JP5956135B2 - ひび割れ部シール工法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート躯体あるいはモルタル仕上げ、タイル張り仕上げ、塗り仕上げ等の仕上げ面に生じたひび割れ部のシール工法、特にひび割れ幅が0.3mm未満と小さい場合に用いる工法で、ひび割れに沿ってシール材を塗布するひび割れ部シール工法に関するものである。
コンクリート構造物のコンクリートはもともと大気中の二酸化炭素と結合して中性化する性質を有しており、コンクリートの中性化が進むと鉄筋が錆びてコンクリート構造物の耐久性あるいは耐力を低下させる。
コンクリート構造物の表面にひび割れが発生すると美観が損なわれるだけでなく、漏水によるカビの発生、汚損等の環境条件の悪化や物品の損傷等の保存条件の悪化を招き、また、上記コンクリートの中性化を促進するので、ひび割れは早急、適確に補修をする必要がある。
ひび割れ幅が0.06mmを超えると漏水が発生し水密性に問題が生じ始め、その幅が0.3mmを超えると上記した耐久性に問題が生じ始めると考えられている。
そこで従来から、コンクリート構造物の表面にひび割れが発生すると、そのひび割れの程度により、種種のひび割れ補修工法が適用されている。
幅が0.3mm未満のひび割れの補修工法としては、ひび割れの間隙に合成樹脂またはセメントスラリーを手動式・低圧式・機械式の注入器具にて注入する樹脂注入工法(特許文献1)や、施工前の下処理としてひび割れに沿って幅50mm程度ケレン清掃し、マスキングテープを使用し幅10mm厚さ2mm程度にパテ状エポキシ樹脂・可とう性エポキシ樹脂を平滑に塗りつけ後、珪砂を散布し粗面に仕上げるひび割れ部シール工法(非特許文献1)や、Uカットシール工法(特許文献2)がよく知られている。
本発明はこれら工法のうち、主として0.3mm未満のひび割れを補修するためのひび割れ部シール工法に係るものである。
従来の樹脂注入工法は、工程数が多くなる等の欠点があり、上記ひび割れ部シール工法は、コンクリート表層部にひび割れに沿ってテ−プ状に形成されたシール材表層部の厚みが2mm程度となる上、その上に珪砂が付着しているため、周囲の仕上げに合わせるのが困難であることが多く、散布した珪砂の凹凸に塵埃が付着しやすく、加えてシール材の種類によってはシール材に含まれる可塑剤により汚染されることがある。
また、補修材料として使用されるパテ状エポキシ樹脂あるいは可撓性エポキシ樹脂は、材料が硬く、ひび割れが進行してその幅が広くなる動きに追従できないという問題もある。
さらに、上記Uカットシール工法は、ディスクサンダー等でひび割れに沿ってカットするため音や粉塵が生じる他、シール工法と同種の次のような問題がある。
Uカットシール後、表面仕上げに珪砂散布あるいはポリマーセメントモルタル充填をするが、珪砂の凹凸に塵埃が付着しやすくなる一方、充填したシール材が肉痩せして陥没しやすいため、いずれにしても補修跡が傷跡のようになって目立つ。逆に、シール材がはみ出て段差を増加させてしまうこともある上、シール材に含まれる可塑剤の移行により上塗り材が汚染することもある。
さらに化粧として使用する硅砂などは伸びが少なく、ひび割れの動きに追従できないという問題もある。
特開2009−019441号公報 特開2004−011161号公報
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修 平成14年度版建築改修工事監理指針 4.3.5シール工法
本発明は、上記の問題点を克服するために創案されたもので、補修施工時に音や粉塵を発生させないで施工現場の環境を静寂・衛生的に保ち、仕上げ面にひび割れに沿ってテ−プ状に形成されたシール材表層部の幅を狭く厚みを薄くするとともに、シール材表面に塵埃が付着することとシール材がその中に含まれる可塑剤により汚染されることを防止して、補修跡を目立たないようにしてコンクリート構造物の美観を損なわず、ひび割れが進行してその幅が広くなる動きに追従することが可能なひび割れ部シール工法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係るひび割れ部シール工法は、既設のコンクリートあるいは建築内外装の仕上げ面に発生したひび割れ部を補修するひび割れ部シール工法において、前記ひび割れ部にシールされる樹脂は、短繊維が混入され硬化後透明となる樹脂であるひび割れ部シール工法とした。
本発明の請求項2に係るひび割れ部シール工法は、前記短繊維が混入され硬化後透明となる樹脂が、水性アクリル樹脂エマルジョン、水性アクリルシリコン共重合樹脂エマルジョンを含む水性アクリル共重合樹脂エマルジョンの群から少なくとも1つ選ばれた樹脂であることを特徴としている。
本発明の請求項3に係るひび割れ部シール工法は、前記短繊維が混入され硬化後透明となる樹脂が、合成樹脂溶液系のアクリル樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂を含むアクリル共重合樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂の群から少なくとも1つ選ばれた樹脂であることを特徴としている。
本発明の請求項4に係るひび割れ部シール工法は、前記短繊維が混入され硬化後透明となる樹脂が、長さ3〜15mm、太さ1〜50μmのナイロン、ビニロン、ガラス等の短繊維が重量比において0.5〜5%混入されたものであることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、補修施工時に音や粉塵を発生させないで施工現場の環境を静寂・衛生的に保ち、コンクリート表層部にひび割れに沿ってテ−プ状に形成されたシール材表層部の幅を狭く厚みを薄くして、使用シール材料を節約して施工コストを低廉化することができる。
また、シール材表面に塵埃が付着することとシール材がその中に含まれる可塑剤により汚染されることを防止して、長期間に亘って変色することをなくすることができ、シール材が透明であることから補修跡を目立たないようにして、コンクリート構造物の美観を損なうことがない。
さらに、シール材に短繊維を混入して引張強度、引裂強度を増強し、ひび割れが進行してその幅が広くなる動きに追従することが可能である。
請求項2に係る発明によれば、短繊維が混入され硬化後透明となる樹脂が、水性樹脂エマルジョンから構成されているので、材料の取り扱いが容易で悪臭を放つこともなく環境にやさしい。
請求項3に係る発明によれば、シール材の耐水性が向上することから、施工後コンクリート表層部にひび割れに沿ってテ−プ状に形成されたシール材表層部裏面から水が廻ってシール材が白濁することを防止して透明性を一層向上し、低温施工時の物性低下を抑えることができて寒冷地等の冬季の温度の低い環境下での施工を可能とする。
また、短繊維が混入された透明樹脂が、アクリル樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂やアクリルウレタン共重合樹脂を含むアクリル共重合樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂の群から少なくとも1つ選ばれた樹脂が硬化したものであり、水溶性樹脂やエマルジョンと異なり耐水性を低下させる添加物を含まないため、コンクリートが水分の影響を受けたとしても、透明のシール材が白化することなく、長い間透明性を失うことはなく、また、硬化時の外気温度が低いときであっても水を含まないから、樹脂が凍結することはないため施工が可能であり、塗膜物性が低下することがない。
請求項4に係る発明によれば、短繊維が混入された合成樹脂溶液系透明塗膜層は、長さ3〜15mm、太さ1〜50μmのナイロン、ビニロン、ガラス等の短繊維が重量比において0.5〜5%混入したものとしているので、透明度が高いシール材を形成することができ、シール材の引張強度、引裂強度を向上することができる。
本発明のひび割れシール工法の作業内容の概略を示す部分正面図である。 本発明のひび割れシール工法によってひび割れに施工されたシール材の図1のA−A線に沿う縦断面を示す断面図である。 本発明のひび割れシール工法の作業手順を示すものである。
以下、本発明を実施するための形態として、実施例を2つ示すが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
≪短繊維混入シール材の調整≫
固形分50%のアクリルシリコン樹脂エマルジョン90重量部に対し、施工後透明となる、長さ5mm、太さ28μmのビニル樹脂短繊維、ナイロン樹脂短繊維、ガラス短繊維等の短繊維2重量部を混入し、さらに、造膜助剤4重量部と分散剤・消泡剤等の添加剤4重量部を加えて攪拌する。
通常これら短繊維は、アクリルシリコン樹脂エマルジョンに混ぜたとき透明とならず、硬化後透明となる。
アクリル樹脂系エマルジョンに混入する短繊維の長さ、太さ及び混入割合を所定の範囲に設定することにより、シール材が硬化後透明となり、所定の引張強度、引裂強度、接着力を有しつつ、適正な伸び率を確保して均一な膜厚とすることができる。
アクリル樹脂系エマルジョンとしては、前記アクリルシリコン樹脂エマルジョンの他に、アクリル単独重合樹脂エマルジョンあるいはアクリル共重合樹脂エマルジョンを用いることができる。
これら3つのエマルジョンは、それぞれ単独で用いることができることは勿論、2以上のものを組み合わせて混合して用いることができる。
なお、本明細書において配合割合を表すとき、断わりのない限り重量比で表している。
短繊維の材料としては、ビニル樹脂製、ナイロン樹脂製及びガラス繊維製を使用することができるが、ナイロン製が柔軟性に優れており、シール材の可撓性が大きくひび割れの動きに対してよく追従し、シール材の割れ、補修面に現れるシール材表層部の浮きはがれの発生をよりよく防止することができる。
ガラス繊維製は、強度の改善性に優れているが、細いため未加工で使用すると繊維と繊維の間に空気が入り、硬化後のシール材の透明性が劣ることとなるので、単繊維を数十本エポキシ樹脂等で結束することにより硬化後のシール材の透明性を確保することができる。
繊維長の範囲は、短いと強度不足となり、長いと繊維が毛羽立ったりささくれ立ったりして、仕上がりが悪くなるので、3〜15mmの範囲とするのが好ましく、5〜10mmの範囲がさらに好ましい。
繊維の太さの範囲は、ビニル樹脂製とナイロン樹脂製においては、繊維が細いと強度不足となり、太いと繊維がシール材表面に出て表面にザラツキ感が出て好ましくない。
繊維太さの下限値はガラス繊維製で1μm、その上限値はビニル樹脂製とナイロン樹脂製で50μm程度であり、1〜30μmとするのが好適である。
短繊維の添加量は、多ければシール材の引張強度と引裂強度は向上する反面、その伸び率は低下する。よって、必要な強度を確保するため、その下限をアクリル樹脂系エマルジョンに対する重量比で0.5%程度とし、シール材の可撓性を大きくしてひび割れの動きに対して追従でき、シール材の割れ、浮きはがれが発生しないようにするため、その上限を5%程度とすることが求められる。
このように調製された短繊維混入透明水性アクリル樹脂系エマルジョンは、短毛ローラー、刷毛・ローラー等、ヘラ等にてひび割れ部内に塗り込みその周辺に塗布するものである。
また、このアクリル樹脂は水性エマルジョンであるので、作業環境を改善し得る。
≪施工手順≫
図2には、本発明のひび割れ部シール工法によってひび割れ部に施工されたシール材の図1のA−A線に沿う縦断面が示されている。
図1及び図3を参照して、本発明のひび割れ部シール工法の作業内容を詳細に説明する。
先ず、クラックスケール等を使用して、コンクリート仕上げ面に発生しているひび割れの深さ、広さ等の状態、それらが分布する範囲を確認し補修すべき範囲をマーキング等して確定する(ひび割れ調査工程)。
次いで、補修すべき施工面の表面を金ブラシ・刷毛等で清掃する(清掃工程)。
なお、本明細書においてコンクリート仕上げ面とは、コンクリート躯体表面にモルタルを塗布したモルタル仕上げ面、コンクリート躯体表面にタイルを貼付したタイル仕上げ面及びコンクリート打ち放し仕上げ面を包含する概念である。
短繊維混入透明シール材の付着力を増すために、短繊維を含まない溶剤型透明アクリル樹脂系樹脂コートシーラー(プライマー)を、ひび割れ部及びその周辺の施工面にローラー、刷毛等で約0.15Kg/m塗布して、下塗り層を形成する(下塗工程)(図1(a)参照)。
このシーラー(プライマー)の樹脂として具体的には、基剤としてアクリルシリコン系樹脂ワニス13に対して、硬化剤としてアクリルシリコン系樹脂用触媒溶液1を配合したものを用いた。
このときは、普通にひび割れ部周辺の表面に塗布すればよく、特にひび割れ部に刷り込む必要はない。
ごく幅狭のひび割れ部にシーラーが充填されてしまうと、中核である短繊維混入シール材を充填することが困難となるので、シール材のひび割れ部に対する付着力は、主としてシール材表層部4の裏面と施工面との付着力に依っているからである。
一方、短繊維混入シール材を上記≪短繊維混入シール材の調整≫の項にて詳述した割合で調合しておく。
シーラー(プライマー)が指触乾燥後、調整しておいた上記短繊維混入シール材を、ひび割れ部に刷り込むように刷毛・ローラー等により、図2に示された施工面であるコンクリート表層部にテープ状に形成されたシール材表層部4の塗布幅が5cm、ひび割れ部充填を含む塗布量0.4Kg/m2程度に均一に塗布する(中塗1回目工程)(図1(b))参照)。
このとき、ひび割れ部には短繊維混入シール材が刷り込まれてシール材充填部3が形成される。
なお、従来のエポキシ樹脂のシール材表層部4は、仕上がりが不透明で補修跡が目立つため、その幅が10mm、その厚みが2mm程度にしかできなかった。
中塗1回目の繊維混入シール材を目視して上記シール材表層部4が硬化乾燥して透明になったことが確認できた段階で、上記シール材を短毛ローラー、ゴムベラ等で0.3〜0.4Kg/m塗布し、中塗り層(2回目)を形成する。ヘラ等にて上記シール材表層部4が平坦になるように押付けながら塗布する(中塗2回目工程)(図1(c))参照)。
中塗2回目施工後の平面図を図1(d)に示す。そして、同図A−A線縦断面は図2に示すとおりである。この図において、シール材表層部4の幅wは約5mm、厚さtは約0.6mmとされていて、従来のエポキシ樹脂の幅厚さ10mm、2mmに比べて小さな寸法とすることができた。
なお、本実施例においては実施していないが、上記中塗1回目の前にひび割れ部に沿ってマスキングをしておけばシール材表層部4の端縁部を綺麗に仕上げることができる。
中塗2回目の繊維混入シール材の硬化養生を行う。
以上の工程にてひび割れ部シール工法の必須の工程を終了するが、施工面のひび割れ部2には繊維混入シール材が充填され、ひび割れ部内部のコンクリート躯体としっかりと付着し、充填部3及びシール材表層部4のシール材は短繊維が混入され柔軟であるため、引張強度、引裂強度が従来のエポキシ樹脂に比較して高い。これにより、ひび割れが進行してもその幅が広くなる動きに充填部3及びシール材表層部4が引き裂かれることなくしなやかに追従することが可能である。
また、短繊維混入シール材が透明であること、及び、引張強度と引裂強度が高いのでコンクリート表層部にひび割れに沿ってテ−プ状に形成されたシール材表層部4の幅を狭く厚みを薄くできることから、補修跡を目立たないようにして、新築当初の壁の風合を損なわずに景観を維持したまま補修することができる。
この短繊維混入透明水性アクリル樹脂系エマルジョンの2層の塗布層が乾燥して、透明アクリル樹脂系シール材となる。
さらに、この短繊維混入シール材は、可塑剤を含まないので耐候性が良く、表面に塵埃が付着することがなく、長期間に亘って変色することをなくすることができる。
最終工程の仕上は、需要に応じて上記施工面にさらに後述する各種塗装仕上等を行うものである。
上記アクリル樹脂系シール材の中塗り2回目乾燥後、好ましくは翌日、短繊維を含有しない弱溶剤型透明アクリル樹脂トップコートをローラー、刷毛等で塗布する。
トップコートの樹脂として具体的には、基剤として2%添加剤を添加したアクリルシリコン系樹脂ワニス11に対して、硬化剤としてアクリルシリコン系樹脂用触媒溶液1を配合したものを用いた。
なお、添加剤の添加量を増やしていくことにより、トップコートの艶を少しずつ減らしていくことができる。
このときの塗布量は2回塗り0.2〜0.3Kg/mとして、アクリル樹脂系シール材となじませ、長期間に亘って該シール材を保護する。
以上説明した本実施形態のひび割れ部シール工法により補修されたコンクリート構造物は、主として図2に断面図として示すように、躯体1内に形成されたひび割れ2に充填された充填部3とシール材表層部4によって構成される、請求項2に係るひび割れシール工法にて得られたものである。
コンクリート構造物表面に塗布・塗り込まれた透明アクリル樹脂系エマルジョンシール材は、混入されたビニル樹脂短繊維、ナイロン樹脂短繊維、ガラス短繊維等の短繊維によって、引張強度、引裂強度が強化され、コンクリート構造物のひび割れ部とその周辺表面に強固に接着して、ひび割れの挙動によく追従する。
≪短繊維混入シール材の調整≫
実施例1と実施例2では、実施例1の短繊維が混入されたシール材が、硬化後透明となるアクリル樹脂エマルジョンよりなるのに対し、本実施例2のシール材は合成樹脂溶液系のアクリル樹脂である点において大きく異なり、その他の点では余り相違していない。
トルエン、ミネラルスピリット、アルコール系溶剤等の溶剤で溶かした固形分50%のアクリルシリコン共重合透明樹脂90重量部に対し、長さ5mm、太さ28μmのビニル樹脂短繊維、ナイロン樹脂短繊維、ガラス短繊維等の短繊維2重量部を混入し、さらに、造膜助剤4重量部と分散剤・消泡剤等の添加剤4重量部を加えて攪拌する。
溶剤に溶かしたアクリルシリコン透明樹脂に混入する短繊維の長さ、太さ及び混入割合は、実施例1と同じである。これらを上記範囲に設定することにより、乾燥硬化したシール材が透明となり、所定の引張強度、引裂強度、接着力を有しつつ、適正な伸び率を確保して均一なシール材表層部厚とすることができ、かつ、透明シール材の耐水性を高めて透明性を向上し、低温造膜時の物性低下を抑えることができる。
実施例1のエマルジョン透明樹脂を用いた場合、溶媒として水を使用しているため、十分な耐水性を得ることは困難である。
透明樹脂としては、アクリルシリコン共重合透明樹脂の他に、アクリル単独重合樹脂、アクリルウレタン樹脂等の他のアクリル共重合樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂の透明樹脂を用いることができる。
これら透明樹脂は、それぞれ単独で用いることができることは勿論、2以上のものを組み合わせて混合して用いることができる。
なお、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂については、経年での黄変等の理由により利用しない。
短繊維の材料としては、実施例1と同じビニル樹脂製、ナイロン樹脂製及びガラス繊維製を使用することができるが、ナイロン製が柔軟性に優れており、塗膜の可撓性が大きくひび割れの挙動に対してよく追従し、シール材の割れ、浮きはがれの発生をよりよく防止することができる。
繊維長の範囲は、実施例1と同じ理由により、3〜15mmの範囲とするのが好ましく、5〜10mmの範囲がさらに好ましい。
また、繊維の太さの範囲についても、実施例1と同じ理由により、繊維太さの下限値はガラス繊維製で1μm、その上限値はビニル樹脂製とナイロン樹脂製で50μm程度であり、1〜30μmとするのが好適である。
短繊維の添加量は、多ければシール材の引張強度と引裂強度は向上する反面、その伸び率は低下する。よって、必要な強度を確保するため、その下限を透明樹脂に対する重量比で0.5%程度とし、シール材の可撓性を大きくしてひび割れの動きに対して追従でき、シール材の割れ、浮きはがれが発生しないようにするため、その上限を5%程度とすることが求められる。
このように調製された短繊維混入透明樹脂は、施工現場で、こて、へら、刷毛、または短毛ローラーにて施工表面に塗布するものである。
≪施工手順≫
本実施形態のひび割れシール工法の作業手順は、上述した施工手順と同じであるので説明を割愛する。
以上説明した本実施例のひび割れ部シール工法により補修されたコンクリート構造物は、主として図2に断面図として示すように、躯体1内に形成されたひび割れ2に充填された充填部3とシール材表層部4によって構成される、請求項3に係るひび割れシール工法にて得られたものである。
コンクリート構造物表面に塗布・塗り込まれた合成樹脂溶液系の透明樹脂シール材は、混入されたビニル樹脂短繊維、ナイロン樹脂短繊維、ガラス短繊維等の短繊維によって、引張強度、引裂強度が強化され、コンクリート構造物のひび割れ部と表面に強固に接着して、ひび割れの挙動によく追従する。
さらに、短繊維混入シール材は、長期間に亘って変色することなく、透明塗膜層の耐水性を高めて白化を防止して透明性を長い間維持するとともに、低温造膜時の物性低下を抑えて耐久性を向上する。
1 コンクリート躯体
2 ひび割れ部
3 ひび割れ部に充填されたシール材充填部
4 コンクリート表層部にテープ状に固化したシール材表層部

Claims (4)

  1. 既設のコンクリートあるいは建築内外装の仕上げ面に発生したひび割れに沿ってテープ状にシール材表層部を形成してひび割れ部を補修するひび割れ部シール工法において、
    前記ひび割れ部にシールされるシール材は、硬化後透明となる樹脂と短繊維とを含み、
    硬化後のシール材が透明であることを特徴とするひび割れ部シール工法。
  2. 前記硬化後透明となる樹脂は、アクリル樹脂エマルジョン、アクリルシリコン共重合樹脂エマルジョンを含むアクリル共重合樹脂エマルジョンの群から少なくとも1つ選ばれた樹脂であることを特徴とする請求項1に記載されたひび割れ部シール工法。
  3. 前記硬化後透明となる樹脂は、合成樹脂溶液系のアクリル樹脂、アクリルシリコン共重合樹脂を含むアクリル共重合樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂の群から少なくとも1つ選ばれた樹脂であることを特徴とする請求項1に記載されたひび割れ部シール工法。
  4. 前記短繊維が、長さ3〜15mm、太さ1〜50μmのナイロン、ビニロン、ガラス等の短繊維であり、前記硬化後透明となる樹脂に対して重量比において0.5〜5%混入されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたひび割れ部シール工法。
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