JP6080719B2 - ラック制振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ラック制振装置に関する。
物流システムの効率化のため、複数のラックを平行に並べて配置し、ラック間の床部に敷設されたレール上にスタッカクレーンを走行可能に設置して構成された立体自動倉庫が知られている。スタッカクレーンは、主柱に沿って昇降する荷台と、パレット上の荷の積み下ろしを行うフォークとを備えてなる。ラックは、スタッカクレーンによる荷の積み下ろしが可能なように、クレーン側の面に開口部が設けられている。この開口部には、フォークと平行に所定の幅の腕木が配置されており、保管する荷を積載したパレットを腕木の上に載置して収納するようになっている。
このような構造では、ラック構造体が地震によって揺れると、荷崩れを起すなどしてパレットが腕木から落下してしまうおそれがあるので、以下のような制振対策を施すようになっていた。従来の制振対策としては、ラック構造体の固有振動数に応じて調整された可動質量と可動質量の振動を減衰するためのダンパーとを備えた、いわゆるチューンド・マス・ダンパー(TMD)をラック頂部に設置する構造があった。従来のTMDとしては、制振対象物の固有周期に同調させた可動質量に所定のクリアランスを設けて規制ユニットを設け、可動質量の移動量が所定量より大きくなったときに規制ユニットが共動して、TMDの同調周期を変更することによりTMDの移動量を抑える制振装置方法があった(特許文献1,2参照)。このようなTMDによれば、地震の大きさに関わらず制振効果を得ることができる。
特開2011−220510号公報 特開2011−220511号公報
しかしながら、特許文献1,2の制振装置では、TMDの周期を共振振幅の谷となるように設定しているため、同調振動数以外では制振効果が低下してしまう問題があった。
一方、TMD方式の場合には、制振対象物であるラック構造体の周期に同調させる必要があるので、付加質量の周期の調整に多くの手間と時間を要するという問題があった。さらに、荷の積載状態によって積載重量が変化するラック構造体においては、TMDの制振効果を常に発揮させるのは困難であるという問題があった。
このような観点から、本発明は、荷の積載状態に関わらず、常に大きい制振効果を発揮できるラック制振装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決するための請求項1に係る発明は、ラックに設けられる制振装置であって、小振動に対応可能に設定された第一減衰装置と、当該第一減衰装置と合わさることで大振動に対応可能に設定された第二減衰装置とを備えており、前記第一減衰装置は、可動質量と周期調整ばねと第一ダンパーとを備え、小振動用に減衰性能が設定され、前記可動質量は、制振対象物の全質量の4%〜10%の質量を有しており、前記第二減衰装置は、第二ダンパーと、前記可動質量と隙間をあけて前記可動質量の外側に配置され前記第二ダンパーに接続された枠材とを備え、前記可動質量には、前記可動質量が前記枠材に当接したときに、前記可動質量を前記枠材に固定するロック機構が設けられており、前記第二ダンパーは、前記可動質量が前記クリアランスを超えて移動したときに、第一ダンパーと合わせて減衰力を付与することを特徴とするラック制振装置である。
通常のTMDでは可動質量は制振対象物の全質量の1%程度であるところを、本発明では4%〜10%として重くした上で減衰性能を設定したことによって、荷の積載状態に関わらず常に大きい制振効果を得られる。また、中小地震時には、第一減衰装置でTMDとして最大限に効果を発揮し、大地震時で一定の振幅を超える場合(可動質量がクリアランスを超えて移動するとき)には、第一ダンパーと第二ダンパーを合わせて過減力を付与することで制振効果を発揮するので、地震の大きさに関わらず、常に大きい制振効果を発揮することができる。
請求項2に係る発明は、前記第二ダンパーは、前記枠材が単体の状態で過減衰となるように減衰性能が設定されていることを特徴とする。このような構成によれば、簡単な構造で第二減衰装置を構成することができる。また、枠材は、第二ダンパーの減衰力を可動質量に伝えられれば良いので、過大な剛性を必要とせず、軽量なものになる。さらに、枠材は単体で過減衰となるので、可動質量が当たるまでは移動しない。
請求項3に係る発明は、前記第二減衰装置が、前記枠材を原点に復帰させる原点復帰ばねをさらに備えていることを特徴とする。このような構成によれば、枠材を原点に復帰させる作業を省略できる。
本発明の制振装置によれば、荷の積載状態に関わらず、常に大きい制振効果を発揮することができる。
立体自動倉庫の一部を省略して示した全体斜視図である。 本発明の実施形態に係るラック制振装置を示した平面図である。 図2のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 本発明の実施形態に係るラック制振装置を示した正面図である。 本発明の実施形態に係るラック制振装置を示した側面図である。 本発明の他の実施形態に係るラック制振装置を示した側面図である。
本発明の実施形態に係るラック制振装置を、添付した図面を参照しながら説明する。ラック制振装置10は、立体自動倉庫1のラック2の頂部(最上段)に設けられる。図1に示すように、立体自動倉庫1は複数列(本実施形態では2列)のラック2を平行に並べて配置し、ラック2間の床部に敷設されたレール3上にスタッカクレーン4を走行可能に設置して構成されている。
ラック2は、物流システムの効率化のため、多段、多列に配置された複数のパレット収容部を備えている。スタッカクレーン4は、主柱4aに沿って昇降する荷台4bと、パレット5上の荷の積み降ろしを行うフォーク4c(スライド式フォーク)とを備えている。ラック2は、スタッカクレーン4により積み降ろしが出来るように、クレーン側の面に開口を設け、フォーク4cと平行に所定の幅で腕木6を配置し、腕木6上に保管する荷を積載したパレット5を収納する構造となっている。
立体自動倉庫1の建屋の入口部分とラック棚の端部との間にはローラコンベア7が設けられている。ローラコンベア7には、建屋の入口部分においてフォークリフト(図示せず)などでパレットが載置される。ローラコンベア7上に載置されたパレット(図示せず)は、ラック棚側に移送された後、スタッカクレーン4にて積み上げられて搬送され所望位置のラック2に収容される。
なお、本実施形態においては、スタッカクレーン4側からラック制振装置10を見た方向を正面とする。また、スタッカクレーン4のフォーク4cの移動方向をX軸方向とし、クレーン側前面の開口幅方向をY軸方向とし、高さ方向をZ軸方向として説明する。
図2および図3に示すように、ラック制振装置10は、腕木6上に設置されている。腕木6は、X軸方向に隣り合うはね出し部材12,12の先端部に支持されている。はね出し部材12,12は、X軸方向に隣り合う支柱11,11からそれぞれY軸方向に張り出している。腕木6とはね出し部材12は、クレーン側の面に形成された開口(図3参照)の両側にそれぞれ設けられている。これら腕木6とはね出し部材12の先端部がパレットの載置部を構成している。
ラック制振装置10は、小振動に対応可能に設定された第一減衰装置20と、この第一減衰装置20と合わさることで大振動に対応可能に設定された第二減衰装置50とを備えている。第一減衰装置20は、小振動用に減衰性能が設定されたチューンド・マス・ダンパー(以下、「TMD」という)であり、可動質量21と周期調整ばね22と第一ダンパー23とフレーム30とを備えている。
可動質量21は、水平一方向に移動可能であり、フレーム30に支持されている。可動質量21は、平らな直方体形状を呈している(図2では、可動質量21を仮想線にて示しその下方を図示している)。なお、可動質量21の形状は直方体に囚われる必要はない。可動質量21は、制振対象物の全質量(ラック2の積載物(最大積載荷重)を含む全質量)の4%〜10%の質量を有している。たとえば、可動質量21の質量を制振対象物の全質量の10%に設定すると、10段のラック2であれば、ほぼ1段分の積載物の質量に相当する。なお、ラック制振装置10が複数設けられている場合は、複数の可動質量21を合わせた質量が、制振対象物の全質量の4%〜10%となるようにする。
図2乃至図4に示すように、フレーム30は、可動質量21を摺動可能に支持する。フレーム30は、上部フレーム31と下部フレーム32とを備えてなる。
上部フレーム31は、横材を矩形に組み合わせた枠状を呈している(図2参照)。上部フレーム31の下部には、下部フレーム32が固定されている。上部フレーム31には、可動質量21を摺動可能に支持する摺動部33が設けられている。摺動部33は、リニアガイドまたはすべり材を用いる。
すべり材を摺動部33とする場合は、図3に示すような構造となる。摺動部33は、直線状のガイド部材34と、ガイド部材34に設けられた摺動材35と、摺動材35上を滑る移動部材36とを備えている。ガイド部材34は、下方に突出する山形状を呈し、可動質量21の摺動方向(本実施形態ではX方向)に延在している。ガイド部材34は、上部が開口しており、摺動材35は、ガイド部材34の上面に設けられている。摺動材35は、例えば、フッ素樹脂のような摩擦係数の小さいすべり材にて構成され、ガイド部材34に沿って敷設されている。移動部材36は、摺動材35と面接触するように、下面が下方に山形状に突出している。移動部材36は、上部が可動質量21の底面に固定され、可動質量21と一体化して摺動材35上を摺動する。
図4に示すように、下部フレーム32は、可動質量21の摺動方向に直交する水平方向(Y軸方向)に延在してなる。下部フレーム32は、例えば角パイプや溝型鋼などの鋼材などで構成されている。本実施形態では、3本の下部フレーム32がX方向に間隔をあけて並設されている。下部フレーム32の下部には、底板45が設けられており、下部フレーム32の両端部は、腕木6またははね出し部材12の先端部上に底板45を介して載置される。
底板45は、ラック制振装置10の最下部に配置される部材であって、下面がフラットな平板状を呈して、フレーム30を下側から覆っている。底板45は、平面視矩形形状を呈しており、下部フレーム32の下面に固定されている。底板45の平面サイズは、下部フレーム32の全体よりわずかにはみ出す大きさに形成されている。底板45は、腕木6上に載置される。このような底板45によれば、オイルダンパー等からオイル漏れが発生した場合に、下方に保管している荷にオイルが漏れ落ちないようにするためのオイルパンの役目を果たすことができる。さらに、底板45の下面を平滑にしたことで、ラック制振装置10を、ローラコンベア7(図1参照)等で搬送することができる。
下部フレーム32は、Y軸方向に延在して、X軸方向に間隔をあけて配置されているので、上部フレーム31と下部フレーム32と底板45によって、フォークリフトの爪が挿入できる爪挿入空間が区画形成されている。この爪挿入空間は、スタッカクレーン4のフォーク4cの移動方向と直交する方向(Y軸方向)にフォークリフトの爪を挿入できるように構成されている。なお、本実施形態では、スタッカクレーン4(図1参照)のフォークとフォークリフトの爪の挿入方向が直交する構成となっているが、施設によっては、スタッカクレーンのフォークとフォークリフトの爪の挿入方向が同じになる場合がある。この場合には、下部フレームの延在方向をX軸方向とすればよい。
図2乃至図4に示すように、可動質量21と上部フレーム31との間には複数の周期調整ばね22が設けられている。周期調整ばね22は、可動質量21の周期を調整するとともに、地震時に移動した可動質量21を原点に復帰させるものである。周期調整ばね22は、可動質量21の摺動方向(X軸方向)に沿って複数設けられている。周期調整ばね22の一端は、可動質量21の底面に設けられたブラケット24に連結されている。ブラケット24は、X軸方向中間部近傍に下方に延出して設けられている。周期調整ばね22の他端は、上部フレーム31の内側面に設けられたブラケット37に連結されている。
可動質量21と上部フレーム31との間には第一ダンパー23が設けられている。第一ダンパー23は、可動質量21の摺動方向(X軸方向)に減衰力を発生させるように、可動質量21の摺動方向に沿って配置されている。第一ダンパー23は、小振動に対応可能なように減衰性能が設定されている。第一ダンパー23の一端は、可動質量21の底面に設けられたブラケット25に連結されている。第一ダンパー23の他端は、上部フレーム31の上面に設けられたブラケット38に連結されている。第一ダンパー23は、例えばオイルダンパーからなるがこれに限定されるものではなく、粘弾性ダンパーや鋼材、摩擦を用いた履歴系のダンパーなどの他の方式のダンパーでもよい。
図2、図5および図6に示すように、第二減衰装置50は、可動質量21との間にクリアランスを備えて可動質量21の外側に配置されている。第二減衰装置50は、第一減衰装置20の減衰性能と合わせて過減衰となるように減衰性能が設定されている。第二減衰装置50は、可動質量21と隙間をあけて配置された枠材51と、枠材51に接続された第二ダンパー52と原点復帰ばね53とを備えている。
枠材51は、アングル材を枠状に組み付けて構成された鋼製枠からなる。枠材51は、可動質量21の四周にわたって所定のクリアランスをあけて可動質量21を囲むように配置されている。可動質量21の摺動方向(X軸方向)における可動質量21と枠材51とのクリアランスは、第一減衰装置20で対応可能な中小地震時における可動質量21の摺動距離の上限値と同等に設定されている。つまり、中小地震時には可動質量21は枠材51に当接せず単体で摺動し、大地震時には可動質量21は枠材51の内側面に当接して枠材51と共働するようになっている。枠材51は、第二ダンパー52の減衰力を可動質量21に伝達するものであるので、過大な剛性は必要とせず軽量なものでよい。
枠材51は、上部フレーム31上に摺動可能に支持されている。枠材51は、可動質量21を支持する摺動部33のガイド部材34および摺動材35上に支持されており、可動質量21の摺動方向(X軸方向)と同じ方向に摺動する。枠材51の下面には、摺動材35上を滑る移動部材54が固定されている。この移動部材54は、可動質量21の下部の移動部材36と同等の形状である。移動部材54は、枠材51と一体化して摺動材35上を摺動する。
第二ダンパー52は、可動質量21および枠材51の摺動方向(X軸方向)に減衰力を発生させるように、可動質量21の摺動方向に沿って配置されている。第二ダンパー52は、可動質量21が前記クリアランスを超えて移動したときに、第一ダンパー23と合わせて減衰力を付与する。第一ダンパー23の減衰性能と第二ダンパー52の減衰性能とを合わせてラック制振装置10全体の減衰性能が過大となり大振動に対応可能となる。また、第二ダンパー52は、枠材51が単体の状態で過減衰となるように減衰性能が設定されている。具体的には、第二ダンパー52は、第一ダンパー23と同等以上の減衰力を枠材51に付与する。これによって、枠材51単独では、自由振動における振動と非振動の境界である臨界減衰を超えて過減衰振動となり、ラック2に対して相対的に移動しない状態となる。可動質量21が枠材51に当接した状態では、枠材51は、可動質量21に対し相対的に振動しない状態(可動質量21と枠材51が共働する状態)となる。
第二ダンパー52は、X軸方向に見て枠材51の両端部にそれぞれ一対ずつ設けられている(図2参照)。一対の第二ダンパー52,52は、Y軸方向に見て第一ダンパー23を中心として対象配置されている。第二ダンパー52の一端は、枠材51のアングル材に連結されている。第二ダンパー52の他端は、上部フレーム31の上面に設けられたブラケット39に連結されている。第二ダンパー52は、例えばオイルダンパーからなる。
原点復帰ばね53は、地震時に移動した枠材51を原点に復帰させるものである。原点復帰ばね53は、X軸方向に見て枠材51の両端部にそれぞれ一対ずつ設けられている。一対の原点復帰ばね53,53の一端は、Y軸方向に延在するアングル材の両端外側にそれぞれ連結されている。第二ダンパー52の他端は、上部フレーム31の上面に設けられたブラケット40に連結されている。
なお、第二ダンパー52は、オイルダンパーに代えて、粘弾性ダンパーや鋼材、摩擦を用いた履歴系のダンパーなどの他の方式のダンパーとしてもよい。第二ダンパー52に、粘弾性ダンパーや鋼材ダンパーなどのように剛性を有し原点復帰可能なダンパーを採用した場合には、図7に示すように、原点復帰ばね53と枠材52を省略して、第二ダンパー52の一端を上部フレーム31の上面に設けられたブラケット39に固定するとともに、第二ダンパー52の他端を可動質量21に対してクリアランスをあけて対向配置すればよい。
図4に示すように、可動質量21の摺動方向の端部には、可動質量21を枠材51に固定するためのロック機構26が設けられている。ロック機構26は、可動質量21が枠材51に当接したときに、アングル材に噛み合うことで固定される。図4の拡大図の定常状態に示すように、ロック機構26は、可動質量21の端面にピン結合された係止部材27と、係止部材27をロック位置に固定するための固定ブロック28と、固定ブロック28および係止部材27を原位置に戻すバネ29a,29bと、ダンパー29cとを備えている。係止部材27は、断面U字状を呈するとともに上面に立上り部27aが形成されており、定常状態では斜めの状態で設置されている。
地震などの揺れによって可動質量21が枠材51に当接すると、係止部材27がアングル材に押されて、可動質量21の側面に係止部材27のU字の一側面が当接するように回動する(図4中、拡大図のロック状態を参照)。すると、係止部材27の立上り部27aが可動質量21の側面から離れるとともに、固定ブロック28が、バネ29bを介して係止部材27に引っ張られて、係止部材27の立上り部27aと可動質量21の側面との間に入り込む。これによって、係止部材27がロック状態で固定される。大地震の振動が続いている間は、係止部材27がロック状態で固定されており、可動質量21と枠材51が一体的に移動する。このような構成によれば、大地震の振動時には、可動質量21と枠材51が一体化され、第一減衰装置20の減衰性能と第二減衰装置50の減衰性能が合わさって、常に高減衰とすることができる。
なお、地震の揺れが収まると、バネ29a,29bおよびダンパー29cがバランス状態(定常状態)に戻ろうとし、固定ブロック28がバネ29aとダンパー29cによって原位置側に引っ張られて、係止部材27の立上り部27aと可動質量21の側面との間から離れる(図4中、拡大図のロック解除状態を参照)。これによって、係止部材27は回動可能になり、バネ29bによって原位置に戻され(図4中、拡大図の定常状態を参照)、定常状態に戻る。
次に、前記構成のラック制振装置10の具体的な実施例を説明する。第一減衰装置20の可動質量21を制振対象物の全質量の4%に設定し、525kgとなる場合を例に挙げて説明する。可動質量21の質量比が決まると、第一減衰装置20(TMD)の最適周期(T)optと最適減衰定数(h)optは、以下の式により求められる。
(T)opt=(1+μ)T・・・式(1)
(h)opt=√{3μ/8(1+μ)}・・・式(2)
ここで、T:制振対象構造物周期、μ:構造物一般化質量(モーダル解析においてモード分析した際のモード振動系の質量を言い、本実施例では全体質量の1/4程度)に対するTMD可動質量比である。
前記式(1)および式(2)より求められた最適周期は1.49秒、最低減衰定数は0.228となる。これらを実現するための第一ダンパー23の剛性は、92.2N/cmであり、減衰性能をオイルダンパーで与えるとすると、その減衰係数cは、10N/cm/sとなる。これに対し、枠材51の質量は14.8kgであり、可動質量21と枠材51が共働する時の減衰定数がTMD単独の場合の倍以上となるように枠材51に減衰を付与するとして減衰係数12.5N/cm/sのオイルダンパーを設置し、周期を1.5秒となるように2.6N/cmの原点復帰ばね53を設置すると、枠材51単独の減衰定数は1.01となり、臨界減衰を僅かに超える。このとき、可動質量21と枠材51の共働時の固有周期は1.50秒、減衰定数は0.50となる。以上のように、可動質量21を制振対象物の全質量の4%以上とすると、固有周期を変えることなく、減衰定数を倍以上に設定することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係るラック制振装置10によれば、小振動の中小地震時には、第一減衰装置20でTMDとして最大限に効果を発揮する。一方、大振動の大地震時で一定の振幅を超える場合には、第一減衰装置20の減衰力と第二減衰装置50の減衰力を合わせて減衰性能を過大とすることで、可動質量21の移動量を所定範囲に抑えて、制振効果を発揮することができる。したがって、地震の大きさに関わらず、常に大きい制振効果を発揮することができる。このとき、固有周期を変えずに減衰定数を倍以上に設定することができる。
可動質量21の質量を制振対象物の全質量の4%〜10%として重くした上で減衰性能を設定したことによって、ラック2への荷の積載状態に関わらず常に大きい制振効果を得られる。可動質量21の質量の上限を制振対象物の全質量の10%以下とすれば、たとえば、10段のラック棚である場合に、可動質量21がほぼ1段分の積載物の質量より重くならないので、ラック制振装置10を設置するためにラック2を補強する必要はなく、既存のラック2をそのまま利用することが可能となる。
また、第二ダンパー53は、枠材51が単体の状態で過減衰となるように減衰性能が設定されているので、可動質量21が枠材51に当接しないときは、ラック2に対して相対的に移動しない状態となる。したがって、大振動時であっても枠材51はラック2と共に揺れるので、可動質量21が所定のクリアランスを超えて移動したときに、必ず枠材51に当接することができる。よって、大振動時には、枠材51が可動質量21から逃げることがなく、可動質量21と枠材51が共働する状態となる。
さらに、第二減衰装置50が、枠材51と第二ダンパー52と原点復帰ばね53とを備えて構成されているので、簡単な構造で構成することができる。また、枠材51は、第二ダンパー52の減衰力を可動質量21に伝えられれば良いので、過大な剛性を必要とせず、軽量なものとすることができる。さらに、地震時に移動した枠材51を原点に復帰させる作業を省略できる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、前記実施形態ではラックの最上段にラック制振装置10を設置しているが、最上段に限定されるものではなく、ラックの上部であれば、最上段よりも下の段であっても制振効果を得ることができる。
また、前記実施形態では、第一減衰装置20をTMDにて構成しているが、これに限定されるものではなく、可動質量の質量を大きくするとともに減衰性能を過減衰としたマスダンパーとしてもよい。このような構成によっても、荷の積載状態に関わらず、常に大きい制振効果を発揮することができる。
2 ラック
10 ラック制振装置
20 第一減衰装置
21 可動質量
22 周期調整ばね
23 第一ダンパー
50 第二減衰装置
51 枠材
52 第二ダンパー
53 原点復帰ばね

Claims (3)

  1. ラックに設けられる制振装置であって、
    小振動に対応可能に設定された第一減衰装置と、当該第一減衰装置と合わさることで大振動に対応可能に設定された第二減衰装置とを備えており、
    前記第一減衰装置は、可動質量と周期調整ばねと第一ダンパーとを備え、小振動用に減衰性能が設定され、
    前記可動質量は、制振対象物の全質量の4%〜10%の質量を有しており、
    前記第二減衰装置は、第二ダンパーと、前記可動質量と隙間をあけて前記可動質量の外側に配置され前記第二ダンパーに接続された枠材とを備え、
    前記可動質量には、前記可動質量が前記枠材に当接したときに、前記可動質量を前記枠材に固定するロック機構が設けられており、
    前記第二ダンパーは、前記可動質量が前記クリアランスを超えて移動したときに、第一ダンパーと合わせて減衰力を付与する
    ことを特徴とするラック制振装置。
  2. 記第二ダンパーは、前記枠材が単体の状態で過減衰となるように減衰性能が設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のラック制振装置。
  3. 前記第二減衰装置は、前記枠材を原点に復帰させる原点復帰ばねをさらに備えている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラック制振装置。
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