JP6221230B2 - 有機エレクトロニクス素子及びその製造方法 - Google Patents
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(1)芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物を用いて形成された有機層
(2)正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物、及び、イオン性化合物を含む組成物を用いて形成された有機層
(3)電荷輸送機能以外の機能を備えた有機層
(1)重合可能な置換基を有し、かつ、芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物、イオン性化合物、及び、溶媒を含有する組成物を用いて塗布層を形成し、前記塗布層を硬化させ、有機層を形成する工程
(2)正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物、イオン性化合物、及び、溶媒を含有する組成物を用いて有機層を形成する工程
(3)電荷輸送機能以外の機能を備えた化合物を用いて有機層を形成する工程
<有機エレクトロニクス素子及びその製造方法>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、陽極、下記有機層(1)、下記有機層(2)、下記有機層(3)、及び、陰極を、この順に有する。
(1)芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物を用いて形成された有機層
(2)正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物、及び、イオン性化合物を含む組成物を用いて形成された有機層
(3)電荷輸送機能以外の機能を備えた有機層
有機エレクトロニクス素子は、有機層と有機層の間、又は、有機層と陽極若しくは陰極の間に、任意の層をさらに有していてもよい。
また、本発明である有機エレクトロニクス素子の製造方法は、陽極を形成する工程、下記工程(1)、下記工程(2)、下記工程(3)、及び、陰極を形成する工程を、この順に有する。
(1)重合可能な置換基を有し、かつ、芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物、イオン性化合物、及び、溶媒を含有する組成物を用いて塗布層を形成し、前記塗布層を硬化させ、有機層を形成する工程
(2)正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物、イオン性化合物、及び、溶媒を含有する組成物を用いて有機層を形成する工程
(3)電荷輸送機能以外の機能を備えた化合物を用いて有機層を形成する工程
有機エレクトロニクス素子の製造方法は、各工程の間に任意の工程をさらに有していてもよい。
有機層(1)は、少なくとも芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物を用いて形成された層である。有機層(1)を、芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物と、低分子正孔輸送性化合物、イオン性化合物及び/又は溶媒とを含む組成物を用いて形成してもよい。イオン性化合物とは、少なくとも1種のカチオンと少なくとも1種のアニオンとを含む化合物である。
芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物は、市販のものでもよく、当業者公知の方法で合成したものであってもよく、特に制限はない。また、芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物は、芳香環を有するアミンを含む構造単位を有していればよく、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1a)〜(14a)で表される構造単位を有する化合物であることが好ましい。
Xは、二価の連結基であり、特に制限はないが、後述するE(但し、置換基群(A)〜(N)を除く)のうち水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基や、下記連結基群(A)〜(C)において表される基が好ましい。
ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子1個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン−イル、ピラジン−イル、キノリン−イル、イソキノリン−イル、アクリジン−イル、フェナントロリン−イル、フラン−イル、ピロール−イル、チオフェン−イル、オキサゾール−イル、オキサジアゾール−イル、チアジアゾール−イル、トリアゾール−イル、ベンゾオキサゾール−イル、ベンゾオキサジアゾール−イル、ベンゾチアジアゾール−イル、ベンゾトリアゾール−イル、ベンゾチオフェン−イル等が挙げられる。
アリーレン基とは、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン、ビフェニル−ジイル、ターフェニル−ジイル、ナフタレン−ジイル、アントラセン−ジイル、テトラセン−ジイル、フルオレン−ジイル、フェナントレン−ジイル等が挙げられる。
ヘテロアリーレン基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン−ジイル、ピラジン−ジイル、キノリン−ジイル、イソキノリン−ジイル、アクリジン−ジイル、フェナントロリン−ジイル、フラン−ジイル、ピロール−ジイル、チオフェン−ジイル、オキサゾール−ジイル、オキサジアゾール−ジイル、チアジアゾール−ジイル、トリアゾール−ジイル、ベンゾオキサゾール−ジイル、ベンゾオキサジアゾール−ジイル、ベンゾチアジアゾール−ジイル、ベンゾトリアゾール−ジイル、ベンゾチオフェン−ジイル等が挙げられる。
なお、ここでの置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基(−(NH)−COR)、イミド基(−N(COR)2)、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基、一価の複素環基等が挙げられる。
Wは、三価の連結基を表し、好ましくは前記アリーレン基またはヘテロアリーレン基からさらに水素原子1個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよい。
Yは、それぞれ独立に、二価の連結基を表し、好ましくは前記連結基群(C)において表される基である。
Zは、炭素原子、ケイ素原子、またはリン原子のいずれかを表す。
イオン性化合物の例には、芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物(又は、有機層(2)においては正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物)に対して電子受容体として作用し得る化合物及びポリマー又はオリゴマー化合物に対して重合開始剤として作用し得る化合物が含まれる。
カチオンとしては、例えば、H+、カルベニウムイオン、アンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、キノリニウムイオン、イモニウムイオン、アミニウムイオン、オキソニウムイオン、ピリリウムイオン、クロメニリウム、キサンチリウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、トロピリウムイオン、遷移金属を有するカチオンなどが挙げられ、カルベニウムイオン、アンモニムイオン、アニリニウムイオン、アミニウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、トロピリウムイオンが好ましい。組成物の硬化性及び保存安定性との両立の観点から、アンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオンがより好ましい。
アニオンとしては、例えば、F−、Cl−、Br−、I−などのハロゲンイオン;OH−;ClO4 −;FSO3 −、ClSO3 −、CH3SO3 −、C6H5SO3 −、CF3SO3 −などのスルホン酸イオン類;HSO4 −、SO4 2−などの硫酸イオン類;HCO3 −、CO3 2−などの炭酸イオン類;H2PO4 −、HPO4 2−、PO4 3−などのリン酸イオン類;PF6 −、PF5OH−などのフルオロリン酸イオン類;[(CF3CF2)3PF3]−、[(CF3CF2CF2)3PF3]−、[((CF3)2CF)3PF3]−、[((CF3)2CF)2PF4]−、[((CF3)2CFCF2)3PF3]−、[((CF3)2CFCF2)2PF4]−などのフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CF3SO2)3C−、(CF3SO2)2N−などのフルオロアルカンスルホニルメチド、イミドイオン類;BF4 −、B(C6F5)4 −、B(C6H4CF3)4 −などのホウ酸イオン類;SbF6 −、SbF5OH−などのフルオロアンチモン酸イオン類;AsF6 −、AsF5OH−などのフルオロヒ素酸イオン類;AlCl4 −、BiF6 −等が挙げられる。なかでも、PF6 −、PF5OH−などのフルオロリン酸イオン類、[(CF3CF2)3PF3]−、[(CF3CF2CF2)3PF3]−、[((CF3)2CF)3PF3]−、[((CF3)2CF)2PF4]−、[((CF3)2CFCF2)3PF3]−および[((CF3)2CFCF2)2PF4]−などのフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CF3SO2)3C−、(CF3SO2)2N−などのフルオロアルカンスルホニルメチド,イミドイオン類、BF4 −、B(C6F5)4 −、B(C6H4CF3)4 −などのホウ酸イオン類、SbF6 −、SbF5OH−などのフルオロアンチモン酸イオン類を含む化合物が好ましい。
低分子正孔輸送性化合物は、市販のものでもよく、当業者公知の方法で合成したものであってもよく、特に制限はない。また、正孔を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されないが、正孔輸送性に優れるという観点から、芳香環を有するアミン(芳香族アミン)、カルバゾール、又はチオフェン構造を有する化合物であることが好ましく、例えば、以下の式(1)〜(58)で表される化合物であることがより好ましい。
XおよびZは、それぞれ独立に、二価の連結基で、特に制限はないが、前記E(但し、置換基群(A)〜(N)を除く)のうち水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基や、前記連結基群(A)〜(C)において表される基が好ましい。xは0〜2の整数を表す。
Yは、三価の連結基であり、特に制限はないが、前記E(但し、置換基群(A)〜(N)を除く)のうち、水素原子を2つ以上有する基から2つの水素原子を除去した基が好ましい。
アリール基、ヘテロアリール基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、及び、置換基の例は、上述のとおりである。
溶媒としては、芳香族アミン構造を有するポリマー又はオリゴマーを用いて塗布層を形成することが可能な溶媒を用いることができ、好ましくは、芳香族アミン構造を有するポリマー又はオリゴマー化合物を溶解しうる溶媒を用いることができる。
有機層(2)は、少なくとも正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物と、イオン性化合物とを含む組成物を用いて形成された層である。正孔輸送性とは、正孔を輸送する能力を有することをいう。有機層(2)を、低分子正孔輸送性化合物及び/又は溶媒をさらに含む組成物を用いて形成してもよい。
正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物は、市販のものでもよく、当業者公知の方法で合成したものであってもよく、特に制限はない。また、正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物は、正孔を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されないが、正孔輸送性に優れるという観点から、芳香環を有するアミン(芳香族アミン)、カルバゾール、又はチオフェン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物であることが好ましく、例えば、前記式(1a)〜(14a)および下記式(15a)〜(84a)で表される構造単位を有する化合物や、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン等であることがより好ましい。
XおよびZは、それぞれ独立に、二価の連結基であり、特に制限はないが、前記E(但し、置換基群(A)〜(N)を除く)のうち水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基や、前記連結基群(A)〜(C)において表される基が好ましい。xは0〜2の整数を表す。
Yは、三価の連結基であり、特に制限はないが、前記E(但し、置換基群(A)〜(N)を除く)のうち、水素原子を2つ以上有する基から2つの水素原子を除去した基が好ましい。
アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、及び、置換基の例は、上述のとおりである。
イオン性化合物の例は上述のとおりである。有機層(2)の形成に用いられるイオン性化合物としては、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点から、ハロゲン原子を有するアニオンを含むイオン性化合物が好ましい。具体的には、有機エレクトロニクス素子の耐久性が優れるという観点から、PF6 −、PF5OH−などのフルオロリン酸イオン類、(CF3SO2)3C−、(CF3SO2)2N−などのフルオロアルカンスルホニルメチド,イミドイオン類、BF4 −、B(C6F5)4 −、B(C6H4CF3)4 −などのホウ酸イオン類、SbF6 −、SbF5OH−などのフルオロアンチモン酸イオン類を含む化合物が好ましい。
低分子正孔輸送性化合物の例は上述のとおりである。低分子正孔輸送性化合物の割合は、良好な成膜性を保つ観点から、正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物に対し、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
有機層(3)は、電荷輸送機能以外の機能を備えた有機層である。有機層(3)は、好ましくは、電荷輸送機能と、電荷輸送機能以外の機能とを備えている。電荷輸送機能以外の機能とは電荷を輸送する以外の何らかの機能であり、特に限定されないが、例えば有機EL素子では発光機能、電荷発生機能が、有機薄膜太陽電池では、電荷発生機能、電荷分離機能が挙げられる。有機層(3)の例である発光層の詳細は、後述のとおりである。
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、既述の構成を含むことをその特徴とするものである。有機エレクトロニクス素子の例として、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタなどが挙げられる。有機EL素子は、既述の構成を備えていれば特に限定されず、その他の層を有していてもよい。有機EL素子は、有機層(1)を正孔注入層、有機層(2)を正孔輸送層、有機層(3)を発光層として有することが好ましい。その他の層としては、電子注入層、電子輸送層などが挙げられる。また、有機EL素子は、通常、基板を有している。
以下、各層について詳細に説明する。
電荷輸送機能以外の機能を備えた化合物として、公知の発光層に用いる材料を使用することが可能である。発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、ポリマーまたはオリゴマーであってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクリドン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))、スチルベン、これらの誘導体があげられる。蛍光発光を利用するポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、及びこれらの誘導体や混合物が好適に利用できる。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造することができ、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
陽極としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazole)(PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))などが挙げられる。さらに、前記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはない。また、透明の基板が好ましく、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり(つまり、フレキシブル基板)、特に好ましい。
有機EL素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、PET、PEN等のプラスチックフィルム、酸化珪素、窒化珪素等の無機物等を用いることができる。
有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
本発明の実施形態である表示素子は、既述の有機EL素子を備えている。
例えば、赤・緑・青(RGB)の各画素に対応する素子として、記述の有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。
画像の形成には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。前者は、構造は単純ではあるが垂直画素数に限界があるため文字などの表示に用いる。後者は、駆動電圧は低く電流が少なくてすみ、明るい高精細画像が得られるので、高品位のディスプレイ用として用いられる。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間撹拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5mL)を加え、5分間撹拌した。これらの溶液を混合し室温で30分間撹拌し触媒とした。すべての溶媒は30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。
三口丸底フラスコに、下記モノマー1(4.0mmol)、下記モノマー2(5.0mmol)、下記モノマー3(2.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、さらに調製したPd触媒溶液(7.5mL)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を加えた。すべての溶媒は30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間加熱・還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
送液ポンプ :L-6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV-Vis検出器 :L-3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム :Gelpack (R) GL-A160S/GL-A150S 日立化成工業(株)
溶離液 :THF(和光純薬製, HPLC用, 安定剤不含)
流速 :1 mL/min
カラム温度 :室温
分子量標準物質:標準ポリスチレン
三口丸底フラスコに前記モノマー1(3.0mmol)、前記モノマー2(5.0mmol)、前記モノマー3(2.0mmol)、下記モノマー4(1.0mmol)、及びアニソール(20ml)を加え、さらに調製したPd触媒溶液(7.5ml)を加えた。以降は正孔輸送性ポリマー1の合成と同様にして、正孔輸送性ポリマー2を合成した。得られた正孔輸送性ポリマー2の数平均分子量は22,900、重量平均分子量は169,000であった。正孔輸送性ポリマー2は、置換基群(B)において表される基を有する単位(モノマー1に対応)、式(1a)の単位(モノマー2に対応)、分岐起点構造(1b)(モノマー3に対応)、及び共重合単位(モノマー4に対応)を有しており、それぞれの単位の割合は、27.3%、45.5%、18.2%、及び9.1%であった。
[実施例1]
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、上記正孔輸送性ポリマーの合成で得た正孔輸送性ポリマー1(10.0mg)、下記イオン性化合物(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(30nm)を形成した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、正孔輸送性ポリマー2(20mg)、トルエン(2.2mL)、及び下記イオン性化合物の10mg/mL酢酸ブチル溶液(100μL)からなるインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、正孔輸送性ポリマー2(20mg)、トルエン(2.2mL)、及び下記イオン性化合物の10mg/mL酢酸ブチル溶液(100μL)からなるインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、正孔輸送性ポリマー2(20mg)、トルエン(2.2mL)、及び下記イオン性化合物の10mg/mL酢酸ブチル溶液(100μL)からなるインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、正孔輸送性ポリマー2(20mg)、トルエン(2.2mL)、及び下記イオン性化合物の10mg/mL酢酸ブチル溶液(100μL)からなるインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、正孔輸送性ポリマー2(20mg)、トルエン(2.2mL)、及び下記イオン性化合物の10mg/mL酢酸ブチル溶液(100μL)からなるインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、正孔輸送性ポリマー2(20mg)、トルエン(2.2mL)、及び下記イオン性化合物の10mg/mL酢酸ブチル溶液(100μL)からなるインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、前記イオン性化合物を含まないインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、ポリビニルカルバゾール(20mg)、トルエン(2.3mL)、及び前記イオン性化合物(1.0mg)からなるインク組成物に変えた以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例8の有機EL素子における正孔輸送層の形成工程のインク組成物を、前記イオン性化合物を含まないインク組成物に変えたこと以外は同様にして、有機EL素子を作製した。
[実施例9]
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、上記正孔輸送性ポリマーの合成で得た正孔輸送性ポリマー1(10.0mg)、前記イオン性化合物(0.5mg)、及びトルエン(2.3mL)からなるインク組成物を、3000min−1でスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、10分間加熱して硬化させ、正孔注入層(30nm)を形成した。
実施例9の白色有機EL素子の作製における正孔輸送層の形成工程において、前記イオン性化合物を使用しないこと以外は同様にして、白色有機EL素子を作製した。
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板
Claims (12)
- 陽極、下記有機層(1)、下記有機層(2)、下記有機層(3)、及び、陰極を、この
順に有する有機エレクトロニクス素子。
(1)芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物、及び、イオン性化
合物を含み、前記芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物が分岐構
造を有する組成物を用いて形成された有機層
(2)正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物、及び、イオン性化合物を含み、前記イオン性化合物が、フルオロリン酸イオン類、フルオロアルカンスルホニルメチドイオン類、フルオロアルカンスルホニルイミドイオン類、及びフルオロアンチモン酸イオン類からなる群から選択される少なくとも1種のアニオンを含む組成物を用いて形成された有機層
(3)電荷輸送機能以外の機能を備えた有機層 - 前記芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物が、下記分岐起点構
造(1b)〜(10b)からなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する請求項
1記載の有機エレクトロニクス素子。
、二価の連結基を表し、Zは、炭素原子、ケイ素原子、またはリン原子のいずれかを表す
。) - 有機層(1)の形成に用いられる組成物における低分子正孔輸送性化合物の含有量が、
前記芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物に対し、0〜70質量
%である請求項1又は2記載の有機エレクトロニクス素子。 - 陽極を形成する工程、下記工程(1)、下記工程(2)、下記工程(3)、及び、陰極
を形成する工程を、この順に有する有機エレクトロニクス素子の製造方法。
(1)芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物、イオン性化合物、
及び、溶媒を含有し、前記芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物
が、重合可能な置換基を有し、かつ、分岐構造を有する組成物を用いて塗布層を形成し、
前記塗布層を硬化させ、有機層を形成する工程
(2)正孔輸送性ポリマー又はオリゴマー化合物、イオン性化合物、及び、溶媒を含有し、前記イオン性化合物が、フルオロリン酸イオン類、フルオロアルカンスルホニルメチドイオン類、フルオロアルカンスルホニルイミドイオン類、及びフルオロアンチモン酸イオン類からなる群から選択される少なくとも1種のアニオンを含む組成物を用いて有機層を形成する工程
(3)電荷輸送機能以外の機能を備えた化合物を用いて有機層を形成する工程 - 前記芳香族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物が、下記分岐起点構
造(1b)〜(10b)からなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する請求項
4記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。
、二価の連結基を表し、Zは、炭素原子、ケイ素原子、またはリン原子のいずれかを表す
。) - 工程(1)で用いられる組成物における低分子正孔輸送性化合物の含有量が、前記芳香
族アミン構造単位を有するポリマー又はオリゴマー化合物に対し、0〜70質量%である
請求項4又は5記載の有機エレクトロニクス素子の製造方法。 - 請求項1〜3いずれか記載の有機エレクトロニクス素子を用いた有機エレクトロルミネ
センス素子。 - フレキシブル基板をさらに有する請求項7記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 樹脂フィルム基板をさらに有する請求項7記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 請求項7〜9いずれか記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
- 請求項7〜9いずれか記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
- 請求項11記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示装置。
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