JP7379125B2 - 耐久性に優れた再帰反射性塗装物およびその製造方法 - Google Patents

耐久性に優れた再帰反射性塗装物およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7379125B2
JP7379125B2 JP2019218778A JP2019218778A JP7379125B2 JP 7379125 B2 JP7379125 B2 JP 7379125B2 JP 2019218778 A JP2019218778 A JP 2019218778A JP 2019218778 A JP2019218778 A JP 2019218778A JP 7379125 B2 JP7379125 B2 JP 7379125B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass beads
retroreflective
film
hot
paint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019218778A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020163832A (ja
Inventor
勝一 三室
京子 浜原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Metal Products and Engineering Inc
Original Assignee
JFE Metal Products and Engineering Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Metal Products and Engineering Inc filed Critical JFE Metal Products and Engineering Inc
Publication of JP2020163832A publication Critical patent/JP2020163832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7379125B2 publication Critical patent/JP7379125B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Road Signs Or Road Markings (AREA)
  • Refuge Islands, Traffic Blockers, Or Guard Fence (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

本発明は再帰反射性塗装物およびその製造方法に関し、詳しくは、入射した光を入射方向と同一の方向に反射させる再帰反射性を備えた再帰反射性塗装物およびこのような再帰反射性塗装物を製造するための方法に関する。
従来、暗闇での視認性向上のため、再帰反射性が利用されてきた。ここで、再帰反射性とは、外部から入射した光を入射方向と同じ方向に反射させる特性のことであり、例えば、自動車のヘッドライトを効率良く運転者のほうに反射させて注意を喚起することができる。
このような再帰反射性を有するものとして、ガラスビーズが汎用されている。ガラスビーズは、光の屈折により反射光の光路を所望の方向に制御すること(すなわち、入射方向に反射光を返すこと)を可能とするものではあるものの、それ単独では反射性に乏しい。そこで、従来技術では、反射性を付与するための手段が講じられている。
例えば、反射層の上に定着層が設けられ、ガラスビーズが定着層の下層の反射層にまで埋没した構成を採用する技術が従来知られている(特許文献1参照)。
また、粉体塗装により形成された第1の樹脂塗膜上に、反射材が分散され、かつ、ガラスビーズを表面が露出するように埋没させた第2の樹脂塗膜を形成する技術も知られている(特許文献2参照)。
さらに、上記従来技術よりも再帰反射性に優れる再帰反射性塗装物とこのような再帰反射性塗装物を効率的に得るための再帰反射性塗装物の製造方法が、本願出願人によって提案されている(特許文献3参照)。この特許文献3に記載の技術は、再帰反射性を付与すべき被塗装面に少なくとも造膜樹脂と反射材とガラスビーズとからなる再帰反射性の塗膜が形成されてなる再帰反射性塗装物であって、前記ガラスビーズは、前記塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出しており、前記反射材が、前記塗膜内に分散され、かつ、前記塗膜の表面近傍では、前記ガラスビーズの底面に沿って存在していることを特徴とするものである。
特開2000-160522号公報 特開2007-92393号公報 特許第5872240号公報
上記特許文献3の技術は、上記特許文献1や上記特許文献2の技術よりも高い再帰反射性を発揮させることができ、産業的価値の高い技術であるが、本発明者による更なる改良の検討において、使用環境等によっては再帰反射性の劣化が起こり得ることが判明した。
そこで、本発明は、再帰反射性の長期安定性に優れる再帰反射性塗装物とこのような再帰反射性塗装物を効率的に得るための再帰反射性塗装物の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために以下の如く鋭意検討を行った。
すなわち、上記特許文献3に記載の技術は、防護柵のボルトなどへの再帰反射性の付与に適しているが、例えば、ボルトの頭部にのみ再帰反射塗装をした場合、特に塩害環境が厳しい場所においては、ボルト頭部の円周側の亜鉛めっきから発生した白錆がボルト頭表面に流れる。このようにして白錆が再帰反射ビーズを覆うことが、再帰反射性の劣化の原因となっているのではないかと考えられた。
そこで、更に種々の方策を検討した結果、白錆などの影響を低減するため、被塗装物の表面の上に亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成し、その上に再帰反射塗装を施すことにより、再帰反射性の長期安定性がもたらされることを確認した。特にボルトのようなネジ部がある場合、ネジ部は嵌合の関係から全体にめっきも薄いため腐食が進行しやすい。そして、ボルトは、通常ネジ部から劣化していき、ボルトとしての耐久性もネジ部の耐久性(耐食性)に左右される。このような場合において、亜鉛-アルミニウム合金めっき層が特に有効であり、ボルトなどの被塗装物の表面の上に亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成することにより、再帰反射性の長期安定化が得られるだけでなくさらに部材そのものの耐久性を向上することができる。
本発明は、上記知見に基づき完成されるに至った。
すなわち、本発明にかかる再帰反射性塗装物は、被塗装物に対し塗装により再帰反射性が付与されてなる再帰反射性塗装物であって、前記被塗装物の表面の上に溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層が形成され、前記溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に、少なくとも造膜樹脂とガラスビーズとからなる再帰反射性塗膜が形成されてなる。
また、本発明にかかる再帰反射性塗装物の製造方法は、被塗装物に対し塗装により再帰反射性が付与されてなる再帰反射性塗装物の製造方法であって、前記被塗装物の表面の上に対し、アルミニウムを添加した溶融亜鉛めっき浴でめっき処理を施して溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成し、前記溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に、造膜樹脂を含む塗料を塗布して塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前にガラスビーズを吹き付け、そののち、前記塗料膜を硬化することにより、その表面において前記ガラスビーズの一部が露出した再帰反射性塗膜を形成する。
本発明の再帰反射性塗装物は、被塗装物の表面の上に溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層が形成されている。この溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層は、通常の溶融亜鉛めっき皮膜と比較して表面の保護皮膜の耐食性が高く、飛来塩分の多い地域や融雪剤を散布する地域など、厳しい腐食環境においてさらに高い耐食性を示す。これにより、特にボルト頭円周側の皮膜などから発生しやすい白錆を低減することができ、再帰反射性が長期にわたって発揮される。
本発明にかかる再帰反射性塗装物の製造方法は、上記再帰反射性塗装物を容易に得ることを可能とする。
本発明の再帰反射性塗装物の一実施形態を示す一部断面図である。 本発明の再帰反射性塗装物の製造方法の一実施形態において、ガラスビーズの吹き付け前後の状態を示す一部断面図である。
以下、本発明にかかる再帰反射性塗装物およびその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔再帰反射性塗装物〕
<被塗装物>
被塗装物は、再帰反射性が付与される対象となる構造物や構成部材である。
再帰反射性は、その性質上、暗闇(夜間や、トンネル内、工場内、工事現場などの暗所)において、特に車両(自動車、原動機付自転車、軽車両、鉄道車両、建設車両、産業車両など)からの視認性向上のために利用することができる。
そこで、例えば、車両の路外への逸脱やこれによる乗員や歩行者への傷害防止などの目的で設けられるガードレールやガードパイプなどの防護柵、または、防護柵用の構成部材に再帰反射性を付与する試みがなされている。したがって、これら防護柵やその構成部材を被塗装物とすることができる。
防護柵用の構成部材としては、例えば、ボルト、ナット、キャップ、ブラケット、支柱、ベースプレート、ワイヤーケーブル、ビーム、パイプ、スクリーンパネルなどが挙げられる。
上記以外にも、各現場に存在する種々の構造物や部材に対し、適用可能性がある。例えば、トンネル内の構造物やその構成部材(ボルト、ナット、キャップ、ワッシャー、クリップなど)を被塗装物としてもよい。
<溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層>
本発明の再帰反射性塗装物は、上述した被塗装物の表面の上に、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層が形成されてなる。
一般に、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層におけるアルミニウムの含有量については、5重量%や、55重量%のものが使用されることが多いが、本発明における溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層についても、同様に、アルミニウムの含有量が5重量%や、55重量%のものを使用できる。好ましいアルミニウムの含有量は、0.1~10重量%であり、より好ましくは0.5~10重量%、さらに好ましくは1~10重量%、特に好ましくは3~7重量%程度である。
なお、亜鉛-アルミニウム合金には、スズ、ニッケル、銅、チタン、ジルコニウム、ナトリウム、マグネシウム等の他の金属を含んでいてもよい。また、鉄、カドミウム等の不可避的不純物を含んでいてもよい。
特にマグネシウムを含有する場合は、素材の耐久性もさらに向上し、塗装前処理の無い場合の塗料密着性もさらに向上するので良い。その場合のマグネシウムの含有量は、0.5~10重量%程度が良い。
溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の厚みとしては、特に限定するわけではないが、例えば、10~300μmであり、好ましくは15~250μmであり、さらに好ましくは20~200μmである。
溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上には、化成処理層もしくはブラスト処理層が形成されていてもよく、さらにその上に、プライマー層が形成されていてもよい。これらの層により、後述する再帰反射性塗膜の長期密着性が得られ、したがって長期に反射性能を維持することができる。化成処理層を形成する場合、その厚みは、特に限定するわけではないが、例えば、1~5g/m2とすることができる。また、プライマー層を形成する場合、その厚みとしては、例えば、2~50μmである。
<再帰反射性塗膜>
本発明の再帰反射性塗装物は、上述した溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に(化成処理層・ブラスト処理層、プライマー層などが形成されている場合はそれらの層の上に)、再帰反射性塗膜が形成されてなる。以下では、まず、これら再帰反射性塗膜の構成要素について説明する。
造膜樹脂としては、特に限定するわけではないが、通常、実用的な光透過性を有する程度の透明性を有するものが用いられる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の何れも使用できる。湿気硬化型や紫外線硬化型の樹脂も使用できる。具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、エチレン酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ナイロン系、オレフィン系、天然ゴム系、アルキッド系、塩化ビニル系、フッ素系などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の共重合体も使用できる。中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、これらを1種用いあるいは2種以上併用することができる。アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂などの樹脂は、耐候性に優れる点で好ましい。
なお、熱硬化性樹脂の場合、熱硬化温度がガラスビーズの機能を損なわない程度のものが好ましい。熱硬化温度が高過ぎると、加熱硬化処理において、ガラスビーズが変形したり溶融したりして、再帰反射特性が損なわれる。具体的な熱硬化温度として、550℃以下が採用できる。
前記ガラスビーズは、入射光をガラスビーズ内で屈折させてガラスビーズ球面に焦点を結ばせ、反射光となって再帰させるという働きをもっている。理想的には球形のものを用いるが、実用的には、工業的に得られる程度の球形度を有していれば十分な再帰反射性が発揮できる。球形以外の楕円体や長円体、多面体に近い形状のものでも、球形に比べると劣るが、ある程度の再帰反射性を示すことができる。
ガラスビーズの屈折率によって、入射光および反射光の屈折作用が変わる。再帰反射性を良好にするには、屈折率1.5~2.2のものが好ましく、1.8~2.0のものがより好ましい。さらに好ましくは、屈折率1.92±0.02である。ガラスビーズの屈折率が1.5未満であると、屈折率が低いため反射光の方向が大幅にずれて視認性が著しく低下するおそれがあり、2.2を超える場合も、反射光の方向がずれて視認性が低下する恐れがある。
また、ガラスビーズは、10~1000μmの粒径を有することが好ましく、より好ましくは20~120μmである。その平均粒径としては、40~120μmが好ましく、60~120μmがより好ましい。ガラスビーズの粒径が小さすぎると、充分な反射性能が得られなくなるおそれがあり、逆に大きすぎると、ガラスビーズが脱落しやすくなったり、外観を損なったりするおそれがある。
ガラスビーズは、透明性に優れたものが好ましい。ただし、再帰反射性を損なわない程度に薄く着色された半透明のガラスビーズも使用可能であり、この明細書において、ガラスビーズとは、半透明のガラスビーズをも含む。
ガラスビーズは、上述の造膜樹脂と親和性を有するものであることが好ましい。すなわち、無機物であるガラスビーズは、有機物である造膜樹脂とは本来的に親和性に乏しいものであるが、例えば、ガラスビーズを表面処理して有機化することにより、造膜樹脂との親和性を付与することができる。
例えば、ガラスビーズにシラン処理を施すことにより造膜樹脂との親和性を付与することができる。なお、シラン処理とは、無機物と有機物の親和力を高めるための処理である。
上述したように、ガラスビーズは、それ単独では反射性に乏しい。そのため、通常は、反射性を付与するための手段を講じる。例えば、ガラスビーズとして、その表面の一部に反射膜が形成された自反射ビーズを用いることで、十分な反射性を付与することができる。このような自反射ビーズについては、例えば、特許第5566154公報などに記載されている。
自反射ビーズを用いる場合、反射膜を形成する領域が多すぎると、反射膜がビーズへの光の入射を妨げ、光がビーズに入射できず、他方、反射膜を形成する領域が少なすぎると効率的に再帰反射させることができない。そこで、入射、反射の両方が効率的になされるように、反射膜の領域を設定することが好ましい。このような観点から、反射膜を、ビーズ表面の30~70%の領域に形成することが好ましく、40~60%の領域に形成することがより好ましく、概ね50%の領域、すなわち、ビーズの半球部分に反射膜を形成することが特に好ましい。ビーズ表面の半球部分に反射膜を形成しておけば、50%の確率で再帰反射が起こり、十分な視認性が得られる。光の入射角は状況によって様々に変わり得るから、反射膜の方向はランダムであることが好ましい。
自反射ビーズの製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用すればよい。例えば、ポリエステルなどのフィルム上にポリエチレンなどによりビーズの半球部分を埋め込むように仮接着し、これを真空の釜に入れて、反射膜の材料となる金属や金属酸化物を蒸着させたのち、前記フィルムを取り除くことにより、金属や金属酸化物を蒸着させた反射膜を有する自反射ビーズが得られる。
反射膜の材料となる金属や金属酸化物としては、反射膜としての機能を発現するものであれば特に限定されないが、白色から銀白色の金属や金属酸化物、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、スズ、亜鉛などの金属やこれらの酸化物などが好ましく挙げられ、アルミニウムが特に好ましい。
上記再帰反射性塗膜は、その構成要素として、上述した造膜樹脂、ガラスビーズ以外に、本発明の効果を害しない範囲で他の構成要素を含んでいても良い。
例えば、再帰反射性塗膜に反射材を含有させることができる。反射材を用いる場合は、ガラスビーズに反射膜が形成されていなくても、この反射材によって、十分な反射性を付与することができる。
反射材としては、再帰反射性塗膜中に分散可能であり、かつ、反射性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、鱗片状、舌片状、薄片状などの片状の反射材が好ましく挙げられる。このような片状の反射材は、ガラスビーズの球面に沿って配向し易く、これにより、再帰反射性塗膜中に反射材がランダムに存在する場合と比べて、再帰反射効率が高くなるからである。
反射材の粒径は、例えば、1~500μmに設定でき、より好ましくは5~50μmに設定できる。その平均粒径としては、例えば、5~25μmに設定でき、より好ましくは10~20μmに設定できる。微細な反射材は、再帰反射性塗膜中に均一に分散されるので、反射機能が良好に発揮できる。
このような反射材としては、具体的には、例えば、マイカが好ましく挙げられる。マイカとしては、雲母を原料としたものや合成マイカなどを使用することができる。一般的にマイカの反射光は白色である。マイカ表面に、酸化チタンの被覆をしておくと、反射性能が高まる。反射材として、アルミニウムなどの表面反射性を有する金属、無機材料、鉱物なども使用できる。反射材が、着色されたものであれば、反射機能に加えて着色機能も発揮することができる。例えば、アルミニウム粒子は、シルバー色の反射光を出す。着色アルミニウム粒子は、その着色された色の反射光を出す。ノンリーフィングタイプのアルミニウム粒子は、表面酸化が起こり難く、良好な反射性を持続でき、使用に適したものとなる。
また、再帰反射性塗膜には、再帰反射性塗膜内部に着色剤が分散されていても良い。これにより、再帰反射光を色付けすることができる。
このような着色剤としては、特に限定するわけではないが、通常の塗料用や染色用の着色材料が使用できる。着色剤は、再帰反射性塗膜中に分散するものであってもよいし、溶解してしまうものであってもよい。粒子状のものや鱗片状のもの、繊維状のものなどが使用できる。着色剤の粒径は、例えば、0.01~10μmの範囲に設定できる。
上記再帰反射性塗膜の膜厚は、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。ガラスビーズの粒径にもよるが、50μm以上であれば、ガラスビーズの後述する複層構造を形成しやすい。
また、この再帰反射性塗膜の膜厚につき、ガラスビーズの粒径との関係で言えば、例えば、ガラスビーズの平均粒径に対し、1.5~3.0倍であることが好ましく、2.0~2.5倍であることが好ましい。
ここで、本発明において、再帰反射性塗膜はガラスビーズが内部に含まれていると共にその一部が表面において露出している構造であることが、優れた再帰反射性を発揮させるのに有利である。かかる構造においては、通常、再帰反射性塗膜表面の厚みは一定ではないから、上記膜厚は、下限について言うときは、最も厚みの薄いところ(ビーズの露出部分は除く)での再帰反射性塗膜の膜厚を基準とし、上限について言うときは最も厚みの厚いところ(ビーズの露出部分は除く)での再帰反射性塗膜の膜厚を基準とする。
なお、再帰反射性塗膜は、被塗装物の表面の全体にわたっていても良いし、一部のみであっても良い。
例えば、ボルトを例にとると、その使用状態において、ボルト頭は外部に露出しているが、ネジ部は隠れている。
そのため、再帰反射性塗膜はボルト頭に形成されていれば十分である。
溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層が、ボルト頭だけでなく、ネジ部にも形成されていれば、白錆等の発生は抑制され、その影響が、再帰反射性塗膜が形成されたボルト頭に及ぶようなことは起こらない。
本発明の再帰反射性塗装物は、被塗装物の表面の上に、上述の溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層及び再帰反射性塗膜が形成されてなるものであって、前記反射材が前記再帰反射性塗膜内に分散されているとともに、前記ガラスビーズは前記再帰反射性塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記再帰反射性塗膜の表面において部分的に露出していることが、優れた再帰反射性を発揮させる上で好ましい。このような好適な構造を例として、本発明にかかる再帰反射性塗装物の構造を、以下、図面を参照しつつ説明する。
図1に見るように、被塗装物の表面30の上に、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層20が形成され、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層20の上に、再帰反射性塗膜10が形成されている。
再帰反射性塗膜10は、造膜樹脂を主成分としており、再帰反射性塗膜10内部に分散している反射材11と、再帰反射性塗膜10内で複層となり、かつ、その一部が再帰反射性塗膜10の表面において部分的に露出しているガラスビーズ12とからなる。
これにより、再帰反射性塗膜10表面において露出しているガラスビーズ12に外部から光が入射すると、入射した光が内部で屈折し、ガラスビーズ12の底面にその焦点を結び、元来た方向へ帰って行く再帰反射現象を起こすが、一部ガラスビーズ12の外へ抜け出て行く。しかし、このガラスビーズ12の外へ抜け出た光の一部も、その近辺に、再帰反射性塗膜10内に分散している反射材11が存在するため、反射材11で再度反射(鏡面反射)する。したがって、ガラスビーズ12へ入射した光は、ほぼ全て、元来た方向へ戻る再帰反射光となる。さらに、図示しないが、再帰反射性塗膜10内に着色剤が含有されているものであれば、ガラスビーズ12の焦点付近に着色剤が存在することとなり、再帰反射光はその近辺の着色剤の色を拾いながら出て行くので、再帰反射光に色を付けることができる。
特に、この実施形態では、図1に示すように、ガラスビーズ12が複層となっていて、非常に密に存在しているため、再帰反射効率が極めて高いとともに、反射材11がガラスビーズ12の底面に沿って存在しているので、ガラスビーズ12を通過した光Lが直ちに反射材11で反射され、これによっても、再帰反射効率の向上が果たされている。この点、反射層がガラスビーズ保持層とは別の層として設けられていて、光が反射層に到達するまでの間にガラスビーズ保持層で拡散してしまって再帰反射性が損なわれてしまう従来技術に対して、極めて高い優位性を有するものである。
なお、上述のようにガラスビーズ12が複層となっていることによって、最上層のガラスビーズ12が脱落してもその下のガラスビーズ12によって再帰反射性が発現されることとなり、安定した再帰反射性の発揮が期待される。例えば、ガラスビーズ12は造膜樹脂に固着しているので、ガラスビーズ12の脱落が問題となるおそれはあまりないが、最上層のガラスビーズ12とその下層のガラスビーズ12の間に造膜樹脂が僅かにしか存在していない箇所では、衝撃や塗膜の経時劣化により最上層のガラスビーズ12の脱落が考えられる。しかし、この場合は、最上層のガラスビーズ12と下層のガラスビーズ12との間に造膜樹脂が僅かしか存在しないのであるから、最上層のガラスビーズ12が脱落しても、下層のガラスビーズ12が実質的に露出した状態になるのであって、下層のガラスビーズ12の表面に僅かに残り得る造膜樹脂およびその内部に存在する反射材によって、下層のガラスビーズ12への入光が妨げられる可能性は低く、したがって、最上層のガラスビーズ12の脱落後も引き続き高い再帰反射性を発現するものと推測される。
〔再帰反射性塗装物の製造方法〕
本発明の再帰反射性塗装物の製造方法は、被塗装物に対し塗装により再帰反射性が付与されてなる再帰反射性塗装物の製造方法であって、前記被塗装物の表面の上に対し、アルミニウムを添加した溶融亜鉛めっき浴でめっき処理を施して溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成し、前記溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に、造膜樹脂を含む塗料を塗布して塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前にガラスビーズを吹き付け、そののち、前記塗料膜を硬化することにより、その表面において前記ガラスビーズの一部が露出した再帰反射性塗膜を形成する。
被塗装物については上述したとおりであり、説明を割愛する。
この被塗装物の表面に対し、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成する。溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の形成前に、脱脂、酸洗、フラックス処理などの公知の前処理を施すことができる。
一般に、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成する方法としては、亜鉛とアルミニウムの合金浴で直接めっきする一段めっき法と、亜鉛浴で一旦溶融亜鉛めっきを行って続いて亜鉛とアルミニウムの合金浴でめっきする二段めっきとに大別できる。本発明において、被塗装物の表面の上に対し、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成する方法としては、一段めっき法と二段めっき法のいずれでもよいが、不めっきを回避する上では、二段めっきが好ましい。
溶融亜鉛―アルミニウム合金めっき浴の温度は、例えば、420~500℃程度であり、好ましくは、420~480℃、より好ましくは450~460℃程度である。浸漬時間は、例えば、5秒~5分程度であり、好ましくは10秒~4分程度であり、より好ましくは15秒~3分程度である。予め溶融亜鉛めっきを施す場合、溶融亜鉛めっき浴の温度は、430~550℃、好ましくは430~500℃、さらに好ましくは440~480℃程度である。浸漬時間は、例えば、1秒~5分、好ましくは15秒~3分程度である。
めっき浴に被塗装物を浸漬した後、遠心分離などにより、被塗装物に付着した過剰な亜鉛又は亜鉛合金を除去してもよい。
溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成後、冷却を行っても良い(例えば、空気中での徐冷、水冷など)。
また、上述のとおり、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上には、化成処理層・ブラスト処理層、プライマー層などを形成しても良い。化成処理層は、例えば、亜鉛めっきの化成処理として一般的なリン酸塩処理により形成することができる。また、プライマー層は、例えば、エポキシ樹脂塗料により形成することができる。
次に、上記のようにして形成した溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に(化成処理層・ブラスト処理層、プライマー層などが形成されている場合はそれらの層の上に)、造膜樹脂を含む塗料を塗布して塗料膜を形成する。
上記塗料膜を形成するための塗料としては、造膜樹脂を必須成分とするが、必要に応じて、反射材を用いても良い。すなわち、上述のように、ガラスビーズは、それ単独では反射性に乏しいので、反射膜が形成されていないガラスビーズを用いる場合は、反射材を用いることで、反射性を確保することが望ましい。
反射材および造膜樹脂を含む塗料を溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に塗布することで、反射材が分散された塗料膜を形成することができる。
反射材の配合割合は、特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、10~30重量%とすることが好ましく、15~25重量%とすることが好ましい。10重量%未満では、反射効果が充分に得られないおそれがあり、30重量%を超えると、被塗装物の表面との接着不良や塗料被膜の強度低下を起こすおそれがある。
造膜樹脂の配合割合は、特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、10~60重量%とすることが好ましく、20~50重量%とすることがより好ましい。10重量%未満では、被塗装物の表面との接着不良や塗料被膜の強度低下を起こすおそれがあり、60重量%を超えると、反射輝度の低下となるおそれがある。
また、上記塗料膜を形成するための塗料には、着色剤を配合しても良い。
着色剤を配合する場合の配合割合は、色によって大きく変わるので特に限定されないが、例えば、塗料全量に対して、60重量%以下とすることが好ましく、50重量%以下とすることがより好ましい。50重量%を超えると、再帰反射輝度の低下を招くおそれがある。
反射材、造膜樹脂、着色剤の具体的例示などについては上述したとおりであり、説明を割愛する。
その他、塗料に通常使用される溶剤(水系、有機溶剤系、これらの混合系のいずれでも良い)、反射材や着色剤の分散を助ける分散剤、乾燥後の塗膜のひび割れを防ぐひび割れ防止剤、塗料粘度を適度に調整する粘度調整剤などや、硬化剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、消泡剤、架橋剤、粘性付与剤、安定剤などが適宜使用される。
次に、この塗料膜が固化する前に、ガラスビーズを吹き付ける。これにより、ガラスビーズが塗料膜内部に埋入される。
このときの塗料膜の厚みとしては、比較的広範な範囲が許容される。ガラスビーズが複層となるようにするための厚みが必要であることから、ガラスビーズの粒径にもよるが、例えば、ガラスビーズの平均粒径に対し、1.0~3.0倍であることが好ましく、1.4~2.0倍であることがより好ましい。1.0倍未満では、ガラスビーズの複層構造を形成させることが困難となるおそれがあり、また、ガラスビーズの付着性が充分に担保されないおそれもある。
ガラスビーズの吹き付け圧としては、塗料膜の膜厚や粘度にもよるが、例えば、1.0~2.5Kg/cm2とすることができ、1.8~2.2Kg/cm2とすることがより好ましい。吹き付け圧が強すぎるとガラスビーズや塗料が飛散してしまうおそれがあり、吹き付け圧が弱すぎるとガラスビーズが塗料膜内に充分に埋入せず、所望の複層構造が得られないおそれがある。
ガラスビーズを吹き付ける際の塗料膜の粘度としては、ガラスビーズの吹き付け圧や塗料膜の膜厚にもよるが、比較的広範な範囲が許容され、例えば、100~550cpsとすることが好ましく、150~250cpsとすることがより好ましい。粘度が高すぎるとガラスビーズの埋入が困難となるので、所望の複層構造が得られないおそれがあり、粘度が低すぎると所望の膜厚を得ることが困難となったり、タレなどの塗膜欠陥を招いたりするおそれがある。
ガラスビーズの吹き付け量としては、特に限定されることはなく、被塗装物上をガラスビーズで覆い隠す程度とすればよい。
ここで、図2を参照して、本発明の特に好ましい実施形態、すなわち、本発明においてシラン処理を施したガラスビーズを適用することやマイカを用いることの利点について説明する。図2(a)はガラスビーズ吹き付け前であり、図2(b)はガラスビーズ吹き付け後である。
上述のように、シラン処理などを施したガラスビーズを用いるなど、ガラスビーズが造膜樹脂と親和性を有するものである場合、図2(b)に示すように、ガラスビーズ12と造膜樹脂を主成分とする塗料膜10との界面において、ガラスビーズ12の周囲を塗料膜10が覆うように存在することとなるので、焼付け後においても、図1に示すように、塗料膜10の表面でのガラスビーズ12の脱落が効果的に抑制されるとともに、塗料膜10内部に分散して存在する反射材11もガラスビーズ12の周囲を覆うように存在することとなる結果、ガラスビーズ12を通過した光が反射材11で効率よく反射され、高い再帰反射性を発揮することにも貢献することとなる。
このように、ガラスビーズがシラン処理により造膜樹脂と親和性を有することで、ガラスビーズに対する塗料のぬれ性が向上するのであるが、特に、本実施形態では、ガラスビーズの複層構造を採用していることによってガラスビーズが密に存在しており、ガラスビーズ間の間隙に存在する塗料のぬれ性が高いと、ガラスビーズと塗料との接触角が小さくなり塗料との馴染みが良く、また、溶剤の蒸発に伴って塗料のレベルが低下していく際、図2(b)に示すようにガラスビーズ12の周囲を塗料膜10が覆う構造が形成されやすく、ガラスビーズ12の脱落防止や反射材11に基づく再帰反射効率の向上が良好に発揮される。
また、マイカのごとく片状の反射材11を用いていれば、ガラスビーズ12が塗料膜10に埋入されるときに、図2(a)に示すガラスビーズ吹き付け前の状態ではランダムに存在していたマイカ(反射材11)が、図2(b)に示すガラスビーズ吹き付け後の状態では、ガラスビーズ12によって押しのけられてその表面形状(通常は球面)に沿った形で配向されることとなり、これにより、高い再帰反射効率が発揮される。
以上の工程の後、前記塗料膜の硬化を行う。この硬化は、通常、焼付けにより行うが、この焼付け条件としては、特に限定するわけではないが、例えば、80~190℃で0.3~1.0時間とすることができる。
なお、プライマー層の上に再帰反射性塗膜を形成する場合、このプライマー層の焼付け硬化を上記塗料膜の焼付け硬化と同時に行うようにしてもよい。すなわち、プライマー塗料を塗布した後に乾燥を行い、焼付け硬化を行うことなく、造膜樹脂を含む塗料を塗布し、かつ、ガラスビーズの吹き付けを行ったのちに、焼付け硬化を行う方式(2コート1ベーク方式)を採用しても良い。これによれば、塗膜形成工程の簡素化が図られる。
特に、本発明は、反射層とガラスビーズ保持層の2層を設けずにこれを1層で形成することができる点で、従来よりも工程が半分で済むというコストメリットを有するものであるので、上述する2コート1ベーク方式を採用すれば、工程の簡素化によるコストメリットがさらに生かされることとなる。
以下、実施例を用いて、本発明にかかる再帰反射性塗装物とその製造方法について詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量%」を単に「%」と表記し、「重量部」を単に「部」と表記する。
〔実施例1〕
M16×35のボルト(JIS B 1180)に、以下の方法により片面あたり250g/m2の溶融亜鉛-アルミニウム合金めっきを施した。
すなわち、めっき前処理として通常行われる脱脂、酸洗、フラックス処理を行い、続いて1浴めっきをZn99.995%、440~460℃の浴で処理し、2浴めっきをZn94%、Al5%、Mg1%、430~440℃の浴で処理し、温水によって冷却することにより、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき処理を行った。ただしネジ部はこの限りではない。これにリン酸塩処理(サーフダインEC1000、日本ペイント株式会社製)により化成皮膜を形成させた。
上記ボルトの頭部に、白色のエポキシ系プライマー塗料「エポキシプライマーホワイト」(ロックペイント社製)を厚み30μmで塗布し、2時間乾燥後、反射材および造膜樹脂を含む下記塗料(A)を厚み200μm(塗布直後)で塗布した。
塗料(A):反射材としての鱗片状のマイカ(粒径分布5~25μm、エンゲルハード社製)20部、造膜樹脂としてアクリルウレタン樹脂を固形分濃度50%の割合で含む塗料「ロックIUウレタン」(ロックペイント社製)80部を撹拌混合して、予め調製しておいたもの。
塗料(A)の塗装時の粘度は、160cpsであった。
続けて、シラン処理ガラスビーズ「UB67MG」(平均粒径100μm、屈折率1.93、ユニチカ社製)を、吹き付け圧2Kg/cm2で被塗装物上の塗料膜をガラスビーズで覆い隠すまで吹き付けた。
次に、165℃の温度で20分間焼付けすることによって、プライマー塗料膜および塗料(A)からなる塗料膜を同時焼付け硬化し、実施例1にかかる再帰反射性塗装物を作製した。プライマー塗膜の乾燥膜厚は30μmであり、再帰反射性塗膜の乾燥膜厚は230μmであった。得られた塗装物は、ガラスビーズが塗料(A)からなる塗膜内で複層となり、かつ、その一部が前記塗膜の表面において部分的に露出していることが断面写真から確認できた。
〔比較例1〕
溶融亜鉛-アルミニウム合金めっきに代えて、M16×35のボルト(JIS B 1180)に、JIS H 8641 2種に従ったどぶづけ亜鉛めっき法により片面あたり350g/m2のめっきを施したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1にかかる再帰反射性塗装物を作製した。
〔参考例1〕
M16×35のボルト(JIS B 1180)に代えて、板厚3.2mm×幅70mm×長さ150mmの熱延鋼板(JIS G3131に記載のSPHC)を被塗装物とし、実施例1と同様に、片面あたり350g/m2の溶融亜鉛-アルミニウム合金めっきを施し、さらに、リン酸塩処理(サーフダインEC1000、日本ペイント株式会社製)により化成皮膜を形成させた。
実施例1と同様にして、前記鋼板の表面に対し、塗料(A)を塗布した。そののち、165℃の温度で20分間焼付けすることによって、プライマー塗料膜および塗料(A)からなる塗料膜を同時焼付け硬化して、参考例1にかかる反射性塗装物を作製した。
〔参考例2〕
リン酸塩処理(サーフダインEC1000、日本ペイント株式会社製)による化成皮膜形成を行わなかったこと以外は、参考例1と同様にして、参考例2にかかる反射性塗装物を作製した。
〔参考比較例1,2〕
溶融亜鉛-アルミニウム合金めっきに代えて、板厚3.2mm×幅70mm×長さ150mmの熱延鋼板(JIS G3131に記載のSPHC)に、JIS H 8641 2種に従ったどぶづけ亜鉛めっき法により片面あたり450g/m2のめっきを施したこと以外は、参考例1,2と同様にして、それぞれ、参考比較例1,2にかかる反射性塗装物を作製した。
〔性能評価試験〕
(1)ボルト
(1-1)塩水噴霧試験
実施例、比較例の塗装物(ボルト)について、JIS K 5600-7-1の規定に準拠して塩水噴霧試験を実施した。500時間試験後取出し、腐食外観を調べた。
(2)鋼板
(2-1)塩水噴霧試験
参考例、参考比較例の塗装物(鋼板)について、JIS K 5600-7-1の規定に準拠して塩水噴霧試験を実施した。
試験は、クロスカットありとクロスカットなしの2種類実施した。
クロスカットありの試験では、塩水噴霧試験前にクロスカット(長さ80mm)を入れ、240時間試験後取り出し、テープ剥離試験を行った。
クロスカットなしの試験では、500時間塩水噴霧試験後取り出し、テープ剥離試験を行った。
(2-2)碁盤目密着性
参考例、参考比較例の塗装物(鋼板)について、「JIS-K-5600-5-6」に準拠して評価した。
具体的には、カッターナイフで塗膜上に2mmの碁盤目100個を作り、その上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、テープの一方の端を持ち上げて上方に剥がし、外観を調べた。
(2-3)耐湿性
参考例、参考比較例の塗装物(鋼板)について、「JIS-K-5600-7-2」に準拠し、連続結露法による耐湿性試験を500時間行い、2時間放置後、上記の碁盤目密着性試験を行った。
(2-4)耐水性
参考例、参考比較例の塗装物(鋼板)について、「JIS-K-5600-6-1」に準拠し、試料をイオン交換水に240時間浸漬(浸漬温度23℃)、2時間放置後、上記の碁盤目密着性試験を行った。
結果を表1~3に示す。
表1に示すように、塩水噴霧試験において、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を設けた実施例1の塗装物(ボルト)は、溶融亜鉛めっき層を設けた比較例1の塗装物(ボルト)と比べて、端面から発生した白錆が表面に流れ出す量が少ない結果となった。
参考例、参考比較例は、ガラスビーズの吹き付けは行っていないが、参考試験として、鋼板を対象とし、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層と溶融亜鉛めっき層との違いを詳細に検証したものである。
表2に示すように、塩水噴霧試験において、溶融亜鉛めっき層を設けた参考比較例1,2の塗装物(鋼板)では、前処理(リン酸塩処理)がなければ、テープ剥離により塗膜の大きな剥離が見られたのに対し、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を設けた参考例1,2の塗装物(鋼板)では、前処理(リン酸塩処理)がなくても、塗膜の剥離は見られなかった。
次に、表3に示すように、耐湿性試験、耐水性試験においても、溶融亜鉛めっき層を設けた参考比較例1,2の塗装物(鋼板)では、前処理(リン酸塩処理)がなければ、テープ剥離により塗膜の大きな剥離が見られたのに対し、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を設けた参考例1,2の塗装物(鋼板)では、前処理(リン酸塩処理)がなくても、塗膜の剥離は見られなかった。
本発明は、例えば、視認性向上による事故の防止や視線誘導のため、表面の所望の位置に再帰反射性が付与された防護柵やその構成部材などとして好適に利用することができる。
10 再帰反射性塗膜(または焼付け前の塗料膜)
11 反射材
12 ガラスビーズ
20 溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層
30 被塗装物の表面

Claims (5)

  1. 被塗装物に対し塗装により再帰反射性が付与されてなる再帰反射性塗装物であって、前記被塗装物の表面の上に溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層が形成され、前記溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に、少なくとも造膜樹脂とガラスビーズとからなる再帰反射性塗膜が形成されてなる、再帰反射性塗装物。
  2. 前記再帰反射性塗膜は、前記ガラスビーズが内部で複層となっている、請求項1に記載の再帰反射性塗装物。
  3. 前記被塗装物が、ボルト、ナット、キャップ、ブラケット、支柱、ベースプレート、ワイヤーケーブル、ビーム、パイプおよびスクリーンパネルから選ばれるものである、請求項1又は2に記載の再帰反射性塗装物。
  4. 被塗装物に対し塗装により再帰反射性が付与されてなる再帰反射性塗装物の製造方法であって、前記被塗装物の表面の上に対し、アルミニウムを添加した溶融亜鉛めっき浴でめっき処理を施して溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層を形成し、前記溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき層の上に、造膜樹脂を含む塗料を塗布して塗料膜を形成し、前記塗料膜が硬化する前にガラスビーズを吹き付け、そののち、前記塗料膜を硬化することにより、その表面において前記ガラスビーズの一部が露出した再帰反射性塗膜を形成する、再帰反射性塗装物の製造方法。
  5. 前記再帰反射性塗膜の形成は、前記ガラスビーズが内部で複層となるように行う、請求項4に記載の再帰反射性塗装物の製造方法
JP2019218778A 2019-03-28 2019-12-03 耐久性に優れた再帰反射性塗装物およびその製造方法 Active JP7379125B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019062811 2019-03-28
JP2019062811 2019-03-28

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020163832A JP2020163832A (ja) 2020-10-08
JP7379125B2 true JP7379125B2 (ja) 2023-11-14

Family

ID=72714659

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019218778A Active JP7379125B2 (ja) 2019-03-28 2019-12-03 耐久性に優れた再帰反射性塗装物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7379125B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003236981A (ja) 2002-02-22 2003-08-26 Sumitomo Metal Steel Products Inc 反射率の高い塗装鋼板
JP2010131817A (ja) 2008-12-03 2010-06-17 Ito Kosan Kk 再帰反射性シート
JP2013085995A (ja) 2011-10-14 2013-05-13 Komatsu Process:Kk 再帰反射性塗装物およびその製造方法
JP2017189908A (ja) 2016-04-13 2017-10-19 新日鐵住金株式会社 プレコート金属板およびプレコート金属板の製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0384107A (ja) * 1989-08-28 1991-04-09 Seibu Raito Internatl Kk 非接着型路面等標示用シート材

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003236981A (ja) 2002-02-22 2003-08-26 Sumitomo Metal Steel Products Inc 反射率の高い塗装鋼板
JP2010131817A (ja) 2008-12-03 2010-06-17 Ito Kosan Kk 再帰反射性シート
JP2013085995A (ja) 2011-10-14 2013-05-13 Komatsu Process:Kk 再帰反射性塗装物およびその製造方法
JP2017189908A (ja) 2016-04-13 2017-10-19 新日鐵住金株式会社 プレコート金属板およびプレコート金属板の製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
北浦 美涼 ほか,塩害環境下における亜鉛アルミニウム合金めっき検査路の耐食性,土木学会第69回年次学術講演会講演概要集,V-440,2014年,http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/2014/69-05/69-05-0440.pdf

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020163832A (ja) 2020-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5872240B2 (ja) 再帰反射性塗装物およびその製造方法
JP5566154B2 (ja) 塗装方法およびこれに用いる再帰反射性塗料
EP0009253B1 (en) Retro-reflecting sheet material and method of manufacture
AU2006330706A1 (en) Advanced ultraviolet-resistant silver mirrors for use in solar reflectors
WO2017079274A1 (en) Nanosilica based compositions, structures and apparatus incorporating same and related methods
CN101305126A (zh) 回射细长金属丝产品
CN101457364A (zh) 悬索桥缆索系统的密封防腐蚀防护方法
JP7067739B2 (ja) 再帰反射性塗装物およびその製造方法
JPH0857417A (ja) 複合金属板およびその製造方法
JP7379125B2 (ja) 耐久性に優れた再帰反射性塗装物およびその製造方法
CA1238587A (en) Metallic pipe provided with protection against corrosion and a method for the production thereof
US3922433A (en) Aluminous metal with glass beads bonded to a metal substrate
JP5736117B2 (ja) 防護柵およびその構成部材
JP3919364B2 (ja) 高視認性道路標識柱の塗装方法
JP6610400B2 (ja) プレコート金属板およびプレコート金属板の製造方法
JP2016128536A (ja) 反射性塗装物、反射性塗料及び塗装方法
US6517166B1 (en) Light-reflective wheel rim
JP7492699B2 (ja) 再帰反射性塗装物およびその製造方法
US20100272962A1 (en) Reflective substrate surface system, reflective assembly, and methods of improving the visibility of a substrate surface
CN202540852U (zh) 彩砂钢板涂膜结构
KR101701634B1 (ko) 칼라강판 및 그 제조방법
JP4090031B2 (ja) 加工性および耐傷付き性に優れた塗装金属板
CN106175298B (zh) 一种不易变黑的镜子的制备方法
AU2021106857A4 (en) Wire coating
JP2022071270A (ja) 再帰反射性樹脂成形物

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200701

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7379125

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150