JP5025884B2 - コンクリート亀裂補修用硬化性組成物 - Google Patents

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本発明は、コンクリート基材に発生した亀裂の補修が大気中および水中で可能であり、該基材への付着性、耐水性に優れ、かつ該基材の腐食を効果的に防止することができる硬化物を形成しうるコンクリート亀裂補修用硬化性組成物に関する。
従来から、数多くの構造物や施設においては、コンクリート基材が使用されている。しかしながら、近年、コンクリート基材の乾燥に伴う収縮、環境温度変化による該基材の膨張・収縮、該基材内部の鉄筋の発錆による膨張、アルカリ骨材反応などに起因するコンクリート基材の亀裂の発生が問題となっている。
例えば、海中、海浜、河川、湖等の場所に設置されているコンクリート構造物や、海水・淡水を使用する施設に用いられるコンクリート基材に亀裂が発生すると、その亀裂から、該基材内部に海水・淡水が浸入し、コンクリート基材を内部から腐食し、ひいては該基材が剥離・崩壊するなどの問題が発生する。そのため、コンクリート基材の亀裂補修が必要とされている。
コンクリート基材の亀裂補修法としては、補修塗装が挙げられる。この補修塗装としては、亀裂の発生したコンクリート基材の周囲をせき止め、排水して、大気中で作業を行なうものが知られているが、この塗装法は非常に作業コストが高い。そのため従来から周囲をせき止め排水しないですみ、作業コストを引き下げることのできる水中補修塗装が実用化されている。そのような水中補修塗装に用いられる水中塗装型組成物として、ポリアミド硬化エポキシ樹脂、変性アミン硬化エポキシ樹脂、または不飽和ポリエステル樹脂等を含有する組成物が用いられている。
しかしながら前記各樹脂を含有する水中塗装型組成物は、コンクリート基材面に塗装すると、得られる塗膜は、水中、海水中または湿潤面における耐水性が不充分であったり、耐水性が良好であっても基材に対する付着性が不充分であるとの問題を有していた。また、大気中で該組成物を用いて塗装を行っても、同様の問題を有していた。
そのような課題を解決すべく、これまでに、下記(1)〜(5)に示すような硬化剤や樹脂組成物などが提案されている。
(1)二塩基酸と二価アルコールとをあるモル比で縮重合させたポリエステルに対し、該ポリエステル中の酸残基数に対するアミン残基が一定比となる量の多価アミンを反応させてなるエポキシ樹脂系水中塗料用硬化剤(特許文献1(特開昭54−124028号公報)参照)、
(2)分子内に少なくとも1個のエポキシ基を含有するエポキシ化合物、および常温硬化性硬化剤を展色剤とする樹脂組成物において、特定構造を有するアミド化合物を添加してなる水中塗装型エポキシ樹脂組成物(特許文献2(特開平2−29479号公報)参照)、
(3)(a)水中で硬化しうる熱硬化性樹脂およびその硬化剤からなる展色材、および(b)特定構造を有するポリカルボン酸またはその塩を含有する水中塗装性水中硬化性樹脂組成物(特許文献3(特開平2−251577号公報)参照)、
(4)水中硬化性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物において、特定構造を有する界面活性剤を含有する樹脂組成物(特許文献4(特開平2−298563号公報)参照)、(5)エポキシ樹脂、およびその硬化剤を主たる展色剤とする樹脂組成物において、特定構造を有するリン原子含有エポキシ化合物を含有する水中塗装型エポキシ樹脂組成物(特
許文献5(特開平3−199229号公報)参照)など。
しかしながら、(1)〜(5)の公報に記載の硬化剤や樹脂組成物を用い、水中(あるいは大気中)でコンクリート基材に補修塗装を施しても、得られる塗膜は、該基材に対する付着性、耐水性あるいは防食性に改良の余地を有していた。
さらに、水中塗装型エポキシ樹脂組成物として、
(6)1分子あたり平均して1.7個以上のエポキシ基を有し、かつエポキシ当量(重量)が約70〜1000であるエポキシ樹脂と、水中硬化性エポキシ樹脂硬化剤と、シランカップリング剤とを含有してなる水中硬化性エポキシ樹脂組成物(特許文献6(特開昭62−270668号公報))が提案されている。
しかしながら、前記公報(6)に記載の樹脂組成物から得られる塗膜は、コンクリート基材に対する付着性には優れているが、耐水性あるいは防食性に問題を有していた。
一方、コンクリート基材の内部深くにまで亀裂が生じているような場合には、補修塗装による亀裂補修では、亀裂の内部、特に細部には組成物が充分入り込まず、亀裂からの腐食を効果的に防止することができるとは言い難い。そこで、このような場合の補修法としては、従来から、樹脂組成物をコンクリート基材の亀裂の内部に注入する補修法が用いられている。
そのような注入による補修法に用いられる樹脂組成物として、下記(7)〜(9)に示すようなものが挙げられる。
(7)コンクリート構造物の補修箇所を水密に型枠で囲繞し、型枠内を排水減圧し、ついで、型枠内に流動性の良い樹脂を注入した直後、同型枠内にモルタルを圧入して同型枠内の前記樹脂と置換する補修方法に用いられる該流動性の良い樹脂(特許文献7(特開昭55−140680号公報))、
(8)コンクリート製基礎杭柱体上面からの亀裂補修方法において、プランジャーポンプによって圧入される低粘度水中硬化型エポキシ樹脂(特許文献8(特開平9−3951号公報))、
(9)コンクリート製柱体に発生した亀裂面の亀裂補修方法において、プランジャーポンプによって圧入される低粘度水中硬化型エポキシ樹脂(特許文献9(特開平9−4238号公報))など。
前記公報(7)に記載の樹脂組成物を用いた場合、該組成物をコンクリート基材の亀裂の内部へ充填するには、該組成物に圧力をかけて注入しなければならず、また、前記公報(8)(9)に記載の樹脂組成物を用いた場合、該組成物をコンクリート基材の亀裂の内部へ充填するには、該基材に穴を開け、そこからポンプ等により樹脂組成物に圧力をかけて注入しなければならない。
しかしながら、これらの樹脂組成物に圧力をかけて注入する方法では、その圧力や該基材に穴を開ける作業等により、コンクリート基材に亀裂がさらに生じる恐れがあった。さらに、樹脂組成物に圧力をかけ過ぎた場合には、コンクリート基材自体を破壊するなどの恐れもあった。
このような問題点を解決するコンクリート基材の亀裂補修方法としては、樹脂組成物の自重および流動性を利用した自然落下(充填)による補修方法が挙げられる。しかしながら、この自然落下(充填)によるコンクリート基材の亀裂補修方法において、従来の樹脂組成物を用いた場合、亀裂の内部、特に細部への充填性に問題があった。さらに、樹脂組成物から得られた硬化物は、該基材への付着性、耐水性などにも問題があった。
特開昭54−124028号公報 特開平2−29479号公報 特開平2−251577号公報 特開平2−298563号公報 特開平3−199229号公報 特開昭62−270668号公報 特開昭55−140680号公報 特開平9−3951号公報 特開平9−4238号公報
本発明は、前記のような従来技術に伴う課題を解決しようとするものであって、コンクリート基材の亀裂補修が大気中および水中で可能であり、該基材への付着性、耐水性、および該基材に発生した亀裂内部、特に細部への充填性に優れ、さらに亀裂からの腐食を効果的に防止することができるコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を提供することを目的としている。
本発明に係るコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、
(A)粘度が800〜30000mPa・s/25℃の液状エポキシ樹脂、
(B)アミン系硬化剤、
(C)シランカップリング剤、
(D)比重2〜3の顔料、および
(E)(e-1)粘度が10〜5000mPa・s/25℃のエポキシ基含有反応性希釈剤および/または(e-2)液状炭化水素樹脂
を含有してなるコンクリート亀裂補修用硬化性組成物であって、
前記顔料(D)が、前記組成物100容量%中に、10〜40容量%の量で含有されていることを特徴とする。
前記顔料(D)の比表面積が、4m2/g以下であることが好ましい。
前記液状エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(a)(g/equiv)と、前記アミン系硬化剤
(B)のアミノ基の活性水素当量(b)(g/equiv)との当量比(b/a)が、1.0以下
、好ましくは0.8以下となるように該(A)成分と該(B)成分とを含有していることが好ましい。
前記コンクリート亀裂補修用硬化性組成物の粘度が、10000mPa・s以下であることが好ましい。
本発明に係るコンクリート基材の補修方法は、前記のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を、コンクリート基材の亀裂部分に注入することを特徴とする。
本発明に係るコンクリート亀裂補修用硬化性組成物によれば、コンクリート基材の補修が可能であり、該基材への付着性、耐水性、および該基材に発生した亀裂内部、特に細部への充填性に優れているため、亀裂からの腐食を効果的に防止することができる。
このコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、水中でも補修作業をすることができ、前記のような優れた特性を有しているため、海中、海浜、河川、湖等の場所に設置されているコンクリート構造物や、海水・淡水を使用する施設においてコンクリート基材の亀裂補
修用途に好適に使用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<コンクリート亀裂補修用硬化性組成物>
本発明に係るコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、(A)粘度が800〜30000mPa・s/25℃の液状エポキシ樹脂、(B)アミン系硬化剤、(C)シランカップリング剤、(D)比重2〜3の顔料、および(E)(e-1)粘度が10〜5000mPa・s/25℃のエポキシ基含有反応性希釈剤および/または(e-2)液状炭化水素樹脂、を含有して
なり、
前記顔料(D)が、前記組成物100容量%中に、10〜40容量%の量で含有されている。
また、本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、前記液状エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(a)(g/equiv)と、前記アミン系硬化剤(B)のアミノ基の活性水素当
量(b)(g/equiv)との当量比(b/a)が、1.0以下、好ましくは0.8以下、さら
に好ましくは0.5〜0.8、特に好ましくは0.6〜0.8となるように該成分(A)と該成分(B)とを含有してなることが望ましい。
前記当量比であることにより、本発明の組成物は、その硬化速度が調節され、コンクリート基材に生じた亀裂の細部にまで充填される。したがって、該組成物は、亀裂の細部で硬化し、耐水性に優れ、かつコンクリート基材に発生した亀裂からの腐食を効果的に防止しうる硬化物を形成することができる。
さらに、本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、その粘度(25℃)が、10000mPa・s以下、好ましくは100〜8000mPa・s、さらに好ましくは500〜6000mPa・sであることが望ましい。さらに、その比重は1以上、1.2〜2.5、さらに好ましくは1.4〜2.0であることが望ましい。
このような本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、流動性に優れるため、作業性がよく、さらに、自重を利用した自然落下(充填)によってコンクリート基材の亀裂を補修することができる。したがって、コンクリート基材を傷めることなく該基材に生じた亀裂の細部にまで充填することができるため、亀裂からの腐食を効果的に防止することができる。
前記(A)〜(D)の各成分について、以下に説明する。
液状エポキシ樹脂(A)
前記液状エポキシ樹脂(A)は、常温(15〜25℃の温度)で液状であり、粘度が800〜30000mPa・s/25℃の範囲であり、重量平均分子量が300〜750であるエポキシ樹脂であり、分子内に2個以上のエポキシ基を含むポリマーあるいはオリゴマー、およびそのエポキシ基の開環反応によって生成するポリマーあるいはオリゴマーが挙げられる。さらに、この液状エポキシ樹脂(A)は、エポキシ当量が、100〜2000(g
/equiv)、好ましくは150〜1000(g/equiv)であることが望ましい。
本発明に用いられる液状エポキシ樹脂(A)からは、後述するエポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)が除かれるものとする。
このような液状エポキシ樹脂(A)を含んでなるコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を用いると、塗布作業性に優れ、さらに基材との付着性、耐水性、防食性に優れた皮膜を形成することができるため好ましい。
このような液状エポキシ樹脂(a1)としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、エポキシ化油系エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、さらにはビスフェノールAタイプ、Fタイプのエポキシ樹脂が好ましく、特にビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
本発明においては、このような液状エポキシ樹脂(A)は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。このように2種以上の液状エポキシ樹脂を組み合わせて用いる場合には、液状エポキシ樹脂(A)の分子量、エポキシ当量(g/equiv)は、何れもその
平均値で示す。
このような液状エポキシ樹脂(A)のうちでは、いわゆるビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量150〜1000(g/equiv))が好ましい。
特に好ましく用いられるビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂としては、前記例示も含めて、たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレンオキシドジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエチレンオキシドジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAプロピレンオキシドジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型ジグリシジルエーテルなどの縮重合物が挙げられる。
本発明においては、このような液状エポキシ樹脂(A)は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。このように2種以上の液状エポキシ樹脂(A)を組み合わせて用いる場合には、液状エポキシ樹脂(A)の分子量、エポキシ当量(g/equiv)は、何れ
もその平均値で示す。
代表的な前記エポキシ樹脂としては、「エピコート828(商品名),一般名:ビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル」(シェル(株)製、重量平均分子量約360、エポキシ当量180〜190、粘度12,000〜15,000mPa・s/25℃)、「エポトートYDF−170(商品名)、一般名:ビスフェノールFジグリシジルエーテル」(東都化成(株)製、エポキシ当量160〜180、粘度2,000〜5,000mPa・s)、
「フレップ50(商品名)」(東レチオコール(株)製、エポキシ当量約330、粘度約27,000mPa・s/25℃)、「フレップ60(商品名)」(東レチオコール(株)製、エポキシ当量約280、粘度約17,000mPa・s/25℃)、
「エピコート828X−90(商品名)、一般名:ビスフェノールAジグリシジルエーテル・キシレン溶液」(828タイプエポキシ樹脂、シェル(株)製、重量平均分子量約360、エポキシ当量約210、粘度約800mPa・s/25℃)、
「エピコート834X−85(商品名)、一般名:ビスフェノールA型エポキシ・キシレン溶液」(834タイプエポキシ樹脂、シェル(株)製、重量平均分子量約470、エポキシ当量約282、粘度約3000mPa・s/25℃)、
「エピコート1001X−75(商品名)、一般名:ビスフェノールA型エポキシ・キシレン溶液」(1001タイプエポキシ樹脂、シェル(株)製、重量平均分子量約900、エポキシ当量約633、粘度約10000mPa・s/25℃)、
などを挙げることができる。本発明においては、これらエポキシ樹脂を1種または2種以
上含んでいてもよい。
アミン系硬化剤(B)
本発明で用いられるアミン系硬化剤(B)は、アミノ基の活性水素当量が、50〜150(g/equiv)、好ましくは70〜120(g/equiv)、さらに好ましくは80〜115(g/equ
iv)であることが望ましい。このようなアミン系硬化剤(B)と前記液状エポキシ樹脂(
A)を含んでなるコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を亀裂部に注入すると、耐水性に優れ、かつ該基材に発生した亀裂からの腐食を効果的に防止しうる硬化物を形成することができる。
このようなアミン系硬化剤(B)としては、通常エポキシ樹脂硬化剤として利用されているポリアミン化合物、たとえば脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、変性脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、ポリアミドアミンなどを用いることができる。これらのポリアミンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミンおよび芳香族ポリアミンの具体例としては、以下のようなポリアミンが挙げられるが、エポキシド付加、マイケル付加、マンニッヒ付加、チオ尿素付加、アクリルニトリル付加、ケトン封鎖等で変性された脂肪族、脂環族または芳香族ポリアミンが望ましい。
脂肪族ポリアミンとしては、具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミンなどが挙げられる。
脂環族ポリアミンとしては、具体的には、メンセンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メタキシレンジアミン、ビス(4-アミノ-3- メチルシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、ノルボルネンジアミン、フルフリールアミン、テトラハイドロフルフリールアミン、メチレンビス(フランメタンアミン)、フェナルカミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5) ウンデカンアダクトなどが挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、具体的には、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジメチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン(例、4,4'- ジアミノ-3,3'-ジエチル-5,5'-ジメチルジフェニルメタン)、ジエチルトルエンジアミン、3,5-ジメチルチオトルエンジアミンなどが挙げられる。
本発明では、これらのアミン系硬化剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることもできる。
アミン系硬化剤(B)としては、具体的には、例えば、「アンカミン1784」、「アンカミン1884」(いずれもエアープロダクツジャパン(株)製)などが挙げられる。本発明では、これらのアミン系硬化剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることもできる。
このようなアミン系硬化剤(B)と液状エポキシ樹脂(A)との混合物は、本発明のコ
ンクリート亀裂補修用硬化性組成物100重量%中に、60〜90容量%、好ましくは70〜85容量%の量で含まれていることが望ましい。
アミン系硬化剤(B)と、前記液状エポキシ樹脂(A)とを前記の量で含有することにより、コンクリート基材への付着性、耐水性に優れ、かつ該基材の腐食を効果的に防止しうる硬化物を形成することができる。
シランカップリング剤(C)
本発明で用いられるシランカップリング剤(C)は、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、またはイソシアネート基などの反応性官能基を有してなり、好ましくはエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、さらに好ましくはエポキシ基を有するシランカップリング剤であることが望ましい。
前記エポキシ基含有シランカップリング剤としては、(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
このようなエポキシ基含有シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、下記表1に示される、(1)〜(4)の化合物が挙げられ、好ましくは(2)を用いることが望ましい。
本発明においては、これら前記シランカップリング剤(C)を1種または2種以上含んでいてもよい。
本発明においては、前記シランカップリング剤(C)は、本発明の組成物(100重量%)中に、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の量となるように添加されていることが望ましい。該組成物が、シランカップリング剤(C)を前記の量で含有されてなることにより、本発明の組成物からなる硬化物とコンクリート基材表面との接着性が向上し、長期間水中に浸漬しても該硬化物の剥離がほとんど無く、コンクリート基材に発生した亀裂からの腐食を効果的に防止することができる。これらの効果は、エポキシ基を含有するシランカップリング剤を添加した場合に顕著に表れる。
Figure 0005025884
顔料(D)
本発明で用いられる顔料(D)は、比重が2〜3、好ましくは2.4〜2.8であることが望ましい。さらに、顔料(D)は、比表面積が、4m2/g以下であることが好まし
い。
前記顔料(D)の比重、さらに比表面積が前記範囲にあることにより、上述のように低粘度でかつ比重が調整されたコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を得ることができる。
このような顔料(D)は、得られるコンクリート亀裂補修用硬化性組成物が、目的とする良好な注入性を得るために、該組成物(100重量%)に、10〜40容量%、好ましくは15〜35容量%の量で含有されていることが望ましい。それにより、水中においても自然降下性に優れたコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を得ることができ、さらに、該組成物は流動性に優れ、コンクリート基材に生じた亀裂の細部にまで充分に充填されるため、該組成物から形成される硬化物は、亀裂からの腐食を効果的に防止することができる。
このような顔料(D)としては、体質顔料を挙げることができる。なお、着色顔料を前記体質顔料に代えて用いてもよく、また、体質顔料と着色顔料とを併用してもよい。
前記体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カリ長石、カオリン、クレー、タルク、ベントナイト、炭酸マグネシウム、シリカ微粉末などが挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、カリ長石、シリカ微粉末が好ましい。体質顔料は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
前記着色顔料としては、たとえばカーボンブラック、二酸化チタン、弁柄、酸化鉄、水酸化鉄、群青等の無機顔料、シアニンブルー、シアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。着色顔料は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる顔料(D)が、前記顔料を2種以上組み合わせて用いる場合、顔料(D)の比重や比表面積はその平均値として表される。したがって、顔料を2種以上組み合わせて用いる場合、比重や比表面積が前記範囲に含まれるのであれば、アルミナホワイト、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化チタンなどの比重が3を超える顔料を用いることができる。このような比重が3を超える顔料は、具体的には、全顔料中に30容量%以下の量となるように組み合わせて用いられる。
(E)エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)および/または液状炭化水素樹脂(e-2)
本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1
)および/または液状炭化水素樹脂(e-2)を含有してなる。
本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物の粘度が、上述の範囲に調節されれば特に限定されないが、前記(e-1)成分が単独で用いられる場合には、本発明の組成物10
0重量%中には、該(e-1)成分が、1〜50重量%、好ましくは5〜20重量%の量で
含まれていることが望ましい。また、前記(e-2)成分が単独で用いられる場合には、本
発明の組成物100重量%中には、該(e-2)成分が、1〜40重量%、好ましくは5〜
20重量%の量で含まれていることが望ましい。またさらに、前記(e-1)と(e-2)成分とが用いられる場合には、本発明の組成物100重量%中には、該(e-1)と(e-2)成分の合計が、1〜40重量%、好ましくは5〜20重量%の量で含まれていることが望ましい。
このような量で前記(e-1)および/または(e-2)成分を含有してなる本発明の組成物
は、充分な流動性を有するため、作業性がよく、さらに、コンクリート基材に生じた亀裂の細部にまで充分に充填することができるため、亀裂からの腐食を効果的に防止することができる。
エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)
本発明で用いられるエポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)は、粘度が10〜5000mPa
・s/25℃以下であることが好ましい。
本発明に用いられるエポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)からは、前述の液状エポキシ樹
脂(A)が除かれるものとする。
このようなエポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)としては、例えば、フェニルグリシジ
ルエーテル、アルキルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1〜10、好ましくは1〜5、例:ブチルグリシジルエーテル)、バーサティック酸(Versatic acid)グリシジ
ルエステル[R123C−COO−Gly、R1+R2+R3=C8〜C10のアルキル基
、Gly:グリシジル基]、α-オレフィンエポキサイド(CH3-(CH2n-Gly、n
=11〜13、Gly:グリシジル基)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(Gly-O-(CH26-O-Gly、Gly:同上)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(Gly-O-CH2-C(CH32-CH2-O-Gly、Gly:同上)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(CH3-CH2-C(CH2-O-Gly)3、Gly:同上)、アルキルフェノールグリシジルエーテル[アルキル基の炭素数1〜10、好ましくは1〜5、例:メチルフェノールグリシジルエーテル、エチルフェノールグリシジルエーテル、プロピルフェノールグリシジルエーテル]等が挙げられる。
これらのエポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)のうちでは、前記アルキルフェノールグ
リシジルエーテルが低粘度であり、希釈効果を発揮できるため好ましい。
これらエポキシ基含有反応性希釈剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このようなエポキシ基含有反応性希釈剤としては、具体的には、「NC−513」(アルキレイティッドフェノールグリシジルエーテル、カードライト社製)が、特に低粘度であり、希釈効果があるため好ましい。
このようなエポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)は、低温での硬化促進作用の向上にも
寄与でき、さらに、それ自体もアミン系硬化剤(B)と反応するため、より強固な硬化物を形成することができる。
液状炭化水素樹脂(e-2)
本発明に用いられる液状炭化水素樹脂(液状石油樹脂)(e-2)は、常温(15〜25
℃の温度)で液状であり、粘度が10〜5000mPa・s/25℃の範囲である液状炭化水素樹脂であり、そのような液状炭化水素樹脂としては、具体的には、脂肪族炭化水素(C9系石油樹脂)、芳香族炭化水素(C5系石油樹脂)、クロマン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂やこれらの変性物などが挙げられる。
本発明においては、このような液状炭化水素樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。このように2種以上の液状炭化水素樹脂を組み合わせて用いる場合には、液状炭化水素樹脂の前記分子量は、その平均値で示す。
前記液状炭化水素樹脂のうちでは、エポキシ樹脂との相溶性が良好なものであることが必要であり、好ましくは、芳香族炭化水素(C5系石油樹脂)、キシレン樹脂、トルエン樹脂を用いることが望ましい。
このような液状炭化水素樹脂の平均分子量等は、得られる塗料の塗装硬化条件(例:常乾塗装あるいは焼付け塗装等)などにもより、一概に決定されないが、その数平均分子量が通常150〜720のものが用いられる。
代表的な前記液状炭化水素樹脂は、具体的に、
脂肪族炭化水素(C9系石油樹脂)としては、ネシレスEPX−L、ネブケムNL−10、ネブケムNL−20、ネブケムNL−30、ネシレスEPX−T6(商品名、いずれもNevcin Polymers co.製)などを挙げることができる。
芳香族炭化水素(C5系石油樹脂)としては、マルカクリアーH、マルカクリアーV(商品名、いずれも丸善石油(株)製)などを挙げることができる。
キシレン樹脂としては、ニカノールDS,LLL,LL,L,H(商品名、いずれも三菱ガス化学(株)製)、ハイゾールSASLH(商品名、新日本石油化学(株)製)などを挙げることができる。
クロマン樹脂としては、エスクロンL−5,L−20(商品名、いずれも新日鉄化学(株)製)などを挙げることができる。
トルエン樹脂としては、エポジールL(商品名、アンカーケミカル(株)製)などを挙げることができる。
本発明においては、これら前記液状炭化水素樹脂を1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物には、前記成分の他に、さらに、その他の成分として以下の成分を添加することもできる。
その他の成分
本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物には、さらに必要に応じて、その他の成分として、繊維物質、タレ止め・沈降防止剤、顔料分散剤、特開平2−298563号記載の界面活性剤、特開平2−251577号記載のポリカルボン酸またはその塩、防錆顔料、リン片状顔料、金属粉などを適宜添加することができる。これらの添加量は、特に限定されない。
前記繊維物質としては、アスベスト・植物繊維、ガラスファイバー、カーボンファイバー、合成繊維などが挙げられる。
前記タレ止め・沈降防止剤としては、有機粘度系Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘土系が用いられる。
前記顔料分散剤としては、高分子ブロック共重合体、アクリル系共重合物、不飽和ポリアミノアマイドと低分子量酸ポリマーとの塩の溶液、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エ
ステルとの塩の溶液、水酸基含有カルボン酸エステル、低分子量不飽和ポリカルボン酸のポリマー溶液、低分子量不飽和ポリカルボン酸のポリマーとポリシロキサン共重合体溶液、低分子量不飽和酸性ポリカルボン酸ポリエステルとポリシロキサン共重合体溶液、α-
オレフィン・無水マレイン酸共重合物物の部分エステル溶液、チタネート系カップリング剤が用いられる。
前記界面活性剤としては、特開平2−298563号公報に記載の界面活性剤を用いることができ、具体的には、下記一般式(1),(2),(3),(4),(5)
Figure 0005025884
(式中Mは水素、金属、塩基性窒素含有基を示す。)
で表される酸基(またはその塩)を少なくとも1個有する界面活性剤が用いられる。
前記ポリカルボン酸またはその塩としては、特開平2−251577号公報に記載のポリカルボン酸またはその塩が用いられ、具体的には、分子中に互いに近接した2個以上のカルボキシル基と炭素数4個以上の飽和または不飽和の分枝状または環状構造を有する疎水性炭化水素原子団とを有するポリカルボン酸またはその塩が用いられる。
前記防錆顔料としては、クロム酸系,モリブデン酸系,リン酸系,ホウ酸系,フェライト系,鉛酸系などが挙げられる。
前記リン片状顔料としては、ガラスフレーク,ステンレスフレーク,アルミフレーク,プラスティックフレーク等が挙げられる。
前記金属粉としては、ステンレン粉,亜鉛末,アルミ粉等が挙げられる。
また、本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を用いると、大気中および水中(海水中を含む)でも亀裂補修が可能である。したがって、該補修用硬化性組成物には、樹脂成分を溶解するためなどに用いられる溶剤を実質的に含有しない。本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を大気中での補修にのみ使用する場合には、実用上の弊害、すなわち、塗膜から溶剤の抜けが悪くなり、塗膜形成上不具合が生ずる等の弊害が認められない程度の溶剤を添加することも可能である。
コンクリート亀裂補修用硬化性組成物の調製方法
本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、前記液状エポキシ樹脂(A)を含有する主剤成分と、前記アミン系硬化剤(B)を含有する硬化剤成分との2液型として調製されてもよく、この場合使用前は、それぞれ別の容器に保管され、使用時に混合して用いられる。
前記シランカップリング剤(C)、比重2〜3の顔料(D)、液状炭化水素樹脂(e-2
)、前記「その他の成分」は、主剤成分または硬化剤成分のいずれかの成分中、または両成分中に含有されていてもよく、または主剤成分と硬化剤成分とを混合する際に添加してもよい。また、前記エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)は、主剤成分中に含有されてい
るか、または主剤成分と硬化剤成分とを混合するときに添加してもよい。
なお、アミン系硬化剤(B)として、液状エポキシ樹脂(A)と貯蔵中は反応しないように変性された硬化剤を用いる場合には、コンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、1液型として用いることができる。この変性された硬化剤としては、ケチミンタイプのアミンブロック系硬化剤などが挙げられる。ケチミンタイプのアミンブロック系硬化剤としては、具体的には、エピキュアH30(ジャパンエポキシレジン(株)製)、アデカハードナーEH−235R(旭電化工業(株)製)などを用いることができる。また、このケチミンタイプのアミンブロック系硬化剤は、2液型のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物において、他のアミン系硬化剤と併用することもできる。
<コンクリート基材の補修方法>
本発明に係るコンクリート基材の補修方法は、前記のようにして調製される本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物を用いた、水中または大気中における補修方法である。
そのような補修方法としては、従来から行われている表面塗装法、充填法、注入法等を用いることができる。本発明においては注入法によりコンクリート基材の亀裂部分を補修することが好ましい。
本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、上述のように、その組成および粘度、好ましい態様においては該組成物の比重が調整されていることから、注入法において、ポンプを用いて該組成物を注入する必要がなく、自重を利用した自然落下(充填)によって亀裂部分の細部にまで充填される。また、ポンプを用いる場合においては、ポンプと補修部位が離れていても、該組成物を注入することができる。
このようにしてコンクリート基材の亀裂部分の細部にまで充填された本発明のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物は、コンクリート基材の亀裂部分で硬化し、該基材の亀裂部分からの腐食を効果的に防止することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例で用いた使用原料を表−2に示す。
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
<コンクリート亀裂補修用硬化性組成物の調製方法>
表−3に示される組成にしたがい、予めI剤,III剤を各々別の容器の中で攪拌し、均
質なI剤、III剤を調製する。
試験直前に、I剤の中に規定量のII剤を入れ、電動ディスパーで混合し均一にした後、そこにIII剤を投入し、更に電動ディスパーで混合して均一にし、これを硬化性組成物と
して供試する。
<試験体作成方法>
1.図1に示すように、5mm(厚)×30cm×30cmである透明アクリル板12の上面12a
の端辺12cに沿って、1cm(厚)×2cm×30cmのゴム板14を、シアノアクリレート系接着剤で貼り合わせ、さらにゴム板14に、1cm(厚)×6.5cm×30cmのゴム板16を貼り付け、貼り合せ板10を作成する。このようにして貼り合せ板10を、2つ作成する。
2.図2に示すように、1つの貼り合せ板10において、ゴム板14を貼り付けていない下面12bに、端辺12cと略直角となるように、1mm角、長さ3cmアクリル棒18を、シアノアクリレート系接着剤で貼り付け、貼り合せ板10'を作成する。
3.前記のようにして得られた、貼り合せ板10,10'を、下面12bの端辺12e
同士を合わせ、2つの下面12bによってアクリル棒18を狭持するように、透明アクリル板12,12をダブルクリップで固定する。端辺12dと端辺12f、端辺12e同士をシアノアクリレート系接着剤で接着する。このようにして、透明アクリル板12,12が、3辺のみで接着され、端辺12c同士と、下面12b同士が接着されていない略袋形状の空隙部20を形成する。このように形成することにより、空隙部20は、端辺12cから端辺12eに行くにしたがい空隙が徐々に狭くなる形状となる。
4.さらに、図4に示すように、ゴム板16,16の間に、1cm(厚)×2.5cm×4.5
cmのゴム板22と、1cm(厚)×4.5cm×30cmのゴム板24をシアノアクリレート系接着剤で固定し、図5に示すような開口部26を有する、貼り合せ板30を調製する。
5.このようにして作成された貼り合せ板30を、図5に示すように10cm×30cm×3.2mmtの鉄板32に、ガムテープと溶融接着するホットメルト接着剤(酢酸ビニル樹脂系接着剤(白光株式会社製))を用いて固定し、試験体40を作成する。
<注入試験方法>
1.図6,7に示すように、深さ40cmのプラスチックコンテナ50に、前記で作成した試験体40を置き、張水時に浮き上がらないよう鉄板32に図示しない鉛のおもりを載せ固定する。
2.透明な塩化ビニル樹脂からなる注入チューブ42の一方に、ポリエチレン製ロート44を差し込んだものを準備し、試験体40の開口部26の底部まで注入チューブ42を差し込み、試験体40の上面から1mの高さとなるように図示しない固着手段によってロート44を固定する。
3.さらに、開口部26に、樹脂を注入した時の水を排出するために、透明な塩化ビニル樹脂からなる排水用チューブ46を設置する。開口部26は、ホットメルト接着剤を用いてアクリル板48で塞ぐ。このアクリル板48には、2つの貫通孔が設けられており、注入チューブ42と排出チューブ46は、この貫通孔を通過させて水面上に配置される。
4.図7に示すように、試験体を設置した深さ40cmのプラスチックコンテナ50に水を入れて満水(水深約40cm)にし、試験体40の空隙部20中、開口部26中に水を充満させる。なお、開口部26に設けた排水用チューブ46は水面より上に出るように設置する。
5.注入チューブ42に接続されたロート44に、供試する硬化性組成物を注ぎ入れて重力落下させ、試験体40に硬化性組成物を注入する。ロート44の硬化性組成物が減少したら、適宜追加して常にロート44に硬化性組成物が満たされているようにする。ロートの硬化性組成物が減少しなくなったところで注入を終了する。
6.硬化性組成物が硬化した後、試験体40を引き上げ、下記の評価法にしたがい、硬化性組成物の注入流動性・充填性を評価する。結果を、表−4に示す。
<注入試験方法>
1.硬化性組成物の注入流動性
試験体40の側面(透明アクリル板12の上面)より観察した表面積で評価した。具体的には、図8に示すように、試験体略中央部の硬化物の傾きに合わせて評価用検量線を引き、端辺12cと接する高さを「注入口高さ」とし、端辺12eと接する高さを「端部高さ」として、下記式により空隙部20に充填された硬化性組成物の注入面積を計算する。その面積の値から硬化性組成物の注入流動性を評価した。
式:硬化性組成物の注入面積=〔(端部高さ+注入口高さ)×30cm〕/2
2.硬化性組成物の充填性
試験体40を解体し、空隙部20の端辺12e側に充填された硬化物の厚みをマイクロメーターで測定する。空隙部20は、端辺12eに行くにしたがい空隙が狭くなっているため、硬化物の厚みが小さいほど、硬化性組成物の充填性が優れると判断した。
Figure 0005025884
Figure 0005025884
Figure 0005025884
Figure 0005025884
Figure 0005025884
比較例3の硬化状態を観察すると、底に近い方は顔料の簸性硫酸バリウムが沈降し、顔料過多の状態となっており、一方、上端部には、ほとんど顔料がない状態であった。このように、比較例3の組成物は均質性が無いため、補修用硬化性組成物として用いるには実用上の問題がある。
図1は、実施例において用いられる試験体の作成状態を示す図である。 図2は、実施例において用いられる試験体の作成状態を示す図である。 図3は、実施例において用いられる試験体の作成状態を示す図である。 図4は、実施例において用いられる試験体の作成状態を示す図である。 図5は、実施例において用いられる試験体を示す図である。 図6は、試験体に注入チューブと排出チューブを設置した状態を示す図である。 図7は、試験体に硬化性組成物の注入する場合の概略断面図である。 図8は、硬化性組成物の注入流動性を評価する場合の、注入面積を示す図である。
符号の説明
10,10' 貼り合せ板
12a 上面
12b 下面
12c,12d,12e,12f 端辺
14,16 ゴム板
18 アクリル棒
20 空隙部
22,24 ゴム板
26 開口部
30 貼り合せ板
32 鉄板
40 試験体
42 注入チューブ
44 ロート
46 排出チューブ
48 アクリル板
50 プラスチックコンテナ

Claims (4)

  1. (A)粘度が800〜30000mPa・s/25℃の、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、およびエポキシ化油系エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の液状エポキシ樹脂、
    (B)アミン系硬化剤、
    (C)シランカップリング剤、
    (D)比重2〜3、比表面積が、4m2/g以下の顔料、および
    (E)(e-1)粘度が10〜5000mPa・s/25℃の、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1〜10)、バーサティック酸グリシジルエステル[R123C−COO−Gly、R1+R2+R3=C8〜C10のアルキル基、Gly:グリシジル基]、α-オレフィンエポキサイド(CH3-(CH2n-Gly、n=11〜13、Gly:グリシジル基)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(Gly-O-(CH26-O-Gly、Gly:同上)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(Gly-O-CH2-C(CH32-CH2-O-Gly、Gly:同上)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(CH3-CH2-C(CH2-O-Gly)3、Gly:同上)、およびアルキルフェノールグリシジルエーテル[アルキル基の炭素数1〜10]よりなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ基含有反応性希釈剤および/または(e-2)粘度が10〜5000mPa・s/25℃の液状炭化水素樹脂
    が含有されてなるコンクリート亀裂補修用硬化性組成物であって、
    前記顔料(D)が、前記組成物100容量%中に、10〜40容量%の量で含有されており、
    前記エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)が単独で用いられる場合には、該エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)が前記組成物100重量%中に、1〜50重量%の量で含有されており、
    前記液状炭化水素樹脂(e-2)が単独で用いられる場合には、該液状炭化水素樹脂(e-2)が前記組成物100重量%中に、1〜40重量%の量で含有されており、
    前記エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)と液状炭化水素樹脂(e-2)とが併用される場合には、該エポキシ基含有反応性希釈剤(e-1)と液状炭化水素樹脂(e-2)の合計が、前記組成物100重量%中に、1〜40重量%の量で含有されており、
    前記組成物の粘度が、10000mPa・s/25℃以下であることを特徴とする水中でのコンクリート亀裂補修用硬化性組成物。
  2. 前記液状エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(a)(g/equiv)と、前記アミン系硬化剤(B)のアミノ基の活性水素当量(b)(g/equiv)との当量比(b/a)が、1.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物。
  3. 前記液状エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(a)(g/equiv)と、前記アミン系硬化剤(B)のアミノ基の活性水素当量(b)(g/equiv)との当量比(b/a)が、0.8以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物。
  4. 前記顔料(D)が、酸化チタン、シリカ、タルク、硫酸バリウムから少なくとも1種選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート亀裂補修用硬化性組成物。
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