JP6425204B2 - 法面の改修方法 - Google Patents
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Description
保護層の経年劣化は、年月の経過とともに、保護層と地盤(法面)との密着性が損なわれて浮きが生じ、それが地盤の緩みとともに、亀裂をさらに大きくする現象である。また、保護層の経年劣化は、その亀裂から、保護層の表層部の土砂化した部分に植生が進入して、亀裂を押し広げる現象である。
保護層の塩害は、次のような現象である。山岳地帯等において、冬期に、雪による道路の凍結を防止するために、路面に塩化カルシウム等の融雪剤が散布される。融雪剤が散布された路面を自動車等が通行したり、風が吹いたりすると、融雪剤が飛散して、崖面や法面に形成された保護層に付着することがある。融雪剤が保護層に付着すると、保護層中の鋼材等が腐食して体積膨張により、保護層内部より亀裂を生じて、モルタル等が剥落する。このように融雪剤によりモルタル等が劣化しやすいため、山岳地帯では、保護層の寿命が短く、頻繁にモルタル等の吹き付けを行わなくてはならず、崖面や法面の安定化に要する費用が高くなる。
保護層の中性化は、大気中の二酸化炭素(CO2)がモルタル等の内部に侵入し、炭酸化反応を引き起こすことにより、本来、アルカリ性であるモルタル等のpHを下げる現象である。中性化は、保護層の表面より進行し、保護層内に存在する鋼材に達すると、不動体被膜を破壊する。これにより、鋼材が腐食し、腐食生成物の体積膨張により、保護層に亀裂が生じたり、保護層が剥離したりする。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1および図2において、符号1は地盤、1aは法面(崖面)、2はモルタルまたはコンクリートからなる保護層、3は延命層、4はプライマー層、5はトップコート層を示す。なお、プライマー層4、トップコート層5は、必要に応じて用いることができる。
本実施形態の法面の改修方法は、地盤1の法面1aに吹付けられたモルタル等からなる保護層2の表面2aに延命層3を積層することによって、保護層2に発生した亀裂からの雨水等の侵入を防ぎ、保護層2の劣化を抑制し、保護層2からのモルタル片またはコンクリート片の剥落を防止する法面の改修方法であって、延命層3として、0.8mm以上の亀裂追従性、遮塩性および中性化阻止性を有する塗膜層を形成する方法である。
延命層3は、保護層2を補修および補強して、その寿命(耐用年数)を延ばす(延命化)する層である。
なお、法面1aは、地盤1が崖である場合、崖面である場合もある。
延命層3の塗膜層の亀裂追従性が0.8mm未満では、モルタル等からなる保護層2の経年劣化による変状に対する塗膜層の亀裂追従性が不十分であり、延命層3による保護層2の延命効果が十分に得られない。
延命層3の厚みが、上記の範囲内であれば、例えば、延命層3の遮塩性を3.7×10−5mg/cm2・日以下とすることができる。
また、高分子化合物は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アスファルトウレタン系樹脂およびアスファルトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これらの高分子化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
地盤1の法面1aに対する延命層3の施工面積が大きいため、延命層3を効率的に形成する必要がある。モルタル等は、吹付け後の養生時間が4日〜28日間であるため、施工時間を短縮することが難しい。これに対して、超速硬化性ポリウレタン樹脂やポリウレア系樹脂は、塗布後の養生時間が1日間であるため、施工時間を短縮することができる。よって、超速硬化性ポリウレタン樹脂やポリウレア系樹脂を用いることにより、地盤1の法面1aに対する延命層3の施工を効率的に行うことができる。
また、プライマー層4は、保護層2と延命層3との接着が十分な場合は、省くことができる。
また、異色領域6を形成する場合、トップコート層5を形成する高分子化合物に目的に応じた色調の顔料を混合した混合物を用い、延命層3とは色分けして、延命層3の表面3aに、その混合物を塗布して異色領域6を形成してもよい。
なお、本実施形態では、プライマー層4を設けた場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、保護層2の表面2aの表面状態等によって、保護層2と延命層3との接着力が十分に得られる場合には、プライマー層4の形成を省略してもよい。
次いで、延命層3の表面3aに、トップコート層5を形成する高分子化合物を含む塗料組成物を塗布し、その塗料組成物を硬化させて、トップコート層5を形成し、施工を完了する。
既設の老朽化したモルタルからなる保護層の表面を清掃して、ゴミ、異物などを除去した後、その保護層上に、変性エポキシ系プライマー(商品名:レジプライマーPW−F、ダイフレックス社製)を、塗布量0.2kg/m2の割合で散布し、厚み65μmのプライマー層を形成した。
次いで、プライマー層の上に、2液型超速硬化性ポリウレタン樹脂(商品名:CVスプレー、ダイフレックス社製)を、スプレーガンにより、塗布量1.0kg/m2の割合で散布し、厚み1000μmの延命層を形成した。
次いで、延命層の上に、2液型溶剤系アクリルウレタン樹脂(商品名:レジトップ、ダイフレックス社製)を、スプレーガンにより、塗布量0.15kg/m2の割合で散布し、厚み47μmのトップコート層を形成し、法面の改修を行った。
実施例の法面の改修方法の特徴を表1に示す。
既設の老朽化したモルタルからなる保護層を、人力および機械により地盤の法面から剥ぎ取った後、既設の保護層と同様に、法面にモルタルを吹付けて、モルタルからなる保護層を形成し、法面の改修を行った。
比較例1の法面の改修方法の特徴を表1に示す。
既設の老朽化したモルタルからなる保護層の表面を清掃して、ゴミ、異物などを除去した後、その保護層上に、ポリマーセメント(商品名:バスク、日丸産業社製)を用い、厚み2000μmのポリマーセメントからなる第二の保護層を形成し、法面の改修を行った。
比較例2の法面の改修方法の特徴を表1に示す。
既設の老朽化したモルタルからなる保護層の表面に、鋼繊維または有機繊維からなる短繊維を配置し、その短繊維の上から、既設の保護層と同様に、モルタルを吹付けて、モルタルからなる保護層を形成し、法面の改修を行った。
比較例3の法面の改修方法の特徴を表1に示す。
Claims (3)
- 法面に吹付けられたモルタルからなる保護層の表面に延命層を積層することによって、前記保護層に発生した亀裂からの雨水等の侵入を防ぎ、前記保護層の劣化を抑制し、前記保護層からのモルタル片の剥落を防止する法面の改修方法であって、
前記延命層として、0.8mm以上の亀裂追従性、遮塩性および中性化阻止性を有する超速硬化性ポリウレタン樹脂およびポリウレア樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である高分子化合物からなる塗膜層を、スプレーガンにより形成することを特徴とする法面の改修方法。 - 前記保護層と前記延命層との間に、プライマー層を形成することを特徴とする請求項1に記載の法面の改修方法。
- 前記延命層上に、トップコート層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の法面の改修方法。
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