JP3273708B2 - 無塵塗装工法 - Google Patents

無塵塗装工法

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JP3273708B2 JP04938195A JP4938195A JP3273708B2 JP 3273708 B2 JP3273708 B2 JP 3273708B2 JP 04938195 A JP04938195 A JP 04938195A JP 4938195 A JP4938195 A JP 4938195A JP 3273708 B2 JP3273708 B2 JP 3273708B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造物の無塵塗装工法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、構造物として原子力発電所の建
屋においては、建設時におけるコンクリート床面の塗装
工事は、機器の据え付け工事を中にして、機器工事引渡
前の塗装と機器工事完了後の塗装とに分かれる。
【0003】図6はこのような塗装工事の工程を示すも
ので、中塗塗装の次に機器の据え付けの機電工事があ
り、ここでエリアの引渡しが建築(職種)から機電(職
種)に行われる。そして、機器の据え付けが行われた後
では再度エリアの引渡しが機電から建築に行われる。そ
して、機器工事引渡前塗装とし前記中塗塗装までは、
次のように行われる。
【0004】図5に示すように壁1、床2、機械基礎3
があるとして、壁床取り合い凹凸処理a、傷凹処理b、
機械基礎周辺凹凸処理cなどの大凹凸の処置、レイタン
ス処理・オイル浸透部処理dなどを行う左官・土工によ
る前処理を行い、[1] デスクサンダー作業等による素地
ケレンサンダーを施してから、[2] コンクリート9の面
にシーラー10(下地用プライマー)を塗布し(図7参
照)、[3] パテ4によるパテ処理でキズ5を塞ぎ、[4]
デスクサンダー等によるサンダー処理を行う。その後、
[5] 中塗塗装6となる。(図8参照)
【0005】一方、機器完了後の塗装としては、前記中
塗塗装6の上に施す[6] 目粗しを行い、[7] 再シーラー
11を施し、[8] キズ5(機器の据え付け等で発生するキ
ズ)をパテ4で処理する傷パテ処理を行う。(図9参
照)
【0006】そして、〔9]デスクサンダー等によるサン
ダー処理を行い、[10]中塗塗装7の後で、[11]仕上げ塗
装としての上塗塗装8を施すことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の塗装
工法では、デスクサンダー作業による処理工程が多く介
在され、塵埃の発生するプロセスが多い。その結果、作
業員の塵埃吸込防止対策や、大掛かりな換気対策、ま
た、建屋内に先行搬入された電気品設備の養生が必要と
なっている。
【0008】塗装工事と機電工事の取り決めにもよる
が、床塗装完了後、機電工事が行われる場合は、数億の
コストのかかる床塗装の養生が必要である。
【0009】また、埃止めや油浸透防止塗装を行い、機
電工事完了後、再度塗装工事を行う場合は床面に多数の
キズがついており、これらを処理するためパテ処理後の
ディスクサンダー作業や機器側引渡し前に行った塗装面
の表面付着確保のためのディスクサンダー作業が粉塵発
生の原因となっている。
【0010】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、粉塵の発生するディスクサンダー作業が廃止できる
ので、塗装工の作業環境が人に優しいものになるように
大幅に改善され、また、粉塵処理のための大掛かりな換
気設備も不必要となり、さらに、一部の作業プロセスが
削除ができるため、コストの低減も図れ、付加価値の向
上になる無塵塗装工法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、第1に、機器据え付けの前に行うコンクリー
ト面の塗装工事において、素地に左官、土工による前処
理を行ったのち、汎用の液状ビスフェノールA型樹脂
に、2官能に希釈剤を加えた、低粘度エポキシ樹脂であ
り、分子中に有機/無機の両方の官能基を持つシランカ
ップリング剤を使用したシーラーを塗布し、その後、
記シーラーによく付着し、次の工程で塗装する上塗塗料
と長期に塗装間隔が開いてもサンディングすることなく
付着することができるエポキシ中塗塗料を塗布するこ
と、第2に、中塗塗装後の機器据え付け後の仕上げ塗
装、もしくは機器定期点検後に行う補修塗装において、
中塗塗料にはコンクリート面への第1層目の塗料に用い
るシーラーによく付着し、次の工程で塗装する上塗塗料
と長期に塗装間隔が開いてもサンディングすることなく
付着することができるエポキシ中塗塗料を使用し、この
仕上げ塗装の上塗塗装の前に、液状ビスフェノールA型
エポキシ樹脂に、2官能の希釈剤を加えた低粘度エポキ
シ樹脂を用たシーラーを塗布することを要旨とするもの
である。
【0012】
【作用】請求項1記載の本発明によれば、シーラー(プ
ライマー)は、コンクリート床面(金こて仕上げ面)に
対して、表面研磨する事無しに付着することができ、ま
た、次の工程で使用する中塗等の塗料との付着性もよ
い。さらに、塗装作業性もよい。なお、前記シーラー
(プライマー)は低粘度であるのでコンクリート面に浸
透しようとするが、分子中に有機/無機の両方の官能基
を持つシランカップリング剤を使用することで、表面の
セメント質に良く濡れて、エポキシ樹脂をセメント質に
よく馴染ませることで研磨しないコンクリート面によく
付着させることができるようになる。
【0013】さらに、中塗塗料は、前記シーラー(プラ
イマー)に良く付着し、次の工程で塗装する塗料(上塗
り)と長期(約1か年)に塗装間隔が開いていてもサン
ディング(目粗し)することなく付着することができ
る。
【0014】このように特殊なシーラーと中塗塗料とを
組み合わせることで、従来必要とされたディスクサンダ
ー作業が省略できる。
【0015】請求項2記載の本発明によれば、前記作用
と同じく、中塗塗料はコンクリート面への第1層目の塗
装に用いるシーラー(プライマー)に良く付着し、次の
工程で塗装する塗料(上塗り)と長期(約1か年)に塗
装間隔が開いていてもサンディング(目粗し)すること
なく付着することができる。
【0016】さらに、この中塗塗料の上に施す上塗塗装
の前の塗料は中塗塗料との付着が良いので、サンダー作
業や傷パテ処理さらにその上の中塗塗装を省略できる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面について詳細に
説明する。図1は本発明の無塵塗装工法の1実施例を示
す工程のフローチャート、図2〜図4は工程を示す縦断
側面図である。この図1は前記従来例を示す図6に対応
する。
【0018】初めに前記従来例と同じく大凹凸の処置、
レイタンス処理・オイル浸透部処理などを行う左官・土
工による前処理を行う。
【0019】次いで、ディスクサンダー作業等のサンダ
ー処理を行わずに素地の清掃を行ったあとで、図2に
示すようにコンクリート9の面に素地への浸透性を改良
したシーラー12(下地用プライマー)を塗布する。
【0020】このシーラー12は、汎用の液状ビスフェノ
ールA型樹脂に、2官能に希釈剤を加えた、低粘度エポ
キシ樹脂を用いたものであり、硬化剤はコンクリート面
のアルカリに影響されないものであれば特に制限はない
が、エポキシ樹脂と同じように低粘度であることが望ま
しい。
【0021】さらに、前記シーラー12には分子中に有機
/無機の両方の官能基を持つシランカップリング剤を使
用する。このシランカップリング剤の種類は多くある
が、有機の官能基がエポキシ基であるものがよい。そし
てその使用量は樹脂に対し5%よりもかなり多い量であ
るとする。
【0022】図3に示すように前記シーラー12の上にイ
ンターバルフリー用中塗塗装として適性塗装間隔が長期
間確保できるエポキシ中塗塗料13を塗布する。図中5は
キズである。(図1の)
【0023】このエポキシ中塗塗料13としては、固形の
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用し、アミン価が
低い部類のポリアミド樹脂、変性脂環族ポリアミン樹脂
を硬化剤とした樹脂組成で、顔料分が塗膜60以上の高濃
度顔料塗装組成である。
【0024】そしてこのエポキシ中塗塗料13は、前記シ
ーラー12によく付着し、次の工程で塗装する塗料(上塗
り)と長期(約1か年)に塗装間隔が開いてもサンディ
ング(目粗し)することなく付着することができる。た
だし、上塗り塗装前の塗面にある水分、塵埃、油汚れ、
等は対象外であり付着力が20kg/cm2 以上で付着するこ
ととする。
【0025】建築から機電へとエリア引渡し、機電工事
が行われ、塗装養生無しでは図4に示すようにキズ5の
発生がある。
【0026】機電から建築からエリア渡しがあり、イン
ターバルを置いたのち、前記シーラー12と同じような汎
用の液状ビスフェノールA型樹脂に、2官能に希釈剤を
加えた、低粘度エポキシ樹脂を用いた改良型のシーラー
14をその上に塗布する。
【0027】さらに、その上に傷部補修塗装としての中
塗塗料15を施し(ホールディングサーフェーサー)、そ
の上に上塗塗装8を施す。この中塗塗料15を塗装する中
塗塗装と上塗塗装8との間でもディスクサンダー作業等
のサンダー処理は不要となる。前記中塗塗料15は、エポ
キシ中塗塗料13と同じものでよい。また、上塗塗装8は
従来と同じ塗料でよい。
【0028】なお、前記実施例においては原子力発電所
の建設時におけるコンクリート床面の塗装工事を例に説
明したが、機器の営業運転中においても補修工法として
適用できる。
【0029】このような補修工法の場合も汎用の液状ビ
スフェノールA型樹脂に、2官能に希釈剤を加えた、低
粘度エポキシ樹脂を用いた改良型のシーラー14をエポキ
シ中塗塗料13の上に塗布し、さらに、その上に中塗塗料
15を施し(ホールディングサーフェーサー)、その上に
上塗塗装8を施す。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように本発明の無塵塗装工法
は、粉塵の発生するディスクサンダー作業が廃止できる
ので、塗装工の作業環境が人に優しいものになるように
大幅に改善され、また、粉塵処理のための大掛かりな換
気設備も不必要となり、さらに、一部の作業プロセスが
削除ができるため、コストの低減も図れ、付加価値の向
上になるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無塵塗装工法の1実施例を示す工程の
フローチャートである。
【図2】本発明の無塵塗装工法の1実施例を示す第1工
程の縦断側面図である。
【図3】本発明の無塵塗装工法の1実施例を示す第2工
程の縦断側面図である。
【図4】本発明の無塵塗装工法の1実施例を示す第2工
程の縦断側面図である。
【図5】原子力発電所の建屋の要部の説明図である。
【図6】従来例を示す工程のフローチャートである。
【図7】従来例の第1工程を示す縦断側面図である。
【図8】従来例の第2工程を示す縦断側面図である。
【図9】従来例の第2工程を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1…壁 2…床 3…機械基礎 4…パテ 5…キズ 6,7…中塗塗装 8…上塗塗装 9…コンクリート 10…シーラー 11…再シーラー 12…シーラー 13…中塗塗料 14…シーラー 15…中塗塗料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 喜博 大阪府松原市松ケ丘4−8−10 (56)参考文献 特開 平1−307478(JP,A) 特開 平6−271373(JP,A) 特開 平7−207191(JP,A) 特公 平2−44972(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/00 B05D 7/24 E02D 27/44

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機器据え付けの前に行うコンクリート面
    の塗装工事において、素地に左官、土工による前処理を
    行ったのち、汎用の液状ビスフェノールA型樹脂に、2
    官能に希釈剤を加えた、低粘度エポキシ樹脂であり、分
    子中に有機/無機の両方の官能基を持つシランカップリ
    ング剤を使用したシーラーを塗布し、その後、前記シー
    ラーによく付着し、次の工程で塗装する上塗塗料と長期
    に塗装間隔が開いてもサンディングすることなく付着す
    ることができるエポキシ中塗塗料を塗布することを特徴
    とした無塵塗装工法。
  2. 【請求項2】 中塗塗装後の機器据え付け後の仕上げ塗
    装、もしくは機器定期点検後に行う補修塗装において、
    中塗塗料にはコンクリート面への第1層目の塗料に用い
    るシーラーによく付着し、次の工程で塗装する上塗塗料
    と長期に塗装間隔が開いてもサンディングすることなく
    付着することができるエポキシ中塗塗料を使用し、この
    仕上げ塗装の上塗塗装の前に、液状ビスフェノールA型
    エポキシ樹脂に、2官能の希釈剤を加えた低粘度エポキ
    シ樹脂を用たシーラーを塗布することを特徴とした無塵
    塗装工法。
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