以下、本発明に係る内圧検査装置および内圧検査方法の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る内圧検査装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
この内圧検査装置(以下、「検査装置」という)1は、搬入路(搬送手段)2と、内圧検査手段3と、排斥部4と、搬出路5と、排出路6と、制御手段7と、引離し手段8とを備える概略構成とされている。
搬入路2、搬出路5、および排出路6はそれぞれ、例えば無端ベルト21を図示しない駆動モータにて周回させるコンベアによって構成される。図示の例で、搬入路2、および搬出路5は、無端ベルト21の上面が図中の左側から右側へと移動され、排出路6は、無端ベルト21の上面が図中の上側から下側へと移動される。
排斥部4は、カートンケース23が配置され搬送される搬送路と、図示されない排斥駆動部とを備えた概略構成とされ、前記排斥駆動部は例えばエアシリンダーにより構成され、前記搬送路に対して進退可能に支持されている。そして、カートンケース23が前記搬送路上で搬送される過程において、カートンケース23内の内圧値が後述するように適正範囲外にあると判定された場合には、前記排斥駆動部が前進駆動されて、カートンケース23は排出路6に移動される。
搬入路2の搬送方向Fの上流側には、例えば段ボール紙からなるカートンケース23が載せられる。カートンケース23には、例えばミルク入りコーヒー等の低酸性飲料の内容物が充填、密封されたキャップ付ボトル缶25が、図示の例では、搬送方向Fに6個、およびこの方向Fに交差する方向に4個、すなわち4行6列の合計24個収容されている。なお、一般に、これらの缶が陽圧缶の場合は液体窒素が充填され、さらに内容物が低酸性飲料の場合は窒素ガスが充填され、この内容物の酸化防止が図られている。また、本検査装置1に供されるカートンケース23内のキャップ付ボトル缶25は、ボトル缶26に充填された前記内容物を、口金部26dにキャップ27を螺着して密封した状態でレトルト殺菌処理した後に、カートンケース23に収容されたものであって、該収容の後に、約7日間程度室温下で放置されたものである。
ここで、本実施形態における内圧検査対象としてのキャップ付ボトル缶25を図2に従い説明する。
このキャップ付ボトル缶25は、図2に示すように、ボトル缶26とキャップ27とを備える概略構成とされ、これら26、27は、アルミニウム、アルミニウム合金またはスチールにより形成されている。
なお、ボトル缶26は、本実施形態では、前記金属からなる板材に、絞り加工、しごき加工を施して有底筒状体に形成した後に、この有底筒状体の開口部にネックイン加工、ねじ成形加工、およびカール部形成加工等を施して形成される。
ボトル缶26は、大径の胴部26aと、この胴部26aの缶軸方向上端に、径方向外方へ凸とされた凸曲面状の連結部26bを介して連設されるとともに、缶軸方向上方へ向かうに従い漸次縮径した肩部26cと、この肩部26cの缶軸方向上端部と連設されるとともに、缶軸方向上方へ延在した口金部26dとを有する概略構成とされている。この口金部26dには雄ねじ部26eが形成されるとともに、この缶軸方向上端部は径方向外方へ折返されたカール部26fが形成されている。
キャップ27は、平坦面とされた天板部27a(強制励振部)と、この天板部27aの外周縁部から略垂下してなる周壁部27bと、天板部27aの内側に配設されたライナー27cとを有する概略構成とされている。なお、キャップ27の周壁部27bの外径は例えば28mm以上42mm以下に設定されている。
そして、キャップ27は、ボトル缶口金部26dの雄ねじ部26eに、このキャップ27のライナー27cがボトル缶口金部26dのカール部26fの上端部と密接した状態で螺着されている。
以上のように構成されたキャップ付ボトル缶25は全て、カートンケース23内に、ボトル缶口金部26d側の内部に空間25aが形成されるように正立姿勢で収容されている。この正立姿勢において、キャップ付ボトル缶25の内部には、前述した内容物が、ボトル缶の連結部26bより缶軸方向上方位置に至るまで、本実施形態では、肩部26cの缶軸方向上部に至るまで充填されている。
次に、カートンケース23について説明する。
図3にカートンケース23の展開図、すなわち缶収納用カートン40を示す。
この図において、缶収納用カートン40は、上蓋41と、上蓋41と連設される第1の側面部42と、第1の側面部42と連設される底蓋43と、底蓋43と連設される第2の側面部44と、第2の側面部44と連設される折り返し部45とを備えるとともに、折り返し部45を除く各部41〜44と各別に連設される端面部46を備える概略構成とされている。これら各部41〜46は、折曲線47を介して前述のように連設されている。
このように構成された缶収納用カートン40は、底蓋43にキャップ付ボトル缶25を前記正立姿勢となるように載置した状態で、折り返し部45が上蓋41の内側に位置するように、上蓋41、第1の側面部42、第2の側面部44、折り返し部45、および端面部46をそれぞれ、折曲線47を角部として折曲げ、折り返し部45と上蓋41とを接着することにより、カートンケース23が形成される構成となっている。
そして、このカートンケース23にキャップ付ボトル缶25が収納された状態では、図4に示すように、上蓋41と折り返し部45とがキャップ天板部27aと対向することになり(以下説明の便宜のため、上蓋41と折り返し部45とを「カートンケース上蓋部23a」という)、底蓋43が、図示はしていないが、キャップ付ボトル缶25の底面と対向することになる。また、端面部46により形成されるこのカートンケース23の端面には、図5に示すように、梱包されたキャップ付ボトル缶23の缶軸方向中央部位置に、この缶軸方向と交差する方向に延びる間隙23bが形成されており、カートンケース23の内部と外部とが連通状態となっている。
ここで、本実施形態では、図3および図4に示すように、キャップ天板部27aと対向する折り返し部45の表面のうち、キャップ天板部27aを覆う部分に、平面視半円状の切欠き部45aが形成されている。この切欠き部45aにより、図4に示すように、カートンケース上蓋部23aとキャップ天板部27aとの非接触状態を容易に実現できるようになっている。
内圧検査手段3は、図1に示すように、搬入路2の下流側に配設されており、カートンケース23が搬送されている状態で、このカートンケース23内の全てのキャップ付ボトル缶25の内圧を順次各別に検査できるようになっている。
この内圧検査手段3は、図6に示すように、キャップ天板部27aの径方向中央部を強制励振させる加振部11、およびこの加振部11によるキャップ天板部27aからの反響音を捉えるマイクロフォン12を有する打検器13を備えている。そして、打検器13は、搬送方向Fに対して交差する方向に連続して4個配設されており、図1において、紙面の上側から下側に向って順次、搬送方向Fの上流側から下流側へ位置をずらして配設されている。
すなわち、打検器13の連設方向(複数の打検器13が配列された方向)と、搬送方向Fに直交する方向とは所定の角度を有しており、この角度は、マイクロフォン12が、隣に位置する缶25のキャップ天板部27aからの反響音を拾わないような時間間隔となるように、例えばカートンケース23の搬送速度や、キャップ27の材質や大きさ等により決定される。
内圧検査手段3のマイクロフォン12により得られたキャップ天板部27aの反響音は、図1に示す制御手段7に送信され、この制御手段7の演算部7aによりキャップ付ボトル缶25の内圧値を算出し、そして、この内圧値は合否判定部7bに送信され、この判定部7bでキャップ付ボトル缶25の内圧値が適正か否かの判定を行う。そして、この判定結果は制御部7cに送信され、ここで排斥部4に配設された図示しない排斥駆動部を制御するようになっている。
すなわち、合否判定部7bによりカートンケース23内のキャップ付ボトル缶25全ての内圧値が適正であると判定した場合は、前記排斥駆動部は駆動せず、カートンケース23は搬入路2により搬送され続け、その後、搬出路5上へ至り次工程へ搬送され、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25のうち1本でも内圧値が不適正であると判定した場合には、前記排斥駆動部を駆動させ、カートンケース23を排出路6上に移動し排出するようになっている。
なお、演算部7aは、マイクロフォン12により得られた反響音から例えばピーク周波数を算出し、このピーク周波数と、予め設定された缶内圧値とピーク周波数との相関とに基づいてキャップ付ボトル缶25の内圧値を算出するようになっている。
また、合否判定部7bは、演算部7aにより算出された内圧値と、予め設定された適正内圧値とを比較し、算出された内圧値が適正内圧値の範囲内にない場合に不合格と判定し、この範囲内にある場合に合格と判定するようになっている。
引離し手段8は、図1に示すように、搬入路2の表面の上方に、搬送方向Fにおける打検器13の配設位置と略同一位置に配設されており、打検器13の配設位置を基準に搬送方向Fの上流側から下流側にかけた所定長さ領域にわたって配設されている。
具体的には、引離し手段8は、図示されない真空排気手段にそれぞれ連通された8個の吸引部8aを備え、これらの吸引部8aは、図1に示すように、各打検器13の配設位置を基準にして、搬送方向Fの前側および後側にそれぞれ配設されている。また、これらの吸引部8aは、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25のうち、搬送方向Fに交差する方向(本実施形態では搬送方向Fに直交する方向)に複数連続して配置された缶25に、カートンケース上蓋部23aを介して各別に対向するように、搬送方向Fに交差する方向に複数連設、つまり複数連続して配設されている。
吸引部8aは、図6に示すように、円筒体51、およびこの円筒体51の両端開口部を閉塞する第1の端面板52と第2の端面板53を備えた中空円柱状のシリンダ本体50と、シリンダ本体50内にこのシリンダ本体50内を第1の端面板52側の第1の中空部54と、第2の端面板53側の第2の中空部55とに区画して、円筒体51の軸線方向に移動自在なピストン56と、ピストン56に軸線方向に向けて突出するように固定され、第1の端面板52に形成された貫通孔52aを通して外部に突出するピストンロッド57と、ピストンロッド57に固定され、その先端面58aに吸引口58bを有するとともに、該先端面58aがカートンケース23の上蓋部23aの保持面とされたバキュームパッド58と、第2の中空部55内と吸引口58bとを連通させる吸引通路部59とを備える概略構成とされている。
なお、ピストンロッド57の内部には、この軸線方向に連通するロッド貫通孔が穿設されており、この貫通孔が吸引通路部59の一部を構成している。そして、シリンダ本体50には、第1の中空部54と連通する外気導入用貫通孔60が形成され、また、前記真空排気手段は、第2の中空部55内を負圧吸引する構成となっている。
吸引部8aと打検器13との搬送方向Fにおける距離、および外径等の寸法は、カートンケース23内に収納されたキャップ付ボトル缶25のうち、搬送方向Fの最先端部、および最後端部に収納されたものも含めてこのケース23内の全てのキャップ付ボトル缶25の内圧を検査するに際して、キャップ天板部27aとケース上蓋部23aの内表面との非接触状態を実現できるような大きさに設定されている。すなわち、カートンケース23内の搬送方向Fの最先端部、および最後端部に位置するキャップ付ボトル缶25についても、打検器13を基準にして搬送方向Fの前側および後側にそれぞれ配設された吸引部8aの双方により、ケース上蓋部23aの外表面を吸引できるようになっている。
なお、それぞれの打検器13および吸引部8aは、カートンケース23が搬送される過程において、このケース23内の全てのキャップ付ボトル缶25の缶軸方向直上方に順次各別に位置するように配設されるとともに、搬送方向Fに交差する方向で隣合う各バキュームパッド58は、その外周面同士が所定の間隙を有するように配設されている。
これらのバキュームパッド58は、搬入路2の表面に対して進退自在に支持されており、搬入路2の表面に対して前進端に位置した際の、各バキュームパッド58の先端面58aと、搬入路2の表面との距離は、カートンケース23の高さより若干小さくなっている。なお、各バキュームパッド58は、比較的硬度が高く、かつ摩擦係数の小さい樹脂材料として、例えばポリ4フッ化エチレンを重合した合成樹脂により、円板状に形成されており、このバキュームパッド58の先端面58aには、大径の孔58cが形成されるとともに、この孔58cの底面における径方向中央部に吸引口58bが配設されている。また、バキュームパッド58の先端部の外周面は、この先端面58aに向うに従い漸次縮径されたテーパ形状とされている。
ここで、本実施形態の内圧検査装置1には、打検器13の配設位置よりも前記搬送方向Fの後方側に、加振部11によりキャップ27の天板部27aを強制励振させる前に、この天板部27aを缶軸方向下方に向けて押圧して、キャップ27の、ボトル缶26の口金部26dに対する位置、および天板部27aの変形を矯正するキャップ矯正手段15が設けられている。
本実施形態のキャップ矯正手段15は、カートンケース23が配置される搬送路2の上面に対して進退自在に支持されるとともに、搬送路2の上面に平行、かつ搬送方向Fに直交する方向に延びる軸線回りに回転自在に支持されたローラ15aを備えている。ローラ15aは弾性部材15bに連結され、この弾性部材15bが伸縮することにより、ローラ15aが搬送路2の上面に対して進退移動されるようになっている。
後述するように、カートンケース上蓋部23aが、キャップ矯正手段15に対向するまでは、ローラ15aの外周面のうち、搬送路2の上面に最も接近している部分(以下、「下端」という)と、搬送路2の上面との距離は、カートンケース23の厚さ(該ケース23の外表面における底面と上蓋部23aとの距離)よりも小さく、かつローラ15aの前記軸線と、搬送路2の上面との距離は、カートンケース23の厚さよりも大きくされている。
また、ローラ15aの前記軸線が延びる方向の大きさは、キャップ27の天板部27aの外径以上とされ、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25のうち、搬送方向Fに直交する方向に複数連続して配置された缶25に、カートンケース上蓋部23aを介して各別に対向するように、搬送方向Fに直交する方向に複数連設されている。すなわち、各ローラ15aの前記軸線が延びる方向の中央部と、キャップ付ボトル缶25の缶軸とが略一致するようになっている。なお、ローラ15aは、例えばポリ4フッ化エチレンを重合した合成樹脂、一般構造用鋼材若しくはステンレス鋼等により形成されている。また、弾性部材15bのばね定数は、例えばライナー27cを含むキャップ27、およびローラ15aの材質等により適宜選択される。
次に、以上のように構成された内圧検査装置により、缶の内圧を検査する方法について説明する。
まず、カートンケース23を搬入路2により搬送し、このカートンケース23をキャップ矯正手段15の配設位置に到達させる。ここで、カートンケース23内に収容されたキャップ付ボトル缶25の全てが、図2に示すように、これらのキャップ付ボトル缶25の口金部26d側の内部に空間25aが形成されるように正立姿勢となっている。
そして、カートンケース23の前記搬送方向Fの最先端部における上蓋部23aが、ローラ15aの外周面に衝突すると、弾性部材15bが、搬送路2の上面から離間する方向に縮められ、これに伴いローラ15aも搬送路2の上面から離間する方向に移動される。これにより、カートンケース23の上蓋部23aの外表面のうち、このケース23内に前記搬送方向Fの最前列に配置された4個のキャップ付ボトル缶25のキャップ27の天板部27aと対向している部分が、ローラ15aにより当該ケース23の厚さ方向に押圧される。この際、天板部27aは、ローラ15aにより缶軸方向下方に向けて前記上蓋部23aを介して押圧される。
そして、さらにカートンケース23が搬送され続けることにより、前記最前列のキャップ付ボトル缶25よりも前記搬送方向Fの上流側に位置するキャップ付ボトル缶25についても、各列毎に順次、ローラ15aにより天板部27aが缶軸方向下方に向けて前記上蓋部23aを介して押圧される。この際、キャップ27が、レトルト殺菌処理時の熱や圧力等により、ボトル缶26の口金部26dに対して缶軸方向上方へ位置ずれしたり、天板部27aが缶軸方向上方へ向けて膨出変形した状態に維持されていた場合においても、これらの位置ずれや変形が矯正される。なお、カートンケース23がキャップ矯正手段15を通過する過程において、ローラ15aは、カートンケース上蓋部23aの外表面上をその軸線回りに回転し続ける。
次に、カートンケース23を搬入路2に沿って配設された内圧検査手段3の配設位置に到達させると、カートンケース23の搬送方向Fの最先端部が、各バキュームパッド58の、テーパ形状とされた先端部外周面に衝突し、さらにカートンケース23が搬送され続けることにより、このカートンケース23の前記最先端部がバキュームパッド58の前記テーパ形状に沿うことによって、バキュームパッド58は徐々に搬入路2表面から離間する方向に移動され、ケース上蓋部23aの外表面に至る。
そして、さらに搬送を続け、バキュームパッド先端面58aの全面がカートンケース上蓋部23aの外表面と当接すると、この際既に、バキュームパッド58にバキュームエアを供給しておくことにより、第2の中空部55および吸引通路部59を介して吸引口58bからエアを吸引することによって、ケース上蓋部23aは吸引口58bから吸い上げられるエアとともに吸い上げられ、バキュームパッド58の先端面58aに吸着される。
この際、吸引口58bは、カートンケース23の上蓋部23aにより閉塞され、前記真空排気手段により真空排気されているため、吸引通路部59内は負圧となり、これに連通する第2中空部55内も負圧となる。
一方、第1中空部54内は、これに連通する外気導入用貫通孔60により外気と連通されているので、大気圧のまま保持される。
したがって、ピストン56の上面側の第2中空部55と下面側の第1中空部54に圧力差が生じ、これにより、ピストン56は負圧側である第2中空部55に向って移動する。これに伴い、ピストン56に固定されたピストンロッド57やバキュームパッド58も上方へ移動することによって、バキュームパッド58の先端面58aに吸着されたケース上蓋部23aも上方へ移動することになる。これにより、キャップ矯正手段15によりキャップ天板部27aに押付けられたカートンケース上蓋部23aを天板部27aから引離す。
次に、前記非接触状態を維持した状態で、カートンケース23を搬送することにより、4個の打検器13のうち最も搬送方向Fの上流側に位置する打検器13の配設位置に、ケース23内の前記最前列に配置されたキャップ付ボトル缶25のうちの1つが到達したときに、加振部11によりキャップ天板部27aを電磁誘導作用によって強制励振させる。そして、この際のキャップ天板部27aからの反響音をマイクロフォン12により捉える。その後、この反響音を制御手段7の演算部7aに送信し、この演算部7aにより、例えばピーク周波数を算出する。そして、このピーク周波数と、予め設定されていた缶内圧値とピーク周波数との相関とに基づいてキャップ付ボトル缶25の内圧値を算出し、その後、この内圧値を合否判定部7bに送信し、この判定部7bにより、送信された缶内圧値と予め設定された適正内圧値とを比較し、缶内圧値が適正内圧値の範囲内にあるか否かを判定する。
以上の前記強制励振から缶内圧値の判定までを、カートンケース23を前記非接触状態を維持した状態で搬送しながら、前記最前列のキャップ付ボトル缶25のうち残りの缶のみならず、この列より搬送方向Fの上流側に位置するキャップ付ボトル缶25についても同様に実施することにより、カートンケース23に収容された全てのキャップ付ボトル缶25について実施する。
ここで、カートンケース23を前記非接触状態を維持しながら搬送する際、吸引部8aは定位置に固定されたままであり、カートンケース23は、これらのパッド58の先端面58aをこのケース上蓋部23aの外表面が滑りながら搬送される。これにより、カートンケース23を搬送した状態でこのケース上蓋部23aとキャップ天板部27aとの非接触状態が実現される。
そして、キャップ付ボトル缶25のうち1つでも缶内圧値が適正内圧値の範囲外にあると判定した場合には、排斥部4の排斥駆動部を駆動し、このカートンケース23を排出路6に移動させ、この排出路6よりカートンケース23を排出する。
カートンケース23に収容された全てのキャップ付ボトル缶25の内圧値が適正範囲内にあると判定した場合には、排斥部4の排斥駆動部を駆動させず、このカートンケース23を搬出路5に至らせ、次工程に搬出する。
以上説明したように、本実施形態による内圧検査装置および検査方法によれば、キャップ27の天板部27aを強制励振させる前に、この天板部27aを缶軸方向下方に向けて押圧して、少なくともキャップ27の口金部26dに対する位置、特に缶軸方向における位置、または天板部27aの変形、特に缶軸方向上方へ向けた膨出変形を矯正するので、前記強制励振させる前に、天板部27aにおける該天板部27aの表面に沿った引張状態を、レトルト殺菌処理直後と比べて低下している現在のボトル缶26の内圧によるものに対応させることが可能になる。
すなわち、レトルト殺菌処理時の缶内圧の上昇によって、キャップ27がボトル缶26の口金部26dに螺着された状態で、天板部27aの裏面側から缶軸方向上方へ向けて押圧されることにより、キャップ27が、ボトル缶26の口金部26dに対して缶軸方向上方へ位置ずれしたり、また、キャップ27の天板部27aがその軸線方向上方へ向けて膨出変形して、これらの位置ずれや変形が、リークによって缶内圧が大気圧と略同等になるまで低下しているにもかかわらず、復元しない場合においても、前記強制励振させる前に、天板部27aを缶軸方向下方に向けて押圧することにより、前記位置ずれや変形を矯正して、天板部27aにおける該天板部27aの表面に沿った引張状態を、前記現在のボトル缶26の内圧によるものに対応させることが可能になる。
したがって、缶の内圧を検査する際に、リークが発生している不良缶が良缶であると判別されることを防ぐことが可能になり、缶の内圧に基づいてリークの発生の有無を高精度に検査することができる。
また、本実施形態の内圧検査装置1では、引離し手段8を備えているので、カートンケース上蓋部23aをキャップ天板部27aから引離した状態で、打検器に13よりこの天板部27aを強制励振させるとともに、このときの反響音を捉えることが可能になる。したがって、キャップ天板部27aを強制励振させた際に、この天板部27aを確実に自由振動させることが可能になり、高精度な内圧検査を実現することができる。
さらに、引離し手段8の吸引部8aは、各打検器13の搬送方向Fの前側および後側それぞれに配設されているので、カートンケース23内の搬送方向Fの最先端部、および最後端部に位置するキャップ付ボトル缶25についても、前記前側および後側の吸引部8aの双方により、ケース上蓋部23aの外表面を吸引できるようになっているため、ケース上蓋部23aの内表面とカートンケース23内の全てのキャップ天板部27aとの非接触状態を確実に実現することができる。
さらに、吸引部8aは、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25のうち、搬送方向Fに交差する方向に複数連続して配置された缶25と各別に対向するように、搬送方向Fに交差する方向に複数連設されているので、カートンケース上蓋部23aの外表面が、うねりや凹凸等で平坦面となっていない場合においても、カートンケース上蓋部23aのうち、少なくとも検査対象となるキャップ天板部27aと対向する部分の周辺部分は、吸引部8aを当接させることが可能になり、この天板部27aとカートンケース上蓋部23aとの非接触状態を実現することができる。
特に、前述した内圧検査は、カートンケース23内にキャップ付ボトル缶25を梱包した後に、このケース23を積み重ねた状態で7日間程度放置し、その後、実施されるため、カートンケース上蓋部23aの外表面のうち、キャップ天板部27aを覆う部分は凹み易いが、このような場合においても、前記非接触状態を確実に実現することができる。
また、カートン40の折曲げ部45のうち、キャップ天板部27aを覆う部分に、切欠き部45aが形成されているので、内圧検査装置1が引離し手段8を備えていることと相俟って、カートンケース23内の全てのキャップ天板部27aと、カートンケース上蓋部23aとの非接触状態を確実に実現することが可能になり、内圧検査を高精度に行うことができる。
さらに、カートンケース23を搬送させた状態で、キャップ天板部27aからカートンケース上蓋部23aを引離すことが可能になるので、高精度な内圧検査を高効率に実施することができる。
ところで、カートンケース23を前述のように積み重ねる際に、荷崩れ発生を防止するために、ケース上蓋部23aの外表面の中央部に接着剤を塗布し、この上にカートンケース23を積むことがなされている。したがって、前述した内圧を検査する際、ケース上蓋部23aの外表面の中央部に接着剤が固着している場合があり、この部分にバキュームパッド先端面58aが当接すると、該先端面58aが傾く等して、前記吸引口58bがカートンケース23の上蓋部23aにより閉塞されず、前記非接触状態を実現できないおそれがある。
しかしながら、前記実施形態の引離し手段8のバキュームパッド58は、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25の缶軸方向直上方に位置するように配設されるとともに、隣合う各バキュームパッド58の外周面同士は、所定の間隙を有して配設されているので、前記接着剤の固着部分を避けて、バキュームパッド58の先端面58aをケース上蓋部23aの外表面に当接させることが可能になる。
ここで、キャップ付ボトル缶25の内圧を所定の初期内圧値になるまで上昇させた後に、その内圧を大気圧と同等になるまで下降させたときのキャップ天板部27aを、加振部11により強制励振させ、この際の天板部27aからの反響音をマイクロフォン12により捉えて周波数を測定した。結果を図7に示す。
この図7において、実施例は、キャップ付ボトル缶25の内圧を大気圧と同等になるまで下降させた後、加振部11により前記強制励振する前に、キャップ天板部27aを缶軸方向下方に向けて押圧し、その後、前記周波数を測定したものである。比較例は、内圧を大気圧と同等になるまで下降させた後、キャップ天板部27aを前記押圧することなく、直ちに前記強制励振させて周波数を測定したものである。これらの実施例および比較例の双方について、前記初期内圧値を異ならせて複数回測定を行った。
この結果から、実施例では、前記初期内圧値の大小に拘わらず、測定される周波数が全て同等であり、天板部27aにおける該天板部27aの表面に沿った引張状態を、大気圧と同等とされた現在のボトル缶26の内圧によるものに対応させることが可能になる一方、比較例では、前記初期内圧値が大きくなると、キャップ付ボトル缶25の内圧を大気圧と同等になるまで下降させたとしても、該下降させる前の初期内圧値による、キャップ27の、口金部26dに対する缶軸方向上方へ向けた位置ずれや、天板部27aの、その軸線方向上方へ向けた膨出変形が復元されず、測定される周波数が、前記初期内圧値と対応する高いまま維持されることが確認できる。
すなわち、例えば前記実施形態のように、キャップ矯正手段15により、キャップ天板部27aを缶軸方向下方に向けて押圧すると、前記復元させることが可能になり、天板部27aの表面に沿った引張状態を、レトルト殺菌処理直後と比べて低下している現在のボトル缶26の内圧によるものに対応させることが可能になることが確認された。
なお、前記実施形態のキャップ矯正手段15のローラ15aに代えて、例えば図8に示すような、押圧板15cを採用してもよい。この図8に示す押圧板15cは、前記搬送方向Fに沿って延在し、かつ該搬送方向Fの後端部が、搬送路2の上面から離間する方向に反り上がり、前記搬送方向Fにおける中央部に、弾性部材15bが連結された構成とされている。また、カートンケース上蓋部23aが、このキャップ矯正手段35に対向するまでは、押圧板15cの下面のうち、前記後端部以外の部分と搬送路2の上面との距離は、カートンケース23の前記厚さよりも小さく、かつ押圧板15cの下面における前記後端部の末端と、搬送路2の上面との距離は、カートンケース23の厚さよりも大きくされている。
このようなキャップ矯正手段35においても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、キャップ矯正手段15、35の弾性部材15bに代えて、例えばエアシリンダーにより、ローラ15a若しくは押圧板15cを搬送路2の上面に対して進退可能に支持し、これらのローラ15a若しくは押圧板15cにより、カートンケース上蓋部23aを介して、キャップ27の天板部27aを缶軸方向下方に向けて押圧または叩打させるようにしてもよい。
さらにまた、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25のうち、前記搬送方向Fに直交する方向に複数連続して配置された缶25に、カートンケース上蓋部23aを介して各別に対向するように、前記搬送方向Fに直交する方向に複数連設された、ローラ15a若しくは押圧板15cに代えて、前記搬送方向Fに直交する方向に、このカートンケース23の幅方向における全域に亙って延在する1つのローラ15a若しくは押圧板15cを採用してもよい。
また、ローラ15a若しくは押圧板15cを用いるキャップ矯正手段15、35に代えて、例えば圧縮空気をカートンケース上蓋部23aを介して天板部27aに衝突させて、この天板部27aを缶軸方向下方に叩打するようにしてもよい。
さらに、カートンケース上蓋部23aを介して、キャップ27の天板部27aを缶軸方向に押圧若しくは叩打させる手段に代えて、カートンケース23に収容されていないキャップ付ボトル缶25の天板部27aを直接、前記のように押圧若しくは叩打させるようにしてもよい。
次に、本発明に係る内圧検査方法および装置の第2実施形態について図9から図11に従い説明するが、前記実施形態と同様の部位には同一符号を付してこの説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、搬送方向Fに対するカートンケース23の配置向きと、引離し手段8によってキャップ天板部27aとカートンケース上蓋部23aの内表面とを非接触にする方法および手段とが前記実施形態と異なる。
まず、搬送方向Fに対するカートンケース23の配置向きについては、図9から図11に示すように、搬送方向Fに4個、およびこの方向Fに交差する方向に6個、すなわち6行4列の配列となるようにカートンケース23が搬入路2上に配置され搬送されるようになっている。すなわち、前記実施形態における搬送方向Fに対するカートンケース23の配置向きに対して、本実施形態では、これから約90°だけ搬入路2の表面に沿った方向に回転移動させた状態となっている。これにより、カートンケース23は、図5に示すカートンケース23の間隙23bが、搬入路2の、搬送方向Fに交差する方向の両側に向くように搬入路2上に配置されている。
次に、本実施形態に係る引離し手段8について説明する。
この引離し手段8は、図に示すように、搬送方向Fにおける打検器13の配設位置と略同一位置に、搬入路2の搬送方向Fに交差する方向の両端部に、打検器13の配設位置を基準に搬送方向Fの上流側から下流側にかけた所定長さ領域にわたって配設された一対のエア供給部9と、このエア供給部9に連通しこの供給部9にエアを供給する図示しないエア供給源とを備えた概略構成とされている。
エア供給部9は搬送方向Fに延在した構成とされ、この長さは、搬送されるカートンケース23の搬送方向Fにおける長さの2倍強とされており、打検器13の配設位置を基準にして搬送方向Fの前側および後側にそれぞれ、カートンケース23の搬送方向Fにおける長さより若干長く延在した構成とされている。また、一対のエア供給部9が互いに対向する表面(以下、単に「エア供給部9の表面」という)のうち、搬送方向Fの前側および後側の端部は、それぞれの端に向うに従い漸次この幅が薄くなる勾配形状とされるとともに、これらの各端部を除く部分には、前記エア供給源と連通する図示しないエア供給孔が穿設されている。
そして、このエア供給孔の搬入路2表面からの高さ位置は、搬送されるカートンケース23の間隙23bの搬入路2表面からの高さ位置と略同一となっている。また、エア供給部9は、比較的硬度が高く、かつ摩擦係数の小さい材料としての樹脂材料、例えばポリ4フッ化エチレンを重合した合成樹脂、またはセラミック材料等の磁性を帯びない材質により形成されている。さらに、一対のエア供給部9のうち一方は搬入路2に固定された状態で配設され、他方は弾性部材9aにより、搬送されるカートンケース23に向って進退自在に支持された状態で配設されている。
なお、一対のエア供給部9の前記表面同士の距離は、カートンケース23の幅(搬送方向Fに沿った方向における搬送方向Fと略直交する方向の大きさ)より、若干小さくされている。
以上のように構成された内圧検査装置により、キャップ付ボトル缶25の内圧を検査する方法について説明する。
まず、前記実施形態と同様にして、搬入路2によりカートンケース23を搬送し、このカートンケース23の搬送方向Fの最先端部がエア供給部9の配設位置に到達すると、このカートンケース23の前記最先端部の端面が、勾配形状とされたエア供給部9の搬送方向Fの後方端部と衝突し、さらにカートンケース23が搬送され続けることにより、このカートンケース23の端面がエア供給部9の前記勾配形状に沿うことによって、前記他方のエア供給部9は、弾性部材9aが徐々に縮小変形するに伴い、搬入路2から離間する方向に移動することになる。
そして、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25のうち、搬送方向F最前列に6個配置された缶25が、打検器13の配設位置に到達すると、図10に示すように、カートンケース23の端面は全長にわたって、弾性部材9aにより搬入路2に向って付勢された他方のエア供給部9と、搬入路2に固定された状態で配設された一方のエア供給部9とによって狭持されることになる。この際、エア供給部9に形成されたエア供給孔とカートンケース23の間隙23bとが連通状態となるとともに、カートンケース23の内部が前記エア供給孔を除く外部に対して密封された状態となる。
ここで予め、前記エア供給源を駆動しておき、全ての前記エア供給孔からエアを噴射しておくことによって、カートンケース23の端面が全長にわたってエア供給部9により狭持されると、カートンケース23の間隙23bを介して、このカートンケース23内にエアが密封状態で供給される。これにより、カートンケース上蓋部23aが膨らみ、カートンケース23内のキャップ天板部27aとカートンケース上蓋部23aの内表面とが非接触状態となる。
そして、この非接触状態を維持しつつ、すなわちカートンケース23の端面をエア供給部9の前記表面により狭持し、かつ前記エア供給孔からエアを噴射した状態で、このカートンケース23を搬送させ、キャップ付ボトル缶25が打検器13と対向する度に、前記実施形態と同様にして、打検器13によりキャップ天板部27aを強制励振させることによって缶内圧を検査する。これにより、カートンケース23内のキャップ付ボトル缶25全てについて、搬送状態で缶内圧を検査し、この内圧値が一本でも適正範囲外にある場合には、排斥部4の前記排斥駆動部を駆動し、このカートンケース23を排出路6を介して排出し、また、全てのキャップ付ボトル缶25の内圧値が適正であった場合には、排斥部4の前記排斥駆動部を駆動させず、搬出路5に至らせ次工程へ搬出する。
以上説明したように、本実施形態による内圧検査装置および内圧検査方法によれば、カートンケース23内にエアが供給されることによって、カートンケース上蓋部23aが膨出変形し、カートンケース上蓋部23aをキャップ天板部27aから引離した状態で、打検器13によりこの天板部27aを強制励振させるとともに、このときの反響音を捉えることが可能になる。したがって、キャップ天板部27aを強制励振させた際に、この天板部27aを確実に自由振動させることが可能になり、高精度な内圧検査を実現することができる。
また、一対のエア供給部9のうち他方は、弾性部材9aにより、搬送されるケース23に向って進退自在に支持されているので、カートンケース23の搬送を阻害したり、このケース23を破損したりすることなく、このケース23を搬送している状態で、エア供給部をカートンケース23に密接させることが可能になる。したがって、カートンケース23を搬送している状態で、このケース23の内部に確実にエアを供給し、ケース上蓋部23aとキャップ天板部27aとの非接触状態を実現することができる。
さらに、カートンケース23を搬送させた状態で、キャップ天板部27aからカートンケース上蓋部23aを引離すことが可能になるので、高精度な内圧検査を高効率に実施することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、測定対象のキャップ付ボトル缶25として、胴部と一体に形成されてなる底部を有する缶を示したが、底蓋を巻締めた構成の缶であっても適用可能である。
また、前記第2実施形態では、一対のエア供給部9それぞれから、カートンケース23内にエアを供給する構成を示したが、これに限らず、それぞれのエア供給部9によりカートンケース23を密封した状態で、一方のみからエアを供給するようにしてもよい。
さらに、測定対象の缶の本数および打検器13の個数は前記実施形態に限らない。
さらにまた、前記各実施形態では、電磁誘導作用によってキャップ付ボトル缶25を強制励振させ、この際のキャップ天板部27aからの反響音を捉えて算出されたピーク周波数と、予め設定された缶内圧値とピーク周波数との相関とに基づいて、缶内圧値を算出し、この値から缶の内圧を検査する方法を示したが、これに限らず、キャップ付ボトル缶25を強制励振させることによって得られた反響音に基づいて缶内圧を検査する方法であれば本発明を適用することは可能である。例えば、前記反響音からピーク周波数を算出するのではなく、周波数に対するデジット値の面積値を算出し、この面積値に基づいて缶内圧を検査してもよく、また、缶内圧値を算出しないで、ピーク周波数若しくは前記面積値から直接、缶内圧が適正か否かを判別させてもよい。
ところで、前記第1実施形態において、一つの真空吸引手段に前記複数の吸引部8aがそれぞれ連通された構成とした場合、カートンケース23の搬送方向F最先端部における上蓋部23aが、複数の吸引部8aのうち搬送方向F最後端部に配置された吸引部8aと対向する際に、バキュームエアを前記複数の吸引部8a全てに供給しておくと、ケース上蓋部23aと対向した吸引部8aに十分な負圧吸引力を発生させることができず、ケース上蓋部23aとキャップ天板部27aとの引離しが不十分になるおそれがある。
すなわち、ケース上蓋部23aと対向していない吸引部8aにもバキュームエアが供給されると、この吸引部8aがいわゆる空吸いをすることになるため、前記真空吸引手段と前記複数の吸引部8aとを連結する配管内の圧力を低下させることができず、前記負圧吸引力が低下するおそれがある。
このような問題を解決するために、以下のような手段を採用するのが望ましい。すなわち、図12に示すように、真空吸引手段31と前記複数の吸引部8aとの間それぞれに、各吸引部8aと真空吸引手段31とを連通、遮断させる開閉弁32を設けるとともに、これらの開閉弁32の開閉動作を各別に制御する弁制御部33を設け、該弁制御部33により、前記複数の吸引部8aのうち、ケース上蓋部23aと対向したものに連結された開閉弁32のみを開いて、この吸引部8aを真空吸引手段10と連通させる一方、ケース上蓋部23aと対向していないものに連結された開閉弁32は閉じて、この吸引部8aを真空吸引手段31に対して遮断させるのが望ましい。この場合において、吸引部8aとケース上蓋部23aとが対向したときとは、図6に示す例では、バキュームパッド先端面58aに形成された孔58cの開口面全体がケース上蓋部23aと対向した状態をいう。
ここで、開閉弁32を開閉させて、真空吸引手段31と個々の吸引部8aとを各別に連通、遮断させるには、以下のような手段を採用するのが望ましい。すなわち、搬送路2にカートンケース検出手段を配設するとともに、前記弁制御部33にタイマーを備えさせ、前記検出手段により搬送中にあるカートンケース23を検出したときに、この検出信号を弁制御部33に送信し、この弁制御部33が検出信号を受信したときから前記タイマーを作動させる。そして、個々の吸引部8aごとに予め設定されていた時間が経過したときに、弁制御部33から対応する開閉弁32に信号を出力してこれを開閉させ、吸引部8aと真空吸引手段31との間を連通、遮断させる。以上により、前述の空吸いをする吸引部8aの発生を抑制することが可能になり、前記負圧吸引力の低下を抑えることができる。
さらに、前記第1実施形態においては、内圧検査手段3により缶内圧が検査される過程において、カートンケース23は、その上蓋部23aがバキュームパッド先端面58aに摺接しながら搬送されることになる。したがって、この搬送過程において、カートンケース上蓋部23aと前記先端面58aとの間の摩擦力によって、カートンケース23の搬送速度が遅くなる場合があり、このため、複数の打検器13の各加振部11を作動させるタイミングを、予め設定していた時間が経過したときとする構成を採用した場合には、前記予め設定していた時間では短く、未だキャップ天板部27aと打検器13とが対向していないときに加振部11が作動し、したがってキャップ天板部27aが強制励振されず、内圧検査できないおそれがある。この問題は、前記第2実施形態についても同様に生じ得るものであるが、図1に示すような、キャップ付ボトル缶25の搬送方向Fにおける連立本数が多い場合において、搬送方向Fの後側に位置するキャップ付ボトル缶25の内圧を検査するときに特に著しい。
また、前述した開閉弁32と弁制御部33とが設けられ、開閉弁32を開閉させるタイミングをタイマーにより決定する手段を採用した場合も、カートンケース23の搬送速度の低下によって、ケース上蓋部23aと対向していない吸引部8aにもバキュームエアが供給されたり、これとは逆に吸引部8aが未だケース上蓋部23aと対向しているにもかかわらず、バキュームエアの供給が停止されたりして、前述した空吸いのみならず、ケース上蓋部23aとキャップ天板部27aとの非接触状態が実現できないおそれもある。
このような問題を解決するために、以下のような手段を採用するのが望ましい。すなわち、搬送路2上にゴムシート等の高摩擦材を張着したり、あるいは搬送路2自体を高摩擦材により形成する。これにより、カートンケース23の下面と搬送路2上との摩擦力が高められ、搬送路2によってカートンケース23をいわゆる空送りさせることなく良好に搬送することが可能になり、カートンケース23の搬送速度の低下を抑制することができる。
また、搬送路2とは別に、カートンケース23に搬送方向Fの前側に向けた推力を作用させる手段、例えばプッシャーを設ける。そして、内圧検査手段3により缶内圧が検査される過程において、このプッシャーを搬送路2の搬送速度と略同等の前進速度で搬送方向Fの前側へ向けて移動させ、このプッシャーにより、カートンケース23aに前記先端面58aとケース上蓋部23aとの間に発生する摩擦力より大きい力を作用させる。これにより、前記先端面58aとケース上蓋部23aとの間に発生する摩擦力にかかわらず、カートンケース23の搬送速度の低下を確実に抑制することができる。
ところで、前記内圧検査がされる前に、カートンケース23が例えば高湿度下で放置されると、カートンケース上蓋部23aの外表面のうねりや凹凸等の大きさが大きくなり、前記第1実施形態の場合、バキュームパッド先端面58aが前記上蓋部23aの外表面に一様に当接することができず、前記吸引口58bおよび前記孔58cを前記上蓋部23aの外表面により閉塞することが困難になるおそれがある。つまり、前記上蓋部23aの内面とキャップ天板部27aとを引離すことができる十分な負圧吸引力を前記吸引部8aに発生させることができないおそれがある。
特に、カートンケース23が、前記実施形態に代えて、その上蓋部23aの幅方向(前記搬送方向Fに直交する方向)中央部で分割された構成の場合には、前記引離し手段8による該上蓋部23aの前記吸引の際に、この上蓋部23aのうち前記幅方向中央部が最も大きく持ち上げられて側面視逆V字状となるため、前記閉塞を実現することがより一層困難になるおそれがある。
このため、バキュームパッド58がその軸線に対して傾き自在とされてピストンロッド57に支持されていることが望ましい。
この場合、カートンケース上蓋部23aの外表面が、うねりや凹凸等で平坦面となっていない場合でも、バキュームパッド先端面58aをカートンケース上蓋部23aの外表面に沿うように追従させて傾かせることが可能になり、バキュームパッド先端面58aを前記上蓋部23aの外表面に一様に当接させることができる。したがって、前記吸引口58bおよび前記大径の孔58cをカートンケース上蓋部23aの外表面により確実に閉塞することが可能になる。
このような構成の具体例として、例えば次の2つが考えられる。
まず1つ目は、図14に示すように、バキュームパッド58を、前記第1実施形態と同様に、前記先端面58aおよび大径の孔58cが形成された前記樹脂材料からなる円板状の本体部58dと、可撓性のある例えばゴム材料からなるドーナツ状のフレキシブル板58fとにより構成するとともに、フレキシブル板58fを、その軸線が本体部58dの軸線と略一致するように、本体部58dの後端面58eに配設する。
ここで、本体部58dの径方向中央部には、前記大径の孔58cの底面(図示の例では上面)に開口する貫通孔58gが穿設されており、該貫通孔58gおよび前記ドーナツ状とされたフレキシブル板58fの内面に、前記ピストンロッド57の先端部を、その先端面が前記孔58cの内部に位置するように挿入して配置する。また、ピストンロッド57の外周面に嵌合されたスリーブ61(図6参照)の下面と、フレキシブル板58fの上面との間に、ばね部材62を、その内側にピストンロッド57を挿入した状態で配設する。
そして、このばね部材62の反発力によって、バキュームパッド58を前記先端面58a側に付勢するとともに、このばね部材62の下端部内側とピストンロッド57の外周面との間に、フレキシブル板58fの内径部の全周を挟み込み、バキュームパッド58の後端部側における密封状態を実現する。さらに図示の例では、フレキシブル板58fの外周部を複数のボルト58hにより本体部58dの後端面58eに固定する。
ところで、本体部58dの前記貫通孔58gの内径は、ピストンロッド57の先端部外径よりも大きくされており、前記貫通孔58gの内周面とピストンロッド57の外周面との間の隙間により、本体部58dがピストンロッド57に対して傾くと、これに追従して、ばね部材62が伸縮するとともに、フレキシブル板58fが撓むようになっている。以上により、バキュームパッド58がその軸線に対して傾き自在とされてピストンロッド57に支持される。
次に、2つ目の具体例について図15に従い説明するが、図14に示す1つ目の具体例と異なる点のみ説明する。
バキュームパッド本体部58dをその厚さ方向で2分割し、前記先端面58aおよび大径の孔58cを有する第1本体部58iと、バキュームパッド本体部58dの前記後端面58eを有する第2本体部58jとにより構成する。第1、第2本体部58i、58jの径方向中央部には貫通孔がそれぞれ穿設されており、第1本体部58iの前記貫通孔は、先端面58aおよび大径の孔58cから離間する方向に漸次その内径が増大するようなテーパ面58kとされ、また、第2本体部58jの前記貫通孔の前記第1本体部58i側は、径方向外方へ凹とされた曲面58mとされている。
ここで、このようなバキュームパッド本体部58dの内部に位置するピストンロッド57の先端部57aは球形状とされて、この球形状の外表面が、前記テーパ面58kに線接触するとともに、曲面58mに面接触することにより、バキュームパッド本体部58dが、球形状とされたピストンロッド先端部57aの径方向中央部を中心に3次元的に所定角度だけ回転移動自在とされた構成となっている。これにより、バキュームパッド本体部58dがピストンロッド57に対して傾き、かつこの傾きに追従して、ばね部材62が伸縮するとともに、フレキシブル板58fが撓むことによって、バキュームパッド58がその軸線に対して傾き自在とされてピストンロッド57に支持される。
ところで、この内圧検査では、前述のように、カートンケース23を積み重ねた状態で数日放置した後に、このカートンケース23内の缶を強制励振させてその際の反響音を捉えることがなされているが、前記積み重ねた状態で放置したことによって、図5の鎖線で示されるように、カートンケース23がその厚さ方向に潰されて、該ケース23の上蓋部23a側に位置する該ケース23の上部側面23cが、前記上蓋部23aの外表面に沿った方向におけるカートンケース23の外方へ拡がって変形し、これにより、内圧検査時にはカートンケース上蓋部23aの内面と缶とが密接しているおそれがある。この場合、第1、第2実施形態で示した前記引離し手段8によりカートンケース上蓋部23aと缶とを非接触にしようとしても、該上蓋部23aを缶から十分に引離すことができず、内圧検査時に前記上蓋部23aと缶とが接触して、缶を自由振動させることができないおそれがある。
このため、内圧検査装置1に、前記搬送方向Fにおける打検器13および前記引離し手段8の配設位置と略同一位置に、カートンケース23を搬送させた状態で、当該カートンケース23の、前記上蓋部23a側に位置する上部側面23cを、前記上蓋部23aの表面に沿った方向における該カートンケース23の内側へ向けて押圧し、その変形を矯正するカートンケース矯正手段10を設けることが望ましい。
この場合、内圧検査時にカートンケース23の前記潰された変形を矯正して、前記上蓋部23aの内面と缶との密接を解除した状態で、前記引離し手段8による前記引離しを実施することが可能になり、前記引離し手段8によるカートンケース上蓋部23aと缶との非接触状態を確実に実現することができる。
このような構成の具体例としては、図16に示すように、前記搬送方向Fにおける打検器13および前記引離し手段(図示略)の配設位置と略同一位置に、カートンケース矯正手段10を配設する。この矯正手段10としては例えば、搬入路2の搬送方向Fに略直交する方向の両端部に、打検器13の配設位置を基準に搬送方向F上流側から下流側にかけた所定長さ領域にわたって延在した一対の押圧部10aにより構成する。この一対の押圧部10aの前記延在した長さは、搬送されるカートンケース23の搬送方向Fにおける長さの2倍強とされており、打検器13の配設位置を基準にして搬送方向Fの前側および後側にそれぞれ、カートンケース23の搬送方向Fにおける長さより若干長く延在した構成とされている。
また、一対の押圧部10aの互いに対向する表面(以下、「押圧部10aの表面」という)のうち、搬送方向Fの前側および後側の端部は、それぞれの端に向うに従い漸次その幅(前記搬送方向Fと略直交する方向の大きさ)が小さくなる勾配形状とされる。さらに、押圧部10aは、比較的硬度が高く、かつ摩擦係数の小さい材料としての樹脂材料、例えばポリ4フッ化エチレンを重合した合成樹脂、またはセラミック材料等の磁性を帯びない材質により形成される。また、一対の押圧部10aのうち一方は搬入路2に固定され、他方は弾性部材10bにより、搬送されるカートンケース23に向って進退自在に支持される。そして、前記押圧部10aの表面同士の距離は、カートンケース23の幅(搬送方向Fに沿った方向における搬送方向Fと略直交する方向の大きさ)より、若干小さくされている。また、前記押圧部10aの表面は、搬送路2により搬送されているカートンケース23の上端を含めた前記上部側面23cと対向するように配設されている。
以上の構成において、搬入路2によりカートンケース23を搬送し、このカートンケース23の搬送方向Fの最先端部が押圧部10aの配設位置に到達すると、このカートンケース23の前記最先端部の端面が、勾配形状とされた押圧部10aの搬送方向Fの後方端部と衝突し、さらにカートンケース23が搬送され続けることにより、このカートンケース23の前記端面が押圧部10aの前記勾配形状に沿うことによって、前記他方の押圧部10aは、弾性部材10bが徐々に縮小変形するに伴い、搬入路2から離間する方向に移動することになる。そして、カートンケース23内の缶のうち、搬送方向Fの最前列に配置された缶が、打検器13の配設位置に到達したときに、図16に示すように、前記搬送方向Fに延びる、カートンケース23の前記上部側面23cは、前記搬送方向Fにおける全長にわたって、弾性部材10bにより搬入路2に向って付勢された他方の押圧部10aと、搬入路2に固定された一方の押圧部10aとによって狭持される。これにより、前記上部側面23cがカートンケース23の内側へ向けて押圧されて前記変形が矯正され、前記ケース上蓋部23aの内面と缶との密接が解除される。
この状態で、カートンケース23を、前記上部側面23cを前記押圧部10aの表面に摺接させながら搬送し続けることによって、該ケース23内の全ての缶の内圧を検査する過程において、押圧部10aによる前記上部側面23cの全長にわたった前記押圧を維持して、前記ケース上蓋部23aの内面と缶との密接を解除し続ける。これにより、前記ケース23内の全ての缶の内圧を検査する過程において、前記引離し部によるカートンケース上蓋部23aの内面と缶との非接触状態が確実に実現される。
なお、カートンケース矯正手段10は、前記第1、第2実施形態で示した各引離し手段8の双方について適用可能である。第2実施形態においては、エア供給部9より上方で、かつカートンケース23の前記上部側面23cと対向する位置に前記押圧部10aを配設することにより、エア供給部9とカートンケース矯正手段10とを併設することが可能である。
ところで、前述した内圧検査では、まず、打検器13により缶を前記強制励振させると、この缶に発生した振動によってカートンケース上蓋部23aの内面と缶との間に位置する空気が振動し、この空気振動によりカートンケース上蓋部23aが振動する。そしてさらに、この上蓋部23aの振動により該上蓋部23aの外表面と打検器13の先端面(前記第1、第2実施形態では、加振部11の先端面)との間の空気が振動し、この空気振動を打検器13(本実施形態ではマイクロフォン12)が検知して、この結果に基づいて缶内圧を測定するようになっている。
このため、前記引離し手段8の前記引離しによって、打検器13の先端面とカートンケース上蓋部23aの外表面とが接触すると、この上蓋部23aの振動が阻害されて、該上蓋部23aの外表面と打検器13の先端面との間の空気振動が小さくなる等の理由により、内圧検査を高精度に実施することが困難になるおそれがある。
したがって、搬送路2上に、打検器13とカートンケース上蓋部23aとの接触を防止する打検器保護部材を配設するのが望ましい。
この場合、引離し手段8によりカートンケース上蓋部23aを缶から引離したことによって、該上蓋部23aの外表面と、打検器13の先端面とが接触することを回避することが可能になり、内圧検査を高精度に実施することが可能になる。すなわち、内圧検査時に、カートンケース上蓋部23aは少なくとも打検器13により阻害されることなく振動することが可能になり、前記上蓋部23aの外表面と打検器13の先端面との間の空気を必要十分に振動させることができる。
このような打検器保護部材14の具体例としては、図17(a)に示すように、内圧検査装置1の平面視において、打検器13の外方部に、該打検器13を基準にして対向する位置に設けられた一対の板状体14aにより構成する。
これらの板状体14aの下面は、図17(b)に示すように、少なくとも打検器13の先端面(図示の例では、加振部11の先端面)より下方に位置されるのが望ましい。この場合、カートンケース上蓋部23aの外表面と打検器13の先端面との間を、少なくとも前記板状体14aの下面と打検器13の先端面との距離だけ確保することが可能になり、打検器13により検知される、振動する空気層の大きさを必要十分確保することができる。
また、板状体14aとして、図17に示すように、カートンケース23の搬送方向F(図示の矢印が指す方向)に沿った方向に延びる構成を採用し、前記引離し時に、この板状体14aの下面を、カートンケース上蓋部23aの外表面のうち、内圧検査装置1を平面視して、該打検器13を挟んで対向した部分に面接触させるのが望ましい。この場合、カートンケース上蓋部23aと打検器13の下面との接触を確実に防止することができる。
また、板状体14aの下面は、前記第1実施形態では、前記引離し時におけるバキュームパッド先端面58aより上方に位置されるのが望ましい。この場合、打検器保護部材14が、引離し手段8の前記吸引部8aによるカートンケース上蓋部23aの前記引離しを阻害することはない。また、一対の板状体14aは、内圧検査装置1を平面視して、前記搬送方向Fに直交する方向において、各打検器13を基準にして互いが対向する位置に各別に配設される。さらに、一対の板状体14aは、前記平面視において、バキュームパッド先端面58aと打検器13の先端面とを回避した位置に、前記搬送方向Fに延在し、かつ搬送方向Fの前端部は、搬送路2の上面から離間する方向に向けて立上がるように折り返された折り返し部14bとされている。そして、搬送路2の上面と平行に延びる、折り返し部14bを除いた板状体14aの下面(以下、「板状体14aの下面」という)により、打検器13の先端面が前記引離されたカートンケース上蓋部23aの外表面と非接触となるように保護される。以上のように構成された一対の板状体14aが各打検器13について設けられている。
なお、前記板状体14aの下面の前記搬送方向Fにおける長さは、打検器13の先端面の直径と同じかそれ以上となっている。また、図17では、打検器保護手段14を前記第1実施形態に適用した構成を示したが、前記第2実施形態においても適用可能である。
さらに、前記各実施形態における前記真空吸引手段として、その構成は特に限定されるものではないが、例えば図13に示すように、圧縮空気供給手段31aと、該圧縮空気供給手段31aと前記複数の吸引部8aとの間それぞれに設けられた複数の真空エジェクタ31bとを備える構成を採用してもよい。真空エジェクタ31bは、圧縮空気供給手段31aから供給された圧縮空気によって、その内部空間の圧力が低下し、その際の差圧によって外気を吸引する構成とされたものである。このような真空吸引手段31を採用した場合には、前述した空吸いの問題を解決できる構成の構成要素の一つとしての前記開閉弁32を、前記真空吸引手段31と前記吸引部8aとの間、具体的には、圧縮空気供給手段31aと前記複数のエジェクタ31bとの間それぞれに配設し、弁制御部33により各開閉弁32の開閉を制御するようにしてもよい。そして、各真空エジェクタ31bへの圧縮空気の供給を制御して、それぞれの吸引部8aによる前記負圧吸引を制御するようにしてもよい。このような構成においても、前述の空吸いをする吸引部8aの発生を抑制することが可能になり、前記負圧吸引力の低下を抑えることができる。