JP6428106B2 - 発光装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、発光装置及びその製造方法に関する。
従来から、電子機器において種々の光源が使用されており、近年、発光素子と蛍光体とを組み合わせた発光ダイオードを用いた発光装置が種々の光源に利用されている。そして、このような発光装置において、取り出される光を均一にするなど、品質を向上させる種々の工夫がなされている(特許文献1)。
特開2010−226110号公報
特に、白色の発光装置においては、良好な放熱性を有し、長期にわたる安定した性能を発揮させることが強く求められている。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、良好な放熱性を有し、長期にわたる安定した性能などを実現することができる発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本開示の発光装置の製造方法は、
発光素子を準備し、
該発光素子上に、スプレー法により第1蛍光体及び第1樹脂を含む第1蛍光体層を形成し、
前記第1蛍光体層上に、スプレー法により、第2蛍光体及び第2樹脂を含み、前記第1蛍光体層の前記第1蛍光体の濃度よりも第2蛍光体の濃度が低い第2蛍光体層を形成することを含む。
また、本開示の発光装置は、
発光素子と、
第1蛍光体及び第1樹脂を含み、前記発光素子を被覆する第1蛍光体層と、
該第1蛍光体層上に積層され、前記第1蛍光体層よりも樹脂量が多い、第2樹脂及び第2蛍光体を含有する第2蛍光体層とを備える。
本発明によれば、良好な放熱性を有し、長期にわたる安定した性能などを実現する発光装置を提供することができるとともに、このような発光装置を、確実に、かつ簡便に製造することができる。
本開示の発光装置の製造方法の一実施の形態を説明するための概略断面工程図である。 本開示の発光装置の製造方法の一実施の形態を説明するための概略断面工程図である。 本開示の発光装置の一実施の形態を説明するための概略断面図である。 本開示の発光装置の製造方法の別の実施の形態を説明するための概略断面工程図である。 本開示の発光装置の製造方法の別の実施の形態を説明するための概略断面工程図である。 本開示の発光装置の製造方法の別の実施の形態を説明するための概略断面工程図である。 本開示の発光装置の製造方法の別の実施の形態を説明するための概略断面工程図である。 本開示の発光装置の別の実施の形態を説明するための概略断面図である。 本開示の発光装置のさらに別の実施の形態を説明するための概略断面図である。 本開示の発光装置の製造方法でのスプレー法を実施するための装置を説明するための概略図である。
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置及びその製造方法は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
本明細書においては、発光装置の光取り出し面を上面、光取り出し面に隣接又は交差する面を側面と称し、上面に対向する面を下面と称することがある。これに伴って、発光装置を構成する各要素又は各部材の面のうち、発光装置の光取り出し面に対応する面を上面と、第1主面の反対側の面を下面と、これら上面及び下面に隣接又は交差する面(つまり、発光装置の側面に対応する面)を側面と称する。
〔発光装置の製造方法〕
本発明の発光装置の製造方法は、主として、
発光素子を準備し、
該発光素子上に、スプレー法により第1蛍光体及び第1樹脂を含む第1蛍光体層を形成し、
前記第1蛍光体層上に、スプレー法により、第2蛍光体及び第2樹脂を含む第2蛍光体層を形成することを含む。
このような方法によって、第1蛍光体層の第1蛍光体の濃度を、第2蛍光体層の第2蛍光体の濃度よりも高くする、あるいは、第1蛍光体層よりも樹脂量が多い第2蛍光体層を形成する。
これら第1蛍光体層と第2蛍光体層を形成する工程の他に、例えば、
発光素子と電気的に接続される接続端子が設けられた母材を備える基体を準備する工程、
基体に発光素子を実装する工程、
反射性部材を形成する工程、
基体及び/又は反射性部材を切断する工程などの1以上の工程を含むことが好ましい。
〔発光素子の準備〕
発光素子は、少なくとも半導体積層体を備える。半導体積層体は、例えば、第1半導体層(例えば、n型半導体層)、発光層、第2半導体層(例えば、p型半導体層)がこの順に積層されており、発光に寄与する積層体である。半導体積層体の厚みは、30μm程度以下が好ましい。
半導体積層体は、通常、半導体層の成長用の基板(成長基板)上に積層される。
半導体層の成長用の基板としては、半導体層のエピタキシャル成長を可能とする基板が挙げられる。このような基板の材料としては、サファイア、スピネル等の絶縁性基板、窒化物系の半導体基板等が挙げられる。基板の厚みは、例えば、190μm程度以下が好ましく、150μm程度以下がより好ましい。
成長基板は、表面に複数の凸部又は凹部を有するものであってもよい。例えば、その高さが0.5〜2.0μm程度、ピッチが10〜25μm程度の凹凸が挙げられる。
基板の成長面では、C面、A面等の所定の結晶面に対して0〜10°程度のオフ角を有していてもよい。
基板は、第1半導体層との間に、中間層、バッファ層、下地層等の半導体層又は絶縁層等を有していてもよい。
半導体層の成長基板は、サファイアのような透光性を有する基板を用いることにより、半導体積層体から除去せず発光装置に用いることができる。また、成長基板は半導体積層体から除去してもよい。この成長用の基板の除去は、レーザリフトオフ法等を利用して行うことができる。ただし、成長用の基板は、半導体層から完全に除去されたものに加えて、半導体層の端部又は隅部に若干の基板が残存していてもよい。成長用の基板は、発光素子が基体に実装された前後に除去することができる。
半導体積層体は、半導体層の成長用の基板が除去されたものである場合、より薄型化、小型化を実現する発光装置を得ることができる。また、発光に直接寄与しない層を除去することにより、これに起因する発光層から出射される光の吸収を阻止することができる。さらに、基板に起因する光散乱を阻止することができる。よって、より発光効率を向上させることができ、発光輝度を高めることが可能となる。
発光素子は、いわゆるバーティカルダイス又は貼り合わせダイスなどとして公知の積層構造、例えば、特開2008−300719号公報、特開2009−10280号公報等に記載された積層構造を有していてもよい。
発光素子の平面視における形状は特に限定されるものではなく、四角形又はこれに近似する形状が好ましい。発光素子の大きさは、発光装置の大きさによって、その上限を適宜調整することができる。
発光素子は、正負に対応する第1電極及び第2電極を有する。一つの面に第1電極及び第2電極を有していてもよく、上面と下面にそれぞれ第1電極及び第2電極を有していてもよい。半導体積層体の同一面側(例えば、第2半導体層側の面)に、第1半導体層に電気的に接続される第1電極と、第2半導体層に電気的に接続される第2電極との双方を有することが好ましい。フリップチップ実装することが可能となり、これにより、導電ワイヤ等の部材を用いることなく発光装置を製造することができ、小型/薄型の発光装置を実現することができる。
第1電極及び第2電極は、オーミック電極、金属膜、外部接続用電極等を含んでいてもよい。
1つの発光装置を製造するために用いられる発光素子は1つでもよいし、複数でもよい。発光素子の大きさ、形状、発光波長は適宜選択することができる。複数の発光素子を用いる場合、その配置は不規則でもよく、行列など規則的又は周期的に配置されてもよい。複数の発光素子は、直列、並列、直並列又は並直列のいずれの形態で接続されてもよい。複数の発光素子は、発光波長が異なるものを組み合わせてもよい。
発光素子を準備する場合、後述するように、基体を準備し、発光素子を基体上に搭載することが好ましい。
〔第1蛍光体層の形成〕
発光素子上に、つまり、発光装置の光取り出し面となる面に、第1蛍光体層を形成する。第1蛍光体層は、発光素子に接触して形成することが好ましい。第1蛍光体層は、第1蛍光体及び第1樹脂を含む第1スラリーを用いて、スプレー法で形成することが好ましい。
第1スラリーは、スプレー法に適用するために、第1蛍光体及び第1樹脂に加え、第1溶剤を含むものが好ましい。第1スラリーには、任意に、充填、光拡散、着色の機能を有する添加物等が含有されていてもよい。
第1蛍光体は、少なくとも発光素子からの光に励起されて異なる波長の光を出射するものであればよく、例えば、
(i)アルミニウムガーネット系等のガーネット系蛍光体(例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)系蛍光体等)、
(ii)ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al−SiO)系蛍光体、
(iii)ユウロピウムで賦活されたシリケート系((Sr,Ba)SiO)蛍光体、
(iv)β−SiAlON系蛍光体、
(v)CASN(CaAlSiN:Eu)系又はSCASN系等の窒化物系蛍光体、
(vi)LnSiN11系、LnSiAlON系等の希土類窒化物系蛍光体(Lnは希土類元素)、
(vii)BaSi:Eu系、BaSi12:Eu系等の酸窒化物系蛍光体、
(viii)マンガンで賦活されたフッ化物錯体蛍光体(例えば、KSF系(KSiF:Mn)蛍光体)、
(ix)CaS系(CaS:Eu)、SrGa系(SrGa:Eu)、SrAl系、ZnS系等の硫化物系蛍光体、
(x)クロロシリケート系蛍光体、
(xi)半導体材料、例えば、II−VI族、III−V族、IV−VI族半導体、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdSSe1−x/ZnS、GaP等のナノサイズの高分散粒子であるいわゆるナノクリスタル、量子ドット(Q−Dots)と称される発光物質などを、単独又は組み合わせて用いることができる。
なお、量子ドット蛍光体は、不安定であるため、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、これらのハイブリッド樹脂などで粒子の表面が被覆又は安定化されたものでもよい。
第1蛍光体は、粒子状の蛍光体を用いることが好ましい。粒子の形状は、破砕状、球状、中空及び多孔質等のいずれでもよい。
第1蛍光体の粒径は特に限定されず、例えば、粒径が数μm以上、5μm以上、10μm以上、12μm以上であるものが好ましい。また、粒径が50μm以下、30μm以下、25μm以下であるものが好ましい。ここでの粒径は、平均粒径とすることができる。平均粒径は、例えば、F.S.S.S.No(Fisher Sub Sieve Sizer’s No)における空気透過法で得られる粒径を指す。
また、別の観点から、粒径とは、第1蛍光体層の特定容量(例えば、数十ml〜数十μl)に含まれる第1蛍光体の全ての粒子数の50%以上が占める粒径を指し、60%以上、70%以上、80%以上が占める粒子の粒径であることがより好ましい。粒径は、電子顕微鏡、SEM観察等によって測定することができる。また、特定の粒径の粒子が占める割合は、第1蛍光体層の特定容量のサンプル(例えば、数十ml〜数十μl)を採取して算出することができる。
第1蛍光体は、平均粒径が10μm以上であり、第1蛍光体の粒子数の50%以上の粒子の粒径が10μm以上であるものが特に好ましい。
なかでも、第1蛍光体は、発光スペクトル及び色度xyが同等の場合、比較的粒径の大きな蛍光体を用いることが好ましい。粒径の大きな蛍光体は、蛍光体自体の輝度が高く、各粒子の隙間が大きいので、隙間から抜けてくる発光素子からの減衰しない直接光と、輝度が高い蛍光体粒子によって変換された光が混色されやすい、という性質をもつ。したがって、粒径の小さい同種類の蛍光体を用いる場合に比較して、より光束を向上させることができる。
第1蛍光体は、第1蛍光体層の全質量の50〜95質量%で含有されることが好ましく、60〜90質量%がより好ましい。
第1樹脂は、透光性であるものが好ましく、例えば、発光素子から出射される光の60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上を透過させるものがより好ましい。第1樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの変性樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等などが挙げられる。具体的には、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂(シリコーン変性エポキシ樹脂等)、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂(エポキシ変性シリコーン樹脂等)、ハイブリッドシリコーン樹脂、ポリイミド(PI)、変性ポリイミド樹脂、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、ポリシクロヘキサンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂、ユリア樹脂、BTレジン、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、非晶ポリアリレート(PAR)、フッ素樹脂等が挙げられる。
第1溶剤としては、特に限定されるものではなく、第1樹脂として用いる樹脂を溶解し得るものであればよい。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の直鎖炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素、アセトン等のケトン系溶媒、イソプロピルアルコール等のアルコール、炭酸ジメチルなどのエステル系の溶媒など又はこれらと同等の溶解性を発揮する代替溶媒等の有機溶剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでもエステル系の溶媒を含むもの、特に、炭酸エステル系の溶媒を含むものが好ましい。
充填、光拡散、着色の機能を有する添加物としては、ガラスファイバー、ワラストナイトなどの繊維状フィラー、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、カーボン等の無機フィラー、シリカ、酸化チタン、窒化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化マグネシウム、ガラス、蛍光体の結晶又は焼結体、蛍光体と無機物の結合材との焼結体等が挙げられる。
第1スラリーの粘度は、0.01〜1000mPa・s程度に調整することが好ましく、0.1〜100mPa・s程度又は0.1〜10mPa・s程度がより好ましい。このような粘度とすることで、スプレー法に適用しやすく、発光素子上に第1蛍光体を均一に付着させることができる。
第1スラリーの濃度は、第1蛍光体:樹脂を、例えば、質量比5〜30:1で混合したものを用いることができる。溶剤は、上述した粘度に調整するために、適宜種類及び量を調整することができる。例えば、樹脂及び蛍光体の総質量の10〜200%程度、50〜150%程度、80〜120%程度が挙げられる。
スプレー法は、特に、パルス状、すなわち間欠的にスプレーを噴射するパルス式を利用することが好ましい。パルス式によるスプレー法は、例えば、パルス式のスプレー装置(パルススプレー装置)を利用して行うことができる。「パルス式」とは、ONとOFFを断続的に切り替えながら動作をすることをいい、つまり、パルススプレー装置では、スラリー及び後述するエアを断続的にONとOFFを繰り返しながら噴射させることが出来る。
パルススプレー装置40は、図4に示すように、スラリーSLを貯蔵するシリンジ41、42と、シリンジ41、42同士を連結する配管43と、スラリーSLを射出するスプレーノズル44とを主に備える。
シリンジ41、42内部には、蛍光体の粒子と樹脂と溶剤とが混合されたスラリーSLが貯蔵される。シリンジ41、42には、エアXを送り込むためのエアコンプレッサ(図示省略)が接続されている。これにより、シリンジ41、42内部に、圧縮気体41b、42bが所定圧に保たれる。
シリンジ41、42内部には、スラリーSLと圧縮気体41b、42bとの間にプランジャー41a、42aが設けられている。プランジャー41a、42aは、スラリーSLと圧縮気体41b、42bを隔てるため、圧縮気体41b、42bのスラリーSLへの溶解を低減することができる。
スプレーノズル44には、液体通路としての配管43が接続されている。スプレーノズル44には、エアXを送り込むためのエアコンプレッサ(図示省略)が接続されている。スプレーノズル44は角度調整も可能であり、載置台50に対して傾斜させることができる。
スプレーを行う際、予め、第1スラリーをシリンジ41、42に投入する。そして、スプレーノズル44の吐出弁を閉じた状態で、エアコンプレッサからシリンジ41に所定の圧力でエアを送り込む。このエアの送入により、シリンジ41内部に充填されたスラリーSLが加圧され、流通路である配管43を介して、シリンジ4に向けて圧送される。その後、同様に、シリンジ42に所定の圧力でエアを送り込むと、シリンジ4内部に充填されたスラリーSLが加圧され、流通路である配管43を介して、シリンジ41に向けて圧送される。これを繰り返すことにより、スラリーSLがシリンジ41、42間を移動しながら攪拌される。これにより、比重の大きい粒子の沈降を抑止することができ、粒子がスラリーSL中で分散した状態を保持することができる。
次に、スプレーノズル44の吐出弁を開け、エアコンプレッサからスプレーノズル44に所定の圧力で間欠的にエアを送り込む。これにより、スプレーノズル44の先端から、エアとともにスラリーSLが間欠的に噴射され、予め準備された発光素子11の上面にスプレー(符号SP)される。その際、第1スラリーを第1蛍光体層にできるだけ均等に塗布できるように、スプレーノズル44を移動させながら塗布する。
パルススプレー方式は、連続スプレー方式に比べて、ノズルからのスラリーの噴出速度を低減することなく、エアの風速を低減することができる。このため、塗布面に良好にスラリーを供給することができ、かつ、塗布されたスラリーがエア流によって乱されない。その結果、発光素子の上面と第1蛍光体層の表面との密着性を良好とすることができる。
第1スラリーを、間欠的にスプレー噴射することにより、単位時間当たりの噴射量を低減することができる。このため、第1スラリーを少量でスプレー噴射させながら、低速でスプレーノズルを移動させることができる。その結果、凹凸形状を有する塗布面であっても、均一に蛍光体を塗布することができる。
このように発光素子上に、第1スラリーをスプレー塗布した後、樹脂を仮硬化することが好ましい。仮硬化の条件は、用いた第1樹脂の種類、量、第1溶媒の種類などに応じて適宜調整することができる。
スプレー法によって形成された第1蛍光体層は、後述する第2蛍光体層の厚みよりも大きくすることが好ましい。このような厚み関係とすることにより、発光素子により近い第1蛍光体層において、放熱性が比較的低い樹脂の量を低減させ、つまり、第1蛍光体を発光素子により多く接触させることができるために、発光素子の放熱性を良好にすることができる。これによって、発光素子自体又は発光素子の周辺に配置される部材等の、熱による劣化及び損傷を最小限に止めることができる。その結果、長期間にわたって信頼性の高い発光装置を得ることができる。
また、第1蛍光体層において、大粒径の第1蛍光体を用いた場合には、より効率的に光束を向上させながら、発光素子から出射されるそのままの光の抜けによる色むら、配光や色温度の特性の悪化を抑制することもできる。また、蛍光体層の全厚みを効果的に低減させ、塗布安定性及び制御性を向上させることができ、色調歩留まりを増大させることができる。
第1蛍光体層の厚みは、200μm以下とすることが好ましく、180μm以下、150μm以下がより好ましい。
そのために、上述したスプレー法によって、発光素子に対するスプレー噴射を均一に繰り返し、所望の厚みが得られるまで積層することが好ましい。例えば、上述した蛍光体濃度の第1蛍光体を用いる場合には、使用する樹脂量にもよるが、例えば、1回〜10回程度積層することが好ましい。この場合、第1蛍光体の蛍光体濃度が上述した範囲内のものであれば、用いる蛍光体の種類及び量、第1樹脂の種類又は屈折率等が異なっていてもよい。
また、別の観点から、第1蛍光体層を形成する場合、発光装置において最終的に得ようとする色度x値よりも若干小さくなるように、第1スラリーを一定の厚みで発光素子上に形成することが好ましい。例えば、最終的に得ようとする色度x値の50〜99%程度の色度となる厚みを意味し、好ましくは、60〜98%、70〜97%程度が挙げられる。特定の色度xを示す厚みは、第1スラリーに含まれる第1蛍光体の量によって調整することができる。色度xとは、光の色の特性を表すために用いられ、例えば、国際照明委員会(CIE)のXYZ表色系の色度図に基づいて数値化して表される値である。色度は、市販の色度計等を用いて測定することができる。
最終的に得ようとする色度x値よりも小さくなるように、予め、ガラス板などを用いて、第1スラリー及び第2スラリーでのスプレー塗布の状態と色度x値との関係を測定し、この結果に基づいて、第1スラリー及び第2スラリーの塗布量(厚み)等を設定することが好ましい。あるいは、第1スラリーの塗布の際に、同じスプレー塗布をガラス板上に行い、それを利用して色度を確認し、最終的に得ようとする色度x値に達する残りの塗布量を算出し、第2スラリーでの塗布量を決定してもよい。
得られた第1蛍光体層の第1蛍光体の濃度は、例えば、第1蛍光体層の全重量に対して、80〜97%程度が挙げられる。また、得られた第1蛍光体層の第1樹脂の量は、2〜20%程度が挙げられる。
このようなスプレー法を利用することにより、第1蛍光体層において、樹脂の含有率が比較的低い層、言い換えると、第1蛍光体の濃度が比較的高い層を形成することができる。また、第1蛍光体を、第1蛍光体層の厚み方向において、つまり、第1樹脂中で、略均一に分布させることができる。
〔第2蛍光体層の形成〕
第1蛍光体層上に、第2蛍光体を含む第2スラリーを用いて、スプレー法により第2蛍光体層を形成する。第2蛍光体層は、第1蛍光体層の上に、第1蛍光体層に接触して形成することが好ましい。これによって、より薄い蛍光体層を形成することができる。
第2スラリーは、スプレー法に適用するために、第2蛍光体に加え、結合剤として第2樹脂及び第2溶剤を含むものが好ましい。任意に、充填、光拡散、着色の機能を有する添加物等が含有されていてもよい。
第2蛍光体としては、第1蛍光体として例示したものから選択することができる。
第2蛍光体は、第1蛍光体と同じ又は異なる種類のいずれの蛍光体でもよい。
第2蛍光体は、粒子状の蛍光体を用いることが好ましい。粒子の形状は、破砕状、球状、中空及び多孔質等のいずれでもよい。第2蛍光体は、第1蛍光体と同じ粒径であってもよいし、小さい粒径、大きい粒径のいずれでもよい。小さい粒径の第2蛍光体を用いる場合には、第1蛍光体層における第1蛍光体の粒子間に効果的に配置することができ、発光素子から出射された光が波長変換されないことに起因する色むら、配光や色温度の特性の悪化を抑制することができる。
ここでの粒径とは、第2蛍光体層の特定容量(例えば、数十ml〜数十μl)に含まれる第2蛍光体の全ての粒子数の50%以上が占める粒径を指し、60%以上、70%以上、80%以上が占める粒子の粒径であることがより好ましい。粒径は、電子顕微鏡、SEM観察等によって測定することができる。また、特定の粒径の粒子が占める割合は、第2蛍光体層の特定容量のサンプル(例えば、数十ml〜数十μl)を採取して算出することができる。
第2蛍光体は、平均粒径が10μm以上であり、第2蛍光体の粒子数の50%以上の粒子の粒径が10μm以上であるものが特に好ましい。
第2樹脂、第2溶剤、添加物等は、第1スラリーの説明で例示したものから適宜選択することができる。特に、第2樹脂、第2溶剤及び/又は添加物は、第1樹脂、第1溶剤及び/又は第1スラリーで用いた添加物と同様のものを用いることが好ましい。これによって、第1蛍光体層と第2蛍光体層との相溶性を向上させ、両者の界面による光反射を防止することができる。また、両者の密着性を向上させることができる。さらに、その積層条件によって、第1蛍光体層と第2蛍光体層とを一体的に形成することができる。
第2スラリーは、第1スラリーの粘度と同様の範囲とすることができる。
第2スラリーを用いて形成する第2蛍光体層では、第1蛍光体層の第1蛍光体の濃度よりも、第2蛍光体の濃度が低いことが好ましい。あるいは、第1蛍光体層における樹脂量よりも第2蛍光体層における樹脂量が多いことが好ましい。そのために、第2スラリーの濃度は、第2蛍光体:樹脂を、例えば、質量比0.5〜5:1で混合したものを用いることができる。溶剤は、上述した粘度に調整するために、適宜種類及び量を調整することができる。例えば、溶剤として、樹脂及び蛍光体の総質量の10〜200%程度、50〜150%程度、80〜120%程度が挙げられる。
第2蛍光体層の形成は、第1蛍光体層の形成と同様の方法によって形成することが好ましく、間欠的にスプレーを噴射するパルススプレー方式を利用することがより好ましい。
第2蛍光体層の形成は、第1蛍光体層のスプレー及び仮硬化に連続して、つまり、仮硬化の直後に行うことが好ましい。これによって、第1蛍光体層と第2蛍光体層との界面の形成を緩和させることができ、両者の密着性を向上させることができる。
第2の蛍光体層は、上述したスプレー法によって、発光素子に対するスプレー噴射を均一に繰り返し、所望の厚みが得られるまで積層することが好ましい。この場合、用いる第2蛍光体の種類及び量、第2樹脂の種類等が異なっていてもよい。例えば、1回〜10回程度積層すればよく、1回〜数回積層することが好ましい。
第2蛍光体層は、積層数を制御することによって、その厚み精度を向上させることができる。それによって、第1蛍光体層及び第2蛍光体層から発せられる光色の調整を確実に、かつ簡便に行うことが可能となる。また、薄膜状の層を複数積層することにより、所望の蛍光体層の厚みを容易に確保することができる。さらに、第1蛍光体の分布の偏りを第2蛍光体の分布により緩和することができる。加えて、第2蛍光体自体の分布の偏りを極力抑制することができる。よって、第1蛍光体層及び第2蛍光体層から、均一に波長変換した光を出射させ、発光装置の色むら等の発生を回避することができ、配光や色温度の特性の向上、色調歩留まりの向上などを実現することができる。
第2蛍光体層は、第1蛍光体層の厚みよりも小さくすることが好ましい。このような厚み関係とすることにより、塗布安定性及び制御性を向上させることができ、色調歩留まりの低下を低減するとともに、色むら、配光や色温度の特性を効果的に改善することができる。例えば、第2蛍光体層の厚みは、100μm以下とすることが好ましく、80μm以下、50μm以下又は20μm以下がより好ましい。
このような薄い厚みとすることにより、反射性部材での被覆の有無にかかわらず、発光素子から出射される光を、第2蛍光体層の側面から出射させることなく、光取り出し面の1方向にのみ取り出すことができる。よって、光取り出し効率を向上させることができる。また、第2蛍光体を、第2蛍光体層の厚み方向において、つまり、第2樹脂中で、略均一に分布させることができる。
得られた第2蛍光体層の第2蛍光体の濃度は、例えば、第2蛍光体層の全重量に対して、0.1〜75%程度が挙げられる。また、得られた第2蛍光体層の第2樹脂の量は、25〜99.9%程度が挙げられ、50〜99.9%が好ましい。
第1蛍光体層及び/又は第2蛍光体層の上面(光取り出し面)は平面であってもよく、配光を制御するために、その上面(光取り出し面)及び/又は発光素子と接する面を凸面、凹面等の凹凸面にしてもよい。これらの形状の変化は光取出しに有効となることがある。また、第1蛍光体層及び/又は第2蛍光体層の密着性を向上させることができる。
第2蛍光体層が第1蛍光体層の上に形成される限り、第1蛍光体層の下、第1蛍光体層と第2蛍光体層との間、第2蛍光体層の上にさらなる層、例えば、ガラス又は樹脂等の透光性部材、他の蛍光体層、空気層等を介在又は積層させてもよい。
第1蛍光体層及び第2蛍光体層をスプレー法にて形成することにより、発光装置全体に用いられる樹脂量を他の形成方法で形成する場合よりも低減することができる。よって、熱伝導率の低い樹脂に起因する蓄熱を、効果的に減少させることができる。さらに、発光素子と第1蛍光体、蛍光体同士、さらに第1蛍光体と第2蛍光体との接触面積を増やすことができるため、伝熱経路を確保できる。よって、放熱性を改善して、発光効率を改善することができる。
特に、第1蛍光体層の第1蛍光体の濃度を、第2蛍光体層の第2蛍光体の濃度よりも高くする、あるいは、第1蛍光体層よりも樹脂量が多い第2蛍光体層を形成することにより、例えば、蛍光体であるYAGは、熱伝導率が12W/mKであり、シリコーン樹脂は、熱伝導率が0.2W/mKであるため、発光素子により近い第1蛍光体層において、放熱性が比較的低い樹脂の量を低減させることができるために、発光素子の放熱性を良好にすることができる。これによって、発光素子自体又は発光素子の周辺に配置される部材等の、熱による劣化及び損傷を最小限に止めることができる。その結果、長期間にわたって信頼性の高い発光装置を得ることができる。
また、第1蛍光体層において第1蛍光体の濃度が高い、つまり、樹脂量が少ない場合には、蛍光体の接着力が悪化することが懸念されるが、このような第1蛍光体層の上に、十分な樹脂量を有する第2蛍光体層を積層するために、十分な接着力を確保することができる。
〔基体の準備〕
上述したように、発光素子の準備の際に、基体を準備し、発光素子を基体上に搭載することが好ましい。
基体は、母材と、少なくとも母材の上面に正負に対応する一対の接続端子とを備える。
基体の形状は特に限定されず、例えば、少なくとも第1主面が、長手方向と、長手方向に交差又は直交する短手方向を備える形状であることが好ましい。基体の厚みは、例えば、最も厚膜の部位において、500μm程度以下が好ましい。また、40μm程度以上が好ましい。
(母材)
母材は、例えば、金属、セラミック、樹脂、誘電体、パルプ、ガラス、紙又はこれらの複合材料(例えば、複合樹脂)、あるいはこれら材料と導電材料(例えば、金属、カーボン等)との複合材料等が挙げられる。金属としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン又はこれらの合金を含むものが挙げられる。セラミックとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン又はこれらの混合物を含むものが挙げられる。複合樹脂としては、ガラスエポキシ樹脂等が挙げられる。
(接続端子)
一対の接続端子は、発光素子が接続される基体の少なくとも上面に形成されていればよい。
接続端子は、発光素子と接続される素子接続部と、発光装置の外部と接続される外部接続部とを有する。外部接続部は、基体の上面のみならず、下面、側面、内部に設けられていてもよい。
基体は、発光素子に電気的に接続される接続端子の他に、さらに、放熱用の端子、ヒートシンク、補強部材等を有していてもよい。これらは、上面、下面、側面のいずれに配置されていてもよい。これにより、基体の歪を防止し、発光装置の強度及び信頼性を高めることができる。
1つの発光装置に発光素子が複数配置される場合、基体は、複数の発光素子を電気的に接続するさらなる接続端子を1以上備えていてもよい。1つの基体に実装される発光素子の数、その配列、接続形態(並列及び直列)等によって、接続端子の形状及び位置等を適宜設定することができる。
接続端子は、通常、導電層として利用される金属及び合金の単層膜又は積層膜によって形成することができる。なかでも、導電性及び実装側の接合部材との接合性及び濡れ性の良好な材料がより好ましい。放熱性の観点からは、特に銅又は銅合金が好ましい。接続端子の表面には、銀又はその合金等の単層膜又は積層膜等、光反射性の高い被膜が形成されていてもよい。
接続端子は、メッキ等で母材上に形成された薄膜状であってもよく、板状の金属を成形して形成されたリードフレームであってもよい。
基体は、上述した母材の線膨張係数を大幅に損なわない限り、それ自体がコンデンサ、バリスタ、ツェナーダイオード、ブリッジダイオード等の保護素子を構成してもよいし、これら素子の機能を果たす構造をその一部に、例えば、多層構造又は積層構造の形態で備えてもよい。このような素子機能を果たすものを利用することにより、別途部品を搭載することなく、発光装置として機能させることができる。その結果、静電耐圧等を向上させた高性能の発光装置を、より小型化することが可能となる。
〔発光素子の実装〕
発光素子をフリップチップ実装する場合、通常、第1電極及び第2電極を、接合部材によって、上述した基体の接続端子と接合する。このような接合部材は、当該分野で公知の導電性の接合部材が挙げられる。具体的には、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田(具体的には、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金等)、共晶合金(AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等)銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属などのろう材等が挙げられる。なかでも、半田を用いることにより、上述した接続端子の形状を適切に設定することで、高精度のセルフアライメント効果を発揮させることができる。よって、発光素子を適所に実装することが容易となり、量産性を向上させ、より小型の発光装置を製造することができる。
また、発光素子がフェイスアップ実装される場合には、第1電極及び/又は第2電極は、Au等の導電ワイヤを用いて、接続端子に接続してもよい。
〔反射性部材の形成〕
発光素子を準備した後に、発光素子の側面を被覆する反射性部材を形成することが好ましい。発光素子の側面に接触するように反射性部材を形成することがより好ましい。特に、反射性部材を、フリップチップ実装した発光素子の側面に接触し、かつ発光素子と基体との間を埋め込むよう形成することがさらに好ましい。
反射性部材の材料は特に限定されるものではなく、セラミック、樹脂、誘電体、パルプ、ガラス又はこれらの複合材料等が挙げられる。なかでも、任意の形状に容易に成形することができるという観点から、樹脂が好ましい。反射性部材に利用可能な樹脂としては、第1樹脂として例示した樹脂を用いることができる。
反射性部材は、発光素子からの光に対する反射率が60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上の遮光性材料とすることがより好ましい。そのために、樹脂に、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)などの光反射材、光散乱材等の着色材、上述した無機フィラー等の添加物を含有させてもよい。
これらの添加物は、例えば、反射性部材の全質量に対して、10〜95質量%程度、20〜80質量%程度、30〜60質量%程度含有させることが好ましい。
光反射材を含有させることにより、発光素子からの光を効率よく反射させることができる。特に、基体よりも光反射率の高い材料を用いる(例えば、基体に窒化アルミニウムを用いた場合に、反射性部材として二酸化チタンを含有させたシリコーン樹脂を用いる)ことにより、ハンドリング性を保ちつつ、基体の大きさを小さくして、発光装置の光取出し効率を高めることができる。光反射材として二酸化チタンのみ含有させる場合は、反射性部材の全質量に対して、20〜60質量%程度含有させることが好ましく、30〜50質量%程度含有させることがより好ましい。
また、反射性部材を形成することにより、発光素子における半導体層の成長基板又は支持体などを除去、剥離するなど、プロセス中の発光装置の強度を向上させることができる。
さらに、反射性部材を放熱性の高い材料で形成することによって、発光装置の小型化を維持したまま、放熱性を向上させることができる。
反射性部材は、スクリーン印刷、ポッティング、トランスファーモールド、コンプレッションモールド等により形成することができる。
反射性部材の厚みは、発光素子の側面から光が漏れない程度の厚みであれば、その使用材料等によって、適宜設定することができる。
反射性部材は、その上面が、発光素子の上面と面一となる高さに形成してもよいし、発光素子の上面よりも上に形成してもよい。後者の場合、発光素子の上面が露出するように、反射性部材の上面の一部を除去することが好ましい。
反射性部材は、第1蛍光体層及び第2蛍光体層が発光素子の上に形成された後に、発光素子の側面(任意に、第1蛍光体層及び/又は第2蛍光体層の側面)を被覆するように形成してもよい。特に、第1蛍光体層及び第2蛍光体層の側面をも反射性部材で被覆する場合には、効率的に配向性を向上させることができ、上面への光の取り出し効率を向上させることができる。
反射性部材は、発光素子を準備した後、第1蛍光体層及び第2蛍光体層の形成前に、発光素子の側面を被覆するように形成することが好ましい。この場合、第1蛍光体層及び第2蛍光体層は、発光素子の上面のみを被覆してもよいし、発光素子と反射性部材との双方の上面に形成してもよい。
〔基体及び/又は反射性部材の切断〕
基体に複数の発光素子が実装され、個々又は一群の発光素子ごとに分離する場合、基体を発光素子の大きさに一致させる場合、反射性部材を複数の発光素子に対して一括して形成した場合など、任意に、基体及び/又は反射性部材を、所定の形状及び大きさに切断することが好ましい。この切断は、第1蛍光体層及び第2蛍光体層の形成前後のいずれであってもよい。切断には、ダイサー、レーザなどを用いることができる。
〔発光装置〕
本開示の発光装置は、発光素子と、
第1蛍光体及び第1樹脂を含み、前記発光素子を被覆する第1蛍光体層と、
該第1蛍光体層上に積層され、第2蛍光体及び第2樹脂を含有する第2蛍光体層とを備える。第2蛍光体層は、第1蛍光体層よりも樹脂量が多く、あるいは、第1蛍光体層の第1蛍光体の濃度よりも第2蛍光体の濃度が低い。
さらに、発光素子の側面を被覆する反射性部材を有していてもよい。
ここで、第2蛍光体層が第1蛍光体層よりも樹脂量が多いとは、第1蛍光体層及び第2蛍光体層の厚みにかかわらず、第1蛍光体層の上に配置された第2蛍光体層において、第1蛍光体層中の第1樹脂の総質量よりも、第2樹脂の総質量が大きいことを意味する。あるいは、第2蛍光体層の単位容積に含まれる第2樹脂の質量が、第1蛍光体層の単位容積に含まれる第1樹脂の質量よりも、大きいことを意味する。なかでも、これらの双方を満たすことが好ましい。
第1蛍光体層と第2蛍光体層とは、電子顕微鏡、SEM観察等により、両者の境界を観察することができ、例えば、蛍光体濃度は、第1蛍光体層及び第2蛍光体層のそれぞれについて、特定容量の蛍光体層を採取して、蛍光体濃度又は樹脂量を算出することができる。特に、第1蛍光体層の仮硬化の温度が高い場合には、両者の境界をより明確に観察することができる。
このような構成を有することにより、発光素子により近い第1蛍光体層において、熱伝導率の低い樹脂の量を低減させることができるために、発光素子の放熱性を良好にすることができる。これによって、熱伝導率の低い樹脂に起因する蓄熱を、効果的に減少させることができる。その結果、発光素子自体又は発光素子の周辺に配置される部材等の、熱による劣化及び損傷を最小限に止めることができ、長期間にわたって信頼性の高い発光装置を得ることができる。
また、発光素子と第1蛍光体との接触面積を増大させることができるため、伝熱経路を確保できる。よって、放熱性を改善して、発光効率を改善することができる。
さらに、第1蛍光体層において樹脂量が少ない、つまり、第1蛍光体の濃度が高い場合には、蛍光体の接着力が悪化することが懸念されるが、このような第1蛍光体層の上に、十分な樹脂量を有する第2蛍光体層を積層するために、十分な接着力を確保することができる。
以下に本発明の発光装置及びその製造方法の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1:発光装置の製造方法
この実施の形態の発光装置の製造方法では、図1Aに示すように、まず、発光素子11を準備する。この準備の際に、発光素子11を、発光素子11と電気的に接続される接続端子17が設けられた母材18を備える基体19に、Au−Sn半田からなる接合部材16によって実装する。
次に、図1Bに示すように、発光素子11上に、第1蛍光体12を含む第1スラリーを用いて、スプレー法により第1蛍光体層13を形成する。ここでの第1スラリーは、第1蛍光体12として粒径8〜10μmのYAG系蛍光体、第1樹脂としてフェニル系のシリコーン樹脂、溶剤としてファインソルブE(炭酸エステル系溶剤、三協化学株式会社製)を含有するように調製する。第1スラリーにおける質量比は、第1蛍光体:第1樹脂=23:2である。溶剤の量は、これら第1蛍光体と第1樹脂との総質量の23/24(約96重量%)とした。第1スラリーの粘度は、2.4mPa・s程度である。
この第1スラリーを、図4に示すパルススプレー装置40に充填し、意図する色度(例えば、x=0.3451)に対して、色度xが0.320〜0.330程度となるように、スプレー塗布を実施する。
第1スラリーでの塗布により、色度xが0.320〜0.330とする塗布は、予め、予備塗布を行って、例えば、4層の積層(厚み:20μm程度)により行うことができる。
あるいは、この際、発光素子11上と同時に、ガラス板の上にも、第1スラリーを同様に塗布して、ガラス板上に形成される第1蛍光体層の色度xを測定する。つまり、第1スラリーを塗布したガラス板に、光を照射し、透過光の色度xを測定する。そして、相関式を利用して、発光素子11上に塗布された第1スラリーの色度に換算することにより、第1スラリーの塗布量(積層数又は厚み)を決定してもよい。
その後、塗布された第1スラリーを100℃にて5分間仮硬化する。仮硬化後の第1蛍光体層13内では、第1蛍光体12の自重による沈降をほとんどなく、第1蛍光体層13の厚み方向において、第1蛍光体12の第1樹脂中での分布は略均一である。
続いて、図1Cに示すように、前記第1蛍光体層13上に、第1蛍光体12の濃度よりも小さい濃度の第2蛍光体14を含む第2スラリーを用いて、スプレー法により第2蛍光体層15を形成する。
ここでの第2スラリーは、第2蛍光体14として粒径8〜10μmのYAG系蛍光体、第2樹脂としてフェニル系のシリコーン樹脂、溶剤としてファインソルブE(炭酸エステル系溶剤、三協化学株式会社製)を含有するように調製する。第2スラリーにおける質量比は、第2蛍光体:第2樹脂=13:10である。溶剤の量は、これら第2蛍光体と第2樹脂との総質量の26/25(104重量%)とした。第2スラリーの粘度は、5.5mPa・s程度である。
第2スラリーの塗布は、第1スラリーで形成した第1蛍光体層13とともに、意図する色度(例えば、x=0.3451)となるように、第1スラリーと同様の方法で、スプレー塗布を実施する。
第2スラリーの塗布により、色度xを調整するために、予め、予備塗布を行うことが好ましい。これによって、上述したように、発光素子11上に塗布された第1スラリーの色度を換算した値を利用して、意図する色度(例えば、x=0.3451)との差異から、第2スラリーの塗布量を決定することができる。この塗布量から、第2スラリーのスプレー塗布を、例えば、4層の積層(厚み:20μm程度)と設定する。
その後、塗布された第2スラリーを150℃にて4時間硬化する。この硬化によって、第1スラリーも完全に硬化する。硬化後の第2蛍光体層15内では、第2蛍光体14の自重による沈降をほとんどなく、第2蛍光体層15の厚み方向において、第2蛍光体14の分布は略均一である。
このように形成された第1蛍光体層13及び第2蛍光体層15では、第1蛍光体層13中の第1蛍光体濃度が、第2蛍光体層15中の第2蛍光体濃度よりも高い。
また、第1蛍光体層全体の総樹脂量(質量)は、第2蛍光体層全体の総樹脂量(質量)よりも少ない。
さらに、第2蛍光体層の単位容積に含まれる第2樹脂の質量が、第1蛍光体層の単位容積に含まれる第1樹脂の質量よりも大きい。
得られた発光装置10との比較のために、第1蛍光体層を電着にて形成し、その上に、第2蛍光体層に代えて樹脂のみからなる層を形成した発光装置Aを作製した。第1蛍光体層及び樹脂層の総厚みを40μmとした。
また、第1蛍光体層として、蛍光体:樹脂の重量比を1:1としたスラリーを用いて、単層で40μm厚の蛍光体層を形成した発光装置Bを作製した。
得られた発光装置10及びこれらの発光装置に1200mAの電流を印加し、発光装置の平均温度分布を測定したところ、発光装置10は、発光装置A及びBに対して、それぞれ約4.3℃及び5.2℃低減していることが確認された。
このように、基体19に搭載された発光素子11に、第1蛍光体層13及び第2蛍光体層15を形成して、発光装置10が製造される。
このような構成を有することにより、発光素子により近い第1蛍光体層において、熱伝導率の低い樹脂の量を低減させることができるために、発光素子の放熱性を良好にすることができる。これによって、熱伝導率の低い樹脂に起因する蓄熱を、効果的に減少させることができる。その結果、発光素子自体又は発光素子の周辺に配置される部材等の、熱による劣化及び損傷を最小限に止めることができ、長期間にわたって信頼性の高い発光装置を得ることができる。
また、発光素子と第1蛍光体との接触面積を増大させることができるため、伝熱経路を確保できる。よって、放熱性を改善して、発光効率を改善することができる。
さらに、第1蛍光体層において樹脂量が少ない、つまり、第1蛍光体の濃度が高い場合には、蛍光体の接着力が悪化することが懸念されるが、このような第1蛍光体層の上に、十分な樹脂量を有する第2蛍光体層を積層するために、十分な接着力を確保することができる。
実施の形態2:発光装置の製造方法
この実施の形態の発光装置の製造方法は、図2Aに示すように、まず、一対の電極11a、11bを有する発光素子11を準備する。この準備の際に、発光素子11の一対の電極11a、11bを、発光素子11と電気的に接続される接続端子27が設けられた母材28を備える基体29に、Au−Sn半田からなる接合部材16によって実装する。
図2Bに示すように、発光素子11の全側面に接触及び被覆するように、例えば、圧縮成形法により、反射性部材26を形成する。反射性部材26は、発光素子11と基体29との間にも配置する。ここでの反射性部材26の上面は、発光素子11の上面と略面一とする。
反射性部材26は、シリコーン樹脂と、二酸化チタン(45質量%)とからなる。
図2Cに示すように、第1蛍光体層23を形成する以外の部分にマスクMを配置し、実施の形態1の第1スラリーと同様、第1蛍光体22を含む第1スラリーを、図4に示すパルススプレー装置40のスプレーノズル44からスプレーし、発光素子11と反射性部材26との上面に、第1蛍光体層23を形成する。
図2Dに示すように、実施の形態1の第2スラリーと同様、第2蛍光体24を含む第2スラリーを、図4に示すパルススプレー装置40のスプレーノズル44からスプレーし、発光素子11と反射性部材26との上面に形成された第1蛍光体層23の上に、第2蛍光体層25を形成する。
マスクMを用いることにより、第1蛍光体層23及び第2蛍光体層25の側面は、反射性部材26の側面に一致し、第1蛍光体層23及び第2蛍光体層25は、反射性部材26の側面に付着しない。
このようにして製造された発光装置20は、図2Eに示すように、発光素子11の全側面及び発光素子11と基体29との間に反射性部材26が配置され、発光素子11及び反射性部材26の上面に、第1蛍光体層23及び第2蛍光体層25がこの順に積層されている。
この製造方法及び発光装置の構成以外は、実施の形態1と同様である。従って、実施の形態1における発光装置及びその製造方法での効果と実質的に同様の効果を有する。
実施の形態3:発光装置の製造方法
この実施の形態の発光装置30の製造方法では、図3に示すように、発光素子11を準備する際に、複数の発光素子11を、1つの基体39上に実装する。
そして、反射性部材26を、複数の発光素子11に対して一体的に形成する。
さらに、第1蛍光体層33及び第2蛍光体層35を、複数の発光素子11及びそれらの側面を一体的に被覆する反射性部材26の上面全体にわたって形成する。
これらの製造方法及び発光装置の構成以外は、実施の形態1及び2と同様である。従って、実施の形態1及び2における発光装置及びその製造方法での効果と実質的に同様の効果を有する。
実施の形態4:発光装置の製造方法
この実施の形態の発光装置の製造方法では、実施の形態3で製造された発光装置30を、1つの発光素子ごとに、レーザスクライブにより切断することにより、1つの発光素子によって構成される発光装置を製造することができる。
ここで、複数の発光素子を搭載する基板は、個片化工程後の各発光装置の基体が、複数個、マトリクス状(複数列と複数行)に連なって複合基板として構成されている。このような複合基体は、母材の上面から裏面に及ぶスリットを有している。接続端子は、このスリットの内壁を通って、複合基体の母材の上面から下面に連続して設けられ、1つの発光素子ごとに切断された場合に、独立して一対の接続端子として機能し得る形態を採っている。
これらの製造方法及び発光装置の構成以外は、実施の形態1及び2と同様である。従って、実施の形態1及び2における発光装置及びその製造方法での効果と実質的に同様の効果を有する。
本発明の発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告、行き先案内等の各種表示装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、プロジェクタ装置、車載用の各種照明などに利用することができる。
10、20、30 発光装置
11 発光素子
11a、11b 電極
12、22 第1蛍光体
13、23、33 第1蛍光体層
14、24 第2蛍光体
15、25、35 第2蛍光体層
16 接合部材
17、27、37 接続端子
18、28、38 母材
19、29、39 基体
26 反射性部材
M マスク
40 パルススプレー装置
41、42 シリンジ
41a、42a プランジャー
41b、42b 圧縮気体
43 配管
44 スプレーノズル
50 載置台
X エア
SL スラリー

Claims (10)

  1. 発光素子を準備し、
    前記発光素子の側面を被覆し、その上面が前記発光素子の上面と面一の反射性部材を形成し、
    前記発光素子及び前記反射性部材上に、スプレー法により、第1蛍光体及び第1樹脂を含みかつ80〜97重量%の濃度で第1蛍光体を含有する第1蛍光体層を形成し、
    前記第1蛍光体層上に、スプレー法により、第2蛍光体及び第2樹脂を含み、前記第1蛍光体層の前記第1蛍光体の濃度よりも前記第2蛍光体の濃度が低く、前記第1蛍光体層よりも厚みが小さくなるように第2蛍光体層を形成し、
    前記第1蛍光体層及び前記第2蛍光体層の側面を、前記反射性部材の側面と一致させることを含む発光装置の製造方法。
  2. 前記第1蛍光体層の厚みを200μm以下とし、前記第2蛍光体層の厚みを100μm以下とする請求項1に記載の発光装置の製造方法。
  3. 前記第1蛍光体層を、前記発光素子に接触して形成し、前記第2蛍光体層を前記第1蛍光体層に接触して形成する請求項1又は2に記載の発光装置の製造方法。
  4. 前記第2蛍光体層を構成する第2樹脂を、前記第1蛍光体層を構成する第1樹脂と同じものとする請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
  5. 前記スプレー法としてパルス式のスプレー法を利用する請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
  6. 発光素子と、
    前記発光素子の側面を被覆し、その上面が前記発光素子の上面と面一の反射性部材と、
    第1蛍光体及び第1樹脂を含み、前記発光素子及び前記反射性部材を被覆する第1蛍光体層と、
    該第1蛍光体層上に積層され、前記第1蛍光体層よりも樹脂量が多い、第2樹脂及び第2蛍光体を含有する第2蛍光体層とを備え、
    前記第1蛍光体層の厚みは、前記第2蛍光体層の厚みよりも大きく、
    前記第1蛍光体層には、80〜97重量%の濃度で第1蛍光体を含有し、
    前記第1蛍光体層及び第2蛍光体層の側面が露出した発光装置。
  7. 前記第1蛍光体層は、厚み方向にわたって前記第1樹脂に前記第1蛍光体が均一に分布している請求項6に記載の発光装置。
  8. 前記第2蛍光体層は、厚み方向にわたって前記第2樹脂に前記第2蛍光体が均一に分布している請求項6又は7に記載の発光装置。
  9. 前記第1蛍光体層及び前記第2蛍光体層は、前記発光素子の少なくとも上面に配置されている請求項6〜8のいずれか1つに記載の発光装置。
  10. 前記第1蛍光体層及び第2蛍光体層の側面が前記反射性部材の側面と一致する請求項6〜9のいずれか1つに記載の発光装置。
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