JP2006291561A - サイディングボード面へのコンクリート打ち放し仕上げ方法 - Google Patents

サイディングボード面へのコンクリート打ち放し仕上げ方法 Download PDF

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喜佳 沖野
Kazumitsu Hirabayashi
一光 平林
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Abstract

【課題】 現場施工におけるセメント系サイディングボードの表面に仕上げや改修を施すためのコンクリート打ち放し仕上方法を提供する。
【解決手段】 セメント系サイディングボード面に浸透性の吸水防止材による防水層を施し、該サイディングボード面のジョイント部を繊維強化ポリマーセメントモルタルで充填してボード面を平坦化した後、該平坦化サイディングボードに繊維強化ポリマーセメントモルタルを用いてメッシュ体を貼り付け一体化させてサイディングボード面を強化する処理を施し、さらに、該処理面に擬似Pコン用両面糊及び離型紙付き型枠を設置した状態でコンクリート色のポリマーセメントモルタルを塗布硬化し、しかる後に型枠を取り除き、ポリマーセメント硬化面全面にクリヤー仕上げ材を塗布乾燥ことによってコンクリート打ち放し仕上げ面を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、現場施工により建築物の壁面仕上げ加工や壁面改修を行うためのコンクリート打ち放し仕上げ方法に関する。
近年、住宅の外壁は、現場施工のRC、ラスモルタル仕上げ等の湿式工法から乾式工法であるPC、サイディングボードへと変わりつつある。その仕上げ面も工場のラインで生み出される意匠性形状のものや焼付け塗装仕上げなど様々なものがある。従来の主流であったサイディングボード壁面の場合、その仕上げ、改修が必要な場合には、塗料、仕上げ塗材などによって施工することが行われてきている。
一方、近年、その重厚さが好まれ、需要が多くなってきている打ち放しコンクリート壁としては、工場生産されたボードタイプのものも開発されている(非特許文献1)。しかし、重厚さが好まれ、需要が多くなってきている打ち放しコンクリートの現場施行には高度な技術を要し、しかもやり直しがきかないという難しさがあるため、既設の壁面の補修のために打ち放しコンクリート壁面の現場施行技術が適用されることは少ないし、特にサイディングボード壁面のような他の材料による壁面を補修や改修するために現場施行によるコンクリート打ち放し仕上げ工法が適用されている例は知らない。事実、サイディングボードは、工場塗装の他に塗料、仕上塗材等が現場で施工されているケースも多く、このような壁面へのコンクリート打ち放し仕上げ工法の適用は、壁面に存在する凹部であるジョイント部分に起因するクラック発生などの心配もあり、難しいものがあった。
「FINEX」vol.17,No.98,p32,2005.1/2
しかし、物の本質を率直に表現する現代建築の手法の一つである打ち放しコンクリート面の持つ量感の美しさと形成される空間が醸し出す自然感から、建築物の外壁等を打ち放しコンクリート壁面とすることの要望は多く、すでに施行されているサイディングボード壁面を打ち放しコンクリート仕上げ壁面に改修する需要も少なくない。そこで、サイディングボード面に直接コンクリート打ち放し仕上げを簡単に行うことできれば上記の需要に応えることが可能であるが、簡単な現場施行でサイディングボード面をコンクリート打ち放し壁面に改修できる技術は未だ提案されていない。それ故、本発明は、格別の熟練技術を要することなく、現場施行によってセメント系等の窯業系サイディングボード表面へコンクリート打ち放し仕上げを行うことができる工法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究した結果、既設のサイディングボード面に浸透性の吸水防止材による防水層を施し、該サイディングボード面のジョイント部をポリマーセメントモルタルで充填してボード面を平坦化した後、該平坦化サイディングボード面に繊維強化ポリマーセメントモルタルを用いてメッシュ体を貼り付け一体化させてサイディングボード面を強化する処理を施し、さらに、該処理面に擬似Pコン用型枠を設置した状態でコンクリート色のポリマーセメントモルタルを塗布硬化し、しかる後に型枠を取り除くことによってコンクリート打ち放し仕上げ面を形成することが可能であることを見出し、本発明を完成させたものである。本発明は、以下の発明を包含する。
(1)窯業系サイディングボード面の持っている通気性を損なうことなく防水性を付与することができる浸透性の吸水防止材を塗布浸透させる工程、吸水防止材を塗布浸透させたサイディングボード面における凹部に繊維強化ポリマーセメントモルタルを充填した後、該サイディングボード面に繊維強化ポリマーセメントモルタルを用いて補強用メッシュ体を貼り付け硬化させる工程、該繊維強化ポリマーセメントモルタルによるサイディングボード補強面における墨出し位置に両面糊及び離型紙付き型枠を貼り付け、該型枠の高さまでコンクリート色のポリマーセメントモルタルを全面に塗り付けて硬化させた後、型枠を取り外して擬似Pコンを形成する工程、該擬似Pコンが形成されているポリマーセメント硬化面全面にクリヤー仕上材を塗布乾燥する工程、を順次実施することを特徴とする窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
(2)前記繊維強化ポリマーセメントモルタルは、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維類及びビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維から選ばれる一種以上を含有する(1)記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
(3)前記補強用メッシュ体は、ビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維等から選ばれる少なくとも1種の繊維材料によって形成されている三軸タイプのメッシュ体であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
(4)前記浸透性吸水防止剤は、エマルション型、アルコール型、溶剤型等である吸水防止剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
(5)前記クリヤー仕上げ材は、アクリルシリコン樹脂、フッ素系樹脂等のクリヤー材乃至カラークリヤー材から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(4)のいずれかに記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
(6)前記擬似Pコンは、前記補強用メッシュ体貼付面にPコン作成箇所を墨だし後、両面糊及び離型紙つき型枠を貼り付け、該型枠の高さまでコンクリート色に調合したポリマーセメント系モルタル材を塗り付け、硬化した後、型枠を外して形成されることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
本発明の方法によれば、外壁仕上げ材として多く採用されているサイディングボード壁面に、素材の持つ量感の美しさと空間から自然環境が演出される高い意匠性と高耐久性を有する打ち放しコンクリート壁面を、高度の熟練技術を要することのない現場施行による湿式仕上げ方法によって形成することが可能となる。
本発明の施行対象は、タイル壁、塗り壁、吹き付け壁、塗料仕上げ壁等であり、特に制限はないが、最近、住宅外壁の主流をなしているサイディングボード壁面に対して特に有効である。
本発明の方法で使用する浸透性吸水防止材としては、エマルション形、アルコール形、溶剤形等が使用可能であるが、ポリマーセメントモルタルとの付着性及び環境問題を考慮するとエマルション型のシラン系の浸透性吸水防止材を使用することが望ましい。なお、本発明の方法が外壁等の改修方法として適用される場合は、通常、外壁部は下地に防水層が存在するので、浸透性吸水防止材による処理は省くことができる。
本発明の方法でサイディングボード面のジョイント部の充填に使用する繊維強化ポリマーセメントモルタルは、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維類及びビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維から選ばれる一種以上を含有するものであり、特に炭素繊維を含有するものであることが好ましい。
本発明の方法で使用する補強用のメッシュ体としては、ビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維などから選ばれるものが使用できるが、経済性、取り扱い易さからビニロン繊維のメッシュ体が最も良く、その形状も三軸タイプのものが繊維強度、施工性の点で好ましい。
本発明の方法でメッシュ体の貼付用に使用する繊維強化ポリマーセメントモルタルは、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維類及びビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維等を含有するものが使用できる。なかでも、ポリマーセメント成分との混和安定性に優れ、付着性に優れる炭素繊維強化ポリマーセメントモルタルが撓み性に優れ、優れた仕上となることから好ましい。
本発明の方法において、コンクリート打ち放し仕上げ面における擬似Pコン部分の作成は、Pコン作製箇所を墨だし後、両面糊&離型紙付き型枠φ20mm厚み2〜5mmを貼り付けておき、その高さまでコンクリート色に調合したポリマーセメント系モルタル材を塗りつけ、モルタル材硬化後、型枠をはずして擬似Pコンとすることによって行われる。
本発明の方法の場合、擬似Pコンが作成されている状態の仕上げ段階までだけでは、二次エフロの防止、中性化防止、塩害防止、凍害防止等の点から若干耐久性に難がある。そこで、本発明の方法では、擬似Pコンが形成されているポリマーセメント硬化面全面にシリコン樹脂系、フッソ樹脂系などの耐久性のあるクリヤー仕上材を塗布乾燥する最終処理を行っている。
本発明の方法で使用するクリヤー仕上材としては、溶剤系、弱溶剤系、エマルション系などの種類がある。これらのうち、環境配慮の観点からエマルション系のクリヤー材又はカラークリヤー材などの仕上材による仕上げが望ましい。また、この仕上げ材としては艶あり、艶消しのいずれも採用可能である。
本発明の方法におけるクリヤー仕上げは、高耐候性の水系アクリルシリコン樹脂、フッソ樹脂等と顔料分6%程度まで含有するクリヤー又はカラークリヤー材を塗布し、下地の着色肌を生かしながら、且つムラを均一化させ、艶を出したり、消したりする方法を採用して行われる。この仕上げ方法は、塗料系の均一化された仕上げと違い、不均一、かつ打ち放し風の仕上がりとなり、かつ耐久性を向上させることが出来る。
<第一工程>
セメントボード板は、MRCデラクリート(株)社製のデラクリート板を用い、これに恒和化学工業(株)社製のシラン系吸水防止材(商品名:コンフィックスSM-7W)を塗布し、7日間養生後、JIS A 69162よりデラクリート板の吸水性、透水性、吸水防止剤の浸透深さなどを測定した。結果を表1に示す。表1に示されるように、本発明の第一工程における防水性付与処理は、通気性を損なうことなく防水性が付与されているデラクリート板を形成することができる。
Figure 2006291561
<第二工程>
別に、MRCデラクリート(株)社製デラクリート板に恒和化学工業(株)社製のシラン系吸水防止材(商品名:コンフィックスSM−7W)を塗布し、1日養生した。翌日、炭素繊維入りポリマーセメントモルタル(商品名:スーパーパウダー、コーティングコーポレーション社製)を用い、三軸メッシュ(商品名:KTV7446 100、日東紡績社製)を貼り付けて図1に示す層構成のうち、「デラクリート板/コンフィックスSM−7W/三軸メッシュ」の層構成を有する表面強化デラクリート板を形成し、7日間養生した。この板を用い、図−2及び図−3に示す要領で日本道路公団 JHS424−2004「はく落防止の押し抜き試験方法」により押し抜き試験を実施した。結果を表2に示す。表2から明らかなように、三軸メッシュで補強されたデラクリート板の強度は飛躍的に増強されている。

Figure 2006291561
<第三工程>
上記第二工程で製造された強化デラクリート板に、離型紙付き型ワクで擬似Pコンを貼り付け、該擬似Pコンの高さまでコンクリート色のポリマーセメントモルタル〔商品名:セメンシャス#2000、コンクリート色、恒和化学工業(株)社製〕を、上記擬似Pコンの高さまで全面に塗り付けて2日間養生した。養生後、型ワクを取り外して擬似Pコンを形成した。
<第四工程>
第三工程で得られた擬似Pコンが形成されている強化デラクリート板のコンクリート色のポリマーセメントモルタル硬化層の全面に、保護仕上材〔商品名:ビフレッシュシリコンカラークリヤー及びビフレッシュシリコンクリヤー、恒和化学工業(株)社製〕を塗布して目的とする塗板を得た(図−4参照)。
仕上がった塗板の耐久性は、キセノンウエザオメーターにより促進耐候性試験を行った。試験結果は、図−5に示すとおり、本発明品は、従来品に比べて耐久性に優れ、その耐久性の優秀さ時間経過に伴ってさらに顕著となるものであった
本発明の第一〜第三工程で形成される強化サイディングボードの積層構造を示す図。 図1の強化サイディングボードの押し抜き試験のための試験体を説明する図。 図2の試験体の押し抜き試験の要領を説明する図。 塗板の仕上がり状態を示す図。 キセノン耐候性 試験結果を示す図。

Claims (6)

  1. 窯業系サイディングボード面の持っている通気性を損なうことなく防水性を付与することができる浸透性の吸水防止材を塗布浸透させる工程、吸水防止材を塗布浸透させたサイディングボード面における凹部に繊維強化ポリマーセメントモルタルを充填した後、該サイディングボード面に繊維強化ポリマーセメントモルタルを用いて補強用メッシュ体を貼り付け硬化させる工程、該繊維強化ポリマーセメントモルタルによるサイディングボード補強面における墨出し位置に両面糊及び離型紙付き型枠を貼り付け、該型枠の高さまでコンクリート色のポリマーセメントモルタルを全面に塗り付けて硬化させた後、型枠を取り外して擬似Pコンを形成する工程、該擬似Pコンが形成されているポリマーセメント硬化面全面にクリヤー仕上材を塗布乾燥する工程、を順次実施することを特徴とする窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
  2. 前記繊維強化ポリマーセメントモルタルは、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維類及びビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維から選ばれる一種以上を含有する請求項1記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
  3. 前記補強用メッシュ体は、ビニロン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維から選ばれる少なくとも1種によって形成されている三軸タイプのメッシュ体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
  4. 前記浸透性吸水防止剤は、エマルション型、アルコール型、溶剤型から選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
  5. 前記クリヤー仕上げ材は、アクリルシリコン樹脂、フッ素系樹脂等のクリヤー材乃至カラークリヤー材から選ばれる請求項1〜4のいずれかに記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
  6. 前記擬似Pコンは、前記補強用メッシュ体貼付面にPコン作成箇所を墨だし後、両面糊及び離型紙つき型枠を貼り付け、該型枠の高さまでコンクリート色に調合したポリマーセメント系モルタル材を塗り付け、硬化した後、型枠を外して形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の窯業系サイディングボード面のコンクリート打ち放し仕上げ方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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