以下、図示する例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2は、本発明の移植機を適用した一例の乗用田植機の側面図及び平面図であり、図3は、動力伝動を示した要部平面図であり、図4は、ステアリング装置の背面図であり、図5(A)は、植付作業機の昇降機構を示した側面図であり、図5(B)は、操作部を示す斜視図である。図示する乗用田植機は、左右一対の前輪1及び後輪2によって支持される走行機体3と、該走行機体3の後部にリンク機構4を介して昇降駆動可能に支持された植付作業機6と、該植付作業機6と後輪2の間に配置された整地作業機7とを備えている。
前記走行機体3は、エンジンをカバーするボンネット8の後方に操縦部9を有しており、エンジンで発生させた動力は、走行機体3のエンジン11側に固設されたHST12及びミッションケース13内のトランスミッション等を介して、フロントアクスル15から前輪1へと変速伝動される。また、該エンジン動力は、ミッションケース13から後方に向かって延設される前後方向のプロペラシャフト(伝動軸)5とリヤアクスル20を介して後輪2へと変速伝動される(図3参照)。このとき、該プロペラシャフト5の後部には、プロペラシャフト5の回転数を検出する回転センサ30が設けられており、該回転センサ10により走行機体の走行距離や走行速度を検出できる。
前記操縦部9は、オペレータが着座する座席14を備え、この座席の前方にステアリングハンドル16等の各種操作具が設置されたフロント操作パネルが配置されており、座席14とステアリングハンドル16の間には、床面となるフロアステップ17が形成されている。
また、該ステアリングハンドル16前方のボンネット8の左右両側には、フロアステップと略同一高さのフロントステップ18が形成され、座席14の左右斜め後方にはフロアステップ17より一段高いリアステップ19がそれぞれ形成されている。また、ボンネット8の左右一方側(図示する例では左側)には、走行機体の前方側から植付作業機6側にマット苗を搬送するレール状の補助搬送装置21が設けられている。ちなみに、座席14の真下側には、マイコン等から構成される後述の制御部50が配設されている。
このステアリングハンドル16の左右一方側の側方(図示する例では左側方)には、前後揺動によって走行変速操作を行う主変速レバー22が配置されるとともに、植付作業機を操作する植付自動スイッチ23や、作業準備スイッチ24等の操作スイッチが設けられている。また、ステアリングハンドル16の左右他方側には、上下揺動操作によって、植付作業機の昇降操作を行う操作レバー25が設けられている。
図4に示すように、該ステアリングハンドル16は、ステアリング操作に伴って軸回転するステアリングシャフト27が連結され、該ステアリングシャフト27の下部側には、減速ギヤ28を介してステアリングシャフト27の回転を検出するポテンショメータであって、ステアリング操作量とステアリング操作速度を検出するステアリングセンサ29が設けられている。具体的に該ステアリングセンサ29は、ステアリングシャフト27の操舵速度(回転速度)を検出する角速度検出センサが設けられており、ステアリング操作速度を検出するとともに、検出された値の積分値からステアリング操作量も検出できる。
また、該ステアリングシャフト27の下端側は、前記トランスミッション31に連結されるとともに、ミッションケースとステアリングセンサ29との間には、油圧式のパワーステアリング装置32が配置されており、パワーステアリング装置32には、油圧ポンプ33からの作動油が供給される供給管34が連結されている。この油圧ポンプ33から供給される作動油の油圧によってステアリング操作をアシストするアシスト力を作用させることができる。
該パワーステアリング装置32は、詳しくは後述する作動油の流量を調節する電磁バルブにより、作動油の供給量を複数段階で設定可能に構成されており、作動油の供給量を切換えることにより、前記アシスト力を増減させている。具体的には、電磁バルブにより作動油の供給量が大(R1)、中(R2)、小(R3)の3段階に切換え可能に構成され、供給量が多いほどアシスト力も大きくなる。なお、前記制御部50による、機体の走行速度やステアリング操作に応じてパワーステアリング装置32によるアシスト力を増減させるステアリング制御については後述する。
前記主変速レバー22は、中立位置から左右一方側(図示する例では右側)に傾けた状態から前方揺動操作によって、HST12を介した前進走行側への無段階の増速操作を行うとともに、中立位置から左右側方側に傾けた状態からの後方揺動操作によって、HST12を介した後進走行側への無段階の増速操作を行う。
前記植付作業機6は、前方に向って上方に急傾斜する苗載台36と、苗載台36の下方に配設された植付部37と、苗載台36の下側に左右に並べて配置されたフロート39とを備えている。走行機体3側のエンジン動力は、図示しない植付クラッチによって、この植付作業機6に断続伝動される。このようにして伝動されたエンジン動力によって植付部37が駆動され、この駆動された植付部37によって、苗載台36上の苗が掻取られて圃場に植付けられる。
左右に複数並べて配置された上記フロートのうちの中央に配置されたセンターフロート41は、圃場面からの土圧を感知する感知体として機能し、該感知体の土圧感知によって植付作業機6の対地高さが制御される。また、該センターフロート41は、前部が上下揺動することによって、感知される土圧の強さを調節するように構成されている。
また、植付作業機6は、油圧式アクチュエータである昇降シリンダ38によって昇降駆動されており、前記操作レバー25により、植付作業機6が上昇する上昇状態、植付作業機6を下降させる下降状態(又は下端側で下降停止した下降停止状態)、任意の高さ位置で固定した固定状態、植付作業を行う植付状態に切換操作することができる。なお、前記制御部によって、植付作業時に植付作業機6を自動的に昇降作動させる植付自動制御(オート植付制御)については後述する。
さらに、油圧ポンプ33から昇降シリンダ38に至る油圧経路には、昇降用のコントロールバルブ43が設けられ、これにより昇降シリンダ38が伸縮作動する。該コントロールバルブ43は、側面視矩形上の作動アーム(図5参照)を有しており、該作動アーム44の回動操作を制御することにより、植付作業機6が昇降制御される。
図5に示すように、植付作業機6側と走行機体3側との間には、センターフロート41の前端側の上下揺動と、作動アーム44の回動操作とを連係する連係機構46が設けられており、該連係機構46の中途部には、センターフロート41による土圧感知の感度を調整するための土圧感度調整装置47が連結されている。
前記土圧感度調整装置47は、センターフロート41の前端側に連結される上下方向の感知ロッド48と、一端側が前記感知ロッド48等の植付作業機6側に連結された感知ワイヤ49と、該感知ワイヤ49の他端側が連結されて走行機体3側に固定された操作部51と、感知ワイヤ49の操作量を設定・実行する制御部50とから構成されている。
前記操作部51は、感知ワイヤ49を巻取り可能に形成したリール52と、該リール52を回転駆動させる調整モータ45とを備えている。該調整モータ45は、リール52と同一軸心上で回転駆動するように配置される(図5(B)参照)。
該構成の土圧感度調整装置47によれば、前記制御部50を介して、操作部51による感知ワイヤ49の押引き操作を介して感知ロッド48側を操作することにより、前記エンジンの回転数や圃場の状態に応じてセンターフロート41の基準姿勢を変更し、センターフロート41が圃場から受ける土圧を適切に調整することができる。
具体的には、圃場が軟らかい場合には、センターフロート41の前側が沈下し、センターフロート41の前側で土圧を受け易くなった圃場でのフロート跡が深くなる。そのため、前記土圧感度調整装置47により、センターフロート41の前端側を上方揺動させて姿勢を水平に保ち、植付作業機6を上昇作動させることができるため、植付作業機6を適正な高さに保つことができる。
一方、圃場が硬い場合には、センターフロート41の前側が浮いてしまい、センターフロート41の後端側のみが圃場に接地してしまい、フロート39,41によって圃場が十分に均されなくなる。そのため、前記土圧感度調整装置47により、センターフロート41の前側を下方揺動させて姿勢を水平に保ち、植付作業機6を下降作動させることができるため、植付作業機6を適正な高さに保つことができる。
なお、前記制御部50は、植付作業機6が植付状態であって且つ、前記回転センサ10によって所定以上の車速が検出された場合には、前記土圧感度調整装置47を介して、圃場が硬い場合の側(下降側)にセンターフロート41の高さ位置を調整することができる。
ちなみに、前記作動アーム44は、連係機構46とは別途に、作動アーム44を操作する昇降操作機構が設けられており、該昇降操作機構は、作動アーム44側と当接するカム部材(図示しない)と、該カム部材を回動させる作業機操作カムモータ53とを備えている。これにより、植付作業機を昇降操作する操作レバー25の操作に応じて該作業機操作カムモータの駆動を制御部で制御することにより、植付作業機6を昇降操作することができる。
次に、図6に基づき、上述の電磁制御弁ユニット等からなる油圧装置の構成ついて説明する。図6は、本乗用田植機の油圧装置の油圧回路図である。図示された油圧装置は、油圧式無段階変速機であるHST12と、ステアリングハンドル16の操作に応じて油圧により操向操作を補助するアシスト力を作動させる油圧式のパワーステアリング装置32と、植付作業機6を昇降させる油圧式の前記昇降シリンダ38の昇降作動させる昇降制御系と備えている。
前記HST12は、エンジンの動力がベルト伝動される入力軸57と、入力軸57によって駆動される可変式油圧ポンプ58と、該可変式油圧ポンプ58によって圧送される圧油によって作動する油圧モータ59と、該油圧モータ59の動力によって駆動される出力軸61とを備え、可変式油圧ポンプ58により圧送される単位時間当たりの圧油量を無段階に変更することにより、入力軸57の動力に対して出力軸61の動力を無段階で変速するように構成されている。
前記パワーステアリング装置32は、エンジン動力によって駆動されるパワーステアリング用の油圧ポンプ33と、該油圧ポンプ33によって油圧タンク60から送られてくる作動油によって駆動する油圧モータ62とを備え、該油圧ポンプ33から圧送された作動油の供給方向を切換える切換バルブ63によってパワーステアリング装置32によるアシスト力の作用方向が切換られるように構成されている。
該油圧ポンプ33により圧送された作動油は、パワーステアリング装置32側からリリーフバルブ55を介して、前記コントロールバルブ43へと供給される。
前記昇降制御系は、パワーステアリング装置32側からの作動油が供給されるリリーフバルブ55と、該リリーフバルブ55を介して圧送された作動油の供給先を切換えることのできるコントロールバルブ43とを備え、前記植付作業機6の昇降作動させる油圧式の前記昇降シリンダ38の駆動を制御するように構成されている。
次に、図7に基づき、前記植付自動制御と、前記ステアリング制御について説明する。図7は、植付自動制御を示したモデル図である。通常、乗用田植機による苗の植付作業では、植付作業機6を植付可能な高さまで下降させるとともに、植付クラッチを接続操作して植付作業機6を駆動させた状態で、走行機体3を、作業用の走行速度で植付条列に直進走行させることにより、該条列方向に苗を順次植付けていく。
続いて、走行機体3が畦際に達した際に、ステアリング操作を検出する前記ステアリングセンサ29によって、旋回操作が検出されると、植付クラッチを切断操作して植付作業機の駆動を停止させた後、植付作業機6の非作業位置への上昇駆動が開始されるとともに、畦際でUターンするように走行機体3を小回り旋回させ、まだ苗を植付けていない次の植付条列に移動する。上昇駆動が開始された植付作業機6は、予め設定された非作業位置まで上昇すると昇降作動が停止する。
このとき、前記ステアリングセンサ29によって旋回操作が検出された後に、ステアリング操作量が所定量以上であることが検出された場合に、その検出位置を旋回開始位置X0として、前記回転センサ10によって該旋回開始位置X0からの設定距離のカウントが開始されるように構成している。該構成によれば、植付作業時の畦際での旋回開始をより確実に検出することができるため、植付自動制御が誤ったタイミングで実行されることを防止できる。
続いて、所定以上のステアリング操作量が検出された旋回開始位置X0から予め設定された設定距離L1を走行旋回した位置X1まで走行すると、非作業位置で固定された植付作業機6の下降駆動を自動的に開始する。
その後、旋回開始位置X0から予め設定された設定距離L2(>設定距離L1)を走行旋回した位置X2まで走行すると、植付クラッチを接続操作し、植付作業機6が接地した状態で植付作業を再開する。このようにして、所定の植付条列の畦際から畦際への直進走行と、所定の植付条列から次の植付条列に移動するための小回り旋回とを、交互に繰返し、圃場全体に苗を植付ける。
また、前記制御部50は、パワーステアリング装置32によるステアリング操作のアシスト力を増減させるステアリング制御として、特に植付作業をしている際の直進走行時に実行する直進アシスト制御(直進ステアリング制御)と、旋回操作時に実行する旋回アシスト制御(旋回ステアリング制御)とが実行可能に構成されている。
具体的には、前記直進アシスト制御は、圃場での植付作業時にステアリングセンサ29によって、直進走行していることが検出されるとともに、回転センサ10によって車速が所定速度以上であることが検出された場合には、油圧ポンプ33からの作動油の供給量を制御する前記電磁バルブ56により、作動油の流量を通常の状態(R2)から減らした状態(R3)に切換えることによって、パワーステアリング装置32によるアシスト力を減少させる制御を行う。
一方で、前記旋回アシスト制御は、前記ステアリングセンサ29によって、ステアリング操作速度が所定以上であることが検出された場合には、走行機体3の旋回開始が検出されたと判断し、前記電磁バルブ56により作動油の流量を通常の状態(R2)から増やした状態(R1)に切換えることによって、パワーステアリング装置32からのアシスト力を増加させる制御を行う。
なお、上記の油圧式のパワーステアリング装置に代えて電動式のパワーステアリング装置を用いて上述のステアリング制御を実行しても良い。
次に、図8乃至図13に基づいて、制御部について説明する。図8は、制御部のブロック図である。制御部50の出力側には、植付作業機6の昇降を操作する作業機操作カムモータ53と、植付作業機6の状態を示す植付自動モニタ71と、前記電磁バルブ56とが接続される一方で、入力側には、前記作業準備スイッチ23と、前記植付自動スイッチ24と、前記操作レバー25の昇降操作によってON・OFF操作される作業機上昇スイッチ72と、作業機下降スイッチ73と、前記作業機カムモータの操作位置を検出する作業機操作カムポテンショ74と、植付作業機6の昇降位置を検出するリフト角ポテンショ76と、前記ステアリングセンサ29と、前記回転センサ10とが接続されている。
作業準備スイッチ23を入操作(ON操作)すると、植付作業機6が駆動可能な状態になる一方で、作業準備スイッチ23を切操作(OFF操作)すると、植付作業機6の駆動が規制された状態になる。これに加えて、植付自動スイッチ24を入操作(ON操作)すると、上記の植付自動制御が実行可能な状態になる一方で、植付自動スイッチ24が切操作(OFF操作)すると、前記の植付自動制御が実行不可能な(規制された)状態になる。
図9は、制御部のメインルーチンの処理フロー図である。同図に示すように、制御部50のメインフローが開始されると、ステップS1から処理が開始する。ステップS1では、作業機操作制御のサブルーチンを実行し、その処理が終了すると、ステップS2に進む。ステップS2では、上記直進アシスト制御を実行し、その処理が終了すると、処理をステップS3に進む。ステップS3では、上記植付自動制御を実行し、その処理が終了すると、処理をステップS1に戻し、以下、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS1・・・と処理を繰返す。
図10は、作業機操作制御のサブルーチンの処理フロー図である。作業機操作制御のサブルーチンが実行されると、ステップS11に進む。ステップS11では、作業機下降スイッチ73により操作レバー25が下降操作されているか否かが確認され、下降操作されている場合にはステップS12に進む。
ステップS12では、作業機準備スイッチ23のON・OFFの状態を確認し、ON状態が検出された場合には、ステップS13に進む。ステップS13では、植付作業機6が上昇状態か否かを検出し、上昇状態以外の場合には、ステップS14に進む。
ステップS14では、前記作業機操作カムポテンショ74により植付作業機6が下降状態か否かを検出し、下降状態以外が検出された場合には、ステップS15に進む。ステップS15では、前記リフト角ポテンショ76により、植付作業機6の高さ位置が固定状態か否かを検出し、固定状態の場合には、ステップS16に進み、植付作業機6を下降(自動昇降)状態にセットし、その後、リターンする。その一方で、ステップS15において、固定状態でない場合、すなわち植付状態が検出された場合には、そのままリターンする。
また、ステップS14において、植付作業機6の下降状態が検出された場合には、ステップS17に進む。ステップS17では、前記リフト角ポテンショ76により、植付作業機6の下降作動が停止しているか否かを検出し、下降作動が停止している場合には、ステップS18に進み、植付作業機6による植付作業を開始する前記植付状態にセットするとともに、前記回転センサ10による植付走行距離Lpのカウントを開始して、その後、リターンする。その一方で、ステップS17において、植付作業機の下降作動中の場合には、ステップS19に進み、植付クラッチ入待ち状態にセットして、その後、リターンする。
また、ステップS13において、植付作業機6の上昇状態が検出された場合には、ステップS20に進み、植付作業機6を固定状態にセットして、その後、リターンする。
また、ステップS12において、作業機準備スイッチ23のOFF状態が検出された場合には、ステップS21に進む。ステップS21では、作業機操作カムポテンショ74により、植付作業機6が上昇状態か否かを検出し、上昇状態が検出された場合には、ステップS20に進み、植付作業機6を固定状態にセットして、その後、リターンする。その一方で、ステップS21において、上昇状態以外が検出された場合には、ステップS22に進む。
ステップS22では、前記リフト角ポテンショ76により、植付作業機6が固定状態か否かを検出し、固定状態が検出された場合には、ステップS23に進み、植付作業機6を自重で下降作動させる自動(下降)状態にセットして、その後、リターンする。その一方で、ステップS22において、固定状態以外が検出された場合には、その後、リターンする。
すなわち、作業機下降スイッチ73によって植付作業機6の操作レバー25による下降操作が検出された場合に、植付作業機6が植付状態であった場合には、植付状態が保持され、植付作業機6が任意の高さ位置(非作業状態)で固定された場合には、下降状態に切換えられ、植付作業機が下端(作業位置)にあった場合には、植付状態に切換えられ、植付作業機6が下降作動中であった場合には、下端側に到達すると同時に植付状態に切換えられる植付クラッチ入待ち状態に切換えられ、植付作業機6が上昇中であった場合には、該上昇作動が停止してその場で固定状態に切換えられる。
上記のステップS11において、作業機下降スイッチ73によって操作レバーの下降操作が検出されなかった場合には、ステップS24に進む。ステップS24では、作業機上昇スイッチ72によって操作レバー25の上昇操作がされたか否かを判断し、上昇操作が検出された場合には、ステップS25に進む。
ステップS25では、前記リフト角ポテンショ76により植付作業機が上昇状態か否かを検出し、上昇状態以外が検出された場合には、ステップS26に進む。ステップS26では、同様に植付作業機6が固定状態か否かを検出し、固定状態以外が検出された場合には、ステップS27に進む。
ステップS27では、前記リフト角ポテンショ76により植付作業機6が下降状態か否かを検出し、下降状態以外(すなわち植付状態)が検出された場合には、ステップS28に進み、植付作業機6を下降(自動昇降)状態にセットし、その後、リターンする。その一方で、ステップS27において、下降状態が検出された場合には、ステップS29に進む。
ステップS29では、リフト角ポテンショ76により、植付作業機6の下降動作が停止しているか否かを検出し、植付作業機6の下降作動が継続している場合には、ステップS30に進み、植付作業機6を固定状態にセットし、その後、リターンする。その一方で、ステップS29において、植付作業機6の下降作動が停止していた(下端側まで下降していた)場合には、ステップS31に進み、植付作業機6を上昇状態にセットするとともに、植付走行距離Lpのカウントをリセットし、その後、リターンする。
また、ステップS25において、植付作業機の上昇状態が検出された場合には、上昇状態を維持したまま、その後、リターンする。
すなわち、操作レバー25による植付作業機6の上昇操作が検出されたときに、植付作業機6が植付状態であった場合には、植付状態が解除されて下降(自動昇降)状態に切換えられ、植付作業機6が下降状態で且つ下端(作業位置)側で下降作動が停止していた場合、若しくは、任意の高さ位置で植付作業機6が固定状態となっていた場合には、上昇状態に切換えられ、植付作業機6が上昇状態であった場合には、該上昇状態が維持される。
上記ステップS24において、操作レバー25による上昇操作が検出されなかった場合には、ステップS32に進む。ステップS32では、植付クラッチ入待ち状態か否かを検出し、クラッチ入待ち状態が検出された場合には、ステップS33に進む。ステップS33では、植付作業機6の下降作動が停止しているか否かを検出し、植付作業機6の下降停止が検出された場合には、ステップS34に進み、植付作業機6を植付状態にセットするとともに、前記回転センサ10により植付走行距離Lpのカウントを開始し、その後、リターンする。その一方で、ステップS33において、植付作業機6の下降作動が停止していない場合には、その後、リターンする。
すなわち、操作レバー25が操作されていない場合には、植付作業機6の植付状態と、固定状態とはそのまま保持されるように構成されている。さらに、植付作業機6が植付クラッチ入待ち状態であって且つ、植付作業機6が下端の作業位置で停止している場合には、植付作業機6が自動的に植付状態に切換えられる。
図11は、直進アシスト制御のサブルーチンの処理フロー図である。直進アシスト制御のサブルーチンが実行されると、ステップS41に進む。ステップS41では、植付自動スイッチのON・OFFの状態が確認され、植付自動スイッチ24のON状態が検出された場合にはステップS42に進む。
ステップS42では、前記ステアリングセンサ29によりステアリング操作量が直進走行する所定量以内に操作されているか否かが確認され、ステアリングハンドル16が直進操作されている場合には、ステップS43に進む。
ステップS43では、前記回転センサ10によって計測される車速Vが、予め定めた所定の車速V1よりも速いか否かが確認され、計測された車速Vが所定の車速V1よりも速いことが検出された場合には、ステップS44に進む。
ステップS44では、前記リフト角ポテンショ76により植付作業機6が作業位置まで下降しているか否かが検出されて、植付作業機6が作業位置にある場合には、ステップS45に進む。ステップS45では、パワーステアリング装置32の作動油の供給量を調整する電磁バルブ56により、作動油の供給量を通常よりも減らして(R2からR3に変更する)、ステアリング操作のアシスト力を小さくする。
ステップ41において、前記植付自動スイッチ24のOFF状態が検出された場合と、ステップS42において、前記ステアリングセンサ29により所定以上のステアリング操作量が検出されて直進走行以外が検出された場合と、ステップS43において、前記回転センサ10によって計測された車速Vが所定の車速V1よりも遅いことが検出された場合と、ステップS44において、前記リフト角ポテンショ76により植付作業機6が作業位置にあることが検出されなかった場合には、ステップS46に進む。
ステップS46では、パワーステアリング装置32の作動油の供給量を調整する電磁バルブ56により少なく設定されていた作動油の供給量を通常の値に戻し(R3からR2に変更する)、ステアリング操作のアシスト力を通常にする。
すなわち、予め定めた所定の車速(V1)以上で直進走行しながら圃場での植付作業が行われている状態が検出された場合には、パワーステアリング装置32によるアシスト力を小さくして、ステアリング操作を重くすることによって、圃場での植付作業中における直進走行性がより向上・安定するように構成されている。
図12は、植付自動制御のサブルーチンの処理フロー図である。植付自動制御のサブルーチンが実行されると、ステップS61に進む。ステップS61では、植付自動スイッチ24のON・OFFの状態が確認され、植付自動スイッチ24のON状態が検出された場合にはステップS62に進む。その一方で、ステップS61において、植付自動スイッチ24のOFF状態が検出された場合には、その後、リターンする。
ステップS62では、ステアリングセンサ29により所定の角速度以上でステアリング操作がされたか否かが確認され、所定の角速度以上のステアリング操作が検出された場合には、ステップS63に進む。ステップS63では、パワーステアリング装置32への作動油の流量を通常の状態から増加させる(R2からR1に変更する)ことで、アシスト力を増加させ、ステップS64に進む。なお、ステップS62において、所定以上の角速度以上のステアリング操作が検出されなかった場合には、そのままステップS64に進む。
ステップS64では、前記ステアリングセンサ29により所定角以上へのステアリング操作の有無(所定以上のステアリング操作量)が確認され、所定角以上のステアリング操作が検出された場合には、ステップS65に進む。ステップS65では、前記回転センサ10によって予め定めた所定距離以上の植付走行距離Lpがカウントされているか否かが確認され、所定距離以上の植付走行距離Lp以上を走行していることが検出された場合には、ステップS66に進む。ステップS66では、植付作業機6が上昇状態に切換えられ、上記の植付走行距離Lpのカウント作業をクリアし、上記の旋回開始位置からの走行距離Lのカウントを開始し、その後、リターンする。
すなわち、前記制御部50は、ステアリングハンドル16による旋回操作が検出された場合には、前記旋回アシスト制御によって、電磁バルブ56により作動油の供給量を増加してアシスト力を増やすように構成され、その後、所定以上のステアリング操作量が検出されるとともに、該ステアリング操作が所定の植付走行距離Lpを走行した後であることが検出された場合には、畦際でのUターン操作であることが検出されたとして、植付作業機の自動上昇作動が実行される。このとき、植付走行距離Lpのカウントはリセットされ、旋回開始位置X0からの走行距離Lのカウントが開始される。
ステップS65において、回転センサ10によって植付走行距離Lpが所定距離以下だった場合には、その後、リターンする。
ステップS64において、前記ステアリングセンサ29により所定角以上のステアリング操作が検出されなかった場合には、ステップS67に進む。ステップS67では、前記操作レバー25の操作の有無が確認され、操作レバー25による植付作業機6の昇降操作が検出された場合には、ステップS68に進む。ステップS68では、回転センサ10による走行距離Lのカウントがリセットされるとともに、植付走行距離Lpのカウントが開始され、その後、リターンする。
ステップS67において、操作レバー25による植付作業機の昇降操作が検出されなかった場合には、ステップS69に進む。ステップS69では、回転センサによってカウントされている走行距離Lが、予め定めた所定距離L2よりも長いか否かが確認され、走行距離Lが所定距離L2より長い場合には、ステップS70に進む。ステップS70では、植付作業機6を植付状態に切換え、パワーステアリング装置32の電磁バルブ56の流量を通常に戻し(R1からR2に変更する)、回転センサ10による走行距離Lのカウントをクリアするとともに、植付走行距離Lpのカウントを開始し、その後、リターンする。
ステップS69において、前記回転センサ10によってカウントされた走行距離Lが予め定めた所定距離L2よりも短い場合には、ステップS71に進む。ステップS71では、前記回転センサ10によってカウントされた走行距離Lが予め定めた所定距離L1よりも長いか否かが確認され、走行距離Lが所定距離L1よりも長い場合には、ステップS72に進む。ステップS72では、植付作業機6を下降状態に切換えて、その後、リターンする。
ステップS71において、前記回転センサ10によってカウントされた走行距離Lが予め定めた所定距離L1よりも短い場合には、その後、リターンする。
すなわち、旋回開始位置からカウントした走行距離Lが予め定めた所定距離L1より長くなったことが検出された場合には、非作業位置に上昇作動された植付作業機を下降作動させ、旋回位置からカウントした走行距離Lが所定距離L2(>所定距離L1)よりも長くなったことが検出された場合には、畦際でのUターンが完了したと判断して植付作業機が植付状態に切換えられて圃場での植付作業が再開される。
次に、図13に基づいて、上記制御部による植付自動制御の別実施例として、旋回アシスト制御を実行しない場合の植付自動制御のフロー図について説明する。図13は、別実施例の植付自動制御のサブルーチンの処理フロー図である。
植付自動制御のサブルーチンが実行されると、ステップS81に進む。ステップS81では、植付自動スイッチ24のON・OFFの状態が確認され、植付自動スイッチ24のON状態が検出された場合にはステップS82に進む。その一方で、ステップS81において、植付自動スイッチ24のOFF状態が検出された場合には、その後、リターンする。
ステップS82では、ステアリングセンサ29により所定の角速度以上でステアリング操作がされたか否かが確認され、所定の角速度以上のステアリング操作が検出された場合には、ステップS83に進む。
ステップS83では、前記回転センサ10によって予め定めた所定距離以上の植付走行距離Lpがカウントされているか否かが確認され、所定距離以上の植付走行距離Lp以上を走行していることが検出された場合には、ステップS84に進む。ステップS84では、植付作業機6が上昇状態に切換えられ、上記の植付走行距離Lpのカウント作業をクリアし、上記の旋回開始位置X0からの走行距離Lのカウントを開始し、その後、リターンする。
ステップS83において、回転センサ10によって植付走行距離Lpが所定距離以下だった場合には、その後、リターンする。
ステップS82において、前記ステアリングセンサ29により所定角以上のステアリング操作が検出されなかった場合には、ステップS85に進む。ステップS85では、前記操作レバー25の操作の有無が確認され、操作レバー25による植付作業機6の昇降操作が検出された場合には、ステップS86に進む。ステップS86では、回転センサ10による走行距離Lのカウントがリセットされるとともに、植付走行距離Lpのカウントが開始され、その後、リターンする。
ステップS85において、操作レバー25による植付作業機の昇降操作が検出されなかった場合には、ステップS87に進む。ステップS87では、回転センサ10によってカウントされている走行距離Lが、予め定めた所定距離L2よりも長いか否かが確認され、走行距離Lが所定距離L2より長い場合には、ステップS88に進む。ステップS88では、植付作業機6を植付状態に切換え、回転センサ10による走行距離Lのカウントをクリアするとともに、植付走行距離Lpのカウントを開始し、その後、リターンする。
ステップS87において、前記回転センサ10によってカウントされた走行距離Lが予め定めた所定距離L2よりも短い場合には、ステップS89に進む。ステップS89では、前記回転センサ10によってカウントされた走行距離Lが予め定めた所定距離L1よりも長いか否かが確認され、走行距離Lが所定距離L1よりも長い場合には、ステップS90に進む。ステップS90では、植付作業機6を下降状態に切換えて、その後、リターンする。
ステップS89において、前記回転センサ10によってカウントされた走行距離Lが予め定めた所定距離L1よりも短い場合には、その後、リターンする。