JP6442135B2 - バルーンコーティング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バルーンの表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング方法に関する。
近年、生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)の改善のために、バルーンカテーテルが用いられている。バルーンカテーテルは、通常、長尺なシャフト部と、シャフト部の先端側に設けられて径方向に拡張可能なバルーンとを備えており、収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内の目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。
しかしながら、病変部を強制的に押し広げると、内皮細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)が発症する場合がある。このため、最近では、バルーンの表面に狭窄を抑制するための薬剤をコーティングさせた薬剤溶出バルーンが用いられている。薬剤溶出バルーンは、拡張することで表面にコーティングされている薬剤を病変部に作用させることができ、これにより、再狭窄を抑制することができる。
バルーンに薬剤をコーティングする方法として、種々の方法が提案されている。例えば特許文献1には、バルーンを回転させつつ軸方向へ移動させながら、薬剤および溶媒を含むコーティング組成物をバルーンの表面に塗布量を制御しつつ供給し、コーティング組成物を乾燥させて薬剤を含むコーティング層を形成する方法が記載されている。
また、特許文献2には、バルーンの表面を全周囲的に囲んでバルーン上にコーティング組成物を供給可能な環状の装置をバルーンの軸方向へ移動させつつ、バルーンの表面に薬剤および溶媒を含むコーティング組成物を塗布した後、コーティング組成物を乾燥させて薬剤を含むコーティング層を形成する方法が記載されている。
米国特許出願公開第2010/005294号明細書 特表2012−529945号公報
バルーンの表面にコーティングされる薬剤は、乾燥させる際の温度条件や乾燥時間等によって、異なる状態となり得る。例えば、パクリタキセル等は、条件によって、非晶質(アモルファス)の形態をとることもあり、結晶の形態をとることもある。結晶および非晶質は、必ずしもどちらが望ましいというものではなく、目的に応じて選択できることが望まれる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、コーティング層を構成する材料の状態をより自在に調節しつつ形成可能なバルーンコーティング方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るバルーンコーティング方法は、バルーンの表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング方法であって、前記バルーンの表面に溶媒を含むコーティング組成物を塗布する塗布工程と、前記バルーンの内部に前記コーティング組成物の温度条件を調節するための流体を適用しつつ前記コーティング組成物を乾燥させる乾燥工程と、を有し、前記乾燥工程において、雰囲気温度と異なる温度の前記流体を前記バルーンの内部へ供給して封入、または、雰囲気温度と異なる温度または同じ温度の前記流体の前記バルーンの内部への流通を行う。
上記のように構成したバルーンコーティング方法は、バルーンの内部に温度条件を調節するための流体を適用しつつコーティング組成物を乾燥させるため、コーティング層を構成する材料の状態をより自在に調節しつつバルーンをコーティングすることが可能となる。
前記乾燥工程において、雰囲気温度と異なる温度の前記流体を前記バルーンの内部へ供給して封入、または、雰囲気温度と異なる温度または同じ温度の前記流体の前記バルーンの内部への流通を行うため、温度条件を容易かつ効果的に調節可能となる。
前記コーティング組成物は、水不溶性薬剤を含むようにすれば、これらの材料の状態を、目的に応じてより自在に調節することが可能となる。
前記コーティング層を有機溶媒の蒸気によりアニーリングするアニーリング工程を有するようにすれば、コーティング層に含まれる材料の結晶化を効果的に促進させることができる。
前記乾燥工程において、前記バルーンを回転させるようにすれば、コーティング層の厚さの分布を均一とすることができるとともに、結晶または非晶質を均一に形成することができる。
本発明の実施形態に係るバルーンコーティング方法を行うための装置を示す概略図である。 バルーンカテーテルを示す断面図である。 アニーリング工程を説明するための断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンの表面に薬剤を含むコーティング層を形成するものであり、図1に示すコーティング装置50により実施される。なお、本明細書では、バルーンカテーテル10の管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
まず、バルーンカテーテル10の構造を説明する。バルーンカテーテル10は、図2に示すように、長尺なカテーテル本体部20と、カテーテル本体部20の先端部に設けられるバルーン30と、カテーテル本体部20の基端に固着されたハブ40とを有している。
カテーテル本体部20は、先端および基端が開口した管状体である外管21と、外管21の内部に配置される内管22とを備えている。外管21および内管22の間には、バルーン30を拡張するための拡張用流体が流通する拡張ルーメン23が形成されており、内管22の内側には、ガイドワイヤーが挿通されるガイドワイヤールーメン24が形成されている。
バルーン30は、先端側が内管22に接着され、基端側が外管21に接着されており、バルーン30の内部が、拡張ルーメン23に連通している。
ハブ40は、外管21の拡張ルーメン23と連通して拡張用流体を流入出させるポートとして機能する第1開口部41と、ガイドワイヤールーメン24を挿通させる第2開口部42とを備えている。第2開口部42には、血液の流出を抑制する止血弁43が設けられている。
バルーン30は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。
次に、コーティング装置50について説明する。コーティング装置50は、図1に示すように、バルーンカテーテル10を保持してバルーンカテーテル10の中心軸Xを中心として回転させる回転機構60と、バルーンカテーテル10を中心軸Xに沿う方向へ移動させる移動機構70と、バルーン30へ流体を供給する温度調節機構80と、バルーン30の表面にコーティング組成物を塗布する塗布機構90と、コーティング装置50を制御する制御機構100と、を有する。
回転機構60は、バルーン30を回転可能に保持しつつ、内蔵されるモーター等の駆動源によってバルーンカテーテル10を回転させる。バルーンカテーテル10は、ガイドワイヤールーメン24内に芯材61が挿通されて保持されるとともに、芯材61によってコーティング組成物のガイドワイヤールーメン24内への流入が防止されている。
移動機構70は、内蔵されるモーター等の駆動源によって直線的に移動可能な移動台71を備え、この移動台71に、回転機構60が設置されている。移動台71を移動させることで、回転機構60に保持されたバルーンカテーテル10を、バルーンカテーテル10の中心軸Xに沿う両方向へ移動させることができる。
温度調節機構80は、バルーンカテーテル10の第1開口部41から拡張ルーメン23内に挿通されてバルーン30の内部、若しくはバルーン30の近傍まで達することが可能な供給管81と、供給管81へ供給される調節流体を収容する調節流体用容器82と、調節流体を加熱させる加熱部83と、調節流体用容器82から供給管81へ調節流体を供給する流体供給ポンプ84と、を備えている。
塗布機構90は、コーティング組成物を収容する容器91と、バルーン30へコーティング組成物を塗布するためのノズル92と、容器91からノズル92へコーティング組成物を供給する送液チューブ93と、制御機構100によって制御されて任意の送液量でコーティング組成物をノズル92から吐出させる送液量調節部94と、を備えている。
制御機構100は、例えばコンピュータにより構成され、回転機構60、移動機構70、温度調節機構80、および塗布機構90を、統括的に制御する。
調節流体は、気体でも液体でもよく、例えば、空気、ヘリウムガス、COガス、Oガス、水、フロン等が挙げられる。
コーティング組成物は、薬剤、添加剤、および溶媒を含んでいる。薬剤は、生体へ作用する物質であり、水溶性薬剤および不水溶性薬剤のいずれであってもよいが、薬剤の血中への溶出を抑制するという観点から、不水溶性薬剤が好ましい。
不水溶性薬剤は、水に不溶または難溶性である薬剤を意味し、具体的には、水に対する溶解度が、pH5〜8で5mg/mL未満である。その溶解度は、1mg/mL未満、さらに、0.1mg/mL未満でもよい。水不溶性薬剤は、脂溶性薬剤を含む。
いくつかの好ましい水不溶性薬剤の例は、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンを含むシクロスポリン類、ラパマイシン等の免疫活性剤、パクリタキセル等の抗がん剤、抗ウイルス剤または抗菌剤、抗新生組織剤、鎮痛剤および抗炎症剤、抗生物質、抗てんかん剤、不安緩解剤、抗麻酔剤、拮抗剤、ニューロンブロック剤、抗コリン作用剤、抗不整脈剤、抗高血圧剤、ホルモン剤ならびに栄養剤を含む。
水不溶性薬剤としては、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセルおよびエベロリムスからなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスは、それぞれ、同様の薬効を有する限り、それらの類似体および/またはそれらの誘導体を含む。例えば、パクリタキセルとドセタキセルとは類似体の関係にあり、ラパマイシンとエベロリムスとは誘導体の関係にある。これらのうちでは、パクリタキセルがさらに好ましい。
本実施形態におけるコーティング組成物は、上記水不溶性薬剤を、好ましくは5〜60mg/mLの濃度で、より好ましくは20〜50mg/mLの濃度で、さらに好ましくは30〜40mg/mLの濃度で、含有する。
添加剤は、特に制限されないが、薬剤と固体分散体を形成するポリマー(重合体)及び/又は高分子または低分子の化合物を適用でき、例えば、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、アクリルポリマーおよび共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニル・メチル・エーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−メチル・メタクリル酸塩共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ナイロン12およびそのブロック共重合体、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン・トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオニルセルロース、セルロース・エーテル、カルボキシメチルセルロース、キチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン・グリコール、グリセロール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、有機酸、有機酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。なお、添加剤は、必ずしも設けられなくてもよい。
溶媒は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アセトン等の有機溶媒が好ましい。
次に、上述したコーティング装置50を用いてバルーン30の表面に薬剤を含むコーティング層32を形成するバルーンコーティング方法を説明する。
初めに、バルーンカテーテル10を回転機構60に設置する。次に、回転機構60によりバルーンカテーテル10を回転させ、塗布機構90により塗布量を調節しつつコーティング組成物をノズル92からバルーン30へ供給するとともに、移動機構70によりバルーンカテーテル10を移動させる。これにより、バルーン30の表面に、コーティング組成物が均一に塗布された状態となる(塗布工程)。この後、回転機構60、移動機構70および塗布機構90を停止させる。
回転機構60による回転速度、移動機構70による移動速度、塗布機構90によるコーティング組成物の供給時間は、バルーン30の寸法、コーティング組成物の種類等に応じて適宜設定可能である。コーティング組成物の供給量は、例えば0.02〜10mlであるが、これに限定されず、バルーン30の寸法やコーティング厚さ等に応じて適宜設定可能である。
次に、供給管81をバルーンカテーテル10の第1開口部41から拡張ルーメン23内に挿通し、バルーン30の内部、若しくはバルーン30の近傍まで到達させる。次いで、温度調節機構80により、雰囲気温度よりも高い温度に加熱した調節流体を供給し、コーティング組成物を乾燥させる(乾燥工程)。調節流体は、供給管81を通ってバルーン30内へ送達され、バルーン30を加熱した後、拡張ルーメン23を介して第1開口部41から排出される。所定の時間が経過すると、コーティング組成物に含まれる溶媒が蒸発し、バルーン30の表面にコーティング層32が形成される。この後、温度調節機構80を停止させて調節流体の供給を停止させる。コーティング層32の厚さは、例えば1〜50μmであるが、これに限定されず、バルーン30の寸法やコーティング厚さ等に応じて適宜設定可能である。
乾燥させる時間は、例えば1分〜24時間であるが、これに限定されず、バルーン30の寸法、コーティング組成物の種類、形成させる薬剤の構造(結晶、非晶質等)、調節流体の温度等に応じて、適宜設定可能である。調節流体の供給量は、例えば1〜100ml/秒であるが、これに限定されず、バルーン30の寸法、コーティング組成物の種類、調節流体の温度等に応じて適宜設定可能である。調節流体の温度は、例えば−20〜100℃であるが、これに限定されず、雰囲気温度、バルーン30の寸法、形成させる薬剤の構造(結晶、非晶質等)、コーティング組成物の種類等に応じて適宜設定可能である。調節流体の温度を雰囲気温度よりも高くすることで、雰囲気温度で乾燥させる場合よりも短時間でさせることができる。また、調節流体の温度を雰囲気温度よりも低くすることで、雰囲気温度で乾燥させる場合よりも長時間で乾燥させることができる。
通常、乾燥させる時間の長短やその時の温度が、薬剤の結晶や非晶質の生成に影響を与えている。したがって、調節流体によって乾燥時間を任意に調節可能とすることで、コーティング組成物に含まれる薬剤の形態(結晶、非晶質)をより自在に調節することが可能となる。なお、調節流体の温度や流速は、乾燥時間の間に変化させてもよい。
この後、供給管81を拡張ルーメン23から引き抜き、バルーンカテーテル10をコーティング装置50から取り外して、バルーン30のコーティングが完了する。
なお、さらにこの後、必要に応じて、コーティング層32を水と有機溶媒を混合した溶液の蒸気(例えば、エタノール蒸気)でアニーリング(熱処理)することができる(アニーリング工程)。水と有機溶媒を混合した溶液の蒸気でアニーリングすることで、薬剤の材料を変態させて結晶化を促すことができる。蒸気となる溶媒は、蒸気に曝されるバルーンカテーテル10の基材に悪影響を及ぼさない限り限定されず、例えばエタノール、エタノール/水混合溶媒、アセトン等を適用できる。
アニーリングを行う際には、図3に示すように、バルーンカテーテル10を囲んで密閉可能なコンテナ110の内部にラック111を設け、ラック111にバルーンカテーテル10を設置し、コンテナ110内を例えばエタノール蒸気で満たす。この後、所定の時間経過後、コンテナ110を開放し、バルーンカテーテル10を取り出す。アニーリングを行う時間は、例えば0.1〜24時間であるが、これに限定されない。この後、バルーンカテーテル10に付着した水や有機溶媒を乾燥させて、アニーリング工程が完了する。なお、アニーリング工程の際に、乾燥工程と同様に、温度調節機構80によって調節流体をバルーン30内へ供給してもよい。
以上のように、本実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーン30の表面にコーティング組成物を塗布する塗布工程と、バルーン30の内部に温度条件を調節するための流体を適用しつつコーティング組成物を乾燥させる乾燥工程と、を有するため、コーティング層32を構成する材料の状態(例えば、結晶、非晶質等)をより自在に調節することが可能となる。
また、乾燥工程において、バルーン30の内部への雰囲気温度と異なる温度の流体の供給するため、バルーン30を乾燥させるための温度条件を、容易かつ効果的に調節できる。
また、コーティング層32を水と有機溶媒を混合した溶液の蒸気によりアニーリングするアニーリング工程を設けることで、コーティング層32に含まれる材料の結晶化を効果的に促進させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、調節流体の温度は、雰囲気温度と同じであってもよい。調節流体の温度が雰囲気温度と同じであっても、調節流体が流れることで熱伝達の程度が変化し、コーティング組成物の温度条件を容易かつ効果的に調節可能である。
また、上述した実施形態では、調節流体に流速を与えてバルーン30内で流通させているが、例えば、バルーン30内に雰囲気温度と異なる温度の調節流体を封入した後、第1開口部41を密閉するなどして、調節流体を流通させないようにしてもよい。このようにしても、バルーン30内に封入された調節流体により、コーティング組成物の温度条件を調節することができる。なお、バルーン30内に雰囲気温度と異なる温度の調節流体を封入する場合には、上述した温度調節機構80の供給管81は不要である。調節流体の封入は、乾燥時間の間に複数回行われてもよい。また、バルーンカテーテルが、バルーン内へ通じるルーメンを複数備えていれば、1つのルーメンから調節流体を流入させ、他のルーメンから調整流体を排出させることができる。
また、乾燥工程の間、回転機構60によりバルーンカテーテル10を回転させてもよい。この場合、供給管81がバルーンカテーテル10とともに回転できるようにするために、供給管81の途中に、回転管継手を設けてもよい。乾燥工程においてバルーン30を回転させるようにすれば、コーティング層32の厚さの分布をより均一とし、結晶または非晶質を均一に形成することができる。
また、乾燥工程において、バルーン30の内部に調節流体を適用することで温度条件を調節することに加えて、バルーン30の外表面の雰囲気の条件を調節することもできる。例えば、バルーン30の外表面に向かって空気を吹き付けるファンが設けられてもよく、または、ヒーター等の加熱手段が設けられてもよい。これにより、加熱条件をより細かく設定可能となり、薬剤の状態をより自在に設定可能となる。また、乾燥工程において、バルーン30を真空乾燥機内に配置し、圧力を下げた状態でコーティング組成物を乾燥させてもよい。
また、本実施形態では、回転機構60に設置した状態のままコーティング組成物を乾燥させているが、回転機構60から取り外した後に、コーティング組成物を乾燥させてもよい。また、コーティング組成物をある程度乾燥させた後、バルーンカテーテル10を回転機構60から取り外し取り外して、別の乾燥庫に入れて乾燥を完結させることも可能である。
また、バルーン30にコーティング組成物を塗布する方法は、上述のようにバルーン30を回転させながら塗布する方法に限定されない。例えば、バルーン30の外周囲を覆ってバルーン30に対してコーティング組成物を全周的に吐出する環状の押出装置を設け、バルーン30を回転させることなしに、バルーンカテーテル10の軸方向へ押出装置を相対的に移動させつつ、コーティング組成物を押し出しながら塗布してもよい。また、コーティング組成物を霧化させてスプレーしてもよく、ブラシによって塗るように塗布してもよい。また、コーティング組成物が収容された容器内へバルーン30を浸漬(ディッピング)させてから引き上げることで、バルーン30にコーティング組成物を塗布してもよい。また、コーティング組成物が外周面に塗布されたローラをバルーン30の表面に押し付けつつ回転させることで、バルーン30にコーティング組成物を塗布してもよい。また、手動でピペットやシリンジを用いてバルーン30にコーティング組成物を塗布してもよい。
また、本実施形態に係るバルーンコーティング方法は、薬剤を含むコーティング層32を形成するために用いられているが、例えば、薬剤の溶出を調節するために薬剤の層を覆うように形成される、薬剤を含まないポリマー等からなるトップコートを形成するために用いられてもよい。
薬剤であるパクリタキセルを、溶媒であるテトラヒドロフランに溶解させて、パクリタキセルがテトラヒドロフランに対して20質量%のコーティング組成物を得た。バルーンの先端側のガイドワイヤールーメンを芯材で塞ぎ、コーティング組成物にバルーンを浸漬させた後に引き上げ、バルーンの外表面にコーティング組成物を被覆させた。
次に、外径が0.07mm、内径が0.03mmの供給管をバルーンカテーテルの第1開口部から拡張ルーメン内に挿通してバルーンの内部まで到達させ、100℃に加熱した調節流体としての空気を、20ml/秒で1時間流通させた。なお、供給管が挿通される拡張ルーメンの隙間(外管と内管の間の隙間)は、約0.1mmであった。乾燥時間が経過した後、供給管による調節流体の供給を停止させ、供給管を拡張ルーメンから引き抜いた。
次に、コンテナの内部にラックを設け、ラックにバルーンカテーテルを設置した後、コンテナの内部をエタノール蒸気で満たして密封し、アニーリングを行った。16時間経過後、コンテナを開放した。この後、バルーンカテーテルを真空乾燥機内に配置し、温度を室温、圧力を200mbar(abs)以下として20分間でエタノールを乾燥させた。
この後、コーティング層の構造を、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて観察した。これにより、直径0.1〜1μmのパクリタキセルの結晶が得られていることが確認された。
10 バルーンカテーテル、
30 バルーン、
32 コーティング層、
50 コーティング装置。
80 温度調節機構、
81 供給管、
82 調節流体用容器、
83 加熱部、
84 流体供給ポンプ、
90 塗布機構。

Claims (4)

  1. バルーンの表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング方法であって、
    前記バルーンの表面に溶媒を含むコーティング組成物を塗布する塗布工程と、
    前記バルーンの内部に前記コーティング組成物の温度条件を調節するための流体を適用しつつ前記コーティング組成物を乾燥させる乾燥工程と、を有し、
    前記乾燥工程において、雰囲気温度と異なる温度の前記流体を前記バルーンの内部へ供給して封入、または、雰囲気温度と異なる温度または同じ温度の前記流体の前記バルーンの内部への流通を行うバルーンコーティング方法。
  2. 前記コーティング組成物は、水不溶性薬剤を含む請求項1に記載のバルーンコーティング方法。
  3. 前記コーティング層を有機溶媒の蒸気によりアニーリングするアニーリング工程を有する請求項1または2に記載のバルーンコーティング方法。
  4. 前記乾燥工程において、前記バルーンを回転させる請求項1〜3のいずれか1つに記載のバルーンコーティング方法。
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