JP7492699B2 - 再帰反射性塗装物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は再帰反射性塗装物およびその製造方法に関し、詳しくは、入射した光を入射方向と同一の方向に反射させる再帰反射性を備えた再帰反射性塗装物およびこのような再帰反射性塗装物を製造するための方法に関する。
従来、暗闇での視認性向上のため、再帰反射性が利用されてきた。ここで、再帰反射性とは、外部から入射した光を入射方向と同じ方向に反射させる特性のことであり、例えば、自動車のヘッドライトを効率良く運転者のほうに反射させて注意を喚起することができる。
このような再帰反射性を有するものとして、ガラスビーズが汎用されている。しかし、ガラスビーズは、光の屈折により反射光の光路を所望の方向に制御すること(すなわち、入射方向に反射光を返すこと)を可能とするものではあるものの、それ単独では反射性に乏しく、充分な反射光が得られないので、反射性を別途付与することが必要である。
そこで、従来、図3や図4に示すように、再帰反射性を付与すべき被塗装面300の表面上において、アルミニウムやマイカなどの反射材201を含有する反射層200を設け、その上にガラスビーズ101を保持するガラスビーズ保持層100を設ける工夫がなされてきた。
この場合、図3(a)のように、ガラスビーズ101が反射層200に接していないと、入射光は、例えば、図3(a)に図示した入射光Lのような光路となる。すなわち、ガラスビーズ101に入射した光は、一部はガラスビーズ101の底面で反射して入射方向に戻るが(図3(a)のL1)、一部はガラスビーズ101底面を透過し、さらに、ガラスビーズ保持層100を透過してから漸く反射層200で反射されることとなる(図3(a)のL2)。ガラスビーズ保持層100には反射材201がないのであるから、このガラスビーズ保持層100において光は拡散してしまい、再帰反射性が充分に得られないのである。これを避けるためには、図3(b)のように、ガラスビーズ101が反射層200に接するまで沈降させなければならないが、そのためには、ガラスビーズ保持層100を硬化する前の粘度調整および硬化のタイミングの決定など、煩雑な管理が強いられることとなる。
また、図3(b)に示すように、ガラスビーズ101が反射層200に接するように的確な管理を行ったとしても、入射光は、例えば、図3(b)に図示した入射光Lのような光路となる。すなわち、一部はガラスビーズ101底面で反射するものの(図3(b)のL1)、一部はガラスビーズ101底面を透過するのであって、このガラスビーズ101を透過した光は、ガラスビーズ101と反射層200とはほぼ点接触となるのであるから、例えば、ガラスビーズ保持層100に対して光が側方から入射した場合、ガラスビーズ101と反射層200との前記接触点以外に透過することとなり、やはり、必ず、ガラスビーズ保持層100を通過することになる(図3(b)のL2)。ガラスビーズ保持層100には反射材201がないのであるから、光は拡散してしまい、再帰反射性が充分に得られない。
上記従来技術においては、また、ガラスビーズ保持層100の膜厚の制御が困難であるという問題があった。すなわち、図4(a)に示すように、ガラスビーズ保持層100が厚すぎるとガラスビーズ101がガラスビーズ保持層100に埋没することとなって、入射光がガラスビーズ101に入光する前にガラスビーズ保持層100に入光し、ガラスビーズ101への入光量の減少や、ガラスビーズ保持層100での光の屈折によって、再帰反射性が低下する問題があり、また、図4(b)に示すように、ガラスビーズ保持層100が薄すぎると、ガラスビーズ101が充分に保持されず、ガラスビーズ101の脱落やこれに伴う再帰反射性の低下が問題となる。
上記従来技術においては、さらに、ガラスビーズ101が、これを保持するガラスビーズ保持層100内において、単一の層となって形成される必要がある。仮に、図5に示すようにガラスビーズ101が複層となった場合、上部のガラスビーズ101の周囲には反射材201が存在しないので、再帰反射性が非常に低下してしまうからである。すなわち、図5に示す入射光Lのごとく、一部はガラスビーズ101底面で反射するものの(図5のL1)、一部はガラスビーズ101底面を透過するのであって、このガラスビーズ101を透過した光は、ガラスビーズ保持層100をも通過し、光が散乱するのである(図5のL2)。そして、このようにガラスビーズ101を単一の層で形成することが要求される結果、ガラスビーズ101が複層とならないように少量しか用いられないので、各ガラスビーズ101間には隙間が生じることとなり、このことも再帰反射性が充分に発揮されない原因となっていた。
ところで、反射層の上にガラスビーズ保持層が設けられ、該ガラスビーズ保持層にビーズが保持されている上述の構成の他に、ガラスビーズがガラスビーズ保持層の下層の反射層にまで埋没した構成を採用するものも従来知られている(特許文献1参照)。しかし、この技術は、上述の如き課題を解決するものではなく、ガラスビーズが充分に固着し、かつ、塗膜表面において露出するように工夫したものであって、そのために、例えば、特許文献1の段落[0011]の「反射樹脂層の上部に比較的薄い定着樹脂層を形成し、かつガラスビーズの粒径を適正に選択することにより、ガラスビーズの上部が露出していても、その剥離・脱落がほとんどないことを知見した。」なる記載に見るように、膜厚とガラスビーズの粒径を、従来以上に厳密に制御することが必要となっている。
また、粉体塗装により形成された第1の樹脂塗膜上に、反射材が分散され、かつ、ガラスビーズを表面が露出するように埋没させた第2の樹脂塗膜を形成する技術も知られている(特許文献2参照)。この技術においても、特許文献2の図2に見るように、ガラスビーズが単層形成であるため、反射性能とガラスビーズの保持を両立することが困難であり、高い反射性能を得ようとすると第2の樹脂塗膜の厚みを50μm以下に制御することが必要であった。さらにこの厚みは逆に薄くなりすぎる場合にはガラスビーズを保持するための付着力が不充分となり、ガラスビーズが脱落しやすいといった問題も生じるため、厚みの管理範囲は非常に狭いものであった。その上、付着させるガラスビーズの量によって厚みが変動してしまい、極めて生産性が劣り、実際にはそれほど反射性能が得られないものとなってしまう問題があった。また、高い反射性能を得るためには、さらに溶剤塗料を塗布後50秒以内にガラスビーズを付着させなければならないといった管理も必要であった(特許文献2の段落[0016])が、これは気温や湿度によっても変動するため、生産性と空調設備導入などの設備的な問題があった。さらに、この技術は、その対象を防護柵の横桟に限定したものであり、すなわち連続したある程度の面積を有する部材を対象としているため、低い反射性能であっても夜間の視認性を確保することが可能な方法と考えられるが、小さい面積でも視認性を有する高い反射性能が必要とされる場合には、実製造は困難であった。
このような背景において、本願出願人は、従来と大きく異なる構成の再帰反射性塗装物とその製造方法を提案し、特許出願を行った(特許文献3参照)。
特許文献3に記載の発明の構成は、図6に示すとおりであり、反射層を設けず、被塗装面300の上に再帰反射層としてガラスビーズ保持層100が形成されている。そして、ガラスビーズ保持層100の内部には、ガラスビーズ101と反射材201が含まれ、ガラスビーズ101は、複層となり、かつその一部が表面に部分的に露出し、反射材201は、ガラスビーズ101の表面に沿って分散されている。
この特許文献3に記載の発明は、以下のようにして見出されたものである。
すなわち、従来のようにガラスビーズが単層の場合にはガラスビーズは二次元的な配置しかとることができず、必ず隙間を生じるが、複層とすることで三次元的な配置をとり、ガラスビーズがほとんど隙間無く密に配置されることを見いだし、この知見に基づきガラスビーズの複層構造を検討した。しかし、これのみでは反射性の確保という従来技術と同様の問題が残ることから、更なる試行錯誤を試みた結果、この従来技術の問題が、ビーズ保持層と反射層とが分離して存在していることに原因していることに気付くとともに、反射材が分散されている塗膜内にガラスビーズを配置すれば、ガラスビーズの周りに必ず反射材が存在する構成を実現できることを想到した。さらに、この構成を採用する場合、ガラスビーズの全てが塗膜内に埋没してしまっていては、光が、まず反射材が分散されている塗膜に入射し、即座に反射されてしまって、再帰反射性が不十分となってしまうことから、ガラスビーズの一部が、前記塗膜の表面において部分的に露出していることが肝要であることを見出した。
また、上述の構成を備えることで高い反射性能とガラスビーズの保持力の両方を発揮する再帰反射性塗装物は、ガラスビーズが複層であるので、樹脂塗料の膜厚の厳密な制御や溶剤塗装後ガラスビーズを付着させるまでの厳密な時間制御などを行わなくとも良いことから、極めて生産性に優れた方法により製造できるという製法上の優位性も有することがわかった。
特開2000-160522号公報 特開2007-92393号公報 特開2013-085995号公報
本発明者らは、上記特許文献3に記載の発明について、改良の余地のある点が残っていないかを検討したところ、再帰反射性の更なる向上とその劣化の抑制、塗装作業性の向上などが可能ではないかと考えた。
すなわち、上記特許文献3に記載の発明においては、反射材がガラスビーズの底面に沿って存在しているために、効率的に反射性が発揮されるが、限界がある。具体的には、反射材はあくまでも塗膜中に分散しているので、反射材とガラスビーズの間には樹脂や顔料が入り込んでしまう。特に、ガラスビーズを透過した光が顔料に当たると、その光は散乱してしまう。さらに、反射材としては、鱗片状の反射材が好ましく用いられるが、鱗片状の反射材では、ガラスビーズの曲面に対し、点でしか近接することができない。
上記特許文献3に記載の発明においては、また、再帰反射性の劣化が起こり得る。具体的には、上記特許文献3に記載の再帰反射性塗装物において、表面に何かが当ったり、長期使用により有機物である樹脂が劣化したりした場合に、最表面のガラスビーズが脱落することがある。この場合でも、ガラスビーズが複層となっていることから、脱落したガラスビーズの下層に存在するガラスビーズによって、再帰反射性は維持されるのであるが、その再帰反射性は幾分劣化し得る。なぜなら、図6に示すように、層構成としては、上層側ガラスビーズ101a、この上層ガラスビーズ101aの底面に沿って存在する反射材201や顔料、その下に存在する下層側ガラスビーズ101bという位置関係にあるため、図7に示すように、上層側ガラスビーズ101aが脱落した際、この上層側ガラスビーズ101aの底面に沿って存在していた反射材201や顔料が脱落せずに残ることで、脱落せずに残った反射材201や顔料により、下層側ガラスビーズ101bへの光の入射が阻害され得るからである。
塗装作業性の点については、反射材を分散させておく必要があるため、その沈降防止、分散安定対策が必要となる。また、反射材やそれに伴う添加剤(沈降防止剤等)を配合することで、塗料の膨潤などの不具合が発生する可能性にも配慮する必要があるとともに、塗料の固形分割合が多くなる分、粘度調整が難しくなる。このように、ブレンド調整、分散作業の最適化等を検討しなければならない。
そこで、本発明は、長期に安定して優れた再帰反射性を発揮するとともに、塗装作業性にも優れる再帰反射性塗装物とこのような再帰反射性塗装物を効率的に得るための再帰反射性塗装物の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明者は、上記特許文献3に記載の優れた構成を参考にしつつ、ガラスビーズの底面に沿って反射材を存在させるという上記特許文献3の発明における本質的な特徴点から一旦離れて、広い視野で再検討を行うこととした。そして、反射材を塗料中に分散させるのではなく、その表面の一部に反射膜が形成されている球形で透明のビーズである自反射ビーズを用いることで、再帰反射性の更なる向上とその劣化の抑制、塗装作業性の向上の全てを一挙に実現できることが分かった。
まず、再帰反射性については、自反射ビーズの場合、ガラスビーズの曲面に沿うように、直接反射材が付着しているため、ガラスビーズを通過した光は、漏れることなく効率的に再帰反射性を発揮することができる。このように、個々の自反射ビーズの再帰反射性が非常に高いため、その表面を被覆している反射膜が底面に位置していない自反射ビーズが含まれていても、全体として、高い再帰反射性が発揮される。
また、自反射ビーズは、ガラスビーズと反射膜が一体となっているため、上層側の自反射ビーズが脱落する際、反射膜が塗膜中に残存せず、下層側の自反射ビーズが最表面に表れることになる。従って、上層側ガラスビーズが脱落した際、この上層側ガラスビーズの底面に沿って存在していた反射材や顔料が脱落せずに残存する特許文献3の発明と比べて、再帰反射性の安定性が高い。
さらに、塗膜中に反射材を分散させる必要がないので、反射材が沈降しないように沈降防止剤を添加するなどの手間やコストも不要となる。また、反射材を均一に分散させるために、塗装前に攪拌作業やろ過作業を行う必要もなく、反射材やそれに伴う添加剤を混合することによる塗料の膨潤などの不具合が発生する問題なども無い。そして、反射材を用いない分、塗料の固形分割合が少なくなるので、粘度調整がしやすく、膜厚安定性などの塗装安定性が良くなる。
本発明は、上記知見に基づき完成されるに至った。
すなわち、本発明にかかる再帰反射性塗装物の製造方法は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に、造膜樹脂を含むとともに反射材を含まない塗料を塗布して1層の塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前に、その表面の一部に反射膜が形成されている球形で透明のビーズである自反射ビーズを吹き付け、そののち、前記1層の塗料膜を硬化することにより形成される1層の塗膜の内部で、前記自反射ビーズが複層となり、かつ、その表面において前記自反射ビーズの一部が露出した再帰反射性塗膜を前記被塗装面に形成するようにする。
本発明にかかる製造方法により製造される再帰反射性塗装物は、自反射ビーズが複層となっているので、自反射ビーズがほぼ隙間なく存在することとなり、再帰反射効率が高い。そして、自反射ビーズの表面の一部には、ガラスビーズの曲面に沿うように、直接反射膜が形成されているため、個々の自反射ビーズ自体の再帰反射性も高い。しかも、自反射ビーズの一部が塗膜表面において部分的に露出しているので、高い確率で自反射ビーズに光が入射することとなり、このことも、再帰反射性の効率化に繋がる。
さらに、自反射ビーズは、ガラスビーズと反射膜が一体となっているため、上層側の自反射ビーズが脱落する際、反射膜が塗膜中に残存せず、下層側の自反射ビーズが最表面に表れることとなり、再帰反射性の安定性が高い。
また、塗膜中に反射材を分散させる必要がないので、反射材の沈降防止や均一分散のための労力が不要で、反射材やそれに伴う添加剤を混合することによる不具合の発生や、粘度調整の困難さなどが避けられ、膜厚安定性などの塗装安定性も良い。
本発明にかかる再帰反射性塗装物の製造方法は、上記構造を有する再帰反射性塗装物を容易に得ることを可能とする。
本発明の再帰反射性塗装物の一実施形態を示す一部断面図である。 図1に示す再帰反射性塗装物において、自反射ビーズが一部脱落した状態を示す一部断面図である。 従来技術における再帰反射性塗装物を示す一部断面図である。 従来技術における再帰反射性塗装物を示す一部断面図である。 従来技術における再帰反射性塗装物を示す一部断面図である。 従来技術における再帰反射性塗装物において、ガラスビーズを複層とした場合の塗装物を示す一部断面図である。 図6に示す従来技術における再帰反射性塗装物において、ガラスビーズが一部脱落した状態を示す一部断面図である。
以下、本発明にかかる再帰反射性塗装物およびその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔再帰反射性塗装物〕
<被塗装面>
本発明における再帰反射性を付与すべき被塗装面は、特に限定されるものではない。再帰反射性は、その性質上、暗闇における視認性向上のために利用されるのが一般的であり、例えば、車両の路外への逸脱やこれによる乗員や歩行者への傷害防止などの目的で設けられるガードレールやガードパイプなどの防護柵、または、防護柵用の構成部材に再帰反射性を付与する試みがなされている。したがって、これら防護柵やその構成部材の表面の少なくとも一部を前記被塗装面として、ここに、後述する再帰反射性の塗膜を適用して、本発明の再帰反射性塗装物とすることができる。
上記において、再帰反射性による視認性の向上は、主として車両運転者や歩行者の暗闇での視線誘導に寄与するものであるが、特に、プラスチックなどの破損しやすい部材の表面の少なくとも一部に再帰反射塗装を施す場合には、部材が破損して飛散した際の暗闇での回収容易性にも寄与し得る。
防護柵用の構成部材としては、例えば、ボルト、ナット、キャップ、ブラケット、支柱、ベースプレート、ワイヤーケーブル、ビーム、パイプ、スクリーンパネル、ワイヤーケーブルの間隔保持材(各ワイヤーケーブルの間隔を保持するために支柱に複数挿入されるもの。「間隔材」や「スペーサー」とも呼ばれる。特許第5156845号公報など参照。)などが挙げられる。また、防護柵用途に限らず、防護柵以外の用途で用いられる前記ボルトなどの構成部材において、その表面の少なくとも一部を前記被塗装面とし、ここに、後述する再帰反射性の塗膜を適用して、本発明の再帰反射性塗装物としてもよい。
上記に例示の如き防護柵やその構成部材などの被塗装物の材質は、特に限定されず、金属のほか、プラスチックなどであっても良い。
上述したような被塗装面は、防錆や再帰反射性の塗膜との密着性向上などのために前処理がなされていてもよい。特に防護柵用の構成部材のように鋼材本体の長期寿命が要求される場合などは、本発明の再帰反射性塗装物は、例えば、亜鉛めっき層などの防錆処理が成された上に後述する再帰反射性の塗膜を有するものであることが好ましい。亜鉛めっき層と後述する再帰反射性の塗膜との間に、化成処理層もしくはブラスト処理層と、プライマー層の各層がこの順に形成されていることにより、再帰反射性の塗膜の長期密着が得られ、したがって長期に反射性能を維持することができる。
また、再帰反射性の塗膜よりも下層側に電着塗装(例えば、エポキシ樹脂カチオン電着塗装など)を行うことで、被塗装面の形状に追従して均一に形成された電着塗装塗膜により、被塗装物の経時劣化(白錆発生など)とそれに伴う再帰反射性劣化が抑制され、さらなる長期耐久性が得られる。例えば、化成処理層もしくはブラスト処理層の上に電着塗装を行う。
亜鉛めっきは鋼材の防錆に一般的に用いられており、防護柵の構成部材も、通常、前記亜鉛めっき層を有している。例えば、プレめっきによる溶融亜鉛めっきあるいはポストめっきのどぶづけ亜鉛めっき方法により形成することができ、その厚みとしては、例えば、どぶづけ亜鉛めっき方法の場合には、片面あたり350~550g/m2である。プレめっきによる亜鉛めっきの場合は、一般的には両面で270g/m2の付着量のものが用いられることが多い。
前記化成処理層としては、例えば、亜鉛めっきの化成処理として一般的なリン酸塩処理により形成することができ、その厚みは通常最適とされる1~5g/m2が良い。どぶづけ亜鉛めっきの場合には化成処理の代わりにブラスト処理を行ってもよい。
前記プライマー層としては、例えば、エポキシ樹脂塗料により形成することができ、その厚みとしては、例えば、2~50μmである。
<再帰反射性の塗膜>
本発明の再帰反射性塗装物は、上述するような被塗装面に、その表面の一部に反射膜が形成されている球形で透明のビーズである自反射ビーズと造膜樹脂とからなる再帰反射性の塗膜が形成されてなるものである。以下では、まず、これら塗膜の構成要素について説明する。
造膜樹脂としては、特に限定するわけではないが、通常、実用的な光透過性を有する程度の透明性を有するものが用いられる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の何れも使用できる。湿気硬化型や紫外線硬化型の樹脂も使用できる。具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、エチレン酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ナイロン系、オレフィン系、天然ゴム系、アルキッド系、塩化ビニル系、フッ素系などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の共重合体も使用できる。中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、これらを1種用いあるいは2種以上併用することができる。
なお、熱硬化性樹脂の場合、熱硬化温度が自反射ビーズの機能を損なわない程度のものが好ましい。熱硬化温度が高過ぎると、加熱硬化処理において、自反射ビーズが変形したり溶融したりして、再帰反射特性が損なわれる。具体的な熱硬化温度として、550℃以下が採用できる。
次に、自反射ビーズについて説明する。
まず、自反射ビーズは、その表面に形成された反射膜により高輝度反射機能を有しているので、別途、反射材や反射層を使用する必要がない。
自反射ビーズ表面の反射膜は、前記ビーズ表面の一部に形成される。ビーズ表面の全部に形成したのでは、反射膜がビーズへの光の入射を妨げ、光がビーズに入射できない。他方、反射膜を形成する領域が少なすぎると効率的に再帰反射させることができない。したがって、入射、反射の両方が効率的になされるように、反射膜の領域を設定することが好ましく、このような観点から、反射膜を、ビーズ表面の30~70%の領域に形成することが好ましく、40~60%の領域に形成することがより好ましく、概ね50%の領域、すなわち、ビーズの半球部分に反射膜が形成される自反射ビーズが特に好ましい。ビーズ表面の半球部分に反射膜を形成しておけば、50%の確率で再帰反射が起こり、十分な視認性が得られる。
ビーズの表面の一部に反射膜を形成する自反射ビーズの製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用すればよい。例えば、ポリエステルなどのフィルム上にポリエチレンなどによりビーズの半球部分を埋め込むように仮接着し、これを真空の釜に入れて、反射膜の材料となる金属や金属酸化物を蒸着させたのち、前記フィルムを取り除くことにより、金属や金属酸化物を蒸着させた反射膜を有する自反射ビーズが得られる。
反射膜の材料となる金属や金属酸化物としては、反射膜としての機能を発現するものであれば特に限定されないが、白色から銀白色の金属や金属酸化物、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、スズ、亜鉛などの金属やこれらの酸化物などが好ましく挙げられ、アルミニウムが特に好ましい。
また、本発明における自反射ビーズの平均粒径は30~500μmであることが好ましい。30~300μmであることがより好ましく、30~150μmが特に好ましい。自反射ビーズの平均粒径が大きすぎると造膜樹脂によるビーズの保持が困難となり、ビーズが皮膜からとれやすくなるおそれがある。
ここで、本発明において、自反射ビーズの平均粒径は、以下の測定方法による。
すなわち、自反射ビーズの平均粒径は、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置を用いて測定される平均粒径値(島津製作所製 SALD-7000)とした。
本発明における自反射ビーズの屈折率は、特に限定するわけではないが、屈折率1.5~2.5のものが好ましく、1.8~2.2のものがより好ましい。
例えば、造膜樹脂の被覆がわずかであれば、屈折率1.8~2.0程度のものを選択し、他方、造膜樹脂の被覆が厚く造膜樹脂における光の屈折を考慮に入れる必要がある場合には、より屈折率の高いものを選択するなど、適宜の選択をしてよい。
本発明においては、ビーズとして、2種以上のビーズを組み合わせてもよい。
この場合、上記自反射ビーズを2種以上組み合わせても良いし、上記自反射ビーズと、反射膜が形成されていないビーズ(以下、自反射ビーズと区別するため、反射膜の形成処理がなされていないという意味で「非処理ビーズ」と称する)を2種以上組み合わせてもよい。
例えば、平均粒径、反射膜が形成される領域の割合、屈折率、反射膜の有無などが異なる2種以上のビーズを組み合わせることができる。
このように、2種以上のビーズを組み合わせたり、それらの比率を変えたりすることで、反射特性を適宜調整することができる。
なお、非処理ビーズの平均粒径についても、上記自反射ビーズの平均粒径と同様の測定方法により得られる値とする。
上記再帰反射性の塗膜は、その構成要素として、上述した造膜樹脂、自反射ビーズ以外に、本発明の効果を害しない範囲で他の構成要素を含んでいても良い。
ただし、本発明では、反射材が不要であることで、その沈降防止、分散安定のための対策が不要であり、塗装作業性に優れることが利点の一つであるので、この利点を生かすという意味では、塗膜内に分散すべき添加剤(顔料など)の使用は避けた方が好ましい。
造膜樹脂、自反射ビーズ以外の他の構成要素として、例えば、着色剤を使用することができる。着色剤を使用することにより、再帰反射光を色付けすることができる。
このような着色剤としては、特に限定するわけではないが、通常の塗料用や染色用の着色材料が使用できる。着色剤は、再帰反射性の塗膜中に分散するものであってもよいし、溶解してしまうものであってもよい。粒子状のものや鱗片状のもの、繊維状のものなどが使用できる。着色剤の粒径は、例えば、0.01~10μmの範囲に設定できる。
上記再帰反射性の塗膜の膜厚は、15μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。自反射ビーズの粒径にもよるが、膜厚が低すぎると、自反射ビーズの複層構造が困難となるおそれがある。
また、この塗膜の膜厚につき、ガラスビーズの粒径との関係で言えば、例えば、自反射ビーズの平均粒径に対し、0.5~3.0倍であることが好ましく、1.5~3.0倍であることがより好ましく、2.0~2.5倍であることが特に好ましい。
ここで、本発明において、再帰反射性の塗膜は自反射ビーズが内部に含まれていると共にその一部が表面において露出している構造のため、通常、塗膜表面の厚みは一定ではない。そこで、上記膜厚は、下限について言うときは、最も厚みの薄いところ(自反射ビーズの露出部分は除く)での塗膜の膜厚を基準とし、上限について言うときは最も厚みの厚いところ(自反射ビーズの露出部分は除く)での塗膜の膜厚を基準とする。
本発明の再帰反射性塗装物は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に上述の再帰反射性の塗膜が形成されてなるものであって、前記自反射ビーズは前記塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出している。そこで、以下では、再帰反射性の塗膜における構造の詳細について図面を参照しつつ説明する。
図1に見るように、再帰反射性を付与すべき被塗装面20に、再帰反射性の塗膜10が形成されている。なお、上述したように、被塗装面20の上には、防錆のための亜鉛めっき層と、被塗装面と樹脂層との密着性を高めるための化成処理層もしくはブラスト処理層と、プライマー層の各層が順次形成されていても良い。再帰反射性の塗膜10は、造膜樹脂を主成分としており、この造膜樹脂と、塗膜10内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜10の表面において部分的に露出している自反射ビーズ11とからなる。
これにより、塗膜10表面において露出している自反射ビーズ11に外部から光が入射すると、入射した光が内部で屈折し、自反射ビーズ11の底面にその焦点を結び、元来た方向へ帰って行く再帰反射現象を起こす。このとき、自反射ビーズ11の表面の一部に設けられた反射膜12によって、高い再帰反射性が発揮される。
さらに、図示しないが、塗膜10内に着色剤が含有されているものであれば、自反射ビーズ12の焦点付近に着色剤が存在することとなり、再帰反射光はその近辺の着色剤の色を拾いながら出て行くので、再帰反射光に色を付けることができる。
特に、本発明では、図1に示すように、自反射ビーズ11が複層となっていて、非常に密に存在しているとともに、自反射ビーズ11はガラスビーズの曲面に沿うように直接反射材が付着しているので、自反射ビーズ11を通過した光は、漏れることなく効率的に再帰反射性を発揮することができる。
また、上述のように自反射ビーズ11が複層となっていることによって、図2に示すように、上層側の自反射ビーズ11aが脱落しても下層側の自反射ビーズ11bによって再帰反射性が発現されることとなり、安定した再帰反射性の発揮が期待される。
自反射ビーズは、ガラスビーズと反射膜が一体となっているため、上層側の自反射ビーズ11aが脱落する際、反射膜12が塗膜中に残存しない。従って、上層側ガラスビーズが脱落した際、この上層側ガラスビーズの底面に沿って存在していた反射材や顔料が脱落せずに残存する特許文献3の発明と比べて、再帰反射性の安定性が高い。
〔再帰反射性塗装物の製造方法〕
本発明の再帰反射性塗装物の製造方法は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に、造膜樹脂を含む塗料を塗布して塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前に自反射ビーズを吹き付け、そののち、前記塗料膜を硬化することにより、前記自反射ビーズが内部で複層となり、かつ、その表面において前記自反射ビーズの一部が露出した再帰反射性塗膜を前記被塗装面に形成するようにする。
被塗装面については上述したとおりであり、説明を割愛する。
この被塗装面に、まず、造膜樹脂を含む塗料を塗布して塗料膜を形成する。
上記塗料膜を形成するための塗料としては、造膜樹脂を必須成分とするが、必要に応じて着色剤をも用いても良い。
造膜樹脂の配合割合は、特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、10~60重量%とすることが好ましく、20~50重量%とすることがより好ましい。10重量%未満では、被塗装面との接着不良や塗料被膜の強度低下を起こすおそれがあり、60重量%を超えると、反射輝度の低下となるおそれがある。
着色剤を配合する場合の配合割合は、色によって大きく変わるので特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、60重量%以下とすることが好ましく、50重量%以下とすることがより好ましい。50重量%を超えると、再帰反射輝度の低下を招くおそれがある。
造膜樹脂、着色剤の具体的例示などについては上述したとおりであり、説明を割愛する。
その他、塗料に通常使用される溶剤(水系、有機溶剤系、これらの混合系のいずれでも良い)、着色剤の分散を助ける分散剤、乾燥後の塗膜のひび割れを防ぐひび割れ防止剤、塗料粘度を適度に調整する粘度調整剤などや、硬化剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、消泡剤、架橋剤、粘性付与剤、安定剤などを適宜使用してもよい。
次に、この塗料膜が固化する前に、自反射ビーズを吹き付ける。これにより、自反射ビーズが塗料膜内部に埋入される。
このときの塗料膜の厚みとしては、比較的広範な範囲が許容される。自反射ビーズが複層となるようにするための厚みが必要であることから、自反射ビーズの粒径にもよるが、例えば、自反射ビーズの平均粒径に対し、1.0~3.0倍であることが好ましく、1.4~2.0倍であることがより好ましい。1.0倍未満では、自反射ビーズの複層構造を形成させることが困難となるおそれがあり、また、自反射ビーズの付着性が充分に担保されないおそれもある。
自反射ビーズの吹き付け圧としては、塗料膜の膜厚や粘度にもよるが、例えば、1.0~2.5Kg/cm2とすることができ、1.8~2.2Kg/cm2とすることがより好ましい。吹き付け圧が強すぎると自反射ビーズや塗料が飛散してしまうおそれがあり、吹き付け圧が弱すぎると自反射ビーズが塗料膜内に充分に埋入せず、所望の複層構造が得られないおそれがある。
自反射ビーズを吹き付ける際の塗料膜の粘度としては、自反射ビーズの吹き付け圧や塗料膜の膜厚にもよるが、比較的広範な範囲が許容され、例えば、100~550cpsとすることが好ましく、150~250cpsとすることがより好ましい。粘度が高すぎると自反射ビーズの埋入が困難となるので、所望の複層構造が得られないおそれがあり、粘度が低すぎると所望の膜厚を得ることが困難となったり、タレなどの塗膜欠陥を招いたりするおそれがある。
自反射ビーズの吹き付け量としては、特に限定されることはなく、被塗装物上を自反射ビーズで覆い隠す程度とすればよい。
以上の工程の後、前記塗料膜の硬化を行う。この硬化は、通常、焼付けにより行うが、この焼付け条件としては、特に限定するわけではないが、例えば、80~190℃で0.3~1.0時間とすることができる。
なお、被塗装面がプライマー層を有している場合、このプライマー層の焼付け硬化を上記塗料膜の焼付け硬化と同時に行うようにしてもよい。すなわち、プライマー塗料を塗布した後に乾燥を行い、焼付け硬化を行うことなく、造膜樹脂を含む塗料を塗布し、かつ、自反射ビーズの吹き付けを行ったのちに、焼付け硬化を行う方式(2コート1ベーク方式)を採用しても良い。これによれば、塗膜形成工程の簡素化が図られる。
特に、本発明は、反射層とガラスビーズ保持層の2層を設けずに、自反射ビーズを用いて1層で再帰反射性の塗膜を形成するようにした点で、従来よりも工程が半分で済むというコストメリットを有するものであるので、上述する2コート1ベーク方式を採用すれば、工程の簡素化によるコストメリットがさらに生かされることとなる。
以下、実施例を用いて、本発明にかかる再帰反射性塗装物とその製造方法について詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量%」を単に「%」と表記し、「重量部」を単に「部」と表記する。
〔実施例1〕
板厚3.2mm×幅70mm×長さ150mmの熱延鋼板(JIS G3131に記載のSPHC)にどぶづけ亜鉛めっき法により片面あたり350g/m2のめっきを施した。これにリン酸塩処理(PB-3020、日本パーカライジング株式会社製)により化成皮膜を形成させ、これを試験片とした。
上記試験片上に、白色のエポキシ系プライマー塗料「エポキシプライマーホワイト」(ロックペイント社製)を厚み30μmで塗布し、2時間乾燥後、造膜樹脂を含む後述の塗料(A)を厚み200μm(塗布直後)で塗布した。塗料(A)の塗装時の粘度は、160cpsであった。つづけて、自反射ビーズ(アルミニウム蒸着により自反射性の付与されたもの、平均粒径60μm、屈折率1.93、ユニチカ社製)を、吹き付け圧2Kg/cm2で被塗装物上の塗料膜を自反射ビーズで覆い隠すまで吹き付けた。
次に、165℃の温度で20分間焼付けすることによって、プライマー塗料膜および塗料(A)からなる塗料膜を同時焼付け硬化し、実施例1にかかる再帰反射性塗装物を作製した。プライマー塗膜の乾燥膜厚は30μmであり、再帰反射性の塗膜の乾燥膜厚は230μmであった。得られた塗装物は、自反射ビーズが塗料(A)からなる塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出していることが断面写真から確認できた。
上記において、塗料(A)は、造膜樹脂としてアクリルウレタン樹脂を固形分濃度50%の割合で含む塗料「ロックIUウレタン」(ロックペイント社製)である。
〔比較例1〕
板厚3.2mm×幅70mm×長さ150mmの熱延鋼板(JIS G3131に記載のSPHC)にどぶづけ亜鉛めっき法により片面あたり350g/m2のめっきを施した。これにリン酸塩処理(PB-3020、日本パーカライジング株式会社製)により化成皮膜を形成させ、これを試験片とした。
上記試験片上に、白色のエポキシ系プライマー塗料「エポキシプライマーホワイト」(ロックペイント社製)を厚み30μmで塗布し、2時間乾燥後、反射材および造膜樹脂を含む後述の塗料(B)を厚み200μm(塗布直後)で塗布した。塗料(B)の塗装時の粘度は、160cpsであった。つづけて、シラン処理ガラスビーズ「UB67MG」(平均粒径100μm、屈折率1.93、ユニチカ社製)を、吹き付け圧2Kg/cm2で被塗装物上の塗料膜をガラスビーズで覆い隠すまで吹き付けた。
次に、165℃の温度で20分間焼付けすることによって、プライマー塗料膜および塗料(B)からなる塗料膜を同時焼付け硬化し、比較例1にかかる再帰反射性塗装物を作製した。プライマー塗膜の乾燥膜厚は30μmであり、再帰反射性の塗膜の乾燥膜厚は230μmであった。得られた塗装物は、ガラスビーズが塗料(B)からなる塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出していることが断面写真から確認できた。
上記において、塗料(B)は、反射材としての鱗片状のマイカ(粒径分布5~25μm、エンゲルハード社製)20部、造膜樹脂としてアクリルウレタン樹脂を固形分濃度50%の割合で含む塗料「ロックIUウレタン」(ロックペイント社製)80部を撹拌混合して、予め調製しておいたものである。
〔性能評価試験〕
実施例1、比較例1の各塗装物に対して、スガ試験機社製の再帰反射性能測定器「NS-1」を用いて、入射角0°、観察角0.2°で反射輝度係数(cd/Lux・m2)を測定した。反射輝度係数が高いほど、再帰反射性能が良好と評価される。
結果を表1に示す。
Figure 0007492699000001
表1に見るように、本発明の再帰反射性塗装物である実施例1の塗装物は、比較例1の塗装物と比べて、再帰反射性が優れていることが分かる。
具体的には、ガラスビーズの表面に反射膜が形成された自反射ビーズを用い、この自反射ビーズが複層構造をとっている実施例1の構成によれば、反射膜の形成されていないガラスビーズを用い、ガラスビーズが複層状態で存在している塗膜内においてマイカが分散された構造の比較例1の構成と比べて、より高い再帰反射性能が発揮されることが分かった。
また、比較例1では、マイカ、顔料を使用しているため、その沈降防止、分散安定についての考慮を要したが、実施例1では、マイカも顔料も使用していないので、沈降防止・分散安定対策が不要で、塗装作業性に優れていた。
本発明は、例えば、視認性向上による事故の防止や視線誘導のため、表面の所望の位置に再帰反射性が付与された防護柵やその構成部材などとして好適に利用することができる。
10 再帰反射性の塗膜(または焼付け前の塗料膜)
12 自反射ビーズ
13 反射膜
20 被塗装面

Claims (2)

  1. 再帰反射性を付与すべき被塗装面に、造膜樹脂を含むとともに反射材を含まない塗料を塗布して1層の塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前に、その表面の一部に反射膜が形成されている球形で透明のビーズである自反射ビーズを吹き付け、そののち、前記1層の塗料膜を硬化することにより形成される1層の塗膜の内部で、前記自反射ビーズが複層となり、かつ、その表面において前記自反射ビーズの一部が露出した再帰反射性塗膜を前記被塗装面に形成するようにする、再帰反射性塗装物の製造方法。
  2. 前記自反射ビーズを吹き付ける前の塗料膜の厚みが自反射ビーズの平均粒径に対して1.0~3.0倍である、請求項に記載の再帰反射性塗装物の製造方法。
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