JP6439387B2 - 打検装置及び打検方法 - Google Patents
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Description
打検法は、缶体の所定部位、例えば、倒立させた缶体では上部に位置する缶体底部を打検振動部とし、ここに電磁的衝撃を与えることで発生した反響振動音(打検音)をマイクロフォンによって検出し、この反響振動音の周波数を測定し、事前に把握した缶内圧と測定した周波数との相関から缶内圧を判別して、当該缶体の良否を判定する検査法である。
これは、缶体底部に電磁的衝撃を与えたときに、底部以外の胴部や蓋部で共振が起こり、この振動音がマイクロフォンで検出されることで、この振動音を示すピーク値が周波数分布に表れるためであると考えられる。特に、近年では、缶体の胴部や蓋部の材料変更、さらには薄肉軽量化によって、缶体の振動形態が複雑化する傾向にあることから、振動音の発生箇所に応じてピーク値が表れる周波数も異なってくる。
そこで、缶底以外の部分における共振を抑制して、缶体の良否判定の精度を向上させるための技術が提案されている。
例えば、倒立した状態の缶体の底部を強制励振させる際に、当該底部の外周縁部を全周にわたって押圧する押圧体を備えた内圧検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この内圧検査装置によれば、底部の外周縁部を全周にわたって押圧体が押圧するので、缶底から缶胴への振動の伝搬が抑制される。これにより、缶胴での共振が低減するので、缶体の良否判定の精度を向上させることができる。
これにより、着地に伴う二次振動の発生が抑制され、二次振動に起因する振動音のピーク値が検出されなくなるので、缶体の良否判定の精度を向上させることができる。
この装置では、缶底部の外周縁部を全周にわたって押圧するために、押圧体を複数設ける必要があった。しかも、これら複数の押圧体を缶底部の外周縁部に対応させて円周状に配置しなければならず、このため、装置が複雑化していた。
また、具体的に、押圧体の数は、一つの缶体に対して五つとし、しかも、缶体がケース内に6列4行で収納されている場合には、一列分四つの缶体を押圧するために押圧体を十四個も備えなければならず、このため、装置が複雑化するとともに、押圧体の配置位置の調整が必要となっていた。
このように、同装置は、構成の複雑化と配置位置の調整が問題となっていた。このことから、より簡易な構成で、缶胴への振動の伝搬を抑制可能とする技術の提案が求められていた。
同装置では、押圧体としてローラを用いることを想定している。また、缶体は、ケースに収納されており、コンベアなどで搬送することを想定している。さらに、ケースの内部においては、このケースの上蓋部の下面と缶底部の外周縁部が、離間した状態となっている。
そして、搬送中のケースの前面が押圧体の下方に到達すると、押圧体であるローラがケースの前面上部を乗り越えて、当該ケースの上蓋部の上面上を転動するようになる。
一方、押圧体は、缶体の上方に達すると、ケースの上蓋部を上方から押し下げることで、このケースの上蓋部の下面を缶底部の外周縁部に接触させる。
ところが、押圧体がケースの上蓋部を押し下げ可能とするためには、下方にケースが到達していないフリーな状態で、既に当該押圧体がケースの上蓋部を押し下げている位置と同じ位置にセットされている必要がある。
また、その一方で、押圧体は、下方にケースの前面が到達したときには、このケースの前面上部を乗り越えなければならない。
このような動きを実現するために、同装置では、押圧体を下方へ付勢する弾性バネなどの付勢手段を押圧体の上部に付設している。これにより、ケースの前面上部からの押し上げを受けて付勢手段が収縮し、押圧体が上方へ移動して、ケースの前面上部を乗り越えるようにしている。
そして、その直後に、押圧体は、ケースの上蓋部を押し下げなければならない。
この結果、押圧体に付設された付勢手段は、ケースの前面からの押し上げによって容易に収縮するものの、ケースの上蓋部に対しては、これが凹状に変形するほどの強制的な力を加えて下方へ押し下げなければならない。
このような動きを、バネである付勢手段のみで実現させるのは、事実上不可能であり、現実的でないという問題があった。
この二次振動抑止手段は、缶体が飛び上がらないようにするために、缶体に下方向の力を加えている。
ところが、二次振動が発生する前に、缶体には、一次振動が発生し、この一次振動は、缶底に電磁的衝撃を与えたときに発生する振動であり、缶底で発生した後、缶体の胴部や蓋部に伝搬する。
これに対し二次振動は、一次振動の発生に伴って缶体が飛び上がり、着地したときに生じる振動であり、二次振動は、一次振動に起因して発生する。
そして、二次振動抑止手段は、この二次振動を抑制するものであり、一次振動の伝搬の抑制を目的としたものではない。
前記電磁的衝撃を与えたときに、前記缶体の缶蓋で生じる一次振動を抑制する一次振動抑止手段を備え、前記一次振動抑止手段が、前記缶蓋を直接又は間接的に押圧し当該缶蓋で生じる一次振動を抑制する押圧部材である構成としてある。
また、本発明の打検装置は、特許文献1に記載されている内圧検査装置のように缶底の外周縁部を全周にわたって押圧する構成ではなく、缶体の蓋部に接触等する構成としたので、多数の押圧体を用意する必要はなく、一つの缶体に対して一次振動抑止手段を少なくとも一つ備えることで実現できる。このため、缶蓋で生じる一次振動を、簡易な構成で確実に抑制できる。
さらに、本発明の打検装置及び打検方法における一次振動抑止手段は、電磁的衝撃を与えたときに、缶底で発生した一次振動が缶蓋に伝搬し、この缶蓋で生じる共振振動を抑制する手段であるので、特許文献2に記載の二次振動抑止手段が抑制の対象としていない一次振動を抑制することができる。
まず、本発明の打検装置及び打検方法の第一実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態の打検装置の構成を示す概略構成図である。
図1に示すように、打検装置1は、打検ヘッド10と、演算装置20と、被載置部材30と、一次振動抑止手段40とを備えている。
打検ヘッド10は、電磁コイル11と、マイクロフォン12とを有している。
電磁コイル11は、倒立させた缶体Cの上部に位置する缶底C2に電磁的衝撃を与えて強制励振させるための電界発生手段である。本実施形態において、電磁コイル11が電磁的衝撃を与えるのは缶体Cの缶底C2であり、この缶底C2が、電磁的衝撃を受けて振動を生じる打検振動部となる。
なお、電磁コイル11には、例えば、エキサイタコイルなどを用いることができる。
周波数解析部21は、マイクロフォン12から出力された打検信号を入力し、この打検信号の示す打検音の周波数解析を行って、打検音の周波数と音響レベルとを算出する。また、周波数解析部21は、算出した音響レベルが、ピークを示す周波数と予め設定された缶内圧値との相関にもとづいて、缶体Cの内圧値を算出する。
良否判定部22は、周波数解析部21での解析結果にもとづいて缶体Cの良否判定を行う。例えば、周波数解析部21により算出された内圧値と、予め設定された適正缶内圧とを比較し、算出された内圧値が適正缶内圧の範囲内にあるときは、その内圧値を適正と判定し、当該缶体Cを良品と判定する。一方、算出された内圧値が適正缶内圧の範囲内にないときは、その内圧値を不適正と判定し、当該缶体Cを不良品と判定する。
なお、ここでは、算出された内圧値を用いて缶体Cの良否判定を行うこととしたが、この良否判定は、打検音の周波数を用いて行うこともできる。すなわち、良否判定部22は、その周波数が適正缶内圧に対応する周波数帯域内にあるときには、当該缶体Cを良品と判定する。一方、その周波数が適正缶内圧に対応する周波数帯域内にないときには、当該缶体Cを不良品と判定する。
本実施形態において、被載置部材30は、固定された板状の部材とする。ただし、被載置部材30は、移動可能な板状の部材や、ベルトコンベアの搬送板などであってもよい。
缶体Cは、本実施形態の打検装置1を用いて、内圧検査が行われる検査対象である。図1に示すように、飲料等が充填、密封された缶体Cの缶胴C1、缶底C2、及び缶蓋C3とで構成されている。なお、本実施形態においては、缶胴C1と缶底C2が一体成形され、缶蓋C3が卷締められた2ピース缶を例示している。
この缶体Cは、アルミニウム又はアルミニウム合金製の陽圧缶(窒素ガス充填)、あるいはスチール製の負圧缶のいずれであってもよい。
本実施形態において、一次振動抑止手段40は、缶体Cの缶蓋C3に直接接触する押圧部材41である。押圧部材41は、この接触により、当該缶蓋C3に生じる一次振動を抑制する。
具体的に、押圧部材41は、図1、図2に示すように、被載置部材30において、缶体Cが載置される箇所に開口32が形成されており、その開口32に対して下方から挿入され、当該押圧部材41の上部が被載置部材30の上面31から上方に突出する位置に配置する。
これにより、押圧部材41は、被載置部材30の上面31に載置された缶体Cの缶蓋C3に対して、その突出した上部を直接接触させることができる。
なお、開口32は、例えば、被載置部材30に形成された円形状あるいは矩形状の貫通孔であってもよく、あるいは、二枚の被載置部材30の間隙として形成したものであってもよい。前者の場合、開口32の面積は、缶体Cの缶蓋C3の面積よりも小さい面積とする。一方、後者の場合、二枚の被載置部材30の間隔は、缶体Cの缶蓋C3の直径よりも短い長さとする。
缶体Cには、缶胴C1の端部周縁部に缶蓋C3を卷締めた巻き締め部C5が形成されている。缶体Cを倒立させたとき、巻き締め部C5は、缶蓋C3の周囲から下方へ突出した状態となり、缶蓋C3の天面部C4よりも下方に位置する。
ここで、巻き締め部C5の下端の頂部C6を通る仮想的な平面を第一仮想平面K1とすると、第一仮想平面K1と缶蓋C3の天面部C4との間には、蓋側空間C7が仮想的に形成される。
突出高さT1をこのような高さとすることにより、倒立状態の缶体Cを被載置部材30の上面31に載置したときに、押圧部材41の上部が缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触し、この天面部C4を押圧する(図2(ii)参照)。
なお、押圧部材41の突出高さT1は、例えば、0.1mm〜10.0mm、好適には3.0mm〜5.5mmの範囲内とすることができる。また、突出高さT1は、缶胴径、缶蓋径、あるいは缶蓋C3の天面部C4側の構成(タブC8の形状、天面部C4の形状)を考慮し、適切な数値を選択する。
この場合、押圧部材41の突出高さT1は、蓋側空間C7の高さC71からタブC8の厚みを引いた高さと同じ高さ、又は、この高さよりも高くする。
このように、押圧部材41の上部を、缶蓋C3の天面部C4、あるいは缶蓋C3の天面部C4に設けたタブC8に接触させるいずれの場合であっても、押圧部材41が缶蓋C3に接触するので、この缶蓋C3の振動を抑制できる。
なお、以下の説明においては、押圧部材41の蓋部C3への接触は、上述した押圧部材41の缶蓋C3(天面部C4、あるいはタブC8)に対する接触を意味する。
そして、この付勢手段42は、押圧部材41を上方へ向かって付勢し、当該押圧部材41を缶体Cの缶蓋C3に接触させ、かつ、押圧する。
この付勢手段42には、例えば、コイルバネなどの弾性部材を用いることができる。
具体的には、例えば、図3、図4に示すように、円柱形状(図3(i))、円筒形状(図3(ii))、円筒形状の上部に切欠き411が形成された形状(図3(iii))、角柱形状(図4(i))、角筒形状(図4(ii))、角筒形状の上部に切欠き411が形成された形状(図4(iii))などの形状とすることができる。
押圧部材41の形状を上部平面形とすることにより、当該押圧部材41の上部の水平面を缶体Cの缶蓋C3に接触させることができる。これにより、この缶蓋C3に生じる一次振動を抑制することができる。
また、円筒形状の上部や角筒形状の上部に切欠き411が形成された形状とすることにより(図3(iii)、図4(iii))、缶蓋C3の天面部C4に設けられたタブC8への接触を回避しつつ、天面部C4に直接接触させて、一次振動を抑制することができる。
具体的には、例えば、図5に示すように、砲弾型(同図(i))、アーチ型(同図(ii))、斜面付アーチ型(同図(iii))、円板の上に砲弾型を設けた形状(同図(iv))、山形形状(同図(v))などの形状とすることができる。
押圧部材41の形状を上部曲面形とすることにより、当該押圧部材41の曲面CSの頂部を缶体Cの缶蓋C3に接触させることができる。これにより、この缶蓋C3に生じる一次振動を抑制することができる。
また、上部曲面形の場合、当該押圧部材41の曲面CSの頂部と、缶体Cの缶蓋C3との接触面積が小さくなり、当該押圧部材41が缶蓋C3を押圧する力がその接触部分に集中するので、この缶蓋C3に生じる一次振動を確実に抑制することができる。
具体的には、例えば、図6、図7に示すように、円板状(図6(i))、ロール状(図6(ii))、傾斜面付きロール状(図6(iii))、立方体状又は直方体状(図7(i))、多角柱形状(図7(ii))、歯車形状(図7(iii))、カム形状(図7(iv))、円柱形状の周面に複数の凸部413が形成された形状(図7(v))などの形状とすることができる。
押圧部材41の形状を回転形とすることにより、当該押圧部材41の周面DSや歯車形状の歯端、カム形状の突出部412、円柱形状の周面に形成された凸部413を缶体Cの缶蓋C3に接触させることができる。これにより、この缶蓋C3に生じる一次振動を抑制することができる。
また、回転形は、缶体Cが一方向に移動するような場合に、この移動に追随しながら回転しつつ、缶蓋C3に接触し続けることができるので、この缶蓋C3に生じる一次振動を確実に抑制することができる。
そして、これら軸414及び支持体415が付設された押圧部材41は、支持部材43の上面に配置される。
次に、打検装置の動作である本実施形態の打検方法について、図9を参照して説明する。
同図は、本実施形態の打検方法の各ステップを示すフローチャートである。
なお、打検装置1の構成、特に、押圧部材41、被載置部材30、支持部材43等の構成は、図1、図2に示した構成とする。
これにより、押圧部材41は、缶体Cの缶蓋C3に接触し、かつ、この缶蓋C3を押圧する。
そして、打検ヘッド10の電磁コイル11に電流を流す。これにより、缶体Cの缶底C2に電磁的衝撃が与えられる(電磁的衝撃付与ステップ、S12)。
電磁的衝撃が与えられた缶体Cの缶底C2では、一次振動が生じて振動音が発生する。この振動音が打検音として打検ヘッド10のマイクロフォン12で検出される(打検音受取ステップ、S13)。
検出された打検音が、マイクロフォン12で電気的信号が打検信号に変換されて当該マイクロフォン12から出力され、演算装置20へ送信される(打検信号出力ステップ)。
そして、演算装置20の良否判定部22では、その判別された缶内圧にもとづいて、缶体Cの良否判定が行われる(良否判定ステップ、S16)。
これにより、缶体Cの缶蓋C3からは、振動音が発生せず、S13に示す打検音受取ステップにおいては、この振動音がマイクロフォン12で検出されることがなくなる。
このため、マイクロフォン12は、缶体Cの缶底C2にて発生した振動音のみを打検音として検出することができ、演算装置20の周波数解析部21は、その打検音にもとづき測定する周波数を、缶底C2からの打検音の周波数のみとして打検信号の周波数解析をすることができる。そして、演算装置20の良否判定部22では、缶底C2からの打検音の周波数に対応する内圧値が適正缶内圧の範囲内にあるか否かを判定することで、当該缶体Cの良否判定を行うことができる。
従って、演算装置20の良否判定部22では、缶体Cの缶蓋C3から発生する振動音によって、適正缶内圧である当該缶体Cを不良品とする誤った判定が回避される。これにより、缶体Cの良否判定の精度が向上する。
これにより、缶蓋で生じる一次振動に起因する振動音がマイクロフォンで検出されることがなく、演算装置の良否判定において、その振動音にもとづく誤判定を回避できる。よって、缶体の不良品検出の精度を向上させることができる。
特許文献1に記載されている内圧検査装置は、缶体の缶底の外周縁部を押圧する押圧体を多数備えているため、同装置は、構成が複雑となっている。
これに対し、本発明の打検装置によれば、一缶に対応して押圧部材が一つであり、このため、構成が簡易となっている。
しかも、このように押圧部材が一つという非常に簡易な構成でありながら、特許文献1に記載されている内圧検査装置の押圧体と同様の効果を奏する。すなわち、本発明の押圧部材は、缶体の缶蓋に接触して押圧することにより、缶体の缶底で発生した一次振動が、缶胴及び缶蓋へ伝搬するのを抑制することができる。このため、演算装置の周波数解析部で測定されるピーク周波数が、缶底で発生した打検音の周波数のみとなり、他の周波数帯域ではピークが測定されなくなり、缶体の良否判定の精度を向上させることができる。
特許文献2に記載の打検装置は、電磁的衝撃を与えたときに、缶体が飛び上がり、着地したときに生じる二次振動を抑制する二次振動抑止手段を備えている。
二次振動抑止手段は、この二次振動を抑制するために備えられるものであり、一次振動の伝搬の抑制を目的としたものではない。
これに対し、本発明の打検装置は、一次振動の伝搬の抑制を目的としており、この点で、本発明の打検装置は、特許文献2に記載の打検装置と相違する。
また、特許文献2に記載の二次振動抑止手段は、缶体が飛び上がらないようにするために、缶体に上方から下方向の力を加えている。
これに対し、本発明の打検装置は、缶体の缶蓋で生じる一次振動を抑制するために、缶蓋に対して下方から上方向の力を加えている。この点でも、本発明の打検装置は、特許文献2に記載の打検装置と相違する。
このように、本発明の打検装置と特許文献2に記載の二次振動抑止手段は、缶体に対する作用が異なるとともに、その目的も異なったものとなっている。
次に、本発明の打検装置及び打検方法の第二実施形態について、図10を参照して説明する。
同図は、本実施形態の打検装置の構成を示す平面図である。
本実施形態は、第一実施形態と比較して、打検装置が、缶体が収納された収納手段を搬送する搬送装置を備えた点で相違する。また、第一実施形態では、被載置部材を介して単体で搬送される缶体の缶蓋に、直接接触する位置に打検装置の押圧部材を設置する構成としたのに対し、本実施形態では、缶体が収納された収納手段(ケース)を搬送する搬送装置に押圧部材を設置した構成となっている。他の構成要素は、第一実施形態と同様である。
したがって、図10〜図25において、上述した第一実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の打検装置1は、複数の缶体Cを収納した収納手段Sを搬送する搬送装置50に設けられる。
ここでは、搬送装置50の構成について先に説明し、その後に、搬送装置50以外の打検装置1の構成について説明する。
搬入路51は、搬送対象である収納手段Sを排斥部52を介して搬出路53、あるいは排出路54へ搬送するための可動経路であって、図11に示すようにローラ61、あるいは図12に示すようにコンベア62などの回転体60を並べて搬送経路として構成する。
そして、この搬入路51の回転体60は、図示しない駆動モータによる駆動によって回転する。
この収納手段Sは、収納された缶体Cが倒立状態となるように搬入路51に載せられる。すなわち、図11に示すように、収納手段Sに収納された缶体Cの缶蓋C3の天面部C4と、搬入路51が形成する第二仮想平面K2とが、収納手段Sの底板部S1を介して、対向する姿勢で収納手段Sが搬入路51に載せられる。これにより、缶体Cの内部においては、内容物の上方と缶底C2との間に空間が形成される。
これら搬出路53及び排出路54は、搬入路51と同様、回転体60を並べて搬送経路として構成する。
この不良品排除手段55は、収納手段Sを排斥部52から排出路54の方へ押し込むためのエアーシリンダ(図示せず)と、このエアーシリンダを駆動する駆動制御部(図示せず)とを備えることができる。
そして、不良品排除手段55は、打検装置1の良否判定部22における判定の結果にもとづいて、その振り分けを行う。
例えば、良否判定部22における判定の結果、収納手段Sに収納された複数の缶体Cのすべてが良品であると判定されたとき、エアーシリンダを駆動させずに、当該収納手段Sを、排斥部52を介して搬出路53へ送る。一方、収納手段Sに収納された複数の缶体Cの中に不良品があると判定されたとき、エアーシリンダを駆動して、当該収納手段Sを排斥部52から排出路54へ排出する。
ここで、打検ヘッド10は、図11、図12に示すように、搬入路51の下流部において、当該搬入路51を基準として、収納手段Sの高さよりも高い位置に配置されている。
そして、収納手段Sが搬入路51の回転体60によって搬送され、打検ヘッド10の直下を通過させることにより、当該収納手段Sに収納された缶体Cの内圧を、順次個別に検査する。
すなわち、打検ヘッド10の連設方向と、搬送方向に直交する方向とは、所定の角度を有しており、この角度は、マイクロフォン12が、隣のマイクロフォン12が検出すべき缶体Cの缶底C2からの打検音を検出しない時間間隔となるように、例えば、収納手段Sの搬送速度や、缶体Cの材質や缶サイズ等により決定される。
このため、搬入路51の回転体60により搬送される収納手段Sと、収納された缶体Cが押圧部材41の配設位置に到達し、その下方に押圧部材41が位置すると(図18参照)、収納手段S及び缶体Cが自重によって押圧部材41を押し下げる。そして、収納手段Sに収納されている缶体Cと押圧部材41との間には収納手段Sの底板部S1が介在し、この底板部S1の内面S2と缶体Cとの間には蓋側空間C7が形成されており、押圧部材41が底板部S1を下方から上方へ押圧して(押し上げて)山形状に変形させ、当該底板部S1の内面S2を缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触させることで、間接的に缶蓋C3を押圧する状態となる。
これにより、打検ヘッド10から缶体Cに電磁的衝撃が与えられて、缶体Cの缶底C2に一次振動が生じても、押圧部材41が、収納手段Sの底板部S1を介して缶体Cの缶蓋C3を押圧し続けるため、缶底C2から缶蓋C3への一次振動の伝搬が抑制される。よって、当該缶蓋C3で生じる一次振動を抑制することができる。
しかしながら、本実施形態においては、搬送装置50の回転体60により、搬送中の収納手段Sが押圧部材41の上方を通過する必要があることから、その形状は、上部曲面形又は回転形(図5〜図7)であることが望ましい。
具体的に、幅w1は、0.1mm〜62.0mmの範囲内とするのが望ましい。
なお、砲弾型の曲面CSは、完全な半球状であってもよく、半球状でなくてもよい。例えば、図14(ii)に示すように、曲面CSの頂部tpを通って縦方向に当該押圧部材41を切断したときの断面における当該曲面CSの形状は、半円状であってもよく、あるいは、水平方向に長い楕円形状や、垂直方向に長い楕円形状などであってもよい。
さらに、押圧部材41の形状が、例えば、図5(ii)、(iii)、(v)に示す上部曲面形である場合、曲面CSの曲率半径(図13(ii)参照)も同様に、頂部tpが天面部C4に接触し、かつ巻き締め部C5間に収まる範囲内で適宜設定することができる。
そして、上述したように、曲面CSの曲率半径を適宜選択することで、押圧部材41の上方を通る収納手段Sの滑り性を良くして、搬送装置50による収納手段Sの搬送をスムーズに行うことができる。
押圧部材41が回転してこの押圧部材41の上端部が移動する方向を上端部回転方向rdとしたときに、この上端部回転方向rdが、搬入路51における収納手段Sの搬送方向と同じ方向となるように、当該押圧部材41を搬入路51に設置する。
このような向きに押圧部材41を設置することにより、収納手段Sが移動する方向と、押圧部材41が回転してこの上端部が移動する方向とが一致するので、収納手段Sが押圧部材41に乗り上げ容易となる。
具体的に、幅w2〜w4は、0.1mm〜62.0mmの範囲内とするのが望ましい。
また、押圧部材41の形状が図7(iv)のカム形状の場合、あるいは押圧部材41の形状が図7(v)の円柱形状の周面に複数の凸部413が形成された形状の場合、カム形状における一つの突出部412から隣の突出部412までの長さn2と、図7(v)の形状における一つの凸部413から隣の凸部413までの長さn3は、収納手段Sに収納された複数の缶体Cのうち、搬送方向に並ぶ二つの缶体Cの各缶蓋C3の中心同士の間隔の整数分の一の長さとする。
押圧部材41をこのような形状とすることにより、一つの缶体Cの蓋側空間C7の下方に押圧部材41が位置し、この押圧部材41の角部416、突出部412、凸部413が収納手段Sの底板部S1の下方に位置して、この底板部S1を下方から押し上げて当該底板部S1の内面S2を缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触させる。その後、当該収納手段Sが移動して、隣の缶体Cの蓋側空間C7の下方に押圧部材41が位置したときに、この押圧部材41の他の角部416、突出部412、凸部413がその蓋側空間C7の下方に位置し、当該他の角部416、突出部412、凸部413(隣の角部416、又は、二つ先、あるいは、三つ先の角部416など)が収納手段Sの底板部S1を下方から押し上げて、当該底板部S1の内面S2を缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触させる。
このように押圧部材41の角部416、突出部412、凸部413が、収納手段Sの底板部S1の外面S3を押し上げる場合、押し上げる力がその押圧部材41の角部416、突出部412、凸部413の端部に集中するので、収納手段Sの底板部S1の内面S2を確実に、缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触させることができる。
具体的には、例えば、押圧部材41が上部平面形又は上部曲面形である場合、当該押圧部材41を下側から上方に向かって付勢する付勢手段42が当該押圧部材41の下方に設けられており、この付勢手段42により押圧部材41が支持されている(図1参照)。なお、押圧部材41を付勢手段42によって支持する場合、搬入路51においては、押圧部材41が配設される位置の下方に支持部材43を配置し、この支持部材43の上面に付勢手段42及び押圧部材41を配設するようにする。
また、付勢手段42には、例えば、エアーシリンダや、モータとカムなどの駆動装置などを用いることもできる。
駆動装置は、押圧部材41を上下方向に移動させ、この押圧部材41を上方へ押し上げることにより、収納手段Sの底板部S1を押し上げて缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触させる。
付勢手段42として駆動装置を用いた場合、押圧部材41が収納手段Sの底板部S1を押圧するときの押圧力は、0.01〜0.25MPa(内容量が500gのアルミニウム製の缶体Cを30缶、収納手段Sに収納した場合を想定)とする。押圧力をこのような範囲とすることにより、収納手段Sが段ボール紙の場合、押圧部材41が収納手段Sの底板部S1を確実に押し上げて、缶蓋C3に生じる一次振動を抑制することができる。
そして、押圧部材41が位置する二つのローラ61間の間隔D12は、押圧部材41を上下方向に移動可能、または回転可能に配置できれば、その範囲内で適宜選択できる。
それら複数のコンベア62のうち、押圧部材41が位置する二つのコンベア62間の間隔D22は、押圧部材41を上下方向に移動可能、または回転可能に配置できれば、その範囲内で適宜選択できる。
突出高さT2をこのような高さとすることにより、搬送中の収納手段Sの押圧部材41の上部への乗り上げが容易になるとともに、押圧部材41が収納手段Sの底板部S1を押し上げて、この底板部S1の内面S2を缶体Cの缶蓋C3に接触可能となる。
なお、押圧部材41は、回転形であるものとする。
搬入路51の上流側から搬送されてきた収納手段Sは、下流側へ向かう途中で、押圧部材41が配置された位置に到達する(図16)。
このとき、収納手段Sの搬送方向の前面部S4の下部が押圧部材41に接触する。
なお、図17においては、押圧部材41が、時計回りに回転する。
また、このとき、押圧部材41は、乗り上げた収納手段S及び缶体Cの自重によって下方へ押し下げられるが、押圧部材41の上部は、搬入路51の上面である第二仮想平面K2よりも上方に突出した状態となっている。
この状態は、押圧部材41と巻き締め部C5との間には収納手段Sの底板部S1が存在し、空間が存在しないため、収納手段Sは、押圧部材41に乗り上げた状態となる。この結果、押圧部材41が第二仮想平面K2から上方に突出する高さT2の分だけ収納手段Sが持ち上がり、収納手段Sの底板部S1の外面S3と搬入路51の上面との間が離間する。
この場合、缶体Cの缶蓋C3の天面部C4と、収納手段Sの底板部S1の内面S2との間に蓋側空間C7が存在しているので、内容物が充填、密封された缶体Cが収納された収納手段Sが下降しようとし、この下降に相対して、押圧部材41が蓋側空間C7の下方から収納手段Sの底板部S1を上方へ押し上げる。これにより、収納手段Sの底板部S1の内面S2が、缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触する。
このため、缶体Cの缶蓋C3からは、振動音が発生しなくなり、この振動音がマイクロフォン12で検出されなくなるので、演算装置20の周波数解析部21において測定される打検音の周波数が、缶底C2からの打検音による周波数のみとなり、缶体Cの良否判定の精度を向上できる。
このため、演算装置20の周波数解析部21においては、マイクロフォン12から送られてきた打検音の周波数が、いずれも缶底C2からの打検音による周波数のみとなるので、収納手段Sに収納された缶体Cのすべてについて、良否判定の精度を向上できる。
次に、上述した本実施形態の打検装置の動作である打検方法について、図21を参照して説明する。
同図は、本実施形態の打検方法の各ステップを示すフローチャートである。
なお、押圧部材41は、回転形であるものとする。
また、打検装置1及び搬送装置50の構成は、図10及び図11に示した構成とする。
搬入路51を構成する回転体60が回転することにより、収納手段Sが搬送方向に向かって搬送される(収納手段搬送ステップ、S20)。
収納手段Sが押圧部材41の配設された位置に達し、さらに搬入路51の回転体60が回転すると、収納手段Sが押圧部材41の上方に乗り上げる。
そして、搬入路51の回転体60がさらに回転すると、収納手段Sに収納された缶体Cの蓋側空間C7の下方に押圧部材41が位置し、この押圧部材41が収納手段Sの底板部S1を下方から上方へ押し上げる。これにより、収納手段Sの底板部S1の内面S2が、缶体Cの缶蓋C3の天面部C4に接触する(缶蓋接触ステップ、S21)。
電磁的衝撃が与えられた缶体Cの缶底C2に振動音が発生し、この振動音が打検音として打検ヘッド10のマイクロフォン12で検出される(打検音受取ステップ、S23)。
検出された打検音が、マイクロフォン12で電気的信号の打検信号に変換されて当該マイクロフォン12から出力され、演算装置20へ送信される(打検信号出力ステップ)。
そして、演算装置20の良否判定部22では、その判別された缶内圧にもとづき、缶体Cの良否判定が行われる(良否判定ステップ、S26)。ここで、不良と判定された缶体Cは、不良缶排除手段55により排除される(不良缶排除ステップ、S27)。
これにより、缶体Cの缶蓋C3からは振動音が発生せず、S23に示す打検音受取ステップにおいては、この振動音がマイクロフォン12で検出されることはない。
このため、マイクロフォン12は、缶体Cの缶底C2にて発生した振動音のみを打検音として受け取ることができ、演算装置20の周波数解析部21は、その打検音にもとづき測定される周波数を、缶底C2からの打検音の周波数のみとすることができる。そして、演算装置20の良否判定部22では、缶底C2からの打検音の周波数に対応する内圧値が適正缶内圧の範囲内にあるか否かを判定することで、当該缶体Cの良否判定を行うことができる。
従って、演算装置20の良否判定部22では、缶体Cの缶蓋C3から発生する振動音によって、適正缶内圧である当該缶体Cを不良品とする誤った判定が回避される。これにより、缶体Cの良否判定の精度が向上する。
次に、本実施形態の実施例について、図22〜図25を参照して説明する。
この缶体Cには、水を185g充填、密封した。
収納手段Sは、段ボール紙を用いて直方体状に形成したものを使用した。
この収納手段Sには、4×6=24缶の缶体Cを収納した。
搬送装置50は、図10に示した構成のものを使用した。
搬送装置50の搬入路51の下流部において、この搬入路51の上方に打検ヘッド10を配置し、この打検ヘッド10の直下に、押圧部材41を配置した。打検ヘッド10、押圧部材41の数は、それぞれ、収納手段Sに収納されている缶体Cの行数と同じ数である四つとした。
そして、搬入路51の上流側の回転体60上に収納手段Sを載置し搬送し、図21のフローチャートに示す工程にしたがって、缶体Cに対し打検を行い、収納手段Sに収納された24個の缶体Cのすべてから打検音を検出し、各打検音ごとに周波数解析を行った。
同図は、24缶の缶体Cの中から選択した一缶の缶体Cについて、周波数解析を行った結果を示すグラフである。横軸は、周波数を示しており、縦軸は、打検音の音響レベル(音圧値)を示している。
同図に示すように、この周波数分布において、4.6kHz付近に音響レベルのピーク値が測定された。また、これ以外の周波数帯域においては、ピーク値と呼べるほどの高い値を示した音響レベルは測定されなかった。
これら内圧の異なる複数の缶体Cのすべてについて、測定した打検音の周波数にもとづいて、内圧とデジット(打検値、周波数の1/10の値)との関係をグラフ化した。
同図に示すように、内圧とデジットとは、線形的な関係で示されており、一の内圧に対するデジットのばらつきが非常に小さいものとなった。
この結果から、一次振動抑止手段40として押圧部材41を用いることにより、周波数分布におけるピーク値が一つに特定可能となり、缶体Cの良否判定の精度を高められることがわかった。
また、このように内圧とデジットとの関係において、線形的な関係が得られたため、缶体Cの内圧の判別及び密封漏れ、さらには内圧規格外製品をはじめとする不良品の判別が可能であることが証明できた。
図10に示した構成を備える搬送装置50において、同図に示した構成の打検装置1を配置したが、押圧部材41は、搬送装置50の搬入路51に配置しなかった。
図21のフローチャートに示す工程にしたがって、缶体Cに対し打検を行い、 収納手段Sに収納された24缶の缶体Cのすべてから打検音を検出し、各打検音ごとに周波数解析を行った。
同図は、24缶の缶体Cの中から選択した一缶の缶体Cについて、周波数解析を行った結果を示すグラフである。図22と同様、横軸は、周波数を示しており、縦軸は、打検音の音響レベル(音圧値)を示している。
同図に示すように、この周波数分布において、3.0kHz付近にピーク値が測定され、また、4.2kHz付近や4.7kHz付近にもピーク値が測定された。
収納手段Sに収納された缶体Cのすべてから打検音を検出し、各打検音ごとに周波数解析を行い、これら内圧の異なる複数の缶体Cのすべてについて、測定した打検音の周波数にもとづいて、内圧とデジットとの関係をグラフ化した。
同図に示すように、一つの内圧において、デジットにばらつきがあり、また、内圧の大きさに関係なく、いずれの内圧においても、デジットにばらつきがみられた。
この結果から、押圧部材41を用いずに打検を行った場合には、周波数分布におけるピーク値が複数表れるようになり、缶体Cの良否判定の精度が低下することがわかった。
特許文献1に記載されている内圧検査装置は、缶体の缶底の外周縁部を押圧する押圧体を多数備えている。このため、同装置は、構成が複雑となっている。
これに対し、本実施形態の打検装置は、一つの缶体に対して押圧部材が一つのみ備えられており、このため、構成が簡易となっている。
しかも、このように押圧部材が一つという非常に簡易な構成でありながら、特許文献1に記載されている内圧検査装置の押圧体と同様の効果を奏する。すなわち、本発明の押圧部材が収納手段の底板部を押圧し、この底板部の内面を缶体の缶蓋に接触させることにより、缶体の缶底で発生した一次振動が、缶胴及び缶蓋へ伝搬するのを抑制することができる。このため、演算装置の周波数解析部で測定されるピーク周波数が、缶底で発生した打検音の周波数のみとなり、他の周波数帯域ではピークが測定されなくなり、缶体Cの良否判定の精度を向上させることができる。
特許文献1に記載されている内圧検査装置は、押圧体が収納手段の上方に位置しており、押圧体が、収納手段の移動に伴ってこの収納手段の前面上部を乗り越えるとともに、収納手段の上面を下方へ押さえ付けることとしているが、実際にこの動作を押圧体とバネとで実現するのは、困難であった。
これに対し、本実施形態の打検装置は、押圧部材が収納手段の下方に位置しており、搬送装置によって搬送される収納手段が、押圧部材の上方を乗り越えながら移動する。
このため、押圧部材は、収納手段に収納された缶体の下方に容易に到達可能となり、この収納手段の底板部を確実に上方へ押圧して、この底板部の内面を缶体の缶蓋に接触させることができる。
次に、本発明の打検装置及び打検方法の第三実施形態について、図26(i)、(ii)を参照して説明する。
図26(i)は、一次振動抑止手段である押圧部材が設けられた収納手段の断面図、(ii)は、(i)に示した収納手段の要部拡大図(缶体の下部の拡大図)である。
本実施形態は、上述した第二実施形態と比較して、一次振動抑止手段の構成が相違する。すなわち、第二実施形態では、一次振動抑止手段を、収納手段の底板部の下方から上方へ押圧し、この底板部の内面を缶体の缶蓋に接触させていたのに対し、本実施形態では、一次振動抑止手段が、収納手段の内部に形成され、缶体の缶蓋に接触させる点で相違し、他の構成要素は、第二実施形態と同様である。
したがって、上述した第二実施形態と同様の構成部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
具体的に、押圧部材44は、缶体Cの缶蓋C3の中央部分に対向する位置に配置する(図26(i)、(ii)参照)。また、押圧部材44は、缶体Cの缶蓋C3の中央部分以外の部分に対向する位置、例えば、当該缶蓋C3の天面部C4においてタブC8が設けられていない部分に対向する位置、あるいは、天面部C4の周縁部分に対向する位置などに配置することができる。
このように、押圧部材44は、倒立状態の缶体Cが収納手段Sの底板部S1の内面S2に載置されたときに、当該缶体Cの缶蓋C3に対向可能な位置に配置する。
また、押圧部材44の大きさは、缶体Cの蓋側空間C7に収まる程度の大きさとする。
一方、押圧部材44を、缶体Cの缶蓋C3に取り付けたタブC8以外の天面部C4に接触させる場合、押圧部材44の突出高さT3は、缶体Cの蓋側空間C7の高さC71と同じ高さ、又はこれよりも高くなるようにする。これにより、この缶体Cの天面部C4に対して、押圧部材44の上部を接触させ、缶体Cの缶蓋C3で生じる一次振動を抑制できる。
この場合、押圧部材44が、缶蓋C3の天面部C4やタブC8の外形に応じて変形するので、天面部C4やタブC8に密着する面積が広くなり、缶蓋C3で生じる振動を確実に抑制できる。
10 打検ヘッド
20 演算装置
40 一次振動抑止手段
41 押圧部材
413 凸部
44 押圧部材
50 搬送装置
60 回転体
61 ローラ
62 コンベア
C 缶体
C3 缶蓋
C4 天面部
C7 蓋側空間
S 収納手段
K1 第一仮想平面
K2 第二仮想平面
Claims (12)
- 缶体に電磁的衝撃を与え、前記缶体の打検振動部から発せられる打検音を受け、前記打検音を打検信号に変換して出力する打検ヘッドと、前記打検信号を解析して前記缶体の缶内圧を判別する演算装置とを備えた打検装置であって、
前記電磁的衝撃を与えたときに、前記缶体の缶蓋で生じる一次振動を抑制する一次振動抑止手段を備え、
前記一次振動抑止手段が、前記缶蓋を直接又は間接的に押圧し当該缶蓋で生じる一次振動を抑制する押圧部材である
ことを特徴とする打検装置。 - 前記押圧部材が、被載置部材の上面に倒立状態で載置された缶体の下方から、当該缶体の缶蓋に直接接触可能な箇所に配置された
ことを特徴とする請求項1記載の打検装置。 - 前記押圧部材の上部が、前記被載置部材の上面から上方に突出しており、
前記押圧部材の上部の突出方向の高さが、前記被載置部材の載置面を基準として0.1mm〜10.0mmの範囲内である
ことを特徴とする請求項2記載の打検装置。 - 前記缶体が収納手段に収められており、
前記押圧部材が前記収納手段を押圧し、前記収納手段を前記缶蓋に接触させることにより当該缶蓋を間接的に押圧して、当該缶蓋で生じる一次振動を抑制する
ことを特徴とする請求項1記載の打検装置。 - 前記押圧部材は、当該押圧部材の下部が搬入路の載置面よりも下方に位置し、当該押圧部材の上部が前記載置面から上方に突出する位置に配置された
ことを特徴とする請求項4記載の打検装置。 - 前記押圧部材の上部の突出方向の高さが、前記搬送路の載置面を基準として0.1mm〜10.0mmの範囲内である
ことを特徴とする請求項5記載の打検装置。 - 前記収納手段が、前記載置面上で移動可能であり、
前記押圧部材が、少なくとも上部に曲面を有し、
前記曲面は、矩形の平面を湾曲させた形状となっており、かつ、前記矩形の平面のうちの対向する二辺が平行であり、この平行を保ちつつ、他の二辺を湾曲させた形状となっており、
前記平行を保った対向二辺に平行な線を前記曲面の頂部に引いたときの当該線に直交する方向であって水平方向を向く方向を頂部直交方向としたときに、この頂部直交方向が前記収納手段の移動方向と同じ方向となるように、当該押圧部材が配置された
ことを特徴とする請求項5又は6記載の打検装置。 - 前記収納手段が、前記載置面上で移動可能であり、
前記押圧部材が、水平方向の軸を中心として回転する回転形であり、
この回転形の押圧部材が回転したときに当該押圧部材の上端部が移動する方向を上端部回転方向としたときに、この上端部回転方向が前記収納手段の移動方向と同じ方向となるように、当該押圧部材が配置された
ことを特徴とする請求項5又は6記載の打検装置。 - 前記回転形の押圧部材の周面に複数の凸部を有し、
前記複数の凸部の間隔が、前記収納手段に収納された複数の前記缶体のうち当該収納手段が移動する方向と同じ方向に並ぶ二つ缶体の缶蓋の中心同士の間隔の整数分の一と同じ長さである
ことを特徴とする請求項8記載の打検装置。 - 前記缶体が収納手段に収められており、
前記押圧部材が、前記収納手段の底板部の内面に配置されており、前記押圧部材を缶体の缶蓋に接触させることにより、当該缶蓋で生じる一次振動を抑制する
ことを特徴とする請求項1記載の打検装置。 - 前記押圧部材の高さであって、前記収納手段の底板部の内面からの高さが、0.1mm〜10.0mmの範囲内である
ことを特徴とする請求項10記載の打検装置。 - 缶体に電磁的衝撃を与えるステップと、
前記缶体の打検振動部から発せられる打検音を受け取る打検音受取ステップと、
前記打検音を打検信号に変換して出力するステップと、
前記打検信号を解析して前記缶体の缶内圧を判別するステップとを有する打検方法であって、
前記打検音受取ステップが、前記電磁的衝撃を与えたときに前記缶体の缶蓋で生じる一次振動を、一次振動抑止手段により抑制された状態で、前記缶体の打検振動部から発せられる打検音を受け取るステップであり、
前記一次振動抑止手段が、前記缶蓋を直接又は間接的に押圧し当該缶蓋で生じる一次振動を抑制する押圧部材である
ことを特徴とする打検方法。
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