JP6418247B2 - 有機エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6418247B2
JP6418247B2 JP2016559097A JP2016559097A JP6418247B2 JP 6418247 B2 JP6418247 B2 JP 6418247B2 JP 2016559097 A JP2016559097 A JP 2016559097A JP 2016559097 A JP2016559097 A JP 2016559097A JP 6418247 B2 JP6418247 B2 JP 6418247B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
charge transporting
transporting compound
organic
layer
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016559097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016076375A1 (ja
Inventor
石塚 健一
健一 石塚
重昭 舟生
重昭 舟生
直紀 浅野
直紀 浅野
大輔 龍崎
大輔 龍崎
啓 高井良
啓 高井良
優規 吉成
優規 吉成
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Publication of JPWO2016076375A1 publication Critical patent/JPWO2016076375A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6418247B2 publication Critical patent/JP6418247B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/14Carrier transporting layers
    • GPHYSICS
    • G09EDUCATION; CRYPTOGRAPHY; DISPLAY; ADVERTISING; SEALS
    • G09FDISPLAYING; ADVERTISING; SIGNS; LABELS OR NAME-PLATES; SEALS
    • G09F9/00Indicating arrangements for variable information in which the information is built-up on a support by selection or combination of individual elements
    • G09F9/30Indicating arrangements for variable information in which the information is built-up on a support by selection or combination of individual elements in which the desired character or characters are formed by combining individual elements
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/02Details
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/10Apparatus or processes specially adapted to the manufacture of electroluminescent light sources
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/12Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/14Carrier transporting layers
    • H10K50/15Hole transporting layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass
    • H10K71/10Deposition of organic active material
    • H10K71/12Deposition of organic active material using liquid deposition, e.g. spin coating
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/17Carrier injection layers

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

本発明の実施形態は、有機エレクトロルミネセンス素子(「有機EL素子」ともいう。)、有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプ等の代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子化合物が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子化合物が用いられる。一方、有機EL素子の製造方法は、主に真空系で成膜が行われる乾式プロセスと、凸版印刷、凹版印刷等の有版印刷、インクジェット等の無版印刷などにより成膜が行われる湿式プロセスとの2つに大別される。
一方、有機EL素子では、寿命、発光効率等の素子特性を向上させるため、素子を構成する有機層の多層化が行われている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。しかし、上記用途への適用においてはまだ不十分な面があり、素子特性の改善が求められているのが現状である。
特開2006−279007号公報
廣瀬健吾、熊木大介、小池信明、栗山晃、池畑誠一郎、時任静士、第53回応用物理学関係連合講演会、26p−ZK−4(2006)
本発明の実施形態は、上記に鑑み、寿命特性を向上させた有機EL素子及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の実施形態は、寿命特性を向上させた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、有機EL素子の寿命特性の向上に適した素子構成を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の実施形態は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有し、前記電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)を含有し、かつ、前記陽極側から順に、第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有し、前記第一の領域及び前記第二の領域における前記電荷輸送性化合物(A)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(B)の含有量の割合をそれぞれB1/A1及びB2/A2とし、前記第二の領域及び前記第三の領域における前記電荷輸送性化合物(B)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(A)の含有量の割合をそれぞれA2/B2及びA3/B3とした場合、下記式(I)及び式(II)の関係を満たす、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
また、本発明の他の実施形態は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有し、前記電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物及び溶媒を含有する一種又は二種以上の組成物を用いて形成された有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)を含有し、かつ、前記陽極側から順に、第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有し、前記第一の領域及び前記第二の領域における前記電荷輸送性化合物(A)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(B)の含有量の割合をそれぞれB1/A1及びB2/A2とし、前記第二の領域及び前記第三の領域における前記電荷輸送性化合物(B)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(A)の含有量の割合をそれぞれA2/B2及びA3/B3とした場合、下記式(I)及び式(II)の関係を満たす、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
また、本発明の他の実施形態は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記電荷輸送性層が、前記陽極側から順に、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を有し、前記第一の有機層が電荷輸送性化合物(A)を含有し、前記第二の有機層が前記電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)とを含有し、前記第三の有機層が前記電荷輸送性化合物(B)を含有する、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
また、本発明の他の実施形態は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記電荷輸送性層が、前記陽極側から順に、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を有し、前記第一の有機層が、電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する組成物により形成され、前記第二の有機層が、前記電荷輸送性化合物(A)と、電荷輸送性化合物(B)と、溶媒とを含有する組成物により形成され、前記第三の有機層が、前記電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物により形成された、有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
また、本発明の他の実施形態は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、前記電荷輸送性層を、電荷輸送性化合物及び溶媒を含有する一種又は二種以上の組成物を用いて形成する工程を含み、前記電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)を含有し、かつ、前記陽極側から順に、第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有し、前記第一の領域及び前記第二の領域における前記電荷輸送性化合物(A)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(B)の含有量の割合をそれぞれB1/A1及びB2/A2とし、前記第二の領域及び前記第三の領域における前記電荷輸送性化合物(B)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(A)の含有量の割合をそれぞれA2/B2及びA3/B3とした場合、下記式(I)及び式(II)の関係を満たす、有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法に関する。
さらに、本発明の他の実施形態は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極を有し、前記電荷輸送性層が、前記陽極側から順に、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を有する有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する組成物を用いて前記第一の有機層を形成する工程、前記電荷輸送性化合物(A)と、電荷輸送性化合物(B)と、溶媒とを含有する組成物を用いて前記第二の有機層を形成する工程、及び前記電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物を用いて前記第三の有機層を形成する工程、を含む、有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法に関する。
また、本発明の他の実施形態は、前記いずれか有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子及び照明装置、並びに、当該照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた表示装置に関する。
本発明は、平成26年11月11日に出願された特願2014−228922号に記載の主題と関連しており、その開示内容は、参照によりここに援用される。
本発明の実施形態によれば、寿命特性を向上させた有機EL素子及びその製造方法を提供できる。また、本発明の実施形態によれば、寿命特性を向上させた表示素子、照明装置、及び表示装置を提供できる。
本発明の実施形態である有機EL素子の一例を示す断面模式図である。 本発明の実施形態である有機EL素子の一例を示す断面模式図である。 有機EL素子の一例を示す模式図である。
本発明の実施形態について説明する。
<有機EL素子及びその製造方法>
本発明の実施形態である有機EL素子は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有し、更に他の任意の層を有してもよい。例えば、電荷輸送性層は、電荷輸送性化合物及び溶媒を含有する一種又は二種以上の組成物を用いて形成される。
電荷輸送性層は、電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)とを含有する。後述するように、電荷輸送性層の形成には、電荷輸送性化合物(A)及び/又は電荷輸送性化合物(B)の少なくとも一方に、重合可能な置換基を有する化合物が用いられる場合がある。本実施形態の電荷輸送性層には、電荷輸送性化合物(A)及び/又は電荷輸送性化合物(B)を、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)の少なくとも一方を含む重合物(「硬化物」ともいう)の形態で含有する層も含まれるものとする。電荷輸送性層が含有する電荷輸送性化合物(A)及び/又は電荷輸送性化合物(B)の形態として、これらそのものと、例えば、重合物、反応物、分解物等のこれらから誘導される化合物とが挙げられる。
一実施形態において、電荷輸送性層は、陽極側から順に、第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有する。第一の領域及び第二の領域における電荷輸送性化合物(A)の含有量に対する電荷輸送性化合物(B)の含有量の割合をそれぞれB1/A1及びB2/A2とし、第二の領域及び第三の領域における電荷輸送性化合物(B)の含有量に対する電荷輸送性化合物(A)の含有量の割合をそれぞれA2/B2及びA3/B3とした場合、下記式(I)及び式(II)の関係を満たす。
また、一実施形態において、電荷輸送性層は、陽極側から順に、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を有する。例えば、第一の有機層は、電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する組成物により形成され、第二の有機層は、電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物により形成され、第三の有機層は、前記電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物により形成される。
以下、有機EL素子に含まれる領域、有機層、電荷輸送性化合物等、及び、有機EL素子の製造に用いられる組成物、溶媒等について説明する。
[領域]
第一の領域、第二の領域、及び第三の領域は、それぞれ、電荷輸送性層中の一部分を意味する。領域と領域との間に必ずしも界面は存在しない。すなわち、一実施形態においては、領域と領域との間に界面が存在し、他の一実施形態においては、領域と領域との間に界面が存在しない。更に他の一実施形態においては、第一の領域と第二の領域の間、及び、第二の領域と第三の領域の間のいずれか一方には界面が存在し、もう一方には界面が存在しない。
本実施形態において、「界面」の存在は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認できる。具体的には、電荷輸送性層の断面をTEMによって観察し、境界線の有無を確認する。
例えば、第一の領域と第二の領域の間、及び、第二の領域と第三の領域の間に界面が存在する場合、各領域は、独立した一つの層として存在する。すなわち、電荷輸送性層は、前記第一の領域として第一の有機層と、前記第二の領域として第二の有機層と、前記第三の領域として第三の有機層とを有する。
本実施形態において、電荷輸送性層が、式(I)及び式(II)の関係を満たす第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有するものであることは、例えば、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)により確認できる。具体的には、電荷輸送性層の断面をTOF−SIMSによって表面分析し、電荷輸送性層の深さ方向に構成元素の比率の分布を得る。断面は、電荷輸送性層の表面を、当該表面に対して浅い角度で斜めに切削して得られる面であることが好ましい。次いで、構成元素の比率の分布を利用して電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)の含有量の分布を求める。その後、含有量の分布から、電荷輸送性層が式(I)及び式(II)を満たす三つの領域を有するか否か確認する。「含有量」とは、構成元素の比率を利用して求めた、「電荷輸送性化合物(A)の質量/(電荷輸送性化合物(A)の質量+電荷輸送性化合物(B)の質量)×100[質量%]」と、「電荷輸送性化合物(B)の質量/(電荷輸送性化合物(A)の質量+電荷輸送性化合物(B)の質量)×100[質量%]」とを意味する。なお、電荷輸送性化合物(A)及び/又は電荷輸送性化合物(B)が、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)の少なくとも一方を含む硬化物(例えば、電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)とを含む硬化物)として存在する場合であっても、TOF−SIMSによって得られる構成元素の比率の分布に従って、電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)の含有量の分布を求めることとする。電荷輸送性層が式(I)及び式(II)を満たす三つの領域を有するか否か確認する際には、式(I)及び式(II)を満たすように各領域に区分することができる。但し、電荷輸送性層内に界面が確認できる場合は、当該界面を各領域の境界とすることとする。界面が確認できない場合は、例えば、電荷輸送性層を等しい厚さに三等分し、それぞれを各領域としてもよい。また、界面が一つのみ確認できる場合は、当該界面を、第一の領域と第二の領域、又は、第二の領域と第三の領域の境界とする。この場合、例えば、残りの電荷輸送性層を等しい厚さに二等分し、残りの二つの領域としてもよい。いずれの場合も、各領域内に界面が存在することのないように三つの領域を区分する。
B2/A2及びA2/B2の値は、電荷輸送性化合物をバランスよく存在させ、電荷の輸送性を向上させる観点から、2/8以上が好ましく、3/7以上がより好ましく、4/6以上が更に好ましい。また、B2/A2及びA2/B2の値は、同様の観点から、8/2以下が好ましく、7/3以下がより好ましく、6/4以下が更に好ましい。
B1/A1及びA3/B3の値は、それぞれ下層(例えば、陽極)又は上層(例えば、発光層)との適合性に優れる材料を用いるという観点から、3/7未満が好ましく、2/8未満がより好ましく、1/9未満が更に好ましい。また、B1/A1及びA3/B3の値は0以上であり、下限は特に限定されない。
(領域の形成方法)
第一の領域、第二の領域、及び第三の領域は、例えば、電荷輸送性化合物及び溶媒を含有する組成物を用いて形成される。領域の形成方法の例を以下に示す。ただし、領域の形成方法は以下に限定されない。
領域の形成方法の一例においては、電荷輸送性化合物(A)と、電荷輸送性化合物(B)と、溶媒とを含有する組成物を用いて、電荷輸送性層を形成する。この際、電荷輸送性化合物(A)が有する置換基の種類と、電荷輸送性化合物(B)が有する置換基の種類とを相違させる。例えば、電荷輸送性化合物(B)として、直鎖、環状又は分岐アルキル基;直鎖、環状又は分岐アルキル基であって、水素原子の一部がフッ素置換されたアルキル基;直鎖、環状又は分岐アルキル基であって、水素原子の全部がフッ素置換されたアルキル基(パーフルオロアルキル基);パーフルオロポリエーテル基;及び、シリルオキシ基からなる群から選択される少なくとも一種を導入した化合物を使用する。アルキル基の炭素数は、好ましくは10〜22個である。一方、電荷輸送性化合物(A)として、これらの置換基が導入されていない化合物を使用する。この組成物によって陽極上に電荷輸送性層を成膜すると、電荷輸送性化合物(B)を発光層側に偏在又は局在させることができ、結果として第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を形成できる。
また、上述のとおり、各領域は有機層であってよく、第一の領域、第二の領域、及び第三の領域は、以下で説明する有機層の形成方法に従って形成できる。
[有機層]
一実施形態において、電荷輸送性層は、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を有する。第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層の好ましい例を、以下に説明する。
(第一の有機層)
第一の有機層は、例えば、少なくとも電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する第一の組成物によって形成される。電荷輸送性化合物(A)は、有機層に耐溶剤性を付与する観点から重合可能な置換基を有していることが好ましい。第一の組成物は、電荷輸送性化合物(A)の硬化性又は電荷輸送性を向上させる観点から、イオン性化合物を含有していることが好ましい。例えば、第一の有機層は、少なくとも電荷輸送性化合物(A)及び溶媒と、更にイオン性化合物とを含有する第一の組成物を用いて塗布膜を形成し、その後、塗布膜を硬化させることにより得られる。第一の有機層は有機EL素子の正孔注入層であることが好ましい。
第一の有機層の厚さは、陽極に起因する凹凸を覆い、短絡を抑制する観点から、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましく、5nm以上が更に好ましい。また、有機層の電気抵抗を小さくする観点から、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。
(第二の有機層)
第二の有機層は、例えば、少なくとも電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する第二の組成物によって形成される。電荷輸送性化合物(A)及び/又は電荷輸送性化合物(B)は、有機層に耐溶剤性を付与する観点から重合可能な置換基を有していることが好ましい。例えば、第二の有機層は、少なくとも電荷輸送性化合物(A)、電荷輸送性化合物(B)、及び溶媒を含有する第二の組成物を用いて塗布膜を形成し、その後、塗布膜を硬化させることにより得られる。第二の有機層は、好ましくは第一の有機層に隣接して設けられる。一実施形態においては、第二の組成物は、電荷輸送性化合物(A)及び/又は電荷輸送性化合物(B)の硬化性又は電荷輸送性を向上させる観点からイオン性化合物を含有してもよい。また、他の実施形態においては、第二の組成物は、隣接層への影響を考慮し、イオン性化合物を含有しなくてもよい。
第二の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。また、有機層の電気抵抗を小さくする観点から、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。
(第三の有機層)
第三の有機層は、例えば、少なくとも電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物によって形成される。電荷輸送性化合物(B)は、有機層に耐溶剤性を付与する観点から重合可能な置換基を有していることが好ましい。例えば、第三の有機層は、少なくとも電荷輸送性化合物(B)及び溶媒を含有する組成物を用いて塗布膜を形成し、その後、塗布膜を硬化させることにより得られる。第三の有機層は、好ましくは第二の有機層に隣接して設けられる。一実施形態においては、第三の組成物は、電荷輸送性化合物(B)の硬化性又は電荷輸送性を向上させる観点からイオン性化合物を含有してもよい。また、他の実施形態においては、第三の組成物は、隣接層への影響を考慮し、イオン性化合物を含有しなくてもよい。第の有機層は有機EL素子の正孔輸送層であることが好ましい。
第三の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、0.1nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。また、有機層の電気抵抗を小さくする観点から、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。
[電荷輸送性化合物]
電荷輸送性化合物は電荷を輸送する能力を有していればよく、特に限定されない。輸送する電荷としては正孔が好ましい。電荷輸送性化合物は、市販のものでもよく、当業者公知の方法で合成したものであってもよく、特に制限はない。電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)として、それぞれ、下層(例えば、陽極)又は上層(例えば、発光層)との適合性に優れる材料を用いることが好ましい。下層及び上層からの電荷の注入及び電荷の輸送がスムーズに行われる観点から、陽極の仕事関数の絶対値、並びに、電荷輸送性化合物(A)、電荷輸送性化合物(B)、及び発光層材料の最高占有軌道(HOMO)レベルの絶対値が、下記式(III)の関係を満たすことが好ましい。
例えば、電荷輸送性化合物(A)として、正孔注入層の形成に用いられる材料を、電荷輸送性化合物(B)として、正孔輸送層の形成に用いられる材料を選択し、使用できる。
以下、電荷輸送性化合物について説明する。電荷輸送性化合物に関する説明は、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)について適用される。電荷輸送性化合物(B)は電荷輸送性化合物(A)とは異なる化合物である。
電荷輸送性化合物は、一つ又は二つ以上の電荷輸送性を有する構造単位を有する。電荷輸送性を有する構造単位は、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。電荷輸送性を有する構造単位は、原子団として、高い正孔輸送性を有する観点から、芳香環を有するアミン(「芳香族アミン」ともいう。)構造、カルバゾール構造、又はチオフェン構造を含むことが好ましい。芳香族アミンとしては、トリアリールアミンが好ましく、トリフェニルアミンがより好ましい。
電荷輸送性化合物は、一つの構造単位を有する低分子化合物、又は、複数の構造単位を有する高分子化合物(「ポリマー又はオリゴマー」を意味する。)のいずれであってもよい。高純度の材料が容易に得られる観点からは、低分子化合物であることが好ましい。組成物の作製が容易であり、また、成膜性に優れるという観点からは、高分子化合物であることが好ましい。さらに、両者の利点が得られるという観点から、低分子化合物と高分子化合物とを混合して用いることも可能である。
正孔輸送性を有する構造単位の具体例である構造単位(1a)〜(84a)を以下に列挙する。
<構造単位(1a)〜(84a)>
式中、Eは、水素原子又は置換基を表し、例えば、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、−OSiR1011、下記式(1)〜(3)、ハロゲン原子、及び重合可能な置換基を有する基からなる群から選択されるいずれかの基を表す。
〜R14は、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基を表す。
〜R14及び式(1)〜(3)における水素原子は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基(−NR−COR、−CO−NR(Rは水素原子又はアルキル基))、イミド基(−N(CO)Ar、−Ar(CO)NR(Rは水素原子又はアルキル基、Arはアリーレン基))、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基、ヘテロアリール基等が挙げられる。
a、b及びcは、1以上の整数、好ましくは1〜8の整数、より好ましくは1〜4の整数を表す。
重合可能な置換基を有する基については後述する。
式中、Arは、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基、又は、炭素数2〜30個のアリーレン基若しくはヘテロアリーレン基を表す。
Arは置換基を有してもよく、置換基としては、上記Eと同様の基が挙げられる。
式中、X及びZは、それぞれ独立に二価の連結基を表し、特に制限はない。例えば、上記E(ただし、重合可能な置換基を有する基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた基、又は、下記連結基群(A)〜(C)において表される基が挙げられる。
xは、0〜2の整数を表す。
Yは、三価の連結基を表し、特に制限はない。例えば、上記E(ただし、重合可能な置換基を有する基を除く。)のうち水素原子を2個以上有する基から、更に2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
<連結基群(A)〜(C)>
式中、Rとしては、上記Eと同様の基が挙げられる。
本実施形態において、ハロゲン原子としては、例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
なお、以下においても、ハロゲン原子の例として、これらと同様の原子が挙げられる。
本実施形態において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
なお、以下においても、アルキル基の例として、これらと同様の基が挙げられる。
本実施形態において、アリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団であり、ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子1個を除いた原子団である。
アリール基としては、例えば、フェニル、ビフェニル−イル、ターフェニル−イル、トリフェニルベンゼン−イル、ナフタレン−イル、アントラセン−イル、テトラセン−イル、フルオレン−イル、フェナントレン−イル等が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン−イル、ピラジン−イル、キノリン−イル、イソキノリン−イル、アクリジン−イル、フェナントロリン−イル、フラン−イル、ピロール−イル、チオフェン−イル、カルバゾール−イル、オキサゾール−イル、オキサジアゾール−イル、チアジアゾール−イル、トリアゾール−イル、ベンゾオキサゾール−イル、ベンゾオキサジアゾール−イル、ベンゾチアジアゾール−イル、ベンゾトリアゾール−イル、ベンゾチオフェン−イル等が挙げられる。
なお、以下においても、アリール基及びヘテロアリール基の例として、これらと同様の基が挙げられる。
本実施形態において、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり、ヘテロアリーレン基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団である。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン、ビフェニル−ジイル、ターフェニル−ジイル、トリフェニルベンゼン−ジイル、ナフタレン−ジイル、アントラセン−ジイル、テトラセン−ジイル、フルオレン−ジイル、フェナントレン−ジイル等が挙げられる。
ヘテロアリーレン基としては、例えば、ピリジン−ジイル、ピラジン−ジイル、キノリン−ジイル、イソキノリン−ジイル、アクリジン−ジイル、フェナントロリン−ジイル、フラン−ジイル、ピロール−ジイル、チオフェン−ジイル、カルバゾール−ジイル、オキサゾール−ジイル、オキサジアゾール−ジイル、チアジアゾール−ジイル、トリアゾール−ジイル、ベンゾオキサゾール−ジイル、ベンゾオキサジアゾール−ジイル、ベンゾチアジアゾール−ジイル、ベンゾトリアゾール−ジイル、ベンゾチオフェン−ジイル等が挙げられる。
なお、以下においても、アリーレン基及びヘテロアリーレン基の例として、これらと同様の基が挙げられる。
正孔輸送性を有する構造単位の好ましい具体例である構造単位(a1)〜(a6)を以下に列挙する。
<構造単位(a1)〜(a6)>
式中、フェニル基、フェニレン基、カルバゾール−トリイル基、及びチオフェン−ジイル基は置換基を有してもよく、置換基としては、上記Eと同様の基が挙げられる。
電荷輸送性化合物の一実施形態である低分子化合物は、例えば、構造単位(1a)〜(84a)のいずれかを1つ有する。この場合、結合手には、Eが結合する。
以下、電荷輸送性化合物の一実施形態である高分子化合物について説明する。なお、高分子化合物に関する説明(例えば、重合可能な置換基を有する基の説明、例示等)は、矛盾が生じない範囲で低分子化合物にも適用される。
高分子化合物は、電荷輸送性を有する構造単位として、芳香族アミン構造を有する単位、カルバゾール構造を有する単位、及びチオフェン構造を有する単位から選択される構造単位を、一種のみ有していても、又は、二種以上有していてもよい。高分子化合物は、好ましくは芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位を有する。
高分子化合物は、電気的特性の調整のため、上記単位の他に、共重合単位として、上記アリーレン基若しくはヘテロアリーレン基、又は、上記連結基群(A)及び(B)のいずれかで表される構造単位を有してもよい。高分子化合物は、他の共重合単位を、一種のみ有していても、又は、二種以上有していてもよい。
高分子化合物は、分岐鎖を持たない直鎖状の高分子化合物、又は、分岐鎖を持つ分岐状の高分子化合物のいずれであってもよい。分岐鎖は、高分子化合物を構成する構造単位を少なくとも1つ有する。直鎖状の高分子化合物と分岐状の高分子化合物とを併用することも可能である。分子量及び組成物の物性を精密に制御しやすいという観点から、直鎖状の高分子化合物が好ましく、また、分子量を容易に大きくできるという観点から、分岐状の高分子化合物が好ましい。分岐状の高分子化合物は、有機EL素子の耐久性を高める観点からも好ましい。
高分子化合物が分岐鎖を持つことは、高分子化合物がポリマー又はオリゴマー鎖上に分岐部を有し、3個以上の末端を有することを意味する。高分子化合物は、例えば、分岐部として、分岐の起点となる構造単位(「分岐起点構造単位」ともいう。)を有する。高分子化合物は、分岐起点構造単位を、一種のみ有していても、又は、二種以上有していてもよい。
分岐起点構造単位の具体例である構造単位(1b)〜(11b)を以下に列挙する。構造単位(2b)〜(4b)は、芳香族アミン構造を有する構造単位に該当し、構造単位(5b)〜(8b)は、カルバゾール構造を有する構造単位に該当する。
<構造単位(1b)〜(11b)>
式中、Wは、三価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基から、更に1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
Arは、それぞれ独立に二価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。
Yは、二価の連結基を表し、特に制限はない。例えば、上記E(ただし、重合可能な置換基を有する基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた基、又は、上記連結基群(C)において表される基が挙げられる。
Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。
構造単位(1b)〜(11b)は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記Eと同様の基が挙げられる。
高分子化合物の末端の構造単位は、特に限定されない。例えば、上記(1a)〜(84a)のいずれかで表される構造単位(末端の結合手には、Eが結合する。)、又は、芳香族炭化水素構造若しくは芳香族化合物構造を有する構造単位が挙げられる。芳香族炭化水素構造若しくは芳香族化合物構造を有する構造単位として、例えば、以下に示す構造単位(1c)が挙げられる。高分子化合物は、末端の構造単位を、一種のみ有していても、又は、二種以上有していてもよい。
<構造単位(1c)>
式中、Arは、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。末端への重合可能な置換基の導入が容易であるという観点から、Arは、例えばアリール基であり、好ましくはフェニル基である。Arは置換基を有してもよく、置換基としては、上記Eと同様の基が挙げられる。
[重合可能な置換基]
重合可能な置換基(「重合性置換基」ともいう。)とは、重合反応を起こすことにより二分子以上の分子間で結合を形成することが可能な置換基をいう。重合反応により、電荷輸送性化合物の硬化物が得られ、電荷輸送性化合物の溶媒への溶解度が変化し、積層構造を容易に形成することが可能となる。
高分子化合物が重合可能な置換基を有する位置は特に限定されない。重合反応を起すことにより二分子以上の分子間で結合を形成できる位置であればよい。高分子化合物は、重合可能な置換基を末端の構造単位に有していても、重合可能な置換基を末端以外の構造単位に有していても、末端の構造単位と末端以外の構造単位の両方に有していてもよい。好ましくは、重合可能な置換基を少なくとも末端の構造単位に有する。
重合可能な置換基としては、炭素−炭素多重結合を有する基;環状構造を有する基(芳香族複素環構造を有する基を除く。);芳香族複素環構造を有する基;シロキサン誘導体を含有する基;エステル結合又はアミド結合を形成することが可能な基の組み合わせ等が挙げられる。
炭素−炭素多重結合を有する基としては、炭素−炭素二重結合を有する基及び炭素−炭素三重結合を有する基が挙げられ、具体的には、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基、スチリル基等;アリル基、ブテニル基、ビニル基(ただし、前記に挙げた基を除く。)等のアルケニル基;エチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
環状構造を有する基としては、環状アルキル構造を有する基、環状エーテル構造を有する基、ラクトン基(環状エステル構造を有する基)、ラクタム基(環状アミド構造を有する基)等が挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、カルデン基(1,2−ジヒドロベンゾシクロブテン基)、エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル
基)、ジケテン基、エピスルフィド基、α−ラクトン基、β−ラクトン基、α−ラクタム基、β−ラクタム基等が挙げられる。
芳香族複素環構造を有する基としては、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基等が挙げられる。
エステル結合又はアミド結合を形成することが可能な基の組み合わせとしては、カルボキシル基とヒドロキシル基の組み合わせ、又は、カルボキシル基とアミノ基の組み合わせ等が挙げられる。
高分子化合物一分子あたりの重合可能な置換基数は、硬化性に優れる観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合可能な置換基数は、高分子化合物の安定性の観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
高分子化合物は、「重合可能な置換基」を「重合可能な置換基を有する基」として有してもよい。重合可能な置換基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点から、重合可能な置換基を有する基がアルキレン部位を有し、重合可能な置換基が、当該アルキレン部位に結合していることが好ましい。アルキレン部位としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン等の直鎖状のアルキレン部位が挙げられる。アルキレン部位の炭素数は1〜8であることが好ましい。
高分子化合物、特に電荷輸送性化合物(A)は、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点から、重合可能な置換基を有する基が親水性部位を有し、重合可能な置換基が当該親水性部位に結合していることが好ましい。親水性部位としては、例えば、オキシメチレン構造、オキシエチレン構造等のオキシアルキレン構造;ポリオキシメチレン構造、ポリオキシエチレン構造等のポリアルキレンオキシ構造などの直鎖状の親水性部位が挙げられる。親水性部位の炭素数は1〜8であることが好ましい。
また、高分子化合物の調製が容易になるという観点から、重合可能な置換基を有する基は、アルキレン部位又は親水性部位と、重合可能な置換基及び/又は電荷を輸送する能力を有する原子団との連結部が、エーテル結合、エステル結合等を含んでいてもよい。
なお、本実施形態において、「重合可能な置換基を有する基」の例には、「重合可能な置換基」そのものも含まれるものとする。
重合可能な置換基を有する基の具体例として、置換基群(A)〜(N)を以下に示す。
<置換基群(A)〜(N)>
高分子化合物は、重合可能な置換基を分子鎖の末端に有することが好ましい。この場合、高分子化合物は、末端の構造単位として、「重合可能な置換基を有する基」を有する構造単位を有すればよい。具体的には、上記置換基群(A)〜(N)において表される基のいずれかを有する構造単位(1c)が挙げられる。
高分子化合物は、一種の構造単位を有する単独重合体であっても、二種以上の構造単位を有する共重合体であってもよい。高分子化合物が共重合体である場合、共重合体は、交互、ランダム、ブロック、又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する共重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。
高分子化合物が構造単位(1a)〜(84a)のいずれかを有する場合、高分子化合物中の全構造単位数に対する構造単位(1a)〜(84a)の全数の割合は、十分な電荷輸送性を得るという観点から、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。また、構造単位(1a)〜(84a)の全数の割合は、一実施形態においては、高い電荷注入性及び電荷輸送性を得るという観点から、100%とすることができる。また、他の実施形態においては、電荷輸送性を付与しつつ、耐久性を高めるという観点から、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下が更に好ましい。
「構造単位の割合」は、高分子化合物を合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量比(モル比)により求めることができる。
高分子化合物が構造単位(1b)〜(11b)のいずれかを有する場合、高分子化合物中の全構造単位数に対する構造単位(1b)〜(11b)の全数の割合は、陽極に起因する凹凸を十分に被覆するという観点から、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上が更に好ましい。また、構造単位(1b)〜(11b)の全数の割合は、高分子化合物の合成を良好に行うという観点から、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
高分子化合物が構造単位(1c)を有する場合、高分子化合物中の全構造単位数に対する構造単位(1c)の割合は、溶解性、成膜性等を向上させる観点から、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。また、構造単位(1c)の割合は、電荷輸送性の低下を防ぐ観点から、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下が更に好ましい。
高分子化合物中の全構造単位数に対する重合可能な置換基の割合は、高分子化合物に2個以上の重合可能な置換基を導入するという観点から、0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、3%以上が更に好ましい。前記範囲は、高分子化合物を効率よく硬化させるという観点からも好ましい。また、重合可能な置換基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、50%以下が更に好ましい。前記範囲は、十分な分子量を有する高分子化合物を得るという観点からも好ましい。なお、ここでの「重合可能な置換基の割合」とは、重合可能な置換基を有する構造単位の割合である。
高分子化合物の数平均分子量は特に制限はなく、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
高分子化合物の重量平均分子量に特に制限はなく、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましい。重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
高分子化合物は、種々の当業者公知の合成法により製造でき、特に限定されない。例えば、高分子化合物の合成に用いる各モノマーが芳香環を有し、芳香環を有するモノマー同士をカップリングさせることで、高分子化合物を製造する場合には、ヤマモト(T. Yamamoto)らのBull. Chem. Soc. Jap.、 51巻、 7号、 2091頁 (1978);ゼンバヤシ(M. Zembayashi)らのTetrahedron. Lett.、 47巻、 4089頁 (1977);スズキ(A. Suzuki)のSynthetic Communications, 11巻、 7号、 513頁 (1981);ブッフバルト(S. L. Buchwald)、ハートウィッグ(J. F. Hartwig)らのTetrahedron Lett.、 21巻、 3609頁 (1995);ミギタ(T. Migita)、コスギ(M. Kosugi)、スティル(J. K. Stille)らのAngew. Chem. Int. Ed. Engl.、 25号、 508頁 (1986)等に記載されている方法を用いることができる。スズキに記載されている方法は、芳香族ボロン酸(boronic acid)誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒によるクロスカップリング反応(通常、「鈴木反応」と呼ばれる)を起こさせるものである。鈴木反応は、所望とする芳香環同士を結合反応に用いることにより、高分子化合物を簡便に製造できる点で好ましい。
鈴木反応には、Pd触媒として、主にPd(0)化合物又はPd(II)化合物が用いられるが、近年ではNi化合物が使用される例もあり、どちらも利用できる。Pd化合物を用いる場合、Pd(PPh(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))、Pd(dppf)Cl([1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド)、Pd(dppe)Cl([1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)ジクロリド)等のホスフィン配位子を有するPd化合物を直接用いることができる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、当該前駆体をホスフィン配位子と系中で混合して発生させた触媒種を用いることもできる。この際のホスフィン配位子としては、P(t−Bu)(トリス(t−ブチル)ホスフィン)、トリブチルホスフィン、P(c−hex)(トリシクロヘキシルホスフィン)など公知のホスフィン化合物、市販のホスフィン化合物等を利用できる。
Pd触媒の濃度は、反応させるモノマーに対して、例えば、0.01〜5mol%程度の任意の範囲に調整すればよい。反応溶媒としては、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合溶媒系が主に使用され、有機溶媒としては、ジメトキシエタン、トルエン、アニソール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等が使用できる。また、塩基として、NaCO、KCO等のアルカリ金属の炭酸塩;NaOH、KOH等のアルカリ金属の水酸化物;トリエチルアミン、KPO、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、TEAH(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)等の水溶性有機塩基なども使用できる。また、相関移動触媒を添加して反応を促進することも可能である。代表的な相関移動触媒としては、TBAB(テトラブチルアンモニウムブロミド)、Aliquat(登録商標)336(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドとトリカプリリルメチルアンモニウムクロリドの混合物)等が挙げられる。
各モノマーとしては、上記に例示した構造単位に対応するモノマーを用いることができる。例えば、目的とする重合可能な置換基を有する高分子化合物を得る方法としては、高分子化合物の合成に当該重合可能な置換基を有するモノマーを用いる方法、また、前駆体高分子化合物(目的とする重合可能な置換基を有していない高分子化合物)を合成し、得られた前駆体高分子化合物に当該重合可能な置換基を導入する方法等が挙げられる。重合可能な置換基の導入は、重合可能な置換基の種類に応じ、適宜公知の方法によって行うことができる。例えば、水酸基とカルボキシル基との反応を利用し、アクリロイル基又はメタクリロイル基を導入する方法;過カルボン酸を用い、ビニル基からエポキシ基を得る方法;水酸基とハロゲン化物との反応を利用し、エーテル結合を解して各種の重合可能な置換基を導入する方法等が挙げられる。
[電荷輸送性化合物(A)]
電荷輸送性化合物(A)は、好ましくは重合可能な置換基を有する。電荷輸送性化合物(A)が有する重合可能な置換基としては、反応性に優れるという観点から、環状構造を有する基又は炭素−炭素多重結合を有する基が好ましい。環状構造を有する基としては、環状エーテル構造を有する基がより好ましく、エポキシ基又はオキセタン基が更に好ましく、オキセタン基が特に好ましい。炭素−炭素多重結合を有する基としては、炭素−炭素二重結合を有する基がより好ましく、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、又は、ビニル基が更に好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、又はビニル基が特に好ましい。また、電荷輸送性化合物(A)は、硬化性に優れるという観点から、重合可能な置換基を2個以上有することが好ましい。
電荷輸送性化合物(A)としての高分子化合物は、高い正孔注入性及び正孔輸送性を得る観点から、芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位を主要な構造単位(主骨格)とする化合物であることが好ましい。この観点から、高分子化合物中の全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位の全数の割合は、40%以上が好ましく、45%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位の全数の割合を100%とすることも可能である。
電荷輸送性化合物(A)は、好ましくは分岐起点構造単位を有する。電荷輸送性化合物(A)が有する分岐起点構造単位としては、電荷輸送性に優れるという観点から、芳香族アミン構造を有する構造単位又はカルバゾール構造を有する構造単位に該当する単位(例えば、構造単位(2b)〜(4b)又は(5b)〜(8b))が好ましい。
寿命特性に優れた有機EL素子を得る観点から、電荷輸送性化合物(A)におけるEの少なくとも1つは、−R又は−ORであることが好ましい。また、R及びRは、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基;又は、炭素数6〜30個のアリール基であることが好ましい。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8個のアルキル基である。アリール基は、好ましくはフェニル基である。−R及び−ORが置換基を有する場合、寿命特性に優れた有機EL素子を得る観点から、置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
電荷輸送性化合物(A)を、鈴木反応によって製造する場合のモノマーの例を以下に示す。電荷輸送性化合物(A)の合成法及びモノマーはこれに限定されるものではない。
[電荷輸送性化合物(A)の合成に用いるモノマー例]
式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基;炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基;炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルコキシ基;ハロゲン原子;又は、重合可能な置換基を有する基のいずれかを表す。
[電荷輸送性化合物(B)]
電荷輸送性化合物(B)も、電荷輸送性化合物(A)同様に、好ましくは重合可能な置換基を有する。電荷輸送性化合物(B)が有する重合可能な置換基は、電荷輸送性化合物(A)と同様であっても、異なってもよい。一実施形態において、優れた硬化性を得る観点から同様の重合可能な置換基が好ましい。また、他の一実施形態において、優れた耐久性を得る観点から異なる重合可能な置換基が好ましい。
電荷輸送性化合物(B)が有する重合可能な置換基としては、反応性に優れるという観点、寿命特性に優れた有機EL素子を得る観点等から、環状構造を有する基又は炭素−炭素多重結合を有する基が好ましい。環状構造を有する基としては、環状エーテル構造を有する基がより好ましく、エポキシ基又はオキセタン基が更に好ましく、オキセタン基が特に好ましい。炭素−炭素多重結合を有する基としては、炭素−炭素二重結合を有する基がより好ましく、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、又は、ビニル基が更に好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、又はビニル基が特に好ましい。また、電荷輸送性化合物(B)は、硬化性及び耐久性に優れるという観点から、重合可能な置換基を2個以上有することが好ましい。
電荷輸送性化合物(B)である高分子化合物は、高い正孔輸送性を有する観点から、芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位を有する化合物であることが好ましい。また、耐久性、耐熱性等を高める観点から、芳香族アミン構造を有する単位及びカルバゾール構造を有する単位以外の構造単位を含む化合物であってもよい。この観点から、高分子化合物中の全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位の全数の割合は、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。高分子化合物中の全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位及びカルバゾール構造を有する単位以外の構造単位の全数の割合は、正孔輸送性を維持する観点から、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下が更に好ましい。
電荷輸送性化合物(B)は、好ましくは分岐起点構造単位を有する。電荷輸送性化合物(B)が有する分岐起点構造単位としては、耐久性、耐熱性等を高める観点から、芳香族アミン構造を有する単位及びカルバゾール構造を有する単位以外の構造単位(例えば、構造単位(1b)、(9b)〜(11b)、好ましくは構造単位(11b))に該当する単位であってもよい。
寿命特性に優れた有機EL素子を得る観点から、電荷輸送性化合物(B)におけるEの少なくとも1つは、−R又は−ORであることが好ましい。また、R及びRは、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基;又は、炭素数6〜30個のアリール基であることが好ましい。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8個のアルキル基である。アリール基は、好ましくはフェニル基である。−R及び−ORが置換基を有する場合、寿命特性に優れた有機EL素子を得る観点から、置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
電荷輸送性化合物(B)である高分子化合物を、鈴木反応によって製造する場合のモノマーとしては、前記電荷輸送性化合物(A)において例示したモノマー、及び、以下に示すモノマーが挙げられる。好ましくは、以下に示すモノマーから選択される少なくとも一種を用いる。電荷輸送性化合物(B)の合成法及びモノマーはこれに限定されるものではない。
[電荷輸送性化合物(B)の合成に用いるモノマー例]
[組成物]
組成物は、少なくとも電荷輸送性化合物と溶媒とを含有し、イオン性化合物を更に含有してもよい。組成物は、市販のものでもよく、当業者公知の方法で調製したものであってもよい。なお、ここでの組成物に関する説明は、第一の組成物、第二の組成物、及び第三の組成物について適用される。
(溶媒)
組成物に含まれる溶媒としては、例えば、水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、及び芳香族エーテルである。
組成物における溶媒の含有量は、種々の成膜方法を適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒の全質量に対する電荷輸送性化合物の割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒の全質量に対する電荷輸送性化合物の割合が、10質量%以下となる量が好ましく、5質量%以下となる量がより好ましく、3質量%以下となる量が更に好ましい。
(イオン性化合物)
イオン性化合物の例には、電荷輸送性化合物に対して電子受容体として作用し得る化合物(以下、「電子受容性化合物」という。)、電荷輸送性化合物に対して重合開始剤として作用し得る化合物(以下、「重合開始剤」という。)、及び、電子受容性化合物及び重合開始剤の両方として作用し得る化合物が含まれる。
具体的には、イオン性化合物として、無機物及び有機物のいずれも用いることができ、例えば、特開2003−031365号公報及び特開2006−233162号公報に記載された電子受容性化合物、特許第3957635号公報に記載されたスーパーブレンステッド酸化合物及びその誘導体等が挙げられる。なかでもパーフルオロアリール基又はパーフルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。また、例えば、以下のカチオンから選択される一種と、以下のアニオンから選択される一種とを含むオニウム塩も好ましく用いることができる。
(カチオン)
カチオンとしては、例えば、H、カルベニウムイオン、アンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、キノリニウムイオン、イモニウムイオン、アミニウムイオン、オキソニウムイオン、ピリリウムイオン、クロメニリウム、キサンチリウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、トロピリウムイオン、遷移金属を有するカチオンなどが挙げられ、カルベニウムイオン、アンモニウムイオン、アニリニウムイオン、アミニウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、トロピリウムイオンなどが好ましい。組成物の硬化性及び保存安定性との両立の観点から、アンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ヨードニウムイオン、及びスルホニウムイオンがより好ましく、アンモニウムイオン及びヨードニウムイオンが更に好ましい。
(アニオン)
アニオンとしては、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲンイオン;OH;ClO ;FSO 、ClSO 、CHSO 、CSO 、CFSO 等のスルホン酸イオン類;HSO 、SO 2−等の硫酸イオン類;HCO 、CO 2−等の炭酸イオン類;HPO 、HPO 2−、PO 3−等のリン酸イオン類;PF 、PFOH等のフルオロリン酸イオン類;[(CFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCFCFPF、[((CFCFCFPF等のフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CFSO、(CFSO等のフルオロアルカンスルホニルメチド、イミドイオン類;BF 、B(C 、B(CCF 等のホウ酸イオン類;SbF 、SbFOH等のフルオロアンチモン酸イオン類;AsF 、AsFOH等のフルオロヒ素酸イオン類;AlCl 、BiF などが挙げられる。前述のカチオンと組み合わせて用いたときの組成物の硬化性の観点から、PF 、PFOH等のフルオロリン酸イオン類;[(CFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCFCFPF、[((CFCFCFPF等のフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CFSO、(CFSO等のフルオロアルカンスルホニルメチド、イミドイオン類;BF 、B(C 、B(CCF 等のホウ酸イオン類;SbF 、SbFOH等のフルオロアンチモン酸イオン類などが好ましく、なかでもホウ酸イオン類が特に好ましい。
(任意成分)
組成物は、更に、その他の添加剤、例えば重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤、電子受容性化合物等を含んでいてもよい。組成物は、インク組成物として好ましく用いることができる。
(第一の組成物)
第一の有機層を形成するための第一の組成物は、少なくとも電荷輸送性化合物(A)及び溶媒を含有し、更にイオン性化合物を含有してもよい。
第一の組成物における電荷輸送性化合物(A)の含有量は、組成物の粘度、成膜性等を調整する観点から、組成物の全質量中、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、電荷輸送性化合物(A)の含有量は、凝集、沈殿等を抑制する観点から、組成物の全質量中、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
第一の組成物がイオン性化合物を含有する場合、イオン性化合物の含有量は、重合を十分に起こさせる又は電荷輸送性を高める観点から、電荷輸送性化合物(A)の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、イオン性化合物の含有量は、成膜性及び耐熱性の観点から、電荷輸送性化合物(A)の全質量に対し、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
第一の組成物は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、電荷輸送性化合物(B)を含有してもよい。この場合、第一の組成物における電荷輸送性化合物(A)の含有量と電荷輸送性化合物(B)の含有量との比(電荷輸送性化合物(B)[質量%]/電荷輸送性化合物(A)[質量%])は、下層との適合性に優れる材料を用いるという観点から、3/7未満が好ましく、2/8未満がより好ましく、1/9未満が更に好ましい。下限は特に限定されず、0以上である。
(第二の組成物)
第二の有機層を形成するための組成物は、少なくとも電荷輸送性化合物(A)、電荷輸送性化合物(B)及び溶媒を含有し、更にイオン性化合物を含有してもよい。
一実施形態において、第二の組成物は、電荷輸送性化合物(A)及び/又は電荷輸送性化合物(B)の硬化を容易にする観点又は電荷輸送性を向上させる観点から、イオン性化合物を含有することが好ましい。一方、他の実施形態において、第二の組成物は、イオン性化合物及びその分解物の上層又は下層への影響を避ける観点から、イオン性化合物を含有しないことが好ましい。第二の組成物へは、電荷輸送性化合物(A)及び(B)の硬化性、電荷輸送性、隣接する層への影響等を考えて、イオン性化合物を適宜使用でき、またその種類も適宜選択できる。
第二の組成物における電荷輸送性化合物(A)の含有量は、組成物の粘度、成膜性等を調整する観点から、組成物の全質量中、0.005質量%以上が好ましく、0.025質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。また、電荷輸送性化合物(A)の含有量は、凝集、沈殿等を抑制する観点から、組成物の全質量中、25質量%以下が好ましく、22.5質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。第二の組成物における電荷輸送性化合物(B)の含有量は、組成物の粘度、成膜性等を調整する観点から、組成物の全質量中、0.005質量%以上が好ましく、0.025質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。また、電荷輸送性化合物(B)の含有量は、凝集、沈殿等を抑制する観点から、組成物の全質量中、25質量%以下が好ましく、22.5質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
第二の組成物における電荷輸送性化合物(A)の含有量と電荷輸送性化合物(B)の含有量との質量比(電荷輸送性化合物(A)/電荷輸送性化合物(B))は、電荷輸送性化合物をバランスよく存在させ電荷の輸送性を向上させる観点から、2/8以上が好ましく、3/7以上がより好ましく、4/6以上が更に好ましい。また、質量比(電荷輸送性化合物(A)/電荷輸送性化合物(B))は、同様の観点から、8/2以下が好ましく、7/3以下がより好ましく、6/4以下が更に好ましい。
第二の組成物がイオン性化合物を含有する場合、イオン性化合物の含有量は、重合を十分に起こさせる又は電荷輸送性を高める観点から、電荷輸送性化合物(A)及び(B)の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、イオン性化合物の含有量は、成膜性及び耐熱性の観点から、電荷輸送性化合物(A)及び(B)の全質量に対し、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
(第三の組成物)
第三の有機層を形成するための組成物は、少なくとも電荷輸送性化合物(B)及び溶媒を含有し、更にイオン性化合物を含有してもよい。
一実施形態において、第三の組成物は、電荷輸送性化合物(B)の硬化を容易にする観点又は電荷輸送性を向上させる観点から、イオン性化合物を含んでいることが好ましい。一方、他の実施形態において、第三の組成物は、イオン性化合物及びその分解物の上層又は下層への影響を避ける観点から、イオン性化合物を含まないことが好ましい。第三の組成物へは、電荷輸送性化合物(B)の硬化性、電荷輸送性、隣接する層への影響等を考えて、イオン性化合物を適宜使用でき、またその種類も適宜選択できる。
第三の組成物における電荷輸送性化合物(B)の含有量は、組成物の粘度、成膜性等を調整する観点から、組成物の全質量中、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、凝集、沈殿等を抑制する観点から、組成物の全質量中、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
第三の組成物がイオン性化合物を含有する場合、イオン性化合物の含有量は、重合を十分に起こさせる又は電荷輸送性を高める観点から、電荷輸送性化合物(B)の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、イオン性化合物の含有量は、成膜性及び耐熱性の観点から、電荷輸送性化合物(B)の全質量に対し、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
第三の組成物は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、電荷輸送性化合物(A)を含有してもよい。この場合、第三の組成物における電荷輸送性化合物(A)の含有量と電荷輸送性化合物(B)の含有量との比(電荷輸送性化合物(A)[質量%]/電荷輸送性化合物(B)[質量%])は、上層との適合性に優れる材料を用いるという観点から、3/7未満が好ましく、2/8未満がより好ましく、1/9未満が更に好ましい。下限は特に限定されず、0以上である。
(組成物セット)
第一の組成物、第二の組成物、及び第三の組成物は、三種を組み合わせた組成物セットとして用いることができる。組成物セットを用いることにより、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を容易に形成できる。
[有機層の形成方法]
組成物を用いて有機層を成膜する方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。また、成膜後、得られた膜を、ホットプレート又はオーブンによって乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
重合を開始させる契機としては、光照射、加熱等の方法が一般的であり特に制限はないが、プロセスが簡便である観点から加熱が好ましい。
光照射には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、太陽光等の光源を用いることができる。照射する光の波長は、例えば、200〜800nmである。
加熱には、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いることができる。加熱温度及び時間は、重合反応を十分に進行できればよく、特に制限はない。温度については、種々の基板を適用できる観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。また、重合速度を早める観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上である。時間は、生産性を上げる観点から、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは30分以下である。また、重合を完全に進行させる観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上である。
本発明の実施形態である有機EL素子が限定されることはなく、また、詳細は定かではないが、優れた特性を有する有機EL素子が得られる一因は、次のように推測される。
すなわち、有機EL素子の一実施形態においては、電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)を含有し、かつ、陽極側から順に、式(I)及び式(II)の関係を満たす第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有する。または、電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物と溶媒とを含有する組成物によって形成され、かつ、陽極側から順に、式(I)及び式(II)の関係を満たす第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有する。これらによって、陽極に起因する凹凸を十分に被覆し、かつ、電荷輸送性層内の電荷移動障壁を緩和できるために、全体として耐久性及び電荷輸送性に優れる素子が得られると考えられる。
また、有機EL素子の一実施形態においては、電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)を含有する第一の有機層、電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)とを含有する第二の有機層、及び電荷輸送性化合物(B)を含有する第三の有機層を有する。または、電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する組成物により形成された第一の有機層、電荷輸送性化合物(A)と電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物によって形成された第二の有機層、及び電荷輸送性化合物(B)によって形成された第三の有機層を有する。これらによって、陽極に起因する凹凸を十分に被覆し、かつ、電荷輸送性層内の電荷移動障壁を緩和できるために、全体として耐久性及び電荷輸送性に優れる素子が得られると考えられる。
陽極に起因する凹凸を十分に被覆することによって、欠陥の発生が抑えられ、均一な発光面が得られる。凹凸を十分に被覆できるという効果は、電荷輸送性化合物(A)が高分子化合物である場合、電荷輸送性化合物(A)が重合可能な置換基を有する場合等に顕著である。
[有機EL素子の構造]
本発明の実施形態である有機EL素子の例を図1及び2に示す。図1に示す有機EL素子は、陽極1、電荷輸送性層2、発光層3、及び陰極4をこの順に有し、電荷輸送性層2が、陽極側から順に、第一の領域2a、第二の領域2b、及び第三の領域2cを有する。また、図2に示す有機EL素子は、陽極1、電荷輸送性層2、発光層3、及び陰極4をこの順に有し、電荷輸送性層2が、陽極側から順に、第一の有機層2a’、第二の有機層2b’、及び第三の有機層2c’を有する。図1及び2においては、含有量の大小を模式的に表すために、電荷輸送性化合物(A)を黒丸Aで、電荷輸送性化合物(B)を白丸Bで示した。図1及び2中の黒丸A及び白丸Bは、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)が、有機層中に円又は球の形態で存在することを意味するものではない。
有機EL素子は、陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極以外にも、これらの層の間、又は、陽極若しくは陰極の上層若しくは下層として、その他の層を有していてもよい。その他の層としては、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる。また、有機EL素子は、通常、基板を有している。図3に、電子輸送層8及び電子注入層9を備えた従来の有機EL素子の一例を示す。以下、各層について説明する。第一の領域、第二の領域、及び第三の領域、並びに、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層については、上述したとおりである。
(発光層)
発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクリドン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))、スチルベン、これらの誘導体等が挙げられる。蛍光発光を利用する高分子化合物としては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレン−ベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体、及びこれらの混合物等が好適に利用できる。
一方、近年、有機EL素子の高効率化のため、燐光有機EL素子の開発も活発に行われている。燐光有機EL素子では、一重項状態のエネルギーのみならず三重項状態のエネルギーも利用可能であり、内部量子収率を原理的には100%まで上げることが可能となる。燐光有機EL素子では、燐光を発するドーパントとして、白金、イリジウム等の重金属を含む金属錯体系燐光材料を、ホスト材料にドーピングすることで燐光発光を取り出す(M. A. Baldo et al., Nature, vol. 395, p. 151 (1998);M. A. Baldo et al., Applied Physics Letters, vol. 75, p. 4 (1999);M. A. Baldo et al., Nature, vol. 403, p. 750 (2000)参照。)。
本発明の実施形態である有機EL素子においても、高効率化の観点から、発光層に燐光材料を用いることが可能である。燐光材料としては、Ir、Pt等の中心金属を含む金属錯体などが好適に使用できる。具体的には、Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)〔イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート〕、緑色発光を行うIr(ppy)〔ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム〕(M. A. Baldo et al., Nature, vol. 403, p. 750 (2000)参照)、又は赤色発光を行う(btp)Ir(acac){ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C〕イリジウム(アセチル−アセトネート)}(Adachi et al., Appl. Phys. Lett., 78 no. 11, 2001, 1622参照)、Ir(piq)〔トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム〕等が挙げられる。
Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行う2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ(PtOEP)等が挙げられる。燐光材料としては、低分子化合物又はデンドライト種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
発光層に燐光材料が含まれる場合、燐光材料の他に、ホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマーなども使用できる。
低分子化合物としては、例えば、α−NPD(N,N'-Di(1-naphthyl)-N,N'-diphenylbenzidine)、CBP(4,4'-Bis(carbazol-9-yl)-biphenyl)、mCP(1,3-Bis(9-carbazolyl)benzene)、CDBP(4,4'-Bis(carbazol-9-yl)-2,2'-dimethylbiphenyl)等が使用できる。高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレンなどが使用できる。またこれらの誘導体も使用可能である。
発光層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造でき、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。塗布法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などが挙げられる。
(陰極)
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
(陽極)
陽極材料としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料を使用できる。他の材料としては、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
(電子輸送層、電子注入層)
電子輸送層及び電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(例えば、2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazole)(PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq)、Bis(2-methyl-8-quinolinolato)-4-phenylphenolate aluminum(III)(BAlq))などが挙げられる。さらに、前記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体等も用いることができる。
(基板)
有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはない。基板はフレキシブル基板であることが好ましい。また、透明の基板が好ましく、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり(つまり、フレキシブル基板)、特に好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルムが挙げられる。
また、樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物を積層して用いてもよい。
(封止)
有機EL素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、PET、PEN等のプラスチックフィルム、酸化珪素、窒化珪素等の無機物などを用いることができる。
封止の方法としては、特に限定されないが、例えば、真空蒸着、スパッタ、塗布法等により有機EL素子上に直接形成する方法、ガラス又はプラスチックフィルムを接着剤により有機EL素子に貼り合わせる方法等が使用可能である。
(発光色)
有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色発光素子を形成する方法としては、現在のところ単一の材料で白色発光を示すことが困難であることから、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させることで白色発光を得ている。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色、及び赤色の3つの発光極大波長を含有するもの、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有するものが挙げられる。また発光色の制御は、燐光材料の種類と量を調整することによって行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、上記実施形態の有機EL素子を備えている。
例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、上記有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。
画像の形成には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。前者は、構造は単純ではあるが垂直画素数に限界があるため文字などの表示に好ましく用いられる。後者は、駆動電圧は低く電流が少なくてすみ、明るい高精細画像が得られるので、高品位のディスプレイ用として好ましく用いられる。
また、本発明の実施形態である照明装置は、上記実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。バックライト(白色発光光源)として上述の照明装置を用い、表示手段として液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置としてもよい。この構成は、公知の液晶表示装置において、バックライトのみを上記照明装置に置き換えた構成であり、液晶素子部分は公知技術を転用できる。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<Pd触媒の調製>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15mL)を加え、30分間撹拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5mL)を加え、5分間撹拌した。これらの溶液を混合し、室温で30分間撹拌し、触媒とした。全ての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。
<電荷輸送性化合物1の合成>
三口丸底フラスコに、下記モノマーA(5.0mmol)、下記モノマーB1(2.0mmol)、下記モノマーC1(3.0mmol)、下記モノマーC2(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を加えた。全ての溶媒は30分以上、窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間、加熱還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過により回収し、トルエンに溶解し、金属吸着剤(Strem Chemicals社製「Triphenylphosphine, polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer」、沈殿物100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物とをろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、電荷輸送性化合物1を得た。
分子量は、溶離液にTHFを用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。得られた電荷輸送性化合物1の数平均分子量は7,800、重量平均分子量は31,000であった。電荷輸送性化合物1は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(2b)(モノマーB1に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、オキセタン基を有する構造単位(1c)(モノマーC2に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位の全数の割合は、100%であった。
数平均分子量及び重量平均分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ :L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack (R) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液 :THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速 :1 mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質 :標準ポリスチレン
<電荷輸送性化合物2の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーA(5.0mmol)、前記モノマーB1(2.0mmol)、前記モノマーC1(3.0mmol)、下記モノマーC3(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性化合物1の合成と同様にして、電荷輸送性化合物2の合成を行った。得られた電荷輸送性化合物2の数平均分子量は12,900、重量平均分子量は42,600であった。電荷輸送性化合物2は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(2b)(モノマーB1に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、ビニル基を有する構造単位(1c)(モノマーC3に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位の全数の割合は、100%であった。
<電荷輸送性化合物3の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーA(5.0mmol)、下記モノマーB2(2.0mmol)、前記モノマーC1(3.0mmol)、前記モノマーC2(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性化合物1の合成と同様にして、電荷輸送性化合物3の合成を行った。得られた電荷輸送性化合物3の数平均分子量は10,300、重量平均分子量は20,400であった。電荷輸送性化合物3は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(11b)(モノマーB2に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、オキセタン基を有する構造単位(1c)(モノマーC2に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位の全数の割合は、71.4%であった。
<電荷輸送性化合物4の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーA(5.0mmol)、前記モノマーB2(2.0mmol)、前記モノマーC1(3.0mmol)、前記モノマーC3(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性化合物1の合成と同様にして、電荷輸送性化合物4の合成を行った。得られた電荷輸送性化合物4の数平均分子量は12,200、重量平均分子量は35,600であった。電荷輸送性化合物4は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(11b)(モノマーB2に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、ビニル基を有する構造単位(1c)(モノマーC3に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位の全数の割合は、71.4%であった。
<電荷輸送性化合物5の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーA(5.0mmol)、下記モノマーB3(2.0mmol)、前記モノマーC1(3.0mmol)、前記モノマーC2(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性化合物1の合成と同様にして、電荷輸送性化合物5の合成を行った。得られた電荷輸送性化合物5の数平均分子量は12,700、重量平均分子量は70,300であった。電荷輸送性化合物5は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(6b)(モノマーB3に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、オキセタン基を有する構造単位(1c)(モノマーC2に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位及びカルバゾール構造を有する単位の全数の割合は、100%であった。
<電荷輸送性化合物6の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーA(5.0mmol)、前記モノマーB3(2.0mmol)、前記モノマーC1(3.0mmol)、前記モノマーC3(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性化合物1の合成と同様にして、電荷輸送性化合物6の合成を行った。得られた電荷輸送性化合物6の数平均分子量は12,100、重量平均分子量は43,500であった。電荷輸送性化合物6は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(6b)(モノマーB3に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、ビニル基を有する構造単位(1c)(モノマーC3に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位及びカルバゾール構造を有する単位の全数の割合は、100%であった。
<電荷輸送性化合物7の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーA(5.0mmol)、下記モノマーB4(2.0mmol)、前記モノマーC1(3.0mmol)、前記モノマーC2(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性化合物1の合成と同様にして、電荷輸送性化合物7の合成を行った。得られた電荷輸送性化合物7の数平均分子量は10,900、重量平均分子量は70,000であった。電荷輸送性化合物7は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(1b)(モノマーB4に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、オキセタン基を有する構造単位(1c)(モノマーC2に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位の全数の割合は、71.4%であった。
<電荷輸送性化合物8の合成>
三口丸底フラスコに、前記モノマーA(5.0mmol)、前記モノマーB4(2.0mmol)、前記モノマーC1(3.0mmol)、前記モノマーC3(1.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。以降、電荷輸送性化合物1の合成と同様にして、電荷輸送性化合物8の合成を行った。得られた電荷輸送性化合物8の数平均分子量は12,100、重量平均分子量は76,500であった。電荷輸送性化合物8は、構造単位(1a)(モノマーAに由来)、構造単位(1b)(モノマーB4に由来)、アルキル基を有する構造単位(1c)(モノマーC1に由来)、及び、ビニル基を有する構造単位(1c)(モノマーC3に由来)を有し、それぞれの構造単位の割合は、45.5%、18.2%、27.3%、及び9.1%であった。また、全構造単位数(ただし、末端の構造単位を除く。)に対する芳香族アミン構造を有する単位の全数の割合は、71.4%であった。
<有機EL素子の作製及び評価1>
[実施例1]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性化合物1(10.0mg)、下記イオン性化合物1(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物を調製した。ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、第一の有機層(30nm)を形成した。
次に、電荷輸送性化合物1(10.0mg)、電荷輸送性化合物3(10.0mg)、及びトルエン(4.6mL)を混合し、インク組成物を調製した。上記で形成した第一の有機層の上に、インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、第二の有機層(30nm)を形成した。第一の有機層を溶解させることなく、第二の有機層を形成することができた。
その後、電荷輸送性化合物3(10.0mg)及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物を調製した。上記で形成した第二の有機層の上に、インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、第三の有機層(30nm)を形成した。第二の有機層を溶解させることなく、第三の有機層を形成することができた。
上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、第三の有機層上に、CBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.8nm)、及びAl(100nm)をこの順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機EL素子を作製した。
[実施例2]
実施例1において、電荷輸送性化合物3を電荷輸送性化合物5に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
[実施例3]
実施例1において、電荷輸送性化合物3を電荷輸送性化合物7に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
[比較例1]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性化合物3(20.0mg)及びトルエン(1.5mL)を混合し、インク組成物を調製した。実施例1において、第二の有機層に用いたインク組成物を前記インク組成物に変えて第二の有機層(60nm)を形成し、また、第三の有機層を形成しなかったこと以外は同様にして、有機EL素子を作製した。第一の有機層を溶解させることなく、第二の有機層を形成することができた。
[比較例2]
比較例1において、電荷輸送性化合物3を電荷輸送性化合物5に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。第一の有機層を溶解させることなく、第二の有機層を形成することができた。
[比較例3]
比較例1において、電荷輸送性化合物3を電荷輸送性化合物7に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。第一の有機層を溶解させることなく、第二の有機層を形成することができた。
[比較例4]
実施例1において、第二の有機層及び第三の有機層を形成しなかったこと以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
表1に実施例1〜3及び比較例1〜4にて作製した有機EL素子の電荷輸送性層の層構成をまとめて示す。実施例1〜3の有機EL素子の電荷輸送性層は、式(I)及び式(II)の関係を満たしていた。
実施例1〜3及び比較例1〜4で得た有機EL素子に電圧を印加したところ緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1,000cd/mにおける発光効率、及び初期輝度3,000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表2に示す。
表2に示したとおり、実施例1〜3では、比較例1〜3及び比較例4と比べ、駆動安定性に優れ、発光寿命が向上し、更に発光効率が向上した素子が得られた。
<有機EL素子の作製及び評価2>
[実施例4]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性化合物2(10.0mg)、下記イオン性化合物2(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物を調製した。ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、第一の有機層(30nm)を形成した。
次に、電荷輸送性化合物2(10.0mg)、電荷輸送性化合物4(10.0mg)、及びトルエン(4.6mL)を混合し、インク組成物を調製した。上記で形成した第一の有機層の上に、インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、第二の有機層(30nm)を形成した。第一の有機層を溶解させることなく、第二の有機層を形成することができた。
その後、電荷輸送性化合物4(10.0mg)及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物を調製した。上記で形成した第二の有機層の上に、インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、第三の有機層(30nm)を形成した。第二の有機層を溶解させることなく、第三の有機層を形成することができた。
上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、第三の有機層上に、CBP:Ir(ppy)(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.8nm)、及びAl(100nm)をこの順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機EL素子を作製した。
[実施例5]
実施例4において、電荷輸送性化合物4を電荷輸送性化合物6に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
[実施例6]
実施例4において、電荷輸送性化合物4を電荷輸送性化合物8に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
表3に実施例4〜6にて作製した有機EL素子の層構成を、実施例1〜3にて作製した有機EL素子の層構成と共に示す。実施例4〜6の有機EL素子の電荷輸送性層は、式(I)及び式(II)の関係を満たしていた。
実施例4〜6で得た有機EL素子に電圧を印加したところ緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1,000cd/mにおける発光効率、及び初期輝度3,000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表4に示す。
表4に示したとおり、実施例4〜6では、駆動安定性に優れ、長寿命であり、発光効率の高い素子が得られた。
実施例1及び4と実施例3及び6との比較から、電荷輸送性化合物(B)が、分岐起点構造単位として縮合芳香族炭化水素環を有する場合に、駆動安定性及び発光効率がより向上することがわかる。また、実施例2及び5と実施例3及び6との比較から、電荷輸送性化合物(B)中の芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位の割合が高い場合に、より駆動安定性及び発光効率が向上することがわかる。
<有機EL素子の作製及び評価3>
[実施例7]
実施例3において、第一の有機層の形成に用いた電荷輸送性化合物1を電荷輸送性化合物7に変え、第三の有機層の形成に用いた電荷輸送性化合物7を電荷輸送性化合物1に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
[比較例5]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性化合物1(20.0mg)及びトルエン(1.5mL)を混合し、インク組成物を調製した。実施例7において、第二の有機層に用いたインク組成物を前記インク組成物に変えて第二の有機層(60nm)を形成し、また、第三の有機層を形成しなかったこと以外は同様にして、有機EL素子を作製した。第一の有機層を溶解させることなく、第二の有機層を形成することができた。
表5に実施例7及び比較例5にて作製した有機EL素子の層構成を、実施例3及び比較例3にて作製した有機EL素子の層構成と共に示す。実施例7の有機EL素子の電荷輸送性層は、式(I)及び式(II)の関係を満たしていた。
実施例7及び比較例5で得た有機EL素子に電圧を印加したところ緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1,000cd/mにおける発光効率、及び初期輝度3,000cd/mにおける発光寿命(輝度半減時間)を測定した。測定結果を表6に示す。
表6に示したとおり、実施例7では、比較例5と比べ、駆動安定性に優れ、発光寿命が向上した素子が得られた。
実施例3と実施例7との比較から、電荷輸送性化合物(A)中の芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位の割合が高い場合に、駆動安定性がより向上することがわかる。さらに、電荷輸送性化合物(A)中の芳香族アミン構造を有する単位及び/又はカルバゾール構造を有する単位の割合が高い場合に、発光効率の向上効果も得られることがわかる。
<白色有機EL素子(照明装置)の作製及び評価>
[実施例8]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性化合物1(10.0mg)、前記イオン性化合物1(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物を調製した。ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、インク組成物を回転数3,000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、第一の有機層(30nm)を形成した。
次に、電荷輸送性化合物1(10.0mg)、電荷輸送性化合物3(10.0mg)、及びトルエン(4.6mL)を混合し、インク組成物を調製した。上記で形成した第一の有機層の上に、インク組成物を回転数3,000min−1にてスピンコートし、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、第二の有機層(30nm)を形成した。第一の有機層を溶解させることなく、第二の有機層を形成することができた。
続いて、電荷輸送性化合物3(10.0mg)及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物を調製した。上記で形成した第二の有機層の上に、インク組成物を回転数3,000min−1にてスピンコートし、ホットプレート上で200℃、10分間加熱して硬化させ、第三の有機層(30nm)を形成した。第二の有機層を溶解させることなく、第三の有機層を形成することができた。
さらに、窒素雰囲気下で、CDBP(15.0mg)、FIr(pic)(0.9mg)、Ir(ppy)(0.9mg)、(btp)Ir(acac)(1.2mg)、及びジクロロベンゼン(0.5mL)を混合し、インク組成物を調製した。インク組成物を回転数3,000min−1にてスピンコートし、ホットプレート上で80℃、5分間加熱して乾燥させ、発光層(40nm)を形成した。第三の有機層を溶解させることなく、発光層を形成することができた。
ガラス基板を、真空蒸着機中に移し、発光層上にBAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(0.5nm)、及びAl(100nm)をこの順に蒸着法で成膜した。その後、封止処理して白色有機EL素子を作製した。白色有機EL素子は、照明装置として使用できた。白色有機EL素子の電荷輸送性層は、式(I)及び式(II)の関係を満たしていた。
[比較例6]
窒素雰囲気下で、電荷輸送性化合物3(10.0mg)及びトルエン(2.3mL)を混合し、インク組成物を調製した。実施例1において、第二の有機層に用いたインク組成物を前記インク組成物に変えて第二の有機層(30nm)を形成し、また、第三の有機層を形成しなかったこと以外は同様にして、白色有機EL素子を作製した。第一の有機層を溶解させることなく第二の有機層を、第二の有機層を溶解させることなく発光層を形成することができた。白色有機EL素子は、照明装置として使用できた。
実施例8及び比較例6で得た白色有機EL素子に電圧を印加して、初期輝度1,000cd/mとして発光寿命(輝度半減時間)を測定した。実施例8の発光寿命を1とすると、比較例6の発光寿命は0.5であった。また、実施例8における輝度1,000cd/mにおける駆動電圧を1とすると、比較例6では1.13であった。
実施例8の白色有機EL素子は、優れた発光寿命及び駆動電圧を示した。
以上に実施例を用いて本発明の実施形態の効果を示した。実施例において電荷輸送性化合物の組み合わせ以外にも、上記で説明した電荷輸送性化合物から選択される組み合わせを用い、長寿命を有する有機EL素子を得ることが可能であり、同様に優れた効果を示すものである。
本発明の実施形態である有機EL素子は、湿式プロセスを用いて作製されたものであり、低コスト化及び大面積化が容易であるという特長を有している。さらに、本発明の実施形態である有機EL素子は、湿式プロセスを用いて作製され、特定の電荷輸送性層を有することによって、陽極に起因する凹凸を十分に被覆し、かつ、電荷輸送性層内の電荷移動障壁を緩和できるために、全体として電荷輸送性及び耐久性に優れている。
1 陽極
2 電荷輸送性層
2a 第一の領域
2b 第二の領域
2c 第三の領域
2a’ 第一の有機層
2b’ 第二の有機層
2c’ 第三の有機層
3 発光層
4 陰極
5 基板
6 正孔注入層
7 正孔輸送層
8 電子輸送層
9 電子注入層
A 電荷輸送性化合物(A)
B 電荷輸送性化合物(B)

Claims (14)

  1. 陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有し、前記電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物及び溶媒を含有する一種又は二種以上の組成物を用いて形成された有機エレクトロルミネセンス素子であって、
    前記陽極と前記発光層との間に存在する前記電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)を含有し、かつ、前記陽極側から順に、第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有し、
    前記第一の領域及び前記第二の領域における前記電荷輸送性化合物(A)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(B)の含有量の割合をそれぞれB1/A1及びB2/A2とし、前記第二の領域及び前記第三の領域における前記電荷輸送性化合物(B)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(A)の含有量の割合をそれぞれA2/B2及びA3/B3とした場合、下記式(I)及び式(II)の関係を満たす、
    有機エレクトロルミネセンス素子。
  2. 前記電荷輸送性層が、前記第一の領域として第一の有機層と、前記第二の領域として第二の有機層と、前記第三の領域として第三の有機層とを有する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  3. 陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネセンス素子であって、
    前記陽極と前記発光層との間に存在する前記電荷輸送性層が、前記陽極側から順に、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を有し、
    前記第一の有機層が、電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する組成物により形成され、
    前記第二の有機層が、前記電荷輸送性化合物(A)と、電荷輸送性化合物(B)と、溶媒とを含有する組成物により形成され、
    前記第三の有機層が、前記電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物により形成された、
    有機エレクトロルミネセンス素子。
  4. 前記電荷輸送性化合物(A)が重合可能な置換基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  5. 前記電荷輸送性化合物(B)が重合可能な置換基を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  6. 前記電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する組成物が、イオン性化合物を更に含有する、請求項3〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  7. 前記イオン性化合物がオニウム塩を含む、請求項6に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  8. 陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、
    前記電荷輸送性層を、電荷輸送性化合物及び溶媒を含有する一種又は二種以上の組成物を用いて形成する工程を含み、
    前記陽極と前記発光層との間に存在する前記電荷輸送性層が、電荷輸送性化合物(A)及び電荷輸送性化合物(B)を含有し、かつ、前記陽極側から順に、第一の領域、第二の領域、及び第三の領域を有し、
    前記第一の領域及び前記第二の領域における前記電荷輸送性化合物(A)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(B)の含有量の割合をそれぞれB1/A1及びB2/A2とし、前記第二の領域及び前記第三の領域における前記電荷輸送性化合物(B)の含有量に対する前記電荷輸送性化合物(A)の含有量の割合をそれぞれA2/B2及びA3/B3とした場合、下記式(I)及び式(II)の関係を満たす、
    有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
  9. 陽極、電荷輸送性層、発光層、及び陰極を有し、
    前記陽極と前記発光層との間に存在する前記電荷輸送性層が、前記陽極側から順に、第一の有機層、第二の有機層、及び第三の有機層を有する有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、
    電荷輸送性化合物(A)と溶媒とを含有する組成物を用いて前記第一の有機層を形成する工程、
    前記電荷輸送性化合物(A)と、電荷輸送性化合物(B)と、溶媒とを含有する組成物を用いて前記第二の有機層を形成する工程、及び
    前記電荷輸送性化合物(B)と溶媒とを含有する組成物を用いて前記第三の有機層を形成する工程、
    を含む、有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子、又は、請求項8及び9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法により得られた有機エレクトロルミネセンス素子であって、フレキシブル基板を更に有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子、又は、請求項8及び9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法により得られた有機エレクトロルミネセンス素子であって、樹脂フィルム基板を更に有する、有機エレクトロルミネセンス素子。
  12. 請求項1〜7、10及び11のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、表示素子。
  13. 請求項1〜7、10及び11のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた、照明装置。
  14. 請求項13に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えた、表示装置。
JP2016559097A 2014-11-11 2015-11-11 有機エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法 Active JP6418247B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014228922 2014-11-11
JP2014228922 2014-11-11
PCT/JP2015/081794 WO2016076375A1 (ja) 2014-11-11 2015-11-11 有機エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016076375A1 JPWO2016076375A1 (ja) 2017-08-17
JP6418247B2 true JP6418247B2 (ja) 2018-11-07

Family

ID=55954453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016559097A Active JP6418247B2 (ja) 2014-11-11 2015-11-11 有機エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP6418247B2 (ja)
KR (1) KR101952526B1 (ja)
CN (1) CN107078227B (ja)
TW (1) TWI690100B (ja)
WO (1) WO2016076375A1 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102545423B1 (ko) * 2016-04-28 2023-06-20 가부시끼가이샤 레조낙 전하 수송성 재료 및 그 이용
WO2018083801A1 (ja) 2016-11-07 2018-05-11 日立化成株式会社 有機エレクトロニクス材料、有機層、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置
WO2018020571A1 (ja) * 2016-07-26 2018-02-01 日立化成株式会社 有機エレクトロニクス材料
WO2018021381A1 (ja) * 2016-07-26 2018-02-01 日立化成株式会社 有機エレクトロニクス材料
WO2018142619A1 (ja) * 2017-02-06 2018-08-09 日立化成株式会社 枝分かれポリマーの製造方法、枝分かれポリマー、及び有機エレクトロニクス素子
WO2018142621A1 (ja) * 2017-02-06 2018-08-09 日立化成株式会社 枝分かれポリマーの製造方法、枝分かれポリマー、及び有機エレクトロニクス素子
JP6946657B2 (ja) * 2017-02-15 2021-10-06 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 有機電界発光素子用の組成物、電荷輸送性膜、及び有機電界発光素子
WO2018159694A1 (ja) * 2017-03-02 2018-09-07 日立化成株式会社 有機エレクトロニクス材料及びその利用
JP6922994B2 (ja) * 2017-10-27 2021-08-18 昭和電工マテリアルズ株式会社 電荷輸送性ポリマー及び有機エレクトロニクス素子
WO2019097714A1 (ja) * 2017-11-20 2019-05-23 日立化成株式会社 有機薄膜の製造方法、有機薄膜及びその利用
CN108803226B (zh) * 2018-05-18 2020-12-22 华南理工大学 一种含有上转换发光材料的荧光显示屏及其制备方法与应用
KR20220004050A (ko) * 2019-04-26 2022-01-11 쇼와덴코머티리얼즈가부시끼가이샤 유기 일렉트로닉스 재료 및 전하 수송성 폴리머의 제조 방법
EP3961739A4 (en) * 2019-04-26 2022-05-11 Showa Denko Materials Co., Ltd. ORGANIC ELECTRONIC MATERIAL AND METHOD FOR PRODUCTION OF CHARGE TRANSPORT POLYMER

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW545080B (en) * 2000-12-28 2003-08-01 Semiconductor Energy Lab Light emitting device and method of manufacturing the same
JP2004241188A (ja) * 2003-02-04 2004-08-26 Junji Kido 有機エレクトロルミネッセンス素子
GB0329364D0 (en) * 2003-12-19 2004-01-21 Cambridge Display Tech Ltd Optical device
JP2006279007A (ja) 2005-03-02 2006-10-12 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP4788407B2 (ja) * 2006-03-09 2011-10-05 セイコーエプソン株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機el装置および電子機器
EP2377181B1 (en) * 2008-12-12 2019-05-01 Universal Display Corporation Improved oled stability via doped hole transport layer
JP2010239127A (ja) * 2009-03-13 2010-10-21 Mitsubishi Chemicals Corp 有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明。
US20130062599A1 (en) * 2010-06-01 2013-03-14 Russell J. Holmes Organic light emitting devices having graded emission regions
JP5760630B2 (ja) * 2011-04-18 2015-08-12 セイコーエプソン株式会社 有機el装置およびその製造方法、電子機器
JP6136366B2 (ja) * 2013-02-28 2017-05-31 日立化成株式会社 有機エレクトロニクス素子及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN107078227B (zh) 2019-09-24
CN107078227A (zh) 2017-08-18
KR101952526B1 (ko) 2019-02-26
JPWO2016076375A1 (ja) 2017-08-17
KR20170057379A (ko) 2017-05-24
TWI690100B (zh) 2020-04-01
WO2016076375A1 (ja) 2016-05-19
TW201626614A (zh) 2016-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6418247B2 (ja) 有機エレクトロルミネセンス素子及びその製造方法
US9985210B2 (en) Organic electronic material, ink composition, and organic electronic element
JP6331462B2 (ja) 有機エレクトロニクス素子の製造方法
JP6202075B2 (ja) 有機エレクトロニクス材料、インク組成物、及び有機エレクトロニクス素子
JP6551238B2 (ja) ポリマー又はオリゴマー、正孔輸送材料組成物、及び、これらを用いた有機エレクトロニクス素子
JP5678552B2 (ja) 重合開始剤及び有機エレクトロニクス材料、これらを用いた有機薄膜及びその製造方法、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置
JP6354157B2 (ja) 電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、表示装置及び照明装置
JP6136366B2 (ja) 有機エレクトロニクス素子及びその製造方法
JP6613561B2 (ja) 有機エレクトロニクス材料及び有機エレクトロニクス素子
JP6221230B2 (ja) 有機エレクトロニクス素子及びその製造方法
JP6733737B2 (ja) 有機エレクトロニクス材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、及び有機エレクトロニクス素子の製造方法
WO2017212560A1 (ja) 有機エレクトロニクス材料及び有機エレクトロニクス素子
JP2018104718A (ja) 電荷輸送性材料、該材料を用いたインク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、表示装置及び照明装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180402

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180924

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6418247

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350