JP6424577B2 - 電子写真感光体、電子写真画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、感光層の上に表面層を備えた電子写真感光体に関し、その電子写真感光体を備えた電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
特許文献1(特開2013−130603号公報)には、電子写真感光体の表面層にp型半導体粒子を添加することにより、電子写真感光体の耐摩耗性が向上し、また、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好であることが記載されている。
特開2013−130603号公報
しかしながら、今般、電子写真感光体の表面層にp型半導体粒子を添加するとカブリが発生し易くなることが分かった。本発明では、耐摩耗性を高く維持でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好であり、さらには、カブリ耐性に強い電子写真感光体の提供を目的とする。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と導電性支持体の上に順に設けられた感光層及び表面層とを備える。表面層は、p型半導体粒子と、二酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子、二酸化ケイ素(SiO2)粒子及び酸化アルミニウム(Al23)粒子のうちの少なくとも1つである第1粒子とを含む。
表面層において、第1粒子の含有量は、p型半導体粒子の含有量の0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましい。「第1粒子の含有量」とは、二酸化ジルコニウム粒子の含有量と二酸化ケイ素粒子の含有量と酸化アルミニウム粒子の含有量との合計を意味する。例えば、表面層が二酸化ジルコニウム粒子を含むが二酸化ケイ素粒子及び酸化アルミニウム粒子を含まない場合、二酸化ケイ素粒子の含有量及び酸化アルミニウム粒子の含有量は共に0質量部であるので、「第1粒子の含有量」は二酸化ジルコニウム粒子の含有量となる。
第1粒子は、二酸化ジルコニウム粒子であることが好ましい。また、表面層は、硬化性化合物の硬化により得られる成分をさらに含むことが好ましい。
p型半導体粒子は、金属酸化物からなることが好ましく、下記一般式(1)で表される金属酸化物及び下記一般式(2)で表される金属酸化物のうちの少なくとも1つからなることがより好ましい。下記一般式(1)におけるM1は周期律表第13族元素を表す。下記一般式(2)におけるM2は周期律表第2族元素を表す。
Cu(M1)O2 ・・・一般式(1)
(M2)Cu22・・・一般式(2)。
本発明の電子写真画像形成装置は、本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部と、電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する露光部と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部とを備える。
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真画像形成装置に着脱可能に装着され、本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部と、電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する露光部と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部とを備える。
本発明の電子写真感光体では、耐摩耗性を高く維持でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好であり、さらには、カブリ耐性に強い。
本発明の一実施形態の電子写真感光体の模式断面図である。 本発明の一実施形態の電子写真画像形成装置の構成を示す断面図である。
以下、本発明について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[電子写真感光体の構成]
図1は、本発明の一実施形態の電子写真感光体の模式断面図である。電子写真感光体100は、導電性支持体101と、導電性支持体101の上に順に設けられた感光層103及び表面層106とを備える。電子写真感光体100は、導電性支持体101と感光層103との間に中間層102をさらに備えることが好ましい。また、感光層103は、中間層102の上に設けられた電荷発生層104と、電荷発生層104の上に設けられた電荷輸送層105とを有することが好ましい。以下では、表面層106を示した後に、表面層106以外の電子写真感光体100の構成を示す。
<表面層の構成>
表面層106は、樹脂から構成され、p型半導体粒子と、二酸化ジルコニウム粒子、二酸化ケイ素粒子及び酸化アルミニウム粒子のうちの少なくとも1つである第1粒子とを含む。表面層106がp型半導体粒子を含むので、電子写真感光体100の耐摩耗性が向上し、また、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好となる。
表面層106が第1粒子を含むので、カブリ耐性に強くなる。このような効果が得られる理由としては、断定できないが、第1粒子の抵抗が高いことが考えられる。
このような表面層106の厚さは、0.2μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上6μm以下であることがより好ましい。以下では、第1粒子を説明した後に、表面層106を構成する樹脂とp型半導体とを順に説明する。
(第1粒子)
第1粒子は、1nm以上100nm以下の数平均一次粒径を有することが好ましく、2nm以上90nm以下の数平均一次粒径を有することがさらに好ましい。
次に示す方法にしたがって、第1粒子の数平均一次粒径を算出できる。まず、走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製の品番「JSM−7500F」)を用いて、第1粒子の拡大写真(倍率が100000倍)を撮影する。撮影された拡大写真の中から第1粒子の拡大写真を300個ランダムに選び、選ばれた拡大写真をスキャナーに取り込む。スキャナーに取り込まれた写真画像(凝集粒子を除く)と自動画像処理解析装置(例えば、株式会社ニレコ製の品番「LUZEX AP」、ソフトウエア:Ver.1.32)とを用いて、第1粒子の数平均一次粒径を算出する。
第1粒子は、二酸化ジルコニウム粒子であることが好ましい。これにより、画像メモリーがさらに良好となる。
第1粒子の含有量は、p型半導体粒子の含有量の0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、カブリ耐性にさらに強くなる。第1粒子の含有量は、p型半導体粒子の含有量の0.07質量%以上4.5質量%以下であることがより好ましく、p型半導体粒子の含有量の0.1質量%以上4質量%以下であることがさらに好ましい。蛍光X線分析法により、表面層106が第1粒子を含んでいるか否か、第1粒子の材料、及び、第1粒子の含有量などを確認できる。このような第1粒子の作製方法は特に限定されず、市販品を用いても良い。
(表面層を構成する樹脂)
表面層106を構成する樹脂としては、電子写真感光体の表面層を構成する樹脂として従来公知の樹脂を使用できる。表面層106を構成する樹脂は、硬化性化合物の硬化(例えば熱硬化又は光硬化など)により得られる成分を含むことが好ましいが(例えば硬化性樹脂)、上記成分を含まない樹脂であっても良いし、上記成分を含む樹脂と上記成分を含まない樹脂との混合であっても良い。上記成分を含まない樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、又は、シリコーン樹脂等が挙げられる。
「硬化性化合物」とは、上記硬化によりポリマー化されるモノマー又はオリゴマーを意味し、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。「ラジカル重合性化合物」とは、熱照射、紫外線照射、電磁波照射又は電子線照射などによりラジカル重合反応が起こり、その結果、ポリマー化される化合物を意味する。そのため、硬化性化合物がラジカル重合性化合物である場合には、硬化後の樹脂は、繰り返し単位として硬化性化合物を含むこととなる。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性反応基(上記ラジカル重合反応に寄与する官能基)として、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、アクリロイル基同士、メタクリロイル基同士、又は、アクリロイル基とメタクリロイル基とがラジカル重合されて、ポリマー化される。このようなラジカル重合性化合物としては、例えば、下記化学式(1)〜(15)で表される化合物を使用できる。なお、下記化学式(1)〜(15)において、Rは、下記化学式(16)で表されるアクリロイル基を表し、R’は下記化学式(17)で表されるメタクリロイル基を表す。
Figure 0006424577
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Figure 0006424577
(p型半導体粒子)
「p型半導体粒子」とは、電荷を輸送するキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体粒子を意味し、つまり、正孔が多数キャリアとなる半導体粒子を意味する。
(p型半導体粒子の材料)
本実施形態で使用するp型半導体粒子は、金属酸化物からなることが好ましく、下記一般式(1)で表される金属酸化物及び下記一般式(2)で表される金属酸化物のうちの少なくとも1つからなることがより好ましい。蛍光X線分析装置を用いてp型半導体粒子の材料を確認できる。
Cu(M1)O2 ・・・一般式(1)
上記一般式(1)において、M1は、周期律表第13族元素を表し、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)又はタリウム(Tl)を表す。その中でも、M1は、アルミニウム、ガリウム及びインジウムのうちの少なくとも1つを表すことが好ましい。上記一般式(1)で表される金属酸化物は、CuAlO2、CuGaO2及びCuInO2のうちの少なくとも1つであることが好ましい。表面層106がこれらのp型半導体粒子を含むことにより、電子写真感光体100の耐摩耗性を高く維持でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)がさらに良好となる。
(M2)Cu22・・・一般式(2)
上記一般式(2)において、M2は、周期律表第2族元素を表し、具体的には、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)を表す。その中でも、M2は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムのうちの少なくとも1つを表すことが好ましい。上記一般式(2)で表される金属酸化物は、MgCu22、CaCu22、SrCu22及びBaCu22のうちの少なくとも1つであることが好ましい。表面層106がこれらのp型半導体粒子を含むことにより、電子写真感光体100の耐摩耗性を高く維持でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)がさらに良好となる。
p型半導体粒子は、1nm以上300nm以下の数平均一次粒径を有することが好ましく、3nm以上100nm以下の数平均一次粒径を有することがさらに好ましい。第1粒子の数平均一次粒径の算出方法と同様の方法にしたがって、p型半導体粒子の数平均一次粒径を算出できる。
p型半導体粒子は、表面層106を構成する樹脂に対して10質量%以上300質量%以下含まれていることが好ましい。これにより、耐摩耗性をさらに高く維持でき、また、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)がさらに良好となる。p型半導体粒子は、表面層106を構成する樹脂に対して20質量%以上200質量%以下含まれていることがより好ましい。
(p型半導体粒子の作製)
このようなp型半導体粒子は、例えば、プラズマ法により作製されることが好ましい。プラズマ法としては、例えば、直流プラズマアーク法、高周波プラズマ法、又は、プラズマジェット法などが挙げられる。
直流プラズマアーク法では、金属合金からなるアノード電極(このアノード電極は消費される)を用いる。カソード電極からプラズマフレームを発生させる。アノード電極の加熱により金属合金を蒸発させ、金属合金の蒸気の酸化且つ冷却によりp型半導体粒子が得られる。
高周波プラズマ法では、ガスを大気圧のもとで高周波誘導放電により加熱したときに発生する熱プラズマを利用する。そのうち、プラズマ蒸発法では、不活性ガスプラズマ(不活性ガスがプラズマ化されたもの)の中心に固体粒子を注入し、固体粒子がプラズマを通過する間に当該固体粒子を蒸発させ、得られた高温の蒸気を急冷して凝縮させることによりp型半導体粒子が得られる。
不活性ガスのアルゴン雰囲気中でアーク放電すると、アルゴンプラズマが得られる。また、2原子分子ガスである水素、窒素又は酸素雰囲気中でアーク放電すると、それぞれ、水素プラズマ、窒素プラズマ又は酸素プラズマが得られる。特に、2原子分子ガスが熱解離して生じた水素プラズマ、窒素プラズマ又は酸素プラズマは、分子状ガスのプラズマに比べて極めて反応性に富んでいるので、不活性ガスのプラズマと区別して反応性アークプラズマとも呼ばれている。このうち、酸素プラズマを用いたp型半導体粒子の作製は、p型半導体粒子を作製する方法として効果的である。
(表面処理されたp型半導体粒子)
本実施形態では、p型半導体粒子は、表面処理剤により表面処理されたものであることが好ましい。表面処理剤は、p型半導体粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応する表面処理剤であることが好ましく、例えば、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤等であることが好ましい。そのため、表面処理前と表面処理後とでは、p型半導体粒子を構成する金属酸化物の組成及びp型半導体粒子の形状(例えばp型半導体粒子の数平均一次粒径)は変わらない。なお、以下では、表面処理されていないp型半導体粒子を単に「p型半導体粒子」と記し、表面処理後のp型半導体粒子を「表面処理されたp型半導体粒子」と記す。
表面処理剤は、反応性有機基を有することがより好ましい。これにより、表面層106の硬度をさらに高めることができる。
反応性有機基を有する表面処理剤は、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤であることが好ましい。ラジカル重合性反応基は、上記硬化性化合物とも反応可能である。そのため、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤を用いてp型半導体粒子の表面処理を行えば、強固な表面層106を形成できる。例えば、表面層106を構成する樹脂が硬化性化合物の硬化により得られる成分を含む(例えば硬化性樹脂)場合、表面処理されたp型半導体粒子と表面層106を構成する樹脂とが硬化反応により結合されることとなる。
ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤は、ビニル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基等のラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。例えば、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、下記S−1〜S−36に記す公知の化合物を使用できる。下記S−1〜S−36に記す公知の化合物以外でも、ラジカル重合性反応基を有するシラン化合物を使用しても良い。表面処理剤としては、これらの化合物を単独で又は二種以上を混合して使用できる。
S−1:CH2=CHSi(CH3)(OCH32
S−2:CH2=CHSi(OCH33
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)(OCH32
S−5:CH2=CHCOO(CH22Si(OCH33
S−6:CH2=CHCOO(CH22Si(OC25)(OCH32
S−7:CH2=CHCOO(CH23Si(OCH33
S−8:CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH22SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH23Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH23SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH22Si(CH3)(OCH32
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH22Si(OCH33
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH23Si(CH3)(OCH32
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OCH33
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH22Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH22SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH23Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH23SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C25)(OCH32
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH33
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC253
S−23:CH2=CHSi(OCH33
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH32
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH33
S−27:CH2=CHCOOSi(OC253
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH33
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC253
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OC253
S−31:CH2=CHCOO(CH22Si(CH32(OCH3
S−32:CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)(OCOCH32
S−33:CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)(ONHCH32
S−34:CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)(OC652
S−35:CH2=CHCOO(CH22Si(C1021)(OCH32
S−36:CH2=CHCOO(CH22Si(CH265)(OCH32
表面処理されたp型半導体粒子は、表面層106を構成する樹脂に対して5体積%以上75体積%以下含まれていることが好ましい。
(表面処理されたp型半導体粒子の作製)
p型半導体粒子と表面処理剤と溶媒とを湿式メディア分散型装置に入れて粉砕させることにより、表面処理されたp型半導体粒子を作製できる。例えば、p型半導体粒子と表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子を含む懸濁液)を粉砕する。これにより、p型半導体粒子の微細化と同時に、p型半導体粒子に対する表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化すると、表面処理剤による表面処理が均一に行われたp型半導体粒子を得ることができる。
このとき、湿式メディア分散型装置には、p型半導体粒子100質量部に対して、0.1〜100質量部の表面処理剤と50〜5000質量部の溶媒とを供給することが好ましい。また、乾式での表面処理により、表面処理されたp型半導体粒子を作製しても良い。
本実施形態における「湿式メディア分散型装置」とは、メディア(粉砕媒体)としてビーズが容器に充填された状態で、回転軸に対して垂直に取り付けられた撹拌ディスクを容器内で高速回転させることにより、p型半導体粒子の凝集体を粉砕し、粉砕後のp型半導体粒子を分散させる装置を意味する。湿式メディア分散型装置の構成としては、p型半導体粒子を十分に分散させた状態で当該p型半導体粒子に対する表面処理を実行可能な構成であれば特に限定されず、縦型又は横型であっても良いし、連続式又は回分式であっても良い。湿式メディア分散型装置としては、例えば、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、又は、ダイナミックミル等を使用できる。これらの装置では、ボール又はビーズ等のメディアを使用して衝撃圧壊、摩擦力、剪断応力、又は、ズリ応力等を発生させ、その結果、p型半導体粒子に対する粉砕と粉砕後のp型半導体粒子の分散とが行われる。
湿式メディア分散型装置で使用するビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール又はフリント石などを原材料としたボールを使用可能であるが、特にジルコン製ボール又はジルコニア製ボールを使用することが好ましい。また、ビーズとしては、通常、直径が1〜2mm程度のボールを使用するが、本実施形態では、直径が0.1〜1.0mm程度のボールを使用することが好ましい。
湿式メディア分散型装置で使用する撹拌ディスク又は容器の内壁の材料には、ステンレス、ナイロン、セラミックなど種々の素材を使用できるが、本実施形態では特にジルコニア又はシリコンカーバイドなどのセラミック素材を使用することが好ましい。
<表面層の形成>
表面層106を構成する樹脂が硬化性化合物の硬化により得られる成分を含む(例えば硬化性樹脂)場合には、次に示す方法にしたがって表面層106を形成できる。
(表面層形成用液体の調製)
まず、溶媒に、硬化性化合物(好ましくはラジカル重合性化合物)とp型半導体粒子(好ましくは、表面処理されたp型半導体粒子)と第1粒子とを加え、表面層形成用液体を調製する。表面層形成用液体は、必要に応じて、公知の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子又は酸化防止剤等をさらに含んでいても良い。
(溶媒)
表面層106の形成に使用される溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、又は、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。
(重合開始剤)
後述の硬化処理では、電子線による開裂反応により硬化反応を行っても良いし、ラジカル重合開始剤の存在下での熱又は光の照射により硬化反応を行っても良い。ラジカル重合開始剤を用いて硬化反応を行う場合には、重合開始剤として熱重合開始剤又は光重合開始剤のいずれも使用でき、また、熱重合開始剤と光重合開始剤との両方を使用しても良い。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)、又は、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられ、過酸化ベンゾイル(BPO(benzoyl peroxide))、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、又は、過酸化ラウロイルなどの過酸化物が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(BASFジャパン株式会社製の品番「IRGACURE 369」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン又は1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤が挙げられる。
また、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、又は、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤を使用しても良い。
また、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、又は、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤を使用しても良い。
また、光重合開始剤としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、又は、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤を使用しても良い。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン株式会社製の品番「IRGACURE 819」)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、又は、イミダゾール系化合物が挙げられる。
光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して使用することもできる。光重合促進効果を有する材料としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、又は、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系化合物、又は、フォスフィンオキサイド系化合物を使用することがより好ましく、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、又は、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する開始剤を使用することがさらに好ましい。
重合開始剤としては上述の重合開始剤を単独で又は二種以上混合して使用できる。重合開始剤は、硬化性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上40質量部以下添加されることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下添加されることがより好ましい。
(滑剤粒子)
滑剤粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を使用できる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、又は、これらの共重合体が挙げられる。滑剤粒子としては、上述のフッ素原子含有樹脂粒子を単独で又は二種以上混合して使用でき、四フッ化エチレン樹脂又はフッ化ビニリデン樹脂を用いることがより好ましい。
(塗膜の形成)
調製された表面層形成用液体を、公知の方法により感光層103の上面に塗布した後、自然乾燥又は熱乾燥させる。
表面層形成用液体の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、又は、円形量規制型塗布法などが挙げられる。中間層形成用液体の塗布方法(後述)、電荷発生層形成用液体の塗布方法(後述)、及び、電荷輸送層形成用液体の塗布方法(後述)についても、同様のことが言える。円形量規制型塗布方法については、例えば特開昭58−189061号公報又は特開2005−275373号公報などに記載されている。
本実施形態では、塗膜を乾燥させるタイミングは、活性線(後述)の照射条件と組み合わせて適宜選択されることが好ましい。例えば、活性線の照射前後において塗膜を乾燥させても良いし、活性線の照射中に塗膜を乾燥させても良い。
塗膜の乾燥条件は、塗膜に含まれる溶媒の種類、又は、塗膜の厚さなどにより適宜選択されることが好ましい。塗膜の乾燥温度は、室温以上180℃以下であることが好ましく、80℃以上140℃以下であることがより好ましい。また、塗膜の乾燥時間は、1分以上200分以下であることが好ましく、5分以上100分以下であることがより好ましい。このような条件で塗膜を乾燥させることにより、形成される表面層106に含まれる溶媒量を20ppm以上75ppm以下に制御できる。
(塗膜の硬化)
表面層形成用液体の塗布により形成された塗膜に対して硬化処理を行う。これにより、感光層103の上面に表面層106が形成される。
硬化処理では、塗膜への活性線の照射によりラジカルを発生させて重合させ、且つ、架橋反応により分子間又は分子内で架橋結合を形成して硬化させ、これにより、硬化性樹脂を形成することが好ましい。活性線としては、例えば、紫外線又は可視光などの電磁波、又は、電子線が挙げられ、使い易さ等の見地から紫外線を使用することがより好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生させる光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、又は、紫外線LED(light emitting diode)などを使用できる。紫外線の照射条件は光源の種類により異なるが、紫外線の照射量は、1mJ/cm2以上20mJ/cm2以下であることが好ましく、5mJ/cm2以上15mJ/cm2以下であることがより好ましい。また、紫外線光源の出力電圧は、0.1kW以上5kW以下であることが好ましく、0.5kW以上3kW以下であることがより好ましい。
電子線源としては、特に制限なく使用できる。電子線照射用の電子線加速機としては、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものを使用することが好ましい。電子線照射時の加速電圧は、100kV以上300kV以下であることが好ましい。吸収線量は、0.005Gy以上100kGy以下(0.5Mrad以上10Mrad以下)であることが好ましい。
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間以上であることが好ましい。具体的には、活性線の照射時間は、0.1秒以上10分以下であることが好ましく、硬化効率又は作業効率の観点から1秒以上5分以下であることがより好ましい。
<導電性支持体>
導電性支持体101は、導電性を有するのであれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛又はステンレスなどの金属をドラム状又はシート状に成形したもの、アルミニウム箔又は銅箔などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム又は酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、又は、金属、プラスチックフィルム又は紙などに導電性物質を単独又はバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けたものなどが挙げられる。
<中間層>
中間層102は、導電性支持体101と感光層103との間に設けられ、バリア機能と接着機能とを有する。中間層102は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン又はゼラチンなどのバインダー樹脂が公知の溶媒に溶解されてなる液体(中間層形成用液体)を用いて浸漬塗布法などにより形成されることが好ましい。バインダー樹脂としては、アルコール可溶性のポリアミド樹脂を使用することが好ましい。このような中間層102の厚さは、0.1μm以上15μm以下であることが好ましく、0.3μm以上10μm以下であることがより好ましい。
中間層102は、抵抗の調整という目的で、各種導電性粒子又は各種金属酸化物粒子などの無機粒子を含むことが好ましい。無機粒子としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、又は、酸化ビスマス等からなる粒子が挙げられ、また、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ、又は、酸化ジルコニウム等からなる粒子が挙げられる。無機粒子としては、これらの粒子を単独又は2種以上混合して使用できる。これらの粒子を2種以上混合して使用する場合には、固溶体の形態又は融着の形態をとってもよい。無機粒子は、数平均一次粒径が0.3μm以下であることが好ましく、数平均一次粒径が0.1μm以下であることがより好ましい。
中間層102の形成に使用可能な溶媒(中間層形成用液体に含まれる溶媒)としては、例えば、上記無機粒子を良好に分散させ、且つ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものであることが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、又は、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類を用いることが好ましい。これらのアルコール類は、バインダー樹脂として好適なポリアミド樹脂に対して良好な溶解性を有し、また、中間層形成用液体に良好な塗布性能を付与する。
電子写真感光体100の保存性と無機粒子の分散性とを向上させるためには、上記溶媒に対して助溶剤を併用することが好ましい。好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、又は、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
中間層形成用液体におけるバインダー樹脂の濃度は、中間層102の厚さ又は中間層形成用液体の塗布方法に応じて適宜選択されることが好ましい。無機粒子を中間層形成用液体に分散させるときには、無機粒子は、バインダー樹脂100質量部に対して、20質量部以上400質量部以下添加されることが好ましく、50質量部以上200質量部以下添加されることがより好ましい。
無機粒子の分散手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、又は、ホモミキサー等が挙げられるが、これらに限定されない。
中間層形成用液体からなる塗膜を乾燥させる方法としては、中間層形成用液体に含まれる溶媒の種類又は中間層102の厚さなどに応じて適宜選択されることが好ましいが、熱乾燥であることがより好ましい。
<感光層>
感光層103は、電荷発生機能と電荷輸送機能との両機能を有する単層で構成されていても良いが、電荷発生層104と電荷発生層104の上に設けられた電荷輸送層105とを有することが好ましい。感光層103が電荷発生層104と電荷輸送層105とを有することにより、電子写真感光体100の繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を防止でき、また、電子写真特性を目的に合わせて制御できる。
(電荷発生層)
電荷発生層104は、電荷発生物質とバインダー樹脂とを含むことが好ましく、電荷発生物質がバインダー樹脂の溶液に分散されてなる分散液(電荷発生層形成用液体)を中間層102の上面に塗布して形成されることが好ましい。このような電荷発生層104の厚さは、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性又は電荷発生物質とバインダー樹脂との混合割合等により異なるため一概に言えないが、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.05μm以上3μm以下であることがより好ましい。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド又はダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノン又はアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ又はチオインジゴ等のインジゴ顔料、又は、フタロシアニン顔料等が挙げられ、これらに限定されない。電荷発生物質としては、これらを単独又は公知のバインダー樹脂に分散させた形態で使用できる。
バインダー樹脂としては、公知の樹脂を使用でき、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、又は、メラミン樹脂などを使用でき、これらの樹脂のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体樹脂、又は、塩化ビニルと酢酸ビニルと無水マレイン酸との共重合体樹脂)を使用しても良い。また、バインダー樹脂としては、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂等を使用しても良く、特に限定されない。
電荷発生物質は、バインダー樹脂100質量部に対して、1質量部以上600質量部以下添加されていることが好ましく、50質量部以上500質量部以下添加されていることがより好ましい。
電荷発生層104は、次に示す方法にしたがって形成されることが好ましい。まず、分散機を用いて、バインダー樹脂の溶液(この溶液では、バインダー樹脂が溶媒に溶解している)に電荷発生物質を分散させる。このようにして、電荷発生層形成用液体が調製される。次に、塗布機を用いて電荷発生層形成用液体を中間層102の上面に一定の厚さで塗布した後、形成された塗膜を乾燥させる。このようにして、電荷発生層104を形成できる。なお、電荷発生層形成用液体の塗布前に電荷発生層形成用液体を濾過して異物又は凝集物を濾別することが好ましい。これにより、画像欠陥の発生を防止できる。
バインダー樹脂を溶解させるための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、又は、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。
電荷発生物質の分散手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、又は、ホモミキサー等が挙げられるが、これらに限定されない。
(電荷輸送層)
電荷輸送層105は、少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含むことが好ましく、電荷輸送物質がバインダー樹脂の溶液に溶解されてなる溶液(電荷輸送層形成用液体)を電荷発生層104の上面に塗布して形成されることが好ましい。このような電荷輸送層105の厚さは、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性又は電荷輸送物質とバインダー樹脂との混合割合等により異なるため一概に言えないが、5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、又は、ポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられる。電荷輸送物質としては、これらを単独又は二種類以上混合して使用できる。
バインダー樹脂としては、公知の樹脂を使用でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、又は、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂が好ましい。耐クラック性、耐磨耗性、及び、帯電特性の観点からは、ポリカーボネート樹脂のうち、ビスフェノールA(BPA(bisphenol A))、ビスフェノールZ(BPZ(bisphenol Z))、ジメチルBPA、又は、BPAとジメチルBPAとの共重合体等がより好ましい。
電荷輸送物質は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上500質量部以下添加されていることが好ましく、20質量部以上100質量部以下添加されていることがより好ましい。電荷輸送層105は、例えば特開2000−305291号公報等に記載の公知の酸化防止剤をさらに含んでいても良い。
電荷輸送層105は、次に示す方法にしたがって形成されることが好ましい。まず、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶媒に溶解させて電荷輸送層形成用液体を得る。次に、電荷輸送層形成用液体を電荷発生層104の上面に一定の厚さで塗布した後、形成された塗膜を乾燥させる。このようにして、電荷輸送層105を形成できる。
電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶解させる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、又は、1,3−ジオキソラン等が挙げられが、これらに限定されない。
[電子写真画像形成装置の構成、画像形成方法]
本実施形態の電子写真画像形成装置(以下では単に「画像形成装置」と記すことがある)は、電子写真感光体100と、電子写真感光体100の表面を帯電させる帯電部と、電子写真感光体100の表面に静電潜像を形成する露光部と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部とを備える。本実施形態の画像形成装置が電子写真感光体100を備えているので、電子写真感光体100の耐摩耗性を高く維持でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好となり、カブリ耐性に強くなる。
本実施形態のプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、電子写真感光体100と、電子写真感光体100の表面を帯電させる帯電部と、電子写真感光体100の表面に静電潜像を形成する露光部と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部とを備える。本実施形態のプロセスカートリッジが電子写真感光体100を備えているので、電子写真感光体100の耐摩耗性を高く維持でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好となり、さらには、カブリ耐性に強くなる。以下、図2を参照しながら、具体的に説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置の構成を示す断面図である。図2に示す画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるものであり、4組の画像形成部(プロセスカートリッジ)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状の中間転写体ユニット7と、給紙搬送部21と、定着部24とを備える。装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成部10Yは、イエロー色の画像を形成するものである。画像形成部10Yは、ドラム状の電子写真感光体1Yの周囲に帯電部2Yと露光部3Yと現像部4Yとクリーニング部6Yとが配置されて構成され、一次転写ローラ5Yをさらに有する。
画像形成部10Mは、マゼンタ色の画像を形成するものである。画像形成部10Mは、ドラム状の電子写真感光体1Mの周囲に帯電部2Mと露光部3Mと現像部4Mとクリーニング部6Mとが配置されて構成され、一次転写ローラ5Mをさらに有する。
画像形成部10Cは、シアン色の画像を形成するものである。画像形成部10Cは、ドラム状の電子写真感光体1Cの周囲に帯電部2Cと露光部3Cと現像部4Cとクリーニング部6Cとが配置されて構成され、一次転写ローラ5Cをさらに有する。
画像形成部10Bkは、黒色画像を形成するものである。画像形成部10Bkは、ドラム状の電子写真感光体1Bkの周囲に帯電部2Bkと露光部3Bkと現像部4Bkとクリーニング部6Bkとが配置されて構成され、一次転写ローラ5Bkをさらに有する。
ドラム状の電子写真感光体1Y、ドラム状の電子写真感光体1M、ドラム状の電子写真感光体1C及びドラム状の電子写真感光体1Bkのうちの少なくとも1つとして電子写真感光体100を用いれば、上述の効果(電子写真感光体100の耐摩耗性を高く維持でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好となり、カブリ耐性に強くなる)が得られる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、電子写真感光体1Y、1M、1C、1Bkに形成されるトナー画像の色が異なることを除いては同様に構成されている。そのため、以下では、画像形成ユニット10Yを例に挙げて説明する。
本実施形態では、画像形成ユニット10Yにおいて、少なくとも、電子写真感光体1Yと帯電部2Yと現像部4Yとクリーニング部6Yとが一体化されている。
帯電部2Yは、電子写真感光体1Yに対して一様な電位を与えて電子写真感光体1Yの表面を帯電(例えば負に帯電)させる。帯電部2Yとしては、非接触な帯電器を用いることが好ましく、例えば、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器等のコロナ帯電器を用いることができる。
露光部3Yは、帯電部2Yにより一様な電位が与えられた電子写真感光体1Yの表面に対して、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、これにより、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する。露光部3Yとしては、電子写真感光体1Yの軸方向に発光素子がアレイ状に配列されて構成されたLEDと結像素子(商品名;セルフォック(登録商標)レンズ)とを備えたもの、又は、レーザ光学系などを用いることができる。
現像部4Yは、露光部3Yにより形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。用いるトナーは特に限定されないが、乾式現像剤であることが好ましい。
本実施形態の画像形成装置では、電子写真感光体1Yと帯電部2Yと露光部3Yと現像部4Yとクリーニング部6Yなどがプロセスカートリッジとして一体化されて構成され、このプロセスカートリッジが装置本体Aに対して着脱可能に装着されても良い。また、帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y、転写又は分離器、及び、クリーニング部6Yのうちの少なくとも1つが電子写真感光体1Yとともに一体に支持されてプロセスカートリッジが構成され、そのプロセスカートリッジが装置本体Aに対して着脱可能な単一画像形成ユニットに構成され、その単一画像形成ユニットが装置本体Aのレールなどの案内手段を用いて装置本体Aに対して着脱可能に装着されても良い。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと無端ベルト状の中間転写体ユニット7とを有する筐体8は、支持レール82L、82Rにより、装置本体Aから引き出し可能に構成されている。筐体8では、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。無端ベルト状の中間転写体ユニット7は、図2において感光体1Y、1M、1C、1Bkの左側方に配置されており、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状の中間転写体70と、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkと、クリーニング部6bとを有する。
以下では、図2に示す画像形成装置を用いた画像形成方法について示す。画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkにより形成された各色の画像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状の中間転写体70上に逐次転写される。これにより、合成されたカラー画像が形成される。
給紙カセット20に収容された転写材(例えば普通紙、透明シートなど)Pは、給紙搬送部21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22Dとレジストローラ23とを経て、二次転写ローラ5bに搬送される。二次転写ローラ5bでは、合成されたカラー画像が転写材Pに二次転写され、よって、カラー画像が転写材Pに一括に転写される。合成されたカラー画像が転写材Pに二次転写されると、無端ベルト状の中間転写体70はその転写材Pを曲率分離する。この転写材Pは、定着部24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26に載置される。一方、中間転写体70に付着したトナー(残留トナー)はクリーニング部6bにより除去される。
画像形成中、一次転写ローラ5Bkは、常時、電子写真感光体1Bkの表面に当接している。一方、一次転写ローラ5Y、5M、5Cは、カラー画像形成時にのみ、対応する電子写真感光体1Y、1M、1Cの表面に当接する。また、二次転写ローラ5bは、二次転写ローラ5bを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状の中間転写体70の表面に当接する。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に限定されない。
<実施例1>
次に示す方法にしたがって、電子写真感光体を作製した。まず、円筒形のアルミニウム支持体の表面に切削加工が施された導電性支持体を準備した。
(中間層の形成)
湿式サンドミル(径が0.5mmのアルミナビーズが容器に充填されている)に、ポリアミド樹脂(バインダー樹脂、ダイセル・エボニック株式会社製の品番「X1010」)1.0質量部と、二酸化チタン粒子(テイカ株式会社製の品番「SMT500SAS」)1.1質量部と、エタノール(溶媒)20質量部とを入れ、バッチ式で10時間分散させた。このようにして、中間層形成用液体を得た。
中間層形成用液体からなる膜を、浸漬塗布法により導電性支持体の上面に形成した後、110℃で20分乾燥させた。このようにして、導電性支持体の上面に、厚さ(乾燥後の厚さ)が2μmである中間層が形成された。
(電荷発生層の形成)
中間層の形成で用いた湿式サンドミルと同型の湿式サンドミルに、チタニルフタロシアニン顔料(電荷発生物質、特性X線(Cu−Kα線)を用いたX線回折スペクトルの測定により、少なくとも2θ=27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)20質量部と、ポリビニルブチラール樹脂(バインダー樹脂、電気化学工業株式会社製の品番「#6000−C」)10質量部と、酢酸t−ブチル(溶媒)700質量部と、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン(溶媒)300質量部とを入れ、10時間分散させた。このようにして、電荷発生層形成用液体を得た。
電荷発生層形成用液体からなる膜を、浸漬塗布法により中間層の上面に形成した後、乾燥させた。このようにして、中間層の上面に、厚さ(乾燥後の厚さ)が0.3μmである電荷発生層が形成された。
(電荷輸送層の形成)
中間層などの形成で用いた湿式サンドミルと同型の湿式サンドミルに、下記化学式(18)で表される化合物(電荷輸送物質)150質量部と、ポリカーボネート樹脂(バインダー樹脂、三菱ガス化学株式会社製の品番「Z300」)300質量部と、酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製の品番「Irganox(登録商標)1010」)6質量部と、トルエンとテトラヒドロフランとの混合溶媒((トルエン):(テトラヒドロフラン)=1:9(体積比))2000質量部と、シリコーンオイル(添加剤、信越化学工業株式会社製の品番「KF−54」)1質量部とを入れ、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを上記混合溶媒に溶解させた。このようにして、電荷輸送層形成用液体を得た。
電荷輸送層形成用液体からなる膜を、浸漬塗布法により電荷発生層の上面に形成した後、110℃で60分乾燥させた。このようにして、電荷発生層の上面に、厚さ(乾燥後の厚さ)が20μmである電荷輸送層が形成された。
Figure 0006424577
(p型半導体粒子の作製)
中間層などの形成で用いた湿式サンドミルと同型の湿式サンドミルに、数平均一次粒径が20nmであるCuAlO2(p型半導体粒子)100質量部と、上記S−15で示された化合物(表面処理剤)10質量部と、メチルエチルケトン1000質量部とを入れ、30℃にて6時間混合した。その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズとを濾別し、60℃にて乾燥した。このようにして、表面処理されたp型半導体粒子が得られた。
(表面保護層の形成)
中間層などの形成で用いた湿式サンドミルと同型の湿式サンドミルに、表面処理されたp型半導体粒子162質量部と、ZrO2粒子(東ソー株式会社製の品番「TZ−B30」)0.5質量部と、上記化学式(1)で表された化合物(硬化性化合物)100質量部と、2−ブタノン(溶媒)320質量部とを入れて、10時間分散させた。
次に、上記湿式サンドミルに、テトラヒドロフラン80質量部と、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(重合開始剤、BASFジャパン株式会社製の品番「IRGACURE 819」)8質量部とをさらに入れて、遮光下で混合且つ撹拌した。このようにして、表面層形成用液体を得た。なお、後述のメタルハライドランプからの光を表面層形成用液体に照射するまでは、表面層形成用液体を遮光下で取り扱った。
次に、円形スライドホッパー塗布機を用いて、電荷輸送層の上面に表面層形成用液体を塗布した。形成された塗膜を室温にて20分乾燥させた。その後、塗膜が形成された構造体(導電性支持体の上に中間層と感光層とが順に形成されて構成された構造体)を回転させながら、メタルハライドランプ(出力が500W)からの光を塗膜の表面から100mm離れた位置から塗膜に対して1分間、照射した。このようにして厚さ(乾燥後の厚さ)が3μmの表面層が形成され、よって、本実施例の電子写真感光体が得られた。
<実施例2〜14、比較例1、比較例2>
p型半導体粒子の材料、p型半導体粒子の配合量、第1粒子の材料又は第1粒子の配合量などを表1に示すように変更したことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって電子写真感光体を得た。
<実施例15>
実施例1に記載の方法にしたがって中間層と電荷発生層とを形成した。実施例1に記載の方法にしたがって電荷輸送層形成用液体を調製した後、浸漬塗布法により電荷発生層の上面に電荷輸送層形成用液体からなる膜を形成した。その後、110℃での乾燥を行うことなく、次に示す方法にしたがって表面層形成用液体を調製した。
まず、実施例1に記載の方法にしたがって、表面処理されたp型半導体粒子を作製した。次に、実施例1で用いた湿式サンドミルに、表面処理されたp型半導体粒子162質量部と、ZrO2粒子(東ソー株式会社製の品番「TZ−B30」)0.5質量部と、ポリカーボネート樹脂(バインダー樹脂、三菱ガス化学株式会社製の品番「Z300」)200質量部と、シリカ粒子(シリカの質量に対して25質量%のメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理されたシリカ粒子、このシリカ粒子の粒度分布を個数基準で測定したときのメジアン径D50は31nm)20質量部と、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製の品番「Irganox1010」)20質量部と、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒((テトラヒドロフラン):(トルエン)=4:1(体積比))6000質量部と、シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製の品番「KF−96」)1質量部とを入れ、混合且つ撹拌した。このようにして、表面層形成用液体を得た。
表面層形成用液体からなる膜を、浸漬塗布法により電荷輸送層形成用液体からなる膜の上に形成した後、120℃で70分乾燥させた。このようにして、厚さ(乾燥後の厚さ)が20μmである電荷輸送層と厚さ(乾燥後の厚さ)が5μmである表面層とが形成され、よって、本実施例の電子写真感光体が得られた。
Figure 0006424577
表1において、「硬化性樹脂*11」とは、上記化学式(1)で表された化合物(硬化性化合物)の硬化により得られた樹脂を意味する。「配合量*12」とは、表面層を構成する全組成に対する、表面処理されたp型半導体粒子の割合(体積比)を意味する。「配合量*13」とは、p型半導体粒子に対する第1粒子の割合(質量比)を意味する。「配合量*14」とは、p型半導体粒子に対するTiO2粒子の割合(質量比)を意味する。
なお、本発明者らは、逐次型蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製の品番「XRF−1700」)を用いて実施例1〜15のそれぞれの電子写真感光体の表面層に含まれる第1粒子の材料及び第1粒子の含有量を調べたところ、表1に示す第1粒子の材料及び第1粒子の配合量と同じであったことを確認している。
<評価>
(耐刷試験)
まず、画像形成装置(コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社製の品番「bizhub C6501」)の電子写真感光体として、実施例1〜15、比較例1及び比較例2のそれぞれの電子写真感光体を組み込んだ。次に、高温高湿環境下(30℃・85%RH(relative humidity))で耐刷試験を行った。耐刷試験では、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像及びブラック画像のそれぞれの印字率が2.5%であるフルカラー画像を、A4サイズの中性紙70万枚に対して片面印刷した。
(画像メモリーの評価)
耐刷試験の後に、給紙カセットにA4サイズの上質紙を「横送り」されるように配置した。その上質紙のうちの10枚に対して、通紙方向に対して左半分が黒ベタ画像であり、通紙方向に対して右半分が白ベタ画像である画像を連続して印刷した。
次に、均一なハーフトーン画像を印刷した。濃度計(グレタグ・マクベス社製の品番「RD−918」)を用いて、印刷されたハーフトーン画像において黒ベタ画像に対応する領域の反射濃度と、当該ハーフトーン画像において白ベタ画像に対応する領域の反射濃度とを測定した。測定された2つの反射濃度差(ΔID)を算出した。結果を表1に示す。
表1には、ΔIDが0.05以下であった場合に「A1」と記し、ΔIDが0.05よりも大きく0.10以下であった場合に「B1」と記す。ΔIDが小さいほど、印刷されたハーフトーン画像には黒ベタ画像の履歴及び白ベタ画像の履歴の両方が表れていないことを意味し、よって、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)が良好であることを意味する。本発明者らは表1において「A1」及び「B1」である場合に電子写真感光体としての実用が可能であると判断しており、よって、実施例1〜15、比較例1及び比較例2のいずれにおいても画像メモリーが良好であった。
(α値)
電子写真感光体を画像形成装置に組み込む前に、電子写真感光体の厚さを測定した。具体的には、厚さが均一な部分(電子写真感光体の軸方向端部では厚さが不均一になり易いので、電子写真感光体の軸方向端面から電子写真感光体の軸方向内側へ3cm以内の部分を除く)において厚さの測定地点をランダムに10ヶ所選定した。渦電流方式の膜厚測定器(Helmut Fischer社製の品番「EDDY560C」)を用いて上記測定地点での厚さを計測し、計測された厚さの平均値(耐久試験前の厚さ)を算出した。
次に、電子写真感光体を画像形成装置に組み込んだ後、上記耐刷試験を行った。その後、上記画像形成装置から電子写真感光体を取り出し、耐久試験前の厚さの求め方にしたがって耐久試験後の厚さを算出した。下記式を用いて膜厚減耗量を求め、100krоt(10万回転)当たりの減耗量(α値)を求めた。結果を表1に示す。α値が小さいほど、電子写真感光体が耐摩耗性に優れることを意味する。
(膜厚減耗量)=(耐久試験前の厚さ)−(耐久試験後の厚さ)。
(カブリの評価)
耐刷試験の後に、ブラック画像形成部のみ実施例1〜15、比較例1及び比較例2のそれぞれの電子写真感光体を用いた。その後、画像が形成されていないPODグロスコート紙を次転写ローラの位置まで搬送した後、グリッド電圧として−800Vを印加し、現像バイアスとして−650Vを印加して、PODグロスコート紙にイエローベタ画像を形成した。以下に示す基準で、PODグロスコート紙におけるブラックのカブリ評価を行った。結果を表1に示す。
表1には、目視評価においてカブリが確認されなかった場合に「A2」と記し、拡大視するとカブリが僅かに確認された場合に「B2」と記し、目視でカブリが確認された場合に「C2」と記し、カブリが目立った場合に「D2」と記す。本発明者らは、表1において「A2」及び「B2」である場合に電子写真感光体としての実用が可能であると判断している。
<考察>
実施例1〜15、比較例1及び比較例2では、画像メモリーが良好であった。また、α値が小さく、よって、電子写真感光体の耐摩耗性が高く維持されていると考えられる。実施例1〜15、比較例1及び比較例2では、表面層がp型半導体粒子を含んでいる。そのため、上記結果が得られたと考えられる。
しかし、実施例1〜15ではカブリ耐性に強かったのに対し、比較例1及び比較例2ではカブリ耐性が悪化した。比較例1では、表面層は第1粒子を何ら含んでいない。そのため、上記結果が得られたと考えられる。また、比較例2では、表面層は、第1粒子ではなくTiO2粒子を含んでいる。本発明者らは、TiO2粒子はZrO2粒子、SiO2粒子及びAl23粒子に比べ抵抗が低いので上記結果が得られたと考えている。
なお、実施例1〜15と比較例1及び比較例2とでは、画像メモリーの評価に関する結果に大差なく、電子写真感光体の耐摩耗性に関する結果に大差なかった。そのため、表面層がp型半導体粒子と第1粒子とを含む場合には、表面層がp型半導体粒子を含むことにより得られる効果を維持しつつカブリ耐性に強くなるということが分かった。
実施例1〜3では、カブリ耐性に強かった。この結果から、第1粒子としてZrO2粒子、SiO2粒子又はAl23粒子のいずれを用いた場合であってもカブリ耐性に強くなることが分かった。なお、画像メモリーを良好にするという観点では、第1粒子としてZrO2粒子を用いることが好ましいということが分かった。
実施例4、5及び7では、実施例6及び8よりも、カブリ耐性にさらに強かった。この結果から、第1粒子の含有量が0.05質量%以上5質量%以下であれば、カブリ耐性にさらに強くなることが分かった。
実施例9〜15では、カブリ耐性に強かった。この結果から、p型半導体粒子の材料に依らずカブリ耐性に強くなることが分かった。なお、画像メモリーを良好にするという観点では、p型半導体粒子としてはCuAlO2粒子、CuGaO2粒子、SrCu22粒子又はBaCu22粒子を用いることが好ましいということが分かった。
実施例1〜14では、実施例15よりも、α値をさらに小さく抑えることができた。この結果から、電子写真感光体の耐摩耗性を高めるという観点では、表面層を構成する樹脂は硬化性化合物の硬化により得られる成分を含むことが好ましいということが分かった。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 電子写真感光体、101 導電性支持体、102 中間層、103 感光層、104 電荷発生層、105 電荷輸送層、106 表面層。

Claims (7)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体の上に順に設けられた感光層及び表面層とを備えた電子写真感光体であって、
    前記表面層は、p型半導体粒子と、二酸化ジルコニウム粒子、二酸化ケイ素粒子及び酸化アルミニウム粒子のうちの少なくとも1つである第1粒子とを含み、
    前記p型半導体粒子は、金属酸化物からなる、電子写真感光体。
  2. 前記表面層において、前記第1粒子の含有量は、前記p型半導体粒子の含有量の0.05質量%以上5質量%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記第1粒子は、前記二酸化ジルコニウム粒子である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記p型半導体粒子は、下記一般式(1)で表される金属酸化物、及び、下記一般式(2)で表される金属酸化物のうちの少なくとも1つからなる請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Cu(M1)O2 ・・・一般式(1)
    (M2)Cu22・・・一般式(2)
    上記一般式(1)におけるM1は周期律表第13族元素を表し、上記一般式(2)におけるM2は周期律表第2族元素を表す。
  5. 前記表面層は、硬化性化合物の硬化により得られる成分をさらに含む請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部と、
    前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部とを備えた電子写真画像形成装置。
  7. 電子写真画像形成装置に着脱可能に装着され、
    請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部と、
    前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部とを備えたプロセスカートリッジ。
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