。
[5]前記コウジ酸非生産生物は、原核生物、Aspergillus 属菌及び Penicillium 属菌以外の真核微生物、植物及び動物からなる群から選択される少なくとも1種である、[4]に記載の生物。
[6]機能の付与方法であって、
前記機能は、コウジ酸非生産生物(ヒトを除く。)におけるコウジ酸生産能であり、
前記コウジ酸非生産生物に、
以下の(a)~(d);
(a)配列番号1で表される塩基配列を有するDNA
(b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
からなる群から選択される少なくとも1種のDNAを導入する工程、
を備える、方法。
[7]機能付与剤であって、
前記機能は、コウジ酸非生産生物(ヒトを除く。)におけるコウジ酸生産能であり、
以下の(a)~(d);
(a)配列番号1で表される塩基配列を有するDNA
(b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
を、前記コウジ酸非生産生物において作動可能なプロモーターの制御下に発現可能に備える、付与剤。
A. nidulans 用のAO136発現プラスミドの構築プロセスを示す図である。 An-AO136株はコウジ酸を生産することを示す図である。 An-AO136株からのAO136の精製を示す図である。 GC-MSによる培養ろ液中のコウジ酸の検出を示す図である。 コウジ酸生産量の経時変化を示す図である。 大腸菌用AO136発現プラスミドの構築プロセスを示す図である。 大腸菌でのAO136の発現を示す図である。 GC-MSによる培養ろ液中のコウジ酸の検出を示す図である。 植物と昆虫でのコウジ酸生産を示す図である。 それぞれの生物種におけるコウジ酸の生産量を示す図である。
本明細書の開示は、コウジ酸非生産生物におけるコウジ酸生産に関し、コウジ酸の生産方法、コウジ酸を生産するための遺伝子改変生物、コウジ酸を生産するための剤、コウジ酸生産のための方法に関する。
本明細書に開示されるコウジ酸の生産方法及び遺伝子改変生物によれば、従来からのコウジ酸生産に用いられてきた A. oryzaeなどのコウジ酸生産生物によらなくても、コウジ酸を生産することができる。必要に応じてコウジ酸を生産する生物を選択することできるため、工業的なコウジ酸生産に貢献できる。
本明細書に開示される機能の付与方法及び機能付与剤によれば、コウジ酸非生産生物に対してコウジ酸生産能を付与できる。
本明細書に開示される遺伝子のスクリーニング方法によれば、コウジ酸生産に貢献できる遺伝子をスクリーニングできる。
以下、新たに見出された知見に基づく種々の実施形態について説明する。
(コウジ酸の生産方法)
本明細書に開示されるコウジ酸の生産方法(以下、単に、本生産方法ともいう。)は、所定の態様に人工的に改変されたコウジ酸非生産生物(ただし、ヒトを除く。)において、AO136タンパク質をコードするDNA又はこれと同等のDNA(以下、これらのDNAをまとめて本DNAともいう。)からなる群から選択される少なくとも1種を発現させてコウジ酸を生産する工程を備えることができる。
本生産方法において用いるコウジ酸非生産生物は、AO136タンパク質をコードするDNA又はこれと同等のDNAを保持している。こうしたコウジ酸非生産生物を、以下、本生物ともいう。
コウジ酸非生産生物は、コウジ酸生産生物以外の生物である。ここで、コウジ酸生産生物としては、A. oryzae ほか、コウジ酸を生産することが確認されている生物である。例えば、A. oryzae ほか、A. flavus、A. tamari 等のAspergillus 属及び Penicillium dalae などの Penicillium 属に属する真核微生物;Gluconobacter suboxydans, roseus などの Gluconobacter 属に属する原核微生物が挙げられる。コウジ酸生産生物は、典型的には、コウジ酸を生産する Aspergillus 属菌、Penicillium 属菌及び Gluconobacter 属菌である。
また、コウジ酸非生産生物とは、AO136タンパク質をコードするDNAを本来的に備えていないか、AO136タンパク質をコードするDNAを備えているが、発現が抑制されている生物である。この観点からは、生物につき、発現解析を行って、AOタンパク質をコードするmRNAの発現が対照と比較して、例えば30%以下、また例えば25%以下、また例えば20%以下、また例えば15%以下、また例えば10%以下、また例えば5%以下、また例えば3%以下、また例えば2%以下、また例えば1%以下の生物を、コウジ酸非生産生物ということもできる。なお、発現解析は、当業者において周知の解析方法であり、AOタンパク質をコードするmRNAの逆転写DNAを補足する特異的プローブは、配列番号1で表される塩基配列に基づいて適宜設計することができる。
したがって、コウジ酸非生産生物は、これらのコウジ酸生産生物を除く生物である。コウジ酸非生産生物は、例えば、コウジ酸を生産する Aspergillus 属菌、Penicillium 属菌及び Gluconobacter 属菌を除く生物であり、より簡易には、例外があるものの、コウジ酸を生産する Aspergillus 属菌、Penicillium 属菌及び Gluconobacter 属菌を除く生物である。また、コウジ酸非生産生物は、具体的には、Aspergillus 属菌及びPenicillium 属菌以外の酵母やカビなどの真核微生物;Gluconobacter 属以外の原核微生物;植物;昆虫類;魚類;鳥類;は虫類;両生類;哺乳類等の動物挙げられる。また例えば、原核生物、Aspergillus 属菌及び Penicillium 属菌以外の真核微生物、植物及び動物からなる群から選択されてもよい。
コウジ酸生産微生物以外の真核微生物としては、特に限定するものではないが、上記したコウジ酸生産 Aspergillus 属以外の Aspergillus 属菌、上記したコウジ酸生産Penicillium 属以外の Penicillium 属及びその他の真核微生物が挙げられる。例えば、Aspergillus 属に属するコウジ酸非生産菌としては、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、Aspergillus terreus等が挙げられる。また、Penicillium 属に属するコウジ酸非生産菌としては、Penicillium chrysogenum、Penicillium citrinum 等が挙げられる。
また、他の真核微生物としては、特に限定するものではないが、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、カンジダ(Candida albicans)等が挙げられる。
また、コウジ酸生産微生物以外の原核微生物としては、例えば、大腸菌(E. coli)などのエスケリヒア(Escherichia)属;ラクトバシラス属;エンテロコッカス属;ラクトコッカス属;ペディコッカス属;ロイコノストック属;ストレプトコッカス属などの乳酸菌類、ビフィドバクテリウム属などのビフィズス菌、枯草菌(B. subtilis)や納豆菌(Bacillus natto)などの Bacillus 属に属する原核微生物が挙げられる。
植物としては、特に限定するものではないが、例えば、シロイヌナズナを含む各種双子葉植物、イネを含む各種単子葉植物が挙げられる。昆虫類としては、特に限定するものではないが、例えば、カイコ(幼虫)などが挙げられる。また、魚類としては、特に限定するものではないが、例えばサケ、マス等が挙げられる。また、鳥類としては、特に限定するものではないが、例えば、ニワトリ、カモ、七面鳥、ウズラ等が挙げられる。また、哺乳類としては、特に限定するものではないが、例えば、ラット、マウス、ヤギ、ヒツジ、ウシ等が挙げられる。
AO136タンパク質をコードするDNAは、以下の(a)~(d)からなる群から選択される。ここで、AO136タンパク質は、Joint Genome Institute (https://mycocosm.jgi.doe.gov/Aspor1/Aspor1.info.html)において、AO090113000136によって特定される塩基配列によってコードされるタンパク質であって、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有している。この FAD 依存酸化還元酵素であることが推定されている。
AO136タンパク質は、そのタンパク質としての機能は、A. oryzae などのコウジ酸生産生物や、A. nidulans、大腸菌等のコウジ酸非生産生物において、どのような反応に関わって最終的にコウジ酸の生産に貢献しているかどうかは全く判明していない。
AO136タンパク質をコードするDNAとしては、(a)配列番号1で表される塩基配列を有するDNAが挙げられる。また、このDNAと同等のDNAとしては、(b)配列番号1で表される塩基配列と一定以上の同一性を有する塩基配列を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNAが挙げられる。また、同等DNAとしては、(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。また、同等DNAとしては、(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と一定以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNAが挙げられる。
前記(b)において、前記一定以上の同一性としては、特に限定するものではないが、例えば、配列番号1で表される塩基配列と80%以上であり、また例えば、同85%以上あり、また例えば、同90%以上であり、また例えば、95%以上であり、また例えば96%以上であり、また例えば97%以上であり、また例えば98%以上であり、また例えば99%以上であり、また例えば99.5%以上である。
前記(d)において、前記一定以上の同一性としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列とまた例えば、80%以上であり、また例えば、同85%以上あり、また例えば、同90%以上であり、また例えば、95%以上であり、また例えば96%以上であり、また例えば97%以上であり、また例えば98%以上であり、また例えば99%以上であり、また例えば99.5%以上である。
本DNAに対応するタンパク質としては、以上のことから、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質の他、配列番号2で表されるアミノ酸配列と一定以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質であるといえる。以下、これらのタンパク質をまとめて、本タンパク質ということもある。
なお、本明細書において、塩基配列又はアミノ酸配列の同一性又は類似性とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2以上のタンパク質あるいは2以上のポリヌクレオチドの間の関係である。当該技術で“同一性”とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きのそのような配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、類似性とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸又は配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLASTの配列相同性検索結果において Similarity と称される。同一性及び類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性及び類似性を決定するための方法は、公衆に利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、Altschul らによるBLAST (Basic Local Alignment Search Tool) プログラム(たとえば、Altschul SF, Gish W, Miller W, Myers EW, Lipman DJ., J. Mol. Biol., 215: p403-410 (1990), Altschul SF, Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Miller W, Lipman DJ., Nucleic Acids Res. 25: p3389-3402 (1997)) を利用し決定することができる。BLASTのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。
例えば、(b)のDNAとしては、配列番号1で表される塩基配列によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列のコドン用法が変更されたもの、このタンパク質のアミノ酸配列において保存的置換また例えば他のアミノ酸の置換や、その他の、1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、挿入、付加などを含む改変されたアミノ酸配列をコードするもの等が挙げられる。
なお、アミノ酸の保存的置換としては、例えば、以下のカッコ内のグループ内での置換が挙げられる。例えば、(グリシン、アラニン)(バリン、イソロイシン、ロイシン)(アスパラギン酸、グルタミン酸)(アスパラギン、グルタミン)(セリン、トレオニン)(リジン、アルギニン)(フェニルアラニン、チロシン)である。
本生物は、本DNAの少なくとも1種を、染色体内に備えていてもよいし、染色体外に保持していてもよい。コウジ酸非生産生物において、本DNAを発現させるには、コウジ酸非生産生物を宿主生物として、本DNAを発現可能に形質転換した形質転換生物を作製して用いることができる。このような形質転換生物の作製、そのための剤等については、後段で詳述する。
本生産方法は、本生物において本DNAの少なくとも1種を発現させることで、コウジ酸を生産できる。すなわち、本タンパク質を生産させることで、コウジ酸生産を開始させることができる。本生物にコウジ酸を生産させる条件は、特に限定するものではないが、本生物に一般的に適用される生育条件を適用することができる。例えば、コウジ酸非生産生物が大腸菌の場合には、大腸菌に一般的に適用される培地、温度、ガス条件が適用される。例えば、本生物の宿主であるコウジ酸非生産生物が本来的に備える代謝能により、グルコースを少なくとも生産できる生育条件を採用することもできる。本生物に適用する生育条件は、当業者であれば、宿主であるコウジ酸非生産生物の生育についての公知の情報に基づいて適宜設定することができる。
本生物がコウジ酸を生産する態様は、宿主たるコウジ酸非生産生物によっても様々である。例えば、A. nidulansは、菌体外にコウジ酸を分泌し、大腸菌は、細胞内にコウジ酸を生産する。また、多細胞真核生物の場合には、生物体内において代謝産物として生産される。
本生物が生産したコウジ酸は、適宜、分離、抽出、精製することができる。
(人工的改変生物及びその作製)
本明細書に開示される人工的改変生物は、コウジ酸非生産生物(ただし、ヒトを除く。)において、本DNAからなる群から選択される少なくとも1種のDNAを発現可能に保持することができる。すなわち、この人工的改変生物は、上記した本生物である。本DNAは、染色体に対して組み込まれて複製可能に設けてもよいし、染色体外において一過的発現するように保持されてもよい。
本生物は、既述のとおりのコウジ酸非生産生物に本DNAを発現可能に保持している。コウジ酸非生産生物において、本DNAを備える生物は、現在までにおいて見出されていない。
本生物は、より具体的には、本DNAを、本生物の宿主生物であるコウジ酸非生産生物の種類に応じて、当該コウジ酸非生産生物において作動可能な調節領域の制御下に備えている。調節領域としては、例えば、プロモーター、ターミネーター他、各種のエレメント等である。
プロモーター、ターミネーター等の調節領域は、本生物におけるコウジ酸の生産量や生産タイミング等において適宜選択することができる。例えば、本DNAを高発現させてコウジ酸を高生産した場合には、構成的かつ強力なプロモーターを使用することができる。また、発現を増強するターミネーターを利用することができる。これらの調節領域は、コウジ酸非生産生物の種類に応じて当業者において周知である。また、こうした調節領域は、コウジ酸非生産生物の染色体上に本来的に備えるプロモーターやターミネーターを利用してもよい。
本DNAをコウジ酸非生産生物において発現させるためのDNAコンストラクトは、少なくとも、本DNAの少なくとも1種を有しているが、さらに、以下の要素を備えることができる。例えば本DNAが、宿主となるコウジ酸非生産生物がその染色体上に本来的に備える内在性プロモーターやターミネーターによって作動されるように組み込むためのDNAコンストラクトは、本DNAの少なくとも1種をこれらの領域に相同組換えにより導入するための染色体との相同組換え領域を備えることができる。相同組換え領域は、プロモーター領域やターミネーター領域を含んでいてもよい。また、かかるDNAコンストラクトは、プロモーターやターミネーター領域を含み、さらに、その外側に、染色体との相同組換え領域を備えていてもよい。
また、本DNAを、染色体上の任意の位置で発現させる場合には、DNAコンストラクトは、本DNAのほか、コウジ酸非生産生物において作動可能な任意のプロモーター等の調節領域を備えることができる。また、本DNAを染色体外において発現させる場合には、DNAコンストラクトは、染色体外において保持可能な一定の要素を備えることができる。
種々の生物において相同組換えにより染色体の特定部位に本DNAの少なくとも1種を発現可能に組み込む方法、染色体上のランダムな位置に本DNA発現可能を組み込む方法、も当業者において周知である。必要に応じて、こうしたDNAコンストラクトが導入されたことを判定できるマーカー遺伝子を備えるようにしてもよい。
本生物は、コウジ酸非生産生物の細胞(未受精卵及び受精卵を含む)に、こうした発現カセットを導入することによって作製することができる。導入方法は、用いるコウジ酸非生産生物の種類等によっても異なるが、種々の方法が周知である。発現カセットは、例えば、コスミドベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、裸のDNAコンストラクト及び、人工染色体(トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション等)、パーティクルガンのための遺伝子導入用粒子等が挙げられる。
以上説明した本DNAを備える発現カセットを含む各種形態のDNA構築物は、本明細書に開示される機能付与剤といえる。また、以上説明した本生物の作製方法は、本明細書に開示される機能付与方法でもある。
以下、本開示に関する実験例及び具体例について説明するが、本開示は、以下の具体的記載によって制限されるものではない。
(AO136遺伝子を高発現したAspergillus nidulans株の作製及びコウジ酸の生産の確認)
RNeasy Plant Mini Kit (QIAGEN) を用いて、ACM培地 (0.2%maltextract,0.1%peptone,0.2%D-glucose)で生育させたA. oryzae RIB40 株からRNAを抽出し、PrimeScriptTM 1st cDNA Synthesis Kit (TaKaRa)によりRNAを逆転写することでcDNAを得た。合成したcDNAを鋳型として、プライマーA (5’-CTTGAGCAGACATCACAATGCGTGTCGCGACACAGCT-3’)(配列番号3), プライマーB (5’-CTATGTTTCACTAGTGACTGCAAACGGTGGAGGTGGAGGT-3’) (配列番号4)を用いてPCRすることで、AO136(AO090113000136)遺伝子を増幅した。アガロースゲル電気泳動により、PCR 産物を泳動後、目的遺伝子断片を切り出し、UltraClean(登録商標) 15DNAPurification Kit(MO BIO) により、アガロースゲルからDNAを抽出、精製した。GAPDH(gapA)プロモーターとタカアミラーゼ(taaG2)ターミネーターを挿入した pBSpyrG ベクターに NEBuilder (New England Biolabs Japan) を用いて連結し、AO136発現用プラスミド(pBSpyrGAO136) を構築した(図1)。
MMGBPU寒天培地(10mMNaNO3,10mMKH2PO4,7mMKCl,2mMMgSO4,2ml/l Hutner's trace elements, 1.0%D-glucose,1.5%agar(pH6.5),0.1mg/l pyridoxine, 1.12g/l uracil, 1.2g/l uridine、0.25mg/l biotin)において、コウジ酸非生産生物である Aspergillus nidulans BPU1株(BPU1株)を37℃で4日間培養した。得られた胞子を懸濁し、YAG培地(0.5% bacto yeast extract、0.25%MgSO4、0.1%Hutner's trace elements,1% D-glucose、0.1mg/l pyridoxine、1.12g/luracil,1.2g/l uridine,0.25mg/l biotin,0.2mg/l arginine)で37℃、200rpmでインキュベートし発芽させた。発芽した菌体に酵素液(10mM Na phosphate(pH6.0),0.3% yatalase,0.03% lysing enzyme,0.1%BSA,0.8M NaCl)を加え、プロトプラストを調製した。プロトプラストにpBSargAO136プラスミドを加え、PEG法にて形質転換した後、MMG BP 寒天培地に塗布した。生育したA.nidulans BPU1株のゲノムDNAにAO136が導入されているものをAO136高発現株(An-AO136株)とした。
(コウジ酸生産の確認)
A.oryzae野生株(AoWT)、A.nidulans野生株(AnWT)、A.nidulansAO136高発現株(An-AO136株)を,コウジ酸検出用寒天培地(1mMFeCl3を含むCD寒天培地(0.25%yeast extract,0.1%KH2PO4,0.05%MgSO-7H2O,10%D-glucose))にて固体培養した。結果を図2に示す。
図2に示すように、AoWTおよびAn-AO136株では培地がオレンジ色を呈したことから、AO136遺伝子のみを導入したコウジ酸非生産生物であるA. nidulans がコウジ酸を生産することが示唆された。
(An-AO136株からのAO136タンパク質の分離同定)
An-AO136株の菌体をバッファーA(10mMHEPES-NaOH(pH7.5),150mMNaCl,0.2% Triton-X)に懸濁し、液体窒素を用いて凍結破砕した。破砕後、サンプルを遠心分離しフィルター(0.22μm)に通すことで、不溶性のものを除去した。その後リコンビナントAO136を抗FLAGM2抗体アフィニティーゲルに吸着させ、バッファーAで三回洗浄し、150ng/μlの3xFLAGペプチドを含むバッファーAで溶出することでリコンビナントAO136を精製しSDS-PAGEに供した。結果を、図3に示す。
図3に示すように、AO136タンパク質の分子量に一致する分子量にバンドが検出された)。また、そのバンドをトリプシンによるゲル内消化後 MALDI-TOF-MS にて解析したところ、AO136が同定されたことから、AO136が発現していることが明らかになった。
(AO136遺伝子を高発現したAspergillus nidulans株の培養上清のGC-MS 分析)
An-AO136株とBPU1株(AnWT株)を、コウジ酸検出用寒天培地にて37℃で7日間静置培養した。また、MMG液体培地(0.05%KCl,0.05%MgSO4-7H2O,0.15%KH2PO4,0.6%NaNO3,1%D-glucose,0.2% Hunter’sTraceelements,0.1%NaOH)を用いて37℃、200rpmで培養した。
An-AO136株とAnWT株をMMG液体培地で培養して得られた培養ろ液 0.5mL をそれぞれエッペンドルフチューブに取り、凍結乾燥した。凍結乾燥したサンプルに、オキシム化剤(メトキシアミン20mgを含むピリジン1ml)を50μlずつ入れ、37℃で90分間静置した。その後、TMS化剤(N-Methyl-N-trimethylsilyl-trifluoroacetamide)を50μlずつ入れ、37℃で30分間静置した。150,000rpmにて5分間遠心分離後、得られた上清をGC-MS分析に供した。GC-MS(GCMS-QP2010, Shimadzu) を用いてコウジ酸を検出した。カラムには30-m fused silica column (DB-5; J&W Scientific) を用いた。コウジ酸の標品を用いて検量線を作成し生成量を定量した。結果を図4及び図5に示す。
図4に示すように、An-AO136株ではリテンションタイム31.86分に特異的なピークが検出された。NISTのシミラリティ検索およびコウジ酸標品との比較の結果、このピークはコウジ酸であると同定された。これまでにコウジ酸はグルコースから多段階の反応を経て生合成されると推測されていたが(非特許文献1)、AO136遺伝子のみを導入することでコウジ酸を生産したことは驚異的であった。培養ろ液中のコウジ酸の生産量を経時的に追跡したところ、図5に示すように、培養12時間後では2.4mMであった。
(AO136遺伝子を高発現した大腸菌株の作製及びコウジ酸生産の確認)
コウジ酸生産生物であるA.oryzae野生株からRNAを抽出し、逆転写することでcDNAを得た。合成したcDNAを鋳型として、プライマーC(5’-GATTTCACATATGTCCATGGGCGGCCGCCGTGTCGCGACACAGCTAAG-3’)(配列番号5), プライマーD(5’-CGGATCCGTCGACGATATCGCGGCCGCTTAGTTTGCAGTCACTAGTG-3’)(配列番号6)を用いてPCRすることで、AO136を増幅した。アガロースゲル電気泳動により、PCR産物を泳動後、目的遺伝子断片を切り出し、UltraClean(登録商標)15DNAPurification Kit (MO BIO)により、アガロースゲルからDNAを抽出、精製した。増幅したAO136を、大腸菌タンパク質発現用のpMAL-c5xベクターにNEBuilderを用いて連結し、図6に示す、AO136発現用プラスミド(pMALAO136)を構築した。これを大腸菌BL21CodonPlus株に形質転換することで、AO136発現大腸菌(Ec-AO136株)とした。
5mLの25mMのグルコースを含むLB培地(アンピシリン、クロラムフェニコール添加)が入った試験管でEc-AO136株を前培養(100rpm)しOD600が0.6程度まで上がったら、培養液50μLを新しい50mLのLB培地(アンピシリン、クロラムフェニコール、0.1mMIPTG添加)が入った300mLの三角フラスコに移して本培養した。Ec-AO136株の菌体をバッファーB(20mMTris-HCl(pH7.4),200mMNaCl,1mMEDTA)に懸濁し、ソニケーションすることで破砕した。破砕後、破砕液を遠心分離しフィルター(0.22μm)に通すことで、不溶性のものを除去した。その後Amylose Resin(NEWENGLAND BioLabs)を充填したカラムにサンプルを通し、リコンビナントAO136をカラムに吸着させ、バッファーBで三回洗浄し、10mMのマルトースを含むバッファーBで溶出することでリコンビナントAO136を精製しSDS-PAGEに供した。結果を図7に示す。
また、培養液3mLをファルコンチューブに回収し、遠心分離によって培養ろ液を集めた。上記と同様に、得られた培養ろ液5mLをそれぞれエッペンドルフチューブに取り凍結乾燥、誘導体化後、GC-MS分析に供した。結果を、図8に示す。
図7に示すように、可溶性画分において、マルトース結合ドメインと融合したAO136の分子量と一致する分子量にバンドが検出された。このことから、AO136が発現していることが示された。また、図8に示すように、リテンションタイム31.86分にコウジ酸が検出されたことから、大腸菌によってコウジ酸が生産されたことが明らかになった。
(AO136を高発現したシロイヌナズナ、カイコによるコウジ酸の生産の確認)
(AO136遺伝子を発現したシロイヌナズナ株の作製)
pMALAO136 ベクターを鋳型として、プライマーE(5’-CACCATGCGTGTCGCGACACAGCTAA-3’)(配列番号7), プライマーF(5’-GTTTGCAGTCACTAGTGAAACATAGGTCTG-3’)(配列番号8)を用いてPCRすることで、AO136を増幅した。増幅したAO136を、pENTRTM/D-TOPO(R) (invitrogen) にクローニングした。pENTRTM/D-TOPO(R)にクローニングされたAO136 をシロイヌナズナタンパク質発現用の pGWB402Ω ベクターに、Gateway LR clonaseII (Invitrogen)を用いた相同組換えを行い、AO136植物発現用プラスミド (AO136/pGWB402Ω)を構築した。これを Agrobacterium tumefaciens C58C1 (pMP90) 株に導入し、AO136/pGWB402Ωを保持する Agrobacterium をFloral Dip法により、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana (L.) Heynhold, Col-0株)に形質転換することで、AO136発現シロイヌナズナ(At-AO136株)を作製した。
形質転換させたAt-AO136株の選抜には25mg/lKanamycin、50mg/lカルベニシリンを加えた選抜用MS培地(1xムラシゲ・スクーグ(MS)培地用混合塩類(日本製薬)に0.05%MES-KOH(pH5.7)、0.7%植物育成用寒天(Wako))を使用した。4℃、暗所に一晩おいて春化処理したT種子を、70%エタノールに浸した後、10%次亜塩素酸ナトリウム溶液(Wako)、0.0025%TritonX-100を含む滅菌液に10分間浸し種子表面を滅菌し、滅菌水を用いて4回以上洗浄後、選抜用培地に約1000粒播種した。その後生育チャンバー(SANYO)で22℃、白色蛍光灯(光量:30μE/m2s)による長日条件(16hLight/8hDark)で生育した。抗生物質耐性を示し、本葉が形成された形質転換体のみをKanamycinを含まないMS培地に移しかえ、播種後14日目に土植えした。土植えさせた植物を2ヶ月生育させ、乾燥後後代のT2種子を得た。
2種子は、種子の休眠打破のために滅菌水に浸し、1~3日間4℃暗所で低温処理を行った後、滅菌液に種子を10分間浸して種子表面を滅菌した。その後、滅菌水で3回洗浄した。MS基本培地(1xムラシゲ・スクーグ(MS)培地用混合塩類に0.05%MES-KOH(pH5.7)、1%スクロース(ナカライ)、1%植物育成用寒天)に播種し14日間生育チャンバーで22℃、白色蛍光灯(光量:30μE/m2s)による長日条件(16hLight/8hDark)で生育させた。GC-MS分析の比較対象として、シロイヌナズナCol-0株を同様の条件で播種・生育させた。
液体窒素にて破砕したシロイヌナズナAt-AO136株とCol-0株から50%メタノール溶液を用いて代謝物を抽出し、凍結乾燥、誘導体化後、GC-MS分析に供した。結果を図9に示す。
(AO136遺伝子を発現した Bombyx mori(カイコ)株の作製)
シスメックス株式会社の ProCube サービス(http://procube.sysmex.co.jp/service/detail/)を利用して、AO136発現カイコ(Bm-AO136株)を作製した。50%メタノール溶液を用いて破砕したカイコの抽出液を凍結乾燥、誘導体化後、GC-MS分析に供した。結果を、合わせて図9に示す。
(コウジ酸生産の確認)
図9に示すように、それぞれの生体から代謝物を抽出し凍結乾燥、誘導体化後、GC-MS分析に供したところ、同様にコウジ酸が検出されたことから、シロイヌナズナ、カイコでもコウジ酸が生産されたことが明らかになった。
それぞれの生物でのコウジ酸生産量を図10及び表1に示す。大腸菌と比べて、培地中に生産されるコウジ酸量は A. nidulans の方が多かった。シロイヌナズナとカイコでは一概に比較できないがほぼ同程度のコウジ酸を生産していた。
Figure 0007409644000001
以上のことから、本研究は本来コウジ酸を生産できる麹菌等以外の生物でコウジ酸を生産させることが初めて見出された。
配列番号3~8:プライマー

Claims (7)

  1. コウジ酸の生産方法であって、
    以下の(a)~(d);
    (a)配列番号1で表される塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を含み、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含みタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    のいずれのDNAも備えていないコウジ酸非生産生物(ただし、ヒトを除く。)において、
    前記(a)~(d)からなる群から選択される少なくとも1種のDNAを導入し発現させてコウジ酸を生産する工程、
    を備える、方法。
  2. 前記コウジ酸非生産生物は、Aspergillus属菌及びPenicillium属菌以外の生物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記コウジ酸非生産生物は、原核生物、Aspergillus属菌及びPenicillium属菌以外の真核微生物、植物及び動物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 遺伝的改変生物であって、
    以下の(a)~(d);
    (a)配列番号1で表される塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を含み、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含みタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    のいずれのDNAも備えていないコウジ酸非生産生物(ただし、ヒトを除く。)において、
    前記(a)~(d)からなる群から選択される少なくとも1種のDNAを発現可能に保持してコウジ酸生産能が付与された、生物。
  5. 前記コウジ酸非生産生物は、原核生物、Aspergillus属菌及びPenicillium属菌以外の真核微生物、植物及び動物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の生物。
  6. 機能の付与方法であって、
    前記機能は、コウジ酸非生産生物(ヒトを除く。)におけるコウジ酸生産能であり、
    前記コウジ酸非生産生物は
    以下の(a)~(d);
    (a)配列番号1で表される塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を含み、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含みタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    のいずれのDNAも備えていないコウジ酸非生産生物であり、
    前記コウジ酸非生産生物に、前記(a)~(d)からなる群から選択される少なくとも1種のDNAを導入する工程、
    を備える、方法。
  7. 機能付与剤であって、
    前記機能は、コウジ酸非生産生物(ヒトを除く。)におけるコウジ酸生産能であり、
    前記コウジ酸非生産生物は、
    以下の(a)~(d);
    (a)配列番号1で表される塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号1で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を含み、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含みタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号2で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、コウジ酸生産量を増大させるタンパク質をコードするDNA
    のいずれのDNAも備えていないコウジ酸非生産生物であり、
    前記(a)~(d)からなる群から選択される少なくとも1種のDNAを、前記コウジ酸非生産生物において作動可能なプロモーターの制御下に発現可能に備える、付与剤。
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生物工学,2012年,Vol.90, No.6,pp.298-301
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