本発明の一実施形態に係る冷凍装置である空気調和装置1について、以下、図面を参照しながら説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1、図2および図4は、空気調和装置1の概略構成図である。このうち、図2は、冷房運転時において冷媒回路を循環する冷媒の流れを表しており、図4は、暖房運転時において冷媒回路を循環する冷媒の流れを表している。
空気調和装置1は、超臨界状態の二酸化炭素冷媒を使用して四段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置である。空気調和装置1は、熱源ユニットである室外ユニット11と、利用ユニットである複数の室内ユニット12、13(第1室内ユニット12および第2室内ユニット13を含む)とが、液冷媒連絡配管14およびガス冷媒連絡配管15によって結ばれた装置であり、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルとが切り換わる冷媒回路を有する。図2、図4において、冷媒回路の配管に沿って示す矢印が、冷媒の流れを表している。
空気調和装置1の冷媒回路は、主として、四段圧縮機20、四路切換弁群25(第1〜第4四路切換弁26〜29)、室外熱交換器40、第1、第2室外膨張弁47、48、ブリッジ回路49、エコノマイザ回路50、液ガス熱交回路60、膨張機構70、分離ガス配管80、レシーバ81、過冷却回路90、第1、第2室内熱交換器12a、13a、第1、第2室内膨張弁12b、13bおよび制御部7を備えている。なお、室外熱交換器40は、第1室外熱交換器41、第2室外熱交換器42、第3室外熱交換器43および第4室外熱交換器44から構成されている。
以下、冷媒回路の各構成要素を詳細に説明する。
(1−1)四段圧縮機
四段圧縮機20は、密閉容器内に、第1圧縮部21、第2圧縮部22、第3圧縮部23、第4圧縮部24および圧縮機駆動モータ(図示せず)が収容された、密閉式の圧縮機である。圧縮機駆動モータは、駆動軸を介して、4つの圧縮部21〜24を駆動する。すなわち、四段圧縮機20は、4つの圧縮部21〜24が単一の駆動軸に連結された一軸四段の圧縮構造を有している。四段圧縮機20では、第1圧縮部21、第2圧縮部22、第3圧縮部23および第4圧縮部24が、この順番で直列に配管接続される。第1圧縮部21は、第1吸入管21aから冷媒を吸い込み、第1吐出管21bへと冷媒を吐出する。なお、第1吸入管21aには、流れる冷媒の吸入圧力を検出するための吸入圧力センサ21pが設けられている。第2圧縮部22は、第2吸入管22aから冷媒を吸い込み、第2吐出管22bへと冷媒を吐出する。第3圧縮部23は、第3吸入管23aから冷媒を吸い込み、第3吐出管23bへと冷媒を吐出する。第4圧縮部24は、第4吸入管24aから冷媒を吸い込み、第4吐出管24bへと冷媒を吐出する。なお、第4吐出管24bには、流れる冷媒の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ24pが設けられている。
第1圧縮部21は、最下段の圧縮機構であり、冷媒回路を流れる最も低圧の冷媒を圧縮する。第2圧縮部22は、第1圧縮部21によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第3圧縮部23は、第2圧縮部22によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第4圧縮部24は、最上段の圧縮機構であり、第3圧縮部23によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第4圧縮部24によって圧縮され第4吐出管24bへと吐出された冷媒は、冷媒回路を流れる最も高圧の冷媒となる。
なお、本実施形態において、各圧縮部21〜24は、ロータリー式やスクロール式などの容積式の圧縮機構である。また、圧縮機駆動モータは、制御部7によってインバータ制御される。
第1吐出管21b、第2吐出管22b、第3吐出管23bおよび第4吐出管24bの途中には、それぞれ第1〜第4油分離器31a、32a、33a、34aが設けられている。第1〜第4油分離器31a、32a、33a、34aは、冷媒回路を循環する冷媒に含まれる潤滑油を分離する小容器である。第1〜第4油分離器31a、32a、33a、34aの下部からは、それぞれ第1〜第4キャピラリーチューブ31c、32c、33c、34cを含む第1〜第4油戻し管31b、32b、33b、34bが伸びている。ここで、第1油戻し管31bは、第2吸入管22aの途中に接続されている。第2油戻し管32bは、第3吸入管23aの途中に接続されている。第3油戻し管33bは、第4吸入管24aの途中に接続されている。第4油戻し管34bは、第1吸入管21aの途中に接続されている。これにより、各第1〜第4油分離器31a、32a、33a、34aにおいて冷媒から分離された潤滑油は、四段圧縮機20へと戻される。
(1−2)四路切換弁群
四路切換弁群25は、第1四路切換弁26、第2四路切換弁27、第3四路切換弁28および第4四路切換弁29によって構成されている。四路切換弁群25は、冷媒回路内における冷媒の流れの方向を切り換えて、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルとを切り換えるために設けられている。
第1四路切換弁26の4つのポートは、第1吐出管21b、第2吸入管22a、第1配管41a、および、四路接続配管30と接続されている。第1配管41aは、第1四路切換弁26と第1室外熱交換器41とを結ぶ配管である。四路接続配管30は、第1〜第4四路切換弁26〜29のそれぞれが有しているポートのうちの1つが接続されており、暖房運転時には低圧冷媒が流れる配管である。暖房運転時には、四路接続配管30を通って、低圧冷媒配管19に低圧冷媒が流れる。低圧冷媒配管19は、室外ユニット11内の低圧のガス冷媒が流れる冷媒配管であり、液ガス熱交換器61を介して第1吸入管21aに冷媒を送る。
第2四路切換弁27は、第2吐出管22b、第3吸入管23a、第2配管42a、および、四路接続配管30と接続されている。第2配管42aは、第2四路切換弁27と第2室外熱交換器42とを結ぶ配管である。
第3四路切換弁28は、第3吐出管23b、第4吸入管24a、第3配管43a、および、四路接続配管30と接続されている。第3配管43aは、第3四路切換弁28と第3室外熱交換器43とを結ぶ配管である。
第4四路切換弁29は、第4吐出管24b、ガス冷媒連絡配管15、第4配管44a、および、低圧冷媒配管19と接続されている。第4配管44aは、第4四路切換弁29と第4室外熱交換器44とを結ぶ配管である。
四路切換弁群25は、制御部7によって切換制御されることで、冷房運転時には、図2に示すように、四段圧縮機20によって圧縮された冷媒の熱を放熱させる放熱器として第1〜第4室外熱交換器41〜44を機能させ、かつ、膨張機構70および第1、第2室内電動弁12b、13bを通過して膨張した冷媒の蒸発器(加熱器)として第1,第2室内熱交換器12a、13aを機能させる切換状態となる。また、四路切換弁群25は、制御部7によって切換制御されることで、暖房運転時には、図4に示すように、四段圧縮機20によって圧縮された冷媒の熱を放熱させる放熱器として第1、第2室内熱交換器12a、13aを機能させ、かつ、膨張機構70および第1、第2室外膨張弁47、48を通過して膨張した冷媒の蒸発器として室外熱交換器40を機能させる切換状態となる。
すなわち、四路切換弁群25は、冷媒回路の構成要素として四段圧縮機20、室外熱交換器40、膨張機構70および第1、第2室内熱交換器12a、13aのみに着目すると、四段圧縮機20、室外熱交換器40、膨張機構70、第1、第2室内熱交換器12a、13aの順に冷媒を循環させる冷房運転サイクルと、四段圧縮機20、第1、第2室内熱交換器12a、13a、膨張機構70、室外熱交換器40の順に冷媒を循環させる暖房運転サイクルとを切り換える役割を果たす。
(1−3)室外熱交換器およびインタークーラ管
室外熱交換器40は、上述のように、第1室外熱交換器41、第2室外熱交換器42、第3室外熱交換器43および第4室外熱交換器44から構成されている。冷房運転時には、第1〜第3室外熱交換器41〜43が、圧縮途中の冷媒(中間圧冷媒)を冷やすインタークーラとして機能し、第4室外熱交換器44が、最も高圧の冷媒を冷やすガスクーラ(冷媒の熱を放熱する放熱器)として機能する。第4室外熱交換器44は、第1〜第3室外熱交換器41〜43よりも容量が大きい。また、暖房運転時には、第1〜第4室外熱交換器41〜44の全てが、低圧の冷媒の蒸発器(加熱器)として機能する。
第1〜第4室外熱交換器41〜44は、並列に配置され、1つの室外熱交換器40として一体化されている。この室外熱交換器40には、内部を流れる冷媒と熱交換を行う冷却源あるいは加熱源として、水や空気が供給される。ここでは、室外熱交換器40に、図示しない送風ファンから空気(外気)が供給される。
また、第1室外熱交換器41の第1配管41aとは反対側には、第5配管41bが接続されている。第2室外熱交換器42の第2配管42aとは反対側には、第6配管42bが接続されている。第3室外熱交換器43の第3配管43aとは反対側には、第7配管43bが接続されている。これらの第5配管41b、第6配管42bおよび第3配管43bには、第1室外膨張弁47が途中に設けられている共通配管47aが接続されている。第5配管41bの途中からは、分岐して、第2吸入管22aに接続された第1インタークーラ管41cが延びている。第6配管42bの途中からは、分岐して、第3吸入管23aに接続された第2インタークーラ管42cが延びている。第7配管43bの途中からは、分岐して、第4吸入管24aに接続された第3インタークーラ管43cが延びている。
第1インタークーラ管41c、第2インタークーラ管42cおよび第3インタークーラ管43cには、図1に示すように、それぞれ、第1インタークーラ用逆止弁、第2インタークーラ用逆止弁および第3インタークーラ用逆止弁が設けられている(参照符号は省略)。
なお、第4室外熱交換器44の第4配管44aとは反対側には、第8配管44bが接続されている。第8配管44bは、後述するブリッジ回路49のうちの第2室外膨張弁48と第3逆止弁49cとの間に接続されている。
(1−4)第1室外膨張弁と第2室外膨張弁
第1室外膨張弁47は、第1〜第3室外熱交換器41〜43からそれぞれ延びる第5〜第7配管41b〜43bの全てと接続されている共通配管47aの途中に設けられている。共通配管47aは、後述する過冷却熱交換器91を流出した過冷却冷媒が流れる過冷却冷媒配管84と合流し、ブリッジ回路49の第2室外膨張弁48と第1逆止弁49aとの間に接続される。
冷房運転時は、制御部7の制御によって、第1、第2室外膨張弁47、48は閉じられる。暖房運転時は、制御部7の制御によって、第1、2室外膨張弁47、48は、ブリッジ回路49から第1〜第4室外熱交換器41〜44への冷媒の流れが偏流しないように開度調整が為され、それぞれ膨張機構としての役割も果たす。
(1−5)ブリッジ回路
ブリッジ回路49は、第1逆止弁49a、第2逆止弁49b、第3逆止弁49c、および、第2室外膨張弁48が順に接続され、第1逆止弁49aと第2室外膨張弁48とが接続された回路を構成している。第1逆止弁49aは、第2室外膨張弁48側とは反対側に向かう冷媒流れのみを許容する。第3逆止弁49cは、第2室外膨張弁48側とは反対側に向かう冷媒流れのみを許容する。第2逆止弁49bは、第1逆止弁49a側に向かう冷媒流れは許容せず、第3逆止弁49c側に向かう冷媒流れのみを許容する。
ブリッジ回路49の第1逆止弁49aと第2室外膨張弁48との間には、共通配管47aと、過冷却冷媒配管84と、が合流した配管が接続されている。ブリッジ回路49の第3逆止弁49cと第2室外膨張弁48との間には、第4室外熱交換器44から延びた第8配管44bが接続されている。ブリッジ回路49の第1逆止弁49aと第2逆止弁49bとの間には、第1、第2室内ユニット12、13から伸び出している液冷媒連絡配管14が接続されている。ブリッジ回路49の第2逆止弁49bと第3逆止弁49cとの間には、エコノマイザ回路50のエコノマイザ熱交換器51側に向けて延びる冷媒配管が接続されている。
(1−6)エコノマイザ回路50
エコノマイザ回路50は、ブリッジ回路49の第2逆止弁49bと第3逆止弁49cとの間の部分と、液ガス熱交換器61もしくは膨張機構70と、の間に設けられている。エコノマイザ回路50は、エコノマイザ熱交換器51と、エコノマイザインジェクション配管53と、エコノマイザ膨張弁52を有している。
エコノマイザインジェクション配管53は、ブリッジ回路49の第2逆止弁49bと第3逆止弁49cとの間の部分とエコノマイザ熱交換器51の手前の部分との間から分岐して延びだしており、第2インタークーラ管42cの第2インタークーラ用逆止弁の下流側に接続されている。
エコノマイザ膨張弁52は、エコノマイザインジェクション配管53の途中であって、分岐後にエコノマイザ熱交換器51に流入する前の部分に設けられている。
エコノマイザ熱交換器51は、ブリッジ回路49から液ガス熱交換器61もしくは膨張機構70に向かう臨界圧力を超えた高圧の冷媒と、エコノマイザインジェクション配管53に分岐してエコノマイザ膨張弁52で膨張させた中間圧の冷媒と、の間で熱交換を行わせる。
このエコノマイザ膨張弁52において膨張し、エコノマイザ熱交換器51で蒸発した冷媒は、第2インタークーラ管42cを流れる冷媒と合流することで、第3吸入管23aから第3圧縮部23へ吸い込まれる冷媒を冷やす。
(1−7)液ガス熱交回路
液ガス熱交回路60は、エコノマイザ熱交換器51と膨張機構70の間に設けられており、液ガス熱交換器61と、第1液ガス開閉弁62および第2液ガス開閉弁63を有している。
液ガス熱交換器61は、ブリッジ回路49から膨張機構70にと向かう臨界圧力を超えた高圧の冷媒と、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒と低圧冷媒配管19を流れる低圧冷媒とが合流点65で合流した低圧冷媒である合流冷媒と、の間で熱交換を行わせる。なお、液ガス熱交換器61は、内部熱交換器と呼ばれることもある。
なお、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒と低圧冷媒配管19を流れる低圧冷媒とが合流点65で合流した後に液ガス熱交換器61に向かって流れている合流冷媒の冷媒温度を検出する合流冷媒温度センサ64tが、液ガス熱交換器61の低圧冷媒入口側に設けられている。
第2液ガス開閉弁63は、液ガス熱交換器61の一端側と他端側とを接続する冷媒配管の途中に設けられた開閉弁である。
第1液ガス開閉弁62は、エコノマイザ熱交換器51と液ガス熱交換器61との間であって、液ガス熱交換器61の一端側と他端側とを接続する冷媒配管の接続位置よりも液ガス熱交換器61側に設けられた開閉弁である。
冷房運転時には、液ガス熱交換器61での熱交換を行わせるために、制御部7は、第1液ガス開閉弁62を開状態にしつつ第2液ガス開閉弁63を閉状態にして、エコノマイザ熱交換器51を通過してきた冷媒を液ガス熱交換器61に流す。他方、暖房運転時には、液ガス熱交換器61での熱交換を行わせないために、制御部7は、第1液ガス開閉弁62を閉状態にしつつ第2液ガス開閉弁63を開状態にして、エコノマイザ熱交換器51を通過してきた冷媒を、液ガス熱交換器61を通過させることなく、膨張機構70に送る。
(1−8)膨張機構
膨張機構70は、エコノマイザ熱交換器51もしくは液ガス熱交換器61から流れてきた高圧の冷媒を減圧・膨張させ、気液二相状態の中間圧の冷媒をレシーバ81へと流す。すなわち、冷房運転時には、膨張機構70は、高圧冷媒のガスクーラ(放熱器)として機能する室外の第4室外熱交換器44から、低圧冷媒の蒸発器として機能する第1、第2室内熱交換器12a、13aに送られる冷媒を減圧する。また、暖房運転時には、膨張機構70は、高圧冷媒の放熱器として機能する第1、第2室内熱交換器12a、13aから、低圧冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器40に送られる冷媒を減圧する。
膨張機構70は、膨張機71と第3室外膨張弁72とが並列に接続されることで構成されている。膨張機71は、冷媒の減圧過程の絞り損失を有効な仕事(エネルギー)として回収する役割を果たす。
なお、膨張機構70とレシーバ81との間には、冷媒の温度を中間温度センサ70tが設けられている。この中間温度センサ70tは、中間圧力の飽和温度を検知するため、制御部7は、当該中間温度センサ70tの検出温度から相当飽和圧力である中間圧力を把握することができる。
(1−9)レシーバ
レシーバ81は、膨張機構70を出た気液二相状態の中間圧の冷媒を、天井面から内部空間に流入させ、液冷媒とガス冷媒とに分離する。
レシーバ81において分離された液冷媒は、レシーバ81の下方から延び出している液冷媒出口管83を介して、過冷却回路90に送られる。
レシーバ81において分離されたガス冷媒は、レシーバ81の上方から延び出している分離ガス配管80を介して、後述する過冷却回路90の過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒に合流させられる。この分離ガス配管80の途中には、分離ガス膨張弁82が設けられている。分離ガス配管80を流れる冷媒は、レシーバ81において液冷媒が分離されたガス冷媒であって、分離ガス膨張弁82によって減圧されることで低圧のガスリッチな冷媒となった後、過冷却インジェクション配管93に送られる。
(1−10)過冷却回路
過冷却回路90は、レシーバ81と、ブリッジ回路49の第1逆止弁49aと第2室外膨張弁48の間の部分と、の間に設けられている。過冷却回路90は、過冷却熱交換器91と、過冷却インジェクション配管93と、過冷却膨張弁92と、を有している。
レシーバ81から延びている液冷媒出口管83を流れた冷媒は、過冷却熱交換器91に向かう冷媒と、分流して過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒とに分けられる。過冷却インジェクション配管93は、液冷媒出口管83の途中から分岐して、合流点65において低圧冷媒配管19と接続されている。過冷却インジェクション配管93の途中であって、液冷媒出口管83から分岐した部分と、分離ガス配管80が接続されている部分と、の間に過冷却膨張弁92が設けられている。
冷房運転時には、制御部7が過冷却膨張弁92および分離ガス膨張弁82の制御を行って、過冷却インジェクション配管93の過冷却膨張弁92で減圧されて気液二相状態となった冷媒と、分離ガス配管80の分離ガス膨張弁82において減圧された冷媒と、を合流させ、過冷却インジェクション配管93を流れて過冷却熱交換器91に流入させる。過冷却熱交換器91では、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧のガス冷媒と、液冷媒出口管83から送られてきて過冷却冷媒配管84へと進んでいく中間圧の液冷媒と、の間で熱交換を行わせる。過冷却熱交換器91から過冷却冷媒配管84へと流れていく冷媒は、過冷却度が増した状態となっている。過冷却冷媒配管84には、通過する冷媒の温度を検出するための過冷却温度センサ90tが設けられている。過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒であって、過冷却熱交換器91を通過した後の冷媒は、過熱が付いた状態となっており、低圧冷媒配管19の合流点65に向けて送られる。
暖房運転時には、制御部7は、過冷却膨張弁92を閉止状態とするため、過冷却インジェクション配管93のうち液冷媒出口管83と接続されている部分と分離ガス配管80と接続されている部分との間には冷媒が流れないが、レシーバ81の液冷媒出口管83を流れる中間圧の液冷媒と、分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒とが、過冷却熱交換器91において熱交換を行うことになる。
(1−11)室内熱交換器
第1室内熱交換器12aは、第1室内ユニット12に設けられている。第2室内熱交換器13aは、第2室内ユニット13に設けられている。
第1室内熱交換器12aおよび第2室内熱交換器13aは、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の冷却器として機能する。これらの第1室内熱交換器12aおよび第2室内熱交換器13aには、内部を流れる冷媒と熱交換を行う冷房対象あるいは暖房対象として、水や空気が流される。ここでは、第1室内熱交換器12aおよび第2室内熱交換器13aに、図示しない各室内送風ファンからの室内空気が流れ、冷却あるいは加熱された空調空気が室内へと供給される。なお、各室内送風ファンの風量は、空調対象空間で要求される負荷処理のために、個別に風量が制御される。
第1室内熱交換器12aの一端は第1室内膨張弁12bに接続されている。第2室内熱交換器13aの一端は第2室内膨張弁13bに接続されている。第1室内熱交換器12aの他端および第2室内熱交換器13aの他端は合流しており、当該合流した部分はガス冷媒連絡配管15に接続されている。
(1−12)室内膨張弁
第1室内膨張弁12bは、第1室内ユニット12に設けられている。この第1室内膨張弁12bは、第1室内熱交換器12aに流す冷媒の量を調整したり冷媒の減圧・膨張を行ったりする。第1室内膨張弁12bは、液冷媒連絡配管14と第1室内熱交換器12aとの間に配置されている。
第2室内膨張弁13bは、第2室内ユニット13に設けられている。この第2室内膨張弁13bは、第2室内熱交換器13aに流す冷媒の量を調整したり冷媒の減圧・膨張を行ったりする。第2室内膨張弁13bは、液冷媒連絡配管14と第2室内熱交換器13aとの間に配置されている。
(1−13)制御部
制御部7は、室外ユニット11および第1室内ユニット12、第2室内ユニット13の電子部品が実装された各制御基板が通信線で結ばれて構成されているもので、四段圧縮機20の圧縮機駆動モータや四路切換弁群25、各膨張弁12b,13b,47,48,52,72,82,92等と接続される。この制御部7は、外部から入力された室内設定温度、図示しない温度センサや圧力センサの計測値などの情報に基づいて、圧縮機駆動モータの回転数制御や膨張弁開度の調節や室内送風ファンや室外送風ファンの風量調節などを行う。
制御部7は、冷房運転モード、暖房運転モードを有しており、いずれかの運転を選択的に行う。
(2)空気調和装置の動作
空気調和装置1の動作について、図2〜図5を参照しながら説明する。
図3および図5は、それぞれ、冷房運転、暖房運転における冷凍サイクルの圧力−エンタルピ線図(p−h線図)である。これらの各図において、上に凸の一点鎖線で示す曲線は、冷媒の飽和液線および乾き飽和蒸気線である。また、各図において、冷凍サイクル上の英文字が付された点は、それぞれ、図2および図4において同じ英文字で表される点における冷媒の圧力およびエンタルピを表している。例えば、図2の点Bにおける冷媒は、図3の点Bにおける圧力およびエンタルピの状態になっている。なお、空気調和装置1の冷房運転、暖房運転における各運転制御は、制御部7によって行われる。
(2−1)冷房運転モード時の動作
冷房運転時は、図2に示す冷媒配管に沿った矢印の方向に、冷媒が、四段圧縮機20、室外熱交換器40、膨張機構70、第1、第2室内熱交換器12a、13aの順に冷媒回路内を循環する。以下、冷房運転時における空気調和装置1の動作について、図2および図3を参照しながら説明する。
第1吸入管21aから四段圧縮機20に吸い込まれる低圧のガス冷媒(点A)は、第1圧縮部21で圧縮されて、第1吐出管21bへと吐出される(点B)。吐出された冷媒は、第1四路切換弁26を通過し、インタークーラ(中間冷却器)として機能する第1室外熱交換器41で冷却された後、第1インタークーラ管41cを介して第2吸入管22aに流れ込む(点C)。
第2吸入管22aから第2圧縮部22に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第2吐出管22bに吐出される(点D)。吐出された冷媒は、第2四路切換弁27を通過し、インタークーラとして機能する第2室外熱交換器42で冷却された後、第2インタークーラ管42cに流れる(点E)。第2インタークーラ管42cを流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器51において熱交換されてインジェクション配管53を流れてくる中間圧の冷媒(点L)と合流した後、第3吸入管23aに流れ込む(点F)。
第3吸入管23aから第3圧縮部23に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第3吐出管23bに吐出される(点G)。吐出された冷媒は、第3四路切換弁28を通過し、インタークーラとして機能する第3室外熱交換器43で冷却された後、第3インタークーラ管43cを介して第4吸入管24aに流れ込む(点H)。
第4吸入管24aから第4圧縮部24に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第4吐出管24bに吐出される(点I)。吐出された高圧の冷媒は、臨界圧力を超えた超臨界状態となっている。この超臨界状態の冷媒は、第4四路切換弁29を通過し、ガスクーラとして機能する第4室外熱交換器44で冷却され、ブリッジ回路49の第3逆止弁49cを通ってエコノマイザ熱交換器51へと流れていく(点J)。
ブリッジ回路49の第3逆止弁49cを通過した高圧冷媒は、その一部がエコノマイザインジェクション配管53に分岐して流れて、エコノマイザ膨張弁52において減圧される。エコノマイザ膨張弁52において超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されて気液二相状態となった中間圧冷媒(点K)は、エコノマイザ熱交換器51において、他の一部の冷媒(ブリッジ回路49から液ガス熱交換器61に向かう臨界圧力を超えている高圧冷媒(点J))と熱交換し、中間圧のガス冷媒(点L)となる。この中間圧のガス冷媒(点L)は、上述のようにインジェクション配管53から第2インタークーラ管42cへと流れ込む。
ここで、制御部7は、冷房運転時には液ガス熱交回路60に冷媒を流し、液ガス熱交換器61での熱交換を行わせるために、第1液ガス開閉弁62を開状態にし、第2液ガス開閉弁63を閉状態にしている。
エコノマイザ膨張弁52を出た中間圧冷媒と熱交換をし、更に温度が下がった状態でエコノマイザ熱交換器51を出た高圧冷媒(点M)は、開状態の第1液ガス開閉弁62を通過して、液ガス熱交換器61を流れ、膨張機構70へと流れていく(点N)。液ガス熱交換器61では、エコノマイザ熱交換器51を通過した臨界圧力を超えている高圧冷媒(点M)が、低圧冷媒配管19から第1吸入管21aへと流れる低圧冷媒と過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒とが合流した合流冷媒と、の間で熱交換によって冷却され、温度が下がった高圧冷媒(点N)となる。
なお、後述するが、低圧冷媒配管19から第1吸入管21aへと流れる低圧冷媒と過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒とが合流した合流冷媒の温度が低過ぎることで液ガス熱交換器61から膨張機構70に向かう冷媒を冷やし過ぎてしまうことを抑制する目的で、合流冷媒温度センサ64tと吸入圧力センサ21pから把握される過熱度が正の値になるという所定過熱度条件を満たすように、制御部7は、合流冷媒過熱度制御を行う。
液ガス熱交換器61を出た高圧冷媒(点N)は、2つに分岐され、一方が膨張機構70の膨張機71に向けて流れ、他方が膨張機構70の第3室外膨張弁72に向けて流れる。第3室外膨張弁72では、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O1)となる。また、膨張機71においても、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O2)となる。これら中間圧冷媒(点O1)と中間圧冷媒(点O2)は、合流した後にレシーバ81の内部空間へと流れ込む(点P)。このレシーバ81に流れ込んだ気液二相状態の中間圧冷媒は、レシーバ81の内部空間において液冷媒とガス冷媒とに分離される。
レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)は、液冷媒出口管83を流れる。液冷媒出口管83を流れる冷媒の一部は、過冷却熱交換器91を通過して過冷却状態となり(点W)、過冷却冷媒配管84やブリッジ回路49の第1逆止弁49aを通って、液冷媒連絡配管14を介して、第1、第2室内膨張弁12b、13bへと送られる。液冷媒出口管83を流れる冷媒の他の一部は、過冷却熱交換器91に流入する前に、分岐して、過冷却インジェクション配管93を流れる。過冷却インジェクション配管93を流れる冷媒は、過冷却膨張弁92において減圧されて気液二相状態の低圧冷媒となる(点R)。
レシーバ81で分離されたガス冷媒(点S)は、分離ガス配管80を流れる。分離ガス配管80を流れる冷媒は、途中の分離ガス膨張弁82で減圧され低圧冷媒(点T)となる。分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒(点T)は、さらに分離ガス配管80を流れて、過冷却インジェクション配管93のうち、過冷却膨張弁92よりも下流側であって過冷却熱交換器91よりも上流側の部分に合流する(点U)。
過冷却熱交換器91では、レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)は、分離ガス配管80を介して過冷却インジェクション配管93に合流した気液二相状態の低圧冷媒(点U)との間で熱交換することで冷却され、冷却されることによって過冷却度が付いた状態になる(点W)。他方で、分離ガス配管80を介して過冷却インジェクション配管93に合流した気液二相状態の低圧冷媒(点U)は、過冷却熱交換器91において、レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)によって加熱される(点V、なお、点Vは過熱が付いた状態を例示しているが、運転条件や過渡的な状況によっては湿り状態になる場合がある。)。
液冷媒連絡配管14から第1、第2室内ユニット12、13に流入した冷媒は、第1室内膨張弁12bや第2室内膨張弁13bを通過するときに膨張し、気液二相の低圧冷媒(点X)となって第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aに流れ込む。この低圧冷媒は、第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aで室内空気から熱を奪い、過熱のついた低圧のガス冷媒(点Y)になる。第1室内ユニット12や第2室内ユニット13を出た低圧冷媒は、ガス冷媒連絡配管15および第4四路切換弁29を経て低圧冷媒配管19へと流れていく。
第1室内ユニット12や第2室内ユニット13から戻ってきて低圧冷媒配管19を流れる低圧冷媒(点Y)と、過冷却インジェクション配管93から流れてくる低圧冷媒(点V)とは、合流点65で合流し(点Z)、液ガス熱交換器61の低圧側を通って第1吸入管21aから四段圧縮機20へと戻っていく。なお、ここで、液ガス熱交換器61では、四段圧縮機20の第1吸入管21aに向かう低圧冷媒(点Z)と、エコノマイザ熱交換器51を通過した後に膨張機構70へと向かう高圧冷媒(点M)との間で熱交換が行われる。
以上のように冷媒が冷媒回路内を循環することにより、空気調和装置1は冷房運転サイクルを行う。
(2−2)暖房運転モード時の動作
暖房運転時は、図4に示す冷媒配管に沿った矢印の方向に、冷媒が、四段圧縮機20、第1、第2室内熱交換器12a、13a、膨張機構70、室外熱交換器40の順に冷媒回路内を循環する。以下、暖房運転時における空気調和装置1の動作について、図4および図5を参照しながら説明する。
第1吸入管21aから四段圧縮機20に吸い込まれる低圧のガス冷媒(点A)は、第1圧縮部21で圧縮されて、第1吐出管21bに吐出される(点B)。吐出された冷媒は、第1四路切換弁26を通過し、第2吸入管22aを流れる(点C)。
第2吸入管22aから第2圧縮部22に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第2吐出管22bに吐出される(点D)。吐出された冷媒は、第2四路切換弁27を通過し、第3吸入管23aを流れる。なお、第3吸入管23aには、エコノマイザ熱交換器51において熱交換されてインジェクション配管53を流れてくる中間圧の冷媒(点L)も流れ込んでくるため、冷媒の温度が下がる(点F)。
第3吸入管23aから第3圧縮部23に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第3吐出管23bに吐出される(点G)。吐出された冷媒は、第3四路切換弁28を通過し、第4吸入管24aを流れる(点H)。
第4吸入管24aから第4圧縮部24に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第4吐出管24bに吐出される(点I)。吐出された高圧の冷媒は、臨界圧力を超えた超臨界状態となっている。この超臨界状態の冷媒は、第4四路切換弁29を通過し、ガス冷媒連絡配管15を介して第1室内ユニット12や第2室内ユニット13に流入する(点Y)。
ガス冷媒連絡配管15から第1室内ユニット12や第2室内ユニット13に入った高圧冷媒は、冷媒の放熱器として機能する第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aで室内空気に放熱し、室内空気を暖める。第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器13aでの熱交換によって温度が下がった高圧冷媒(点X)は、第1室内膨張弁12bや第2室内膨張弁13bを通過する際にわずかに減圧され、液冷媒連絡配管14を通って室外ユニット11のブリッジ回路49へと流れる。ブリッジ回路49では、第2逆止弁49bを通過して、エコノマイザ熱交換器51へ向かう(点J)。
ブリッジ回路49の第2逆止弁49bを通過した高圧冷媒(点J)は、その一部がエコノマイザインジェクション配管53に分岐して流れて、エコノマイザ膨張弁52において減圧される。エコノマイザ膨張弁52において減圧されて気液二相状態となった中間圧冷媒(点K)は、エコノマイザ熱交換器51において、他の一部の冷媒(ブリッジ回路49から液ガス熱交換器61に向かう高圧冷媒(点J))と熱交換し、中間圧のガス冷媒(点L)となる。この中間圧のガス冷媒(点L)は、上述のようにインジェクション配管53から第2インタークーラ管42cへと流れ込む。
ここで、制御部7は、暖房運転時には液ガス熱交回路60に冷媒を流さず、液ガス熱交換器61での熱交換を行わせないために、第1液ガス開閉弁62を閉状態にし、第2液ガス開閉弁63を開状態にしている。
エコノマイザ膨張弁52を出た中間圧冷媒と熱交換をし、更に温度が下がった状態でエコノマイザ熱交換器51を出た高圧冷媒(点M)は、液ガス熱交換器61を流れることなく、第2液ガス開閉弁63を通過して、膨張機構70へと流れていく(点N)。
膨張機構70に流入する高圧冷媒(点N)は、2つに分岐され、一方が膨張機構70の膨張機71に向けて流れ、他方が膨張機構70の第3室外膨張弁72に向けて流れる。第3室外膨張弁72では、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O1)となる。また、膨張機71においても、超臨界状態から臨界圧力以下の圧力まで減圧されることで、中間圧冷媒(点O2)となる。これら中間圧冷媒(点O1)と中間圧冷媒(点O2)は、合流した後にレシーバ81の内部空間へと流れ込む(点P)。このレシーバ81に流れ込んだ気液二相状態の中間圧冷媒は、レシーバ81の内部空間において液冷媒とガス冷媒とに分離される。
レシーバ81で分離された液冷媒(点Q)は、液冷媒出口管83を流れる。液冷媒出口管83を流れる冷媒は、全て、過冷却熱交換器91を通過して過冷却状態となり(点W)、過冷却冷媒配管84やブリッジ回路49を通って、室外熱交換器40へと送られる。
なお、暖房運転時には、制御部7は、過冷却膨張弁92を全閉状態に制御しているため、液冷媒出口管83を流れる冷媒は、過冷却インジェクション配管93に向けて分流しない。
レシーバ81で分離されたガス冷媒(点S)は、分離ガス配管80を流れる。分離ガス配管80を流れる冷媒は、途中の分離ガス膨張弁82で減圧され低圧冷媒(点T)となる。分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒(点T)は、さらに分離ガス配管80を流れて、過冷却インジェクション配管93のうち、過冷却膨張弁92よりも下流側であって過冷却熱交換器91よりも上流側の部分に流れ込む(点U)。
過冷却熱交換器91では、レシーバ81の液冷媒出口管83から流れてくる中間圧冷媒(点Q)と、分離ガス膨張弁82で減圧された低圧冷媒(点T,U)との間で熱交換が行われる。この熱交換によって、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒(点T、U)は、蒸発して過熱のついた低圧冷媒(点V)となって、合流点65に向けて流れていく。レシーバ81の液冷媒出口管83から流れてくる中間圧冷媒(点Q)は、熱を奪われて過冷却のついた中間圧冷媒(点W)となり、過冷却冷媒配管84を介してブリッジ回路49に向けて流れていく。
過冷却冷媒配管84をブリッジ回路49に向けて流れる冷媒は、一部がブリッジ回路49の手前で共通配管47aを流れるように分離し、他の一部がブリッジ回路49の第2室外膨張弁48を通過する。
共通配管47aを流れる冷媒は、第1室外膨張弁47で減圧されて低圧冷媒となり(点WX)、第5配管41b、第6配管42b、第7配管43bへとそれぞれ分岐して流れていく。第5配管41bに分岐した冷媒は、キャピラリーチューブと逆止弁を通過して第1室外熱交換器41において蒸発し、過熱のついた低圧のガス冷媒となり、第1配管41aと第1四路切換弁26と四路接続配管30を通過して低圧冷媒配管19へと向けて流れる(点XY)。第6配管42bに分岐した冷媒は、キャピラリーチューブと逆止弁を通過して第2室外熱交換器42において蒸発し、過熱のついた低圧のガス冷媒となり、第2配管42aと第2四路切換弁27と四路接続配管30を通過して低圧冷媒配管19へと向けて流れる(点XY)。第7配管43bに分岐した冷媒は、キャピラリーチューブと逆止弁を通過して第3室外熱交換器43において蒸発し、過熱のついた低圧のガス冷媒となり、第3配管43aと第3四路切換弁28と四路接続配管30を通過して低圧冷媒配管19へと向けて流れる(点XY)。すなわち、これらの第1〜第3室外熱交換器41〜43において蒸発した冷媒は、各四路切換弁26、27、28を介して合流し、低圧冷媒配管19へと向けて流れる。
ブリッジ回路49の第2室外膨張弁48を通過して減圧された冷媒(点VW)は、第8配管44bを流れた後に第4室外熱交換器44において蒸発し、過熱のついた低圧のガス冷媒となり、第4配管44aと第4四路切換弁29を通過して低圧冷媒配管19へと向けて流れる(点XY)。
すなわち、低圧冷媒配管19には、第1〜第4室外熱交換器41〜44において蒸発した冷媒が合流して流れる。なお、このとき、制御部7は、第1室外膨張弁47と第2室外膨張弁48の弁開度を各熱交換器の容量や圧力損失量に応じて調節することで、いずれかの熱交換器に冷媒が偏流してしまうことを抑制している。
低圧冷媒配管19を流れる低圧のガス冷媒(点XY)は、過冷却インジェクション配管93を流れる低圧のガス冷媒(点V)と、合流点65において合流した後(点Z)、液ガス熱交換器61の低圧側を流れる。なお、暖房運転時には、液ガス熱交換器61の高圧側には冷媒は流れていないため、ここでの熱交換は行われない。
液ガス熱交換器61の低圧側を通過した低圧のガス冷媒は、第1吸入管21aを介して四段圧縮機20に吸入される(点A)。
以上のように冷媒が冷媒回路内を循環することにより、空気調和装置1は暖房運転サイクルを行う。
(3)冷房運転時の通常制御
上述した冷房運転時には、制御部7は、第1、第2室内膨張弁12b、13b、過冷却膨張弁92、分離ガス膨張弁82、膨張機構70およびエコノマイザ膨張弁52について、通常制御、湿り制御、合流冷媒過熱度制御のいずれかを行う。
ここでは、このうちの冷房運転時の通常制御について説明する。なお、この冷房運転時の通常制御は、一例であって、特に以下に述べる制御に限定されるものではない。
冷房運転時の通常制御では、エコノマイザ膨張弁52は、通過後の冷媒圧力が臨界圧力以下となるようにしつつ、エコノマイザ熱交換器51から液ガス熱交換器61に向かう冷媒の温度が所定温度になるように弁開度(膨張程度)が制御される。
また、冷房運転時の通常制御では、膨張機構70は、膨張機71で回収できる動力をできるだけ大きく確保できるように制御される。
また、冷房運転時の通常制御では、分離ガス膨張弁82は、膨張機構70の下流側に設けられている中間温度センサ70tの検知飽和温度に相当する中間圧力と、第1吸入管21aに設けられている吸入圧力センサ21pの検知圧力と、から把握される差圧に相当する差圧を分離ガス膨張弁82の前後において生じさせることができるように弁開度(膨張程度)が制御される(差圧制御が行われる)。
また、冷房運転時の通常制御では、過冷却膨張弁92は、過冷却熱交換器91を通過して過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度が通常の目標過冷却度となるように(例えば、過冷却度が5度確保されるように)、過冷却膨張弁92の弁開度(膨張程度)が制御される。なお、過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度は、過冷却温度センサ90tの検知温度と、中間温度センサ70tの検知飽和温度に相当する中間圧力とから制御部7が算定している。
また、冷房運転時の通常制御では、第1室内膨張弁12bは、第1室内熱交換器12aの出口を流れる冷媒の過熱度が所定の設定過熱度となるように(目標蒸発出口過熱度条件を満たすように)第1室内膨張弁12bの弁開度(膨張程度)が制御される。なお、第1室内熱交換器12aの出口を流れる冷媒の過熱度は、第1室内温度センサ12tの検知温度と、吸入圧力センサ21pの検知圧力とから制御部7が算定させている。
また、冷房運転時の通常制御では、第2室内膨張弁13bも同様に、第2室内熱交換器13aの出口を流れる冷媒の過熱度が所定の設定過熱度(第1室内ユニット12と同様の値であっても異なっていてもよい。)となるように(目標蒸発出口過熱度条件を満たすように)第2室内膨張弁13bの弁開度(膨張程度)が制御される。なお、第2室内熱交換器13aの出口を流れる冷媒の過熱度は、第2室内温度センサ13tの検知温度と、吸入圧力センサ21pの検知圧力とから制御部7が算定させている。
なお、第1室内熱交換器12aが配置されている室内の負荷の処理は、図示しない第1室内熱交換器12aに対して空気流れを供給する第1室内ファンの風量を制御部7が調節することによって処理している。第2室内熱交換器13aが配置されている室内の負荷の処理についても同様に、図示しない第2室内熱交換器13aに対して空気流れを供給する第2室内ファンの風量を制御部7が調節することによって処理している。
なお、以上の通常制御を行っている場合において、過渡的な運転状態等を除く通常の状態では、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口を流れる冷媒には過熱度が十分に確保されており、過冷却インジェクション配管93を合流点65に向けて流れる冷媒についても過熱度が十分に確保されているため、合流点65で合流して液ガス熱交換器61の低圧側に流入する冷媒についても、十分な過熱度(例えば、3度以上)が確保された状態となっている(後述する表1参照)。
(4)冷房運転時の湿り制御
ここでは、冷房運転時の湿り制御について説明する。なお、この冷房運転時の湿り制御は、一例であって、特に以下に述べる制御に限定されるものではない。なお、この冷房運転時の湿り制御が開始されるための条件は、特に限定されるものではなく、制御部7が冷凍サイクルの運転状況に基づいて開始させてもよいし、コントローラ等を介してユーザからの開始指令等を受けて開始させてもよい。
冷房運転時の湿り制御では、エコノマイザ膨張弁52、膨張機構70、分離ガス膨張弁82、および、過冷却膨張弁92は、上記冷房運転時の通常制御と同様の制御が行われる。
また、冷房運転時の湿り制御では、第1室内膨張弁12bは、上述した冷房運転時の通常制御の場合と比べて弁開度を所定開度だけ増大させることで、第1室内熱交換器12aの出口を流れる冷媒が気液二相状態となるように制御される。
また、冷房運転時の湿り制御では、第2室内膨張弁13bも同様に、上述した冷房運転時の通常制御の場合と比べて弁開度を所定開度だけ(第1室内ユニット12と同様の値であっても異なっていてもよい。)増大させることで、第1室内熱交換器12aの出口を流れる冷媒が気液二相状態となるように制御される。
なお、第1、第2室内熱交換器12a、13aが配置されている室内の負荷の処理を、図示しない第1、第2室内ファンの風量を制御部7が調節することによって処理している点は通常制御と同様である。
(5)冷房運転時の合流冷媒過熱度制御
制御部7は、上述した冷房運転を行っている状態において、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度が正の値になるという所定過熱度条件を満たすように、合流冷媒過熱度制御を行う。
この合流冷媒過熱度制御を行う目的は、以下の通りである。すなわち、低圧冷媒配管19から第1吸入管21aへと流れる低圧冷媒と過冷却インジェクション配管93を流れる低圧冷媒とが合流した合流冷媒の温度が低過ぎる場合には、液ガス熱交換器61から膨張機構70に向かう冷媒が冷やされ過ぎてしまうことがある。すなわち、圧力―エンタルピ線図における高圧側であって低エンタルピ側の部分の冷媒(圧力―エンタルピ線図における左上の部分の冷媒)が、液ガス熱交換器61において冷やされ過ぎて、低エンタルピ側に行き過ぎてしまう(圧力―エンタルピ線図において左側に行き過ぎてしまう)ことがある。その場合には、膨張機構70において減圧された後の冷媒は、気液二相状態にすることができず、全ての冷媒が液単相状態になってしまうことがある。そうすると、レシーバ81に流入する冷媒が液単相状態になってしまうため、レシーバ81における気液分離機能を発揮させることができず、余剰冷媒の制御が困難となり、冷凍サイクルの低圧圧力が意図せずに減少してしまう問題がある。これに対して、この合流冷媒過熱度制御を行うことにより、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度が正の値になるという所定過熱度条件を満たす状態を維持させることで、上記問題を生じにくくさせることができる。
なお、所定過熱度条件は、特に限定されるものではないが、例えば、過熱度が0より大きい正の値になることであってもよいし、過熱度が1度以上であることであっ
てもよく、本実施形態では過熱度が3度以上であることとしている。
合流冷媒過熱度制御では、制御部7は、合流冷媒温度センサ64tと吸入圧力センサ21pから把握される過熱度が所定過熱度条件を満たすように、第1室内膨張弁12bと、第2室内膨張弁13bと、分離ガス膨張弁82と、過冷却膨張弁92と、の弁開度(減圧程度)を制御する。すなわち、本実施形態では、制御部7は、合流冷媒温度センサ64tと吸入圧力センサ21pから把握される冷媒の過熱度が、所定過熱度条件である3度に満たない状態になったことを検知すると、合流冷媒過熱度制御を開始する。なお、合流冷媒過熱度制御の終了時点は、特に限定されないが、制御のハンチングを抑制するために、所定過熱度条件を満たすだけでなく、さらに、所定過熱度条件の過熱度を1度もしくは2度上回った状態にさせるまで合流冷媒過熱度制御を継続して行うことが好ましい。
なお、冷房運転時の合流冷媒過熱度制御が行われている際の、第1室内膨張弁12bと、第2室内膨張弁13bと、分離ガス膨張弁82と、過冷却膨張弁92と、の弁開度(減圧程度)を制御について、冷房運転時の通常制御や湿り制御の場合と比較して説明する。
また、冷房運転時の合流冷媒過熱度制御には、以下の表1に示すように、第1合流冷媒過熱度制御〜第4合流冷媒過熱度制御の複数種類の合流冷媒過熱度制御がある。制御部7は、これらの制御を実行可能なように構成されている。
なお、冷房運転時の第1〜第4合流冷媒過熱度制御では、エコノマイザ膨張弁52は、通常制御の場合と同様に、通過後の冷媒圧力が臨界圧力以下となるようにしつつ、エコノマイザ熱交換器51から液ガス熱交換器61に向かう冷媒の温度が所定温度になるように弁開度(膨張程度)が制御される。また、冷房運転時の第1〜第4合流冷媒過熱度制御では、膨張機構70は、通常制御の場合と同様に、膨張機71で回収できる動力をできるだけ大きく確保できるように制御される。
第1合流冷媒過熱度制御は、通常制御を行っている場合に、制御部7が、合流冷媒温度センサ64tと吸入圧力センサ21pから把握される冷媒の過熱度が3度に満たない状態になったことを検知し、かつ、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口を流れる冷媒が湿り状態にあることを検出した場合に開始される。具体的には、制御部7が通常制御を行うことで、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口冷媒の過熱度が所定の設定過熱度になるように第1、第2室内膨張弁12b、13bの弁開度をそれぞれ制御している場合に、何らかの原因で設定過熱度に制御することができず、過渡的に湿り状態になってしまうと、第1合流冷媒過熱度制御が開始される。ここで、湿り状態になっているか否かは、制御部7が、吸入圧力センサ21pの検知圧力に相当する飽和温度と、第1、第2室内温度センサ12t、13tの検知温度とを比べることによって判断する。第1合流冷媒過熱度制御が開始されると、制御部7は、通常制御を行う際に第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口冷媒の過熱度を所定の設定過熱度にするために設定していた第1、第2室内膨張弁12b、13bの弁開度を、それぞれ所定の弁開度だけ下げて、絞る制御を行う。これにより、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口冷媒の過熱度が確保される状態に変化し、ひいては、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度を3度以上確保することができる。
第2合流冷媒過熱度制御は、湿り制御を行っている場合に、制御部7が、合流冷媒温度センサ64tと吸入圧力センサ21pから把握される冷媒の過熱度が3度に満たない状態になったことを検知し、かつ、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口を流れる冷媒が湿り状態にあることを検出した場合に開始される。具体的には、制御部7が湿り制御を行うことで、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口冷媒が湿り状態に調節されている場合に、第2合流冷媒過熱度制御が開始される。第2合流冷媒過熱度制御が開始されると、制御部7は、過冷却膨張弁92の制御および分離ガス膨張弁82の制御を、通常制御の場合とは異なるように制御する。過冷却膨張弁92については、制御部7は、過冷却熱交換器91を通過して過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度が通常の目標過冷却度となるように制御していた通常制御の状態から、所定の弁開度だけ下げて、絞る制御を行い、過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度を小さく変化させる。分離ガス膨張弁82については、制御部7は、差圧制御が行われていた通常制御の状態から、所定の弁開度だけ上げて、開く制御を行い、分離ガス配管80を流れるガス冷媒量を増大させ、過冷却インジェクション配管93を合流点65に向かって流れる冷媒の過熱度を増大させるように変化させる。これにより、過冷却インジェクション配管93を合流点65に向けて流れる冷媒の過熱度を増大させることができ、ひいては、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度を3度以上確保することができる。
第3合流冷媒過熱度制御は、通常制御を行っている場合に、制御部7が、合流冷媒温度センサ64tと吸入圧力センサ21pから把握される冷媒の過熱度が3度に満たない状態になったことを検知し、かつ、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口を流れる冷媒が湿り状態ではないことを検出した場合であって、過冷却熱交換器91から過冷却冷媒配管84へと流れる冷媒の目標過冷却度を小さくすることが許容される場合に開始される。ここで、冷媒の目標過冷却度を小さくすることが許容される場合としては、特に限定されないが、本実施形態では、目標過冷却度を小さく変更したとしてもなお過冷却度が十分に確保されており、第1、第2室内ユニット12、13に対して冷媒を液の状態を保ったまま供給することができる場合をいう。第3合流冷媒過熱度制御が開始されると、制御部7は、過冷却膨張弁92の制御を、通常制御の場合とは異なるように制御する。具体的には、制御部7は、過冷却熱交換器91を通過して過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度が通常の目標過冷却度となるように制御していた通常制御の状態から、所定の弁開度だけ下げて、絞る制御を行い、過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度を小さく変化させる。これにより、過冷却インジェクション配管93を合流点65に向けて流れる冷媒の過熱度を増大させることができ、ひいては、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度を3度以上確保することができる。
第4合流冷媒過熱度制御は、通常制御を行っている場合に、制御部7が、合流冷媒温度センサ64tと吸入圧力センサ21pから把握される冷媒の過熱度が3度に満たない状態になったことを検知し、かつ、第1、第2室内熱交換器12a、13aの出口を流れる冷媒が湿り状態ではないことを検出した場合であって、過冷却熱交換器91から過冷却冷媒配管84へと流れる冷媒の目標過冷却度を小さくすることが許容されない場合に開始される。第4合流冷媒過熱度制御が開始されると、制御部7は、分離ガス膨張弁82の制御を、通常制御の場合とは異なるように制御する。具体的には、制御部7は、分離ガス膨張弁82の制御について、差圧制御が行われていた通常制御の状態から、所定の弁開度だけ上げて、開く制御を行い、分離ガス配管80を流れるガス冷媒量を増大させ、過冷却インジェクション配管93を合流点65に向かって流れる冷媒の過熱度を増大させるように変化させる。これにより、過冷却インジェクション配管93を合流点65に向けて流れる冷媒の過熱度を増大させることができ、ひいては、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度を3度以上確保することができる。
(6)空気調和装置の特徴
空気調和装置1では、合流冷媒過熱度制御を行うことで、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度を確保させることで、液ガス熱交換器61において臨界圧力を超えた高圧冷媒が冷却されすぎることを防ぐことができている。これにより、膨張機構70で臨界圧力以下の圧力まで減圧され、レシーバ81の内部空間に送られる冷媒を、気液二相状態にすることが可能になる。これにより、レシーバ81における気液分離機能を発揮させることが可能になっている。したがって、余剰冷媒の制御が困難になること、ひいては冷凍サイクルの低圧圧力が意図せずに減少してしまうことを防止することが可能になっている。
また、空気調和装置1は、臨界圧力を超えた高圧冷媒を冷却させるエコノマイザ熱交換器51を備えることでエコノマイザ効果を奏することを可能にしている。ところが、エコノマイザ熱交換器51を備えることで、圧力―エンタルピ線図における高圧側であって低エンタルピ側の部分の冷媒(圧力―エンタルピ線図における左上の部分の冷媒)が、液ガス熱交換器61において冷やされ過ぎて、低エンタルピ側に行き過ぎてしまう(圧力―エンタルピ線図において左側に行き過ぎてしまう)状態が生じやすくなる。これに対して、この空気調和装置1では、このようにエコノマイザ熱交換器51を備えてエコノマイザ効果を奏するように構成した場合であっても、合流冷媒過熱度制御を行うことによって、余剰冷媒の制御が困難になることや冷凍サイクルの低圧圧力が意図せずに減少してしまうことを防止することを可能にしている。
さらに、空気調和装置1は、高圧側が臨界圧力を超えた状態で用いられているが、レシーバ81に流入する冷媒は膨張機構70によって臨界圧力以下の状態まで減圧されている。このため、レシーバ81に流入する冷媒は、超臨界状態ではなく、気液二相状態となり得る臨界圧力以下の冷媒にすることができている。しかも、上記合流冷媒過熱度制御が行われるため、レシーバ81には液単相状態の冷媒が流入することが無く、レシーバ81における気液分離機能を発揮させることが可能になっている。
(7)変形例
(7−1)変形例A
上記実施形態の空気調和装置1では、第1〜第3油分離器31a、32a、33aがそれぞれ第1吐出管21b、第2吐出管22b、第3吐出管23bに設けられた場合を例に挙げて説明した。
これに対して、第1圧縮部21、第2圧縮部22、第3圧縮部23から吐出される冷媒に含まれる潤滑油を分離させる油分離器としては、空気調和装置1の例に限られない。例えば、図6に示すように、第1圧縮部21、第2圧縮部22、第3圧縮部23から吐出される冷媒に含まれる潤滑油を分離させる第1〜第3油分離器231a、232a、233aをそれぞれ第1四路切換弁26、第2四路切換弁27、第3四路切換弁28と、第1〜第3室外熱交換器41〜43の間に設けた空気調和装置201であってもよい。
以下、上記の空気調和装置1との違いを中心に、変形例Aに係る空気調和装置201について説明する。図7は、空気調和装置201の冷房運転時の概略構成図、図8は、空気調和装置201の暖房運転時の概略構成図である。
第1油分離器231aは、第1配管41aの途中に設けられている。第1油分離器231aの容器の下端からは第1油戻し配管231bが延びている。この第1油戻し配管231bは、第1インタークーラ管41cのうち逆止弁よりも第2吸入管22a側に接続されている。さらに、第1油戻し配管231bは、第1油分離器231aの容器の下端から延びだした後に分岐して第1配管41aのうち第1油分離器231aよりも第1四路切換弁26側の部分に接続されている。ここには、第1配管41a側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁が設けられている(参照符号は省略)。また、第1油戻し配管231bのうち、第1インタークーラ管41c側に向けて延びている部分には、第1インタークーラ管41c側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁(参照符号は省略)と、当該逆止弁を通過した後に配置されたキャピラリーチューブ231cが設けられている。
第2油分離器232aは、第2配管42aの途中に設けられている。第2油分離器232aの容器の下端からは第2油戻し配管232bが延びている。この第2油戻し配管232bは、第2インタークーラ管42cのうち逆止弁よりも第3吸入管23a側に接続されている。さらに、第2油戻し配管232bは、第2油分離器232aの容器の下端から延びだした後に分岐して第2配管42aのうち第2油分離器232aよりも第2四路切換弁27側の部分に接続されている。ここには、第2配管42a側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁が設けられている(参照符号は省略)。また、第2油戻し配管232bのうち、第2インタークーラ管42c側に向けて延びている部分には、第2インタークーラ管42c側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁(参照符号は省略)と、当該逆止弁を通過した後に配置されたキャピラリーチューブ232cが設けられている。
第3油分離器233aは、第3配管43aの途中に設けられている。第3油分離器233aの容器の下端からは第3油戻し配管233bが延びている。この第3油戻し配管233bは、第3インタークーラ管43cのうち逆止弁よりも第4吸入管24a側に接続されている。さらに、第3油戻し配管233bは、第3油分離器233aの容器の下端から延びだした後に分岐して第3配管43aのうち第3油分離器233aよりも第3四路切換弁28側の部分に接続されている。ここには、第3配管43a側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁が設けられている(参照符号は省略)。また、第3油戻し配管233bのうち、第3インタークーラ管43c側に向けて延びている部分には、第3インタークーラ管43c側に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁(参照符号は省略)と、当該逆止弁を通過した後に配置されたキャピラリーチューブ233cが設けられている。
以上の空気調和装置201の冷房運転時には、図7において矢印で示す方向に冷媒が流れる。なお、冷房運転時の圧力―エンタルピ線図は、図3と同様であるため、説明を省略する。
また、空気調和装置201の暖房運転時には、図8において矢印で示す方向に冷媒が流れる。なお、暖房運転時の圧力―エンタルピ線図は、図5と同様であるため、説明を省略する。
この空気調和装置201では、上記実施形態の空気調和装置1とは異なり、第1吐出管21b、第2吐出管22b、第3吐出管23bには、第1〜第3油分離器31a、32a、33aが設けられていない。このため、特に、暖房運転時には、第1圧縮部21から第4圧縮部24の吸入側までの間を流れる吐出冷媒に対して、油分離器による熱損失が生じにくくなっている。これにより、暖房運転時に、高温高圧の冷媒を第1、第2室内ユニット12、13にまで届けやすくなっている。
(7−2)変形例B
上記実施形態や変形例Aでは、4段の圧縮を行う四段圧縮機20を採用する空気調和装置1、201を例に挙げて説明した。
しかし、レシーバ81における気液分離機能を発揮させて、余剰冷媒の制御が困難になること、ひいては冷凍サイクルの低圧圧力が意図せずに減少してしまうことを防止するためには、4段圧縮を行う空気調和装置ではなくてもよく、例えば、2段圧縮を行う空気調和装置であってもよい。
(7−3)変形例C
上記実施形態では、制御部7が、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度が、所定過熱度条件を満足しない状態になったことを検知すると、冷凍サイクルの状況を判断することで、第1〜第4合流冷媒過熱度制御のいずれかの制御を開始する場合を例に挙げて説明した。
しかし、液ガス熱交換器61の低圧側の入口を流れる冷媒の過熱度について、所定過熱度条件を満足させる状態にするために制御部7が行う制御としては、第1〜第4合流冷媒過熱度制御を個別に行うものに限られず、例えば、第1〜第4合流冷媒過熱度制御のうちの特定の制御の組合せを同時に行うようにしてもよい。
(7−4)変形例D
上記実施形態では、レシーバ81の気相冷媒を取り出す分離ガス配管80が、過冷却インジェクション配管93に合流するように構成された空気調和装置1を例に挙げて説明した。
しかし、レシーバ81の気相冷媒を取り出して第1吸入側21a側に送るための配管構成は、これに限られるものではない。例えば、図9に示すように、レシーバ81の気相冷媒を取り出すように延びた分離ガス配管380が、過冷却インジェクション配管93に合流することなく、第1吸入管21aに対して直接接続されるように構成された空気調和装置301であってもよい。この分離ガス配管380には、途中に分離ガス膨張弁82が設けられている。
この空気調和装置301では、液ガス熱交換器61の低圧側の入口の冷媒の過熱度について所定過熱度条件を満たすために行う合流冷媒過熱度制御としては、例えば、第1室内膨張弁12b、第2室内膨張弁13b、および、過冷却膨張弁92の少なくともいずれかの減圧程度(膨張程度)を調節することによって行うようにしてもよい。この変形例Dに係る合流冷媒過熱度制御では、分離ガス膨張弁82を、所定過熱度条件を満たすための制御対象から除外させることができる。
(7−5)変形例E
上記実施形態では、レシーバ81の気相冷媒を取り出す分離ガス配管80が、過冷却インジェクション配管93に合流するように構成された空気調和装置1を例に挙げて説明した。
しかし、レシーバ81の気相冷媒を取り出して第1吸入側21a側に送るための配管構成は、これに限られるものではない。例えば、図10に示すように、レシーバ81の気相冷媒を取り出すように延びた分離ガス配管480が、過冷却インジェクション配管93に合流することなく、合流点65に対して直接接続されるように構成された空気調和装置401であってもよい。この分離ガス配管480には、途中に分離ガス膨張弁82が設けられている。
この空気調和装置401では、液ガス熱交換器61の低圧側の入口の冷媒の過熱度について所定過熱度条件を満たすために行う合流冷媒過熱度制御としては、例えば、第1室内膨張弁12b、第2室内膨張弁13b、および、分離ガス膨張弁82の少なくともいずれかの減圧程度(膨張程度)を調節することによって行うようにしてもよい。分離ガス配管480のうち分離ガス膨張弁82で減圧された後の冷媒は、気液二相状態であって湿ってはいるが、その冷媒量は少なく、第1、第2室内熱交換器12a、13aを通過した大量の冷媒に過熱度が十分に付いている場合には、合流点65で合流した後の冷媒の過熱度を十分に確保することもできる。
この変形例Eに係る合流冷媒過熱度制御では、過冷却膨張弁92を、所定過熱度条件を満たすための制御対象から除外させることができる。すなわち、第1室内膨張弁12bと第2室内膨張弁13bと分離ガス膨張弁82の少なくともいずれかの弁開度が合流冷媒過熱度制御中に制御されている時でも、過冷却膨張弁92については、通常制御と同様に、過冷却熱交換器91を通過して過冷却冷媒配管84を流れる冷媒の過冷却度が通常の目標過冷却度となるように弁開度(減圧程度)を行い、合流冷媒過熱度制御における制御の対象から外してもよい。