図1は、本発明の実施形態に係るプリントシステム1の要部の構成を模式的に示す図である。
プリントシステム1は、例えば、それぞれネットワーク3に接続された、ユーザ側通信端末5A、プリントサーバ7、プリンタ9及びプリンタ側通信端末5Bを有している。なお、以下では、ユーザ側通信端末5A及びプリンタ側通信端末5Bを区別せずに、単に「通信端末5」ということがある。
プリントシステム1は、複数のユーザ側通信端末5A、複数のプリンタ9及び複数のプリンタ側通信端末5Bを有することが可能である。図1では、それぞれ一つのみ例示している。なお、プリントサーバ7も複数設けられ、分業がなされてもよい。
ネットワーク3は、例えば、複数のコンピュータネットワークを相互に接続するインターネット11と、複数の電話機を相互に接続するとともにインターネット11と不図示のゲートウェイを介して接続された電話網13とを含んでいる。なお、ネットワーク3の一部又は全部は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
ユーザ側通信端末5Aは、例えば、プリントシステム1によって実現されるサービスを受けるユーザが所有する。ユーザ側通信端末5Aは、ネットワーク3を介して電子メールを送信可能なものであれば、どのような機器であってもよい。なお、通常、電子メールを送信可能な機器は、電子メールを受信可能である。通信端末5は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機、又は、デスクトップ型、ノートブック型等のパーソナルコンピュータである。通信端末5が携帯電話機である場合(図示の例)、通信端末5は、例えば、電話網13及び不図示のゲートウェイを介してインターネット11に接続されている。また、通信端末5がパーソナルコンピュータである場合、特に図示しないが、通信端末5は、モデム等の適宜なインターフェースを介してインターネット11に接続されている。
プリントサーバ7は、例えば、プリントシステム1によって実現されるサービスを提供する事業者(サービス提供者)が所有する。プリントサーバ7は、例えば、コンピュータにより構成されており、インターネット11に接続されている。プリントサーバ7を構成するコンピュータは、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続された複数のハードウェアからなるものであってもよい。
プリンタ9は、例えば、ユーザ側通信端末5Aの所有者(ユーザ)、プリントサーバ7の所有者(サービス提供者)、又は、これらの者とは異なるユーザ若しくは事業者によって所有されている。プリンタ9は、ネットワーク3を介した通信が可能であれば、その形式は問わない。例えば、プリンタ9は、カラー印刷が可能なものであってもよいし、モノクロ印刷のようにカラー印刷が不可能なものであってもよい。また、プリンタ9は、インクジェットプリンタであってもよいし、サーマルプリンタであってもよいし、レーザープリンタであってもよい。また、プリンタ9は、狭義のプリンタだけでなく、いわゆる複合機であってもよい。
プリンタ9は、例えば、適宜なインターフェース15を介してインターネット11に接続されている。インターフェース15は、例えば、電話回線とプリンタ9とを接続するモデム、又は、光回線とプリンタ9とを接続する光回線終端装置である。インターフェース15とプリンタ9との間に更に不図示のルータ等が介在してもよいし、そのルータからプリンタ9側に構築されたLAN内にプリンタ9が組み込まれていてもよい。
プリンタ側通信端末5Bは、例えば、プリンタ9の所有者が所有する。なお、前述のように、ユーザ側通信端末5Aの所有者と、プリンタ9の所有者とは同一であってもよい。この場合において、ユーザ側通信端末5Aがプリンタ側通信端末5Bに兼用されてもよい。プリンタ側通信端末5Bは、ネットワーク3を介して電子メールを受信可能なものであれば、どのような機器であってもよい。なお、通常、電子メールを受信可能な機器は、電子メールを送信可能である。通信端末5の具体例については、ユーザ側通信端末5Aの説明で述べたとおりである。
図2は、プリントシステム1の動作の概要を示す模式図である。
まず、ユーザ側通信端末5Aは、印刷したい情報を含む電子メールを所定の印刷用メールアドレス宛に送信する(ステップST1)。プリントサーバ7は、この電子メールを受信すると、その電子メールに基づいて印刷データを生成し、プリンタ9に送信する(ステップST2)。そして、プリンタ9は、受信した印刷データに基づく印刷を開始する(ステップST3)。
印刷データの内容は、例えば、電子メールの本文、電子メールに添付されたファイルの内容、及び、電子メールの本文に記入されたURL(Uniform Resource Locator)により特定されるウェブページの内容の少なくともいずれか一つを示す画像を印刷するためのものである。いずれが印刷対象とされるかは、例えば、予めプリントサーバ7において決定されていてもよいし、いずれを対象とするかを特定する情報を電子メールのタイトルに含ませることなどにより、ユーザ側通信端末5Aにおいて指定可能であってもよい。
また、印刷データの形式は、プリンタ9により使用可能な形式のものである。例えば、印刷データの形式は、パーソナルコンピュータからプリンタへ印刷を指示するときにパーソナルコンピュータ(ドライバ)からプリンタへ送信される印刷データの形式と同一であり、一般にラスター形式のものである。
このようにして印刷がなされることから、ユーザ側通信端末5Aのユーザは、電子メールを送信するだけで、その電子メールに係る情報の印刷を行うことができる。すなわち、プリンタ9側にプリンタ9のドライバがインストールされたパーソナルコンピュータを用意し、ユーザ側通信端末5Aから、そのパーソナルコンピュータに電子メールを送信し、パーソナルコンピュータからプリンタ9へその電子メールに係る情報の印刷を指示するというような面倒な手順は不要である。
ユーザ側通信端末5Aのユーザがプリンタ9の近くにいる場合においては、当該ユーザは、プリンタ9をドライバが不要な通常のプリンタとして利用することができる。また、ユーザ側通信端末5Aのユーザがプリンタ9から離れている場合においては、当該ユーザは、プリンタ9をFAXのように利用することができる。
印刷を開始した(又は開始しようとする)プリンタ9は、印刷の実行状況を示す第1状況情報をプリントサーバ7に送信する(ステップST4)。第1状況情報は、例えば、印刷が完了したか、印刷が複数枚に亘る場合において全枚数のうち何枚が完了したか等の状況を判別できる情報である。
プリンタ9から第1状況情報を受信したプリントサーバ7は、その第1状況情報に基づく第2状況情報(例えば第1状況情報と同一の情報)をユーザ側通信端末5Aに送信する(ステップST5)。そして、第2状況情報を受信したユーザ側通信端末5Aは、その第2状況情報の内容をユーザに知らせるための報知処理を行う(ステップST6)。
また、プリントサーバ7は、第1状況情報に基づく第3状況情報(例えば第1状況情報と同一の情報)をプリンタ側通信端末5Bにも送信する(ステップST7)。そして、第3状況情報を受信したプリンタ側通信端末5Bは、その第3状況情報の内容をユーザに知らせるための報知処理を行う(ステップST8)。
通信端末5が実行する報知処理は、例えば、通信端末5の表示部に所定の画像を表示させる処理、通信端末5のバイブレータを振動させる処理、及び/又は、通信端末5のスピーカから所定の音響を出力させる処理である。なお、報知は、このように各種の手段によってなされてよいが、以下では、主として表示部を例にとって説明するものとする。
プリンタ9からプリントサーバ7への第1状況情報の送信(ステップST4)、及び、プリントサーバ7から通信端末5への第2又は第3状況情報の送信(ステップST5及びST7)は、例えば、印刷が完了するまで(例えばステップST9及びST10のYES判定がなされるまで)繰り返される。また、これに伴い、通信端末5における、状況情報の報知(ステップST6及びST8)も繰り返される。
従って、例えば、電子メールを送信したユーザ、及び/又は、印刷先とされたプリンタ9の所有者は、プリンタ9から離れている場合においても、印刷の実行状況を知ることができる。その結果、例えば、ユーザ及び/又は所有者は、印刷が完了しない場合などに適切な対応を取ることができる。例えば、ユーザは、送信するデータ量を減らして再試行したり、他の情報伝達媒体を試したりできる。また、例えば、所有者は、プリンタにインク乃至は紙を補充することができる。
プリントサーバ7は、受信した第1状況情報が複数の情報を含む場合において、適宜に情報の取捨選択をして送信してよいし、逆に、適宜に情報を付加して送信してもよい。すなわち、第1状況情報(ステップST4)、第2状況情報(ステップST5)及び第3状況情報(ステップST7)は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、第1〜第3状況情報を含むデータは、データ形式が互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、本実施形態の説明においては、第1〜第3状況情報を特に区別せずに、単に状況情報ということがあり、また、状況情報の語は、1種類の情報を指す場合、複数種類の情報からなる情報全体を指す場合、複数種類の情報からなる情報の個々の情報を指す場合がある。
図2の動作の前提として、ユーザ及びプリンタの所有者(通信端末5及びプリンタ9)は、サービス提供者(プリントサーバ7)に対する所定の登録手続きを行う。これにより、通信端末5、プリンタ9及びプリントサーバ7には、互いのメールアドレス等の必要な情報が記憶される。登録手続きは、例えば、通信端末5及びプリンタ9にインストールされた専用のアプリケーションが仲介してもよいし、通信端末5のウェブブラウザが仲介してもよい。
図3は、図2の動作を実現するためのプリントシステム1の構成を示すブロック図である。
通信端末5、プリントサーバ7及びプリンタ9それぞれは、特に図示しないが、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置等を有しており、CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図3にブロック(矩形)で示された各部が構成されている。
ユーザ側通信端末5Aは、例えば、電子メールを送受信するためのメールクライアント部21Aと、ウェブページを閲覧するためのウェブクライアント部23Aと、上述した印刷を実現するためのプリントクライアント部25Aと、表示部27Aと、操作部29Aとを有している。
同様に、プリンタ側通信端末5Bは、例えば、電子メールを送受信するためのメールクライアント部21Bと、ウェブページを閲覧するためのウェブクライアント部23Bと、上述した印刷を実現するためのプリントクライアント部25Bと、表示部27Bと、操作部29Bとを有している。
なお、以下では、ユーザ側通信端末5A及びプリンタ側通信端末5Bの各部について、「A」及び「B」を省略し、いずれの通信端末5に属するものであるか区別しないことがある。
メールクライアント部21及びウェブクライアント部23は、携帯電話機等の通信端末において一般的なもの(一般的なメールクライアントソフトウェア及びウェブクライアントソフトウェアの実行によって構築されるもの)と同様のものでよい。メールクライアント部21は、例えば、電子メールの作成、送信、受信、閲覧及び管理を行う。ウェブクライアント部23は、例えば、ネットワーク3を介して不図示のウェブサーバにアクセスし、ウェブブラウザによりウェブページを表示する。
プリントクライアント部25は、例えば、プリントシステム1によるサービスを受けるための専用アプリケーションを通信端末5にダウンロードして通信端末5(CPU)に実行させることによって構築される。ただし、当該アプリケーションは通信端末5に当初からインストールされていてもよいし、後述するように、そのような専用アプリケーション(プリントクライアント部25)を不要とすることも可能である。
ユーザ側通信端末5Aのプリントクライアント部25Aと、プリンタ側通信端末5Bのプリントクライアント部25Bとは、互いに異なる構成とされていてもよいし、互いに同一の構成とされ、入力される信号の相違によって異なる動作をしてもよい。
プリントクライアント部25は、例えば、プリントサーバ7との間でネットワーク3を介した接続を確立し、プリントサーバ7からの信号に基づく通信端末5における情報提示(例えば表示部27の制御)、及び、操作部29に対する操作に応じた信号のプリントサーバ7への送信を行う。プリントクライアント部25は、例えば、通信端末5の電源がONされたときに起動される。
個人ユーザの通信端末5のIPアドレス(Internet Protocol address)は、例えば、通信端末5がネットワーク3に接続されたときに、プロバイダーのDHCPサーバ(Dynamic Host Configuration Protocol server、不図示)によって動的に割り当てられる態様であることが多い。すなわち、通信端末5のIPアドレスは変化する。そこで、プリントクライアント部25は、適宜な時期にプリントサーバ7に通信端末5のIPアドレス等を通知するためのアドレス通知部31を有している。これにより、例えば、図2のステップST5又はST7などにおいて、プリントサーバ7からネットワーク3を介して通信端末5へ接続することができる。なお、プリントサーバ7のIPアドレスは、例えば、静的に割り当てられている(固定IPアドレスである)。
具体的には、例えば、通信端末5にグローバルIPアドレスが割り当てられる態様においては、アドレス通知部31は、適宜な情報(例えばプリントシステム1のサービスを受けるためのアカウント情報)をデータ部に含むIPパケットをプリントサーバ7へ送信すればよい。IPパケットには、送信元IPアドレスが含まれているから、これにより、プリントサーバ7は、通信端末5のIPアドレスを把握できる。なお、IPパケットが含まれるイーサネットフレームには、送信元のMACアドレス(Media Access Control address)が含まれているから、プリントサーバ7は、アドレス通知部31からの通知によって通信端末5のMACアドレスも取得できる。
また、例えば、通信端末5にローカルIPアドレス(プライベートIPアドレス)が割り当てられる態様においては、アドレス通知部31は、ローカルIPアドレスを通信端末5に割り当てたDHCPサーバ(例えばLANのルータ。プロバイダーのサーバであることもある)のグローバルIPアドレスと、プロトコルと、ポート番号とを含むIPパケットをプリントサーバ7へ送信すればよい(これらの一部又は全部の情報の付与はDHCPサーバが行ってもよい。)。すなわち、通信端末5は、いわゆるポート開放を行えばよい。これにより、プリントサーバ7は、静的IPマスカレードを利用して通信端末5へ接続することができる。なお、本実施形態の説明では、グローバルIPアドレス、プロトコル及びポート番号の組み合わせについても、アドレス乃至はIPアドレスということがある。
アドレス通知部31がアドレスを通知する時期は、例えば、通信端末5がインターネット11に接続するなどして通信端末5にIPアドレスが割り当てられたときである。通信端末5にグローバルIPアドレスが割り当てられている場合においては、その後、通信端末5の接続が切れて割り当てられたグローバルIPアドレスが回収されるまでは、プリントサーバ7は通信端末5に対して接続できる。また、例えば、LANのルータによってプライベートIPアドレスが通信端末5に割り当てられている場合、ルータの電源が落とされてルータに割り当てられたグローバルIPアドレスが回収されるまでは、プリントサーバ7は通信端末5に対して接続できる。なお、通常、ルータは、電源を入れたままとされるから、長期に亘ってプリントサーバ7は通信端末5に接続可能である。その他、例えば、プリントクライアント部25の起動よりもIPアドレスの割り当てが早いことが確実であれば、アドレスを通知する時期は、プリントクライアント部25の起動時とされてもよい。
本実施形態では、プリントクライアント部25は、通信端末5の起動時から基本的に起動されているので、メールクライアント部21が所定の印刷用メールアドレス宛に電子メールを送信したか否か監視し、送信されたと判定したときに、通信端末5からプリントサーバ7へ接続し、所定の条件が満たされるまでプリントサーバ7との接続を維持するようにしてもよい。所定の条件は、例えば、接続を確立してから所定の時間が経過したこと、及び/又は、プリントサーバ7から印刷完了の情報を受信したことである。このような態様では、通信の負担は増加するものの、通信端末5のIPアドレス回収後にプリントサーバ7が通信端末5に接続しようとする状況は生じないから、確実にプリントサーバ7との通信が行われる。
なお、通信端末5のIPアドレスが静的に割り当てられている場合においては、アドレス通知部31は省略されてもよい。この場合、例えば、プリントシステム1によるサービスを受けるための当初の登録手続きにおいて、通信端末5等からプリントサーバ7にMACアドレス及びIPアドレス等のアドレスが通知されればよい。
通信端末5が携帯電話機である場合においては、各通信キャリアにおいては独自のプロトコルに従って携帯電話機を識別しており、プリントサーバ7からは、電話網13とインターネット11とを仲介する不図示のゲートウェイのIPアドレスまでしか把握できず、さらに、仲介を行うゲートウェイ(IPアドレス)は変化する。従って、ユーザ側通信端末5Aが携帯電話機である場合においては、例えば、プリントクライアント部25Aは、上述したように、メールクライアント部21Aが所定の印刷用メールアドレス宛に電子メールを送信したか否か監視し、送信されたと判定したときに、ユーザ側通信端末5Aからプリントサーバ7へ接続し、所定の条件が満たされるまでプリントサーバ7との接続を維持するようにすればよい。プリンタ側通信端末5Bが携帯電話機である場合は、例えば、プリントクライアント部25Bは、起動と同時にプリントサーバ7へ接続し、できるだけ少ないデータ量で接続を維持すればよい。なお、理論的には、通信端末5がコンピュータである場合と同様に、通信端末5としての携帯電話機のアドレスをプリントサーバ7が記憶して、プリントサーバ7から携帯電話機へ接続することも可能である。
表示部27は、例えば、液晶表示装置又は有機EL表示装置である。操作部29は、例えば、複数の物理的なキーを有するものであってもよいし、タッチパネルのように表示部27のGUI(graphical user interface)と組み合わされたものであってもよい。
プリントサーバ7は、例えば、電子メールを受信する(図2のステップST1参照)ためのメール受信部33と、ウェブページの情報を取得するためのウェブクライアント部35と、受信した電子メールに基づく印刷を行う主たる処理を行うためのメイン処理部37と、通信端末5及びプリンタ9のアドレス等を保持するデータベース39とを有している。
メール受信部33は、例えば、一般的なメールサーバと同様に、他のメールサーバのMTA(Mail Transfer Agent)から送信され、宛先メールアドレスのドメイン名が自己のIPアドレスと対応した電子メールを受信する。すなわち、メール受信部33は、所定(一定)のドメイン名と、種々のローカルパートとからなる種々の宛先メールアドレスの電子メールを受信する。例えば、ドメイン名が「@f**.ne.jp」である、「eee@f**.ne.jp」、「ggg@f**.ne.jp」等を宛先メールアドレスとする電子メールを受信する。ただし、メール受信部33においては、メールサーバとは異なり、受信したメールを転送する機能(MTA)及び受信したメールをメールクライアントに配送する機能(MDA:Mail Delivery Agent)は不要である。
なお、メール受信部33は、メールクライアントのメール受信部と同様に構成され、所定のドメイン名を宛先メールアドレスに含む種々の電子メールをメールサーバのMDAから受信してもよい。すなわち、擬似的にメールサーバのように動作してもよい。ただし、この場合、ユーザ側通信端末5Aから電子メールが送信されたときに直ちにメール受信部33にて受信できるように、メールサーバからメール受信部33への電子メールの配送はプッシュ型であることが好ましい。
ウェブクライアント部35は、例えば、一般的なウェブクライアント部と同様に、URLによって特定されるウェブページの情報をウェブサーバから取得する。ただし、ウェブクライアント部35は、その情報を表示部に表示するためのブラウザは有していなくてもよい。
メイン処理部37は、例えば、データベース39に記録される情報を管理する登録管理部40と、通信端末5等の位置情報に係る処理を行う位置情報処理部41と、プリンタ9に印刷を行わせる印刷処理を行う(ステップST2参照)ための印刷処理部43と、印刷の実行に係る状況情報に係る処理を行う(ステップST4、ST5及びST7参照)ための状況情報処理部45と、を有している。
位置情報処理部41が扱う位置情報は、ネットワーク3を介した通信に係る位置の情報ではなく、緯度及び経度で示されるような、座標系における位置の情報である。位置情報処理部41は、例えば、ユーザ側通信端末5A及び/又はプリンタ側通信端末5Bがプリンタ9の近くにあるか否か(例えば、通信端末5の保持者がプリンタ9における印刷の実行状況を直接に把握できるか否か)判定する。そして、例えば、状況情報処理部45は、プリンタ9の近くにある通信端末5に対する状況情報の送信(ステップST5及び/又はST7)を控える。これにより、例えば、通信の負担が低減される。
位置情報処理部41は、例えば、通信端末5の位置情報を取得する位置情報取得部49と、その取得した位置情報に基づいて通信端末5がプリンタ9から離れているか否か等を判定する位置判定部51とを有している。
位置情報取得部49は、例えば、必要に応じて通信端末5にその位置を問い合わせる。問い合わせを受けた通信端末5(例えばプリントクライアント部25)は、自己の位置情報を適宜な方法によって取得してプリントサーバ7に送信する。これにより、位置情報取得部49は、通信端末5の位置情報を取得する。
通信端末5における自己の位置情報の取得には、例えば、GPS(Global Positioning System)機能が利用される。また、例えば、通信端末5が携帯電話機である場合においては、通信端末5がいずれのゾーン(セル)の基地局と電波を送受信しているかの情報に基づく位置特定機能、又は、通信端末5との間で電波を送受信可能な複数の基地局を利用した三角測量方式の位置特定機能が利用されてもよいし、これらとGPS機能との組み合わせ(広義にはこれもGPS(A−GPS:Assisted GPS)機能である)が利用されてもよい。
位置判定部51は、例えば、位置情報取得部49が取得した通信端末5の位置と、プリンタ9の位置とに基づいて、通信端末5とプリンタ9との距離が所定値以上であるか否か判定する。プリンタ9の位置は、例えば、所定の登録手続きによってデータベース39に記憶されている。
判定の基準となる所定値は、実現したいサービスの内容、及び、通信端末5における測位精度等を考慮して、適宜に設定されてよい。
例えば、ユーザ側通信端末5Aから要求された印刷が、プリンタ9の比較的近くにいるユーザがプリンタ9をドライバの不要なプリンタとして利用しようとしているものであるのか、プリンタ9から離れているユーザがプリンタ9をFAXとして利用しようとしているのかを判定したい場合においては、同一の建築物内においてFAXを行う機会は少ないと考えられることから、比較的所定値を大きくすることができる。例えば、所定値を20m以上の適宜な値(例えば、20m、50m、1kmなど)としてよい。なお、例えば、通常の携帯電話機のGPS(A−GPS)による測位精度は、現在(出願時)、数m程度であるので、十分に正確な判定を行うことができる。
また、例えば、通信端末5の保持者がプリンタ9の印刷の実行状況を直接に把握できるか否かを判定したい場合においては、比較的所定値を小さくしてもよい。例えば、所定値を1m以上10m以下の適宜な値(例えば5m、10mなど)としてよい。なお、例えば、通常の携帯電話機のGPS(A−GPS)による測位精度は、現在(出願時)、数m程度であるので、5m以下の所定値は、判定が精度よく行われないおそれがある。ただし、測位精度が数cm程度の方式のGPSは存在しており、また、携帯電話機に高精度なGPS機能を搭載することも理論的には可能である。
また、例えば、所定値は、ユーザ側通信端末5Aとプリンタ側通信端末5Bとで異なっていたり、複数のユーザ側通信端末5A間で異なっていたり、複数のプリンタ側通信端末5B間で異なっていたりしてもよい。このような場合、ユーザ乃至はプリンタ所有者の多様なニーズに応えることができる。
また、例えば、所定値は、複数種類用意されていてもよい。例えば、後述するように、プリントサーバ7から通信端末5へ送信される状況情報は、印刷の完了枚数だけでなく、印刷の実行状況に係る種々の情報(例えばインク残量及び/又は用紙残量に係る情報)を含んでいる。そこで、例えば、プリントサーバ7は、通信端末5がプリンタ9の近傍にあるときは、通信端末5の保持者はプリンタ9の状態を視認できるので、通信端末5へ状況情報を送信せず、それよりも少し離れた位置に通信端末5があるときは、通信端末5の保持者はプリンタ9の状態を視認できないが、必要に応じてプリンタ9の近傍へ行ってインクの補充等を行うことができるので、全ての情報(インク残量等の情報を含む)を通信端末5へ送信し、通信端末5がプリンタ9から遠く離れているときは、通信端末5の保持者がプリンタ9にインクを補充したりすることは困難なので、完了枚数の情報のみを送信する。
また、所定値は、プリントサーバ7において固定値として保持されていてもよいし、所定の登録手続き又はその変更手続きによって、ユーザ又はプリンタの所有者が任意に設定可能であってもよい。この場合、例えば、通信端末5又はプリンタ9に対する操作によって、これらの機器からプリントサーバ7へ情報が送信され、所定値の値が書き換えられてもよい。
印刷処理部43は、例えば、メール受信部33が受信した電子メールに基づいて、プリンタ9が使用可能な形式の印刷データを生成する印刷データ生成部53と、その生成された印刷データをプリンタ9に送信するための印刷データ送信部55とを有している。
状況情報処理部45は、例えば、プリンタ9における印刷の実行状況を示す状況情報を取得する状況情報取得部57と、取得した状況情報を通信端末5へ送信する状況情報送信部58とを有している。
状況情報取得部57は、例えば、適宜なタイミング及び/又は適宜な周期でネットワーク3を介してプリンタ9に状況情報の送信を要求し、プリンタ9からの返信を待つ。プリンタ9が適宜なタイミング及び/又は周期で自発的に状況情報を送信するようにし、状況情報取得部57は、単にその送信されてくる状況情報を受信するだけであってもよい。
状況情報送信部58は、状況情報取得部57が受信した状況情報をユーザ側通信端末5A及びプリンタ側通信端末5Bに送信する。ただし、既に述べたように、位置情報処理部41における判定結果によっては、状況情報送信部58は状況情報を送信しない。状況情報を受信した通信端末5のプリントクライアント部25は、その内容を表示部27に表示することなどにより報知する。
プリンタ9は、例えば、受信した印刷データを印刷するための制御を行う印刷実行部59と、プリントシステム1によるサービスを受けるための処理を実行するネットワーク用処理部61と、表示部63と、操作部65とを有している。
印刷実行部59は、例えば、一般的なプリンタにおいて構築されているものと同様でよい。印刷実行部59は、例えば、印刷データに基づいて、プリントヘッドのアクチュエータ及び紙送り機構のアクチュエータに対して適宜なタイミング及び適宜な大きさで電圧を印加する。
ネットワーク用処理部61は、例えば、プリントシステム1にインストールされた専用のアプリケーションが実行されることによって構築される。このアプリケーションは、例えば、プリントサーバ7の提供者と同一又は提携しているプリンタ9の製造者によってプリンタ9の出荷前にインストールされてもよいし、プリンタ9の所有者によってインストールされてもよい。
ネットワーク用処理部61は、例えば、プリンタ9のIPアドレスをプリントサーバ7に通知するためのアドレス通知部67と、プリンタ9の状態をプリントサーバ7に通知するための状況通知部69とを有している。
アドレス通知部67は、通信端末5のアドレス通知部31と同様に、プリンタ9のIPアドレスが動的に割り当てられるものである場合に、プリントサーバ7にプリンタ9のIPアドレスを通知するためのものである。プリンタ9に割り当てられるIPアドレスがグローバルIPアドレス及びローカルIPアドレスのいずれであってもよいことは通信端末5と同様であり、また、前者又は後者の場合におけるアドレス通知部67の動作も、アドレス通知部31と同様でよい。
ただし、プリンタ9は、一般に、常時インターネット11との接続が確立されているものではない。従って、例えば、プリンタ9とインターネット11との間にルータ(乃至はアクセスポイント)が介在されていることが好ましい。既に述べたように、ルータは、基本的に常時インターネット11に接続されているからである。もちろん、プリンタ9のIPアドレスが静的なものであれば、アドレス通知部67は省略されてもよい。
状況通知部69は、例えば、プリントサーバ7からの問い合わせ(ステップST2)に応じてプリンタ9における印刷の実行状況を示す状況情報をプリントサーバ7に送信する。上述の印刷実行部59は、通常、印刷の進行を管理するために、印刷の予定枚数及び完了枚数を示す情報を保持しているとともに、印刷の進行に伴って完了枚数を示す情報を更新している。従って、例えば、状況通知部69は、その情報をプリントサーバ7へ送信するだけでよい。
また、既に言及したように、状況通知部69は、印刷の実行状況自体(例えば印刷の完了枚数)だけでなく、実行状況に間接的に係る付帯情報を状況情報に含ませて送信してもよい。付帯情報は、例えば、プリンタ9におけるインク残量を示す情報、プリンタ9における用紙残量を示す情報である。これらの情報を状況情報に含ませることにより、例えば、ユーザ又はプリンタ9の所有者は、印刷の進行が停止したときにその原因を認識し、又は、印刷の進行が停止するおそれを知ることができ、ひいては、適切な対応を取ることができる。
インク残量を示す情報は、インクの有無のみを示す情報(2値の情報)であってもよいし、段階的又は連続的にインク残量を示す情報であってもよい。また、プリンタ9がカラープリンタである場合においては、色毎にインク残量が示されてもよい。同様に、用紙残量を示す情報は、用紙の有無のみを示す情報であってもよいし、段階的又は連続的に用紙残量を示す情報であってもよい。用紙を供給するカセット乃至はトレイが複数ある場合においては、そのカセット乃至はトレイ毎に用紙残量が示されてもよい。
通常、プリンタ9は、上記のようなインク残量又は用紙残量等のプリンタの状態を検出する不図示の状態検出部を有している。従って、状況通知部69は、既存の状態検出部から情報を取得すればよい。
表示部63及び操作部65は、通信端末5の表示部27及び操作部29と同様である。
図4(a)は、データベース39に保持されるデータの内容を示す模式図である。
データベース39は、例えば、ユーザ側通信端末5Aに係る情報、印刷用メールアドレス、及び、プリンタ9に係る情報を互いに対応付けて保持している。なお、以下の説明では、図示のデータテーブルの各行をデータD1ということがある。このデータベース39の更新(管理)は、例えば、登録管理部40によって行われる。
データベース39において、このような対応付けがなされた情報が保持されていることから、例えば、プリントサーバ7は、電子メールを受信したときに、その送信元及び/又は送信先のメールアドレスに基づいて、その電子メールを印刷すべきプリンタ9を特定することができる。各情報は、具体的には、例えば、以下のとおりである。
ユーザ側通信端末5Aに係る情報は、例えば、メールアドレスとアドレス(例えばMACアドレス及びIPアドレス)である。なお、この例では、ユーザ側通信端末5AにグローバルIPアドレスが割り当てられている態様のものである。
ユーザ側通信端末5Aのメールアドレスは、例えば、プリントシステム1によって実現されるサービスの提供前に、電子メール又はウェブブラウザを利用した所定の登録手続きによって、ユーザ側通信端末5Aからプリントサーバ7に入力され、データベース39に保持される。
ユーザ側通信端末5AのMACアドレスは、上記の登録手続きにおいて、ユーザ側通信端末5Aからプリントサーバ7に入力され、データベース39に保持されてもよいし、上述したように、ユーザ側通信端末5Aからプリントサーバ7へのIPアドレスの通知とともに、取得・更新されてもよい。なお、前者であれば、例えば、ユーザ側通信端末5Aからプリントサーバ7への通信においてMACアドレスを認証に利用可能である。後者であれば、例えば、ユーザが電子メールを送信するハードウェア(ユーザ側通信端末5A)を変更した場合にも、プリントサーバ7はMACアドレスを取得してユーザ側通信端末5Aにサービスを提供できる。
ユーザ側通信端末5AのIPアドレスは、既に述べたように、アドレス通知部31Aからの通知等に基づいて適宜に更新される。
なお、ユーザ側通信端末5AにローカルIPアドレスが割り当てられる態様においては、例えば、ユーザ側通信端末5Aのアドレスとして、ルータ(DHCPサーバ)のIPアドレス、プロトコル及びポート番号が記憶される。これらの情報が所定の登録手続きによって又はアドレス通知部31Aからの通知等に基づいて登録乃至は更新されてよいことは、上記と同様である。また、例えば、ユーザ側通信端末5Aが携帯電話機である態様(アドレス通知部31が設けられない態様)においては、データベース39にゲートウェイのIPアドレスは不要であり、ユーザ側通信端末5Aから接続があったときにゲートウェイのIPアドレスがRAM等に適宜に記憶されればよい。データベース39は、上記のいずれの態様にも対応可能に構成されてもよい。
印刷用メールアドレスは、ユーザ側通信端末5Aのユーザが、印刷を希望する電子メールをプリントサーバ7に送信するときに、その宛先とすべきメールアドレスである。この印刷用メールアドレスのドメイン名は、例えば、既に述べたように、プリントサーバ7のIPアドレスに対応している。印刷用メールアドレスのローカルパートは、例えば、プリントシステム1のサービス提供前における所定の登録手続きにおいて、プリントサーバ7がユーザ側通信端末5A等からの信号等に基づいて適宜に設定する。
本実施形態では、例えば、電子メールの宛先メールアドレスに基づいて印刷先のプリンタ等を決定する。従って、例えば、複数のユーザ側通信端末5Aのメールアドレスと、一の印刷用メールアドレスとが対応付けられていたり(複数のユーザが同一のプリンタ9から印刷したり)、逆に一のユーザ側通信端末5Aのメールアドレスと、複数の印刷用メールアドレスとが対応付けられたり(一のユーザが印刷先のプリンタ9を複数のプリンタ9から選択したり)することが可能となっている。ただし、同一の、ユーザ側通信端末5Aのメールアドレスと印刷用メールアドレスとの組み合わせは存在しないように(重複して同じ組み合わせが登録されないように)、登録手続きが行われる。
プリンタ9に係る情報は、例えば、プリンタ9のアドレス(例えばMACアドレス及びIPアドレス)、プリンタ9の位置を示す情報、プリンタ9で使用可能な印刷データのデータ形式を示す情報、プリンタ9の所有者が所有するプリンタ側通信端末5Bに係る情報である。なお、この例では、プリンタ9にグローバルIPアドレスが割り当てられている態様のものである。
プリンタ9のアドレスは、例えば、上記のユーザ側通信端末5Aのアドレスと同様に、所定の登録手続き及び/又はアドレス通知部67によってプリントサーバ7に入力され、データベース39において登録及び/又は更新される。なお、プリンタ9のアドレスとして、ルータ(DHCPサーバ)のIPアドレス、プロトコル及びポート番号が記憶されてよいこと、データベース39がいずれの態様にも対応可能に構成されてもよいこと等もユーザ側通信端末5Aと同様である。
プリンタ9の位置を示す情報は、例えば、緯度及び経度である。なお、「〜市」又は「〜町」、又は、「〜市(町)〜丁目〜番地」のような所定のエリア(乃至は建物)を示す情報であっても構わない。この場合であっても、例えば、通信端末5の位置がその所定のエリア内であるか否かを判定することによって、実質的に、通信端末5とプリンタ9との距離が長いか否か、判定することができる。
プリンタ9のデータ形式を示す情報は、例えば、所定の登録手続きにおいて、適宜な通信端末5からの情報送信により、又は、プリンタ9からの情報送信により、データベース39において登録される。なお、プリントサーバ7は、通信端末5又はプリンタ9から、プリンタ9の機種の情報を取得し、その情報から自己の適宜なデータベースを参照してデータ形式を特定し、データベース39に登録してもよい。
プリンタ側通信端末5Bに係る情報は、本実施形態では、ユーザ側通信端末5Aに係る情報と同様である。
なお、図4(a)に示すデータベースは、あくまで概念図であり、データベース39においては、種々の適宜なデータテーブルが構成されてよい。例えば、図4(a)に示すデータテーブルにおいて、データ形式を示す情報に代えてプリンタ9の機種を示す情報が登録され、これとは別に、プリンタ9の機種を示す情報とデータ形式を示す情報とを対応付けたデータテーブルが用意されてもよい。これでも、実質的に、印刷用メールアドレス等と、データ形式を示す情報とが対応付けられているといえる。また、データベース39を構成する記憶装置(ハードウェア)は、一つであってもよいし、ネットワークを介して接続された複数であってもよい。
図4(b)は、状況情報を含む状況データの一例を示す模式図である。
このデータは、例えば、プリンタ9からプリントサーバ7へ送信されるデータ(ステップST4)、プリントサーバ7からユーザ側通信端末5Aへ送信されるデータ(ステップST5)、プリントサーバ7からプリンタ側通信端末5Bへ送信されるデータ(ステップST7)の一例である。
状況データは、例えば、一のパケットのデータ部に含まれるものであり、印刷予定枚数を示す情報と、印刷完了枚数を示す情報と、インク残量を示す情報と、用紙残量を示す情報とを含んでいる。なお、パケットは、この状況データに、宛先アドレス及び送信元アドレス等を付与して構成されている。
図5は、図2の動作を実現するためにプリントサーバ7が実行するメイン処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST21では、プリントサーバ7は、電子メールを受信したか否か判定し、受信していないと判定したときは待機し、受信したと判定したときは、ステップST22に進む。
ステップST22では、プリントサーバ7は、受信した電子メールの送信元メールアドレスをキーとしてデータベース39のユーザ側通信端末5Aのメールアドレスを検索し、その送信元メールアドレスがデータベース39に記憶されているか否か判定する。すなわち、プリントサーバ7は、電子メールを送信したユーザが、プリントシステム1のサービスを受けるべく予め登録されたユーザであるか否かを判定する。
そして、プリントサーバ7は、送信元メールアドレスがデータベース39に記憶されていないと判定したときは、その旨を知らせる電子メールを送信元メールアドレスに送信し(ステップST23)、ステップST21に戻る。一方、プリントサーバ7は、送信元メールアドレスがデータベース39に記憶されていると判定したときは、ステップST24に進む。
ステップST24では、プリントサーバ7は、データベース39の複数のデータD1のうち、ステップST22における検索の結果得られた、受信した電子メールの送信元メールアドレスがユーザ側通信端末5Aのメールアドレスに一致する1以上のデータD1を対象に、受信した電子メールの送信先メールアドレスをキーとして印刷用メールアドレスを検索し、1つのデータD1を特定する。そして、特定したデータD1のプリンタ9(のアドレス)を印刷先として指定する。
なお、特に図示しないが、このとき、該当する印刷用メールアドレスが見つからないときは、プリントサーバ7は、その旨をユーザ側通信端末5Aに通知してもよい。この通知は、電子メールによってなされてもよいし、プリントサーバ7とユーザ側通信端末5Aとの間で接続を確立し、プリントクライアント部25Aによって所定の画像を表示することでなされてもよい。
ステップST25では、プリントサーバ7は、ステップST22で特定したユーザ側通信端末5A、及び、ステップST24で特定したプリンタ9及びプリンタ側通信端末5Bについて、位置情報の取得及び判定を行う。
ステップST26では、プリントサーバ7は、データベース39を参照して、ステップST24で特定したプリンタ9で使用可能な印刷データのデータ形式を特定する。
ステップST27では、プリントサーバ7は、ステップST26で特定したデータ形式に基づいて、受信した電子メールに係る情報を印刷するための印刷データを生成する。
ステップST28では、プリントサーバ7は、ステップST27で生成した印刷データをステップST24で特定したプリンタ9に送信する。
ステップST29では、プリントサーバ7は、印刷データの送信先のプリンタ9における、その印刷データの印刷の実行状況に係る情報を取得し、通信端末5へ送信する。
図6は、図5のステップST25においてプリントサーバ7が実行する位置情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST41では、プリントサーバ7は、図5のステップST22で特定したユーザ側通信端末5Aから、ユーザ側通信端末5Aの位置情報を取得する。例えば、プリントサーバ7は、データベース39を参照して得られるユーザ側通信端末5Aのアドレスへ位置情報を要求する信号を送信し、又は、ユーザ側通信端末5Aからの信号に基づいて確立された接続を利用して位置情報を要求する信号を送信し、返信を得る。
ステップST42では、プリントサーバ7は、ステップST41で取得したユーザ側通信端末5Aの位置情報と、図5のステップST24で特定したデータD1を参照して得られるプリンタ9の位置情報とに基づいて、ユーザ側通信端末5Aとプリンタ9との距離を算出し、その距離が所定値を超えているか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、超えていないと判定したときは、ユーザ近距離フラグを立て(ステップST43)、ステップST44に進み、超えていると判定したときは、ステップST43をスキップしてステップST44に進む。
なお、特に図示しないが、ユーザ側通信端末5Aに測位機能がないなどの理由によって、ステップST41においてユーザ側通信端末5Aの位置情報を得られない場合においては、例えば、ステップST42及びST43をスキップして(ユーザ近距離フラグを立てずに)ステップST44に進む。
ステップST44〜ST46では、プリントサーバ7は、ステップST41〜ST43と同様の処理をプリンタ側通信端末5Bについて行う。
具体的には、まず、ステップST44では、プリントサーバ7は、図5のステップST24で特定したプリンタ側通信端末5Bから、プリンタ側通信端末5Bの位置情報を取得する。例えば、プリントサーバ7は、図5のステップST24で特定したデータD1を参照して得られるプリンタ側通信端末5Bのアドレスへ位置情報を要求する信号を送信し、又は、プリンタ側通信端末5Bからの信号に基づいて確立された接続を利用して位置情報を要求する信号を送信し、返信を得る。
ステップST45では、プリントサーバ7は、ステップST44で取得したプリンタ側通信端末5Bの位置情報と、図5のステップST24で特定したデータD1を参照して得られるプリンタ9の位置情報とに基づいて、プリンタ側通信端末5Bとプリンタ9との距離を算出し、その距離が所定値を超えているか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、超えていないと判定したときは、所有者近距離フラグを立て(ステップST46)、図6に示す位置情報処理を終了し、超えていると判定したときは、ステップST46をスキップして位置情報処理を終了する。
なお、特に図示しないが、プリンタ側通信端末5Bに測位機能がないなどの理由によって、ステップST44においてプリンタ側通信端末5Bの位置情報を得られない場合においては、例えば、ステップST45及びST46をスキップして(所有者近距離フラグを立てずに)位置情報処理を終了する。
図7は、図5のステップST29においてプリントサーバ7が実行する状況情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST51では、プリントサーバ7は、ユーザ近距離フラグ(ステップST43)及び所有者近距離フラグ(ステップST46)の双方が立てられているか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、双方が立てられていると判定したときは、図7に示す状況情報処理を終了する。すなわち、ユーザ(ユーザ側通信端末5A)及びプリンタ9の所有者(プリンタ側通信端末5B)のいずれもプリンタ9の比較的近くにいる場合は、後述するプリンタ9からの状況情報の取得、及び、取得した状況情報の通信端末5への送信等は行われない。一方、プリントサーバ7は、少なくとも一方のフラグが立てられていると判定したときは、ステップST52に進む。
ステップST52では、プリントサーバ7は、プリンタ9から第1状況情報を取得する。例えば、プリントサーバ7は、図5のステップST24で特定したデータD1を参照して得られるプリンタ9のアドレスへ状況情報を要求する信号を送信し、返信を得る。
ステップST53では、プリントサーバ7は、ユーザ近距離フラグが立てられているか否か判定し、立てられていないと判定したときは、ステップST54に進む。
ステップST54では、プリントサーバ7は、ステップST52で取得した第1状況情報に基づく第2状況情報を、電子メールを送信したユーザ側通信端末5Aに送信する。送信は、位置情報の要求を送信したときと同様に、データベース39に記録されているアドレス、又は、既に確立した接続を利用して行われる。
一方、プリントサーバ7は、ステップST53において、ユーザ近距離フラグが立てられていると判定したときは、上記のステップST54をスキップする。すなわち、プリントサーバ7からユーザ側通信端末5Aへの第2状況情報の送信は行われない。
ステップST55及びST56では、プリントサーバ7は、プリンタ側通信端末5Bについて、ステップST53及びST55と同様の処理を行う。具体的には、まず、ステップST55では、プリントサーバ7は、所有者近距離フラグが立てられているか否か判定し、立てられていないと判定したときは、ステップST56に進む。
ステップST56では、プリントサーバ7は、ステップST52で取得した第1状況情報に基づく第3状況情報を、図5のステップST24で特定したデータD1に含まれるプリンタ側通信端末5Bに送信する。送信は、位置情報の要求を送信したときと同様に、データベース39に記録されているアドレス、又は、既に確立した接続を利用して行われる。
一方、プリントサーバ7は、ステップST55において、所有者近距離フラグが立てられていると判定したときは、上記のステップST56をスキップする。すなわち、プリントサーバ7からユーザ側通信端末5Aへの第3状況情報の送信は行われない。
ステップST57では、プリントサーバ7は、ステップST52で取得した第1状況情報に基づいて印刷が完了したか否か判定し、印刷が完了したと判定したときは、図8(b)の状況情報処理を終了し、印刷が完了していないと判定したときは、ステップST52に戻る。これにより、印刷が完了するまで、状況情報の取得及び送信が繰り返される。なお、ステップST52〜ST56が繰り返されている間は、プリントサーバ7と通信端末5との接続が維持されていることが好ましい。
印刷が複数枚に亘る場合においては、例えば、ステップST52〜ST56が繰り返されている間に、状況情報に含まれる、印刷が完了した枚数、インク残量及び用紙残量の情報が変化していく。これにより、通信端末5においては、印刷が何枚中何枚まで完了したか、及び、その印刷完了時点におけるインク残量及び用紙残量を報知可能となる。
通信端末5のプリントクライアント部25は、適宜な条件をトリガとして、自己の表示アプリケーションを起動し、又は、ウェブクライアント部23のウェブブラウザを呼び出す。トリガは、例えば、最初の状況情報の受信を受けたこと、又は、その前にプリントサーバ7が送信した適宜な指示信号を受信したことである。そして、通信端末5は、例えば、状況情報を受信する度に、または、状況情報の内容が変化する度に、状況情報を表示する画像を更新する。
ステップST52〜ST56の繰り返しは、所定の周期で行われるようにされてよい。例えば、ステップST57の戻り位置とステップST52との間に、所定時間が経過するまで待機するステップを挿入してもよい。また、ステップST52とステップST53との間に、受信した状況情報の内容が変化するまでステップST52に戻るステップを設け、状況が変化したときのみ状況情報の送信を行うようにしてもよい。例えば、印刷が完了した枚数が増加したときのみ状況情報の送信を行うようにしてもよい。
上記の周期は、1枚の印刷に必要な時間よりも短くてもよいし、長くてもよい。別の観点では、印刷状況は、1枚毎に把握されてもよいし、複数枚毎に把握されてもよい。印刷枚数を基準に状況情報の送信を行う場合においても同様に、1枚毎に送信されてもよいし、複数枚毎に送信されてもよい。
図8(a)は、図7のステップST52(状況情報取得)に対応してプリンタ9が実行する状況通知処理の手順の一例を示すフローチャートである。この例は、図7のステップST52において、状況情報を要求する信号がプリントサーバ7からプリンタ9へ送信される態様に対応している。
プリンタ9は、例えば、プリンタ9の起動時から図8(a)に示す状況通知処理を開始している。そして、プリンタ9は、受信した信号が状況情報の要求を含むか否か判定し(ステップST71)、含まないと判定したときは待機し、含むと判定したときは、印刷の進行管理等のために保持及び管理している状況情報を要求元(プリントサーバ7)へ送信する(ステップST72)。その後、プリンタ9は、ステップST71へ戻る。
図8(b)は、図7のステップST52(状況情報取得)に対応してプリンタ9が実行する状況通知処理の手順の他の例を示すフローチャートである。この例は、プリンタ9が自発的に状況情報をプリントサーバ7へ送信する態様である。
プリンタ9は、例えば、印刷データを受信したときに、図8(b)に示す状況通知処理を開始する。なお、プリンタ9は全ての印刷データに関して図8(b)に示す状況通知処理を開始してもよいし、所定の条件を満たす印刷データについてのみ図8(b)に示す状況通知処理を開始してもよい。所定の条件は、例えば、印刷データに所定のフラグが含まれていること、及び/又は、印刷データの送信元が予め登録されているアドレスであることである。
ステップST81では、プリンタ9は、所定の時間T0を計時するタイマーをセットする。ステップST82では、プリンタ9は、タイマーの計時する時間が所定の時間T0に到達するまで待機し、到達したときは、ステップST83に進む。
ステップST83では、プリンタ9は、印刷の進行管理等のために保持及び管理している状況情報をプリントサーバ7へ送信する。この際、プリンタ9は、例えば、印刷データを含むパケットのヘッダから特定される送信元アドレスへ状況情報を送信する。
ステップST84では、プリンタ9は、ステップST83に送信した状況情報に基づいて、印刷が完了したか否か判定し、完了したと判定したときは、図8(b)に示す状況通知処理を終了し、完了していないと判定したときは、ステップST81に戻る。なお、印刷の進行管理のために更新している状況情報を新たに取得してその状況情報に基づいて判定するのではなく、ステップST83で送信した状況情報に基づいて判定するのは、プリントサーバ7に印刷が完了したことを送信していないのに、図8(b)の状況情報処理を終了してしまうことを防止するためである。
図8(b)の例では、所定の周期で状況情報を送信する態様を示したが、ステップST81及びST82に代えて、又は、加えて、送信すべき状況情報(例えば印刷完了枚数)が変化したか否か判定され、変化したと判定されたときに状況情報が送信されるようにしてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、ユーザ側通信端末5A及びプリンタ9とネットワーク3を介して通信可能なプリントサーバ7は、ユーザ側通信端末5Aからネットワーク3を介して電子メールを受信するメール受信部33と、電子メールが含む情報に基づく、プリンタ9にて使用可能な形式の印刷データを生成し、生成した印刷データをネットワーク3を介してプリンタ9へ送信する印刷処理部43と、印刷データに基づく印刷の実行状況を示す状況情報をネットワーク3を介してプリンタ9から取得し、取得した状況情報をネットワーク3を介してユーザ側通信端末5Aへ送信する状況情報処理部45と、を備えている。
従って、プリントサーバ7(ネットワーク3)とプリンタ9との間に、印刷データを生成するための専用の機器は不要であり、構成が簡素である。また、ユーザ側通信端末5Aにプリンタ9における実行状況が通知されることから、ユーザにとって利便性が高い。
(専用のアプリケーションを必要としない例)
図3において示した通信端末5のプリントクライアント部25は省略可能である。例えば、図7のステップST51の後、ユーザ近距離フラグが立てられていない場合、プリントサーバ7は、通信端末5へ電子メールを送信する。この電子メールに、ウェブサーバとしてのプリントサーバ7に接続するためのURLを記述し、ウェブクライアント部23によって通信端末5からプリントサーバ7に接続がなされてもよい。また、例えば、状況情報を送信する周期が長いとき、又は、比較的多い印刷完了枚数毎に状況情報を送信するときは、ステップST54及びST56で電子メールが送信されてもよい。
以上の実施形態において、ユーザ側通信端末5Aは第1通信端末の一例であり、プリンタ側通信端末5Bは第2通信端末の一例であり、データベース39(厳密にはそのハードウェア)は記憶部の一例であり、表示部27は通信端末の報知部の一例であり、プリントクライアント部25は通信端末の制御部の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、実施形態では、印刷用メールアドレスに種々のローカルパートが設定され、ローカルパート毎にプリンタを特定する情報が対応付けられた。しかし、印刷用メールアドレスのローカルパートは一定としてもよい。この場合であっても、例えば、電子メールの送信元アドレス(ユーザ側通信端末5Aのメールアドレス)毎に印刷先のプリンタを設定し、サービスを提供することができる。