JP2005226231A - 軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法 - Google Patents

軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005226231A
JP2005226231A JP2004033049A JP2004033049A JP2005226231A JP 2005226231 A JP2005226231 A JP 2005226231A JP 2004033049 A JP2004033049 A JP 2004033049A JP 2004033049 A JP2004033049 A JP 2004033049A JP 2005226231 A JP2005226231 A JP 2005226231A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
concrete panel
soluble resin
emulsion solution
resin emulsion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004033049A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4364003B2 (ja
Inventor
Takahisa Hattori
貴久 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Clion Co Ltd
Original Assignee
Clion Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Clion Co Ltd filed Critical Clion Co Ltd
Priority to JP2004033049A priority Critical patent/JP4364003B2/ja
Publication of JP2005226231A publication Critical patent/JP2005226231A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4364003B2 publication Critical patent/JP4364003B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Finishing Walls (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)
  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)

Abstract

【課題】 表面が劣化した軽量気泡コンクリートパネルの表面を、初期性能の表面強度にまで安定的かつ効率的に改修することが可能で、改修後の表面耐久信頼性が高い軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法の提供。
【解決手段】 表面が劣化した軽量気泡コンクリートパネルの表面を2〜15N/mm2 の高水圧で洗浄する第1工程と、この第1工程後に前記軽量気泡コンクリートパネルの表面に水溶性樹脂エマルジョン溶液を塗布する第2工程とを順次行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面が劣化した軽量気泡コンクリートパネル(以下、ALCパネルと呼ぶ)の表面改修方法に関するものであり、さらに詳しくは、初期性能の表面強度にまで安定的かつ効率的に改修することが可能で、改修後の表面信頼性が高いALCパネルの表面改修方法に関するものである。
ALCパネルは、いわゆるコンクリート板に比べて多孔質であり、比重が0.45〜0.55と軽量であることから、軽量性、耐侯性および断熱性がすぐれており、これらの特性を生かして建築材料、例えば建物の内外壁用パネルや屋根パネルとして広く使用されている。
そして、ALCパネルは一般にその表面強度(特に、表面引張り強度)が低く防水性がないため、表面に塗装またはタイル張りなどの仕上げ加工を施したものが実用に供されている。そして、この仕上げ加工の方法としては、ALCパネルの表面にリシン(砂+有機系樹脂)を直接吹き付けて仕上げる方法、ALCパネルの表面に下地調整塗材を塗布した後、この下地調整塗材の塗布面に模様付きの中塗り塗料を塗布し、さらに上塗り塗料(ポリウレタン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料など)を塗布して仕上げる方法、およびALCパネルの表面に接着剤を介してタイルを張り付ける方法などが採用されていた。
しかるに、特に外壁として使用されるALCパネルの仕上げ面は、太陽光の紫外線、季節の推移による温度変化、雨水(特に酸性雨)などの過酷な条件に長期にわたって晒されるばかりか、地震や風などによる建物の変形を受けることによって自然劣化し、仕上げ面に亀裂を生じ、その結果ALCパネルの内部にも亀裂が広がるという問題を包含していた。
このように仕上げ面からALCパネルの内部へと亀裂が進行すると、この亀裂から侵入する雨水や炭酸ガスの影響を受けてALC母材の強度が低下してしまうことから、表面劣化の進行を阻止するための改修が必要となる。
従来のALCパネルの表面改修方法としては、劣化した仕上げ面上に直接塗料を再塗装することが考えられるが、この場合には、すでにALC母材の強度が低下しているため、再塗装後の塗膜が容易に剥離してしまうという問題があった。したがって、劣化した塗膜などの仕上げ面を剥離除去してから再度仕上げ面を形成する必要があった。この場合には、仕上げ面の剥離にへらやケレンなどを使用する必要があり、ALCパネルの表面を傷付けることがないよう注意して剥離する必要がある。従って、剥離作業に手間がかかって作業効率が悪いばかりか、パネル表面に生じた亀裂に下地調整塗材や塗料が浸透するために、再塗装した塗膜に不陸を生じやすいという問題があった。
そこで、これらの問題がないALCパネルの表面改修方法として、ALCパネルの劣化した表面に下地処理剤としてのアルカリ性水溶液を塗布してパネル内部に浸透させた後、その表面にケイ酸塩水溶液を塗布する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。この方法によれば、確かにALC母材の強度を回復すると共に表面の改修を果たすことができるが、下記に挙げるような問題点を包含していた。
まず、強アルカリ性水溶液を使用するため、安全性に十分な配慮を必要とするばかりか、アルカリ性水溶液とケイ酸塩水溶液との二度塗りであることから、作業効率および経済性に劣る。
しかも、ケイ酸塩水溶液が水ガラスの溶液よりなることから、乾燥・硬化するにつれて収縮し、硬化後はガラス質となるため釘打ち性や弾力性に劣るばかりか、架橋度合いにより浸透性が異なるため、ALC母材の微細な亀裂部へは稀薄溶液を用いない限り容易に浸透せず、母材強度の復元が難しい。
さらに、改修後の仕上げ面がガラス質となるため、地震の揺れなどに対する変形追随性が劣り、仕上げ面とALC母材との剥離や仕上げ面への亀裂の発生を生じやすいことから、改修後の耐久信頼性が悪い。
特開昭63−147065号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、ALCパネルの初期性能の表面強度にまで安定的かつ効率的に改修することが可能で、改修後の表面耐久信頼性が高いALCパネルの表面改修方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明によれば、表面が劣化したALCパネルを改修するに際し、このALCパネルの表面を2〜15N/mm2 の高水圧で洗浄する第1工程と、この第1工程後に前記ALCパネルの表面に水溶性樹脂エマルジョン溶液を塗布する第2工程とを順次行うことを特徴とするALCパネルの表面改修方法が提供される。
なお、本発明のALCパネルの水溶性樹脂エマルジョン溶液においては、
前記第2工程終了後に、前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面に塗料を塗布すること、
前記第2工程終了後に、前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面に下地調整塗材を塗布する第3工程と、この第3工程終了後に、前記下地調整塗材の塗布面に塗料を塗布する第4工程とを順次行うこと、
前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の樹脂成分が、エチレン・酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂およびウレタン樹脂から選ばれた1種以上であること、
前記水溶性樹脂エマルジョン溶液における分散樹脂の粒子径が1μm以下であり、かつこの水溶性樹脂エマルジョン溶液の粘度が2×10-2〜1×10-4Pa・sであること、
前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の樹脂固形分濃度が2〜30重量%であること、
前記水溶性樹脂エマルジョン溶液がさらに無機系または有機系の染料または着色剤を1×10-4〜5重量%含有すること、および
前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布量が、0.2〜2.0Kg/m2 であること
が、いずれも好ましい要件であり、これらの要件を満たすことによりさらに優れた効果の取得を期待することかできる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、劣化したALCパネルを初期性能の表面強度にまで安定的かつ効率的に改修することが可能であり、改修後のALCパネル表面の耐久信頼性も極めて高い。
したがって、本発明によれば、劣化により低下したALCパネルの表面強度を効率的に復元することにより、建物の長期耐用年数を向上することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明で適用されるALCパネルとは、ケイ酸質原料と石灰質材料などの主原料に、水およびアルミニウムなどの発泡剤を添加して発泡・硬化後に脱型し、次いで高温・高圧の蒸気養生を行うことにより製造されたものであり、これを建物の外壁などとして使用し、表面に劣化を生じたものである。ここでいう表面劣化とは、塗料の塗膜などの仕上げ面が、太陽光の紫外線、季節の推移による温度変化、雨水などの過酷な条件に長期にわたって晒されると共に、地震や風などによる建物の変形を受けることによって自然劣化し、仕上げ面からALC母材の内部にもまで亀裂が生じている状態をいう。また、この時のALC母材の含水率は、通常長期に渡る乾燥により7重量%未満となっている。
本発明において、かかる表面が劣化したALCパネルを改修するに際しては、まずこのALCパネルの表面を2〜15N/mm2 の高水圧で洗浄する第1工程を実施する。この第1工程では、ALCパネル表面の劣化した仕上げ面や汚れを除去することを目的としているが、従来のようにへらやケレンなどを使用して仕上げ面を剥離除去する場合には、上記したようにALC母材の含水率が7重量%未満で非常に乾燥した状態である。このため、ALCパネル表面および該表面の塗膜は乾燥により固化しているため、剥離に際してはALCパネルの表面を傷付けることがないよう注意を要し、手間がかかるなど作業効率が悪化したり、またALCパネルの表面を傷付けるという不具合があった。この結果、2〜15N/mm2 の高水圧で洗浄することによって、ALCパネルの表面に損傷を与えることなく、容易かつ効率的に塗膜や汚れを除去することを可能としたものである。また、前記高圧水には摂氏30度以上の温水を使用すると、塗膜が軟化し塗膜強度が低下すると共に汚れ物質の溶解度が向上するため、より容易に塗膜や汚れを除去できる。
本発明においては、上記第1工程に引き続き、洗浄後のALCパネルの表面に水溶性樹脂エマルジョン溶液を塗布する第2工程を実施する。この第2工程では、劣化して亀裂などを生じているALCパネルの表面を補修し、ALCパネルの表面強度を初期強度と同等程度にまで復元することを目的としている。第1工程での水洗浄によって、ALC母材の含水率が7重量%以上となり、含水率が増加することで該ALC母材の硬度が低下する。その結果、該ALCパネル表面上の塗膜はその界面より剥離しやすくなる。さらに、改修剤として使用する水溶性樹脂エマルジョン溶液は乾燥したALCパネルの表面や亀裂の表層部で硬化することなく、亀裂からALC母材の内部まで十分に浸透するため、表面強度の復元効果が高く、しかも改修後の耐久信頼性も極めて高い改修面を得ることができる。
この第2工程で使用する水溶性樹脂エマルジョン溶液とは、エチレン・酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂およびウレタン樹脂から選ばれた1種以上を樹脂成分とした水溶液である。このため、ALC母材の含水率が7重量%以上の状態であれば、前記したようにALCパネルの表面や亀裂の表層部で硬化することなく、亀裂からALC母材の内部まで十分に浸透し硬化させることができる。場合によっては前記樹脂同士の共重合体を樹脂成分とすることも可能である。
本発明で使用する水溶性樹脂エマルジョン溶液においては、分散樹脂の粒子径が1μm以下であり、かつこの水溶性樹脂エマルジョン溶液の粘度が2×10-2〜1×10-4Pa・sの範囲であることが望ましい。分散樹脂の粒子径が1μmを越える場合には、ALCパネルの内部の気孔や表面の微細な亀裂(クラック)の狭い部分への水溶性樹脂エマルジョン溶液の浸透性が悪くなり、表面強度の復元効果が低下する傾向を生じることがある。また、水溶性樹脂エマルジョン溶液の粘度が1×10-4Pa・s未満の場合には、希釈率が高く表面強度復元に必要な樹脂量が不足する傾向となり、逆に2×10-2Pa・sを越える場合には、流動性に欠けるため浸透性が悪化する傾向を生じることになる。よって、水溶性樹脂エマルジョン溶液の分散樹脂の粒子径を1μm以下、かつ粘度を2×10-2〜1×10-4Pa・sの範囲とすることにより、この水溶性樹脂エマルジョン溶液をALCパネルの微細気孔や微細クラックへ十分に浸透させることが可能であり、ALCパネル製造直後の初期性能と同等の表面強度を得ることができる。
なお、水溶性樹脂エマルジョン溶液の粘度調整方法としては、樹脂成分に添加する水の量を調整する方法が一般的であるが、この場合には、アルコール溶液やシリコーン溶液またはそれらの混合溶液を添加して調整することもできる。なお、水溶性樹脂エマルジョン溶液の樹脂固形分濃度は2〜30重量%の範囲であることが望ましく、この範囲であれば、硬化後の被膜形成が簡単に行うことができ、しかも復元強度をより一層効果的に向上させることができる。
ここで、本発明で使用する水溶性樹脂エマルジョン溶液には、無機系または有機系の染料または着色剤を1×10-4〜5重量%程度混入することができ、この場合には、塗布面と未塗布面とを明確に識別することができる。また、塗布面の色の濃淡によって塗布量を推定することが可能となるため、塗り残しを防止して、均一な塗布量を確保した塗布面を形成することができる。なお、この場合には、揮発性や毒性のあるものを除外して、作業環境に悪影響を与えることのない染料または着色剤を選択使用することが望ましい。
第2工程におけるALCパネルに対する水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布方法としては、従来公知の刷毛塗り塗装法、ローラー塗装法および吹き付け塗装法などが適用できる。この場合のALCパネル表面に対する水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布量は、0.2〜2.0Kg/m2 の範囲であることが好ましい。水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布量が0.2Kg/m2 未満の場合には、硬化後の被膜形成が弱くて強度復元効果が低下する傾向となり、逆に2.0Kg/m2 を越える場合は、硬化時間が長くなるなど作業効率が悪くなる傾向を生じる。また、ALCパネル表面に対する水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布量を0.3〜1.0Kg/m2 の範囲とすると、硬化後の被膜形成の効率化と高い復元強度の取得との両立を図ることができ、より好ましい。
上記第2工程により、初期性能と同等の表面強度にまで改修されたALCパネルが得られるが、本発明においては、第2工程終了後に、前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面にさらに塗料を塗布することが望ましい。
なお、水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面に直接塗料を塗布することも可能であるが、上記第2工程終了後に、水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面に下地調整塗材を塗布する第3工程と、この第3工程終了後に、前記下地調整塗材の塗布面に塗料を塗布する第4工程とを順次行うことが、ALCパネル表面の凹凸などの不陸を調整して平滑な塗装面が得られること、塗料のALC母材への吸い込みを防止して均一な仕上げ塗装面が得られること、塗料の付着性を向上して耐久性の改良が図れること、および紫外線などにより塗料が劣化したとしてもALC母材への雨水などの侵入が防止できて耐久性の向上が図れることなどの利点が得られることからより好ましい。
本発明の第3工程で使用される下地調整塗材としては、第2工程で使用した水溶性樹脂エマルジョン溶液との付着性および結合性が優れた水溶性のセメント系下地調整塗材であることが望ましい。さらには、硬化後に容易に亀裂が入りにくい特性、つまり地震などによる変形応力に対する追随性が良い特性を有する下地調整塗材、より具体的には、JIS A 6916に規定する「建築用下地調整塗材」の使用が特に望ましい。この「建築用下地調整塗材」は、JIS A 6909に規定する「建築用仕上塗材」の中の7.29項「可とう性試験」において、基盤角度を150度まで折り曲げた後、表面にひび割れ、剥がれを生じない特性を満たすものが望ましい。
また、本発明の第4工程で使用される塗料には特に制限はなく、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、アクリル樹脂系、シリコン樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、無機系などの通常公知の塗料を選択して使用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、劣化により低下したALCパネルの表面引張り強度をALCパネル製造時の初期引張り強度と同等程度にまで効率的に復元することにより、建物の長期耐用年数を向上することができる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、実施例における改修後のALCパネル表面の評価は次の方法により行った。
[表面引張強度]
改修完了後のALCパネルを7日間室内にて静置養生した後、ALCパネル表面の引張り強度を建研式引張試験機により測定した。
[浸透深さ]
改修完了後のALCパネルを7日間室内にて静置養生した後、改修面を切断してその切断面を目視観察することにより、水溶性樹脂エマルジョン溶液の浸透深さを測定した。
なお、下記の実施例および比較例においては、初期の表面引張り強度が0.45〜0.60N/mm2 であって、塗料が塗布されてはいるものの、表面に亀裂幅:0.3〜0.5mmの亀裂を多数生じている劣化したALCパネル(厚さ×幅×長さ=100mm×600mm×3000mm)を、長さ方向に5等分になるように切断した試験板(厚さ×幅×長さ=100mm×600mm×600mm)を使用し、その表面を改修した。
[実施例1]
ALC試験板の表面に、水圧が5N/mm2 となるように調整した高圧水洗浄用ホースを使用して高水圧洗浄することにより、ALC試験板表面の塗膜を完全に除去した。
次いで、粒子径が0.5μのアクリル樹脂を主成分とし、固形分濃度が8重量%、粘度が3×10-3Pa・sの水溶性樹脂エマルジョン溶液を調整し、この水溶性樹脂エマルジョン溶液をローラー塗装法によりALC試験板の表面に、塗布量が0.5Kg/m2 となるように塗布した。
さらに、水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面に下地調整塗材としてポリマーセメント系塗材(菊水化学工業社製、製品名:キクスイセメントフィラー)を塗布した後、その上に仕上げ塗材としてウレタンゴム系の塗料(菊水化学社製、製品名:一液ウレタンD)を塗布することにより、改修作業を完成した。
このようにして得られた改修済みALC試験板を評価した結果、表面引張り強度は0.49〜0.61N/mm2 と、初期の表面引張り強度(0.45〜0.60N/mm2 )と同等であり、また水溶性樹脂エマルジョン溶液の浸透深さは6.8〜7.5mmであった。
[比較例1]
ALC試験板の表面に何らの処理も施すことなく、実施例と同様に直接セメント系塗材を塗布した後、その上にウレタンゴム系の塗料を塗布することにより、改修作業を完成した。
このようにして得られた改修済みALC試験板を評価した結果、表面引張り強度は0.20〜0.28N/mm2 と、初期の表面引張り強度(0.45〜0.60N/mm2 )に比べて極めて低い値であった。
[比較例2]
実施例1において、水溶性樹脂エマルジョン溶液の代わりに、ケイ酸リチウム水溶液を、ローラー塗布法により、ALC試験板の表面に塗布量が0.5Kg/m2 となるように塗布した以外は、実施例と同様にして改修作業を完成した。
このようにして得られた改修済みALC試験板を評価した結果、表面引張り強度は0.31〜0.35N/mm2 と、初期の表面強度(0.45〜0.60N/mm2 )に比べて低く、ケイ酸リチウム水溶液の浸透深さは2.7〜2.8mmと実施例に及ばなかった。
[比較例3]
実施例1において、水溶性樹脂エマルジョン溶液の代わりに、水酸化リチウム水溶液を、ローラー塗布法により、ALC試験板の表面に塗布量が0.5Kg/m2 となるように塗布した後1時間放置し、次いでケイ酸リチウム水溶液をローラー塗布法により、塗布量が0.5Kg/m2 となるように塗布した。その後、実施例と同様にセメント系塗材を塗布した後、その上にウレタンゴム系の塗料を塗布することにより、改修作業を完成した。
このようにして得られた改修済みALC試験板を評価した結果、表面引張り強度は0.42〜0.44N/mm2 と、初期の表面強度(0.45〜0.60N/mm2 )に比べてやや低く、ケイ酸リチウム水溶液の浸透深さは4.0〜4.3mmと実施例に及ばなかった。
以上の実施例・比較例から明らかなように、本発明によれば、劣化したALCパネルの表面に水溶性樹脂エマルジョン溶液を塗布することにより、これをALCパネルの表面亀裂部からALC母材の内部深くまで容易に浸透させることができ、その結果ALCパネルの表面強度を初期強度と同等程度にまで復元することができる。また、本発明によれば、比較例に3に示した従来例のようにアルカリ水溶液を使用することがないため、安全かつ優れた作業性のもとに、ALCパネルの改修を効率的に行うことができる。また、前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の硬化速度は、比較例で用いたケイ酸塩系のアルカリ溶液より早いため、改修作業効率も向上する。
以上説明したように、本発明によれば、劣化により低下したALCパネルの表面引張り強度を初期強度と同等程度にまで効率的に復元することにより、建物の長期耐用年数を向上することができ、建築分野に対して与える貢献度が極めて大きいといえる。

Claims (8)

  1. 表面が劣化した軽量気泡コンクリートパネルを改修するに際し、この軽量気泡コンクリートパネルの表面を2〜15N/mm2 の高水圧で洗浄する第1工程と、この第1工程後に前記軽量気泡コンクリートパネルの表面に水溶性樹脂エマルジョン溶液を塗布する第2工程とを順次行うことを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
  2. 前記第2工程終了後に、前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面に塗料を塗布することを特徴とする請求項1に記載の軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
  3. 前記第2工程終了後に、前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布面に下地調整塗材を塗布する第3工程と、この第3工程終了後に、前記下地調整塗材の塗布面に塗料を塗布する第4工程とを順次行うことを特徴とする請求項1または2に記載の軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
  4. 前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の樹脂成分が、エチレン・酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂およびウレタン樹脂から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
  5. 前記水溶性樹脂エマルジョン溶液における分散樹脂の粒子径が1μm以下であり、かつこの水溶性樹脂エマルジョン溶液の粘度が2×10-2〜1×10-4Pa・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
  6. 前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の樹脂固形分濃度が2〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
  7. 前記水溶性樹脂エマルジョン溶液がさらに無機系または有機系の染料または着色剤を1×10-4〜5重量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
  8. 前記水溶性樹脂エマルジョン溶液の塗布量が、0.2〜2.0Kg/m2 であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法。
JP2004033049A 2004-02-10 2004-02-10 軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法 Expired - Fee Related JP4364003B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033049A JP4364003B2 (ja) 2004-02-10 2004-02-10 軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033049A JP4364003B2 (ja) 2004-02-10 2004-02-10 軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005226231A true JP2005226231A (ja) 2005-08-25
JP4364003B2 JP4364003B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=35001170

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004033049A Expired - Fee Related JP4364003B2 (ja) 2004-02-10 2004-02-10 軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4364003B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008087979A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd Alc構造物の補修方法
JP2010084454A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Konishi Co Ltd 下塗り材を用いたコンクリート構造物のひび割れ補修工法
JP2011241589A (ja) * 2010-05-18 2011-12-01 Showa Denko Kenzai Kk 吸水調整材
JP2012012264A (ja) * 2010-07-02 2012-01-19 Toa Kogyo Kk 多孔質パネルの表面加工装置及び多孔質パネルの表面加工方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008087979A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd Alc構造物の補修方法
JP2010084454A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Konishi Co Ltd 下塗り材を用いたコンクリート構造物のひび割れ補修工法
JP2011241589A (ja) * 2010-05-18 2011-12-01 Showa Denko Kenzai Kk 吸水調整材
JP2012012264A (ja) * 2010-07-02 2012-01-19 Toa Kogyo Kk 多孔質パネルの表面加工装置及び多孔質パネルの表面加工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4364003B2 (ja) 2009-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100956489B1 (ko) 콘크리트 구조물에 대한 폴리우레아 방수 코팅공법
KR100947460B1 (ko) 폴리우레아 콘크리트 구조물에 대한 방수 코팅공법
CN107386678A (zh) 一种修复混凝土地坪的施工方法
KR101468017B1 (ko) 건물 외벽 보수 및 보강 공법
JP4364003B2 (ja) 軽量気泡コンクリートパネルの表面改修方法
US8898994B1 (en) Method for sealing wood subfloors
KR102076259B1 (ko) 콘크리트 건물의 박락 부위 또는 균열 부위 보수용 보수유닛 및 그 보수유닛을 이용한 박락 부위 또는 균열 부위 보수방법
JP2005193142A (ja) コンクリート構造物の表面被覆方法、コンクリート構造物の表面被覆構造
AU2015224401A1 (en) Textile reinforced membranes
KR20160100117A (ko) 콘크리트 바닥의 친환경 표면강화 시공방법
EP3492672A1 (en) Ceiling repair method and wall repair method
KR101088315B1 (ko) 복합형 방수 도막 시공 방법
CN113719149A (zh) 一种用于木构件的广漆修缮工艺
JP5875357B2 (ja) 模様面の形成方法
JP3155063B2 (ja) 床用シートの製造法及び床材の施工方法
CN110670843A (zh) 环氧树脂自流平地坪的施工方法
JP2006291561A (ja) サイディングボード面へのコンクリート打ち放し仕上げ方法
RU2795923C1 (ru) Способ ремонта фасада кирпичного здания
JPH1121184A (ja) コンクリート膜養生剤、及びそれを用いたコンクリートの養生方法
JP4393488B2 (ja) モルタル等建築物・造形物の表層剥落防止・防水工法
KR102515493B1 (ko) 액상에멀젼과 광물계 혼합분체를 이용한 옥상방수재 및 상기 옥상방수재를 이용한 시공방법
JP2007331974A (ja) 軽量気泡コンクリートパネルの表面処理方法
JP2002161625A (ja) 建築物基礎梁部表面の仕上工法
JP3626126B2 (ja) 乾式外装下地の化粧仕上げ工法
JP2007105608A (ja) 塗膜形成方法および塗膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061023

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090817

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090818

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120828

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120828

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130828

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees