JP6440318B2 - ロックボルト維持管理機構 - Google Patents
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Description
図10において、法面(図10では図示せず)にボーリング孔(図10では図示せず)が穿孔され、当該ボーリング孔にロックボルト材1が挿入され、セメントミルク(図10では図示せず)が充填されている。セメントミルクが固化することによりロックボルト1は地山に対して固着されている。
またロックボルト材1の地上側の端部近傍の領域(頭部)はナット材2と係合(螺合)しており、十分に締め付けられる。
またナット部材2は、その下部が概略半球面状に構成され、キャップ用ワッシャー13における当該ナット部材2(の下部)の載置部も当該ナット部材2の下部の概略半球面状部に対応した形状(相補形状)の半球面状に形成されている。そのため、ロックボルト材1の軸が地表に対して垂直方向から傾斜しても、ロックボルト材1をナット部材2で確実に締め付けることができる。
ロックボルトキャップ15の下方部に形成された雌ネジ15Bと、キャップ用ワッシャー13の外周部に形成された雄ネジ13Bは係合(螺合)しており、これにより、ロックボルトキャップ15はキャップ用ワッシャー13に装着(固定)され、アンカープレート14に固定される。
図10において、符号16は、ロックボルトキャップ15内の密封性を確保するためのシール部材である。
しかし、図10で示す従来の機構において、ロックボルト材1に対してナット材2が緩んでしまった場合には、ナット材2によるキャップ用ワッシャー13の回転を抑制する作用は発揮されない。そのため、ロックボルトキャップ15を回転しても、ロックボルトキャップ15下端の雌ネジ15Bとキャップ用ワッシャー13外周部の雄ネジ13Bの螺合しているため、キャップ用ワッシャー13はロックボルトキャップ15に対して相対的に回動することはなく、ロックボルトキャップ15と共回りする。そのため、ロックボルトキャップ15下端の雌ネジ15Bとキャップ用ワッシャー13外周部の雄ネジ13Bの螺合を解除することは出来ず、ロックボルトキャップ15をキャップ用ワッシャー13から外すことが出来ない。
従来、ナット材2もロックボルトキャップ15も作業者により人力で締め込まれるため、同レベルの力で締め込まれる。そのため、このような問題が発生し易くなっている。
しかし係る従来技術は、上述した問題の解決を意図するものではない。
前記板状部材(4、40)にはロックボルト材(1)が通過する貫通孔(4A、40A)が形成されており、
前記ナット載置部材(3、30)の下方は、板状部材(4、40)の貫通孔(4A、40A)に挿入可能であるが板状部材(4、40)の貫通孔(4A、40A)に対して相対的に回転することが制限される共回り防止機能を有することを特徴としている。
「突起型」を例にとれば、ナット載置部材(3)に共回り防止用突起(3A)を設け、その平面形状は円環の外周部を円周方向に概略等間隔に切り欠いた形状であり、板状部材(4)の貫通孔(4A)の平面形状は円周の一部を概略等間隔に切り欠いた形状であり、板状部材(4)の貫通孔(4A)の対向する切欠間の距離(4面幅)はナット載置部材(3)の共回り防止用突起(3A)の外径よりも小さく設定されているのが好ましい。
また、ナット載置部材(3、30)には背面空隙充填材注入孔(3E、30E)及びエア抜き孔(3F、30F)が形成されているのが好ましい。
確認窓部(5A)は透明樹脂材(5P)で構成し、着色された樹脂材や半透明の樹脂材は選択しない。確認窓部(5A)を構成する樹脂材が着色されていたり、半透明であったりすると、防錆材の変色状況が確認できないからである。
従って、仮にナット材(2)がロックボルト材(1)に対して緩んでいたとしても、キャップ状部材(5)を螺合解除方向(反時計方向CCW)に回動すれば、ナット載置部材(3、30)はキャップ状部材(5)と共回りせず、キャップ状部材(5)(の雌ネジ)とナット載置部材(3、30)(の雄ネジ)との係合(螺合)が解除され、キャップ状部材(5)を板状部材(4、40)から外すことが出来る。
あるいは、板状部材(40)の貫通孔(40A)の切欠部(40R)にナット載置部材(30)の底部に形成した共回り防止用突起(30T)を挿入すれば、ナット載置部材(30)の共回り防止用突起(30T)が板状部材(40)の貫通孔(40A)に対して相対的に回転することが制限される。
なお本発明において、キャップ状部材(5)内部の空間に防錆材を充填しないことも可能である。
そのため、維持管理用キャップ(5)を外す作業を行わずに、目視によりロックボルトの健全性を検査することが出来る。
図1について、本発明の実施形態に係るロックボルト維持管理機構は全体を符号10で示しており、ロックボルト材1と、ロックボルト材1に係合(螺合)するナット材2と、ナット材2を載置しているナット載置部材3(背面充填用台座)と、ロックボルト材1が貫通しており且つナット材2及びナット載置部材3を載置している板状部材4(回転防止用プレート)と、板状部材4に載置されており且つロックボルト材1の頭部とナット材2とナット載置部材3を包囲するキャップ状部材5(維持管理用キャップ)を備えている。
図1において、ナット載置部材3の外周部には雄ネジ3Bが形成されており、キャップ状部材5の下方部には雌ネジ5Bが形成されており、雌ネジ5Bと雄ネジ3Bが係合(螺合)しており、以って、キャップ状部材5はナット載置部材3に装着(固定)されている。ここで、ナット載置部材3はロックボルト材1、ナット材2により板状部材4に固定されているので、キャップ状部材5は板状部材4に固定される。
キャップ状部材5或いは上部部材5Xの頂部近傍には、ロックボルト機構に防錆材(グリース等)を供給するための供給孔11が設けられている。そして、供給孔11を閉鎖するため、蓋部材としての閉鎖ボルト12が供給孔11の雌ネジ(符号なし)に螺合している。
図1において、符号6はキャップ状部材5と板状部材4の境界における密封性を確保するためのシール部材である。
ナット載置部材3には共回り防止用突起3Aが形成されており、共回り防止用突起3Aは板状部材4の貫通孔4Aに挿入可能であるが、共回り防止用突起3Aは貫通孔4Aに対して相対的に回転することが制限されており、以って、共回り防止機能を有する様に構成されている。
共回り防止用突起3Aによる共回り防止機能については後述する。
上述した様に、背面充填用台座3の下方に共回り防止用突起3Aが形成されている。共回り防止用突起3Aの平面形状は、図2で示すように、円環の外周部を円周方向に概略等間隔に複数箇所(図2では4箇所)を切り欠いた形状となっている。
換言すれば、図2において、共回り防止用突起3Aの平面形状における前記円環は、外径寸法D3の円周部分3AA(4箇所)と、4面幅寸法H3(対向する切欠の間隔)の切り欠き部分3AB(4箇所)とが、円周方向に交互に配置された平面形状となっている。ここで、外径寸法D3は4面幅寸法H3よりも大きい(D3>H3)。
図4で示すように、回転防止用プレート4の中央部にはロックボルト1が通過する貫通孔4Aが形成されており、貫通孔4Aの平面形状は、図2〜図4を参照して上述した共回り防止用突起3Aの平面形状と概略同様である。すなわち、貫通孔4Aの平面形状は、円周の一部を概略等間隔に複数(図示の実施形態では4箇所)切り欠いた形状となっている。
回転防止用プレート4の貫通孔4Aは、内径寸法D4の円周部分4AA(4箇所)と、4面幅寸法H4(対向する切欠の間隔)の切り欠き部分4AB(4箇所)を有している。ここで、内径寸法D4は4面幅寸法H4よりも大きい(D4>H4)。
一方、貫通孔4Aの4面幅H4(対向する切欠の間隔)は、背面充填用台座3の共回り防止用突起3Aの4面幅H3よりも大きいが、背面充填用台座3の共回り防止用突起3Aの外径D3よりも僅かに小さく設定されている(D3>H4>H3)。そのため、背面充填用台座3を回転する力を作用しても、貫通孔4Aに挿入された共回り防止用突起3Aは、その円周部分3AAが貫通孔4Aの切り欠き部分4ABに当接して係止して、それ以上回転はしない。換言すれば、共回り防止用突起3Aは、貫通孔4A内で回転することは出来ない。
従って、仮にナット材2がロックボルト材1に対して緩んでいたとしても、維持管理用キャップ5を螺合解除方向に回動すれば、背面充填用台座3は維持管理用キャップ5と共回りしないので、維持管理用キャップ5の雌ネジ5Bと背面充填用台座3の雄ネジ3Bとの係合(螺合)が解除される。そして、維持管理用キャップ5を回転防止用プレート4から外すことが出来る。
図3で示す様に、背面空隙充填材注入孔3Eは、背面充填用台座3の下部において、背面充填用台座3の外周面の1箇所からロックボルト材1の通過孔(符号なし)の内周面に貫通して形成されている。背面空隙充填材注入孔3Eは、背面充填用台座3の外周面側の開口部の断面積が大きく、半径方向内方に向うに連れて断面積が減少し、ロックボルト材1の通過孔に連通する開口の断面積が最小となっている。背面空隙充填材(後述)を注入し易くするためである。
エア抜き孔3Fも、前記背面空隙充填材注入孔3Eと同様に、背面充填用台座3の下部において、背面充填用台座3の外周面の1箇所からロックボルト材1の通過孔(符号なし)の内周面に貫通して形成されている。ここで、エア抜き孔3Fの断面積は背面空隙充填材注入孔3Eの断面積より小さい。
背面空隙充填材の注入に際して(図9を参照して後述)、エア抜きの効率を向上するためである。
確認窓部5Aにおける透明樹脂部材5Pは、例えばポリカーボネート材で構成されておりし、確認窓部5Aの内側に従来公知の態様で取り付けられている。ここで符号18は、透明樹脂部材5Pの上縁部と上部部材5Xの下縁部の境界を密封するためのシール部材である。ここで、確認窓部5Aは、着色された樹脂材や半透明の樹脂材では構成されていない。確認窓部5Aを構成する樹脂材が着色されていたり、半透明であったりすると、防錆材の変色状況が確認できないからである。
確認窓部5A、透明樹脂材5Pの形状と個数は図示の実施形態通りに限定されるものではない。例えば丸形の確認窓部を4個以外の数(例えば1個)だけ設けることも可能である。
維持管理用キャップ5を固定した状態を示す図7において、確認窓部5A及び透明樹脂部材5Pを介して、維持管理用キャップ5の内側を見ることが出来るので、図示しない管理者は維持管理用キャップ5を外すことなくロックボルトの健全性をチェックすることができる。
すなわち、維持管理用キャップ5を回転すれば、背面充填用台座3に対して相対的に回転することが出来る。
図5は背面充填用台座の変形例を示し、図6は回転防止用プレートの変形例を示しており、係る背面充填用台座の変形例と回転防止用プレートの変形例によっても、背面充填用台座が回転防止用プレートに対して回転しない様にすることが出来る。
図5における符号30Eは背面空隙充填材注入孔であり、符号30Fはエア抜き孔を示す。図3で示す背面充填用台座3と同様に、背面空隙充填材注入孔30Eとエア抜き孔30Fは背面充填用台座30の中心に対して対称な位置に形成されている。そのため、図5の正面図では、背面空隙充填材注入孔30Eとエア抜き孔30Fの双方が表示されている。
背面充填用台座30の共回り防止用突起30T(図5)を貫通孔40Aの切欠部40R(図6)に挿入すれば、維持管理用キャップ5を回転防止用プレート40に対して回転しても、共回り防止用突起30T(図5)が切欠部40R(図6)に挿入されているので、共回り防止用突起30T(図5)を貫通孔40A(図6)内で回転することは出来ない。共回り防止用突起30Tが貫通孔40A内で回転することが出来ないため、維持管理用キャップ5を回転防止用プレート40に対して回転しても、背面充填用台座30は回転防止用プレート40に対して回転せず、背面充填用台座30は維持管理用キャップ5と共回りせずに共回り防止機能を発揮する。
図5、図6で示す変形例のその他の構成及び作用効果は、図2〜図4で示すのと同様である。
上述した通り、背面充填用台座3は維持管理用キャップ5と共回りせず、相対的に回転するので、維持管理用キャップ5下方の雌ネジ5Bと背面充填用台座3外周部の雄ネジ3Bとの螺合が解除される。その結果、維持管理用キャップ5を回転防止用プレート4から外すことが出来る。
また、回転防止用プレート4の回転防止の態様は工具T1の使用に限定されるものではない。例えば、回転防止用プレート4の側方にクギのような部材を打ち込み或いは差し込んで回転防止をすることも可能である。
法面GCにボーリング孔BHが穿孔されており、ボーリング孔BH内にロックボルト材1が挿入され且つボーリング孔BH内にセメントミルクCが充填されている。これにより、ロックボルト材1は固化したセメントミルクCにより地山に対して固着される。また、ロックボルト材1は地上側においてナット材2と係合(螺合)し、締め付けられる。
上述した通り、ナット部材2は背面充填用台座3に載置され、背面充填用台座3は地表面に設置された回転防止用プレート4に載置されている。そして、回転防止用プレート4及び背面充填用台座3の中央を、ロックボルト材1が通過している。
背面空隙充填材Fは、背面充填用台座3に設けた背面空隙充填材注入孔3Eを介して、地中のセメントミルクCよりも上方の空間(背面空隙)を充填するために注入される。
背面空隙充填材Fを背面空隙に注入する際に、エア抜き孔3Fから空気が抜けて、背面空隙充填材Fの注入が容易になる。
背面空隙充填材Fの充填を行うことにより、維持管理用キャップ5を装着した後に維持管理用キャップ5内に充填された防錆材(グリース等)が、維持管理用キャップ5の内部から背面空隙に流入し、さらに周辺に漏出してしまうことが防止される。そして防錆材(グリース等)が維持管理用キャップ5の内部から背面空隙に流入することが防止されるため、維持管理用キャップ5内の防錆材の減少も防止される。
図示の実施形態では管理用キャップ5内に防錆材を充填可能に構成されているが、管理用キャップ5内に防錆材を充填しない場合も存在する。また、図9では図3で示す背面充填用台座3と図4で示す回転防止用プレート4を用いているが、勿論、図5で示す背面充填用台座30と図6で示す回転防止用プレート40を用いることが出来る。
従って、背面充填用台座3は維持管理用キャップ5と共回りしない。そのため、仮にナット材2がロックボルト材1に対して緩んでいたとしても、維持管理用キャップ5を螺合解除方向(図8で反時計方向CCW)に回動すれば、背面充填用台座3は維持管理用キャップ5と共回りせず、維持管理用キャップ5(の雌ネジ5B)と背面充填用台座3(の雄ネジ3B)との係合(螺合)が解除され、維持管理用キャップ5を回転防止用プレート4から外すことが出来る。
そのため図5、図6で示す変形例を採用する場合でも、背面充填用台座30は維持管理用キャップ5と共回りせずに共回り防止機能を発揮する。
背面空隙に背面空隙充填材Fが充填されれば、維持管理用キャップ5内に充填された防錆材(グリース等)が、キャップ状部材5の内部から背面空隙に流入してしまうことが防止され、外部に流出することも防止される。そして、維持管理用キャップ5内の防錆材(グリース等)が減少しない。
そのため、維持管理用キャップ5を外す作業を行わずに、作業者は目視のみによって、ロックボルトの健全性を検査することが出来る。
また、確認窓部5A及び透明樹脂材5Pを維持管理用キャップ5の側面に円周方向に複数個所設けたので、確認すべき維持管理用キャップ5内部に死角を生じることなく、確実な確認(視認)作業を行うことが出来る。
2・・・ナット材
3、30・・・ナット載置部材(背面充填用台座)
3A、30B・・・共回り防止用突起
3E、30E・・・背面空隙充填材注入孔
3F、30F・・・エア抜き孔
4、40・・・板状部材(回転防止用プレート)
4A、40A・・・貫通孔
5・・・キャップ状部材(維持管理用キャップ)
5A・・・確認窓部
5B・・・雌ネジ
5C・・・六角断面部
5P・・・透明樹脂材
6、16、18・・・シール部材
10・・・ロックボルト維持管理機構
11・・・防錆材(グリース等)の供給孔
12・・・閉鎖ボルト
13・・・キャップ用ワッシャー
13B・・・雄ネジ
14・・・アンカープレート
15・・・ロックボルトキャップ
15B・・・雌ネジ
T1、T2・・・工具
GC・・・法面
BH・・・ボーリング孔
Claims (4)
- ロックボルト材に螺合するナット材と、当該ナット材を載置しているナット載置部材と、ロックボルト材が貫通しており且つナット材及びナット載置部材を載置している板状部材と、当該板状部材に載置されてロックボルト材の頭部とナット材とナット載置部材を包囲するキャップ状部材を有し、キャップ状部材下方がナット載置部材外周部に係合しており、
前記板状部材にはロックボルト材が通過する貫通孔が形成されており、
前記ナット載置部材の下方は、板状部材の貫通孔に挿入可能であるが板状部材の貫通孔に対して相対的に回転することが制限される共回り防止機能を有することを特徴とするロックボルト維持管理機構。 - ナット載置部材の共回り防止用突起の平面形状は円環の外周部を円周方向に概略等間隔に切り欠いた形状であり、板状部材の貫通孔の平面形状は円周の一部を概略等間隔に切り欠いた形状であり、板状部材の貫通孔の対向する切欠間の距離はナット載置部材の共回り防止用突起の外径よりも小さく設定されている請求項1のロックボルト維持管理機構。
- 載置部材には背面空隙充填材注入孔及びエア抜き孔が形成されている請求項2のロックボルト維持管理機構。
- キャップ状部材に確認窓部を設けている請求項1〜3の何れか1項のロックボルト維持管理機構。
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