JP6419000B2 - 膜厚推定装置、塗布装置、膜厚推定方法、およびスリットノズル調整方法 - Google Patents

膜厚推定装置、塗布装置、膜厚推定方法、およびスリットノズル調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、スリットノズルのスリットから吐出される塗布液によってワーク上に形成される塗膜の厚みのばらつきを推定する技術に関する。
従来、スリットから塗布液を吐出するスリットノズルを備える塗布装置が知られている。塗布装置は、水平面内においてスリットの短手方向に、スリットノズルと、ワークとを相対移動させつつ、スリットから塗布液をワークへ吐出する。ワーク上に吐出された塗布液は、乾燥すると塗膜となる。
このような塗布装置において、スリットノズルのスリットの長手方向に塗膜の厚みがばらつくことがある。
そこで、特許文献1には、スリットノズルの側面においてスリットの長手方向に沿って配置された複数の調整ネジによって、スリットの開口幅を調整する旨が開示されている。具体的には、特許文献1に開示された塗布装置は、スリットの長手方向に並ぶ複数の検出位置で塗布液の吐出液膜の厚みを検出する。検出された吐出液膜の厚みと、ワークの搬送速度とは、実際の塗膜の厚みに対応する。そこで、特許文献1に開示された塗布装置は、検出した吐出液膜の厚みに基づいて、上述の調整ネジにより各位置で開口幅を調整している。
また、特許文献1に開示された塗布装置に限らず、ワーク上に塗布液を実際に吐出し、搬送工程および乾燥工程を経た後に、ワーク上の塗膜の厚みを測定し、測定結果に基づいてスリットの開口幅を調整することが知られている。
平07−204561号公報
しかしながら、特許文献1に開示された塗布装置は、実際の塗膜の厚みにばらつきが存在するかどうかを求めるために、吐出液膜の厚みを測定する必要があるので、塗布液をスリットノズルから実際に吐出する必要がある。すなわち、特許文献1に開示された塗布装置は、実際の塗膜の厚みにばらつきが存在するかどうかを求めるために、スリットノズルと、塗布装置の他の構成(例えばスリットノズルの移動機構)と、を組み付ける必要がある。
また、吐出液膜の厚みではなく、ワーク上に形成された塗膜の厚みを測定する場合においても、実際の塗膜の厚みにばらつきが存在するかどうかを求めるためには、スリットノズルと、スリットノズルの移動機構等と、を組み付ける必要がある。さらに、実際の塗膜の厚みは、スリットノズルの組み付け誤差、搬送工程および乾燥工程によって変化することがある。例えば、搬送工程において、ワーク上の塗膜に対する、アームの接触およびアームの接近に伴う温度変化によって、塗膜の厚みはばらつく。従って、実際の塗膜の厚みを測定しても、スリットノズルに起因する塗膜の厚みのばらつきを把握することは難しい。
そこで、本発明は、上述の従来技術の問題に鑑み、スリットノズルのスリットから塗布液を実際に吐出することなしに、ワーク上に形成される塗膜に対し、スリットの長手方向における厚みのばらつきを推定することができる膜厚推定装置、及び膜厚推定方法を提供することにある。
本願発明者は、スリットノズルのスリットから吐出された気体の特徴量と、実際にワーク上に形成される塗膜の厚みとの間に相関があることを見出した。例えば、スリットの長手方向端部から吐出された気体の風速が、スリットの長手方向中央部から吐出された気体の風速より遅い場合、本願発明者は、ワーク上に形成された塗膜のうち、当該端部に対応する部分の厚みが、当該中央部に対応する部分の厚みより薄くなることを見出した。
そこで、本発明の膜厚推定装置は、所定の定圧の気体が供給される前記スリットノズルに対し、前記スリットから吐出方向に所定距離離れた複数の検出位置であって、前記スリットの長手方向に並ぶ複数の検出位置において、前記スリットから吐出された気体の特徴量を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した各検出位置の前記特徴量に基づいて、各検出位置に対応する各位置の塗膜の厚みのばらつきを推定する推定手段と、を備える。
推定手段は、複数の検出位置において検出された気体の特徴量にばらつきが生じると、実際に形成される塗膜にもばらつきが生じると推定する。例えば、ばらつきの度合いは、気体の特徴量(風速及び風量)の分散として求めることができる。
以上のように、本発明の膜厚推定装置は、スリットノズルから塗布液を実際に吐出することなしに、ワーク上に形成される塗膜に対し、スリットの長手方向における塗膜の厚みのばらつきを推定することができる。
なお、本発明は、膜厚推定装置に限らず、所定の定圧の気体を前記スリットノズルに供給する供給ステップと、前記スリットの長手方向及び短手方向に平行な面内において前記長手方向に並ぶ複数の検出位置において、前記スリットから吐出された気体の特徴量を検出する検出ステップと、前記検出ステップによって検出された各検出位置の前記特徴量に基づいて、各検出位置に対応する各位置の塗膜の厚みのばらつきを推定する推定ステップとを有する膜厚推定方法であってもよい。
この発明によると、スリットノズルのスリットから塗布液を実際に吐出することなしに、ワーク上に形成される塗膜に対し、スリットの長手方向における厚みのばらつきを推定することができる。
この発明の実施形態に係る塗布システムの平面図である。 同塗布システムのスリットノズル及び移動機構の正面図である。 同スリットノズル及び同膜厚推定装置の平面図である。 同膜厚推定装置の情報処理部のブロック図である。 同情報処理部の各動作を示すフローチャートである。 (A)は、スリットの長手方向の位置と、塗膜の厚みとの関係を示す図であり、(B)は、スリットの長手方向の位置と、風速との関係を示す図である。 (A)は、同スリットノズルの正面図であり、(B)は、同スリットノズルの側面図である。 スリットノズルのスリットの開口幅の2次調整の各工程を示すフローチャートである。 変形例1に係る膜厚推定装置の複数の検出素子を示すための、同膜厚推定装置の模式的な外観斜視図である。 変形例2に係る膜厚推定装置のカバーを示すための、同膜厚推定装置の模式的な外観斜視図である。 変形例に係るカバーを示すための、膜厚推定装置の模式的な外観斜視図である。
以下に、この発明の実施形態に係る塗布システム900について、図を参照しつつ説明する。ただし、図2において、スリットノズル5のスリット5Sの長手方向から視た図をスリットノズル5及び移動機構200の正面図とする。
図1に示すように、塗布システム900は、フレーム1、上流側コンベア2、中流側コンベア3、下流側コンベア4、スリットノズル5、および膜厚推定装置400を備えている。
フレーム1は、上方に上流側コンベア2、中流側コンベア3、および下流側コンベア4を保持している。
上流側コンベア2、中流側コンベア3、および下流側コンベア4は、それぞれ複数のローラ21,31,41によって構成されている。少なくとも一部のローラは、塗布コントローラ部100の制御に基づいて回転する。その他のローラは、従動する。上流側コンベア2、中流側コンベア3、下流側コンベア4は、ワーク800を上流側から下流側に向けて直線上に搬送する。複数のローラ21,31,41は、ワーク800の底面における搬送方向に平行な両端部に当接する。
なお、上流側コンベア2、中流側コンベア3、下流側コンベア4は、複数のローラ21,31,41で構成されたローラハースに限るものではなく、ベルト又はチェーン等、ワークの搬送に適した機構を用いることができる。
フレーム1は、一対の支持部材6を介してスリットノズル5を中流側コンベア3よりも上方に支持している。スリットノズル5は、退避位置及び吐出位置の間で高さ方向に移動自在である。スリットノズル5の高さ方向の移動は、塗布コントローラ部100によって制御される。
スリットノズル5は、下面に開放したスリット5S(図2を参照)を備える。スリットノズル5は、吐出圧力を均一化するために、内部に貯留部5Rを備える。スリットノズル5は、スリット5Sの長手方向を、水平面内においてワーク800の搬送方向に直交させて配置されている。
スリットノズル5の貯留部5Rは、塗布液供給経路700または圧縮エア供給経路710に接続される。塗布液供給経路700は、塗布液供給源701、およびバルブ702を含む。圧縮エア供給経路710は、圧縮エア供給源711、圧力センサ712を含む。圧縮エア供給源711は、所定の圧力(例えば0.1MPa)の圧縮エアを供給するように吐出圧力が調整されている。
本実施形態では、スリットノズル5は、フレーム1から取り外された状態でスリット5Sの開口幅が調整される。スリットノズル5は、スリット5Sの開口幅の調整前に、図2および図3に示すように、膜厚推定装置400に取り付けられる。
膜厚推定装置400は、スリットノズル5から吐出される気体の特徴量を検出し、検出結果に基づいて実際の塗膜にばらつきが存在するかどうかを推定する。本実施形態では、気体として圧縮エアを用いる。また、圧縮エアの特徴量として風速を用いる。
図1、図2および図3に示すように、膜厚推定装置400は、移動機構200、及び情報処理部300を備えている。
移動機構200は、土台201、第1支持部材205、第2支持部材210、及び第3支持部材220を備えている。土台201の上面には、一対のレール202と、ボールねじ204とが配置されている。ボールねじ204は、第1支持部材205を貫通する。ボールねじ204は、モータ206の駆動力によって回転する。モータ206が回転すると、第1支持部材205は、一対のガイド203が一対のレール202に沿いながら、ボールねじ204の長手方向に移動自在となる。
図2および図3に示すように、スリットノズル5は、スリット5Sの長手方向及び吐出方向に平行な1対の側面5Lを備える。スリットノズル5は、スリット5Sの長手方向及び短手方向に平行な上面5Uを備える。スリットノズル5は、一方の側面5Lが移動機構200の土台201の上面に当接するように取り付けられる。スリットノズル5は、スリット5Sの長手方向が、ボールねじ204の回転による第1支持部材205の移動方向と平行となるように取り付けられる。
第2支持部材210は、第1支持部材205の吐出方向の端部において、第1支持部材205に支持されている。第2支持部材210は、ガイド機構207により、高さ方向に直動自在に第1支持部材205に支持されている。
第3支持部材220は、付勢部材213を介して第2支持部材210に連結される。第2支持部材210及び第3支持部材220は、ガイド機構211により、吐出方向に平行な方向において互いに近づくように付勢部材213によって付勢されている。ボールねじ204の回転により、第3支持部材220は、スリット5Sの長手方向に移動自在となる。
第3支持部材220は、側面カムフォロア221および上面カムフォロア222を回転自在に支持する。側面カムフォロア221は、吐出方向に平行な軸周りに回転自在である。側面カムフォロア221は、外周面の下方がスリットノズルの側面5Lに当接する。上面カムフォロア222は、スリット5Sの短手方向に平行な軸周りに回転自在である。上面カムフォロア222は、外周面のうち吐出方向の部分がスリットノズル5の上面5Uに当接する。
膜厚推定装置400は、スリット5Sから吐出される圧縮エアの特徴量を検出するために、プローブ230を備えている。プローブ230は、第3支持部材220に支持されている。プローブ230の先端には、検出素子231が取り付けられている。本実施形態では、検出素子231としては、圧縮エアの風速を検出する熱式風速素子を用いるが、風速の検出素子としては歪素子を用いてもよい。
検出素子231は、スリット5Sから吐出方向に所定距離(例えば0.5mm〜1.0mm)だけ離れた位置に配置される。上述の移動機構200により、検出素子231は、スリット5Sから吐出方向に所定の距離を維持しつつ、スリット5Sの長手方向に移動自在となる。すなわち、側面カムフォロア221を含む第3支持部材220の自重、および側面カムフォロア221の回転によって、検出素子231は、スリットノズル5の側面5Lの形状に従いながら、スリット5Sの短手方向の位置を維持しつつ、スリット5Sの長手方向に移動する。上面カムフォロア222の回転および付勢部材213の付勢力によって、検出素子231は、スリットノズル5の上面5Uの形状に従いながら、吐出方向の位置を維持しつつ、スリット5Sの長手方向に移動する。従って、例えば、一対のレール202の長手方向と、スリット5Sの長手方向とが正確に平行となっていなくても、検出素子231は、側面5L及び上面5Uの形状に従いながら高精度に吐出方向の位置および短手方向の位置を維持しつつ、スリット5Sの長手方向に移動する。
ただし、図2および図3に示す移動機構200は一例であり、スリット5Sから吐出方向に所定の距離を維持しつつ、スリット5Sの長手方向に検出素子231を移動自在とするものであれば何でもよい。
図4に示すように、膜厚推定装置400の情報処理部300は、制御部301、表示部302、記憶部303、検出部304、及びモータ制御部305を備える。
制御部301は、記憶部303に記憶されたプログラムを読みだし、読みだしたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。制御部301によるプログラムの実行により、ワーク800上に形成される塗膜の厚みのばらつきを推定する機能が実現される。
検出部304は、プローブ230の検出素子231からの電気的信号に基づいて風速を検出する。表示部302は、膜厚推定装置400の状態等の情報を表示する。本実施形態では、表示部302は、検出部304が検出した風速を表示する。モータ制御部305は、モータ206を制御することで、第1支持部材205をスリット5Sの長手方向に平行な方向に移動させる。
次に、膜厚推定装置400の情報処理部300の動作について、図5を用いて説明する。まず、情報処理部300は、風速を測定する(S1)。具体的には、圧縮エア供給経路710がスリットノズル5に接続される状態で、モータ制御部305は、モータ206を駆動させる。検出部304は、モータ制御部305がモータ206を駆動させている最中に風速を検出する。これにより、スリット5Sから吐出方向に所定距離だけ離れた複数の検出位置であって、スリット5Sの長手方向に並ぶ複数の検出位置において、風速が検出される。検出された風速は、記憶部303に記憶される。
ここで、本願発明者は、実際に塗布されてなる塗膜の厚みと、スリット5Sから吐出された圧縮エアの風速との間に相関が存在することを見出した。
図6(A)は、横軸をスリット5Sの長手方向の位置(mm)とし、縦軸を塗膜の厚み(nm)とする図である。ただし、スリット5Sの長手方向の位置は、スリット5Sの長手方向の一端を基準とした位置である。図6(A)の点線に示すように、スリット5Sの長手方向の位置が200mmから370mmにおいて、塗膜の厚みは、1,350nmから1,500nmの間の値となり、ばらついた。
図6(A)に示す厚みの塗膜を形成したスリットノズル5に圧縮エアを供給し、スリット5Sから吐出される圧縮エアの風速を検出すると、図6(B)に示す結果となった。図6(B)は、横軸をスリット5Sの長手方向の位置(mm)とし、縦軸を風速比とする図である。図6(B)の点線に示すように、スリット5Sの長手方向の位置が200mmから370mmにおいては、風速比は、図6(A)の点線に示す厚みの傾向と同じ傾向でばらついた。例えば、位置が200mmから370mmにおいて、厚みがピークとなる280mm付近では、風速比もピークとなった。ただし、風速比は、各位置の風速の平均値に対する各位置の風速を示す。
そこで、制御部301は、風速が測定されると(S1)、風速比に基づいて、スリット5Sの長手方向に並ぶ複数の位置における塗膜の厚みのばらつきを推定する(S2)。例えば、制御部301は、他の検出位置に比べて速い風速が検出された検出位置が存在すると、このスリットノズル5によって形成される塗膜の厚みにばらつきが発生する、と推定する。
塗膜の厚みのばらつきを推定すると(S2)、制御部301は、推定されたばらつきが許容範囲か否かを判断する(S3)。例えば、制御部301は、複数の検出位置において検出された風速の分散を算出し、算出した分散が所定の閾値以下か否かを判断することで、塗膜の厚みのばらつきが許容範囲か否かを判断する。
制御部301は、推定されたばらつきが許容範囲外であると判断すると(S3:NO)、スリット5Sの開口幅の調整を指示する旨を、表示部302に表示させる(S11)。例えば、表示部302は、調整指示と共に、図6(B)に示す図を表示する。すなわち、表示部302は、スリット5Sの長手方向の位置と、風速比との関係を示す図を表示する。ただし、表示部302は、図に限らず、スリット5Sの長手方向の位置と、風速比との関係を、文字表示しても構わない。また、表示部302は、調整が必要な位置と、当該位置における調整内容(開口幅を広げる又は狭める)とを表示してもよい。
ユーザは、調整機構50を用いて、スリットノズル5のスリット5Sの開口幅を1次調整する(S12)。調整機構50の一例として、本実施形態では、複数の調整ネジ51を用いる。図7(A)及び図7(B)に示すように、複数の調整ネジ51は、スリットノズル5の側面5Lにおいて、スリット5Sの長手方向に並ぶ複数の調整位置に配置されている。例えば、ユーザは、風速が比較的に遅い検出位置に対して、開口幅が広がるように、該検出位置に対応する調整位置の調整ネジ51を回転させる。これにより、該調整位置において圧縮エアが通過する流路が拡大し、圧縮エアにかかる抵抗が小さくなるので、該調整位置に対応する検出位置における圧縮エアの風速は速くなる。
図7(B)に示すように、スリットノズル5の側面5Lのスリット5Sの長手方向の両端部に近づくにつれて、各調整ネジ51の配置間隔は狭くなっている。複数の検出位置は、複数の調整位置に対応することが望ましい。複数の検出位置を複数の調整位置に対応させれば、より効率的にスリット5Sの開口幅の調整を行うことができる。
スリット5Sの開口幅の1次調整後(S12)、ステップS1の風速測定に戻る。
制御部301は、推定されたばらつきが許容範囲であると判断すると(S3:YES)、1次調整が完了した旨を表示部302に表示する(S4)。1次調整の完了により、スリットノズル5の内部の形状に起因する塗膜の厚みのばらつきは抑えられる。
以上のように、膜厚推定装置400は、スリットノズル5から塗布液を吐出することなしに、ワーク800上に形成される塗膜の厚みがスリット5Sの長手方向にばらつくかどうかを推定できる。従って、膜厚推定装置400によれば、スリットノズル5Sをフレーム1等に組み付ける必要がなく、より簡単に塗膜の厚みのばらつきを推定することができる。さらに、膜厚推定装置400によれば、塗布液を用いずに塗膜の厚みのばらつきを推定できるので、経済的である。
また、図1〜図3に示すように、膜厚推定装置400による塗膜の厚みの推定と、スリットノズル5のスリット5Sの開口幅の1次調整とは、フレーム1から離れた場所で行うことができる。ただし、膜厚推定装置400は、フレーム1に取り付けられたスリットノズル5に対して、塗膜の厚みのばらつきを推定してもよい。
また、スリットノズル5に供給された圧縮エアが、塗膜を形成する塗布液と同じ流路を流れるので、この推定方法は、単にスリット5Sの開口幅を測定することで膜厚を推定する方法に比べて、より高い精度で塗膜の厚みのばらつきを推定できる。
ステップS4の後、図8に示すように、スリットノズル5をフレーム1に組み付けて、実際の塗膜の厚みを測定する。そして、測定値に基づいてスリット5Sの開口幅を調整する2次調整を行う。具体的には、ステップS21では、スリットノズル5に塗布液供給経路700が接続された状態で、塗布コントローラ部100は、ワーク800を搬送しつつ、バルブ702を開成することで、スリットノズル5に塗布液を吐出させる。不図示の搬送装置は、下流側コンベア4上のワーク800を不図示の乾燥装置へ搬送する(S22)。当該乾燥装置は、搬送されたワーク800を乾燥させる(S23)。ワーク800の乾燥後、不図示の測定装置は、ワーク800上の塗膜の厚みを測定する(S24)。例えば、測定装置は、ワーク800上の塗膜に光を照射し、得た反射光に基づいて厚みを測定する。ユーザは、測定結果に基づいて、スリット5Sの開口幅を調整する(S25)。
1次調整により、スリット5Sの開口幅等のスリットノズル5内の形状に起因する塗膜の厚みのばらつきが抑えられるので、2次調整を繰り返す必要はない。すなわち、ステップS21〜S24の塗布工程、搬送工程、乾燥工程、及び測定を繰り返す必要がなく、スリットノズル5の調整をより早く終えることができる。
次に、図9に示すように、変形例1に係る膜厚推定装置400Aは、複数の検出素子231を備える点において、膜厚推定装置400と相違する。重複する構成の説明は省略する。
複数の検出素子231は、スリット5Sの長手方向及び短手方向に平行な面内において、スリット5Sの長手方向に配列される。複数のプローブ230は、不図示の第2移動機構によって、当該面内においてスリット5Sの短手方向に移動する。膜厚推定装置400Aは、複数のプローブ230を移動させつつ、風速を検出する。この移動の際、各検出素子231とスリット5Sとが最も近接する時に、最大値の風速が検出される。膜厚推定装置400Aは、塗膜の厚みのばらつきを推定するために、各検出素子231によって検出された風速の最大値を用いる。
変形例1に係る膜厚推定装置400Aは、複数の検出素子231を用いて複数の検出位置における風速を一度に検出するため、塗膜の厚みを推定するまでの時間を短くすることができる。
ただし、複数のプローブ230をスリット5Sの短手方向に移動させることは必須ではない。
なお、図2及び図3に示す膜厚推定装置400に、図9に示す技術を組み合わせることもできる。すなわち、図2及び図3に示す膜厚推定装置400は、1本のプローブ230をスリット5Sの短手方向に移動させる第2移動機構を備えてもよい。
次に、変形例2に係る膜厚推定装置400Bは、図1〜図7に示す膜厚推定装置400に対して、プローブ230の先端の検出素子231を覆うカバー250を備えている。図10に示すように、カバー250は、スリットノズル5の側面5Lに平行な壁251及び壁252を備える。一方の壁252には、スリット5Sの長手方向に延伸する孔253が形成されている。プローブ230が孔253に挿入された状態で、検出素子231は、スリット5Sから吐出方向に所定の距離離れた状態で、スリット5Sの長手方向に移動する。変形例2に係る膜厚推定装置400Bは、カバー250で検出素子231を覆うので、検出素子231に対する、スリットノズル5の外部からの風の影響を抑えることができる。
なお、図11の変形例に示すように、カバー250Aの壁251A及び壁252Aは、スリットノズル5の側面5Lの全体に延伸しないものであってもよい。図11に示す変形例では、カバー250Aは、孔253Aに挿入されたプローブ230と一体に移動する。
また、上述の例は、スリット5Sから吐出される圧縮エアの特徴量として風速を検出したが、風速の代わりに風量を検出してもよい。また、吐出される圧縮エアによってスリット5S近傍の気圧が低下するので、膜厚推定装置は、塗膜の厚みのばらつきを推定するために、スリット5S近傍の気圧を検出してもよい。
また、上述の例は、スリットノズル5から吐出する気体として圧縮エアを用いたが、他の気体を用いてもよい。
900…塗布システム
1…フレーム
2…上流側コンベア
3…中流側コンベア
4…下流側コンベア
5…スリットノズル
5S…スリット
6…支持部材
21,31,41…ローラ
50…調整機構
51…調整ネジ
100…塗布コントローラ部
400,400A,400B…膜厚推定装置
200…移動機構
201…土台
202…レール
203…ガイド
205…第1支持部材
206…モータ
207…ガイド機構
210…第2支持部材
211…ガイド機構
213…付勢部材
220…第3支持部材
221…側面カムフォロア
222…上面カムフォロア
230…プローブ
231…検出素子
250,250A…カバー
300…情報処理部
301…制御部
302…表示部
303…記憶部
304…検出部
305…モータ制御部
700…塗布液供給経路
710…圧縮エア供給経路

Claims (11)

  1. スリットノズルのスリットから吐出される塗布液によってワーク上に形成される塗膜の厚みのばらつきを推定する膜厚推定装置であって、
    所定の定圧の気体が供給される前記スリットノズルに対し、前記スリットから吐出方向に所定距離離れた複数の検出位置であって、前記スリットの長手方向に並ぶ複数の検出位置において、前記スリットから吐出された気体の特徴量を検出する検出手段と、
    前記検出手段が検出した各検出位置の前記特徴量に基づいて、各検出位置に対応する各位置の塗膜の厚みのばらつきを推定する推定手段と、
    を備える膜厚推定装置。
  2. 前記検出手段は、
    検出素子と、
    前記長手方向に前記検出素子を移動させる移動手段と、
    を有する請求項1に記載の膜厚推定装置。
  3. 前記移動手段は、
    前記吐出方向に平行な軸周りに回転自在であり、外周面の一部が前記吐出方向及び前記長手方向に平行な前記スリットノズルの第1面に当接する第1ローラと、
    前記スリットの短手方向に平行な軸周りに回転自在であり、外周面の一部が前記長手方向及び前記短手方向に平行な前記スリットノズルの第2面に当接する第2ローラと、
    前記第1ローラ及び前記第2ローラを回転自在に支持し、前記検出素子を前記スリットから吐出方向に所定距離離れた位置に支持する支持部材と、
    前記支持部材を前記長手方向に移動させる駆動部と、
    を有する請求項2に記載の膜厚推定装置。
  4. 前記検出手段は、各検出位置に配置される複数の検出素子を有する、
    請求項1に記載の膜厚推定装置。
  5. 前記検出手段は、前記スリットの短手方向に前記検出素子を移動させる第2移動手段を有する、
    請求項2〜4のいずれかに記載の膜厚推定装置。
  6. 前記検出手段は、前記短手方向に前記検出素子を移動させつつ、前記特徴量を検出し、
    前記推定手段は、前記検出手段が検出した複数の前記特徴量から最大値となる特徴量に基づいて、各位置の塗膜の厚みのばらつきを推定する、
    請求項5に記載の膜厚推定装置。
  7. 前記検出手段は、前記検出素子のカバーであって、前記スリットの短手方向が法線方向となる壁を有するカバーを備える、
    請求項2〜6のいずれかに記載の膜厚推定装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の膜厚推定装置と、
    前記スリットノズルと、
    前記スリットノズルに塗布液を供給する塗布液供給手段と、
    前記推定手段が推定したばらつきの度合いを表示する表示部と、
    を備え、
    前記スリットノズルは、前記長手方向に並ぶ複数の調整位置において、前記スリットの開口幅を調整する調整機構を有する、
    塗布装置。
  9. 前記検出手段の各検出位置は、前記調整機構の各調整位置に対応する、
    請求項8に記載の塗布装置。
  10. スリットノズルのスリットから吐出される塗布液によってワーク上に形成される塗膜の厚みのばらつきを推定する膜厚推定方法であって、
    所定の定圧の気体を前記スリットノズルに供給する供給ステップと、
    前記スリットから吐出方向に所定距離離れた複数の検出位置であって、前記スリットの長手方向に並ぶ複数の検出位置において、前記スリットから吐出された気体の特徴量を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップによって検出された各検出位置の前記特徴量に基づいて、各検出位置に対応する各位置の塗膜の厚みのばらつきを推定する推定ステップと、
    を有する膜厚推定方法。
  11. 請求項10に記載の膜厚推定方法を利用するスリットノズル調整方法であって、
    前記推定ステップが推定した各位置の塗膜の厚みに基づいて、前記スリットの開口幅を調整する調整ステップと、
    を有するスリットノズル調整方法。
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