JP2005172166A - 座金付ナット及び座金付ボルト - Google Patents

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Abstract

【課題】 中央掛け、周縁掛け、いずれの工具に対しても適合する座金付きナットあるいは座金付きボルトであって、座金部とナット部あるいはボルト部との連絡部である首部に弱点がなく、また、スムーズに座掘りができ、しかも、木やせによる緩みを生じにくい座金付きナットやボルトの提供。
【解決手段】 座金部2の中央下部にナット部3(又はボルト部)を一体に設け、上面の中央部に第1回転工具用係止孔6を、また、上面の周縁部に第2回転工具用係止孔8を複数個設ける。前記の首部において、座金部2の下面からナット部3の外面上部に亘る面を中央に向かう凹に湾曲した湾曲面5とし、首部の肉厚を確保する。湾曲面5に複数の切り刃7を形成する。第2回転工具用係止孔8は、回転工具の爪が係合しても開口が残存する長孔とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、締め付けと同時に、被接合部材である木材に座堀を行う座金付ナット及び座金付ボルトに関する。
座金付きナットやボルトは、座金とナットあるいはボルトを一体に形成したものであるが、木造家屋において柱・梁・土台等の木材を接合するのに多く使用されている。また、座金付きナットやボルトは、多くが座金部の下面に切り刃を設けて、締め付け時の回転を利用し、締付けと同時に座堀を行い、座金部を木材表面に沈み込ませている(例えば、特許文献1)。締付けと同時に座金部が沈み込むので、作業が短縮されると共に、木材表面に突出物がなくなり、床材や壁材の取付けなど、次工程の作業に支障がなくなる。
特開2001−343011号公報
座金付ナットやボルトの座金部は、上面及び下面が平らな平板状のものと、上面が平らで下面が中央に向かって突出する浅い逆円錐形となるタイプのものがある。座金部が平板状のものは、座掘りの量が上面と下面の厚みの分だけでよいので、座掘りの量が少なく木材を損傷する程度が小さい。しかし、逆円錐形のものでは、厚みが大きくなる分だけ、木材を損傷する程度が大きい。また、逆円錐の程度が深いと木材に穿たれる座掘りの断面がくさび形になるので、座金付きナットやボルトを締めすぎたとき、木材を割ってしまうことがある。
木材に与える損傷の程度からすると座金部は平板状が好ましいが、平板状であるとその下面中央部からナットあるいはボルトを突出させた形態において、上面中央部に座金部を回転させるための工具掛け部(多くは内六角孔)を形成したとき、ナットやボルトの上端と座金部の下面に連絡する角部(首部)の肉厚が薄くなり、座金付きナットやボルトの強度(首部の強度)が小さくなる。この難点を解決するため、平板状の座金部のものでは、工具掛け部を座金部の中央に形成せず、中央から同心位置にある周縁部へ分散して形成してある。このため、大工を行う者は、工具掛け部の配置に応じた工具(回転工具の先端のソケットに取付けるビット)を2種類(中央掛けと周縁掛け)準備しておく必要があり、現場にて、たまたま適合しない工具しか持たない場合は作業を進められない事態となる。
さらに、中央掛けと周縁掛けのいずれにしても、従来の座金付きナットやボルトでは、座金部を回転させているとき、座金部の下面から上面に抜ける空隙や孔がなく、切り刃による切りくずは、逃げ場がないまま押し固められる格好で座掘りが進行する。このため、座掘りの速度が遅く、また、充分に座掘りできない場合も生じる。
この発明は、中央掛け、周縁掛け、いずれの工具に対しても適合する座金付きナットやボルトであって、基本的に座金部が平板状であり、首部に弱点がなく、スムーズに座掘りができ、しかも、木やせによる緩みを生じにくい座金付きナットやボルトの提供を課題とする。
座金部とナット部あるいはボルト部との連絡部である首部を、座金部からナット部の外面上部あるいは座金部からボルト部の外面上部にかけて中央に向かって凹む湾曲面に形成し、座金部中央に回転工具係止用孔を形成しても、首部に充分な肉厚を取れる構成とする。
回転工具係止用孔は中央掛け用の第1と周縁掛け用の第2の2種を設けておく。
周縁掛け用の回転工具係止用孔は、この孔に係合する工具の爪断面よりも大きな開口を有するものとする。
第1回転工具用係止孔と第2回転工具用係止孔とを備えるので、中央掛け、周縁掛けの何れか一方の工具が準備されておれば、作業を進めることができる。
首部が、座金部とナット部が連絡する首部において座金部の外縁から中央に近づくほど肉厚となる湾曲した面に形成されているので、第1回転工具用係止孔から首部の外面まで充分な肉厚があり、首部に強度上の弱点がない。
工具が第1回転工具に係止されるとき、第2回転工具係止孔は、座金部の切り刃による切り屑を抜く孔として機能し、座堀りが進んでも切り屑の堆積によって沈み込みに対する抵抗を受けることがない。このため、座掘りを迅速に、しかも、軽い動力で行うことができる。
第2回転工具用係止孔に工具の爪を係合させて座金部を回転させるときも、第2回転工具用係止孔は爪の断面よりも大きい開口であるから、やはり、この孔から切り屑を排出させることができる。
木材の木やせによって、ナット部あるいはボルト部を貫通させている孔が縮小すると、木材は首部の湾曲面に沿って座金部を押し上げるように作用し、この力は、ナット部あるはボルト部の軸方向の力となる。これにより、ねじによる螺合部分を軸方向に強く引くことになるので、座金ナットやボルトの緩みを防止することができる。
本発明の座金付ナットは、座金部の下面中央にナット部を一体に設け、座金部とナット部が連絡する首部において座金部の下面からナット部の外面上部に亘る面が中央に向けて凹に湾曲した湾曲面となるよう、座金部の厚みを周方向外側から中央に向かって次第に厚く形成し、この湾曲面に複数の切り刃を形成し、座金部の上面中央に第1回転工具用係止孔を形成し、第1回転工具用係止孔と同心の円周上に第2回転工具用係止孔を複数個配置してある。第2回転工具用係止孔は長孔とし、座金部を貫通させる。
座金付ボルトは、座金付きナットのナット部を、ボルト部としたもので、他の構成は同じである。
第1回転工具用係止孔は、多角形、星形、十文字形状等の回転工具の空回りを防ぐ形状とする。
第2回転工具用係止孔は、回転工具の爪を係合できる形状であれば良いが、回転後部の爪よりも大きな開口を形成している必要がある。
図1〜図6は、実施例1としての座金付ナット1である。
座金付ナット1は、ステンレススチール等の金属をプレス成形したものであって、図2に示すように、座金部2の中央下部にナット部3を一体に形成してある。ナット部3には、ネジ孔4が貫通している。
ナット部3の肉厚は、下端に近づくに従って次第に薄く形成され、ナット部3の外形は、下端部の外径が小さく、僅かにテーパー状となっている。
座金部2の上面は平面であり、座金部2とナット部3が連絡する首部では、座金部2の下面からナット部3の外面上部に亘る面を座金部2の中央に向かって凹に湾曲した湾曲面5としてある。すなわち、座金部2の厚みを周方向外側から中央に向かって次第に厚くしてある。座金付ナット1の外観は基本的に平板状であるが、座金部2とナット部3が連絡する首部において略ラッパ状を呈する。
ネジ孔4は座金部2を貫通し、座金部2の上面中央には、ネジ孔4の上端を囲むように内六角形の第1回転工具用係止孔6を形成してある。
首部の湾曲面5から座金部2の下面に、6本の切り刃7をホーマー等で削りだして形成する。切り刃7は、切削面が長い3本の大切り刃7aと、切削面が短い3本の小切り刃7bとから成る(図1及び図3)。
3本の大切り刃7aは、その切削面がそれぞれ第1回転工具用係止孔6の3対の辺と平行になるよう、等間隔で配置する。また、小切り刃7bは、その切削面がそれぞれ第1回転工具用係止孔6の3対の辺と平行になるよう、大切り刃7aの中間部に配置してある。
座金部2には、さらに、第1回転工具用係止孔6と同心の円周上において、3個の第2回転工具用係止孔8を貫通して形成してある。第2回転工具用係止孔8は長孔であり、大切り刃7aの切削面に隣接すると共に、長径が切削面と平行になるよう形成してある。
座金付ナット1の各部の寸法は、座金部2の外径約45mm、厚さ約4.5mm、ナット部3の外径約16mm、長さ約30mm、ネジ孔4の直径12mm、第1回転工具用係止孔6の1辺の長さ10mm、大切り刃7aの刃高約1mm、第2回転工具用係止孔8の短径約28mmである。
勿論、これらの寸法は、座金付ナット1に螺合するボルトの寸法に応じて変えることができる。
座金付ナット1を回転させて締め付ける工具はインパクトレンチなどであって、第1回転工具用係止孔6に係止する中央掛けビット9(図4)、あるいは、第2回転工具用係止孔8に係止する周縁掛けビット10(図5)を装着して使用する。
中央掛けビット9は、六角柱状のジョイント部11と、ジョイント部11よりやや細い六角柱状の座金係止部12とを有する。ジョイント部11の外側面にはインパクトレンチのソケットへ取付けた状態を維持するための半球状の突起13(出入が可能)を形成してある。座金係止部12には先端から軸方向に凹部14を形成してある。凹部14は、座金付ナット1を螺合させる相手側のボルトと座金付ナット1との螺合が進行して、ボルトの先端が座金付ナット1から突出する場合を想定して形成されている。
周縁掛けビット10は、六角柱状のジョイント部11’と、ジョイント部11’の一端に形成した円盤部15と、円盤部15の先端面に形成した3個の爪16とを備える。
ジョイント部11’の外側面には抜け止めとなる半球状の突起13’を有し、円盤部15の先端から中心軸に沿って、ボルトの先端部を受け入れるための凹部14’が形成されている。
爪16は、座金付ナット1の第2回転工具用係止孔8に嵌り込んで座金部2を係合する。第2回転工具用係止孔8は長孔としてあるので、爪16が係合しても開口部分が残存する。
図6は、座金付ナット1を用いて、土台17を布基礎18上に固定した使用例である。
布基礎18にはアンカーボルト19が埋設固定されている。アンカーボルト19の上部は布基礎18の上面から突出してねじを形成してある。土台17は、この突出部分を上下方向の貫通孔20に通して布基礎上に載置し、土台17の上面近くに到達しているアンカーボルト19の先端部に座金付ナット1を軽く螺合しておく。
そして、中央掛けビット9をあるいは周縁掛けビット10を装着した回転工具を用いて、座金付ナット1を回転させ、アンカーボルト19に締め込む。
アンカーボルト19に対する締め込みが進んで、座金部2の下面が土台17の上面に接すると、切り刃7が土台17を削って締め込みと同時に座堀を行い、座金部2が土台17に埋まり込んでいく。
また、座堀によって土台17から削り出された切り屑は、第2回転工具用係止孔8を通して座金部2の上方へ排出されるので、座金部2を回転させて沈み込ませる際の抵抗とならない。
座金部2の上面が土台17の上面と面一になったら、回転工具の駆動を停止する。
図7及び図8は、実施例2である座金付ナット1を示し、切り刃7の構成に特徴がある。実施例1と共通する部分には、同一符号を付して説明を省略する。
切り刃7は、座金部2に径方向に沿って上下方向から剪断力を加えて、上下に高さが異なる段部21を形成し、段部21の一側において、座金部2の下面に突出した部分の側面を大切り刃7aの切削面としている。小切り刃7bは、実施例1と同様に、座金部2の下面を切り出して形成する。
この座金付ナット1の使用方法は、実施例1と同様である。
図9及び図10は、実施例3である座金付ボルト22を示す。
座金付ボルト22は、座金部2の中央下部にボルト部23を一体に形成してある。
座金部2の形態は、下面に3個の大切り刃7a及び3個の小切り刃7bから成る切り刃7を形成してあり、実施例1とほぼ同様である。座金部2の上面中央に内六角形の第1回転工具用係止孔6を形成し、周縁部に3個の第2回転工具用係止孔8を、大切り刃7aの切削面に隣接して形成してある。第2回転工具用係止孔8は長孔であり、座金部2を貫通して形成してある。
この座金付ボルト22は、例えば、梁と柱との接合に用いる。即ち、梁受け金物にナットを溶接などで固定しておき、柱を座金付ボルト22のボルト部23で貫通し、ボルト部23の先端をナットに軽く螺合する。
次いで、中央掛けビット9を装着した回転工具、あるいは、周縁掛けビット10を装着したインパクトレンチなどの回転工具で、座金付ボルト22を回転させて、座金付ボルト22を、梁受け金物に固定されているナットに締め込む。すると、座金部2の回転で切り刃7が座堀を行って、座金部2が柱に沈み込み、同時に、梁受け金物を柱に固定することができる。
図11及び図12は、実施例4の座金付ナット1を示し、図13、図14は、この座金付ナット1に使用する中央掛けビット9を示している。
座金付ナット1は座金部2とナット部3とからなり、これらの連絡部である首部を中央に向かって凹となる湾曲面に形成してラッパ状とすること、首部から座金部2の下面にかけて切り刃を設けること、及び座金部2の中央に第1回転工具用係止孔6と周縁部に第2回転工具用係止孔8を貫通させて設けることは、前記の座金付きナットなどと同様であるが、第1回転工具用係止孔6の形状に特徴を有する。
第1回転工具用係止孔6は、図11に示すように、正六角形の各辺を内側に湾曲させた円弧面からなる星形の断面形状としてある。これに合わせ、回転工具に装着するビット9は、ジョイント部11と一体の座金係止部12を、図14のように、同様な断面星形としてある。符号14は、座金付ナット1が螺合するボルトの先端部が座金部2よりも突出してくる場合に、これを逃す凹部である。
第1回転工具用係止孔6の断面形状を各辺を内側に湾曲させた円弧面からなる星形とし、これの回転にも同様な断面星形のビット9を用いると、回転動力を伝達するとき、第1回転工具用係止孔6とビット9との係合面積が大きく、係合して動力を伝達する部分のいわゆる「つぶれ」が少ない。
座金付ナットの上面図(実施例1)。 座金付ナットの側面図。 座金付ナットの下面図。 中央掛けビットを示し、(イ)は平面図、(ロ)は側面図、(ハ)は正面図。 周縁掛けビットの斜視図。 座金付ナットの使用例を示す図。 座金付ナットの上面図(実施例2)。 座金付ナットの側面図。 座金付ボルトの上面図(実施例3)。 座金付ボルトの側面図。 座金付ボルトの上面図(実施例4)。 座金付ボルトの側面図。 中央掛けビットの斜視図(実施例4用)。 中央掛けビットの下面図。
符号の説明
1 座金付ナット
2 座金部
3 ナット部
4 ネジ孔
5 湾曲面
6 第1回転工具用係止孔
7 切り刃
7a 大切り刃
7b 小切り刃
8 第2回転工具用係止孔
9 中央掛けビット
10 周縁掛けビット
11,11’ ジョイント部
12 座金係止部
13,13’ 突起
14,14’ 凹部
15 円盤部
16 爪
17 土台
18 布基礎
19 アンカーボルト
20 貫通孔
21 段部
22 座金付ボルト
23 ボルト部

Claims (3)

  1. 座金部の下面中央にナット部を一体に設け、座金部とナット部が連絡する首部において座金部の下面からナット部の外面上部に亘る面が座金部の中央へ向かって凹む湾曲した面となるよう、座金部の厚みを周方向外側から中央に向かって次第に厚く形成し、この湾曲面に複数の切り刃を形成し、座金部の上面中央に第1回転工具用係止孔を形成し、第1回転工具用係止孔と同心の円周上に第2回転工具用係止孔を複数個配置してあり、第2回転工具用係止孔は、この孔に係合する爪の断面よりも大きな開口を有する貫通孔であることを特徴とする座金付ナット。
  2. 座金部の下面中央にボルト部を一体に設け、座金部とナット部が連絡する首部において座金部の下面からボルト部の外面上部に亘る面が座金部の中央に向かって凹む湾曲した面となるよう、座金部の厚みを周方向外側から中央に向かって次第に厚く形成し、この湾曲面に複数の切り刃を形成し、座金部の上面中央に第1回転工具用係止孔を形成し、第1回転工具用係止孔と同心の円周上に第2回転工具用係止孔を複数個配置してあり、第2回転工具用係止孔は、この孔に係合する工具爪の断面よりも大きな開口を有する貫通孔であることを特徴とする座金付ボルト。
  3. 第1回転工具用係止孔は、正六角形の各辺を内側に湾曲させた円弧面からなる星形の断面形状であることを特徴とした請求項1に記載の座金ナットまたは請求項2に記載の座金ボルト。
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