JP5985092B1 - 金属材の錆腐食部の補修方法及び金属材の錆腐食部の補修構造 - Google Patents
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Abstract
Description
この場合、鋼鉄製部材など錆発生箇所は施設の外観に面しているので人目に付きやすく、対策として錆止め塗料などを塗って仕上げるのが一般的である。しかし、錆面に塗料を塗られていても、凡、半年から1年を経過するとその塗布された箇所に、再び錆は目立つようになる。このため、再度錆止め塗料などを塗って仕上げる必要が生じ、その結果、補修コストが高くなるという問題がある。
また、鋼鉄製部材、アルミニウム部材などの錆を注意深く観察すると、表面より内部箇所がボロボロに穴が開くほどに腐食していることがあり、この場合、従前の補修方法では対応しきれないという問題がある。特に、消火栓や防火戸、非常階段など緊急時に利用される箇所では、錆の劣化による不具合により思わぬ事態が発生し、致命的な結果を招くおそれがある。
開示され、下地処理として簡単な3種ケレン(全面に工具をあて、劣化塗膜を除去し、鉄素地面の浮き錆はワイヤーブラシで除去する程度とし、油分およびホコリは十分除去する)を行った上で当該塗料組成物を塗布し、その後に上塗塗装を行うことにより、塗料組成物の主剤を構成しているアルコキシシラン化合物が空気中の水分等により加水分解し、その結果生成されるシラノール基の脱水縮合反応によりシロキサン結合(-Si-O-Si-)が形成され、最終的には鋼材表面に無機質系の高耐候性塗膜が形成されること、および、添加剤である有機酸が、鋼材腐食部の錆の成長を止めるべく、赤錆を安定な黒錆に転換し、かつ、鋼材表面と反応して有機酸−鉄系の皮膜を形成することが記載されている(段落0032参照)。
特に、鉄鋼材等の錆腐食部位には、透孔部位、凹凸が顕著な部位、錆欠落部位などがあるが、これらの具体的な錆発生の状態に対応した具体的かつ詳細な錆補修施工方法については何ら言及されていない。
このようなことから、錆腐食が著しく進んで、鉄鋼材に顕著な錆穴や、顕著な錆欠落部等が形成されているような場合は、現状では、補修施工をすることができず、その結果、設備、機器全体を交換するなど大掛かりな大規模工事になり、そのコストも大幅に高くならざるを得なかった。
本発明は、錆腐食部が発生した金属材の補修施工後において補修施工時の状態を長期間そのまま良好に維持して、錆発生を防止し、もって、補修作業費を軽減できる金属材、特に、鉄鋼材やアルミニウム材の補修方法及び補修構造を提供するものである。
更に、本発明は、錆腐食が著しく進んで、鉄鋼材に顕著な錆穴や顕著な錆欠落部等が形成されて従来の補修施工では対応できないよう場合にも適切に対応して、補修施工時の状態を長期間そのまま良好に維持することができ、その結果、補修のコストを大幅に削減できる補修方法及び補修構造を提供するものである。
なお、錆腐食部の補修が完了した後、補修箇所に塗装が施される。
そして、この様な特性があるために、錆腐食が著しく進んで、鉄鋼材に顕著な錆穴や顕著な錆欠落部等が形成され、その結果従来の補修施工では対応できないよう場合にも、適切に対応でき、しかも、補修施工時の状態を長期間そのまま良好に維持することができ、補修のコストを大幅に削減することができる。
さらに、本発明は、錆腐食部の腐食形態に応じて、プライマーとともに、シート材、パテ剤等、特性の異なる補修材(剤)を併用している。このため、それぞれの補修材(剤)の硬化時間が長くなると、これら補修材(剤)間の密着性、接着性、整合性が不安定になる恐れがある。しかし、本発明では光硬化性のプライマー、シート材、パテ剤を使用しているため、短時間で補修が完了するため、補修管理が容易であり、これら補修材(剤)間(硬化層間)の密着性、接着性、整合性を安定したものとすることができ、これら補修材(剤)の所望する特性を得ることができる。
錆腐食部、すなわち錆腐食により欠損している部位を丁寧にケレンする。錆が幾層にもロボロに積層している場合も取り除く。錆面、又はその周辺の錆粉、汚れ等を残さず除去して錆を除去した錆腐食部領域を清浄にする。
(2)錆を除去した錆腐食部領域に不動態皮膜層を形成する工程
次いで、錆腐食部領域と、その周辺(例えば1〜3cm幅)に錆除去改質剤を兼ねる錆取不動態皮膜形成水溶液を塗る。錆取不動態皮膜形成水溶液として、例えば、ラストクリーン(商品名)が挙げられる。この水溶液は塗布後に錆面に浸透しながら徐々に乾き始め、これと平行して少しずつ黒色へと変色する。その後、この水溶液は完全に乾燥して、錆腐食部領域は全体が黒色の不動態皮膜(いわゆる黒錆)で覆われる。
この様な、粘性管理、温度管理によって作業時間を短縮し、不動態皮膜形成を確実に完成させる事ができる。
不動態皮膜層30作成後、図1(b)に示す様に、錆腐食部領域の面積より若干広め(例えば1〜3cm広め)の寸法の領域40に光硬化性のプライマー40を塗布し、投光器で光を照射して硬化させ、プライマー硬化層40aを形成する。プライマーの硬化にかかる時間は、5〜10分程度である。
図2(a)は錆腐食部領域全体が黒色の不動態皮膜(いわゆる黒錆)で覆われている状態を示し、符号10は鉄鋼材、12aは錆腐食部の透孔形成部、20は鋼材の外周面に塗布された既存の塗料塗布面、30は不動態皮膜層を示す。不動態皮膜層30は錆腐食部を形成する透孔形成部の内面にも覆われている。
不動態皮膜層30を作成後、図2(b)に示す様に、透孔面積より若干広め(例えば1〜3cm広め)の寸法の領域に光硬化性のプライマー40を塗布する。透孔内面にも同様に光硬化性のプライマー40を塗布する。
更に、図2(d)に示す様に、透孔領域に光硬化性パテ剤60を充填する。パテ剤は、透孔内と共に既存の塗料が塗布された面を、例えば1〜3cm程度覆うように塗布し、均す。その後、投光器で光を照射して硬化させ、パテ剤硬化層60aを形成する。パテ剤の硬化にかかる時間は、5〜10分程度である。
凹凸部は最初にできる限り平らな面にし、その後錆粉、汚れなどを除き、次いで不動態皮膜層を形成する。図3(a)中、符号10は鉄鋼材、12は錆腐食部、12bは錆に起因する凹凸面、20は塗料塗布面、30は不動態皮膜層を示す。
次いで、図3(b)に示す様に、不動態皮膜層30上に光硬化性のプライマー40を塗布し、投光器で照射してプライマーを硬化させ、プライマー硬化層40aを形成する。プライマーの硬化にかかる時間は、5〜10分程度である。
そして、図3(c)に示す様に、プライマー硬化層40a上、及びその周辺を光硬化性のパテ剤60を埋め込み、均し、投光器で照射してパテ剤を硬化させ、パテ剤硬化層60aを形成する。パテ剤の硬化にかかる時間は、5〜10分程度である。
凹凸部は最初にできる限り平らな面にし、その後錆粉、汚れなどを除き、次いで不動態皮膜層を形成する。図4(a)中、符号10は鉄鋼材、12は錆腐食部、12bは錆に起因する凹凸面、20は塗料塗布面、30は不動態皮膜層を示す。
次いで、図4(b)に示す様に、不動態皮膜層30上に光硬化性のプライマー40を塗布する。
そして、図4(c)に示す様に、プライマーが乾燥する前に、プライマー40上に光硬化性のシート材50を貼り付け、投光器で照射してプライマーを硬化させ、プライマー硬化層40aを形成するとともに、シート材を硬化させて、シート材硬化層50aを形成する。プライマー、シート材の硬化にかかる時間は5〜10分程度である。
更に、シート材硬化層50aのシート面と、既存の塗料塗布面との双方の境界面を、例えば1〜3cm程度の幅で覆うように、プライマーを塗布し、硬化させて、第2のプライマー硬化層40bを形成する。第2のプライマーの硬化にかかる時間は、5〜10分程度である。
板厚が薄い金属材10の錆腐食部12に欠損部12cがある場合には、プライマーとシート材を使用する。すなわち、錆を除去した領域に不動態皮膜層30を形成する(不動態皮膜層30は金属材10の両面及び欠損した端面部位に形成される)。不動態皮膜層30を形成した後、金属材の片面の少なくとも不動態皮膜層30を形成した領域に光硬化型樹脂のプライマー40を塗布する(図5(a)参照)。更にプライマー40が乾く前に、光硬化型樹脂のプライマー40の塗布面上に、欠損部12cの片面側を覆うように光硬化型樹脂のシート材50を貼り付ける。次いで、前記プライマー40及びシート材50に硬化用の光を照射して、第1のプライマー硬化層40a及びシート材硬化層50aを形成する(図5(b)、(c)参照)。プライマー、シート材の硬化にかかる時間は5〜10分程度である。
次いで、欠損部12c及び金属材10の他方の面(いずれも不動態皮膜が形成されている)に光硬化型樹脂のプライマーを塗布し、充填する。そして、硬化用の光を照射して、第2のプライマー硬化層40bを形成する(図5(d)参照)。第2のプライマーの硬化にかかる時間は、5〜10分程度である。
なお、図面では各補修材及びその硬化層の端面を一般的な断面のハッチングで表示しているが、この表示は各補修材及びその硬化層の区別を明確にするためであり、断面を意味するものではない。
板厚が厚い金属材10の錆腐食部に欠損部12cが形成されている場合には、プライマーとシート材とパテ剤を使用する。すなわち、錆を除去した領域に不動態皮膜層30を形成した後(不動態皮膜層は金属材の両面及び欠損部に形成されている)、金属材10の片面の少なくとも不動態皮膜層30を形成した領域に光硬化型樹脂のプライマー40を塗布する(図6(a)参照)。更にプライマー40が乾く前に、光硬化型樹脂のプライマー塗布面の上に、欠損部12cの片面を覆うように光硬化型樹脂のシート材50を貼り付ける。次いで、前記プライマー及びシート材に硬化用の光を照射して、プライマー硬化層40a及びシート材硬化層50aを形成する(図6(b)、(c)参照)。プライマー、シート材の硬化にかかる時間は5〜10分程度である。
次いで、欠損部及び金属材の他方の面(いずれも不動態皮膜が形成されている)に光硬化型樹脂のパテ剤60を塗布し、充填する。そして、硬化用の光を照射して、パテ剤硬化層60aを形成する(図6(d)参照)。パテ剤の硬化にかかる時間は5〜10分程度である。
なお、図面では各補修材及びその硬化層の端面を一般的な断面のハッチングで表示しているが、この表示は各補修材及びその硬化層の区別を明確にするためであり、断面を意味するものではない。
これらに使用される樹脂組成は光硬化性という特性を備えていれば、特に樹脂の種類を限定するものではないが、例えば耐侯性、耐水性、耐薬品性に優れたビスフェノール系ビニルエステルとスチレンの樹脂成分を主成分とする樹脂が好適に挙げられる。
この光硬化型樹脂のうち、プライマーは接着性、密着性などの特性を備えることが求められるため、樹脂全体に占めるこれら主成分の割合が多いことが好ましい。
また、シート材は、強靭性を保つことが求められるので、樹脂中にガラス繊維などを含んでいることが好ましい。
さらに、パテ剤は、硬質性が求められるため、樹脂中に無機充填材やシリカなどを多く含んでいることが好ましい。
実験例1
錆腐食部に透孔も錆に起因する凹凸部も欠損部も形成されていない鉄製の補修前供試材を用意し、錆腐食部を丁寧にケレンした。錆が幾層にもボロボロに積層している場合も各層の錆を丁寧に取り除いた。錆面又はその周辺の錆粉、汚れ等を残さず除去し、錆を除去した錆腐食部領域を清浄にした。
次いで、錆腐食部領域と、その周辺(1〜3cm幅)に錆除去改質剤を兼ねる錆取不動態皮膜形成水溶液であるラストクリーン(商品名)を塗布した(この組成は後述する)。この水溶液は塗布後に錆面に浸透しながら徐々に乾き始め、この水溶液が完全に乾燥して錆腐食部領域全体に黒色の不動態皮膜(いわゆる黒錆)が形成された(図1(a)参照)。この不動態皮膜形成工程は、約10分〜1時間で完了した。なお、皮膜形成時間は環境温度に依存する。
次に、錆腐食部領域と、その周辺(1〜3cm幅)に光硬化性のプライマー(この組成は後述する)を塗布し、投光器で光を照射して硬化させ、プライマー硬化層を形成した。
このプライマー硬化層の形成工程は、約5分〜10分で完了した。
このようにして得られた一つの補修後供試材(図1(b)参照)に対してJIS Z 2371に規定された塩水噴霧耐性試験を行った。その結果、500時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。この塩水噴霧耐性試験の500時間は5年間使用の耐久性に相当するものである。
更に、このようにして得られた他の補修後供試材(図1(b)参照)に対してJIS B 7753に規定された耐候性(紫外線)試験を行った。その結果、1000時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。この耐候性(紫外線)試験の1000時間は5年間使用の耐久性に相当するものである。
実施例1で行った不動態皮膜形成工程を省略した点を除き、上記実験例と同様の手法で実験を行った。
その結果、塩水噴霧耐性試験500時間後において、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。耐候性(紫外線)試験1000時間後においも、同様に、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。
錆腐食部に透孔が形成されている鉄製供試材を用意し、実験例1と同様のケレンと不動態皮膜形成を行った(図2(a)参照)。
次いで、図2及び図2の説明文の記載に準拠して、光硬化性のプライマーの塗布、光硬化性のシート材(この組成は後述する)の貼付け、投光器を照射してプライマー、シート材の硬化、透孔領域への光硬化性パテ剤(この組成は後述する)の充填、投光器を照射してパテ剤の硬化を行った。これら補修材の塗布から硬化(補修完了)までにかかった時間は合計で約10〜20分であった。
このようにして得られた一つの補修後供試材(図2(d)参照)に対して実験例1と同様の塩水噴霧耐性試験を行った。その結果、500時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
更に、このようにして得られた他の補修後供試材(図2(d)参照)に対して実験例1と同様の耐候性(紫外線)試験を行った。その結果、1000時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
実験例2で行った不動態皮膜形成工程を省略した点を除き、上記実験例2と同様の手法で実験を行った。
その結果、塩水噴霧耐性試験500時間後において、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。耐候性(紫外線)試験1000時間後においも、同様に、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。
錆腐食部に面積が狭くて深さがある凹凸部が形成されている鉄製供試材を用意し、実験例1と同様のケレンと不動態皮膜形成を行った。
次いで、図3及び図3の説明文の記載に準拠して、光硬化性のプライマーの塗布、投光器を照射してプライマーの硬化、光硬化性パテ剤の塗布、充填、投光器を照射してパテ剤の硬化を行った。これらの塗布及び硬化にかかった時間は約10〜20分であった。
このようにして得られた一つの補修後供試材(図3(c)参照)に対して実験例3と同様に塩水噴霧耐性試験を行った。その結果、500時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
更に、このようにして得られた他の補修後供試材(図3(c)参照)に対して耐候性(紫外線)試験を行った。その結果、1000時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
実施例3で行った不動態皮膜形成工程を省略した点を除き、上記実験例3と同様の手法で実験を行った。
その結果、塩水噴霧耐性試験500時間後において、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。耐候性(紫外線)試験1000時間後においも、同様に、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。
錆腐食部に面積が広くて深さがある凹凸部が形成されている鉄製供試材を用意し、実験例1と同様のケレンと不動態皮膜形成を行った。
次いで、図4及び図4の説明文の記載に準拠して、光硬化性のプライマーの塗布、光硬化性シート材の貼付け、投光器を照射してプライマー、シート材の硬化を行った。これらの塗布及び硬化にかかった時間は約5〜10分であった。
このようにして得られた一つの補修後供試材(図4(c)参照)に対して実験例1と同様に塩水噴霧耐性試験を行った。その結果、500時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
更に、このようにして得られた他の補修後供試材(図4(c)参照)に対して耐候性(紫外線)試験を行った。その結果、1000時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
実験例4で行った不動態皮膜形成工程を省略した点を除き、上記実験例4と同様の手法で実験を行った。
その結果、塩水噴霧耐性試験500時間後において、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。耐候性(紫外線)試験1000時間後においも、同様に、プライマー塗布部位の剥離、脱落が認められた。
一端部位面が欠落している板厚の薄い鉄製供試材を用意し、実験例1と同様のケレンと不動態皮膜形成を行った。
次いで、図5及び図5の説明文の記載に準拠して、光硬化性のプライマーの塗布、光硬化性シート材の貼付け、投光器を照射してプライマー、シート材の硬化を行った。これらの塗布及び硬化にかかった時間は約5〜10分であった。
このようにして得られた一つの補修後供試材(図5(c)参照)に対して実験例1と同様に塩水噴霧耐性試験を行った。その結果、500時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
更に、このようにして得られた他の補修後供試材(図5(c)参照)に対して耐候性(紫外線)試験を行った。その結果、1000時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
一端部位面が欠落している板厚の薄い鉄製供試材を用意し、実験例1と同様のケレンと不動態皮膜形成を行った。
次いで、図6及び図6の説明文の記載に準拠して、光硬化性のプライマーの塗布、光硬化性シート材の貼付け、投光器を照射してプライマー、シート材の硬化を行った。これらの塗布及び硬化にかかった時間は約5〜10分であった。
このようにして得られた一つの補修後の供試材(図6(c)参照)に対して実験例1と同様に塩水噴霧耐性試験を行った。その結果、500時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
更に、このようにして得られた他の補修後の供試材(図6(c)参照)に対して耐候性(紫外線)試験を行った。その結果、1000時間後においても、施工部位全体に錆の発生がなかった。
ラクトクリーン(商品名)
組成(質量%)で、リン酸(オルトリン酸)0,5〜35% 、DL−リンゴ酸0,02〜2%、ヒドロキシプロメチルセルロース0,04〜1,5%、フッ素系界面活性剤0,01〜0,15%、特殊変性イオン水60〜95%
ビニルエステル樹脂
組成(質量%):ビスフェノール系ビニルエステル48〜52%、スチレン44%、キシレン0.2%、エチルベンゼン0.1%、イソブチルアリコール0.1%、メタクリル酸メチル0.2%、メタクリル酸1.4%、シリカ3.7%
プリプレグシート
組成(質量%):ビスフェノール系ビニルエステル50〜54%、スチレン20%、ガラス繊維26〜30%
ビニルエステル樹脂
組成(質量%):ビスフェノール系ビニルエステル32〜36%、スチレン30%、キシレン0.14%、エチルベンゼン0.07%、イソブチルアリコール0.07%、メタクリル酸メチル0.14%、メタクリル酸1.0%、シリカ2.5%、無機充填材30〜35%
補修に使用されていた公知のプライマーには、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタ系樹脂、フッソ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂など合成樹脂などがあり、これらのプライマーは、希釈する溶剤として、塗料用シンナー(ペイントシンナー)、脂肪族炭化水素系(ミネラルスピリット)=ターペン等が用いられている。これらプライマーの硬化時間は環境条件などによるが、光硬化型ではないため、1〜12時間かかり、しかも完全に硬化するまでの時間は明確ではない。
(公知のシート材)
出願人の知る限りにおいて、補修に使用されているシート材は、なかった。
(補修に使用されている公知のパテ剤)
補修に使用されていた公知のパテ剤は、本剤と硬化剤と薄め液など、2液性が殆どであり、その成分系は、ポリエステル系パテ剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン系パテ剤、エポキシ樹脂系パテ剤、二液混合型ポリエステルパテ剤、二液混合型エポキシパテ剤等があり、2液型アクリルウレタン硬化剤を配合後に、シンナーで希釈して塗装に用いる。これらのパテ剤は光硬化型ではないため、完全硬化時間が平均して24時間である。
12…金属材(鉄鋼材)の錆腐食部
12a…錆に起因する透孔
12b…錆に起因する凹凸面
12c…錆に起因する欠損部
20…塗料塗布面
30…不動態皮膜層
40…プライマー
40a…(第1の)プライマー硬化層
40b…(第2の)プライマー硬化層
50…シート材
50a…シート材硬化層
60…パテ剤
60a…パテ剤硬化層
Claims (10)
- 金属材の錆腐食部の補修方法であって、
前記錆腐食部が金属材の一方の面とこの一方の面に対向する他方の面との間に錆に起因する透孔を有しており、
前記錆腐食部に形成された錆を除去する第1の工程と、
錆を除去した領域に不動態皮膜層を形成する第2の工程と、
少なくとも不動態皮膜層を形成した領域に光硬化型樹脂のプライマーを塗布する第3の工程と、
前記プライマーが乾燥する前に、透孔形成箇所の一方の面の開口を塞ぐように光硬化型樹脂のシート材を貼付ける第4の工程と、
前記プライマー及びシート材に硬化用の光を照射して、プライマー硬化層及びシート材硬化層を形成する第5の工程と、
前記透孔形成箇所に光硬化型樹脂のパテ剤を埋込塗布する第6の工程と、
前記埋込塗布されたパテ剤に硬化用の光を照射して、パテ剤硬化層を形成する第7の工程と、
を備えた金属材の錆腐食部の補修方法。 - 金属材の錆腐食部の補修方法であって、
前記錆腐食部は、金属材料の一方の面、この面に対向する他方の面及びこれら両面間にある端面を貫いて、錆に起因する欠損部を形成しており、
前記錆腐食部に形成された錆を除去する第1の工程と、
錆を除去した領域に不動態皮膜層を形成する第2の工程と、
不動態皮膜層を形成した領域のうち、一方の面に光硬化型樹脂のプライマーを塗布する第3の工程と、
前記プライマーが乾燥する前に、前記一方の面にシート材を貼付けて、前記端面を貫いている欠損部位の領域を覆うとともに、プライマーを塗布した領域のうち少なくとも前記欠損部位に隣接する領域に被覆する第4の工程と、
前記プライマー及びシート材に硬化用の光を照射して、プライマー及びシート材を硬化させ、第1のプライマー硬化層及びシート材硬化層を形成する第5の工程と、
不動態皮膜層を形成した領域のうち、前記他方の面及び前記端面の欠損部位に光硬化型樹脂のプライマーを塗布、充填する第6の工程と、
第6の工程で塗布されたプライマーに硬化用の光を照射して第2のプライマー硬化層を形成する第7の工程と、
を備えた金属材の錆腐食部の補修方法。 - 金属材の錆腐食部の補修方法であって、
前記錆腐食部は金属材の一方の面、この面に対向する他方の面及びこれら両面間にある端面を貫く、錆に起因する欠損部を形成しており、
金属材の錆腐食部に形成された錆を除去する第1の工程と、
錆を除去した領域に不動態皮膜層を形成する第2の工程と、
不動態皮膜層を形成した領域のうち、一方の面に光硬化型樹脂のプライマーを塗布する第3の工程と、
前記プライマーが乾燥する前に、前記一方の面にシート材を貼付けて、前記端面を貫いている欠損部位の領域を覆うとともに、プライマーを塗布した領域のうち少なくとも前記欠損部位に隣接する領域に被覆する第4の工程と、
前記プライマー及びシート材に硬化用の光を照射して、プライマー及びシート材を硬化させ、プライマー硬化層及びシート材硬化層を形成する第5の工程と、
不動態皮膜層を形成した領域のうち、前記他方の面及び前記端面の欠損部位に光硬化型樹脂のパテ剤を塗布、充填する第6の工程と、
第6の工程で塗布されたパテ剤に硬化用の光を照射してパテ剤硬化層を形成する第7の工程と、
を備えた金属材の錆腐食部の補修方法。 - 前記金属材は鉄鋼材である請求項1〜3の何れか1項に記載の補修方法。
- 前記金属材はアルミニウム材である請求項1〜3の何れか1項に記載の補修方法。
- 錆腐食部が金属材の一方の面とこの一方の面に対向する他方の面との間に錆に起因する透孔を有している、金属材の錆腐食部の補修構造であって、
前記錆腐食部に形成された錆が除去された金属材に対して、
錆を除去した錆腐食部領域に形成された不動態皮膜層と、
少なくとも前記不動態皮膜層を形成された領域に被覆形成された光硬化型樹脂のプライマー硬化層と、
前記プライマー硬化層上に、前記透孔形成箇所の一方の開口を塞ぐように貼付された光硬化型樹脂のシート材硬化層と、
前記プライマー硬化層とシート材硬化層とで囲まれた透孔形成箇所に埋め込まれた光硬化型樹脂のパテ剤硬化層と、
を具備する金属材の錆腐食部の補修構造。 - 錆腐食部が、金属材の一方の面、この面に対向する他方の面及びこれら両面間にある端面を貫いて形成されている錆に起因する欠損部を有している、金属材の錆腐食部の補修構造であって、
金属材の錆腐食部に形成された錆が除去された金属材に対して、
錆を除去した錆腐食領域に形成された不動態皮膜層と、
前記一方の面の不動態皮膜層上に形成された、光硬化型樹脂の第1のプライマー硬化層と、
前記一方の面のうち、両面間にある端面を貫いている欠損部の領域を覆い、かつ、前記第1のプライマー硬化層のうち少なくとも上記欠損部に隣接する領域を被覆するように貼付けられた光硬化型樹脂のシート材硬化層と、
不動態皮膜層を形成した領域のうち、前記他方の面及び前記端面の欠損部位に被覆、充填された光硬化型樹脂の第2のプライマー硬化層と、
を具備する金属材の錆腐食部の補修構造。 - 錆腐食部が一方の面、この面に対向する他方の面及びこれら両面間にある端面を貫いて形成されている錆に起因する欠損部を有している、金属材の錆腐食部の補修構造であって、
金属材の錆腐食部に形成された錆が除去された金属材に対して、
錆を除去した錆腐食部領域に形成された不動態皮膜層と、
少なくとも不動態皮膜層を形成した領域の内、一方の面に被覆形成された光硬化型樹脂のプライマー硬化層と、
前記一方の面のうち、両面間にある端面を貫いている欠損部の領域を覆い、かつ、前記プライマー硬化層のうち少なくとも上記欠損部に隣接する領域を被覆するように貼付けられた光硬化型樹脂のシート材硬化層と、
不動態皮膜層を形成した領域のうち、前記他方の面及び前記端面の欠損部位に被覆、充填された光硬化型樹脂のパテ剤硬化層と、
を具備する金属材の錆腐食部の補修構造。 - 前記金属材は鉄鋼材である請求項6〜8の何れか1項に記載の補修構造。
- 前記金属材はアルミニウム材である請求項6〜8の何れか1項に記載の補修構造。
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