本発明の一実施形態に係る冷凍装置である空気調和装置1について、以下、図面を参照しながら説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1、図2および図4は、空気調和装置1の概略構成図である。このうち、図2は、冷房運転時において冷媒回路を循環する冷媒の流れを表しており、図4は、暖房運転時において冷媒回路を循環する冷媒の流れを表している。
空気調和装置1は、超臨界状態の二酸化炭素冷媒を使用して四段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置である。空気調和装置1は、熱源ユニットである室外ユニット11と、利用ユニットである複数の室内ユニット12、13(第1室内ユニット12および第2室内ユニット13を含む)とが、液冷媒連絡配管14およびガス冷媒連絡配管15によって結ばれた装置であり、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルが切り換わる冷媒回路を有する。なお、空気調和装置1は、暖房運転の間に逆サイクルで冷媒を流すデフロスト運転サイクルがさらに可能に構成されていてもよい。
空気調和装置1の冷媒回路は、主として、四段圧縮機20、四路切換弁群25(第1〜第4四路切換弁26〜29)、室外熱交換器40、第1室外膨張弁47、第2室外膨張弁48、ブリッジ回路49、エコノマイザ回路50、液ガス熱交回路60、膨張機構70、分離ガス配管80、レシーバ81、過冷却回路90、第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13a、第1室内膨張弁12b、第2室内膨張弁13bおよび制御部7を備えている。なお、室外熱交換器40は、第1室外熱交換器41、第2室外熱交換器42、第3室外熱交換器43および第4室外熱交換器44から構成されている。
以下、冷媒回路の各構成要素を詳細に説明する。
(1−1)四段圧縮機
四段圧縮機20は、密閉容器内に、第1圧縮部21、第2圧縮部22、第3圧縮部23、第4圧縮部24および圧縮機駆動モータ(図示せず)が収容された、密閉式の圧縮機である。圧縮機駆動モータは、駆動軸を介して、4つの圧縮部21〜24を駆動する。すなわち、四段圧縮機20は、4つの圧縮部21〜24が単一の駆動軸に連結された一軸四段の圧縮構造を有しており、駆動源が共通となるように構成されている。このため、本実施形態の四段圧縮機20は、各圧縮部21〜24のそれぞれの圧縮比を別個独立に制御可能な構成ではなく、共通の駆動源を介して駆動されることで、互いの圧縮比の関係が制約されるものである。四段圧縮機20では、第1圧縮部21、第2圧縮部22、第3圧縮部23および第4圧縮部24が、この順番で直列に配管接続される。第1圧縮部21は、第1吸入管21aから冷媒を吸い込み、第1吐出管21bへと冷媒を吐出する。なお、第1吸入管21aには、流れる冷媒の吸入圧力を検出するための吸入圧力センサ21pが設けられている。第2圧縮部22は、第2吸入管22aから冷媒を吸い込み、第2吐出管22bへと冷媒を吐出する。第2吸入管22aには、第1四路切換弁26から第2圧縮部22の吸入側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止構造が設けられている。第3圧縮部23は、第3吸入管23aから冷媒を吸い込み、第3吐出管23bへと冷媒を吐出する。第3吸入管23aには、第2四路切換弁27から第3圧縮部23の吸入側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止構造が設けられている。第4圧縮部24は、第4吸入管24aから冷媒を吸い込み、第4吐出管24bへと冷媒を吐出する。この第4吐出管24bは、第4圧縮部24の吐出側から第4四路切換弁29のポートの1つまで伸びている。第4吸入管24aには、第3四路切換弁28から第4圧縮部24の吸入側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止構造が設けられている。なお、第4吐出管24bには、流れる冷媒の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ24pが設けられている。
第1圧縮部21は、最下段の圧縮機構であり、冷媒回路を流れる最も低圧の冷媒を圧縮する。第2圧縮部22は、第1圧縮部21によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第3圧縮部23は、第2圧縮部22によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第4圧縮部24は、最上段の圧縮機構であり、第3圧縮部23によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第4圧縮部24によって圧縮され第4吐出管24bへと吐出された冷媒は、冷媒回路を流れる最も高圧の冷媒となる。
なお、本実施形態において、各圧縮部21〜24は、偏心回転型等の回転式圧縮機であって、容積式の圧縮機構である。また、圧縮機駆動モータは、制御部7によってインバータ制御される。
また、詳細は割愛するが、例えば、四段圧縮機20の第3圧縮部23および第4圧縮部24は、軸心方向視の図6や側断面の図7に示すようにして構成されていてもよい。すなわち、固定されたシリンダ121に対して一体化物であるピストン122が共通の駆動源からの作用を受けて偏心回転運動することで、2つの被圧縮空間において同時に圧縮が行われるように構成されていてもよい。このような圧縮機では、シリンダ121とピストン122の間の内側の隙間とシリンダ121とピストン122の間の外側の隙間とを別個独立に調節することができず、圧縮比を別個独立に調節することができない構成となっている。なお、当該圧縮機の具体的な構造は、例えば、特許第4962585号に記載されている(当該文献の全ての内容は、参考として本明細書に組み込まれる)。
(1−2)四路切換弁群
四路切換弁群25は、第1四路切換弁26、第2四路切換弁27、第3四路切換弁28および第4四路切換弁29によって構成されている。四路切換弁群25は、冷媒回路内における冷媒の流れの方向を切り換えて、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルを切り換えるために設けられている。
第1四路切換弁26の4つのポートは、第1吐出管21b、第2吸入管22a、第1配管41a、および、四路接続配管30と接続されている。第1配管41aは、第1四路切換弁26と第1室外熱交換器41とを結ぶ配管である。この第1配管41aには、通過する冷媒温度を検知するための第3温度センサ41tが設けられている。
四路接続配管30は、暖房運転時には低圧冷媒を低圧冷媒配管19まで導く配管である。低圧冷媒配管19は、室外ユニット11内の低圧のガス冷媒が流れる冷媒配管であり、液ガス熱交換器61を介して第1吸入管21aに冷媒を送る。
第2四路切換弁27は、第2吐出管22b、第3吸入管23a、第2配管42a、および、第1インタークーラ管41cと接続されている。第2配管42aは、第2四路切換弁27と第2室外熱交換器42とを結ぶ配管である。第1インタークーラ管41cは、冷房運転時の接続状態において、第3吸入管23aと連通しつつ第2吸入管22aとも連通するように接続される配管であり、後述する第5配管41bの一端が途中で接続されている。
第3四路切換弁28は、第3吐出管23b、第4吸入管24a、第3配管43a、および、第2インタークーラ管42cと接続されている。第3配管43aは、第3四路切換弁28と第3室外熱交換器43とを結ぶ配管である。第2インタークーラ管42cは、冷房運転時の接続状態において、第4吸入管24aと連通しつつ第3吸入管23aとも連通するように接続される配管であり、後述する第6配管42bの一端が途中で接続されている。
第4四路切換弁29は、第4吐出管24b、ガス冷媒連絡配管15、第4配管44a、および、低圧冷媒配管19と接続されている。第4配管44aは、第4四路切換弁29と第4室外熱交換器44とを結ぶ配管である。この第4配管44aには、通過する冷媒温度を検知するための第2温度センサ44t2が設けられている。
四路切換弁群25は、制御部7によって切換制御されることで、冷房運転時には、図2や図4に示すように、四段圧縮機20によって圧縮された冷媒の熱を放熱させる放熱器(冷媒の冷却器)として室外熱交換器40(第1〜第4室外熱交換器41〜44)を機能させ、かつ、膨張機構70および第1室内膨張弁12b、第2室内膨張弁13bを通過して膨張した冷媒の蒸発器(冷媒の加熱器)として第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13aを機能させる切換状態となる。ここで、冷房運転時には、第1〜第4室外熱交換器41〜44は、冷媒流れ方向に対して互いに直列に接続された状態になる。
また、四路切換弁群25は、制御部7によって切換制御されることで、暖房運転時には、図4に示すように、四段圧縮機20によって圧縮された冷媒の熱を放熱させる放熱器(冷媒の冷却器)として第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13aを機能させ、かつ、膨張機構70および第1室外膨張弁47、第2室外膨張弁48を通過して膨張した冷媒の蒸発器(冷媒の冷却器)として室外熱交換器40(第1〜第4室外熱交換器41〜44)を機能させる切換状態となる。ここで、暖房運転時には、第1〜第3室外熱交換器41〜43と、第4室外熱交換器44とは、冷媒流れ方向に対して互いに並列に接続された状態になり、第1〜第3室外熱交換器41〜43は冷媒流れ方向において互いに直列に接続された状態になる。
すなわち、四路切換弁群25は、冷媒回路の構成要素として四段圧縮機20、室外熱交換器40、膨張機構70および第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13aのみに着目すると、四段圧縮機20、室外熱交換器40、膨張機構70、第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13aの順に冷媒を循環させる冷房運転サイクルと、四段圧縮機20、第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13a、膨張機構70、室外熱交換器40の順に冷媒を循環させる暖房運転サイクルとを切り換える役割を果たす。
(1−3)油戻し回路構成
第1配管41aの途中には、第1油分離器31aが設けられている。第2配管42aの途中には、第2油分離器32aが設けられている。第3配管43aの途中には、第3油分離器33aが設けられている。これら第1〜第3油分離器31a、32a、33aは、冷媒回路を循環する冷媒に含まれる潤滑油を分離する小容器である。第1油分離器31aの下部からは、第1キャピラリーチューブ31cを含む第1油戻管31bが伸びている。第2油分離器32aの下部からは、第2キャピラリーチューブ32cを含む第2油戻管32bが伸びている。第3油分離器33aの下部からは、第3キャピラリーチューブ333cを含む第3油戻管33bが伸びている。
第1油戻管31bは、一端が第1インタークーラ管41cの途中に接続されることで、第2吸入管22aの途中に冷凍機油を戻すことが可能になっている。また、第1油戻管31bは、別の端部が第1油分離器31aと第1四路切換弁26との間まで伸びている。なお、第1油戻管31bには、第1油分離器31aと第1四路切換弁26との間に向かう冷凍機油の流れおよび第2吸入管22a側(第1インタークーラ管41c側)に向かう冷凍機油の流れを許容するように逆止構造が設けられている。
第2油戻管32bは、一端が第2インタークーラ管42cの途中に接続されることで、第3吸入管23aの途中に冷凍機油を戻すことが可能になっている。また、第2油戻管32bは、別の端部が第2油分離器32aと第2四路切換弁27との間まで伸びている。なお、第2油戻管32bには、第2油分離器32aと第2四路切換弁27との間に向かう冷凍機油の流れおよび第3吸入管23a側(第2インタークーラ管42c側)に向かう冷凍機油の流れを許容するように逆止構造が設けられている。
第3油戻管33bは、一端が第3インタークーラ管43cの途中に接続されることで、第4吸入管24aの途中に冷凍機油を戻すことが可能になっている。また、第3油戻管33bは、別の端部が第3油分離器33aと第3四路切換弁28との間まで伸びている。なお、第3油戻管33bには、第3油分離器33aと第3四路切換弁28との間に向かう冷凍機油の流れおよび第4吸入管24a側(第3インタークーラ管43c側)に向かう冷凍機油の流れを許容するように逆止構造が設けられている。
第4吐出管24bの途中には、第4油分離器34aが設けられている。第4油分離器34aは、冷媒回路を循環する冷媒に含まれる潤滑油を分離する小容器である。第4油分離器34aの下部からは、第4油戻管34bが伸びている。この第4油戻管34bは、第4油分離器34aの下部と、第3圧縮部23の吸入側の第3吸入管23aの途中と、を接続するように伸びている。なお、本実施形態では、第4油戻管34bと第3吸入管23aとの接続位置は、第2インタークーラ管42cと第3吸入管23aとの接続位置と比べて、第3圧縮部23の吸入側に近い位置としているが、遠い位置としてもよい。第4油戻管34bの途中には、第4キャピラリーチューブ34cが設けられている。
これにより、各第1〜第4油分離器31a、32a、33a、34aにおいて冷媒から分離された潤滑油は、四段圧縮機20へと戻される。
(1−4)室外熱交換器およびインタークーラ管
室外熱交換器40は、上述のように、第1室外熱交換器41、第2室外熱交換器42、第3室外熱交換器43および第4室外熱交換器44から構成されている。冷房運転時には、第1〜第3室外熱交換器41〜43が、圧縮途中の冷媒(中間圧冷媒)を冷やすインタークーラとして機能し、第4室外熱交換器44が、最も高圧の冷媒を冷やすガスクーラ(冷媒の熱を放熱する放熱器)として機能する。第4室外熱交換器44は、第1〜第3室外熱交換器41〜43よりも容量が大きい。また、暖房運転時には、第1〜第4室外熱交換器41〜44の全てが、低圧の冷媒の蒸発器(加熱器)として機能する。
ここで、第1室外熱交換器41の第1配管41aとは反対側には、第5配管41bが接続されている。この第5配管41bの第1室外熱交換器41側とは反対側の端部は、第1インタークーラ管41cの途中と接続されている。すなわち、冷房運転時の接続状態において、第3吸入管23aと連通しつつ第2吸入管22aとも連通するように接続される第1インタークーラ管41cの途中に第5配管41bの一端が接続されている。なお、第1インタークーラ管41cには、第5配管41bとの接続部分と第2吸入管22aとの接続部分との間において、第2吸入管22a側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止構造が設けられている。
第2室外熱交換器42の第2配管42aとは反対側には、第6配管42bが接続されている。この第6配管42bの第2室外熱交換器42側とは反対側の端部は、第2インタークーラ管42cの途中と接続されている。すなわち、冷房運転時の接続状態において、第4吸入管24aと連通しつつ第3吸入管23aとも連通するように接続される第2インタークーラ管42cの途中に第6配管42bの一端が接続されている。なお、第2インタークーラ管42cには、第6配管42bとの接続部分と第3吸入管23aとの接続部分との間において、第3吸入管23a側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止構造が設けられている。
第3室外熱交換器43の第3配管43aとは反対側には、第7配管43bが接続されている。この第7配管43bの第3室外熱交換器43側とは反対側の端部は、第3インタークーラ管43cおよび共通配管47aと接続されている。第3インタークーラ管43cは、第7配管43bとの接続部分とは反対側の端部が、第4吸入管24aと接続されている。この第3インタークーラ管43cには、第4吸入管24a側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止構造が設けられている。共通配管47aは、後述する過冷却冷媒配管84の途中に接続されている。この共通配管47aの途中には、第1室外膨張弁47が設けられている。
なお、第4室外熱交換器44の第4配管44aとは反対側には、第8配管44bが接続されている。第8配管44bは、後述するブリッジ回路49のうちの第2室外膨張弁48と第3逆止弁49cとの間に接続されている。この第8配管44bには、通過する冷媒温度を検知するための第1温度センサ44t1が設けられている。
(1−5)第1室外膨張弁と第2室外膨張弁
第1室外膨張弁47は、上述のように、第3室外熱交換器43から延びた第7配管43bの端部と過冷却冷媒配管84の途中とを接続している共通配管47aの途中に設けられている。共通配管47aは、過冷却冷媒配管84を介して、ブリッジ回路49の第2室外膨張弁48と第1逆止弁49aとの間に接続されている。
第2室外膨張弁48は、暖房運転時に、過冷却冷媒配管84を流れた後、第8配管44bに向かおうとする冷媒を、ブリッジ回路49において減圧することができるように設けられている。
また、冷房運転時は、制御部7の制御によって、第1室外膨張弁47、第2室外膨張弁48は閉じられる。暖房運転時は、制御部7の制御によって、第1室外膨張弁47、第2室外膨張弁48は、ブリッジ回路49から第1〜第4室外熱交換器41〜44への冷媒の流れが偏流しないように開度調整が為され、それぞれ膨張機構としての役割も果たす。
(1−6)ブリッジ回路
ブリッジ回路49は、第1逆止弁49a、第2逆止弁49b、第3逆止弁49c、および、第2室外膨張弁48が順に接続され、第1逆止弁49aと第2室外膨張弁48とが接続された回路を構成している。第1逆止弁49aは、第2室外膨張弁48側とは反対側に向かう冷媒流れのみを許容する。第3逆止弁49cは、第2室外膨張弁48側とは反対側に向かう冷媒流れのみを許容する。第2逆止弁49bは、第1逆止弁49a側に向かう冷媒流れは許容せず、第3逆止弁49c側に向かう冷媒流れのみを許容する。
ブリッジ回路49の第1逆止弁49aと第2室外膨張弁48との間には、共通配管47aと、過冷却冷媒配管84と、が合流した配管が接続されている。ブリッジ回路49の第3逆止弁49cと第2室外膨張弁48との間には、第4室外熱交換器44から延びた第8配管44bが接続されている。ブリッジ回路49の第1逆止弁49aと第2逆止弁49bとの間には、第1室内ユニット12、第2室内ユニット13から伸び出している液冷媒連絡配管14が接続されている。ブリッジ回路49の第2逆止弁49bと第3逆止弁49cとの間には、エコノマイザ回路50のエコノマイザ熱交換器51側に向けて延びる冷媒配管が接続されている。
(1−7)エコノマイザ回路50
エコノマイザ回路50は、ブリッジ回路49の第2逆止弁49bと第3逆止弁49cとの間の部分と、液ガス熱交換器61もしくは膨張機構70と、の間に設けられている。エコノマイザ回路50は、エコノマイザ熱交換器51と、エコノマイザインジェクション配管53と、エコノマイザ膨張弁52を有している。
エコノマイザインジェクション配管53は、ブリッジ回路49の第2逆止弁49bと第3逆止弁49cとの間の部分とエコノマイザ熱交換器51の手前の部分との間から分岐して延びだしており、第2インタークーラ管42cの第2インタークーラ用逆止弁の下流側に接続されている。
エコノマイザ膨張弁52は、エコノマイザインジェクション配管53の途中であって、分岐後にエコノマイザ熱交換器51に流入する前の部分に設けられている。
エコノマイザ熱交換器51は、ブリッジ回路49から液ガス熱交換器61もしくは膨張機構70に向かう臨界圧力を超えた高圧の冷媒と、エコノマイザインジェクション配管53に分岐してエコノマイザ膨張弁52で膨張させた中間圧の冷媒と、の間で熱交換を行わせる。
このエコノマイザ膨張弁52において膨張し、エコノマイザ熱交換器51で蒸発した冷媒は、第2インタークーラ管42cを流れる冷媒と合流することで、第3吸入管23aから第3圧縮部23へ吸い込まれる冷媒を冷やす。
(1−8)液ガス熱交回路
液ガス熱交回路60は、エコノマイザ熱交換器51と膨張機構70の間に設けられており、液ガス熱交換器61を有している。
液ガス熱交換器61は、ブリッジ回路49から膨張機構70にと向かう臨界圧力を超えた高圧の冷媒と、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒と低圧冷媒配管19を流れる低圧冷媒とが合流点65で合流した低圧冷媒である合流冷媒と、の間で熱交換を行わせる。なお、液ガス熱交換器61は、内部熱交換器と称してもよい。
なお、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒と低圧冷媒配管19を流れる低圧冷媒とが合流点65で合流した後に液ガス熱交換器61に向かって流れている合流冷媒の冷媒温度を検出する合流冷媒温度センサ64tが、液ガス熱交換器61の低圧冷媒入口側に設けられている。
(1−9)膨張機構
膨張機構70は、エコノマイザ熱交換器51もしくは液ガス熱交換器61から流れてきた高圧の冷媒を減圧・膨張させ、気液二相状態の中間圧の冷媒をレシーバ81へと流す。すなわち、冷房運転時には、膨張機構70は、高圧冷媒のガスクーラ(放熱器)として機能する室外の第4室外熱交換器44から低圧冷媒の蒸発器として機能する第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13aに向けて送られる冷媒を減圧する。また、暖房運転時には、膨張機構70は、高圧冷媒の放熱器として機能する第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13aから低圧冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器40に向けて送られる冷媒を減圧する。
膨張機構70は、膨張機71と第3室外膨張弁72とが並列に接続されることで構成されている。膨張機71は、冷媒の減圧過程の絞り損失を有効な仕事(エネルギー)として回収する役割を果たす。
なお、膨張機構70とレシーバ81との間には、冷媒の温度を中間温度センサ70tが設けられている。この中間温度センサ70tが中間圧力の飽和温度を検知するため、制御部7は、当該中間温度センサ70tの検出温度から相当飽和圧力である中間圧力を把握することができる。
(1−10)レシーバ
レシーバ81は、膨張機構70を出た気液二相状態の中間圧の冷媒を、天井面から内部空間に流入させ、液冷媒とガス冷媒とに分離する。
レシーバ81において分離された液冷媒は、レシーバ81の下方から延び出している液冷媒出口管83を介して、過冷却回路90に送られる。
レシーバ81において分離されてレシーバ81の上方から延び出している分離ガス配管80を通過したガス冷媒は、後述する過冷却回路90の過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒と合流する。この分離ガス配管80の途中には、分離ガス膨張弁82が設けられている。分離ガス配管80を流れる冷媒は、レシーバ81において液冷媒が分離されたガス冷媒であって、分離ガス膨張弁82によって減圧されることで低圧のガスリッチな冷媒となった後、過冷却インジェクション配管93に送られる。
(1−11)過冷却回路
過冷却回路90は、レシーバ81と、ブリッジ回路49の第1逆止弁49aと第2逆止弁49bの間の部分と、の間に設けられている。過冷却回路90は、過冷却熱交換器91と、過冷却インジェクション配管93と、過冷却膨張弁92と、を有している。
レシーバ81から延びている液冷媒出口管83を流れた冷媒は、過冷却熱交換器91に向かう冷媒と、分流して過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒とに分けられる。過冷却インジェクション配管93は、液冷媒出口管83の途中から分岐して、合流点65において低圧冷媒配管19と接続されている。過冷却インジェクション配管93の途中であって、液冷媒出口管83から分岐した部分と、分離ガス配管80が接続されている部分と、の間に過冷却膨張弁92が設けられている。
冷房運転時には、制御部7が過冷却膨張弁92および分離ガス膨張弁82の制御を行って、過冷却インジェクション配管93の過冷却膨張弁92で減圧されて気液二相状態となった冷媒と、分離ガス配管80の分離ガス膨張弁82において減圧された冷媒と、を合流させ、過冷却インジェクション配管93を流れて過冷却熱交換器91に流入させる。過冷却熱交換器91では、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧のガス冷媒と、液冷媒出口管83から送られてきて過冷却冷媒配管84へと進んでいく中間圧の液冷媒と、の間で熱交換を行わせる。過冷却熱交換器91から過冷却冷媒配管84へと流れていく冷媒は、過冷却度が増した状態となっている。過冷却冷媒配管84には、通過する冷媒の温度を検出するための過冷却温度センサ90tが設けられている。過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒であって、過冷却熱交換器91を通過した後の冷媒は、過熱が付いた状態となっており、低圧冷媒配管19の合流点65に向けて送られる。
暖房運転時には、制御部7は、過冷却膨張弁92を閉止状態とするため、過冷却インジェクション配管93のうち液冷媒出口管83と接続されている部分と分離ガス配管80と接続されている部分との間には冷媒が流れないが、レシーバ81の液冷媒出口管83を流れる中間圧の液冷媒と、分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒とが、過冷却熱交換器91において熱交換を行うことになる。
(1−12)室内熱交換器
第1室内熱交換器12aは、第1室内ユニット12に設けられている。第2室内熱交換器13aは、第2室内ユニット13に設けられている。
第1室内熱交換器12aおよび第2室内熱交換器13aは、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し(冷媒の加熱器として機能し)、暖房運転時には冷媒の冷却器として機能する(冷媒の放熱器として機能する)。これらの第1室内熱交換器12aおよび第2室内熱交換器13aには、内部を流れる冷媒と熱交換を行う冷房対象あるいは暖房対象として、水や空気が流される。ここでは、第1室内熱交換器12aおよび第2室内熱交換器13aに、図示しない各室内送風ファンからの室内空気が流れ、冷却あるいは加熱された空調空気が室内へと供給される。なお、各室内送風ファンの風量は、空調対象空間で要求される負荷処理のために、個別に風量が制御される。
第1室内熱交換器12aの一端は第1室内膨張弁12bに接続されている。第2室内熱交換器13aの一端は第2室内膨張弁13bに接続されている。第1室内熱交換器12aの他端および第2室内熱交換器13aの他端は合流しており、当該合流した部分はガス冷媒連絡配管15に接続されている。
また、第1室内熱交換器12aの第1室内膨張弁12b側とは反対側には第1室内温度センサ12tが設けられており、第2室内熱交換器13aの第2室内膨張弁13b側とは反対側には第2室内温度センサ13tが設けられており、それぞれ通過する冷媒温度を検知する。
(1−13)室内膨張弁
第1室内膨張弁12bは、第1室内ユニット12に設けられている。この第1室内膨張弁12bは、第1室内熱交換器12aに流す冷媒の量を調整したり冷媒の減圧・膨張を行ったりする。第1室内膨張弁12bは、液冷媒連絡配管14と第1室内熱交換器12aとの間に配置されている。
第2室内膨張弁13bは、第2室内ユニット13に設けられている。この第2室内膨張弁13bは、第2室内熱交換器13aに流す冷媒の量を調整したり冷媒の減圧・膨張を行ったりする。第2室内膨張弁13bは、液冷媒連絡配管14と第2室内熱交換器13aとの間に配置されている。
(1−14)制御部
制御部7は、室外ユニット11および第1室内ユニット12、第2室内ユニット13の電子部品が実装された各制御基板が通信線で結ばれて構成されているもので、四段圧縮機20の圧縮機駆動モータや四路切換弁群25、各膨張弁12b,13b,47,48,52,72,82,92等と接続される。この制御部7は、外部から入力された室内設定温度、第1温度センサ44t1、第2温度センサ44t2、第3温度センサ41t、第1室内温度センサ12t、第2室内温度センサ13t、過冷却温度センサ90t、中間温度センサ70t、合流冷媒温度センサ64t、吸入圧力センサ21p、吐出圧力センサ24p、および、図示しない温度センサや圧力センサの計測値などの情報に基づいて、圧縮機駆動モータの回転数制御や膨張弁開度の調節や室内送風ファンや室外送風ファンの風量調節などを行う。
制御部7は、冷房運転モードおよび暖房運転モードを有しており、いずれかの運転を選択的に行う。
(2)空気調和装置の動作
空気調和装置1の動作について、図2〜図5を参照しながら説明する。
図3は、冷房運転における冷凍サイクルの圧力−エンタルピ線図(p−h線図)である。図5は、暖房運転における冷凍サイクルの圧力−エンタルピ線図(p−h線図)である。これらの各図において、上に凸の一点鎖線で示す曲線は、冷媒の飽和液線および乾き飽和蒸気線である。また、各図において、冷凍サイクル上の英文字が付された点は、それぞれ、図2、図4において同じ英文字で表される点における冷媒の圧力およびエンタルピを表している。例えば、図2の点Bにおける冷媒は、図3の点Bにおける圧力およびエンタルピの状態になっている。なお、空気調和装置1の冷房運転、暖房運転における各運転制御は、制御部7によって行われる。
(2−1)冷房運転モード時の動作
冷房運転時は、図2に示す冷媒配管に沿った矢印の方向に、冷媒が、四段圧縮機20、室外熱交換器40、膨張機構70、第1室内膨張弁12b、第2室内膨張弁13b、第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13aの順に冷媒回路内を循環する。以下、冷房運転時における空気調和装置1の動作について、図2および図3を参照しながら説明する。
第1吸入管21aから四段圧縮機20に吸い込まれる低圧のガス冷媒(点A)は、第1圧縮部21で圧縮されて、第1吐出管21bへと吐出される(点B)。吐出された冷媒は、第1四路切換弁26および第1配管41aを通過し、インタークーラ(中間冷却器)として機能する第1室外熱交換器41で冷却された後、第1インタークーラ管41cを介して第2吸入管22aに流れ込む(点C)。ここで、第1配管41aを通過する冷媒は、途中に設けられている第1油分離器31aを通過する際に冷凍機油が分離される。第1油分離器31aが捕らえた冷凍機油は、第1油戻管31bと第1インタークーラ管41cと第2吸入管22aを介して第2圧縮部22に吸入される。ここで、第2圧縮部22の吸入側の圧力は、第1油分離器31aの圧力と比べると、その間の第1室外熱交換器41等を流れる冷媒の通過抵抗によって僅かに減少している。第1油戻管31bが捕らえた冷凍機油は、この圧力差を利用して第2圧縮部22に戻される。
第2吸入管22aから第2圧縮部22に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第2吐出管22bに吐出される(点D)。吐出された冷媒は、第2四路切換弁27および第2配管42aを通過し、インタークーラとして機能する第2室外熱交換器42で冷却された後、第2インタークーラ管42cに流れる(点E)。第2インタークーラ管42cを流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器51において熱交換されてインジェクション配管53を流れてくる中間圧の冷媒(点L)と合流した後、第3吸入管23aに流れ込む(点F)。ここで、第2配管42aを通過する冷媒は、途中に設けられている第2油分離器32aを通過する際に冷凍機油が分離される。第2油分離器32aが捕らえた冷凍機油は、第2油戻管32bと第2インタークーラ管42cと第3吸入管23aを介して第3圧縮部23に吸入される。ここで、第3圧縮部23の吸入側の圧力は、第2油分離器32aの圧力と比べると、その間の第2室外熱交換器42等を流れる冷媒の通過抵抗によって僅かに減少している。第2油戻管32bが捕らえた冷凍機油は、この圧力差を利用して第3圧縮部23に戻される。
第3吸入管23aから第3圧縮部23に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第3吐出管23bに吐出される(点G)。吐出された冷媒は、第3四路切換弁28および第3配管43aを通過し、インタークーラとして機能する第3室外熱交換器43で冷却された後、第3インタークーラ管43cを介して第4吸入管24aに流れ込む(点H)。ここで、第3配管43aを通過する冷媒は、途中に設けられている第3油分離器33aを通過する際に冷凍機油が分離される。第3油分離器33aが捕らえた冷凍機油は、第3油戻管33bと第3インタークーラ管43cと第4吸入管24aを介して第4圧縮部24に吸入される。ここで、第4圧縮部24の吸入側の圧力は、第3油分離器33aの圧力と比べると、その間の第3室外熱交換器43等を流れる冷媒の通過抵抗によって僅かに減少している。第3油戻管33bが捕らえた冷凍機油は、この圧力差を利用して第4圧縮部24に戻される。
第4吸入管24aから第4圧縮部24に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第4吐出管24bに吐出される(点I)。吐出された高圧の冷媒は、臨界圧力を超えた超臨界状態となっている。この超臨界状態の冷媒は、第4四路切換弁29および第4配管44aを通過し、ガスクーラとして機能する第4室外熱交換器44で冷却され、ブリッジ回路49の第3逆止弁49cを通ってエコノマイザ熱交換器51へと流れていく(点J)。ここで、第4吐出管24bを通過する冷媒は、途中に設けられている第4油分離器34aを通過する際に冷凍機油が分離される。第4油分離器34aが捕らえた冷凍機油は、第4油戻管34bと第3吸入管23aを介して第3圧縮部23に吸入される。ここで、第4圧縮部24の吐出側の圧力と第3圧縮部23の吸入側の圧力との圧力差は十分に確保されている。このため、第4油戻管34bが捕らえた冷凍機油は、この圧力差を利用して第3圧縮部23に戻される。
ブリッジ回路49の第3逆止弁49cを通過した高圧冷媒は、その一部がエコノマイザインジェクション配管53に分岐して流れて、エコノマイザ膨張弁52において減圧される。エコノマイザ膨張弁52において超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されて気液二相状態となった中間圧冷媒(点K)は、エコノマイザ熱交換器51において、他の一部の冷媒(ブリッジ回路49から液ガス熱交換器61に向かう臨界圧力を超えている高圧冷媒(点J))と熱交換し、中間圧のガス冷媒(点L)となる。この中間圧のガス冷媒(点L)は、上述のようにインジェクション配管53から第2インタークーラ管42cへと流れ込む。
エコノマイザ膨張弁52を出た中間圧冷媒と熱交換をし、更に温度が下がった状態でエコノマイザ熱交換器51を出た高圧冷媒(点M)は、液ガス熱交換器61を流れ、膨張機構70へと流れていく(点N)。なお、膨張機構70は、膨張機71で回収できる動力ができるだけ大きく確保できるように制御部7に制御されている。液ガス熱交換器61では、エコノマイザ熱交換器51を通過した臨界圧力を超えている高圧冷媒(点M)が、低圧冷媒配管19から第1吸入管21aへと流れる低圧冷媒と過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒とが合流した合流冷媒と、の間で熱交換によって冷却され、温度が下がった高圧冷媒(点N)となる。
液ガス熱交換器61を出た高圧冷媒(点N)は、2つに分岐され、一方が膨張機構70の膨張機71に向けて流れ、他方が膨張機構70の第3室外膨張弁72に向けて流れる。第3室外膨張弁72では、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O1)となる。また、膨張機71においても、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O2)となる。これら中間圧冷媒(点O1)と中間圧冷媒(点O2)は、合流した後にレシーバ81の内部空間へと流れ込む(点P)。このレシーバ81に流れ込んだ気液二相状態の中間圧冷媒は、レシーバ81の内部空間において液冷媒とガス冷媒とに分離される。
レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)は、液冷媒出口管83を流れる。液冷媒出口管83を流れる冷媒の一部は、過冷却熱交換器91を通過して過冷却状態となり(点W)、過冷却冷媒配管84やブリッジ回路49の第1逆止弁49aを通って(冷房運転時は第1室外膨張弁47および第2室外膨張弁48は全閉状態であるため)、液冷媒連絡配管14を介して、第1室内膨張弁12b、第2室内膨張弁13bへと送られる。液冷媒出口管83を流れる冷媒の他の一部は、過冷却熱交換器91に流入する前に、分岐して、過冷却インジェクション配管93を流れる。過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒は、過冷却膨張弁92において減圧されて気液二相状態の低圧冷媒となる(点R)。
レシーバ81で分離されたガス冷媒(点S)は、分離ガス配管80を流れる。分離ガス配管80を流れる冷媒は、途中の分離ガス膨張弁82で減圧され低圧冷媒(点T)となる。なお、分離ガス膨張弁82は、膨張機構70の下流側に設けられている中間温度センサ70tの検知飽和温度に相当する中間圧力と、第1吸入管21aに設けられている吸入圧力センサ21pの検知圧力と、から把握される差圧に相当する差圧を分離ガス膨張弁82の前後において生じさせることができるように弁開度(膨張程度)が、制御部7によって制御される(差圧制御が行われる)。分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒(点T)は、さらに分離ガス配管80を流れて、過冷却インジェクション配管93のうち、過冷却膨張弁92よりも下流側であって過冷却熱交換器91よりも上流側の部分に合流する(点U)。
過冷却熱交換器91では、レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)は、分離ガス配管80を介して過冷却インジェクション配管93に合流した気液二相状態の低圧冷媒(点U)との間で熱交換することで冷却され、冷却されることによって過冷却度が付いた状態になる(点W)。他方で、分離ガス配管80を介して過冷却インジェクション配管93に合流した気液二相状態の低圧冷媒(点U)は、過冷却熱交換器91において、レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)によって加熱される(点V、なお、点Vは過熱が付いた状態を例示しているが、運転条件や過渡的な状況によっては湿り状態になる場合がある。)。なお、過冷却膨張弁92は、過冷却熱交換器91を通過して過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度が通常の目標過冷却度となるように(例えば、過冷却度が5度確保されるように)、過冷却膨張弁92の弁開度(膨張程度)が、制御部7によって制御される。なお、過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度は、過冷却温度センサ90tの検知温度と、中間温度センサ70tの検知飽和温度に相当する中間圧力とから制御部7が算定している。
液冷媒連絡配管14から第1室内ユニット12、第2室内ユニット13に流入した冷媒は、第1室内膨張弁12bや第2室内膨張弁13bを通過するときに膨張し、気液二相の低圧冷媒(点X)となって第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aに流れ込む。この低圧冷媒は、第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aで室内空気から熱を奪い、過熱のついた低圧のガス冷媒(点Y)になる。なお、第1室内膨張弁12bは、第1室内熱交換器12aの出口を流れる冷媒の過熱度が所定の設定過熱度となるように(目標蒸発出口過熱度条件を満たすように)第1室内膨張弁12bの弁開度(膨張程度)が制御部7によって制御される。第2室内膨張弁13bも同様に、第2室内熱交換器13aの出口を流れる冷媒の過熱度が所定の設定過熱度(第1室内ユニット12と同様の値であっても異なっていてもよい。)となるように(目標蒸発出口過熱度条件を満たすように)第2室内膨張弁13bの弁開度(膨張程度)が制御される。ここで、第1室内熱交換器12aの出口を流れる冷媒の過熱度は、第1室内温度センサ12tの検知温度と、吸入圧力センサ21pの検知圧力とから制御部7が算定し、第2室内熱交換器13aの出口を流れる冷媒の過熱度は、第2室内温度センサ13tの検知温度と、吸入圧力センサ21pの検知圧力とから制御部7が算定している。第1室内ユニット12や第2室内ユニット13を出た低圧冷媒は、ガス冷媒連絡配管15および第4四路切換弁29を経て低圧冷媒配管19へと流れていく。なお、第1室内熱交換器12aが配置されている室内の負荷の処理は、図示しない第1室内熱交換器12aに対して空気流れを供給する第1室内ファンの風量を制御部7が調節することによって処理している。第2室内熱交換器13aが配置されている室内の負荷の処理についても同様に、図示しない第2室内熱交換器13aに対して空気流れを供給する第2室内ファンの風量を制御部7が調節することによって処理している。
第1室内ユニット12や第2室内ユニット13から戻ってきて低圧冷媒配管19を流れる低圧冷媒(点Y)と、過冷却インジェクション配管93から流れてくる低圧冷媒(点V)とは、合流点65で合流し(点Z)、液ガス熱交換器61の低圧側を通って第1吸入管21aから四段圧縮機20へと戻っていく。なお、ここで、液ガス熱交換器61では、四段圧縮機20の第1吸入管21aに向かう低圧冷媒(点Z)と、エコノマイザ熱交換器51を通過した後に膨張機構70へと向かう高圧冷媒(点M)との間で熱交換が行われる。
以上のように冷媒が冷媒回路内を循環することにより、空気調和装置1は冷房運転サイクルを行う。
(2−2)暖房運転モード時の動作
暖房運転時は、図4に示す冷媒配管に沿った矢印の方向に、冷媒が、四段圧縮機20、第1室内熱交換器12a、第2室内熱交換器13a、第1室内膨張弁12b、第2室内膨張弁13b、膨張機構70、室外熱交換器40の順に冷媒回路内を循環する。以下、暖房運転時における空気調和装置1の動作について、図4および図5を参照しながら説明する。
第1吸入管21aから四段圧縮機20に吸い込まれる低圧のガス冷媒(点A)は、第1圧縮部21で圧縮されて、第1吐出管21bに吐出される(点B)。吐出された冷媒は、第1四路切換弁26を通過し、第2吸入管22aを流れる(点C)。ここでは、第1圧縮部21から吐出された冷媒は、冷房運転時とは異なり、第1油分離器31a側には向かわない。このため、第1圧縮部21から吐出されて第2圧縮部22に向かう冷媒からは冷凍機油は回収されない。
第2吸入管22aから第2圧縮部22に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第2吐出管22bに吐出される(点D)。吐出された冷媒は、第2四路切換弁27を通過し、第3吸入管23aを流れる。ここでは、冷房運転時とは異なり、第1圧縮部21から吐出された冷媒が、第1室外熱交換器41を通過しないため、そこでの圧力損失も無く、そのまま第2圧縮部22に吸入されることになる。そして、第1圧縮部21と第2圧縮部22とは駆動源が共通しているため、第2圧縮部22は第1圧縮部21と比べると仕事量が少なくなり、第2圧縮部22の吸入側と吐出側との圧力差はあまり生じないことになる。また、ここでは、第2圧縮部22から吐出された冷媒は、冷房運転時とは異なり、第2油分離器32a側には向かわない。このため、第2圧縮部22から吐出されて第3圧縮部23に向かう冷媒からは冷凍機油は回収されない。なお、第3吸入管23aには、エコノマイザ熱交換器51において熱交換されてインジェクション配管53を流れてくる中間圧の冷媒(点L)も流れ込んでくるため、冷媒の温度が下がる(点F)。
第3吸入管23aから第3圧縮部23に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第3吐出管23bに吐出される(点G)。吐出された冷媒は、第3四路切換弁28を通過し、第4吸入管24aを流れる(点H)。ここでは、第3圧縮部23から吐出された冷媒は、冷房運転時とは異なり、第3油分離器33a側には向かわない。このため、第3圧縮部23から吐出されて第4圧縮部24に向かう冷媒からは冷凍機油は回収されない。なお、第3圧縮部23には、第2圧縮部22から吐出された冷媒とインジェクション配管53を流れてくる中間圧の冷媒とが合流した合流冷媒が送られる。
第4吸入管24aから第4圧縮部24に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第4吐出管24bに吐出される(点I)。吐出された高圧の冷媒は、臨界圧力を超えた超臨界状態となっている。この超臨界状態の冷媒は、第4四路切換弁29を通過し、ガス冷媒連絡配管15を介して第1室内ユニット12や第2室内ユニット13に流入する(点Y)。ここで、第4吐出管24bを通過する冷媒は、途中に設けられている第4油分離器34aを通過する際に冷凍機油が分離される。そして、第3圧縮部23と第4圧縮部24とは駆動源が共通しているため、第4圧縮部24は第3圧縮部23と比べると仕事量が少なくなり、第4圧縮部24の吸入側と吐出側との圧力差はあまり生じないことになる。これに対して、第4油分離器34aから伸びている第4油戻管34bは、第4圧縮部24の吸入側ではなく、第3圧縮部23の吸入側である第3吸入管23aに接続されている。このため、第4圧縮部24の仕事量が少なく第4圧縮部24の吸入側と吐出側との間の圧力差が小さい暖房運転時であっても、第4油戻管34bで捕らえられた冷凍機油を四段圧縮機20(ここでは第3圧縮部23)に戻すための圧力差を確保することができている。
ガス冷媒連絡配管15から第1室内ユニット12や第2室内ユニット13に入った高圧冷媒は、冷媒の放熱器として機能する第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aで室内空気に放熱し、室内空気を暖める。なお、第1室内熱交換器12aが配置されている室内の負荷の処理は、図示しない第1室内熱交換器12aに対して空気流れを供給する第1室内ファンの風量を制御部7が調節することによって処理している。第2室内熱交換器13aが配置されている室内の負荷の処理についても同様に、図示しない第2室内熱交換器13aに対して空気流れを供給する第2室内ファンの風量を制御部7が調節することによって処理している。第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aでの熱交換によって温度が下がった高圧冷媒(点X)は、第1室内膨張弁12bや第2室内膨張弁13bを通過する際にわずかに減圧され、液冷媒連絡配管14を通って室外ユニット11のブリッジ回路49へと流れる。ブリッジ回路49では、第2逆止弁49bを通過して、エコノマイザ熱交換器51へ向かう(点J)。
ブリッジ回路49の第2逆止弁49bを通過した高圧冷媒(点J)は、その一部がエコノマイザインジェクション配管53に分岐して流れて、エコノマイザ膨張弁52において減圧される。エコノマイザ膨張弁52において減圧されて気液二相状態となった中間圧冷媒(点K)は、エコノマイザ熱交換器51において、他の一部の冷媒(ブリッジ回路49から液ガス熱交換器61に向かう高圧冷媒(点J))と熱交換し、中間圧のガス冷媒(点L)となる。この中間圧のガス冷媒(点L)は、上述のようにインジェクション配管53から第2インタークーラ管42cへと流れ込む。
エコノマイザ膨張弁52を出た中間圧冷媒と熱交換をし、更に温度が下がった状態でエコノマイザ熱交換器51を出た高圧冷媒(点M)は、液ガス熱交換器61を通過して、膨張機構70へと流れていく(点N)。
膨張機構70に流入する高圧冷媒(点N)は、2つに分岐され、一方が膨張機構70の膨張機71に向けて流れ、他方が膨張機構70の第3室外膨張弁72に向けて流れる。第3室外膨張弁72では、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O1)となる。また、膨張機71においても、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O2)となる。なお、膨張機構70は、膨張機71で回収できる動力ができるだけ大きく確保できるように制御部7に制御されている。これら中間圧冷媒(点O1)と中間圧冷媒(点O2)は、合流した後にレシーバ81の内部空間へと流れ込む(点P)。このレシーバ81に流れ込んだ気液二相状態の中間圧冷媒は、レシーバ81の内部空間において液冷媒とガス冷媒とに分離される。
レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)は、液冷媒出口管83を流れる。液冷媒出口管83を流れる冷媒は、全て、過冷却熱交換器91を通過して過冷却状態となり(点W)、過冷却冷媒配管84やブリッジ回路49を通って、室外熱交換器40へと送られる。
なお、本実施形態では、暖房運転時には、制御部7は、過冷却膨張弁92を全閉状態に制御しているため、液冷媒出口管83を流れる冷媒は、過冷却インジェクション配管93に向けて分流しない。
レシーバ81で分離されたガス冷媒(点S)は、分離ガス配管80を流れる。分離ガス配管80を流れる冷媒は、途中の分離ガス膨張弁82で減圧され低圧冷媒(点T)となる。なお、分離ガス膨張弁82は、膨張機構70の下流側に設けられている中間温度センサ70tの検知飽和温度に相当する中間圧力と、第1吸入管21aに設けられている吸入圧力センサ21pの検知圧力と、から把握される差圧に相当する差圧を分離ガス膨張弁82の前後において生じさせることができるように弁開度(膨張程度)が、制御部7によって制御される(差圧制御が行われる)。分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒(点T)は、さらに分離ガス配管80を流れて、過冷却インジェクション配管93のうち、過冷却膨張弁92よりも下流側であって過冷却熱交換器91よりも上流側の部分に流れ込む(点U)。
過冷却熱交換器91では、レシーバ81の液冷媒出口管83から流れてくる中間圧冷媒(点Q)と、分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒(点T,U)との間で熱交換が行われる。この熱交換によって、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒(点T、U)は、蒸発して過熱のついた低圧冷媒(点V)となって、合流点65に向けて流れていく。レシーバ81の液冷媒出口管83から流れてくる中間圧冷媒(点Q)は、熱を奪われて過冷却のついた中間圧冷媒(点W)となり、過冷却冷媒配管84を介してブリッジ回路49に向けて流れていく。
過冷却冷媒配管84をブリッジ回路49に向けて流れる冷媒は、一部がブリッジ回路49の手前で共通配管47aを流れるように分離し、他の一部がブリッジ回路49の第2室外膨張弁48を通過する。
共通配管47aを流れる冷媒は、第1室外膨張弁47で減圧されて低圧冷媒となり(点WX)、第3室外熱交換器43、第2室外熱交換器42、第1室外熱交換器41の順に直列に流れていく。すなわち、第1室外膨張弁47で減圧された冷媒は、第7配管43bを介して第3室外熱交換器43において一部が蒸発する。第3室外熱交換器43を通過した冷媒は、第3配管43a、第3四路切換弁28、第2インタークーラ管42cの一部、および、第6配管42bをこの順に通過して、第2室外熱交換器42においてさらに一部が蒸発する。第2室外熱交換器42を通過した冷媒は、第2配管42a、第2四路切換弁27、第1インタークーラ管41cの一部、および、第5配管41bをこの順に通過して、第1室外熱交換器41においてさらに一部が蒸発する。第1室外熱交換器41を通過した冷媒は、第1配管41a、第1四路切換弁26、四路接続配管30をこの順で通過した後、低圧冷媒配管19へと向けて流れる。ここで、制御部7は、第4室外熱交換器44の上流側に設けられた第1温度センサ44t1の検知温度(実質的に、第3室外熱交換器43の上流側を流れる冷媒温度の検知温度に等しい)と、第1室外熱交換器41の下流側に設けられた第3温度センサ41tの検知温度と、の差(41t−44t1)が所定値より大きくなるように、第1室外膨張弁47の減圧程度(弁開度)を制御する。
他方、ブリッジ回路49の第2室外膨張弁48を通過して減圧された冷媒(点VW)は、第8配管44bを流れた後に第4室外熱交換器44において蒸発し、第4配管44aと第4四路切換弁29を通過して低圧冷媒配管19へと向けて流れる(点XY)。ここで、制御部7は、第4室外熱交換器44の上流側に設けられた第1温度センサ44t1の検知温度と第4室外熱交換器44の下流側に設けられた第2温度センサ44t2の検知温度との差(44t2−44t1)が、所定値(上記第1室外膨張弁47の制御に関する所定値と同じであっても異なっていてもよい。)より大きくなるように、第2室外膨張弁48の減圧程度(弁開度)を制御する。
その後、低圧冷媒配管19には、第1〜第4室外熱交換器41〜44を通過した冷媒が合流して流れる。
低圧冷媒配管19を流れる低圧のガス冷媒(点XY)は、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧のガス冷媒(点V)と、合流点65において合流した後(点Z)、液ガス熱交換器61の低圧側を流れ、液ガス熱交換器61において高圧側の冷媒と熱交換が行われる。ここで、制御部7は、低圧冷媒配管19を流れる冷媒と過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒とが合流した後であって液ガス熱交換器61に流入する前の冷媒(合流点65を流れる冷媒)について、液ガス熱交換器61の低圧側の下流側に設けられている合流冷媒温度センサ64tの検知温度と、吸入圧力センサ21pの検知圧力とを用いて、所定の過熱度が生じた状態になるように(特に限定されないが、本実施形態では過熱度が3度以上生じた状態になるように)、分離ガス膨張弁82の弁開度を制御する。
液ガス熱交換器61の低圧側を通過した低圧のガス冷媒は、第1吸入管21aを介して四段圧縮機20に吸入される(点A)。
以上のように冷媒が冷媒回路内を循環することにより、空気調和装置1は暖房運転サイクルを行う。
(3)空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置1では、冷房運転時においては、第1〜第3圧縮部21〜23から吐出された各中間圧力の冷媒を第1〜第3室外熱交換器41〜43のそれぞれが冷却することが可能になっている。そして、暖房運転時においては、上記冷房運転で各中間圧力の冷媒の冷却が可能になるように構成された第1〜第3室外熱交換器41〜43を用いつつも、これらを互いに直列に接続させることにより、全体として通過する冷媒を蒸発させることが可能になっている。
このように、冷房運転時には、第1〜第3圧縮部21〜23から吐出された各中間圧力の冷媒が第1〜第3室外熱交換器41〜43を流れることで、各中間圧力の冷媒に含まれていた冷凍機油は、第1〜第3油分離器31a〜33aにおいてそれぞれ捕らえられる。そして、第1〜第3油分離器31a〜33aで捕らえられた冷凍機油は、それぞれ第1〜第3室外熱交換器41〜43で生じる圧力損失分の圧力差を利用して、四段圧縮機20(具体的には、より上位の第2〜第3圧縮部22〜23)に戻すことが可能になっている。そして、第4圧縮部24から吐出された冷媒に含まれる冷凍機油については、第4油分離器34aにおいて捕えられ、第4圧縮部24の吐出側と第3圧縮部23の吸入側とで十分に確保された圧力差を利用して、確実に四段圧縮機20(具体的には、第3圧縮部23)に戻すことが可能になっている。
これに対して、暖房運転時は、第1〜第3圧縮部21〜23から吐出された各中間圧力の冷媒は、第1〜第3油分離器31a〜33aを通過しないため、暖房運転時における第1〜第2室内熱交換器12a〜13aに対して送られる冷媒の圧力損失や熱損失を小さく抑えることが可能になっている。ここで、暖房運転時は、第1〜第3圧縮部21〜23から吐出された各中間圧力の冷媒は、第1〜第3室外熱交換器41〜43側に向かわないため、各中間圧力の冷媒に含まれる冷凍機油が第1〜第3油分離器31a〜33aにおいて捕らえられることは無い。しかし、第4圧縮部24から吐出された冷媒に含まれる冷凍機油については、第4油分離器34aにおいて捕えられ、第4圧縮部24の吐出側と第3圧縮部23の吸入側とで十分に確保された圧力差を利用して、確実に四段圧縮機20(具体的には、第3圧縮部23)に戻すことが可能になっている。
ここで、第3圧縮部23と第4圧縮部24とは駆動源が共通しており第3圧縮部23から第4圧縮部24に向かう冷媒に圧力損失が生じにくいため(暖房運転時には第3圧縮部23から吐出された冷媒が第3室外熱交換器43を通過しないため)、暖房運転時には、第4圧縮部24は第3圧縮部23と比べると仕事量が少なくなり、第4圧縮部24の吸入側と吐出側との圧力差はあまり生じないことになる。このように、第4圧縮部24の吸入側と吐出側との圧力差が小さい場合であっても、第4油分離器34aから伸びている第4油戻管34bが、第4圧縮部24の吸入側ではなく、第3圧縮部23の吸入側である第3吸入管23aまで伸びて接続されている。このため、第4圧縮部24の吸入側と吐出側との間の圧力差が小さい暖房運転時であっても、第4油戻管34bで捕らえられた冷凍機油を四段圧縮機20(ここでは第3圧縮部23)に戻すための圧力差を確保することができている。
なお、仮に、第4油分離器34aで捕えられた冷凍機油を第1圧縮部21の吸入側に戻すように油戻管が構成されている場合には、複数段(本実施形態では4段)の圧縮機構が採用されている空気調和装置1では、第4圧縮部24の吐出側の圧力と第1圧縮部21の吸入側の圧力との差圧が大きくなりすぎる。このため、第4油分離器34aで捕えられた冷凍機油だけでなく、第4圧縮部24から吐出された冷媒の多くが第4油分離器34aを介して第1圧縮部21の吸入側に流れてしまうことになり、冷凍サイクルの能力を発揮しにくい状況になってしまう。
また、仮に、第4油分離器34aで捕えられた冷凍機油を第4圧縮部24の吸入側に戻すように油戻管が構成されている場合には、複数段(本実施形態では4段)の圧縮機構が採用されている空気調和装置1では、1段当たりの圧縮分が小さくなりがちであることおよび暖房運転時にあまり仕事をしない第4圧縮部24の吸入側と吐出側との間の圧力差が小さくなりがちであることから、第4油分離器34aにおいて捕らえられた冷凍機油を四段圧縮機20に十分に戻すことが難しくなってしまう。さらに、上記実施形態では、暖房運転時には第1〜第3油分離器31a〜33aは、各第1〜第3圧縮部21〜23から吐出された冷媒に含まれる冷凍機油を捕らえないため、冷凍機油を捕らえることができる油分離器は第4油分離器34aのみとなることから、第4油分離器34aからはできるだけ十分に四段圧縮機20へ冷凍機油を戻すことが望まれる。
以上を考慮すると、第4油分離器34aから伸びる第4油戻管34bを第3圧縮部23の吸入側の第3吸入管23aに接続させた上記実施形態では、暖房運転時であっても、冷凍サイクルの能力低下を抑制しつつ冷凍機油を十分に四段圧縮機20に戻すことが可能になっていることが分かる。
(4)他の実施形態
上記実施形態では、本発明の実施形態の一例を説明したが、上記実施形態はなんら本願発明を限定する趣旨ではなく、上記実施形態には限られない。本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更した態様についても当然に含まれる。
(4−1)他の実施形態A
上記実施形態では、4段の圧縮を行う四段圧縮機20を採用する空気調和装置1を例に挙げて説明した。
しかし、4段圧縮を行う空気調和装置に限定されることなく、例えば、3段圧縮、もしくは、5段以上の圧縮を行う空気調和装置であってもよい。
例えば、低段圧縮部と中間段圧縮部と高段圧縮部とにより3段圧縮を行う空気調和装置の場合には、高段の圧縮部から吐出された冷媒に含まれる冷凍機油を高段の吐出側に設けられた油分離器において捕らえさせ、当該高段の油分離器が捕らえた冷凍機油を中間段圧縮部の吸入側に戻すように構成されていてもよい。