以下、本発明の一実施形態に係るエレベータの戸開閉制御システム(以下、単に「制御システム」という)について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、前記エレベータのかご内に設置され、エレベータの戸の開閉に対する指示と行先階とを登録するかご操作部2と、エレベータの乗場に設置され、エレベータのかごを所定の階の乗場に移動させるための乗場呼部6と、エレベータの戸の開閉を制御する制御部3と、を備える。
かご操作部2は、エレベータの戸の戸閉信号を制御部3に送信する戸閉指示部21と、エレベータの戸の戸開信号を制御部3に送信する戸開指示部22と、登録された行先階の行先階信号を制御部3に送信する行先階登録部23とを有する。本実施形態では、かご操作部2は、特定利用者用のかご操作部2Aと一般利用者用のかご操作部2Bとを備え、各かご操作部2A,2Bが、戸閉指示部21、戸開指示部22、及び行先階登録部23を備える。よって、本実施形態では、戸閉指示部21は、特定利用者用の戸閉指示部21Aと、一般利用者用の戸閉指示部21Bとから構成されている。また、戸開指示部22は、特定利用者用の戸開指示部22Aと、一般利用者用の戸開指示部22Bとから構成されている。行先階登録部23は、特定利用者が行先階を登録するための特定利用者用の行先階登録部23Aと、一般利用者が行先階を登録するための一般利用者用の行先階登録部23Bとから構成されている。
本実施形態では、エレベータの特定利用者として、例えば、車椅子利用者、高齢者、身障者、怪我人、妊婦等の通常優先される利用者を対象としている。
本実施形態のかご操作部2は、エレベータのかごの内壁に設けられている。かご操作部2は、ボタン式の入力構造である。戸閉指示部21及び戸開指示部22は、単一ボタン、行先階登録部23は、建物の階数に応じたボタン群である。
特定利用者用のかご操作部2Aは、戸閉指示部21Aと、戸開指示部22Aと、行先階登録部23Aとを有する。また、一般利用者用のかご操作部2Bは、戸閉指示部21Bと、戸開指示部22Bと、行先階登録部23Bとを有する。特定利用者用のかご操作部2A及び一般利用者用のかご操作部2Bは、エレベータのかご内において別々の位置に設けられている。本実施形態では、特定利用者用のかご操作部2A及び一般利用者用のかご操作部2Bのそれぞれは、エレベータのかごの側壁に少なくとも一つ設けられている。本実施形態では、特定利用者用のかご操作部2Aは、かごの内壁における比較的低い位置に設けられている。
特定利用者用のかご操作部2A及び一般利用者用のかご操作部2Bは、戸閉指示、戸開指示、又は行先階が登録されると信号を送信するように構成されている。具体的には、戸閉指示部21A,21Bは、該戸閉指示部21A,21Bのボタンが操作されて戸閉指示が登録されると、戸閉信号を送信するように構成されている。また、戸開指示部22A,22Bは、該戸開指示部22A,22Bのボタンが操作されて戸開指示が登録されると、戸開信号を送信するように構成されている。行先階登録部23A,23Bは、該行先階登録部23A,23Bのボタン群が操作されて行先階が登録されると、行先階信号を送信するように構成されている。本実施形態では、一般利用者用の行先階登録部23Bが送信する信号を一般行先階信号とし、特定利用者用の行先階登録部23Aが送信する信号を特定行先階信号とする。戸閉指示部21A,21B、戸開指示部22A,22B、及び行先階登録部23A,23Bのそれぞれは、ボタンが押下されると制御部3に対して信号を送信する。
乗場呼部6は、エレベータの乗場に設置され、該乗場にエレベータのかごを移動させる乗場呼信号を制御部3に送信する。本実施形態では、乗場呼部6は、特定利用者用に設置された特定利用者用の乗場呼部61と、一般利用者用に設置された一般利用者用の乗場呼部62とを備え、特定利用者用の乗場呼部61は、特定乗場呼信号を送信するように構成され、一般利用者用の乗場呼部62は、一般乗場呼信号を送信するように構成されている。本実施形態の乗場呼部6は、ボタンが押下されると行先方向及び登録階の情報を含んだ乗場呼信号を送信する。
乗場呼部6は、各階に少なくとも一つ設けられている。乗場呼部6は、特定利用者用の乗場呼部61と一般利用者用の乗場呼部62とが区別可能な態様で乗場に設けられている。本実施形態では、特定利用者用の乗場呼部61は、一般利用者用の乗場呼部62よりも低い位置に設けられている。本実施形態の特定利用者用の乗場呼部61及び一般利用者用の乗場呼部62は、ボタンによって構成されている。
特定利用者用の乗場呼部61及び一般利用者用の乗場呼部62のそれぞれは、最下階及び最上階を除いて、上昇を指示する上昇指示部と下降を指示する下降指示部とを有する。特定利用者用の乗場呼部61及び一般利用者用の乗場呼部62のそれぞれは、最下階においては上昇指示部を有し、最上階においては下降指示部を有する。本実施形態において、乗場呼信号に応答するとは、エレベータのかごが、所定階に設けられた乗場呼部6の上昇指示部及び下降指示部のうちの少なくとも一方が操作されて送信された乗場呼信号に基づいて、前記所定階まで移動して停止することを意味している。
制御部3は、エレベータの運行の制御を行うエレベータ制御部4と、エレベータの戸の開閉を駆動するかご制御部5と、を備える。
エレベータ制御部4は、エレベータの戸の戸閉動作中に時間を計測する時間計測部41と、前記時間の計測開始から所定時間の間における戸閉信号の受信回数を計数する戸閉計数部42と、前記戸閉計数部の計数結果に基づいて前記戸の開閉の判断をする戸開閉判断部43と、乗降パターンと乗降時間とを関連付けて記憶する記憶部44と、乗降時間が長時間であるか短時間であるかを判定する乗降時間判定部45と、を有する。
時間計測部41は、戸閉動作中に時間を計測するように構成されている。本実施形態の時間計測部41は、戸閉動作中における所定の基準となる時点から時間を計測可能に、また、戸閉動作中以外における所定の基準となる時点から時間を計測可能に構成されている。本実施形態では、時間計測部41は、戸閉動作中の時間計測として、エレベータの戸の戸閉動作中で時間計測していない状態で受信した戸閉信号を基準に時間を計測する。具体的には、時間計測部41は、戸閉動作中における戸閉指示部21に対する最初の登録があった時点を基準に時間計測するように構成され、また、戸閉動作中における先の時間計測の後に、戸閉指示部21に対する最初の登録があった時点を基準に時間計測するように構成されている。
また、時間計測部41は、戸閉動作中以外の時間計測として、エレベータの戸の戸開動作が完了した時点から時間計測するように構成されている。時間計測部41は、時間の計測を開始したこと及び計測開始から所定時間経過したことを戸閉計数部42に通知する。本実施形態の時間計測部41は、タイマーである。
戸閉計数部42は、エレベータの戸の戸閉動作中に戸閉信号の受信回数を計数する。戸閉計数部42は、戸閉信号の計数結果を戸開閉判断部43に送信する。
戸閉計数部42は、時間計測部41が時間の計測を開始してから所定時間の間における最初の戸閉信号を含めて、戸閉信号を受信した回数を計数する。本実施形態では、所定時間の計測は、エレベータの戸の戸閉動作中の最初の戸閉信号から開始し、戸閉計数部42は、最初の戸閉信号を1回として、戸閉信号の受信回数の計数を開始する。また、本実施形態では、所定回数を1回と定めて、エレベータの戸の開閉を制御するようになっているが、詳しくは後述する。
より詳細に説明すると、戸閉計数部42は、特定利用者用の乗場呼部61の特定乗場呼信号又は特定利用者用の行先階登録部23Aの特定行先階信号の少なくとも一方を制御部3が受信し、該受信した信号に応答してエレベータのかごが所定階に停止したとき、エレベータの戸の戸閉動作中の戸閉信号の受信回数を計数する。また、戸閉計数部42は、一般利用者用の乗場呼部62の一般乗場呼信号と、一般利用者用の行先階登録部23Bの一般行先階信号の両方を制御部3が受信し、該受信した信号に応答してエレベータのかごが所定階に停止したとき、エレベータの戸の戸閉動作中の戸閉信号の受信回数を計数する。また、戸閉計数部42は、一般利用者用の乗場呼部62の一般乗場呼信号及び一般利用者用の行先階登録部23Bの一般行先階信号のうちの一方に応答してエレベータのかごが所定階に停止したとき、エレベータの戸の戸閉動作中の戸閉信号の受信回数の計数を開始しないものとなっている。
戸開閉判断部43は、戸開とすべきか戸閉とすべきかを判断するように構成され、制御部3は、該戸開閉判断部43の判断結果に基づいて、エレベータの戸の戸開制御又は戸閉制御を行う。具体的には、戸開閉判断部43は、制御部3が行先階信号及び乗場呼信号の少なくとも一方の信号を受信し、該受信した信号に応答してエレベータが所定階に停止したときに、戸開と判断して戸開信号をかご制御部5へ送信するように構成されている。
また、戸開閉判断部43は、かご操作部2から制御部3へ戸開信号又は戸閉信号が送信されたときに、戸開又は戸閉と判断して、戸開信号又は戸閉信号をかご制御部5へ送信するように構成されている。
より詳細に説明すると、戸開閉判断部43は、制御部3が戸開指示部22から戸開信号を受信すると、戸開と判断して戸開信号を送信する。戸開閉判断部43は、制御部3が戸閉指示部21から戸閉信号を受信すると、戸閉と判断して戸閉信号を送信する。また、戸開閉判断部43は、制御部3が戸閉指示部21から戸閉信号を受信すると、戸開と判断して戸開信号を送信するようにも構成されている。
制御部3が戸閉指示部21から戸閉信号を受信して、戸開閉判断部43が戸開と判断する場合について説明する。戸開閉判断部43は、戸閉動作中の所定時間の間における戸閉信号の計数結果が所定回数以下のときは、戸開と判断して、かご制御部5に対して戸開信号を送信し、前記計数結果が所定回数よりも多いときは、戸閉と判断して、かご制御部5に対して戸閉信号を送信する。本実施形態の戸開閉判断部43は、乗降時間判定部45によってエレベータに対する乗降時間が長時間であると判定された場合、戸閉動作中の所定時間の間における戸閉信号の計数結果が所定回数以下のときは、戸開と判断して、かご制御部5に対して戸開信号を送信し、前記計数結果が所定回数よりも多いときは、戸閉と判断して、かご制御部5に対して戸閉信号を送信する。また、戸開閉判断部43は、乗降時間判定部45によってエレベータに対する乗降時間が短時間であると判定された場合、前記戸閉計数部の計数結果が1回以上であると(即ち、戸閉指示部21から戸閉信号が少なくとも1回送信されると)戸閉と判断して、かご制御部5に対して戸閉信号を送信する。この場合、戸開閉判断部43は、制御部3が受信した戸閉信号を戸開信号に変換することによって、戸開信号をかご制御部5に送信してもよく、制御部3が受信した戸閉信号を消去して、戸開信号を作成し、かご制御部5に送信してもよい。
戸開閉判断部43は、戸開信号又は戸閉信号をかご制御部5へ送信するように構成されている。具体的には、戸開閉判断部43は、戸開信号を後述する戸開動作部51へ、戸閉信号を後述する戸閉動作部52へそれぞれ送信するように構成されている。
記憶部44は、乗場呼信号と行先階信号との受信組み合わせとエレベータに対する乗降時間の長短とを関連付けた情報を予め記憶する。図5に示すように、情報は、一般利用者用の乗場呼部62が押下されることで一般乗場呼信号を受信したかどうかと、特定利用者用の乗場呼部61が押下されることで特定乗場呼信号を受信したかどうかと、一般利用者用の行先階登録部23Bが押下されることで一般行先階信号を受信したかどうかと、特定利用者用の行先階登録部23Aが押下されることで特定行先階信号を受信したかどうかとの組み合わせと、乗降時間とを関連付けたテーブルである。図5は、各信号について受信が有った場合、受信が無かった場合、及び受信の有無を問わない場合を区別して、各信号の受信の組み合わせをケース1〜5として表している。このテーブルは、特定利用者用の乗場呼部61が押下されたときの特定乗場呼信号及び特定利用者用の行先階登録部23Aが押下されたときの特定行先階信号の少なくとも一方の信号を受信した場合を、乗降時間が長時間であるとして関連付けている。また、一般乗場呼信号と一般行先階信号との両方を受信した場合(受信した両方の信号に応答してエレベータのかごが所定階に停止した場合)を、乗降時間が長時間であるとして関連付けている。また、一般乗場呼信号及び一般行先階信号のうちの一方のみ受信している場合を、乗降時間が短時間であるとして関連付けている。
乗降時間判定部45は、乗場呼部6又は行先階登録部23が操作されることで受信した乗場呼信号又は行先階信号のうち、前記エレベータのかごが所定階に停止するために応答した乗場呼信号と行先階信号の一方又は両方と記憶部44に予め記憶された情報とに基づいて、乗降時間が長時間であるか短時間であるかを判定する。
乗降時間判定部45は、乗場呼信号及び行先階信号のうちの少なくとも一方の信号を制御部3が受信し、該受信した信号に応答してエレベータのかごが所定階に停止したときに、受信した信号の組み合わせに対応する乗降時間の長短を、記憶部44の情報に基づいて判定する。具体的には、乗降時間判定部45は、乗場呼信号及び行先階信号のうちの少なくとも一方の信号を制御部3が受信し、この信号に応答してエレベータのかごが所定階に停止したときに、テーブルを読み出し、受信した信号の組み合わせに当てはまるケースにおける乗降時間で、乗降時間の長短を判定する。例えば、制御部3が受信した信号が一般乗場呼信号のみであれば、テーブルでは、ケース1に該当するため、乗降時間判定部45は、乗降時間が短時間であると判定する。
各ケース2〜5について説明する。制御部3が受信した信号が一般行先階信号のみであれば、テーブルでは、ケース2に該当するため、乗降時間判定部45は、乗降時間が短時間であると判定する。制御部3が受信した信号に少なくとも特定乗場呼信号が含まれていれば、テーブルでは、ケース3に該当し、乗降時間判定部45は、乗降時間が長時間であると判定する。同様に、制御部3が受信した信号に少なくとも特定行先階信号が含まれていれば、テーブルでは、ケース4に該当し、乗降時間判定部45は、乗降時間が長時間であると判定する。制御部3が受信した信号が一般乗場呼信号と一般行先階信号であり、これらの信号が指定する階が一致し、且つ走行方向が一致している場合には、テーブルでは、ケース5に該当し、乗降時間判定部45は、乗降時間が長時間であると判定する。例えば、エレベータのかごが1階にあって、一般利用者用の行先階登録部23Bから5階の一般行先階信号が送信され、前記一般行先階信号に応答してエレベータのかごが1階から5階に走行する場合に、5階の一般利用者用の乗場呼部62が操作されて一般乗場呼信号が送信されたとする。この場合、該一般乗場呼信号が、一般利用者用の乗場呼部62の上昇指示部が操作されて送信されたものである場合には、エレベータのかごは、一般行先階信号及び一般乗場呼信号の両方に応答して5階に停止し、乗降時間判定部45は、乗降時間が長時間であると判定する(ケース5)。これに対して、該一般乗場呼信号が、一般利用者用の乗場呼部62の下降指示部が操作されて送信されたものである場合には、エレベータのかごは、該一般乗場呼信号に応答することなく、一般行先階信号のみに応答して5階に停止し、乗降時間判定部45は、乗降時間が短時間であると判定する(ケース2)。このように、乗降時間判定部45は、各階毎に、エレベータのかごが停止するために応答した乗場呼信号と行先階信号の一方又は両方と記憶部44に予め記憶された情報とに基づいて、乗降時間が長時間であるか短時間であるかを判定する。
乗降時間判定部45は、乗降時間の長短を判定したら、その停止している階におけるエレベータの戸の開閉制御を選択する。具体的には、乗降時間判定部45は、乗降時間が長時間であると判定したら、後述する特別処理S100を選択し、乗降時間が短時間であると判定したら、後述する一般処理SS100を選択する。
かご制御部5は、エレベータの戸の戸開制御を行う戸開動作部51と、エレベータの戸の戸閉制御を行う戸閉動作部52とを有する。
戸開動作部51は、戸開閉判断部43からの戸開信号に基づいてエレベータの戸の戸開制御を行う。また、戸開動作部51は、戸開閉判断部43からの戸開信号の長さに応じて、エレベータの戸の戸開状態を継続させる。
戸閉動作部52は、戸開閉判断部43からの戸閉信号に基づいてエレベータの戸の戸閉動作を行う。
以下、本実施形態に係る制御システム1の動作について、図2〜図4を参照しつつ説明する。ここで、特別処理S100とは、戸閉動作中の戸閉信号の受信回数に応じてエレベータの戸の開閉が制御されるフローであり、一般処理SS100とは、戸閉動作中の戸閉信号の受信回数によらずエレベータの戸の開閉が制御される、一般的なフローである。
まず、図2に示すように、何れかの階で停止中のエレベータに対して、所定の階の乗場呼部6からの乗場呼信号(ステップST1)によって、エレベータの走行が開始する(ステップST2)。
エレベータが所定階に停止すると(ステップST3のYES)、乗降時間判定部45は、特定利用者用の乗場呼部61の特定乗場呼信号又は特定利用者用の行先階登録部23Aの特定行先階信号の少なくとも一方に応答して所定階に停止した場合、又は一般利用者用の乗場呼部62の一般乗場呼信号と、一般利用者用の行先階登録部23Bの一般行先階信号の両方に応答して所定階に停止した(一般行先階信号により指定された階と一般乗場呼信号が発せられた階とが一致、且つ最上階及び最下階を除いてエレベータのかごの走行方向と一般乗場呼信号の呼び方向が一致)場合に、記憶部44に記憶しているテーブルを用いて、乗場呼部6又は行先階登録部23が操作されて受信した信号に対応する乗降時間を長時間であると判定して、フローを特別処理S100へと進める(ステップST4のYES)。乗降時間判定部45は、特定利用者用の乗場呼部61の特定乗場呼信号及び特定利用者用の行先階登録部23Aの特定行先階信号が無く、且つ一般利用者用の乗場呼部62の一般乗場呼信号又は一般利用者用の行先階登録部23Bの一般行先階信号の一方に応答して所定階に停止した場合、前記テーブルを用いて、乗場呼部6又は行先階登録部23が操作されて受信した信号に対応する乗降時間を短時間であると判定して、フローを一般処理SS100へと進める(ステップST4のNO)。
制御部3は、特別処理S100が完了するか又は一般処理SS100が完了すると、全てのサービスが完了したかを判断する(ステップST5)。全てのサービスの完了とは、エレベータのかご操作部2からの行先階信号及び乗場呼部6からの乗場呼信号が無い状態で、かつエレベータのかご内に乗客がいない状態であり、エレベータが最後に応答して所定階に停止した状態をいう。全サービスが完了していない場合(かご操作部2からの行先階信号又は乗場呼部6からの乗場呼信号がある場合、ステップST5のNO)には、ステップST2に戻って、エレベータのかごは、次の所定階に向けて走行を開始する。全サービスが完了している場合には(ステップST5のYES)、ステップST1に戻って、エレベータのかごは、乗場呼部6からの乗場呼信号を待つことになる。
以下、特別処理S100へ進むフローについて図3を参照しつつ説明する。
まず、特別処理S100が開始すると、戸開閉判断部43が戸開動作部51へ戸開信号を送信し、戸開動作部51は、エレベータの戸の戸閉状態から戸開動作を開始させ(ステップS17)、戸開動作が完了する(ステップS18)。そして、制御部3は、戸開状態における戸開信号又は戸閉信号受信の有無を判断する(ステップS19)。
ステップS19において、信号を受信したと判断されると、該信号が戸閉信号であるか否かが判断される(ステップS23)。ステップS23において、該信号が戸閉信号であると判断されると、戸開閉判断部43は、戸閉信号を戸閉動作部52へ送信する。ステップS23において、該信号が戸閉信号でないと判断されると、再度、戸開状態における信号受信の有無の判断が行われる(ステップS19)。
ステップS19において、信号を受信していないと判断されると、フローは、ステップS20へと進む。ステップS20において、エレベータの戸の戸開動作完了から戸閉を開始させるまでの時間として設定された設定時間が経過したかが判断され、設定時間が経過したと判断されると(ステップS20のYES)、戸開閉判断部43は、戸閉信号を戸閉動作部52へ送信する。このように、戸開閉判断部43は、信号が戸閉信号であると判断されるか、又は戸開動作完了から設定時間が経過すると、戸閉信号を戸閉動作部52に送信し、戸閉動作が開始される(ステップS0)。
ステップS0において、戸閉動作部52は、戸閉動作を開始させ、フローは、ステップS1へと進む。ステップS1において、制御部3は、戸閉動作中の戸開信号又は戸閉信号受信の有無を判断する。
ステップS1において、信号を受信したと判断されると、該信号が戸閉信号であるか否かが判断される(ステップS3)。ステップS3において、該信号が戸閉信号であると判断されると、フローは、ステップS2へと進む。ステップS3において、該信号が戸閉信号でないと判断されると、戸開閉判断部43は、戸開信号を戸開動作部51に送信すると共に、フローは、ステップS17へ戻り、戸開動作部51は、戸開動作を開始させる。
そして、上記のステップS17からステップS0へ至るフローに沿って、戸閉動作が開始される(ステップS0)。このように、戸閉動作中に受信した信号が戸閉信号でないと判断されると(ステップS3のNO)、フローは、ステップS3からステップS17へ戻る(第5ループR5、図3参照)。
ステップS1において、信号を受信していないと判断されると、フローは、ステップS4へと進む。そして、戸閉が完了するまで、信号受信の有無が判断される(ステップS4のNOからステップS1へ戻る第2ループR2)。最終的に戸閉が完了し(ステップS4のYES)、特別処理S100が完了する(ステップS14)。
ステップS1に戻って説明する。ステップS1において、信号を受信したと判断され、ステップS3において、該信号が戸閉信号であると判断されると、フローは、ステップS2へと進む。ステップS2において、戸閉信号の受信回数として1が設定され(C=1)、フローは、ステップS13へと進む。ステップS13において、タイマーが起動され、時間計測部41は、1回目の戸閉信号受信時からの時間の計測を開始し、戸閉計数部42は、戸閉信号の受信回数の計数を開始する。フローは、ステップS6へと進み、この時点で戸閉動作中である場合には(ステップS6のNO)、フローは、ステップS7へと進む。
ステップS7において、1回目の戸閉信号から所定時間経過したかが判断される。本実施形態では、所定時間として、1又は2秒が予め設定されている。
フローがステップS1からステップS3、ステップS2、ステップS13及び、ステップS6を経由してステップS7まで進む時間は非常に短いため、ステップS1において信号受信の有無が判断され、ステップS3において該信号が戸閉信号であると判断されると、フローは、即座にステップS7に至る。そのため、戸閉動作中において、フローが最初にステップS7へ進んだ時点では、1回目の戸閉信号から所定時間経過していない状態となる。そのため、最初のステップS7においては、所定時間が未経過であると判断され(ステップS7のNO)、フローは、ステップS9へと進む。
まず、1回目の戸閉信号から所定時間が未経過である場合のフローについて説明する。ステップS9において、制御部3は、戸開信号又は戸閉信号受信の有無を判断する。
ステップS9において、信号を受信したと判断されると、該信号が戸閉信号であるか否かが判断される(ステップS10)。これに対して、ステップS9において、信号を受信していないと判断されると、戸閉信号の受信回数として1が設定された状態で(C=1)、フローは、ステップS6へ戻る(第3ループR3)。
ステップS10において、該信号が戸閉信号であると判断されると、フローは、ステップS22へと進む。ステップS22において、1回目の戸閉信号から所定時間経過したか否かが判断され、所定時間が経過していないと判断されると(ステップS22のNO)、フローは、ステップS11へと進み、戸閉信号の受信回数に1が加算される(C=1+1)。そして、フローは、ステップS6へ戻る(第8ループR8)。ステップS22において、所定時間が経過したと判断されると、戸閉信号の受信回数に1が加算されることなく、フローは、ステップS6へ戻る(第9ループR9)。
ステップS10において、信号が戸閉信号でないと判断されると、フローは、ステップS17へ戻り、戸開動作部51は、戸開動作を開始させる。そして、上記のステップS17からステップS0へ至るフローに沿って、戸閉動作が開始される(ステップS0)。このように、1回目の戸閉信号の受信後に受信した信号が戸閉信号でない場合(即ち、戸開信号である場合、ステップS10のNO)、フローは、ステップS10からステップS17へ戻る(第6ループR6、図3参照)。
ステップS9において、信号を受信したか否かが判断された後、ステップS6に戻った場合の、ステップS6以降のフローについて説明する。ステップS9、ステップS22、又はステップS11からステップS6に戻った時点で戸閉動作中である場合には(ステップS6のNO)、フローは、再度、ステップS7へと進む。そして、ステップS7において、所定時間が経過したと判断されるまで、フローは、ステップS7からステップS9へと進み、信号受信の有無が判断される(ステップS9)。
ステップS9以降の繰り返しの処理については上記と同様である。
これに対して、ステップS9、ステップS22、又はステップS11からステップS6に戻った時点で戸閉が完了している場合には(ステップS6のYES)、ステップS21においてタイマーがストップし、特別処理S100が完了する(ステップS14)。
次に、戸閉動作中の1回目の戸閉信号から所定時間が経過した場合のフローについて説明する。フローが、第3ループR3、又は第8ループR8を回っている間に所定時間が経過すると(ステップS7のYES)、フローは、ステップS8へと進む。ステップS8において、戸閉信号の受信回数が所定回数以下であるか否か(C≦所定回数であるか否か)が判断される。本実施形態では、所定回数として1が設定されている。そのため、所定時間の間に複数の戸閉信号を受信していない場合には、ステップS8において、戸閉信号の受信回数が1(C=1)であるとして、戸閉信号の受信回数が所定回数以下であると判断される(ステップS8のYES)。この場合、戸開閉判断部43は、戸開すべきと判断し、戸開信号を戸開動作部51へ送信する。そして、フローは、ステップS17へ戻り、戸開動作部51は、戸開閉判断部43からの戸開信号に基づいて戸開動作を開始させる。
そして、上記のステップS17からステップS0へ至るフローに沿って、戸閉動作が開始される(ステップS0)。このように、所定時間の間に複数の戸閉信号を受信していない場合には(ステップS8のYES)、フローは、ステップS8からステップS17へ戻る(第7ループR7、図3参照)。
これに対して、所定時間の間に複数の戸閉信号を受信した場合には、ステップS8において、戸閉信号の受信回数が所定回数よりも多いと判断される(ステップS8のNO)。この場合、戸開閉判断部43は、戸閉すべきと判断し、戸閉信号を戸閉動作部52へ送信する。その結果、戸閉動作が継続され、フローは、ステップS9へと進む。ステップS9において、信号を受信したと判断され、且つ該信号が戸閉信号であると判断されても(ステップS10のYES)、戸閉動作中の1回目の戸閉信号から所定時間が経過しているため(ステップS22のYES)、戸閉信号の受信回数が計数されることなく、フローは、ステップS22からステップS6へ戻る(第9ループR9)。最終的に戸閉が完了(ステップS6のYES)し、特別処理S100が完了する(ステップS14)。
以下、一般処理SS100へ進むフローについて図4を参照しつつ説明する。
まず、一般処理SS100が開始すると、戸開閉判断部43が戸開動作部51へ戸開信号を送信し、戸開動作部51は、エレベータの戸の戸閉状態から戸開動作を開始させ(ステップSS10)、戸開動作が完了する(ステップSS11)。そして、制御部3は、戸開状態における戸開信号又は戸閉信号受信の有無を判断する(ステップSS12)。
ステップSS12において、信号を受信したと判断されると、該信号が戸閉信号であるか否かが判断される(ステップSS15)。ステップSS15において、該信号が戸閉信号であると判断されると、戸開閉判断部43は、戸閉信号を戸閉動作部52へ送信する。ステップSS15において、該信号が戸閉信号でないと判断されると、再度、戸開状態における信号受信の有無の判断が行われる(ステップSS12)。
ステップSS12において、信号を受信していないと判断されると、フローは、ステップSS13へと進む。ステップSS13において、エレベータの戸の戸開動作完了から戸閉を開始させるまでの時間として設定された設定時間が経過したかが判断され、設定時間が経過したと判断されると(ステップSS13のYES)、戸開閉判断部43は、戸閉信号を戸閉動作部52へ送信する。このように、戸開閉判断部43は、信号が戸閉信号であると判断されるか、又は戸開動作完了から設定時間が経過すると、戸閉信号を戸閉動作部52に送信し、戸閉動作が開始される(ステップSS0)。
ステップSS0において、戸閉動作部52は、戸閉動作を開始させ、フローは、ステップSS3へと進む。ステップSS3において、制御部3は、戸閉動作中の戸開信号又は戸閉信号受信の有無を判断する。
ステップSS3において、信号を受信したと判断されると、該信号が戸閉信号であるか否かが判断される(ステップSS16)。ステップSS16において、該信号が戸閉信号であると判断されると、フローは、ステップSS4へと進む。ステップSS16において、該信号が戸閉信号でないと判断されると、戸開閉判断部43は、戸開信号を戸開動作部51に送信すると共に、フローは、ステップSS10へ戻り、戸開動作部51は、戸開動作を開始させる。そして、上記のSS10からSS0へ至るフローに沿って、戸閉動作が開始される(ステップSS0)。このように、戸閉動作中に受信した信号が戸閉信号でないと判断されると(ステップSS16のNO)、フローは、ステップSS16からステップSS10へ戻る(第4ループR4)。
ステップSS3において、信号を受信していないと判断されると、フローは、ステップSS4へと進む。そして、戸閉が完了するまで、信号受信の有無が判断される(ステップSS4のNOからステップSS3へ戻る第1ループR1)。最終的に戸閉が完了し(ステップSS4のYES)、一般処理SS100が完了する(ステップSS14)。
以上のように、本実施形態に係るエレベータの戸開閉制御システム1は、エレベータの戸の開閉を制御する制御部3と、前記エレベータのかご内に設置され、前記戸の戸閉信号を前記制御部3に送信する戸閉指示部21を有するかご操作部2と、を備えたエレベータの戸開閉制御システム1において、前記制御部3は、前記戸の戸閉動作中に時間を計測する時間計測部41と、前記時間計測部41の計測開始から所定時間の間における戸閉信号の受信回数を計数する戸閉計数部42と、前記戸閉計数部42の計数結果に基づいて前記戸の開閉の判断をする戸開閉判断部43と、を備え、且つ前記戸閉計数部42の計数結果が所定回数以下のときは、前記戸開閉判断部43が戸開と判断し、前記戸を戸開制御し、前記戸閉計数部42の計数結果が所定回数よりも多いときは、前記戸開閉判断部43が戸閉と判断し、戸閉動作を継続する。
かかる構成によれば、時間計測部41は、エレベータの戸の戸閉動作中に時間を計測し、戸閉計数部42は、時間計測部41の計測開始から所定時間の間に受信した戸閉信号の回数を計数する。そして、戸開閉判断部43は、計数結果に基づいてエレベータの戸の開閉を判断し、その判断結果に基づいて制御部3が戸の開閉を制御する。具体的には、戸閉動作中の所定時間の間における戸閉信号の受信回数が所定回数以下のときには、戸開閉判断部43が戸開と判断すると、制御部3が戸を戸開制御する。これに対して、戸閉動作中における戸閉信号の受信回数が所定回数よりも多いときには、戸開閉判断部43が戸閉と判断すると、制御部3が戸閉動作を継続する。
従って、エレベータの利用者が、戸閉動作中の所定時間の間に戸開操作と誤って戸閉操作を行った回数が所定回数以下の場合には、戸閉動作を戸開動作に切り替えることができ、また、早く戸閉させようとして戸閉操作を行った回数が所定回数より多い場合には、戸閉動作を継続することができる。
本実施形態において、エレベータの乗場に設置され、前記乗場に前記エレベータのかごを移動させる乗場呼信号を前記制御部3に送信する乗場呼部6を備え、前記かご操作部2は、登録された行先階の行先階信号を前記制御部3に送信する行先階登録部23を有し、前記制御部3は、乗場呼信号と行先階信号との受信組み合わせと前記エレベータに対する乗降時間の長短とを関連付けた情報を予め記憶する記憶部44と、前記乗場呼部6又は前記行先階登録部23が操作されることで受信した乗場呼信号又は行先階信号のうち、前記エレベータのかごが所定階に停止するために応答した乗場呼信号と行先階信号の一方又は両方と前記記憶部44に予め記憶された情報とに基づいて、乗降時間が長時間であるか短時間であるかを判定する乗降時間判定部45と、を有し、前記乗降時間判定部45によって前記乗降時間が長時間であると判定された場合、前記エレベータのかごが所定階に停止したときに、前記戸閉計数部42の計数結果が所定回数以下のときは、前記戸開閉判断部43が戸開と判断し、前記戸を戸開制御し、前記戸閉計数部42の計数結果が所定回数よりも多いときは、前記戸開閉判断部43が戸閉と判断し、戸閉動作を継続し、前記乗降時間判定部45によって前記乗降時間が短時間であると判定された場合、前記エレベータのかごが所定階に停止したときに、前記戸閉計数部42の計数結果が1回以上のときは、前記戸開閉判断部43が戸閉と判断し、戸閉動作を継続する。
乗降時間を長時間要する場合には、エレベータの戸を長時間開放する必要があることから、戸閉動作が開始されたときに戸開に切り替えることも必要となり、誤操作が起こり得る。一方、乗降時間が短時間でよい場合には、戸の開放を延長させる必要もないため、誤操作が起こり難い。そこで、上記エレベータの戸開閉制御システム1によれば、乗降時間が長時間であると判定された場合には、戸閉信号の受信回数に応じて戸の開閉が制御され、乗降時間が短時間であると判定された場合には、戸閉信号の受信回数によらず、戸閉動作が継続されるため、乗降時間が長時間となる場合と短時間となる場合とで、エレベータの戸に対して異なった開閉制御を行うことができ、利用者のエレベータに対する乗降状況に応じて、エレベータの戸の開閉制御を行うことができる。
本実施形態において、前記かご操作部2は、特定利用者用に設置された特定利用者用の行先階登録部23Aであって、登録すべき行先階に関する特定行先階信号を前記制御部3に送信する特定利用者用の行先階登録部23Aを有し、前記乗場呼部6は、特定利用者用に設置された特定利用者用の乗場呼部61であって、前記乗場にエレベータのかごを移動させる特定乗場呼信号を前記制御部3に送信する特定利用者用の乗場呼部61を有し、前記乗降時間判定部45は、前記特定行先階信号又は前記特定乗場呼信号の少なくとも一方を受信し、前記エレベータのかごが該受信した信号に応答して所定階に停止したときに、前記乗降時間が長時間であると判定する。
このようにすれば、特定利用者がエレベータを利用する場合に、エレベータの戸の戸閉動作中の戸閉信号の受信回数に応じて戸の開閉が制御される。そのため、かかる構成のエレベータの戸開閉制御システム1は、乗降に時間を要するケースで戸閉動作中に誤操作があっても、エレベータの戸の戸開動作を開始させることができる。
本実施形態において、前記かご操作部2は、一般利用者用に設置された一般利用者用の行先階登録部23Bであって、登録すべき行先階に関する一般行先階信号を前記制御部3に送信する一般利用者用の行先階登録部23Bを有し、前記乗場呼部6は、一般利用者用に設置された一般利用者用の乗場呼部62であって、前記乗場にエレベータのかごを移動させる一般乗場呼信号を前記制御部3に送信する一般利用者用の乗場呼部62を有し、前記乗降時間判定部45は、前記一般行先階信号及び前記一般乗場呼信号の両方を受信し、前記エレベータのかごが前記受信した両方の信号に応答して所定階に停止したときに、前記乗降時間が長時間であると判定し、前記一般行先階信号又は前記一般乗場呼信号の一方を受信し、前記エレベータのかごが前記受信した一方の信号に応答して所定階に停止したときに、前記乗降時間が短時間であると判定する。
このようにすれば、所定階で、エレベータから降りる一般利用者と乗場からエレベータに乗る一般利用者とが存在する場合に、乗降時間が長時間となるとして、エレベータの戸の戸閉動作中の戸閉信号の受信回数に応じて戸の開閉が制御される。また、所定階で、エレベータから降りる一般利用者のみ、又は乗場からエレベータに乗る一般利用者のみ存在する場合には、乗降時間が短時間であるとして、戸閉信号の受信回数によらず、戸閉動作が継続される。そのため、かかる構成のエレベータの戸開閉制御システム1は、一般利用者がエレベータを利用する場合に、乗降に時間を要するケースと要さないケースとを区別してエレベータの戸の開閉を制御することができる。
本実施形態において、前記時間の計測は、前記戸の戸閉動作中で時間計測していない状態で受信した戸閉信号の受信時から開始され、前記戸閉計数部42は、前記時間計測していない状態で受信した戸閉信号を含めて前記所定時間の間における戸閉信号の受信回数を計数する。
かかる構成によれば、戸閉動作中における最初の戸閉信号の受信時から、所定時間内における戸閉信号の受信回数に応じて、戸開又は戸閉の判断を行うことができるだけでなく、戸閉完了までに、戸閉動作中で時間計測していない状態で受信した戸閉信号(最初の戸閉信号以外の戸閉信号)によっても、所定時間内における戸閉信号の受信回数に応じて、戸開又は戸閉の判断を行うことができる。また、戸閉計数部42は、戸閉動作中における所定時間の間だけ戸閉信号を計数すればよいものとなっている。更に、かかる構成によれば、戸閉信号の受信開始と同時に時間の計測が開始されるため、制御を簡単にすることができる。
本実施形態において、前記所定時間は数秒以内である。このようにすれば、エレベータの戸が戸開状態から戸閉状態となるまでの限られた時間の間に、戸閉動作中の戸閉信号の受信回数に応じてエレベータの戸の開閉が制御される。
本実施形態において、前記所定回数は1回である。かかる構成によれば、戸閉動作中における所定時間の間に戸閉信号が1回である場合には、エレベータの戸の戸開動作が開始され、複数回である場合には、エレベータの戸の戸閉動作が継続される。通常、利用者は、戸閉動作中に戸を開けようとして戸開操作を一度行うことから、誤って戸閉操作を行った場合でも、戸閉指示部21から制御部3に対して戸閉信号が1回送信されると考えられる。そのため、かかる構成によれば、利用者のより現実的な行動に即して、エレベータの戸の開閉が制御されることとなる。
上記実施形態では、戸閉計数部42が、戸閉動作中の最初の戸閉信号の受信後の所定時間の間に複数の戸閉信号があったと判断すると、戸閉が完了するまでの間に、戸閉信号を何度受信しても、戸閉動作が継続する。そのため、エレベータの戸は、利用者の意図したとおりに戸閉動作を継続する。従って、早く戸閉を完了させたいという利用者の焦りから起こる行動に対して、矛盾を生じさせることがない。このように、本実施形態に係る制御システム1は、利用者に対して、不快感を与えることを防止することができる。
上記実施形態では、戸閉動作中の何れの時点で戸開信号が送信されたとしても、必ず戸開動作が開始することとなる。従って、戸閉動作中に戸開信号が送信された場合に、エレベータの戸に利用者が挟まれるのを防止することができる。
尚、本発明の制御システム1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態では、特に言及しなかったが、図5に示す、エレベータの乗降時間が短時間であると判定されるケース1及びケース2は、乗場及びかご内の一方から一般利用者が乗降するケースであると考えられるため、戸閉動作中に誤操作が起こり難く、仮に誤操作が起こっても問題なく対処可能であると想定される。
上記実施形態では、乗降時間判定部45は、制御部3が受信した信号に応答してエレベータのかごが所定階に停止したときに、乗降時間の長短を判定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。乗降時間判定部45は、エレベータの走行中においても、乗降時間の長短を判定してもよい。
また、上記実施形態では、特に言及しなかったが、一般利用者用の行先階登録部23B及び一般利用者用の乗場呼部62の双方から信号が送信され、一般行先階信号により指定された階と一般乗場呼信号が発せられた階(以下、それぞれの階を「行先階」とする)とが一致している場合でも、エレベータの走行方向と、一般利用者用の乗場呼部62の一般乗場呼信号における行先方向が異なっている場合には、フローは、一般処理SS100へと進む。つまり、一般行先階信号及び一般乗場呼信号の双方における行先階と行先方向とが一致した場合には、特別処理S100へと進み、行先階が一致していても行先方向が異なる場合には、一般処理SS100へと進む。例えば、最上階と最下階とを除く階において、エレベータが1階から上昇する際に、5階の一般利用者用の乗場呼部62から送信された一般乗場呼信号に下降信号が含まれ、エレベータのかご内において目的階として5階及び7階が入力されたケースでは、5階では一般利用者の降車のみであるため(即ち、利用者は乗場からエレベータに乗り込まない)、乗降時間は短時間となると考えられる。ここで、最上階と最下階とを除く階としたのは、行先階が一致した階が最上階又は最下階であるときは、必ずエレベータに対する乗降があり、乗降時間は長時間となると考えられるからである。
上記実施形態では特に言及しなかったが、エレベータのかごが所定階に停止するために応答した信号に基づいて、エレベータの戸の戸開が完了してから戸閉が開始されるまでの時間(例えば、図3及び図7のステップS24におけるタイマースタートからステップS25におけるタイマーストップまでの時間、図4のステップSS17におけるタイマースタートからステップSS18におけるタイマーストップまでの時間)が異なるように設定されていてもよい。具体的には、エレベータのかごが所定階に停止するために応答した信号に、特定乗場呼信号及び特定行先階信号の少なくとも一方が含まれる場合には、エレベータに対する乗降に時間を要するものと考えられるため、一般乗場呼信号又は一般行先階信号のみを受信して所定階に停止したときよりもエレベータの戸の戸開が完了してから戸閉が開始されるまでの時間が長く設定されていてもよい。
上記実施形態では特に言及しなかったが、戸開閉判断部43は、戸開時間を変化させる信号をかご制御部5に送信してもよい。例えば、戸開閉判断部43が、エレベータの停止中に特定利用者が利用する戸開指示部22Aから戸開信号があったか、又は特定利用者用の乗場呼部61の特定乗場呼信号があったと判断すると、戸開動作部51に対して、戸開時間を通常より長くする旨の信号を送信し、戸を通常より長い時間戸開させてもよい。これにより、乗降時間が長時間となる場合でも、安全に利用者を乗降させることができる。
上記実施形態では、特に言及しなかったが、かご制御部5は、図6に示すように、エレベータの戸の戸閉動作を所定時間の間停止させる戸閉動作停止部53を備え、戸閉動作停止部53は、戸閉動作中における最初の戸閉信号から所定時間の間、エレベータの戸の戸閉動作を停止させるようにしてもよい。このようにすれば、最初の戸閉信号から所定時間の間エレベータの戸の戸閉動作が停止するため、該所定時間の間に利用者の乗降があっても、利用者がエレベータの戸に挟まれるのを防止することができる。
具体的には、図7に示すように、ステップS13において、タイマーが起動された後、フローは、ステップS15へと進む。ステップS15において、戸閉動作停止部53は、戸開閉判断部43から戸閉動作を所定時間の間停止させることを指示する信号を受信して、戸閉動作を所定時間の間停止させる。
また、ステップS7において、戸閉動作中における最初の戸閉指示から所定時間経過したと判断されると、ステップS16において、戸閉動作停止部53は、戸閉動作の停止を解除し、戸閉動作を再開させる。
また、この場合、図7に示すように、ステップS3において、戸閉動作中に受信した信号が戸閉信号であると判断された場合、ステップS2において、1回目の戸閉信号があったことを意味するカウンター値に0が設定(C=0)されるようにしてもよい。そして、所定時間の間に戸閉信号を更に受信したと判断されると(ステップS10のYES)、ステップS11において、所定時間の間に複数の戸閉信号を受信したことを意味するカウンター値に1が設定(C=1)されるようにし、ステップS8において、カウンター値が0であるか否かが判断されるようにしてもよい。その他のフローについては、上記実施形態と共通しているため、説明は割愛する。
上記実施形態では、特定利用者又は一般利用者による利用を識別して、フローを特別処理S100又は一般処理SS100へ進めるかを決定することを前提としたが、これに限定されるものではない。本発明に係る制御システム1は、特定利用者又は一般利用者による利用に関わらず、特定利用者及び一般利用者による利用のパターンの全てにおいて(例えば図5のケース1〜5の全て)、フローを特別処理S100へ進めるものであってもよい。また、特定のケースにおいてのみ、フローを特別処理S100へ進めるものであってもよい。
上記実施形態では、特に言及しなかったが、戸開動作中に戸閉操作によって戸が全開する前に戸閉動作を行うエレベータにおいて、戸閉計数部42は、戸開動作中の戸閉信号を無視するように構成されていてもよい。このようにすれば、戸開動作中に誤って戸閉操作がされた場合に、戸開動作が戸閉動作に反転するのを防止することができる。そのため、戸が全開すると認識して乗降する利用者が、エレベータの戸の間に挟まれるのを防止することができる。
上記実施形態では、時間の計測は、エレベータの戸の戸閉動作中で時間計測していない状態で受信した戸閉信号の受信時から開始される場合について説明したが、これに限定されるものではない。所定時間は、戸閉動作中におけるいずれの時点から開始されてもよい。例えば、所定時間の計測は、エレベータの戸の戸閉動作の開始時点から開始されてもよい。また、所定時間の計測は、エレベータが所定階に停止した時点から開始されてもよい。
上記実施形態では、所定回数が1回である場合について説明したが、これに限定されるものではない。所定回数は複数回であってもよく、自由に設定することができる。例えば、所定回数として3回を設定した場合に、所定時間の間における戸閉信号の受信回数が3回以下であると、エレベータの戸の戸開動作が開始され、所定時間の間における戸閉信号の受信回数が4回以上であると、戸閉動作が継続されてもよい。
また、所定回数とは、エレベータの戸が戸閉を開始してから戸閉が完了するまでの時間の間に、利用者が現実的に戸閉操作を行うことができる回数に応じた戸閉信号の最大受信回数以下の回数を意味する。
上記実施形態では、かご操作部2がボタンで構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。かご操作部2は、タッチパネル、センサー等のその他の手段によって構成されていてもよい。
エレベータの戸の開閉は、戸閉信号の時間的長短を考慮して制御することができる。例えば、エレベータの戸が戸閉動作を開始してから戸閉信号が送信された場合であって、この戸閉信号の時間的長さが標準的な時間(通常の戸閉操作の際の時間)よりも長い場合に、戸開閉判断部43は、かご制御部5に戸開信号を送信してもよい。このとき、戸開閉判断部43は、戸閉信号の時間的長さが標準的な時間よりも長い場合であっても、該戸閉信号が、エレベータの戸の戸閉動作の開始前に送信されたものである場合には、かご制御部5に対して、戸閉信号を送信することもできる。