JP4492311B2 - 打検装置及び打検方法 - Google Patents
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Description
そこで、缶の一部に衝撃を加え、その缶の反響振動を解析することによって缶内圧力を検知し、内容物の腐敗あるいは缶の密封の良否を判定し、不良な缶詰を排除している。圧力と振動との関係は、缶内圧力と外気圧力の差が大きいほど缶壁が張り、缶の固有振動が高くなって高音を発する。すなわち、缶の材質、大きさ、厚みそして2ピース缶か3ピース缶かといった缶の形態が同じであれば、その反響振動は主として缶の内圧に依存することになる。
陰圧缶詰は、真空度がほぼ27〜80kPaの範囲にあり、圧力のばらつきが少なく、かつ、内圧変動に対する固有振動数の変化が大きいので、打検による検知分解能が高く、打検によって密封不良や内容物の腐敗の検出が正確にできる利点がある。しかしながら、陰圧缶詰の場合、陰圧に耐える剛性の高い缶体を必要とし、陽圧缶よりも側壁が厚くなり、製造コストが高くなるという問題点を有している。
ところが、薄肉軽量化された2ピース缶の缶内圧力を打検装置により検査すると、打検音が複数の振動モード成分を含んだ、いわゆる“うなり(飛び)”を生じる複雑な振動となり、検査適性に欠けるという問題が生じていた。
ここで、“うなり”とは、近接した周波数を有する2つの振動が重畳することにより生じる現象であり、打検の場合、“うなり”が発生するということは、測定すべき缶体の平円板部の基底振動に対して、何らかの余分な振動が励起されて重なっていることを意味する。
例えば、底部の外周に形成された円周状の接地部の内側に底面パネル部を有する密封容器において、その底面パネル部の形状を、缶内圧50kPaと0kPaのときの打検周波数の差が100〜2000Hzとなるような曲面形状としたものがある(例えば、特許文献2参照。)。この技術によれば、打検時に発生する打検音の周波数を、“うなり”が生じない周波数帯域にすることができ、打検法の検査精度を高めることができる。
例えば、3ピース缶の場合は、底蓋を胴部分の端部に巻き締める形態であるので、その巻き締め部の存在により、太鼓の振動のような固有振動を主とする比較的単純な振動となる。これに対し、2ピース缶の場合は、胴部と底部が連続しているため、振動における端部となる箇所が明確でなく、その結果、打検音が複数の振動モード成分を含んだ、いわゆる“うなり(飛び)”を生じる複雑な振動となるものと考えられていた。
すなわち、電磁パルスの強度、平円板部の剛性などの因子により、缶体に上向きの力が加わり、意外にも、缶体が床面から一瞬飛び上がることが、実験およびシミュレーションから明らかになった。そして、飛び上がった缶体は再び床面に着地するが、このときの衝撃により、缶体に余分な振動が発生していたのである。
この知見にもとづき、本発明者は、電磁的衝撃が与えられても缶体が飛び上がらないように種々の手段を講じて実験を繰り返したところ、缶体(特に、2ピース缶)を打検により内圧検査したときの“うなり”の発生を抑制し、缶詰の良否判定の精度を高めることができるとの結論に至った。
したがって、薄肉軽量缶体についての打検による検査性能を高めることができ、缶体の安全性が向上し、同時に薄肉軽量缶体の経済的・環境保護的優位性をさらに追求することができる。
上述したように、二次振動抑止手段とは、電磁的衝撃を与えたときに生じる缶体の打検振動部以外の部分の振動の発生を抑止する手段をいう。そして、二次振動抑止手段を設ける目的は、打検信号波形に“うなり”が発生するのを防ぐためである。
“うなり”(共振現象)とは、一次振動に対し、振動数が近接した二次振動が重畳して、その一次振動を乱す現象をいう。打検振動においては、一次振動の発生源は、電磁パルスによって励起された缶体の打検振動部(例えば、缶底部)であり、二次振動の発生源は、缶体の打検振動部以外の部分である。
そして、二次振動は、本発明者の長年の鋭意研究の結果から、電磁的衝撃を受けて飛び上がった缶体が着地したときに受ける衝撃が原因となって発生する振動であることが明らかとなった。
すなわち、その対策とは“うなり”の発生を引き起こす二次振動を抑止することであるが、その具体的な手段として、(1)缶体が電磁的衝撃を受けたときに飛び上がるのを抑止する手段や、(2)飛び上がった缶体が着地した際に受ける衝撃を抑止する手段が有効であることがわかった。
以下に記載する発明は、それら(1)、(2)をさらに具体化したものとして位置付けることができる。
打検装置をこのような構成とすれば、電磁的衝撃を受けた缶体の飛び上がりを阻止できる。このため、打検振動における“うなり”の発生を抑制して、打検法による缶体の良否判定の精度を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすれば、缶体自体が固定手段により固定されているため、その飛び上がりを阻止できる。このため、“うなり”の発生を抑制して、打検装置における検査性能を向上させることができる。
打検装置をこのような構成とすると、缶体が真空吸引手段により引きつけられているため、電磁的衝撃を受けても飛び上がれないようにすることができる。このため、“うなり”の発生を抑え、缶体の缶内圧検査の良否判定を的確に行うことができる。
打検装置をこのような構成とすると、缶体を磁力で引きつけてその飛び上がりを阻止することができる。このため、“うなり”の発生を抑えて、打検装置における缶詰の良否判定の正確さを向上させることができる。
なお、磁界発生手段には、磁石や電磁石などが含まれる。
打検装置をこのような構成とすれば、缶体は、所定の箇所に付着されるため、飛び上がることができない。このため、“うなり”が生じるのを防止して、打検装置の検査性能を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすれば、支持手段により缶体が押さえ付けられて固定されるため、その缶体の飛び上がりを抑制できる。これにより、“うなり”の発生を抑えて、打検装置の内圧検査を高精度で行うことができる。
打検装置をこのような構成とすれば、係止手段が係止することにより、缶体は電磁的衝撃を受けても飛び上がることができなくなる。これにより、缶体からの打検音を変換して得られる波形に“うなり”が含まれることがなくなり、高精度で不良缶を検出できる。
打検装置をこのような構成とすると、缶体の飛び上がる方向に飛び上がり阻止手段が設けられ、さらに、その飛び上がり阻止手段は缶体の底側接地部に接して設けられているため、缶体は、飛び上がろうとしても飛び上がることができなくなる。このため、打検波形に発生していた“うなり”を大幅に減少させることができ、打検装置の検査精度を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすれば、飛び上がった缶体が着地したときの衝撃を抑止することができる。このため、打検振動における“うなり”の発生を抑えて、打検による検査性能を飛躍的に高めることができる。
打検装置をこのような構成とすれば、飛び上がった缶体が着地したときの衝撃を衝撃吸収手段に吸収させることができる。このため、打検波形に発生する“うなり”を減少させることができ、打検の検査性能を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすると、収納手段に収められた缶体に対しても、電磁的衝撃を受けたときの飛び上がりを抑止できる。これにより、打検波形における“うなり”の発生を抑えて、打検装置での缶詰の良否判定の正確さを向上させることができる。
打検装置をこのような構成とすると、収納手段に収められた缶体が固定手段により固定されるため、その飛び上がりを抑止できる。これにより、打検波形に“うなり”が生じなくなり、不良缶の判定精度を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすれば、収納手段に収められた缶体が真空吸引手段により引きつけられて固定されるため、その飛び上がりを抑止できる。このため、“うなり”の発生を抑えて、打検の検査性能を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすると、収納手段に収められた缶体は、磁界発生手段から生じる磁界の引力に引きつけられて飛び上がることができなくなる。このため、打検装置は、“うなり”が発生していない検知波形にもとづいて、確実にかつ高い信頼度で、不良缶を検出し排斥することができる。
打検装置をこのような構成とすれば、収納手段に収められた缶体が接着あるいは粘着により固定されるため、その飛び上がりを阻止できる。このため、“うなり”の発生を防止して、打検装置の検査性能を向上させることができる。
打検装置をこのような構成とすると、収納手段自体が支持手段により一又は二以上の箇所から押さえつけられてしまうため、その収納手段に収められた缶体は、電磁的衝撃を受けた場合でも飛び上がることができなくなる。これにより、打検波形に“うなり”が発生しなくなり、正確に良缶と不良缶とを選別できる。
打検装置をこのような構成とすれば、係止手段が凹部あるいは凸部に係止することで、収納手段に収められた缶体の飛び上がりを抑止できる。このため、“うなり”を抑制して打検の検査性能を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすると、収納手段に収められた缶体が飛び上がろうとしても、飛び上がり阻止手段が邪魔をして飛び上がることができなくなる。これにより、“うなり”が抑制され、打検装置の検査性能を向上できる。
打検装置をこのような構成とすれば、収納手段に収められた缶体に対しても、その飛び上がった缶体が着地したときの衝撃を緩和・抑制できる。このため、打検振動における“うなり”を低減させて、打検装置の検査性能を高めることができる。
打検装置をこのような構成とすれば、収納手段に収められた缶体が飛び上がって着地したときの衝撃を緩和できる。このため、打検波形に発生する“うなり”を減少させ、缶詰の良否判定の精度を高めることができる。
したがって、薄肉軽量缶体についての打検による検査性能を高めることができ、缶体の安全性が向上し、同時に薄肉軽量缶体の経済的・環境保護的優位性をさらに追求することができる。
まず、本発明の打検装置の実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態の打検装置の構成を示す概略構成図である。
同図に示すように、打検装置1は、打検ヘッド10と、演算装置20と、載置手段30と、二次振動抑止手段40(図2以降に図示)と、不良缶排除手段50とを備えている。
演算装置20は、マイクロフォン12からの打検信号を周波数解析する周波数解析部21と、この周波数解析部21での解析結果にもとづいて缶詰の良否判定を行う良否判定部22とを有している。
載置手段30は、検査対象となる缶体Cが置かれる手段である。この載置手段30には、例えば、ベルトコンベアの有する搬送板などが含まれる。
この二次振動抑止手段40の詳細については、後述の[二次振動抑止手段]において説明する。
次に、本実施形態の打検装置に備えられる二次振動抑止手段について、図2〜図18を参照して説明する。図2〜図18は、二次振動抑止手段の具体例をそれぞれ示す構成図である。
二次振動抑止手段40の具体例としては、次のものがある。
<A>缶体Cが単体の場合
(A1)缶体固定手段
(A2)飛び上がり阻止手段
(A3)衝撃吸収手段
(A4)液状体
<B>缶体Cが収納手段に収められている場合
(B1)缶体固定手段
(B2)飛び上がり阻止手段
(B3)衝撃吸収手段
また、(A3)衝撃吸収手段と(B3)衝撃吸収手段とは、飛び上がった缶体が着地したときに受ける衝撃を抑制・緩和するための手段であることから、「衝撃抑止手段」という。
なお、(A4)液状体については、「飛び上がり抑止手段」としての作用・効果と、「衝撃抑止手段」としての作用・効果との双方を有しており、いずれにも分類することができる。
以下、二次振動抑止手段の各具体例について、以下、順次説明する。
(A1:缶体固定手段)
缶体固定手段(固定手段)A1は、缶体C自体を所定の位置に固定して飛び上がりを抑止する手段である。
この缶体固定手段A1の具体例としては、次のものがある。
(A11)吸引手段
(A12)磁界発生手段
(A13)付着手段
(A14)支持手段
(A15)係止手段
吸引手段41aは、缶体Cの蓋部側の気体を吸引するなどして缶体Cを引きつけ所定の位置に固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。
この吸引手段41aの具体例として、例えば、真空吸引手段を用いることができる。
真空吸引手段は、図2に示すように、載置手段30と缶体Cとの間の気体を吸引するための真空ポンプ41a−1と、この真空ポンプ41a−1と吸引口31(載置手段30において缶体Cの直下に穿設された孔)とを接続する吸引管41a−2とを有している。
例えば、缶体Cが3ピース缶や2ピース缶の場合、蓋部と胴部との接合部分すなわち蓋部の周縁部分は、蓋部中央部分よりも若干起立させてから外側へ巻き締められている。このため、図2に示すように、缶体Cが載置手段30に蓋部を下にして倒立したときには、その蓋部の周縁起立頂部(蓋側接地部)が載置手段30に接し、蓋部中央部分と載置手段30との間には空間ができる。真空ポンプ41a−1は、その空間に存在する気体を吸引し、その空間を真空状態にして、缶体Cを引きつける。
真空ポンプ41a−1がボトル本体の周囲の気体を吸引するときと、キャップ天面により吸引口31が完全に塞がれて真空ポンプ41a−1が吸引口31や吸引管41a−2の内部の気体のみ吸引するときとを比較すると、前者の方が吸引効率が悪く、真空ポンプ41a−1の負荷も大きく、しかも缶体Cを引きつける力も弱くなる。
ホルダ32は、載置手段30において缶体Cの載置される位置に設けられる。このホルダ32は、例えば、六面体(立方体や直方体など)を主体として形成することができ、上面32−1から下面32−2へ貫通する貫通孔32−3を有し、この貫通孔32−3の下端が、吸引口31に通じている。また、貫通孔32−3の内面は、載置手段30に載置された状態の缶体Cの表面形状に合わせて形成されている。
この状態で真空ポンプ41a−1を稼動させると、真空状態になる範囲が、吸引口31内部やこれに接するキャップ部の天面を超えて、ホルダ32と缶体Cとに挟まれた空間にまで及ぶようになる。このため、吸引口31内部のみ真空状態にする場合に比べて、缶体Cを引きつける力を強くすることができ、缶体Cを安定的に固定させることができる。しかも、真空ポンプ41a−1の吸引効率を高め、負荷を小さくできる。
なお、ホルダ32は、缶体Cの一部を取り囲むように形成されるが、取り囲む範囲は広い方が望ましい。
磁界発生手段42aは、この磁界発生手段の周囲に磁界を発生させ、この磁力(例えば、磁気の引力)により缶体Cを引きつけ所定の位置に固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。特に、缶体Cがスチールなどの磁性体で形成されている場合には有効である。
この磁界発生手段42aの具体例としては、例えば、磁石(磁石ベルト,磁石ガイド)や電磁石などを用いることができる。
なお、磁界発生手段42aは、缶体Cの底面や底側接地部に接する位置に設けることもできる。ただし、電磁的衝撃に悪影響を及ぼさないように注意する必要がある。
付着手段43aは、接着又は粘着により缶体Cを載置手段30等に固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。
この付着手段43aの具体例としては、例えば、接着剤,粘着剤,接着部材(たとえば、接着シート等),粘着部材(たとえば、粘着シート等)などを用いることができる。
付着手段43aは、缶体Cを載置手段30等に接着又は粘着させるものであるため、例えば、図6に示すように、載置手段30上の缶体Cが接触する部分に設けられる(あるいは、塗布等される)。
支持手段44aは、缶体Cの胴部,蓋部あるいは底部の全体又は所定箇所を側方等から押さえ付けて固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。
この支持手段44aの具体例としては、例えば、図7に示すように、缶体Cの胴部を複数箇所から押さえ込む部材(支持手段44a−1)や、蓋部を側方から押さえ込む部材(支持手段44a−2)などを用いることができる。支持手段44aが支持する箇所は一箇所又は二箇所以上とすることができる。
また、支持手段44aは、ベルトや固定ガイドで構成することもできる。
係止手段45aは、缶体Cの凹部あるいは凸部に引っ掛かって係止し、これによってその缶体Cを固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。
凹部及び/又は凸部は、缶体Cの胴部,蓋部あるいは底部において、これらの部分よりも窪んだ部分あるいは突出した部分をいう。この凹部及び/又は凸部には、例えば、巻き締め部、巻き締め部と胴部との間の凹部、胴部に形成された窪み、あるいはボトル型缶体におけるキャップのねじ部などが含まれる。
一方、係止手段45aは、載置手段30に環状に突設形成されており、その突設部上方に内側に向かって鉤状に係止部が形成されている。この係止手段45aの内径は缶体Cの巻き締め部外径とほぼ同じが若干長くなっている。
さらに、係止手段45aは、缶体Cが嵌合可能に外側にしなる程度の弾力性を有している。また、係止手段45aは、電磁的衝撃を受けた缶体Cが飛び上がろうとする力に対しては、缶体Cへの係止が外れることはないが、人為的に缶体Cと引き上げたときにその係止が外れる程度の弾力性を有している。
また、図8においては、係止手段45aと載置手段30とが一体形成されているが、それら係止手段45aと載置手段30とは一体形成することに限るものではなく、別個に形成することもできる。
飛び上がり阻止手段46aは、図9に示すように、缶体Cの底側接地部に接する位置に設けられる。
この飛び上がり阻止手段46aの設けられる位置は、缶体Cが飛び上がろうとする方向に位置している。しかも、缶体Cは、蓋側接地部が載置手段30に接している。つまり、缶体Cは、載置手段30と飛び上がり阻止手段46aとに挟まれて上下方向に動けないようになっている。このように、缶体Cは、上下から押さえ付けられているため、電磁的衝撃を受けても飛び上がることができない。
衝撃吸収手段(緩衝手段)47aは、図10に示すように、缶体Cの着地面(例えば、載置手段30上)に設けられ、飛び上がった缶体Cが着地したときの衝撃を緩和・抑制する。これにより、その着地したときの衝撃により缶体Cに余分な振動が発生するのを抑止できる。
この衝撃吸収手段47aは、衝撃吸収率の高い材料、例えば、ノンブレン(株式会社枚方技研),アルファゲル(株式会社ジェルテック、登録商標)などを用いることができる。
二次振動抑止手段として、例えば、液状体48aを用いることができる。
液状体48aは、その物質の状態が液体であるものをいう。また、粘性を高めるための材料が含有された液体を含むことができる。
缶体Cは、図11に示すように、その一部が液状体48aに浸される。このため、その液状体48aの粘性等により、缶体Cの飛び上がりを抑制することができる。また、飛び上がった缶体Cが着地するときの衝撃を緩和することもできる。
上述の<A:缶体Cが単体の場合>においては、缶体Cが単体で存在する場合に、その缶体Cが電磁的衝撃を受けたときに打検振動部以外の部分の振動の発生を抑止するために設けられる二次振動抑止手段について説明した。
ここでは、缶体Cが収納手段60に収められている場合において、それら缶体Cが電磁的衝撃を受けたときに打検振動部以外の部分の振動の発生を抑止するために設けられる二次振動抑止手段について説明する。
なお、収納手段60とは、缶体Cを一又は二以上収めることができるケース類をいう。
缶体固定手段(固定手段)B1は、収納手段60に収められた缶体Cを所定の位置に固定して飛び上がりを抑止する手段である。
この缶体固定手段B1の具体例としては、次のものがある。
(B11)吸引手段
(B12)磁界発生手段
(B13)付着手段
(B14)支持手段
(B15)係止手段
吸引手段41bは、収納手段60に収められた缶体Cの蓋部側の気体を吸引するなどして缶体Cを引きつけ所定の位置に固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。
この吸引手段41bの具体例として、例えば、真空吸引手段を用いることができる。
真空吸引手段は、図12に示すように、収納手段60の内側底面と缶体Cとの間の気体を吸引するための真空ポンプ41b−1と、この真空ポンプ41b−1と吸引口31(載置手段30において、収納手段60に収められた缶体Cのそれぞれの直下に穿設された孔)とを接続する吸引管41b−2とを有している。
なお、収納手段60の底面においては、吸引用開口61を設ける代わりに、通気性のある材料で形成することができる。
通気性のある材料としては、例えば、紙、布、不織布、多孔質材料、パンチングメタル、穴あきシート、メッシュシート、金網、あるいはそれらの複合体などがある。
さらに、缶体Cがボトル缶の場合は、図4に示すようなホルダ32を収納手段60内に設けることもできる。
磁界発生手段42bは、この磁界発生手段の周囲に磁界を発生させ、この磁力(例えば、磁気の引力)により、収納手段60に収められた缶体Cを引きつけ所定の位置に固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。特に、缶体Cがスチールなどの磁性体で形成されている場合には有効である。
この磁界発生手段42bの具体例としては、例えば、磁石(磁石ベルトなど)や電磁石などを用いることができる。
付着手段43bは、接着又は粘着により缶体Cを収納手段60の底面等に固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。
この付着手段43bの具体例としては、例えば、接着剤,粘着剤,接着部材(たとえば、接着シート等),粘着部材(たとえば、粘着シート等)などを用いることができる。
付着手段43bは、缶体Cを収納手段60の底面等に接着又は粘着させるものであるため、例えば、図14に示すように、缶体Cが接する収納手段60の底面の接触部分に設けられる(あるいは、塗布等される)。
支持手段44bは、缶体Cが収められた収納手段60を外部側方から押さえ付けて、中にある缶体Cを固定して、その飛び上がりを抑止する手段である。
この支持手段44bの具体例としては、例えば、ベルトや固定ガイドで構成することができる。この支持手段44bにより支持する箇所は、一箇所又は二箇所以上とすることができる。
係止手段45bは、缶体Cの凹部あるいは凸部(例えば、巻き締め部など)に引っ掛かって係止し、これによってその缶体Cを固定し、その飛び上がりを抑止する手段である。
係止手段45bは、図16に示すように、収納手段60の底面などに形成することができ、缶体Cの凹部及び/又は凸部に引っ掛かって係止するようになっている。これにより、缶体Cが固定され、飛び上がりが抑止される。
なお、係止手段45bは、(A15:係止手段)で説明した係止手段45aと同様の形状を有することができる。
飛び上がり阻止手段46bは、図17に示すように、缶体Cが収められた収納手段60の上面に接する位置に設けられる。つまり、飛び上がり阻止手段46bの設けられる位置は、缶体Cが飛び上がろうとする方向に位置している。一方、収納手段60の下面は、載置手段30に接している。このため、缶体Cは、収納手段60に収められた状態で、載置手段30と飛び上がり阻止手段46aとに挟まれて上下方向に動けないようになっている。このように、缶体Cは、上下から押さえ付けられているため、電磁的衝撃を受けても飛び上がることができない。
衝撃吸収手段(緩衝手段)47bは、図18に示すように、缶体Cの着地面(例えば、収納手段60の底面など)に設けられ、飛び上がった缶体Cが着地したときの衝撃を緩和・抑制する。これにより、その着地したときの衝撃により缶体Cに余分な振動が発生するのを抑止できる。
次に、本実施形態の打検装置の動作(打検方法)について、図19を参照して説明する。
なお、本実施形態の打検方法においては、缶体Cは単体で存在するもの(収納手段60に収められていないもの)とし、二次振動抑止手段として吸引手段41a(真空吸引手段)が用いられているものとする。
なお、真空ポンプ41a−1は、缶体Cが打検ヘッド10の真下に来る前から起動させることもできる。
その電磁的衝撃が与えられた缶体Cは、その反動で飛び上がろうとするが、二次振動抑止手段である真空吸引手段により引きつけられて固定されているため、飛び上がることができない(飛び上がり抑止)。
受け取られた打検音がマイクロフォンで電気的信号(打検信号)に変換され、演算装置20へ送られる。
そして、演算装置20の良否判定部22で、その検知された缶内圧にもとづき、缶体C(缶詰)の良否判定が行われる(良否判定ステップ、ステップ14)。ここで、不良と判定された缶体C(缶詰)は、不良缶排除手段50により排除される(不良缶排除ステップ、ステップ15)。
同図(a)は、二次振動抑止手段40(真空吸引手段)が設けられていない打検装置1において得られた打検信号の波形、同図(b)は、二次振動抑止手段40(真空吸引手段)が設けられた打検装置1において得られた打検信号の波形をそれぞれ示す。
同図(a)と(b)とを比較して明らかなように、二次振動抑止手段40(真空吸引手段)を設けることで打検信号の“うなり”を抑止できる。
また、本実施形態の打検方法では、二次振動抑止手段の代表例として真空吸引手段について説明したが、例えば、磁界発生手段,付着手段,支持手段など各種二次振動抑止手段を用いることによっても、真空吸引手段の場合と同様の効果(缶体Cの飛び上がりを抑止するという効果)を得ることができる。
例えば、上述した実施形態では、二次振動抑止手段の各種態様についてそれぞれ説明したが、それら態様は、一つのみが選択されて使用される場合だけでなく、複数の態様を組み合わせて使用することができる。
さらに、二次振動抑止手段の各種態様のそれぞれの説明では、主として2ピース缶や3ピース缶に適用した場合について説明したが、二次振動抑止手段が適用される缶体は、2ピース缶や3ピース缶に限るものではなく、例えば、ボトル缶なども含まれる。
10 打検ヘッド
20 演算装置
30 載置手段
31 吸引口
32 ホルダ
32−1 上面
32−2 下面
32−3 貫通孔
40 二次振動抑止手段
41a,41b 吸引手段(真空吸引手段)
41a−1,41b−1 真空ポンプ
41a−2,41b−2 吸引管
42a,42b 磁界発生手段
43a,43b 付着手段
44a,44b 支持手段
45a,45b 係止手段
46a,46b 飛び上がり阻止手段
47a,47b 衝撃吸収手段
48a 液状体
50 不良缶排除手段
60 収納手段
61 吸引用開口
Claims (23)
- 缶体に電磁的衝撃を与えて前記缶体の打検振動部から発せられる打検音を受け打検信号に変換して出力する打検ヘッドと、前記打検信号を解析して前記缶体の缶内圧を検知する演算装置とを備えた打検装置であって、
前記電磁的衝撃を与えたときに生じる前記缶体の前記打検振動部以外の部分の振動の発生を抑止する二次振動抑止手段を備え、
前記打検振動部以外の部分の振動が、電磁的衝撃を受けて飛び上がった缶体が着地したときに受ける衝撃が原因となって発生する振動である
ことを特徴とする打検装置。 - 前記二次振動抑止手段が、前記缶体の飛び上がりを抑止する飛び上がり抑止手段を含む
ことを特徴とする請求項1記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体を所定の位置に固定して、前記飛び上がりを抑止する固定手段を含む
ことを特徴とする請求項2記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体の蓋部側と載置手段との間の気体を吸引して前記缶体を引きつけ固定し、前記飛び上がりを抑止する真空吸引手段を含む
ことを特徴とする請求項2又は3記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
磁力により前記缶体を引きつけて固定し、前記飛び上がりを抑止する磁界発生手段を含む
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体を所定の箇所に接着又は粘着により固定し、前記飛び上がりを抑止する付着手段を含む
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体の胴部,蓋部,底部のうちの一又は二以上を押さえ付けて前記缶体を固定し、前記飛び上がりを抑止する支持手段を含む
ことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体の胴部,蓋部,底部における凹部及び/又は凸部に係止し、これによって前記缶体を固定し、前記飛び上がりを抑止する係止手段を含む
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体の底側接地部に接する位置に設けられて前記飛び上がりを抑止する飛び上がり阻止手段を含む
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の打検装置。 - 前記二次振動抑止手段が、
前記電磁的衝撃を与えて飛び上がった前記缶体が着地する際に受ける衝撃を抑止する衝撃抑止手段を含む
ことを特徴とする請求項1記載の打検装置。 - 前記衝撃抑止手段が、
前記缶体が着地する位置に設けられた衝撃吸収手段を含む
ことを特徴とする請求項10記載の打検装置。 - 缶体に電磁的衝撃を与えて前記缶体の打検振動部から発せられる打検音を受け打検信号に変換して出力する打検ヘッドと、前記打検信号を解析して前記缶体の缶内圧を検知する演算装置とを備えた打検装置であって、
収納手段に収められた前記缶体に対して前記電磁的衝撃を与えたときに生じる前記缶体の前記打検振動部以外の部分の振動の発生を抑止する二次振動抑止手段を備え、
前記打検振動部以外の部分の振動が、電磁的衝撃を受けて飛び上がった缶体が着地したときに受ける衝撃が原因となって発生する振動である
ことを特徴とする打検装置。 - 前記二次振動抑止手段が、
前記収納手段に収められた前記缶体に対して前記電磁的衝撃を与えたときに生じる前記缶体の飛び上がりを抑止する飛び上がり抑止手段を含む
ことを特徴とする請求項12記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記収納手段に収められた前記缶体を所定の位置に固定して、前記飛び上がりを抑止する固定手段を含む
ことを特徴とする請求項13記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記収納手段に収められた前記缶体の蓋部側と前記収納手段の内側底面との間の気体を吸引して前記缶体を引きつけ固定し、前記飛び上がりを抑止する真空吸引手段を含む
ことを特徴とする請求項13又は14記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記収納手段に収められた前記缶体を磁力により引きつけ固定し、前記飛び上がりを抑止する磁界発生手段を含む
ことを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記収納手段に収められた前記缶体を所定の箇所に接着又は粘着により固定し、前記飛び上がりを抑止する付着手段を含む
ことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体が収められた前記収納手段を押さえ付けて前記缶体を固定し、前記飛び上がりを抑止する支持手段を含む
ことを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体の胴部,蓋部,底部における凹部及び/又は凸部に係止し、これによって前記缶体を固定し、前記飛び上がりを抑止する係止手段を含む
ことを特徴とする請求項13〜18のいずれかに記載の打検装置。 - 前記飛び上がり抑止手段が、
前記缶体が収められた前記収納手段の上面に接して設けられ、前記飛び上がりを抑止する飛び上がり阻止手段を含む
ことを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の打検装置。 - 前記二次振動抑止手段が、
前記収納手段に収められた前記缶体が前記電磁的衝撃を受けて飛び上がり着地する際に受ける衝撃を抑止する衝撃抑止手段を含む
ことを特徴とする請求項12記載の打検装置。 - 前記衝撃抑止手段が、
前記収納手段の内側底面で前記缶体が着地する位置に設けられた衝撃吸収手段を含む
ことを特徴とする請求項21記載の打検装置。 - 缶体に電磁的衝撃を与える衝撃付与ステップと、
前記電磁的衝撃が与えられたときに前記缶体の打検振動部以外の部分の振動の発生を抑止しながら、前記缶体の打検振動部から発せられる打検音を受ける打検音受取ステップと、
前記打検音から変換された打検信号を解析する解析ステップと、
前記打検信号の解析結果にもとづいて前記缶体の缶内圧を検知する缶内圧検知ステップとを有し、
前記打検振動部以外の部分の振動が、電磁的衝撃を受けて飛び上がった缶体が着地したときに受ける衝撃が原因となって発生する振動である
ことを特徴とする打検方法。
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