JP5872240B2 - 再帰反射性塗装物およびその製造方法 - Google Patents

再帰反射性塗装物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は再帰反射性塗装物およびその製造方法に関し、詳しくは、入射した光を入射方向と同一の方向に反射させる再帰反射性を備えた再帰反射性塗装物およびこのような再帰反射性塗装物を製造するための方法に関する。
従来、暗闇での視認性向上のため、再帰反射性が利用されてきた。ここで、再帰反射性とは、外部から入射した光を入射方向と同じ方向に反射させる特性のことであり、例えば、自動車のヘッドライトを効率良く運転者のほうに反射させて注意を喚起することができる。
このような再帰反射性を有するものとして、ガラスビーズが汎用されている。しかし、ガラスビーズは、光の屈折により反射光の光路を所望の方向に制御すること(すなわち、入射方向に反射光を返すこと)を可能とするものではあるものの、それ単独では反射性に乏しく、充分な反射光が得られないので、反射性を別途付与することが必要である。
そこで、従来、図3や図4に示すように、再帰反射性を付与すべき被塗装面300の表面上において、アルミニウムやマイカなどの反射材201を含有する反射層200を設け、その上にガラスビーズ101を保持するガラスビーズ保持層100を設ける工夫がなされてきた。
この場合、図3(a)のように、ガラスビーズ101が反射層200に接していないと、入射光は、例えば、図3(a)に図示した入射光Lのような光路となる。すなわち、ガラスビーズ101に入射した光は、一部はガラスビーズ101の底面で反射して入射方向に戻るが(図3(a)のL1)、一部はガラスビーズ101底面を透過し、さらに、ガラスビーズ保持層100を透過してから漸く反射層200で反射されることとなる(図3(a)のL2)。ガラスビーズ保持層100には反射材201がないのであるから、このガラスビーズ保持層100において光は拡散してしまい、再帰反射性が充分に得られないのである。これを避けるためには、図3(b)のように、ガラスビーズ101が反射層200に接するまで沈降させなければならないが、そのためには、ガラスビーズ保持層100を硬化する前の粘度調整および硬化のタイミングの決定など、煩雑な管理が強いられることとなる。
また、図3(b)に示すように、ガラスビーズ101が反射層200に接するように的確な管理を行ったとしても、入射光は、例えば、図3(b)に図示した入射光Lのような光路となる。すなわち、一部はガラスビーズ101底面で反射するものの(図3(b)のL1)、一部はガラスビーズ101底面を透過するのであって、このガラスビーズ101を透過した光は、ガラスビーズ101と反射層200とはほぼ点接触となるのであるから、例えば、ガラスビーズ保持層100に対して光が側方から入射した場合、ガラスビーズ101と反射層200との前記接触点以外に透過することとなり、やはり、必ず、ガラスビーズ保持層100を通過することになる(図3(b)のL2)。ガラスビーズ保持層100には反射材201がないのであるから、光は拡散してしまい、再帰反射性が充分に得られない。
上記従来技術においては、また、ガラスビーズ保持層100の膜厚の制御が困難であるという問題があった。すなわち、図4(a)に示すように、ガラスビーズ保持層100が厚すぎるとガラスビーズ101がガラスビーズ保持層100に埋没することとなって、入射光がガラスビーズ101に入光する前にガラスビーズ保持層100に入光し、ガラスビーズ101への入光量の減少や、ガラスビーズ保持層100での光の屈折によって、再帰反射性が低下する問題があり、また、図4(b)に示すように、ガラスビーズ保持層100が薄すぎると、ガラスビーズ101が充分に保持されず、ガラスビーズ101の脱落やこれに伴う再帰反射性の低下が問題となる。
上記従来技術においては、さらに、ガラスビーズ101が、これを保持するガラスビーズ保持層100内において、単一の層となって形成される必要がある。仮に、図5に示すようにガラスビーズ101が複層となった場合、上部のガラスビーズ101の周囲には反射材201が存在しないので、再帰反射性が非常に低下してしまうからである。すなわち、図5に示す入射光Lのごとく、一部はガラスビーズ101底面で反射するものの(図5のL1)、一部はガラスビーズ101底面を透過するのであって、このガラスビーズ101を透過した光は、ガラスビーズ保持層100をも通過し、光が散乱するのである(図5のL2)。そして、このようにガラスビーズ101を単一の層で形成することが要求される結果、ガラスビーズ101が複層とならないように少量しか用いられないので、各ガラスビーズ101間には隙間が生じることとなり、このことも再帰反射性が充分に発揮されない原因となっていた。
ところで、反射層の上にガラスビーズ保持層が設けられ、該ガラスビーズ保持層にビーズが保持されている上述の構成の他に、ガラスビーズがガラスビーズ保持層の下層の反射層にまで埋没した構成を採用するものも従来知られている(特許文献1参照)。しかし、この技術は、上述の如き課題を解決するものではなく、ガラスビーズが充分に固着し、かつ、塗膜表面において露出するように工夫したものであって、そのために、例えば、特許文献1の段落[0011]の「反射樹脂層の上部に比較的薄い定着樹脂層を形成し、かつガラスビーズの粒径を適正に選択することにより、ガラスビーズの上部が露出していても、その剥離・脱落がほとんどないことを知見した。」なる記載に見るように、膜厚とガラスビーズの粒径を、従来以上に厳密に制御することが必要となっている。
また、粉体塗装により形成された第1の樹脂塗膜上に、反射材が分散され、かつ、ガラスビーズを表面が露出するように埋没させた第2の樹脂塗膜を形成する技術も知られている(特許文献2参照)。この技術においても、特許文献2の図2に見るように、ガラスビーズが単層形成であるため、反射性能とガラスビーズの保持を両立することが困難であり、高い反射性能を得ようとすると第2の樹脂塗膜の厚みを50μm以下に制御することが必要であった。さらにこの厚みは逆に薄くなりすぎる場合にはガラスビーズを保持するための付着力が不充分となり、ガラスビーズが脱落しやすいといった問題も生じるため、厚みの管理範囲は非常に狭いものであった。その上、付着させるガラスビーズの量によって厚みが変動してしまい、極めて生産性が劣り、実際にはそれほど反射性能が得られないものとなってしまう問題があった。また、高い反射性能を得るためには、さらに溶剤塗料を塗布後50秒以内にガラスビーズを付着させなければならないといった管理も必要であった(特許文献2の段落[0016])が、これは気温や湿度によっても変動するため、生産性と空調設備導入などの設備的な問題があった。さらに、この技術は、その対象を防護柵の横桟に限定したものであり、すなわち連続したある程度の面積を有する部材を対象としているため、低い反射性能であっても夜間の視認性を確保することが可能な方法と考えられるが、小さい面積でも視認性を有する高い反射性能が必要とされる場合には、実製造は困難であった。
特開2000−160522号公報 特開2007−92393号公報
そこで、本発明は、再帰反射性に優れる再帰反射性塗装物とこのような再帰反射性塗装物を効率的に得るための再帰反射性塗装物の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行った。
その過程において、本発明者は、従来の塗膜構造では、再帰反射性能の向上に限界があると考え、ガラスビーズを密に配置するという思想の下に鋭意検討を行い、従来全く考えられていなかったガラスビーズの複層構造を敢えて採用することとした。すなわち、従来のようにガラスビーズが単層の場合にはガラスビーズは二次元的な配置しかとることができず、必ず隙間を生じるが、複層とすることで三次元的な配置をとり、ガラスビーズがほとんど隙間無く密に配置されることを見いだし、この知見に基づきガラスビーズの複層構造を検討した。しかし、これのみでは反射性の確保という従来技術と同様の問題が残ることから、更なる試行錯誤を試みた結果、この従来技術の問題が、ビーズ保持層と反射層とが分離して存在していることに原因していることに気付くとともに、反射材が分散されている塗膜内にガラスビーズを配置すれば、ガラスビーズの周りに必ず反射材が存在する構成を実現できることを想到した。さらに、この構成を採用する場合、ガラスビーズの全てが塗膜内に埋没してしまっていては、光が、まず反射材が分散されている塗膜に入射し、即座に反射されてしまって、再帰反射性が不十分となってしまうことから、ガラスビーズの一部が、前記塗膜の表面において部分的に露出していることが肝要であることを見出した。
また、上述の構成を備えることで高い反射性能とガラスビーズの保持力の両方を発揮する再帰反射性塗装物は、ガラスビーズが複層であるので、樹脂塗料の膜厚の厳密な制御や溶剤塗装後ガラスビーズを付着させるまでの厳密な時間制御などを行わなくとも良いことから、極めて生産性に優れた方法により製造できるという製法上の優位性も有することがわかった。
本発明は、上記知見に基づき完成されるに至った。
すなわち、本発明にかかる再帰反射性塗装物は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に少なくとも造膜樹脂と反射材とガラスビーズとからなる再帰反射性の塗膜が形成されてなる再帰反射性塗装物であって、前記ガラスビーズは前記塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出しており、前記反射材が、前記塗膜内に分散され、かつ、前記塗膜の表面近傍では、前記ガラスビーズの底面に沿って存在していることを特徴とする。
また、本発明にかかる再帰反射性塗装物の製造方法は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に反射材および造膜樹脂を含む塗料を塗布して反射材が分散されてなる塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前にガラスビーズを吹き付け、そののち、前記塗料膜を硬化することにより、前記ガラスビーズが内部で複層となり、かつ、その表面において前記ガラスビーズの一部が露出しているとともに、その内部に前記反射材が分散され、かつ、その表面近傍では、前記反射材が前記ガラスビーズの底面に沿って存在する再帰反射性塗膜を前記被塗装面に形成するようにすることを特徴とする。
本発明にかかる再帰反射性塗装物は、ガラスビーズが複層となっているので、必然的にガラスビーズがほぼ隙間なく存在することとなり、再帰反射効率が高い。そして、ガラスビーズが複層となって存在している塗膜内には、反射材が分散して存在しているので、ガラスビーズの周りにはこれを囲むように反射材が存在することとなり、ガラスビーズを通過した光は、直ちに反射材で反射され、光の拡散による再帰反射性の低下が起こり難い。さらに、ガラスビーズの一部が塗膜表面において部分的に露出しているので、光は、まずガラスビーズに入射することとなり、ガラスビーズに入光する前に反射材で反射してしまうという問題も生じない。
本発明にかかる再帰反射性塗装物の製造方法は、上記構造を有する再帰反射性塗装物を容易に得ることを可能とする。
本発明の再帰反射性塗装物の一実施形態を示す一部断面図である。 本発明の再帰反射性塗装物の製造方法の一実施形態において、ガラスビーズの吹き付け前後の状態を示す一部断面図である。 従来技術における再帰反射性塗装物を示す一部断面図である。 従来技術における再帰反射性塗装物を示す一部断面図である。 従来技術における再帰反射性塗装物において、ガラスビーズを複層とした場合の塗装物を示す一部断面図である。
以下、本発明にかかる再帰反射性塗装物およびその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔再帰反射性塗装物〕
<被塗装面>
本発明における再帰反射性を付与すべき被塗装面は、特に限定されるものではない。再帰反射性は、その性質上、暗闇における視認性向上のために利用されるのが一般的であり、例えば、車両の路外への逸脱やこれによる乗員や歩行者への傷害防止などの目的で設けられるガードレールやガードパイプなどの防護柵、または、防護柵用の構成部材に再帰反射性を付与する試みがなされている。したがって、これら防護柵やその構成部材の表面の少なくとも一部を前記被塗装面として、ここに、後述する再帰反射性の塗膜を適用して、本発明の再帰反射性塗装物とすることができる。
防護柵用の構成部材としては、例えば、ボルト、ナット、キャップ、ブラケット、支柱、ベースプレート、ワイヤーケーブル、ビーム、パイプ、スクリーンパネルなどが挙げられる。また、防護柵用途に限らず、防護柵以外の用途で用いられる前記ボルトなどの構成部材において、その表面の少なくとも一部を前記被塗装面とし、ここに、後述する再帰反射性の塗膜を適用して、本発明の再帰反射性塗装物としてもよい。
上述したような被塗装面は、防錆や再帰反射性の塗膜との密着性向上などのために前処理がなされていてもよい。特に防護柵用の構成部材のように鋼材本体の長期寿命が要求される場合などは、本発明の再帰反射性塗装物は、例えば、亜鉛めっき層などの防錆処理が成された上に後述する再帰反射性の塗膜を有するものであることが好ましい。亜鉛めっき層と後述する再帰反射性の塗膜との間に、化成処理層もしくはブラスト処理層と、プライマー層の各層がこの順に形成されていることにより、再帰反射性の塗膜の長期密着が得られ、したがって長期に反射性能を維持することができる。
亜鉛めっきは鋼材の防錆に一般的に用いられており、防護柵の構成部材も、通常、前記亜鉛めっき層を有している。例えば、プレめっきによる溶融亜鉛めっきあるいはポストめっきのどぶづけ亜鉛めっき方法により形成することができ、その厚みとしては、例えば、どぶづけ亜鉛めっき方法の場合には、片面あたり350〜550g/m2である。プレめっきによる亜鉛めっきの場合は、一般的には両面で270g/m2の付着量のものが用いられることが多い。
前記化成処理層としては、例えば、亜鉛めっきの化成処理として一般的なリン酸塩処理により形成することができ、その厚みは通常最適とされる1〜5g/m2が良い。どぶづけ亜鉛めっきの場合には化成処理の代わりにブラスト処理を行ってもよい。
前記プライマー層としては、例えば、エポキシ樹脂塗料により形成することができ、その厚みとしては、例えば、2〜50μmである。
<再帰反射性の塗膜>
本発明の再帰反射性塗装物は、上述するような被塗装面に、少なくとも造膜樹脂と反射材とガラスビーズとからなる再帰反射性の塗膜が形成されてなるものである。以下では、まず、これら塗膜の構成要素について説明する。
造膜樹脂としては、特に限定するわけではないが、通常、実用的な光透過性を有する程度の透明性を有するものが用いられる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の何れも使用できる。湿気硬化型や紫外線硬化型の樹脂も使用できる。具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、エチレン酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ナイロン系、オレフィン系、天然ゴム系、アルキッド系、塩化ビニル系、フッ素系などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の共重合体も使用できる。中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、これらを1種用いあるいは2種以上併用することができる。
なお、熱硬化性樹脂の場合、熱硬化温度がガラスビーズの機能を損なわない程度のものが好ましい。熱硬化温度が高過ぎると、加熱硬化処理において、ガラスビーズが変形したり溶融したりして、再帰反射特性が損なわれる。具体的な熱硬化温度として、550℃以下が採用できる。
反射材としては、塗膜中に分散可能であり、かつ、反射性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、鱗片状、舌片状、薄片状などの片状の反射材が好ましく挙げられる。このような片状の反射材は、ガラスビーズの球面に沿って配向し易く、これにより、塗膜中に反射材がランダムに存在する場合と比べて、再帰反射効率が高くなるからである。
反射材の粒径は、例えば、1〜500μmに設定でき、より好ましくは5〜50μmに設定できる。その平均粒径としては、例えば、5〜25μmに設定でき、より好ましくは10〜20μmに設定できる。微細な反射材は、塗膜中に均一に分散されるので、反射機能が良好に発揮できる。
このような反射材としては、具体的には、例えば、マイカが好ましく挙げられる。マイカとしては、雲母を原料としたものや合成マイカなどを使用することができる。一般的にマイカの反射光は白色である。マイカ表面に、酸化チタンの被覆をしておくと、反射性能が高まる。反射材として、アルミニウムなどの表面反射性を有する金属、無機材料、鉱物なども使用できる。反射材が、着色されたものであれば、反射機能に加えて着色機能も発揮することができる。例えば、アルミニウム粒子は、シルバー色の反射光を出す。着色アルミニウム粒子は、その着色された色の反射光を出す。ノンリーフィングタイプのアルミニウム粒子は、表面酸化が起こり難く、良好な反射性を持続でき、使用に適したものとなる。
前記ガラスビーズは、入射光をガラスビーズ内で屈折させてガラスビーズ球面に焦点を結ばせ、反射光となって再帰させるという働きをもっている。理想的には球形のものを用いるが、実用的には、工業的に得られる程度の球形度を有していれば十分な再帰反射性が発揮できる。球形以外の楕円体や長円体、多面体に近い形状のものでも、球形に比べると劣るが、ある程度の再帰反射性を示すことができる。
ガラスビーズの屈折率によって、入射光および反射光の屈折作用が変わる。再帰反射性を良好にするには、屈折率1.5〜2.2のものが好ましく、1.8〜2.0のものがより好ましい。さらに好ましくは、屈折率1.92±0.02である。ガラスビーズの屈折率が1.5未満であると、屈折率が低いため反射光の方向が大幅にずれて視認性が著しく低下するおそれがあり、2.2を超える場合も、反射光の方向がずれて視認性が低下する恐れがある。
また、ガラスビーズは、10〜1000μmの粒径を有することが好ましく、より好ましくは20〜120μmである。その平均粒径としては、40〜120μmが好ましく、60〜120μmがより好ましい。ガラスビーズの粒径が小さすぎると、充分な反射性能が得られなくなるおそれがあり、逆に大きすぎると、ガラスビーズが脱落しやすくなったり、外観を損なったりするおそれがある。
ガラスビーズは、透明性に優れたものが好ましい。ただし、再帰反射性を損なわない程度に薄く着色された半透明のガラスビーズも使用可能であり、この明細書において、ガラスビーズとは、半透明のガラスビーズをも含む。
ガラスビーズは、上述の造膜樹脂と親和性を有するものであることが好ましい。すなわち、無機物であるガラスビーズは、有機物である造膜樹脂とは本来的に親和性に乏しいものであるが、例えば、ガラスビーズを表面処理して有機化することにより、造膜樹脂との親和性を付与することができる。
例えば、ガラスビーズにシラン処理を施すことにより造膜樹脂との親和性を付与することができる。なお、シラン処理とは、無機物と有機物の親和力を高めるための処理である。
上記再帰反射性の塗膜は、その構成要素として、上述した造膜樹脂、反射材、ガラスビーズ以外に、本発明の効果を害しない範囲で他の構成要素を含んでいても良い。
例えば、塗膜内部に着色剤が分散されていても良い。これにより、再帰反射光を色付けすることができる。
このような着色剤としては、特に限定するわけではないが、通常の塗料用や染色用の着色材料が使用できる。着色剤は、再帰反射性の塗膜中に分散するものであってもよいし、溶解してしまうものであってもよい。粒子状のものや鱗片状のもの、繊維状のものなどが使用できる。着色剤の粒径は、例えば、0.01〜10μmの範囲に設定できる。
上記再帰反射性の塗膜の膜厚は、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。ガラスビーズの粒径にもよるが、50μm未満では、ガラスビーズの複層構造が困難となるおそれがある。
また、この塗膜の膜厚につき、ガラスビーズの粒径との関係で言えば、例えば、ガラスビーズの平均粒径に対し、1.5〜3.0倍であることが好ましく、2.0〜2.5倍であることが好ましい。
ここで、本発明において、再帰反射性の塗膜はガラスビーズが内部に含まれていると共にその一部が表面において露出している構造のため、通常、塗膜表面の厚みは一定ではない。そこで、上記膜厚は、下限について言うときは、最も厚みの薄いところ(ビーズの露出部分は除く)での塗膜の膜厚を基準とし、上限について言うときは最も厚みの厚いところ(ビーズの露出部分は除く)での塗膜の膜厚を基準とする。
本発明の再帰反射性塗装物は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に上述の再帰反射性の塗膜が形成されてなるものであって、前記反射材が前記塗膜内に分散されているとともに、前記ガラスビーズは前記塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出している。そこで、以下では、再帰反射性の塗膜における構造の詳細について図面を参照しつつ説明する。
図1に見るように、再帰反射性を付与すべき被塗装面20に、再帰反射性の塗膜10が形成されている。なお、上述したように、被塗装面20の上には、防錆のための亜鉛めっき層と、被塗装面と樹脂層との密着性を高めるための化成処理層もしくはブラスト処理層と、プライマー層の各層が順次形成されていても良い。再帰反射性の塗膜10は、造膜樹脂を主成分としており、塗膜10内部に分散している反射材11と、塗膜10内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜10の表面において部分的に露出しているガラスビーズ12とからなる。
これにより、塗膜10表面において露出しているガラスビーズ12に外部から光が入射すると、入射した光が内部で屈折し、ガラスビーズ12の底面にその焦点を結び、元来た方向へ帰って行く再帰反射現象を起こすが、一部ガラスビーズ12の外へ抜け出て行く。しかし、このガラスビーズ12の外へ抜け出た光の一部も、その近辺に、塗膜10内に分散している反射材11が存在するため、反射材11で再度反射(鏡面反射)する。したがって、ガラスビーズ12へ入射した光は、ほぼ全て、元来た方向へ戻る再帰反射光となる。さらに、図示しないが、塗膜10内に着色剤が含有されているものであれば、ガラスビーズ12の焦点付近に着色剤が存在することとなり、再帰反射光はその近辺の着色剤の色を拾いながら出て行くので、再帰反射光に色を付けることができる。
特に、本発明では、図1に示すように、ガラスビーズ12が複層となっていて、非常に密に存在しているため、再帰反射効率が極めて高いとともに、反射材11がガラスビーズ12の底面に沿って存在しているので、ガラスビーズ12を通過した光Lが直ちに反射材11で反射され、これによっても、再帰反射効率の向上が果たされている。この点、反射層がガラスビーズ保持層とは別の層として設けられていて、光が反射層に到達するまでの間にガラスビーズ保持層で拡散してしまって再帰反射性が損なわれてしまう従来技術に対して、極めて高い優位性を有するものである。
なお、上述のようにガラスビーズ12が複層となっていることによって、最上層のガラスビーズ12が脱落してもその下のガラスビーズ12によって再帰反射性が発現されることとなり、安定した再帰反射性の発揮が期待される。例えば、ガラスビーズ12は造膜樹脂に固着しているので、ガラスビーズ12の脱落が問題となるおそれはあまりないが、最上層のガラスビーズ12とその下層のガラスビーズ12の間に造膜樹脂が僅かにしか存在していない箇所では、衝撃や塗膜の経時劣化により最上層のガラスビーズ12の脱落が考えられる。しかし、この場合は、最上層のガラスビーズ12と下層のガラスビーズ12との間に造膜樹脂が僅かしか存在しないのであるから、最上層のガラスビーズ12が脱落しても、下層のガラスビーズ12が実質的に露出した状態になるのであって、下層のガラスビーズ12の表面に僅かに残り得る造膜樹脂およびその内部に存在する反射材によって、下層のガラスビーズ12への入光が妨げられる可能性は低く、したがって、最上層のガラスビーズ12の脱落後も引き続き高い再帰反射性を発現するものと推測される。
〔再帰反射性塗装物の製造方法〕
本発明の再帰反射性塗装物の製造方法は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に反射材および造膜樹脂を含む塗料を塗布して反射材が分散されてなる塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前にガラスビーズを吹き付け、そののち、前記塗料膜を硬化することにより、前記ガラスビーズが内部で複層となり、かつ、その表面において前記ガラスビーズの一部が露出した再帰反射性塗膜を前記被塗装面に形成するようにする。
被塗装面については上述したとおりであり、説明を割愛する。
この被塗装面に、まず、反射材および造膜樹脂を含む塗料を塗布して反射材が分散されてなる塗料膜を形成する。
上記塗料膜を形成するための塗料としては、反射材および造膜樹脂を必須成分とするが、必要に応じて着色剤をも用いても良い。
反射材の配合割合は、特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、10〜30重量%とすることが好ましく、15〜25重量%とすることが好ましい。10重量%未満では、反射効果が充分に得られないおそれがあり、30重量%を超えると、被塗装面との接着不良や塗料被膜の強度低下を起こすおそれがある。
造膜樹脂の配合割合は、特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、10〜60重量%とすることが好ましく、20〜50重量%とすることがより好ましい。10重量%未満では、被塗装面との接着不良や塗料被膜の強度低下を起こすおそれがあり、60重量%を超えると、反射輝度の低下となるおそれがある。
着色剤を配合する場合の配合割合は、色によって大きく変わるので特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、60重量%以下とすることが好ましく、50重量%以下とすることがより好ましい。50重量%を超えると、再帰反射輝度の低下を招くおそれがある。
反射材、造膜樹脂、着色剤の具体的例示などについては上述したとおりであり、説明を割愛する。
その他、塗料に通常使用される溶剤(水系、有機溶剤系、これらの混合系のいずれでも良い)、反射材や着色剤の分散を助ける分散剤、乾燥後の塗膜のひび割れを防ぐひび割れ防止剤、塗料粘度を適度に調整する粘度調整剤などや、硬化剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、消泡剤、架橋剤、粘性付与剤、安定剤などが適宜使用される。
次に、この塗料膜が固化する前に、ガラスビーズを吹き付ける。これにより、ガラスビーズが塗料膜内部に埋入される。
このときの塗料膜の厚みとしては、比較的広範な範囲が許容される。ガラスビーズが複層となるようにするための厚みが必要であることから、ガラスビーズの粒径にもよるが、例えば、ガラスビーズの平均粒径に対し、1.0〜3.0倍であることが好ましく、1.4〜2.0倍であることがより好ましい。1.0倍未満では、ガラスビーズの複層構造を形成させることが困難となるおそれがあり、また、ガラスビーズの付着性が充分に担保されないおそれもある。
ガラスビーズの吹き付け圧としては、塗料膜の膜厚や粘度にもよるが、例えば、1.0〜2.5Kg/cm2とすることができ、1.8〜2.2Kg/cm2とすることがより好ましい。吹き付け圧が強すぎるとガラスビーズや塗料が飛散してしまうおそれがあり、吹き付け圧が弱すぎるとガラスビーズが塗料膜内に充分に埋入せず、所望の複層構造が得られないおそれがある。
ガラスビーズを吹き付ける際の塗料膜の粘度としては、ガラスビーズの吹き付け圧や塗料膜の膜厚にもよるが、比較的広範な範囲が許容され、例えば、100〜550cpsとすることが好ましく、150〜250cpsとすることがより好ましい。粘度が高すぎるとガラスビーズの埋入が困難となるので、所望の複層構造が得られないおそれがあり、粘度が低すぎると所望の膜厚を得ることが困難となったり、タレなどの塗膜欠陥を招いたりするおそれがある。
ガラスビーズの吹き付け量としては、特に限定されることはなく、被塗装物上をガラスビーズで覆い隠す程度とすればよい。
ここで、図2を参照して、本発明においてシラン処理を施したガラスビーズを適用することやマイカを用いることの利点について説明する。図2(a)はガラスビーズ吹き付け前であり、図2(b)はガラスビーズ吹き付け後である。
上述のように、シラン処理などを施したガラスビーズを用いるなど、ガラスビーズが造膜樹脂と親和性を有するものである場合、図2(b)に示すように、ガラスビーズ12と造膜樹脂を主成分とする塗料膜10との界面において、ガラスビーズ12の周囲を塗料膜10が覆うように存在することとなるので、焼付け後においても、図1に示すように、塗料膜10の表面でのガラスビーズ12の脱落が効果的に抑制されるとともに、塗料膜10内部に分散して存在する反射材11もガラスビーズ12の周囲を覆うように存在することとなる結果、ガラスビーズ12を通過した光が反射材11で効率よく反射され、高い再帰反射性を発揮することにも貢献することとなる。
このように、ガラスビーズがシラン処理により造膜樹脂と親和性を有することで、ガラスビーズに対する塗料のぬれ性が向上するのであるが、特に、本発明では、ガラスビーズの複層構造を採用していることによってガラスビーズが密に存在しており、ガラスビーズ間の間隙に存在する塗料のぬれ性が高いと、ガラスビーズと塗料との接触角が小さくなり塗料との馴染みが良く、また、溶剤の蒸発に伴って塗料のレベルが低下していく際、図2(b)に示すようにガラスビーズ12の周囲を塗料膜10が覆う構造が形成されやすく、ガラスビーズ12の脱落防止や反射材11に基づく再帰反射効率の向上が良好に発揮される。
また、マイカのごとく片状の反射材11を用いていれば、ガラスビーズ12が塗料膜10に埋入されるときに、図2(a)に示すガラスビーズ吹き付け前の状態ではランダムに存在していたマイカ(反射材11)が、図2(b)に示すガラスビーズ吹き付け後の状態では、ガラスビーズ12によって押しのけられてその表面形状(通常は球面)に沿った形で配向されることとなり、これにより、高い再帰反射効率が発揮される。
以上の工程の後、前記塗料膜の硬化を行う。この硬化は、通常、焼付けにより行うが、この焼付け条件としては、特に限定するわけではないが、例えば、80〜190℃で0.3〜1.0時間とすることができる。
なお、被塗装面がプライマー層を有している場合、このプライマー層の焼付け硬化を上記塗料膜の焼付け硬化と同時に行うようにしてもよい。すなわち、プライマー塗料を塗布した後に乾燥を行い、焼付け硬化を行うことなく、反射材および造膜樹脂を含む塗料を塗布し、かつ、ガラスビーズの吹き付けを行ったのちに、焼付け硬化を行う方式(2コート1ベーク方式)を採用しても良い。これによれば、塗膜形成工程の簡素化が図られる。
特に、本発明は、反射層とガラスビーズ保持層の2層を設けずにこれを1層で形成するようにした点で、従来よりも工程が半分で済むというコストメリットを有するものであるので、上述する2コート1ベーク方式を採用すれば、工程の簡素化によるコストメリットがさらに生かされることとなる。
以下、実施例を用いて、本発明にかかる再帰反射性塗装物とその製造方法について詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量%」を単に「%」と表記し、「重量部」を単に「部」と表記する。
〔実施例1〕
板厚3.2mm×幅70mm×長さ150mmの熱延鋼板(JIS G3131に記載のSPHC)にどぶづけ亜鉛めっき法により片面あたり350g/m2のめっきを施した。これにリン酸塩処理(PB−3020、日本パーカライジング株式会社製)により化成皮膜を形成させ、これを試験片とした。
上記試験片上に、白色のエポキシ系プライマー塗料「エポキシプライマーホワイト」(ロックペイント社製)を厚み30μmで塗布し、2時間乾燥後、反射材および造膜樹脂を含む後述の塗料(A)を厚み200μm(塗布直後)で塗布した。塗料(A)の塗装時の粘度は、160cpsであった。つづけて、シラン処理ガラスビーズ「UB67MG」(平均粒径100μm、屈折率1.93、ユニチカ社製)を、吹き付け圧2Kg/cm2で被塗装物上の塗料膜をガラスビーズで覆い隠すまで吹き付けた。
次に、165℃の温度で20分間焼付けすることによって、プライマー塗料膜および塗料(A)からなる塗料膜を同時焼付け硬化し、実施例1にかかる再帰反射性塗装物を作製した。プライマー塗膜の乾燥膜厚は30μmであり、再帰反射性の塗膜の乾燥膜厚は230μmであった。得られた塗装物は、ガラスビーズが塗料(A)からなる塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出していることが断面写真から確認できた。
上記において、塗料(A)は、反射材としての鱗片状のマイカ(粒径分布5〜25μm、エンゲルハード社製)20部、造膜樹脂としてアクリルウレタン樹脂を固形分濃度50%の割合で含む塗料「ロックIUウレタン」(ロックペイント社製)80部を撹拌混合して、予め調製しておいたものである。
〔実施例2〕
実施例1のプライマー塗料80部に反射材としての鱗片状のマイカ(粒径分布5〜25μm、エンゲルハード社製)20部を撹拌混合してなる反射材含有プライマー塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2にかかる塗装物を得た。プライマー塗膜の乾燥膜厚は30μmであり、ガラスビーズを含む反射膜の乾燥膜厚は230μmであった。
〔比較例1〕
実施例1と同様の試験片上に、白色のエポキシ系プライマー塗料「エポキシプライマーホワイト」(ロックペイント社製)を厚み30μmで塗布し、塗料(A)に代えて、反射材を含まないこと以外は塗料(A)の調製と同様にして調製した塗料(B)を厚み200μmで塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1にかかる塗装物を得た。プライマー塗膜の乾燥膜厚は30μmであり、ガラスビーズを含む反射膜の乾燥膜厚は230μmであった。
〔比較例2〕
比較例1のプライマー塗料80部に反射材としての鱗片状のマイカ(粒径分布5〜25μm、エンゲルハード社製)20部を撹拌混合してなる反射材含有プライマー塗料を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2の塗装物を得た。プライマー塗膜の乾燥膜厚は30μmであり、ガラスビーズを含む反射膜の乾燥膜厚は230μmであった。
〔性能評価試験〕
実施例1,2、比較例1,2の各塗装物に対して、スガ試験機社製の再帰反射性能測定器「NS−1」を用いて、観察角0.2°で反射輝度係数(cd/Lux・m2)を測定した。反射輝度係数が高いほど、再帰反射性能が良好と評価される。
結果を表1に示す。
Figure 0005872240
表1に見るように、本発明の再帰反射性塗装物である実施例1,2の塗装物は、比較例1,2の塗装物と比べて、再帰反射性が優れていることが分かる。
具体的には、実施例1および比較例1、実施例2および比較例2の各対比によれば、ガラスビーズを固着している層にマイカが含有されていることにより、再帰反射性が格段に向上することが確認できる。このように、単にガラスビーズが複層構造をとっているだけで十分な再帰反射性が得られるわけではなく、ガラスビーズが複層状態で存在している塗膜内においてマイカが分散されていることが必要であることが分かった。
実施例1および実施例2、比較例1および比較例2を対比すると、プライマー層にマイカが含有されていることにより、再帰反射性が向上することが確認できるが、その向上効果は、ガラスビーズが複層状態で存在している塗膜内にマイカが含有されているか否かに基づく効果の相違と比べると極めて僅かであり、このことからも、ガラスビーズが複層状態で存在している塗膜内にマイカが含有されていることによる効果の顕著性が窺われる。
なお、比較例1において、マイカが一切含有されていないにもかかわらず、再帰反射性が僅かに見られるのは、ガラスビーズ底面での光の反射やプライマー塗膜中の白色顔料によるものと推察される。
本発明は、例えば、視認性向上による事故の防止や視線誘導のため、表面の所望の位置に再帰反射性が付与された防護柵やその構成部材などとして好適に利用することができる。
10 再帰反射性の塗膜(または焼付け前の塗料膜)
11 反射材
12 ガラスビーズ
20 被塗装面
100 ガラスビーズ保持層
101 ガラスビーズ
200 反射層
201 反射材
300 被塗装面

Claims (12)

  1. 再帰反射性を付与すべき被塗装面に少なくとも造膜樹脂と反射材とガラスビーズとからなる再帰反射性の塗膜が形成されてなる再帰反射性塗装物であって、
    記ガラスビーズは前記塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出しており、
    前記反射材が、前記塗膜内に分散され、かつ、前記塗膜の表面近傍では、前記ガラスビーズの底面に沿って存在している
    ことを特徴とする、再帰反射性塗装物。
  2. 前記ガラスビーズがシラン処理により造膜樹脂との親和性が付与されてなるものである、請求項1に記載の再帰反射性塗装物。
  3. 前記反射材が片状反射材である、請求項1または2に記載の再帰反射性塗装物。
  4. 前記ガラスビーズは、粒径が10〜1000μmであり、屈折率が1.5〜2.2である、請求項1から3までのいずれかに記載の再帰反射性塗装物。
  5. 前記再帰反射性の塗膜の膜厚が50μm以上である、請求項1から4までのいずれかに記載の再帰反射性塗装物。
  6. 前記再帰反射性の塗膜が着色剤をも含むものである、請求項1から5までのいずれかに記載の再帰反射性塗装物。
  7. 前記再帰反射性の塗膜の上に撥水性および/または防汚性を有する塗膜が積層されてなる、請求項1から6までのいずれかに記載の再帰反射性塗装物。
  8. 前記被塗装面が亜鉛めっき層と、化成処理層もしくはブラスト処理層と、プライマー層の各層を順次有するものであって、前記プライマー層の上に前記再帰反射性の塗膜が形成されている、請求項1から7までのいずれかに記載の再帰反射性塗装物。
  9. 表面の少なくとも一部を前記被塗装面とする防護柵、または、防護柵用の構成部材である、請求項1から8までのいずれかに記載の再帰反射性塗装物。
  10. 表面の少なくとも一部を前記被塗装面とし、ボルト、ナット、キャップ、ブラケット、支柱、ベースプレート、ワイヤーケーブル、ビーム、パイプおよびスクリーンパネルから選ばれるものである、請求項1から9までのいずれかに記載の再帰反射性塗装物。
  11. 再帰反射性を付与すべき被塗装面に反射材および造膜樹脂を含む塗料を塗布して反射材が分散されてなる塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前にガラスビーズを吹き付け、そののち、前記塗料膜を硬化することにより、前記ガラスビーズが内部で複層となり、かつ、その表面において前記ガラスビーズの一部が露出しているとともに、その内部に前記反射材が分散され、かつ、その表面近傍では、前記反射材が前記ガラスビーズの底面に沿って存在する再帰反射性塗膜を前記被塗装面に形成するようにする、再帰反射性塗装物の製造方法。
  12. 前記ガラスビーズを吹き付ける前の塗料膜の厚みがガラスビーズの平均粒径に対して1.0〜3.0倍である、請求項11に記載の再帰反射性塗装物の製造方法。
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