JP6418856B2 - 自動ラック倉庫におけるラックの免震構造 - Google Patents

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Description

本発明は、多段のラックおよびこのラックに荷物を出し入れするスタッカークレーンを備えた自動ラック倉庫におけるラックの免震構造に関するものである。
一般に、ラック基礎上に走行自在に設けられたスタッカークレーンによって、上記スタッカークレーンに沿って配置されたラックに対して荷物の出し入れを行う自動ラック倉庫における上記ラックは、少ない面積で多くの格納量を確保するために、塔状比(アスペクト比)の大きいものが多い。このため、地震時には、上記ラックの上部から格納物が落下するなどの被害が出易い。
このため、従来からこの種の自動ラック倉庫に対しては、地震時におけるラックの応答を低減して、上記格納物の落下を防止するための様々な免震化技術が提案されている。
例えば、下記特許文献1においては、基礎上に配置され、中央が低く両端が高い曲線状のXレールと、該Xレールの上方でラックの床梁の下面に固定され、前記Xレールに対し直交する方向で中央が高く両端が低い曲線状Yレールと、下部は前記Xレールを挾み、上部は前記Yレールを挾み、中央には皿ばねを設けた連結ブロックと、前記ラックの床梁の下面に設けた皿ばねにより弾力的に支持されたスライディングシューをシューホルダーで保持したすべり支承とから構成されるラック用免震装置が提案されている。
特許第3031887号公報
ところが、自動ラック倉庫においては、上記ラックの塔状比が通常の構造物よりも大きいために、上記免震装置として、上記すべり支承や転がり支承を用いた場合に、免震層の摩擦係数が大きいと、高次モードの影響によりラック頂部における応答加速度が大きくなって所望の免震効果が期待できなくなる虞がある。
そこで、上記ラック頂部における免震効果を高めるべく、上記免震係数を小さく設定すると、スタッカークレーンの走行時に生じる慣性力によって免震装置が作動してしまい、この結果免震化されているラック部分と免震化されていないコンベア部分との間における荷物の受け渡しに支障が生じたり、地震時の免震層の変位が過大になって非免震化部分との間に大きなクリアランスを生じたりして好ましくない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、塔状比が大きいラックにおいて優れた免震効果を発揮することができる自動ラック倉庫におけるラックの免震構造を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、走行自在に設けられたスタッカークレーンと、このスタッカークレーンの走行方向に沿って設置されたラックとを備え、上記ラックの設置部と倉庫床との間に摩擦係数μが0.05以下の免震層が形成された自動ラック倉庫におけるラックの免震構造であって、上記免震層は、同一の曲率の凹球面を有する複数の球面すべり板と、当該球面すべり板の凹球面に転動自在に配置されて上記ラックを支持する転がり部材と、上記転がり部材が配置された球面すべり板とは別の上記球面すべり板の凹球面に摺動自在に配置されて上記ラックを支持する摺動部材とを備え、上記ラックの総重量に対する上記スタッカークレーンの重量比をr、上記スタッカークレーンの最大走行加速度をα(m/s)、重力加速度をg(m/s)としたときに、上記摩擦係数μがr・α/g<μとなることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記免震層は、減衰機能を有するダンパーをさらに備えており、全体の減衰定数hが、0.3≦h<1の範囲であることを特徴とするものである。
請求項1〜のいずれかに記載の発明によれば、ラックの設置部と倉庫床との間に、摩擦係数が極めて小さい(0.002〜0.003)転がり支承と、摩擦係数が中程度(0.01〜0.1)のすべり支承とを備えた免震層を形成し、上記転がり支承およびすべり支承の設置個数や比率を調整することにより、上記免震層における摩擦係数μを(r・α/g)より大きい値に設定しているために、平常時にスタッカークレーンの走行時に生じる慣性力によって上記転がり支承およびすべり支承からなる免震装置が作動することを確実に防止することができる。
一方、上記免震層の摩擦係数μを大きくすると、当該免震層における相対変位が小さくなるが、高次振動モードが励起され、ラックの上部および下部の応答加速度が大きくなって、特にラック上部における荷滑り変位も大きくなる。
これに起因する荷崩れや荷物落下が生じることを防止するためには、実験結果によれば、ラックの頂部における応答加速度が900cm/s以下(荷物をシュリンク包装している場合)、より好ましくは600cm/s以下(荷物をシュリンク包装していない場合)であって、荷滑り変位が10cm以下となるように上記免震層の摩擦係数μを設定することが好ましい。また、非免震の建屋と免震化されているラックとのクリアランスを考慮すると、地震時における両者の干渉(衝突)を避けるためには、ラック下部での相対変位を20cm以下、ラック頂部での相対変位を30cm以下に抑えることが望ましい。
後述する本発明者等の検証結果において示すように、レベル2相当の地震に対して、上記免震層の摩擦係数μを0.05以下、より好ましくは0.03以下に設定することにより、上記条件を満たすことができる。したがって、本発明のように、上記摩擦係数μを0.05以下に設定することにより、塔状比が大きいラックにおいても、所望とする優れた免震効果を発揮することができる。
さらに、請求項2に記載の発明においては、上記転がり支承およびすべり支承による免震装置に加えて、オイルダンパー等の減衰機能を有するダンパーを設置しているために、免震効果を極力高めるべく免震層の摩擦係数μを請求項1に記載の範囲内において小さく設定した場合においても、上記ダンパーによって減衰性を付与することによりラック変位を小さくすることが可能になる。
また、上記摩擦係数μを、上記範囲内において比較的大きい値に設定した場合においても、不確定要素を含む様々な地震動に対して、余裕を持たせて上述したラックの応答加速度、ラック変位および荷滑り変位の値を所望の範囲内に収めることができる。
さらに、請求項に記載の発明のように、上記転がり支承の転がり部材およびすべり支承の摺動部材が、同じ曲率の凹球面上を転動または摺動するように構成すれば、別途復元バネ等を設置することなく、地震後にラックを原位置に復帰させることができる。しかも、転がり支承の転がり部材およびすべり支承の摺動部材が、同一曲率の凹球面上を移動するために、免震層を一体として上下動させることができる。
本発明の一実施形態を示す正面図である。 図1の側面図である。 図1をX−X線視した免震層における転がり支承およびすべり支承等の平面配置図である。 (a)は転がり支承を示す縦断面図、(b)はすべり支承を示す縦断面図である。 25mクラスのラックにおいてオイルダンパーが無い場合に、免震層の摩擦係数を変化させた場合の応答解析結果を示すもので、(a)はラック最大加速度を、(b)はラック変位を、(c)は最大荷すべり量を示すグラフである。 25mクラスのラックにおいて免震層の摩擦係数を0.3%に設定した場合に、オイルダンパーの減衰定数を変化させた場合の応答解析結果を示すもので、(a)はラック最大加速度を、(b)はラック変位を、(c)は最大荷すべり量を示すグラフである。 25mクラスのラックにおいて免震層の摩擦係数を1.0%に設定した場合に、オイルダンパーの減衰定数を変化させた場合の応答解析結果を示すもので、(a)はラック最大加速度を、(b)はラック変位を、(c)は最大荷すべり量を示すグラフである。 25mクラスのラックにおいて免震層の摩擦係数μおよびダンパーの減衰定数を変化させた場合におけるラックの応答加速度を示すグラフである。 25mクラスのラックにおいて免震層の摩擦係数μおよびダンパーの減衰定数を変化させた場合におけるラック変位を示すグラフである。 10mクラスのラックにおいて免震層の摩擦係数μおよびダンパーの減衰定数を変化させた場合におけるラックの応答加速度を示すグラフである。 10mクラスのラックにおいて免震層の摩擦係数μおよびダンパーの減衰定数を変化させた場合におけるラック変位を示すグラフである。
図1〜図4は、本発明の自動ラック倉庫におけるラックの免震構造の一実施形態を示すもので、図中符号1がこの自動倉庫ラックの免震架台(ラックの設置部)である。
この免震架台1上には、スタッカークレーンが走行する複数本(図では3本)のレール2が等間隔をおいて並列的に敷設されるとともに、これらレール2の両側に沿って荷物を格納する多段のラック3が配置されており、レール2上を走行するスタッカークレーン2からラック3に荷物の出し入れを行うようになっている。
そして、この免震架台1と倉庫床4との間に、摩擦係数が極めて小さい(0.002〜0.003)ボールベアリングやリニアガイド等の転がり支承5および摩擦係数が中程度(0.01〜0.1)のすべり支承6並びにオイルダンパー7およびゴム材からなる復元バネ8が配設された免震層が形成されている。
ここで、転がり支承5は、図4(a)に示すように、倉庫床4側に固定されるとともに上面が凹球面9aによって形成された球面すべり板9上に、免震架台1の下面に取り付けられたボール(転がり部材)11が転動自在に設けられたものである。
また、すべり支承6は、図4(b)に示すように、倉庫床4側に固定されるとともに上面が凹球面10aによって形成された球面すべり板10上に、免震架台1の下面に取り付けられたテフロン(登録商標)等からなる摺動部材12が摺動自在に設けられたものである。そして、これら球面すべり板9、10の凹球面10aは、同じ曲率によって形成されている。
そして、これら転がり支承5およびすべり支承6は、免震層全体の摩擦係数μが所定の範囲内となるように、それぞれの摩擦係数および設置個数が設定されている。
すなわち、免震層全体の摩擦係数をμ、転がり支承5の摩擦係数をμ、すべり支承6の摩擦係数をμ、免震層全体の支承数をN、転がり支承5の個数をN、すべり支承6の個数をNとすると、
=N×(μ−μ)/(μ−μ) (1)
=N−N (2)
によって表される。
例えば、免震架台1上の全てのラック3を32個の支承で支持し、免震層全体の摩擦係数μを0.02とする場合には、20個の転がり支承5(μ=0.003)と、12個のすべり支承6(μ=0.05)をバランスよく配置すれば、免震層全体の摩擦係数μを0.021にすることができる。このように、転がり支承5およびすべり支承6の設置個数および個々の摩擦係数μ、μによって、上式(1)、(2)により免震層全体の摩擦係数μを設定することができる。
そして、この免震構造においては、上記摩擦係数μの下限値が、平常時にスタッカークレーンの走行時に生じる慣性力によって上記免震装置を作動させない値が設定されている。
すなわち、スタッカークレーンおよびラック3を含む免震架台1上の総質量をM、重力加速度をg、上記Mに対するスタッカークレーンの質量比をr、スタッカークレーンの最大走行加速度をαとすると、スタッカークレーンの走行時の慣性力により免震装置を作動させないためには、
・g・μ>M・r・α の関係式から、
μ>r・α/g (3)
となるように免震層全体の摩擦係数μを設定すれば良い。
例えば、スタッカークレーンの最大走行加速度は、通常0.4m/s程度であるために、上記(3)式は、
μ>0.04r (4)
となる。
そして、スタッカークレーンは、2列に1基配置されるため、2列×20連×15段積のラック3の場合に、平均積荷質量を160kgとすると、M=120t、スタッカークレーン1基当たりの質量が10t程度であるので、上記(4)式からμ>0.0033になる。
また、2列×9連×10段積のラック3の場合に、平均積荷質量を500kgとすると、M=120t程度であって、同様に上記(4)式からμ>0.0033になる。ちなみに、これらより大規模な自動ラック倉庫の場合には、摩擦係数μ≧0.003に設定することにより、上記下限の条件を満たすことができる。
以上のように、上記(3)式によって、免震層全体の摩擦係数μの下限値を設定することができる。
次に、この免震構造においては、上記摩擦係数μの上限値が、想定される地震時にラック3の頂部の応答加速度、ラック変位および荷滑り変位が、荷崩れや荷物落下を生じず、非免震部分とのクリアランスを適性化可能となる値に設定されている
すなわち、上述したように免震層の摩擦係数μを大きく設定すると、免震層の変位は小さくなるものの、高次振動モードが励起されることによりラック3の上部ならびに下部の応答加速度が大きくなる。また、ラック3の上部において、荷滑り変位も大きくなる。したがって、荷崩れ・荷物落下を防止するためには、ラック3の頂部における応答加速度を900cm/s以下、より好ましくは600cm/sであって、荷滑り変位を10cm以下に抑えることが望ましい。
また、建屋等の非免震部分とのクリアランスを考慮すると、免震架台1における相対変位を20cm、ラック3の頂部における相対変位を30cm以下に抑えることが望ましい。
図5は、免震層に転がり支承5およびすべり支承6を配置するとともに、オイルダンパー7を設けない25mクラスの自動ラック倉庫において、免震層の摩擦係数μを0.3%、1.0%、3.0%、5.0%、7.0%に変化させたときの応答解析結果を、非免震の場合と比較しつつ示したものである。
上記応答解析結果から、上記免震層全体の摩擦係数μを5.0%(0.05)以下に設定することにより、図5(a)に示すようにラックの頂部における応答加速度を900Gal以下に、図5(b)に示すようにラックの下部における変位を20cm以下であって上部における変位を30cm以下に、図5(c)に示すように、ラック頂部における最大荷滑り変位を10cm以下にできる。
また、特に上記摩擦係数μを3.0%(0.03)以下に設定すれば、図5(a)に示すようにラックの頂部における応答加速度を600Gal以下にすることが可能になる。
さらに、本実施形態においては、免震層にオイルダンパー7を設置しているために、その減衰効果によって、免震層の摩擦係数μを上記範囲内において一段と小さい値に設定することによりその免震効果を一層高めることができる。
すなわち、先ず転がり支承5およびすべり支承6において調和外力(正弦波地動 F cos pt)が作用した時の摩擦力による減衰(摩擦減衰)を等価粘性定数で評価すると下式(5)のように表すことができる。
Figure 0006418856
そして、摩擦による消費エネルギーから等価減衰係数c、等価減衰定数hを求めると、以下のようになる。
Figure 0006418856
Figure 0006418856
次いで、上記免震層にオイルダンパー7の付加減衰cを与えた場合の免震層全体の減衰係数cならびに減衰定数hは、下記(10)式で表される。
Figure 0006418856
以上のことから、先ず転がり支承5およびすべり支承6のみであって、オイルダンパーが無い場合において、免震層の摩擦係数μ=0.03、固有周期T=4.0s、振幅aを目標振幅としてa=0.2mとすると、その時の摩擦による等価粘性減衰hは、上記(9)式により、
=h=(μ・g・T)/2πa=0.03×9.8×4/2×π×0.2=0.38
となる。
これに対して、免震層の摩擦係数μを、上記例の1/10である0.003として、減衰定数h=0.3のオイルダンパー7を設置した場合には、同様に固有周期T=4.0s、目標振幅a=0.2mとすると、免震層全体の等価粘性減衰hは、上記(10)式から、
=h+(μ・g・2π/ω)/πa=0.3+0.038=0.34
となり、オイルダンパーを設置せずに免震層の摩擦係数μ=0.03とした場合とほぼ同程度の減衰を与えることができる。
したがって、転がり支承5およびすべり支承6の摩擦係数および設置個数を調整することにより、免震層における摩擦係数μを、r・α/g<μ≦0.05、の範囲内において、より小さい値に設定し、さらにオイルダンパー7を設置して減衰性能を付与することにより、高い免震性能を得ることができとともに、オイルダンパー7によってラック変位も小さく抑えることが可能になる。
図6は、25mクラスのラックにおいて、免震層の摩擦係数μを0.3%(0.003)に設定した場合に、オイルダンパー7を設置することにより上記免震層全体の減衰定数hを、0%、20%、25%、30%、40%および60%に変化させた場合の応答解析結果を示すものであり、(a)はラック最大加速度を、(b)はラック変位を、(c)は最大荷すべり量を示すグラフである。
また、図7は、同様に25mクラスのラックにおいて、免震層の摩擦係数μを1.0%(0.01)に設定した場合に、オイルダンパー7を設置することにより上記免震層全体の減衰定数hを、0%、20%、25%、30%、40%および60%に変化させた場合の応答解析結果を示すものであり、(a)はラック最大加速度を、(b)はラック変位を、(c)は最大荷すべり量を示すグラフである。
これらの解析結果から、免震層における摩擦係数μを、r・α/g<μ≦0.05、の範囲内において、0.01や0.003といった小さい値に設定した場合においても、オイルダンパー7を設置することにより上記免震層全体の減衰定数hを30%(0.03)以上に設定することにより、ラックの頂部における応答加速度を600cm/s以下、荷滑り変位を10cm以下、ラック下部での相対変位を20cm以下、ラック頂部での相対変位を30cm以下に抑えることができる。
他方、オイルダンパー7を設置した場合の上記免震層全体の減衰定数hの上限としては、振動と非振動の境目である臨界減衰状態(減衰定数h=100%)を考えればよい。すなわち,減衰定数hを大きくすると、ラック下部の応答変位は抑えられるが、ラック高さが高い場合にラック頂部の応答加速度が大きくなる。
例えば、免震層の摩擦係数をμ=0.03に設定するとともに、減衰定数h=0.6のオイルダンパーを設置した場合に、免震層全体の等価粘性減衰hは、
=h+(μ・g・2π/ω)/πa=h+(μ・g・T)/2πa=0.6+0.38=0.98
となる。したがって、免震層全体の減衰定数hは、臨界減衰以下(h≦1)とすればよい。
ちなみに、図8(a)、(b)は、各々25mクラスのラック(16段)において、免震層全体の減衰定数hを0%、20%、25%、30%、40%および60%に設定した場合に付いて、免震層の摩擦係数μとラックの16段目および1段目における応答加速度との関係を示す解析結果のグラフである。また、図9(a)、(b)は、同じく免震層の摩擦係数μとラックの16段目および1段目におけるラック変位との関係を示す解析結果のグラフである。
さらに、図10(a)、(b)は、各々10mクラスのラック(10段)において、免震層全体の減衰定数hを0%、20%、25%、30%、40%および60%に設定した場合に付いて、免震層の摩擦係数μとラックの10段目および1段目における応答加速度との関係を示す解析結果のグラフである。また、図11(a)、(b)は、同じく免震層の摩擦係数μとラックの10段目および1段目におけるラック変位との関係を示す解析結果のグラフである。
これらの図から、免震層における摩擦係数μを、5%(0.05)以下に設定するとともに、免震層全体の減衰定数hを30%(0.03)以上に設定することにより、確実にラックの頂部における応答加速度を荷物をシュリンク包装している場合の許容値である900cm/s以下、荷滑り変位を10cm以下、ラック下部での相対変位を20cm以下、ラック頂部での相対変位を30cm以下に抑えることができ、さらに免震層の摩擦係数μを、3%(0.03)以下に設定すれば、ラックの頂部における応答加速度を、荷物をシュリンク包装していない場合の許容値である600cm/s以下に抑えることができることが判る。
以上説明したように、上記構成からなる自動ラック倉庫におけるラックの免震構造によれば、免震架台1と倉庫床4との間に、転がり支承5およびすべり支承6を備えた免震層を形成し、転がり支承5およびすべり支承6の設置個数や比率を、免震層における摩擦係数μが(r・α/g)より大きく、かつ0.05以下になるように設定しているために、平常時にスタッカークレーンの走行時に生じる慣性力によって上記転がり支承およびすべり支承からなる免震装置が作動することを確実に防止することができる。
加えて、地震時においては、ラックの頂部における応答加速度を900cm/s以下、荷滑り変位が10cm以下であって、ラック下部での相対変位を20cm以下、ラック頂部での相対変位を30cm以下に抑えることができる。この結果、塔状比が大きいラックにおいても、所望とする優れた免震効果を発揮して荷崩れや荷物落下が生じることを防止することができる。
さらに、転がり支承5およびすべり支承6による免震装置に加えて、減衰機能を有するオイルダンパー7を設置しているために、免震効果を極力高めるために免震層の摩擦係数μ小さい値に設定した場合においても、オイルダンパー7によって減衰性を付与することによりラック3の変位を小さくすることができる。
また、図4に示したように、転がり支承5のボール11およびすべり支承6の摺動部材12が、共に球面すべり板9、10における同じ曲率の凹球面9a、10a上を転動または摺動するために、復元バネ8を省略した場合においても、地震後にラックを原位置に復帰させることができる。しかも、転がり支承5のボール11およびすべり支承6の摺動部材12が、同一曲率の凹球面9a、10a上を移動するために、免震層を一体として上下動させることができる。
1 免震架台(ラックの設置部)
3 ラック
4 倉庫床
5 転がり支承
6 すべり支承
7 オイルダンパー(ダンパー)
9a、10a 凹球面
11 ボール(転がり部材)
12 摺動部材

Claims (2)

  1. 走行自在に設けられたスタッカークレーンと、このスタッカークレーンの走行方向に沿って設置されたラックとを備え、上記ラックの設置部と倉庫床との間に摩擦係数μが0.05以下の免震層が形成された自動ラック倉庫におけるラックの免震構造であって、
    上記免震層は、
    同一の曲率の凹球面を有する複数の球面すべり板と、当該球面すべり板の凹球面に転動自在に配置されて上記ラックを支持する転がり部材と、上記転がり部材が配置された球面すべり板とは別の上記球面すべり板の凹球面に摺動自在に配置されて上記ラックを支持する摺動部材とを備え
    上記ラックの総重量に対する上記スタッカークレーンの重量比をr、上記スタッカークレーンの最大走行加速度をα(m/s)、重力加速度をg(m/s)としたときに、上記摩擦係数μがr・α/g<μとなる
    ことを特徴とする自動ラック倉庫におけるラックの免震構造。
  2. 上記免震層は
    減衰機能を有するダンパーをさらに備えており、
    全体の減衰定数hが、
    0.3≦h<1
    の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の自動ラック倉庫におけるラックの免震構造。
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