JP6437315B2 - 反射性塗装物、反射性塗料及び塗装方法 - Google Patents

反射性塗装物、反射性塗料及び塗装方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材上の少なくとも一部に反射性塗膜を有する反射性塗装物、反射性塗料及び塗装方法に関する。
夜間やトンネル内などにおいては、物の認識や識別が困難となる。
そこで、従来、反射材や反射塗膜を設けて対象物の視認性を向上させるなどの工夫が行われている。夜間等における視認性を向上させる目的は、さまざまである。標識に記された表示そのものを見えやすくするためや、ガードレールやトンネルに取り付けられた視線誘導を目的としたもの(視線誘導標)、自転車に取り付けられた反射材のように相手(車の運転手)にその存在を知らせるためのものがあり、多くは車のライトを反射して運転手が視認できる再帰反射のしくみを用いている。ここで、再帰反射とは、外部からの入射した光を入射方向と同じ方向に反射させる特性のことである。
例えば、間隔をおいて立設された支柱間に上下並行に複数の横桟が取付けられた防護柵において、該横桟の外側面に光反射剤を含む樹脂塗膜が形成され、更にその樹脂塗膜の表面に再帰反射性を有するガラスビーズが付着され、ガラスビーズに入射された光が光反射剤で反射するようになされたことを特徴とする防護柵が提案されている(特許文献1参照)。
なお、平滑な表面を有するフレーク状ガラスの表面に金属皮膜が形成されている鱗片状顔料を含み、該鱗片状顔料が粒径20〜80μmの粒子を40重量%以上の割合で有する再帰光輝性塗料が提案されているが(特許文献2参照)、「この発明の再帰光輝性塗膜および再帰光輝性塗装製品は、それぞれ、再帰光輝性を有することにより、夜間でも目立つ意匠性を持っており、ユーザーにインパクトを与えることが可能になった」(段落0036)の記載に見るように、あくまでも意匠性の向上を目的としており、上記の如き、視認性向上の技術に関するものではないと理解される。
また、基体に金属又は金属酸化物を被覆した平均粒子径80〜1000μmの光輝性顔料とビヒクルとを含有する光輝性塗料組成物が提案されているが(特許文献3参照)、この技術は、自動車車体等に、光輝顔料によりキラキラ感を付与して意匠性を向上させるための技術であって、上記の如き、視認性向上の技術に関するものではない。
特開2007−92393号公報 特開平5−179174号公報 特開2001−31908号公報
特許文献1の防護柵のように、対象物が再帰反射性を備える場合において、例えば、車のヘッドライトで対象物を照射した場合、車の乗員は再帰反射光を認識することができる。これら従来の技術は前述の如く主に自動車の運転手に対して夜間の視認性を向上させる技術である。
一方、昨今は自然災害が多く発生するようになり、歩行者を如何に避難誘導させるかが重大な課題になってきた。例えば、想定される南海トラフ地震による津波からの避難対策、気候変動による局地的な豪雨による土砂崩れからの避難対策などを目的とした避難誘導道の整備が進められている。その中で、特に夜間避難する場合でも歩行者が避難道と認識でき、さらに誘導できることが求められている。
しかしながら、歩行者が懐中電灯などで対象物を照らした場合や、街灯によって対象物が照らされている場合、歩行者は再帰反射光を認識することが困難である。
これは、光源と観測者との角度(観測角)の関係によるものであって、具体的には、車のヘッドライト(光源)と車の乗員(観測者)との角度は小さいのに対して、手に持った懐中電灯や街灯(光源)と歩行者の目との角度は一般に大きいためである。
そこで、本発明は、再帰反射性及び拡散反射性を併せ持ち、両者によって高い視認性を発揮する反射性塗装物、反射性塗料及び塗装方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行い、以下のことを見出し本発明に至った。
すなわち、歩行者が懐中電灯を持って対象物を照らす場合も、遠方(3m以上離れた距離)から光を当てる場合は、手を前方に向けて挙げ、光源と観測者との角度(観測角)が小さくなり、再帰反射による視認性が有効となること、しかしながら対象物の近く(3m以内)で懐中電灯を持って対象物を照らす場合には、再帰反射の効果が発揮されにくいこと、また鏡のように反射性に優れた反射材は正面から光を当てた場合以外は効果が無いこと、すなわち光輝材を単独で塗膜に形成させても正反射方向以外は充分な効果が得られないことがわかった。
そこで、上記の点を考慮した上で種々の検討を行い、基材上の少なくとも一部に反射性塗膜を有する反射性塗装物において、ビーズと光輝材の併用、層構成、ビーズや光輝材の粒径等を工夫することにより、再帰反射性及び拡散反射性の両方が良好に発揮され、高い視認性を備えた反射性塗装物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる反射性塗装物は、基材上の少なくとも一部に反射性塗膜を有する反射性塗装物であって、前記反射性塗膜が、表面の一部に反射膜が形成され、球形で透明であり、平均粒径が30μm以上の自反射ビーズと、平均粒径が70μm以上の薄片状の光輝材と同一の透明樹脂層内に含み、前記自反射ビーズの反射性塗膜全量に対する含有割合が20〜60重量%であり、前記自反射ビーズと前記光輝材との平均粒径の比(自反射ビーズの平均粒径/光輝材の平均粒径)が、0.1〜2.0の範囲であることを特徴とする。
また、本発明にかかる反射性塗料は、基材上の少なくとも一部に塗布して反射性塗膜を形成するための反射性塗料であって、透明樹脂と、表面の一部に反射膜が形成され、球形で透明であり、平均粒径が30μm以上の自反射ビーズと、平均粒径が70μm以上の薄片状の光輝材とを含有し、前記自反射ビーズの反射性塗膜全量に対する含有割合が20〜60重量%となるように調整され、前記自反射ビーズと前記光輝材との平均粒径の比(自反射ビーズの平均粒径/光輝材の平均粒径)が、0.1〜2.0の範囲であることを特徴とする。
本発明にかかる塗装方法は、基材上の少なくとも一部に上記反射性塗料を塗布して反射性塗膜を形成することを特徴とする。
なお、上記特許文献1の技術では、光反射剤を含む樹脂塗膜の表面(上層)にガラスビーズの層が形成されており、ガラスビーズを入射された光が、光反射剤を含む樹脂塗膜に到達して反射し、この反射光がガラスビーズに入射し、再帰反射するものである。この層構成で用いられている光反射剤は、本発明の如き拡散反射性を発揮させるものではない。
また、特許文献2には、「再帰光輝性」との記載があり、「従来の塗料では得られない視覚効果、すなわち、夜間や暗所などで照明をうけたときにきらめきを示すという特性」と説明されている(段落0006)。再帰光輝性が実際にどのような性質を指すのかは必ずしも明らかではないが、少なくとも構成上、本発明を示唆するものではない。
本発明は、自反射ビーズを用いているので、特許文献1の「光反射剤を含む樹脂塗膜」のようにビーズ層とは別に反射層を設ける必要がなく、反射膜のないビーズに比べて高い反射輝度が得られるので、ビーズの使用量も少なくすることができる。これにより、同一透明樹脂層内に光輝材を含有させることが可能となり、拡散反射性をも付与することが可能となっている。
そして、透明樹脂層内では、自反射ビーズの反射膜の向きがランダムであるため、入射角が変化しても反射輝度が得られ、また、ビーズと同一の透明樹脂層内に光輝材を形成させる方法により、光輝材が色々な角度で存在し、広い角度でキラキラとした視認性が発揮される。
さらに、ビーズや光輝材の粒径を所定の範囲に設定することで、ビーズと光輝材の相乗作用による上記の如き再帰反射性及び拡散反射性が最大限に発揮される。
従って、本発明によれば、再帰反射性及び拡散反射性によって高い視認性を発揮させることができるのである。
本発明にかかる反射性塗装物の一実施形態を示す断面図である。 本発明にかかる反射性塗装物の別の実施形態を示す断面図である。 本発明にかかる反射性塗装物の別の実施形態を示す断面図である。 実施例1にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 実施例4にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 実施例5にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 実施例8にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 比較例1にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 比較例2にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 比較例3にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 比較例5にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 比較例6にかかる試料について光軸迂回における相対反射光分布測定を行った結果を示すグラフである。 光軸迂回における反射測定の光学系ならびに反射光挙動の概略図である。
以下、本発明にかかる反射性塗装物、反射性塗料及び塗装方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明の反射性塗装物は、基材上の少なくとも一部に反射性塗膜を有する反射性塗装物である。
そして、反射性塗膜は、ビーズと光輝材とを透明樹脂層内に含むものである。
以下、上記各構成について個々に詳述する。
〔ビーズ〕
本発明においては、表面の一部に反射膜が形成されている球形で透明の自反射ビーズが必須に用いられる。
自反射ビーズ自体が反射膜により高輝度反射機能を有しているので、別途、反射層を設ける必要がない。
自反射ビーズ表面の反射膜は、前記ビーズ表面の一部に形成される。ビーズ表面の全部に形成したのでは、反射膜がビーズへの光の入射を妨げ、光がビーズに入射できない。他方、反射膜を形成する領域が少なすぎると効率的に再帰反射させることができない。したがって、入射、反射の両方が効率的になされるように、反射膜の領域を設定することが好ましく、このような観点から、反射膜を、ビーズ表面の30〜70%の領域に形成することが好ましく、40〜60%の領域に形成することがより好ましく、概ね50%の領域、すなわち、ビーズの半球部分に反射膜が形成される自反射ビーズが特に好ましい。ビーズ表面の半球部分に反射膜を形成しておけば、50%の確率で再帰反射が起こり、十分な視認性が得られる。
ビーズの表面の一部に反射膜を形成する自反射ビーズの製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用すればよい。例えば、ポリエステルなどのフィルム上にポリエチレンなどによりビーズの半球部分を埋め込むように仮接着し、これを真空の釜に入れて、反射膜の材料となる金属や金属酸化物を蒸着させたのち、前記フィルムを取り除くことにより、金属や金属酸化物を蒸着させた反射膜を有する自反射ビーズが得られる。
反射膜の材料となる金属や金属酸化物としては、反射膜としての機能を発現するものであれば特に限定されないが、白色から銀白色の金属や金属酸化物、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、スズ、亜鉛などの金属やこれらの酸化物などが好ましく挙げられ、アルミニウムが特に好ましい。
また、本発明における自反射ビーズの平均粒径は30μm以上である。300μm以下であることが好ましく、30〜150μmがより好ましい。自反射ビーズとして、平均粒径の異なる2種以上の自反射ビーズを用いることもできる。
自反射ビーズの平均粒径が30μm未満では、拡散反射のための光輝材に自反射ビーズが埋もれて再帰反射性能が発揮しづらくなり、さらに光輝材もほぼ水平方向にのみ形成され、拡散反射の角度が正反射方向だけになってしまうからである。
自反射ビーズの平均粒径が大きすぎると透明樹脂によるビーズの保持が困難となり、ビーズが皮膜からとれやすくなるおそれがある。
ここで、本発明において、自反射ビーズの平均粒径は、以下の測定方法による。
すなわち、自反射ビーズの平均粒径は、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置を用いて測定される平均粒径値(島津製作所製 SALD−7000)とした。
本発明における自反射ビーズの屈折率は、特に限定するわけではないが、屈折率1.5〜2.5のものが好ましく、1.8〜2.2のものがより好ましい。
例えば、透明樹脂の被覆がわずかであれば、屈折率1.8〜2.0程度のものを選択し、他方、透明樹脂の被覆が厚く透明樹脂における光の屈折を考慮に入れる必要がある場合には、より屈折率の高いものを選択するなど、適宜の選択をしてよい。
本発明においては、ビーズとして、2種以上のビーズを組み合わせてもよい。
この場合、上記自反射ビーズを2種以上組み合わせても良いし、上記自反射ビーズと、反射膜が形成されていないビーズ(以下、自反射ビーズと区別するため、反射膜の形成処理がなされていないという意味で「非処理ビーズ」と称する)を2種以上組み合わせてもよい。
例えば、平均粒径、反射膜が形成される領域の割合、屈折率、反射膜の有無などが異なる2種以上のビーズを組み合わせることができる。
このように、2種以上のビーズを組み合わせたり、それらの比率を変えたりすることで、反射特性を適宜調整することができる。
なお、非処理ビーズの平均粒径についても、上記自反射ビーズの平均粒径と同様の測定方法により得られる値とする。
平均粒径の異なる複数種のビーズを組み合わせることが好ましい。
中でも、本発明の必須成分である自反射ビーズに、この自反射ビーズよりも大きい非処理ビーズ(例えば、平均粒径90〜300μm)を組み合わせることが好ましい。
このように、平均粒径の大きい非処理ビーズを組み合わせると、これを組み合わせない場合と比べて、拡散反射の角度が広くなる。この現象は、光輝材が、平均粒径の大きな非処理ビーズに寄りかかって直立あるいはこれに近い状態となり得ることから、水平から直立あるいはこれに近い角度まで、色々な角度で透明樹脂層内に存在することとなるためであると推測される。
〔光輝材〕
光輝材としては、特に限定するわけではないが、例えば、高分子フィルムに金属又は金属化合物が真空蒸着されたものが粉末化されたもの、表面に金属もしくは金属化合物がコーティングされたマイカもしくはガラスフレークなどが好ましく挙げられる。
高分子フィルムに金属が真空蒸着されたものが粉末化されたものとしては、例えば、以下のようにして得ることができる。
すなわち、まず、ポリエチレンテレタレートなどの高分子フィルムに、金属を真空蒸着させる。
真空蒸着させる金属としては、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、銀、亜鉛を挙げることができ、金属化合物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタンを挙げることができる。中でも、アルミニウムが好ましい。
真空蒸着の方法は特に限定されず、一般的な公知の方法でよい。
その後、高分子フィルムに金属が真空蒸着されたものをカットするなどして所望の大きさに調整すればよい。
表面に金属もしくは金属化合物がコーティングされたマイカもしくはガラスフレークとしては、一般に公知のものを用いることができる。
具体的には、金属としては、例えば、銀を挙げることができ、金属化合物としては、例えば、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。
コーティング技術などについては、既に知られている方法を採用することができる。
本発明に用いる光輝材は、薄片状であることが好ましい。薄片状であれば、球状のビーズの間に挟み込まれる形で色々な角度をとりやすく、その結果として、拡散反射角度が広くなる。
本発明に用いる光輝材は、平均粒径が70μm以上である。300μm以下であることが好ましく、80〜200μmがより好ましい。
光輝材の平均粒径が70μm未満では、所期した拡散反射性が得られない。
光輝材の平均粒径が大きすぎると透明樹脂による光輝材の保持が困難となり、光輝材が皮膜からとれやすくなるおそれがある。
ここで、本発明において、光輝材の平均粒径は、以下の測定方法による。
すなわち、光輝材の平均粒径は、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置を用いて測定される平均粒径値(島津製作所製 SALD−7000)とした。
〔透明樹脂〕
前記透明樹脂層を形成する透明樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の何れも使用できる。湿気硬化型や紫外線硬化型の樹脂も使用できる。水系樹脂、有機溶剤系樹脂、それらの混合溶媒系樹脂も何れもが使用できる。具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコン系、アルキド系、フッ素系、メラミン系、ポリエステル系などの樹脂やこれらの樹脂の共重合体が挙げられる。特にアクリル系樹脂、例えば、アクリルウレタン樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルメラミン樹脂などが好ましい。これらは、架橋剤としてイソシアネートを併用することにより耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐水性、耐塩水性などの耐久性を向上させることができ、屋外用途として優れるからである。
透明樹脂層の厚みとしては、乾燥膜厚で、自反射ビーズの平均粒径の2倍以下であることが好ましい。ここにいう乾燥膜厚とは、後述の実施例に記載の方法で測定される値、すなわち、Kett社製の電磁膜厚計「LZ−300C(同社の商品名)」を用いて測定される値とする。
〔基材〕
基材は、本発明による反射性(再帰反射性及び拡散反射性)を付与したい任意の物品(部品など、ある物品の一部となる構成部材も含む)である。
基材上の「少なくとも一部」の意味するところは、基材上の全面であっても、一部分であってもよいということである。
基材として、例えば、防護柵やその構成部材を挙げることができる。
防護柵としては、ガードレール、ガードパイプ、フェンス、セーフティーフェンスなどが挙げられ、その構成部材としては、ボルト、ナット、キャップ、ブラケット、支柱、ベースプレート、ワイヤーケーブル、ビーム、パイプ、スクリーンパネルなどが挙げられる。防護柵もその構成部材も、その材質は特に限定されず、プラスチックや金属など、いずれであっても良い。
このような防護柵あるいはその構成部材には、あらかじめ、防錆処理を施しておいたり、塗装を施しておいたりしてよい。
例えば、基材の表面の少なくとも一部に、亜鉛めっき層、化成処理層及び塗膜層が形成され、塗膜層の上に反射性塗膜が形成された層構成のものが好ましく挙げられる。
〔反射性塗膜〕
反射性塗膜は、自反射ビーズと光輝材とを透明樹脂層内に含むものであるが、反射性塗膜中の自反射ビーズの含有割合は、反射性塗膜全量に対して、10〜60重量%とすることが好ましく、20〜60重量%とすることがより好ましい。
また、反射性塗膜中の光輝材の配合割合は、反射性塗膜全量に対して、1〜10重量%とすることが好ましく、2〜8重量%とすることがより好ましい。
さらに、自反射ビーズと光輝材の含有量の比(自反射ビーズの含有量/光輝材の含有量)は、重量比で、1〜30の範囲であることが好ましく、5〜20の範囲であることがより好ましい。
また、自反射ビーズと光輝材との平均粒径の比(自反射ビーズの平均粒径/光輝材の平均粒径)は、0.1〜2.0の範囲であることが好ましく、0.1〜1.0の範囲であることがより好ましい。
〔反射性塗装物〕
上記基材上の少なくとも一部に上記反射性塗膜を有する本発明の反射性塗装物について、特にその層構成を明瞭にするため、図面を参照しつつ、以下に詳述する。
本発明の一実施形態を図1に示す。
図1に示す反射性塗装物は、基材2上の少なくとも一部に反射性塗膜1を有する。
基材2の表面には、亜鉛めっき層3、化成処理層4及び塗膜層5の各層が順次形成され、塗膜層5の表面に反射性塗膜1が形成されている。
反射性塗膜1は、透明樹脂層10内に、自反射ビーズ20と光輝材30とを含む。
自反射ビーズ20は、表面の一部に反射膜21が形成され、球形で透明であり、平均粒径が30μm以上である。
図1に示す実施形態では、自反射ビーズ20は、ビーズ表面の概ね50%の領域に反射膜21が形成されている。
光輝材30は、平均粒径が70μm以上である。また、光輝材30は薄片状である。
なお、図1に示す各層の厚みや自反射ビーズ20、光輝材30の大きさなどは、必ずしも、実際の厚みや大きさを正確に表したものではなく、この意味において、図1はある程度模式的な図である。
図1に示す実施形態では、透明樹脂層10の厚みはそれほど厚くなく、具体的には、自反射ビーズ20や光輝材30の表面を僅かに覆う程度である。
この程度の被覆であれば、透明樹脂層10における透明樹脂による光の屈折はあまり加味する必要はなく、自反射ビーズ20としては屈折率1.8〜2.0程度のものを用いることが好ましい。もちろん、透明樹脂層10の厚み等に応じて、透明樹脂による光の屈折を加味して、自反射ビーズ20として屈折率のより大きなビーズ(例えば、屈折率2.1〜2.5程度のもの)を用いたり、さらには、屈折率の異なる複数の自反射ビーズや非処理ビーズを組み合わせたりするなど、適宜変更実施してよい。
図1に示すように、自反射ビーズ20の反射膜21の向きはランダムであり、光の入射角度が変化しても、一定の反射輝度が得られるようになっている。
また、光輝材30は、球状の自反射ビーズ20と併用されることで、色々な角度で透明樹脂層10内に分散した状態となっている。
このような作用は、光輝材30を単独で使用した場合にはないものであり、自反射ビーズ20と光輝材30との相乗作用ということができる。
そして、光輝材30が色々な角度で存在することで、広い角度でキラキラとした視認性が発揮されるのである。
本発明の別の実施形態を図2に示す。
図2に示す反射性塗装物は、自反射ビーズ20と光輝材30とを含む第1の透明樹脂層10Aの上に、第2の透明樹脂層10Bが形成された2層構造を採っている点で、図1に示す反射性塗装物の構成と異なる。
図2に示すように、透明樹脂層が複層である場合、上層(図2では第2の透明樹脂層10B)による補強効果などが期待できるとともに、自反射ビーズ20の脱落防止も可能となる。
その他は、図1に示す反射性塗装物と同様であるので、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
本発明の別の実施形態を図3に示す。
図3に示す反射性塗装物は、ビーズとして、自反射ビーズ20の他に、自反射ビーズ20よりも平均粒径の大きい非処理ビーズ40を用いている点で、図1に示す反射性塗装物の構成と異なる。
図3に示すように、光輝材30が自反射ビーズ20よりも平均粒径の大きい非処理ビーズ40に寄りかかって直立に近い状態となっている。直立あるいはこれに近い状態で光輝材30が存在することにより、図1に示す実施形態と比べて、より広い入射角度範囲でキラキラ感を発揮させることが可能となる。
その他は、図1に示す反射性塗装物と同様であるので、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
〔反射性塗装物の製造〕
次に、上で詳述した反射性塗装物を製造する方法について説明する。
本発明にかかる反射性塗装物は、例えば、反射性塗膜を形成する被塗装面となる基材上の少なくとも一部に、反射性塗膜を形成させる反射性塗料を塗装して製造することができる。
反射性塗膜を形成させる反射性塗料は、上述の透明樹脂を塗膜形成成分として含有し、本発明の必須成分である上述の自反射ビーズ及び光輝材を含有するものであればよい。
さらに、自反射ビーズの固着力を高めるシランカップリング剤や、ひび割れ防止剤、粘度調整剤、硬化剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、溶剤、消泡剤、架橋剤、粘性付与剤、安定剤など、一般的な成分を配合してもよい。
上記硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、オキサゾール系硬化剤などが挙げられる。
上記溶剤としては、例えば、水、トルエン、キシレン、メチルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトン類などのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ベンゼンなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系の消泡剤などが挙げられる。
上記架橋剤としては、例えば、透明樹脂によっても異なるが、例えば、イソシアネート系、オキサゾリン系の化合物が挙げられる。
上記粘性付与剤としては、例えば、酸化ケイ素系化合物やエチレンオキサイド系の界面活性剤などが挙げられる。
上記安定剤としては、例えば、「アンチゲル」(商品名、BERND SCHWEGMANN社製)などのポリメリックアルコキシレートなどが挙げられる。
反射性塗料の組成については、特に限定されるものではなく、形成したい反射性塗膜の組成(ビーズ及び光輝材の含有量など)を勘案して、適宜決定すればよい。
反射性塗料の粘度は、100〜300cpsの範囲が好ましく、150〜250cpsの範囲がより好ましい。本発明者は、少なくとも塗装機が明治機械製PIAS05の場合において、前記範囲で、ビーズ及び光輝材が良く分散され、塗膜形成後の反射性(再帰反射性及び拡散反射性)に優れたものとなることを確認している。
なお、上記粘度は、B型粘度計、ローターNo.2、60rpm、15℃での測定による値である。
反射性塗料の塗布方法としては、エアスプレー塗装法、エアー霧化静電塗装法、エアレス静電塗装法、刷毛やローラーによる直接塗装法、スクリーン印刷法など、従来公知の方法が採用できる。
図1〜3に示す実施形態のように、基材2の表面に、亜鉛めっき処理層3、化成処理層4、塗膜層5を形成する場合、その形成方法としては、従来公知の方法が採用でき、本発明において特に限定されるものではない。
図2に示す実施形態のように、透明樹脂層を2層構造とする場合には、まず、上述のようにして、自反射ビーズ20及び光輝材30を含む第1の透明樹脂層10Aを形成した後、透明樹脂を塗膜形成成分とし自反射ビーズ20及び光輝材30を含有していない塗料を従来公知の方法(例えば、エアスプレー塗装法、エアー霧化静電塗装法、エアレス静電塗装法、刷毛やローラーによる直接塗装法、スクリーン印刷法など)により塗布して第2の透明樹脂層10Bを形成すればよい。
なお、図1〜3に示す実施形態では採用していないが、反射性塗膜の表面に、撥水性付与や防汚性付与をするようにしてもよい。
前記撥水性は、例えば、フッ素、シリコンやこれらの化合物などの撥水性物質の1種又は2種以上を主成分とする塗膜を積層することにより付与することができる。
前記防汚性は、表面に親水性を付与したり、汚染物質の分解除去作用を付与したりすることによって発現させることができる。
前記親水性は、例えば、珪素やその化合物である酸化ケイ素などの親水性物質の1種又は2種以上を主成分とする塗膜を積層することにより付与することができる。その原理を、酸化ケイ素を例に説明すれば、この物質は、ナノサイズの粒径で、基材表面に単分子膜状に結晶が連なった状態で化学結合しており、この皮膜は、非常に水を取り込み易く、表面に汚れが付着し難いとともに、付着しても、その汚れの下に水分子を取り込み、結果として、放水などによる水洗や雨などの自然現象によって汚れを浮かして容易に洗い落とすことができるのである。
また、汚染物質の分解除去作用は、酸化チタンなどの光触媒物質を主成分とする塗膜を積層することにより付与することができる。その原理を、酸化チタンを例に説明すれば、この物質は、ナノサイズの粒径で、基材表面に単分子膜状に結晶が連なった状態で化学結合しており、この酸化チタン分子が、太陽などから発せられる紫外線によって励起されると、活性酸素が放出され、この活性酸素により基材表面に付着した汚染物質が分解されて低分子化されるのであるが、この低分子化された汚染物質は、基材表面から非常に脱落し易い状態となっているので、放水などによる水洗や雨などの自然現象によって水が表面について濡れが生じると浮き、結果、容易に洗い落とすことができるため、長期にわたって防汚性が発揮されるのである。
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄などの光触媒物質によれば、汚染物質の分解除去作用のほかに、親水性も付与しうることが報告されている。このような光触媒による親水性付与技術としては、例えば、特許第2756474号公報や特許第2865065号公報に記載の技術がある。したがって、これらの光触媒物質を用いれば、汚染物質の分解除去作用と親水性の双方に基づく防汚性の発現が期待される。
上記において、撥水性や防汚性を付与するための塗膜の乾燥膜厚は、5μm以下であることが好ましい。塗膜の乾燥膜厚が5μm以下であれば、この塗膜中での屈折は殆ど無視することができ、他方、5μmを超えると、この塗膜中での屈折の影響が大きくなり、再帰反射性を低下させるおそれがある。
反射性塗膜の表面に水膜ができると、水膜での光の屈折が影響して、再帰反射性が変化するおそれがあるが、上述の撥水性付与をすることでこれを回避することができる。防汚性を付与した場合には、上述の親水性や汚染物質の分解除去作用により、汚染物質の付着による再帰反射性の低下を回避できる。
〔反射性塗装物の適用例〕
本発明にかかる反射性塗装物の適用例としては、特に限定するわけではないが、例えば、上記したように、防護柵やその構成部材を挙げることができる。
本発明は、ガードレール、ガードパイプなどの他、セーフティーフェンス、より具体的には、夜間高台避難する住民の視線誘導(避難路を連続的に明示)のための津波避難道路用転落防止柵などとしても適用可能である点で優れている。
自動車に乗車する者にとっての視認性において重要であるのは、対象物に対する距離が比較的離れていても対象物を認識・識別できることであるといえる。
ここで、対象物との距離が離れている場合は、観測角が小さくなるから、再帰反射性による視認性が主となる。
再帰反射光は、拡散反射光と比べると強い光であるから、距離が離れていても視認性は十分に発揮される。
特に車のヘッドライトのように強い光を再帰反射した場合はなおさらである。
他方、歩行者が対象物から離れた位置から懐中電灯などによって対象物を照らす場合も観測角が小さくなるために再帰反射性により視認性が得られる。車のヘッドライトにおける再帰反射光ほどの強い再帰反射光は期待できないが、歩行者と対象物の距離が比較的短いので視認できるには十分である。
また、歩行者が対象物に近い位置から懐中電灯などによって対象物を照らす場合、ヘルメットに照明器具を取り付けている場合などはともかく、一般に観測角は大きくなるから、拡散反射光による視認性が主となる。
この場合、拡散反射光は、再帰反射光と比べると弱い光であるものの、歩行者は対象物に近い位置にいるので、対象物は十分に認識・識別できる。
このように、対象物と観測者との距離、対象物への接近速度などによって、要求される反射光は異なるものであるが、本発明の反射性塗装物は、場面に応じた前記要求に対して、必要かつ十分な反射性(再帰反射性及び拡散反射性)を発揮する。
もちろん、本発明は上記した場面のみに適用を制限されるものではなく、様々な目的での応用が可能である。
具体的には、上記では、自動車乗用車や歩行者にとっての視認性を例に挙げたが、同様に、自転車その他の車両に乗車する者にとっての視認性の向上にも有効であることはいうまでもない。
また、本発明が有する対象物の存在を認識させる効果に着目すれば、一般フェンス、交差点等にあるボラード(車止めなど)、標識柱、鋼管柱、縁石、階段などに適用しても有効であることは明らかである。
これらを本発明にいう「基材」として用いることで、種々の反射性塗装物を本発明の反射性塗装物として提供することができる。
なお、基材の材質としても、特に限定されるわけではなく、プラスチック、金属、コンクリートなど、いずれでも良い。
以下、実施例を用いて、本発明にかかる反射性塗装物、反射性塗料及び塗装方法について詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1に示す層構成を備える反射性塗装物を作製した。
具体的には、板厚2.3mm×幅70mm×150mmのZ27亜鉛めっき鋼板に、リン酸亜鉛処理により化成皮膜を形成させ、続けて、粉体塗装機を用いて緑色粉体塗料を塗装し、175℃の温度で20分間焼付けすることによって緑色塗装材を作製した。この塗装材における緑色塗膜層の上に、以下のようにして、反射性塗膜を形成し、再帰反射性と拡散反射性を付与した。
透明樹脂溶液(架橋剤を内包しウレタン結合を生成させる反応基を有するアクリル樹脂の溶液、重量比では固形分:溶剤(芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤の混合物)=50:50)58重量部、自反射ビーズA1(後述の表3参照)としての屈折率1.93の自反射ガラスビーズ(アルミニウム蒸着により自反射性の付与されたもの、ユニチカ社製、平均粒径38μm)42重量部を混合し、さらにこれに1辺が150μmのアルミニウム蒸着高分子フィルムF1(後述の表4参照)を5重量部加え、ミキサーで均一に分散させることにより、塗料組成物を得た。こののち、上記混合溶剤により粘度調整を行い、粘度を150〜200cps(B型粘度計、ローターNo.2、60rpm、15℃での測定)とした。このようにして得られた反射性塗料を、上記塗装材にスプレー塗装により塗布し、160℃の温度で20分間の焼付けを行い、反射性塗膜を形成した。スプレー塗装は、スプレーのノズルと基材の距離を30cmとし、ノズル径1.5mm、エアー圧2Kg/cm2、ノズルスピード50cm/2secで2往復の条件にて行った。得られた塗装材上の反射性塗膜の乾燥膜厚は約50μmであった。透明樹脂により固定された状態は、前記自反射ビーズの各球状外周面に沿うように凹凸状となっていた。
〔実施例2〜8、比較例1〜6〕
塗料組成や塗膜構造を後述の表1又は表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、反射性塗膜を形成してなる実施例2〜8及び比較例1〜5の各塗装材を得た。比較例6は、実施例1で用いた緑色塗装材そのまま、すなわち、反射性塗膜を形成しない例である。
なお、実施例7は図2に示す構成、実施例8は図3に示す構成、その他の実施例は図1に示す構成を採っている。比較例1〜6の構成は表1に示す内容から明確であるので、特に図は示さない。
ここで、実施例7において、図2に示すごとき積層塗膜を形成する際には、透明樹脂溶液(架橋剤を内包しウレタン結合を生成させる反応基を有するアクリル樹脂の溶液、重量比では固形分:溶剤(芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤の混合物)=50:50)を粘度調整を行って粘度を200cps(B型粘度計、ローターNo.2、60rpm、15℃での測定)としてなる塗料組成物を、実施例1記載の方法により得られた自反射ビーズ及び光輝材を含有する反射性塗膜の上に、スプレー塗装により塗布し、得られた2層塗膜に対し、160℃の温度で20分間の焼付けを行うようにした。スプレー塗装は、スプレーのノズルと基材の距離を30cmとし、ノズル径1.5mm、エアー圧2Kg/cm2、ノズルスピード50cm/2secで4往復の条件にて行った。
また、表1及び表2において、自反射ビーズA2としては、屈折率1.93の自反射ガラスビーズ(アルミニウム蒸着により自反射性の付与されたもの、ユニチカ社製、平均粒径66μm)を用い、自反射ビーズBとしては、屈折率2.2の自反射ガラスビーズ(アルミニウム蒸着により自反射性の付与されたもの、ユニチカ社製、平均粒径78μm)を用い、自反射ビーズC1としては、屈折率1.93のガラスビーズ(アルミニウム蒸着がなく、自反射性の付与されていないもの、ユニチカ社製、平均粒径41μm)を用い、自反射ビーズC2としては、屈折率1.93のガラスビーズ(アルミニウム蒸着がなく、自反射性の付与されていないもの、ユニチカ社製、平均粒径105μm)を用いた(後述の表3参照)。
〔性能評価1〕
上記実施例1〜8、比較例1〜6について、下記の評価方法により、性能を評価した。実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2に、表1及び表2に記載のビーズの詳細を表3に、表1及び表2に記載の光輝材の詳細を表4に示す。
Figure 0006437315
Figure 0006437315
Figure 0006437315
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<再帰反射性の評価>
歩行者がヘッドライトを付けている場合や自動車等に乗車する者にとっては、再帰反射性による視認性が必要となる。また、懐中電灯を手に持っている歩行者等にとっても、3m以上離れた位置から光を当てる場合は、手を前方に向けて挙げ、手と目の角度が小さくなるため、再帰反射による視認性が有効となる。再帰反射性は、JIS−Z−9117に準じた以下の方法で再帰反射輝度係数(cd/Lux・m2)を測定して評価した。ただし、光源としては250Wハロゲン電球を用い、被測定物からの距離4mの位置に置いて使用した。また、受光器としてはミノルタ社製輝度計「CS−100(同社の商品名)」を用い、被測定物からの距離3.5mの位置において使用した。光の入射角度を30°、反射光の観測角度を2°とした。この時の被測定物における照度は800Luxであった。
得られた再帰反射輝度係数(cd/Lux・m2、用語の定義については、「JIS−Z−8713」を参照)を以下の基準に基づき、1〜5点で評価した(点が高いほど再帰反射性に優れる)。
5:再帰反射輝度係数(cd/Lux・m2)が0.40以上
4:再帰反射輝度係数(cd/Lux・m2)が0.20以上0.40未満
3:再帰反射輝度係数(cd/Lux・m2)が0.14以上0.20未満
2:再帰反射輝度係数(cd/Lux・m2)が0.07以上0.14未満
1:再帰反射輝度係数(cd/Lux・m2)が0.07未満
再帰反射輝度係数が大きいほど、暗闇における視認性が高いものであることを意味する。再帰反射輝度係数は、白色フェンスでは普通0.17(cd/Lux・m2)程度(実測値)であり、緑色(日本塗料工業会標準色No.4230H)では0.01(cd/Lux・m2)程度である。したがって、実用に供した場合において、再帰反射輝度係数が0.17cd/Lux・m2程度以上であれば白色フェンスと同等以上の視認性があると言える。評価の点が高いほど、より視認性が高いと言える。
<拡散反射性の評価>
試料の高さを90cm、身長175cmの人間が手に懐中電灯を持ち、試料から1m離れた位置に立って光を当て、視認性があるか目視判定により評価した。立ち位置は試料の正面と斜め20°および斜め30°の3箇所で評価した。このとき、目と懐中電灯の間の角度は約40°となる。判定は以下の基準に基づき、1〜4点で評価した(点が高いほど拡散反射性に優れる)。
評価 視認性評価
4: 全面キラキラし、又は形が浮き出てすぐに認識できる
3: 部分的にキラキラし、又は全体の形が認識できる
2: 物があることは認識できる
1: 認識できない
<塗膜性能の評価>
塗膜性能として、(1)碁盤目密着性、(2)沸騰水密着性、(3)耐水密着性、(4)耐候性、(5)耐摩耗性を評価した。
碁盤目密着性、沸騰水密着性、耐水密着性はいずれも、基材である緑色塗装材と反射塗膜の界面密着性を判定するものである。
(1)碁盤目密着性は、「JIS−K−5600−5−6」に準拠して評価した。
具体的には、カッターナイフで塗膜上に2mmの碁盤目100個を作り、その上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、テープの一方の端を持ち上げて上方に剥がす。分類表に従って分類0〜2を合格(○)とし、分類3〜5を不合格(×)とした。
(2)沸騰水密着性は、「JIS−K−5400(1990)−8−20」に準拠し、沸騰水に1時間浸漬、2時間放置後、上記の碁盤目密着性試験を行った。
(3)耐水密着性は、「JIS−K−5600−6−1」に準拠して評価した。
具体的には、試料をイオン交換水に500時間浸漬(浸漬温度23℃)、2時間放置後、上記の碁盤目密着性試験を行った。
(4)耐候性は、「JIS−D−0205−5−4」に準拠したサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を用い、300時間試験後の外観および反射性能の劣化の有無を評価した。反射性能が、耐候性試験前(初期値)と比較して80%以上保持しているものを異常なしとした。
(5)耐摩耗性試験は、水で濡らしたガーゼ(2×4cm)に荷重1kgをかけて試料表面を500回往復し、外観および反射性能の劣化の有無を評価した。反射性能が、耐摩耗性試験前(初期値)と比較して80%以上保持しているものを異常なしとした。
<乾燥膜厚の測定>
反射塗装前後の膜厚をKett社製の電磁膜厚計「LZ−300C(同社の商品名)」を用いて測定し、その差の値を乾燥膜厚とした。
〔性能評価2〕
上記実施例1,4,5,8、比較例1〜3,5〜6で作製した各試料について、株式会社村上色彩研究所製の三次元変角光度計「GP−200」を用いて、下記の測定条件で、光軸迂回における相対反射光分布測定を行った。
入射角:30°
受光角:−90°〜90°の変角
試料傾斜角(FA)=−5°
受光レンズ径:5mmφ
実施例1の測定結果を図4に、実施例4の測定結果を図5に、実施例5の測定結果を図6に、実施例8の測定結果を図7に、比較例1の測定結果を図8に、比較例2の測定結果を図9に、比較例3の測定結果を図10に、比較例5の測定結果を図11に、比較例6の測定結果を図12に、それぞれ示す。
なお、参考として、測定の光学的概略図を図13に示す。
光は試料に対して入射角30°(−30°の位置)であるので、−30°付近に再帰反射による強度が、30°付近に正反射による強度が現れる。
反射性塗膜を形成しない比較例6では、図12に示すとおり、再帰反射の位置にも正反射の位置にも大きなピークがない。
自反射ビーズのみを用いた比較例1では、図8に示すとおり、再帰反射の位置に大きなピークが見られている。
さらに、これに一般的にパール塗装として使用されるマイカ(平均粒径は70μm未満)を用いた比較例2では、図9に示すとおり、正反射の位置で光の強度が強くなっている。
同様に一般的にメタリック塗装として使用されているアルミフレーク(平均粒径は70μm未満)を用いた比較例3でも、図10に示すとおり、正反射の位置で光の強度が強くなっている。
尚、これら自反射ビーズを有する比較例1,2,3は、自反射ビーズを有しない比較例4、5,6と比べ、拡散反射性がわずかに向上している(表2)。自反射ビーズを有する比較例1,2,3は再帰反射のピークが大きく、かつ裾野が広がっている。このため観測角が大きい拡散反射性にもわずかに良い影響を与えたものと考えられる(表2)。
これらと比較して、平均粒径が70μm以上の光輝材を用いた実施例1,4,5,8では、それぞれ図4、5、6、7に示すとおり、この正反射の位置付近に強度の高い鋭いピークが広い角度範囲で存在していることが分かる。この測定結果は、本発明の優れた効果であるキラキラ感による視認性向上を裏付けるものである。
人は、歩いているときはもちろん、静止している場合も本当の意味での静止は困難であり、多少なりとも頭は揺れているものである。その時にこの鋭いピークがあるとすぐに認識することができるのである。
中でも粒径の大きいビーズをさらに添加した実施例8では、図7に示すとおり、強度の高い鋭いピークの発現範囲が広く、−20度〜80度の範囲に渡っていることがわかる。
なお、自反射ビーズを用いず光輝材F1だけを用いた比較例5では、図11に示すとおり、再帰反射の性能が得られない上に、光輝材が塗膜に水平に並んだ状態で形成されるため(つまり一定方向に向いているため)、正反射の位置にまとまったピークになり、自反射ビーズがある場合と比較して、広い角度範囲でのキラキラ感が得られないことが分かった。すなわち、同じ透明樹脂層の中に本発明所定の大きさを有する光輝材とビーズを含有させることで広範囲でのキラキラ感が得られ、例えば、懐中電灯を手に持った場合でも視認性を格段に向上させることができるのである。
1 反射性塗膜
2 基材
3 亜鉛めっき層
4 化成処理層
5 塗膜層
10 透明樹脂層
10A 第1の透明樹脂層
10B 第2の透明樹脂層
20 自反射ビーズ
21 反射膜
30 光輝材
40 非処理ビーズ

Claims (9)

  1. 基材上の少なくとも一部に反射性塗膜を有する反射性塗装物であって、
    前記反射性塗膜が、
    表面の一部に反射膜が形成され、球形で透明であり、平均粒径が30μm以上の自反射ビーズと、
    平均粒径が70μm以上の薄片状の光輝材と
    同一の透明樹脂層内に含み、
    前記自反射ビーズの反射性塗膜全量に対する含有割合が20〜60重量%であり、
    前記自反射ビーズと前記光輝材との平均粒径の比(自反射ビーズの平均粒径/光輝材の平均粒径)が、0.1〜2.0の範囲である
    反射性塗装物。
  2. 前記光輝材は、高分子フィルムに金属又は金属化合物が真空蒸着されたものが粉末化されたものである、請求項1に記載の反射性塗装物。
  3. 前記光輝材は、表面に金属もしくは金属化合物がコーティングされたマイカもしくはガラスフレークである、請求項1に記載の反射性塗装物。
  4. 前記反射性塗膜が、前記透明樹脂層内に、平均粒径の異なる複数種のビーズを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の反射性塗装物。
  5. 前記反射性塗膜が、前記透明樹脂層内に、前記自反射ビーズの他に、前記自反射ビーズよりも平均粒径が大きく反射膜が形成されていないビーズを含む、請求項1から4までのいずれかに記載の反射性塗装物。
  6. 前記基材の表面の少なくとも一部に、亜鉛系めっき層、化成処理層及び塗膜層の各層が順次形成されたものであって、前記塗膜層の上に前記反射性塗膜が形成されている、請求項1から5までのいずれかに記載の反射性塗装物。
  7. 防護柵又は防護柵の構成部材を前記基材とする、請求項1から6までのいずれかに記載の反射性塗装物。
  8. 基材上の少なくとも一部に塗布して反射性塗膜を形成するための反射性塗料であって、
    透明樹脂と、
    表面の一部に反射膜が形成され、球形で透明であり、平均粒径が30μm以上の自反射ビーズと、
    平均粒径が70μm以上の薄片状の光輝材と
    を含有し、
    前記自反射ビーズの反射性塗膜全量に対する含有割合が20〜60重量%となるように調整され、
    前記自反射ビーズと前記光輝材との平均粒径の比(自反射ビーズの平均粒径/光輝材の平均粒径)が、0.1〜2.0の範囲である
    反射性塗料。
  9. 基材上の少なくとも一部に請求項8に記載の反射性塗料を塗布して反射性塗膜を形成する、塗装方法。
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