JP6414707B2 - ガスバリア性樹脂基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性樹脂基材、及びその製造方法に関するものである。
従来から、飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器として、樹脂成形体が用いられている。樹脂成形体は、金属成形体やガラス成形体と比べて透明性が高く、軽量であり、加工成形が容易であるという長所がある。しかしながら、ガス透過性が高いという短所があるため、炭酸ガスが発生する飲料の容器や、酸素や水(水蒸気)との接触を嫌う医薬品・食品等の用途においては容易に利用することはできなかった。
樹脂成形体の短所を改善することを目的として、単に樹脂成形体を厚くする方法や、金属皮膜を積層してガスバリア性を高める方法等が考えられたが、これらの方法では上述した樹脂成形体の長所が失われるという問題があった。
ところで、特許文献1〜3には、プラスチック容器の表面にダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon、以下「DLC」という)被膜を形成することにより、ガスバリア性を高めた樹脂成形体が開示されている。このDLC被膜は、減圧条件下において炭素源ガス導入後、高周波印加することで、樹脂成形体の表面に形成することができる。また、DLC被膜は、ナノメートル(以下「nm」という)単位の皮膜であるため、樹脂成形体の重量を上げることなく、且つガスバリア性を向上させることができることが知られている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたDLC被膜は、ガスバリア性に優れるが、一方で透明性が低いという課題があった。具体的には、一般的にDLC被膜は、茶色から黒色を呈する場合が多く、DLC被膜の膜厚が5〜20nmの範囲であっても、基材を含めた全光線透過率が82〜86%程度であり、さらに膜厚を21nm以上にすると80%未満になってしまうという課題があった。特に、特許文献3には、ガスバリア性フィルムにおいて、少なくとも水分透過度が温度40℃、相対湿度90%の条件下で0.5g/m/day以下のガスバリア性を要し、同時に全光線透過率が86%以上であることが好ましいと記載されている。
そこで、ガスバリア性が高く、透明性に優れた被膜として、シリコン窒化膜(「SiN膜」、「シリコン窒化被膜」ともいうことがある)が知られている。しかしながら、樹脂成形体の耐熱温度は100℃付近であるため、100℃以下の温度でSiN被膜を形成する必要があるが、一般的には困難とされている。
特許文献4には、−90〜1000℃の範囲の温度でSiN被膜を形成したガスバリア性基板が開示されている。このガスバリア性基板は、基板を含めた全光線透過率が87〜88%、水分透過度が0.4〜0.5g/m/dayであるが、膜厚が157〜857nmであることから、従来のDLC被膜に対する優位性が充分ではないという課題があった。
特開2007−276342号公報 特許第3545305号公報 特開2015−196315号公報 特開2011−089186号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、膜厚を厚くすることなく、従来と同等以上の水分透過度を有するとともに、透明性にも優れるガスバリア性樹脂基材、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本願発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、水素還元ガスプラズマ雰囲気中で有機シランガスを添加することで、被覆対象である樹脂基材の表面に膜密度が2.00g/cm以上のシリコン窒化膜を形成できることを見出した。また、上記膜密度を有するシリコン窒化膜の膜厚を5nm以上とすることで、従来のDLC被膜のガスバリア性よりも5倍以上のガスバリア性が発現することを見出した。さらに、上記膜密度を有するシリコン窒化膜の膜厚を150nm以下とすることで、極めて優れた透明性をも付与できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
(1) 水素還元ガスのプラズマ雰囲気中に有機シランガスを添加して、樹脂基材の表面の少なくとも一部の表面にシリコン窒化膜を形成して、ガスバリア性樹脂基材を製造するとともに、前記水素還元ガスとして、水素、アミン、及び炭化水素のうち、いずれか1以上のガスのみからなるガスを用い、前記有機シランガスとして、テトラキスジメチルアミノシラン、トリスジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジエチルアミノシラン、トリスジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、テトラキスエチルメチルアミノシラン、トリスエチルメチルアミノシラン及びビスエチルメチルアミノシランからなる群のうち、いずれか1以上を含むガスを用い、前記ガスバリア性樹脂基材を、収容容器に用いる、ガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(2) 前記シリコン窒化膜を形成する際の温度を、100℃以下とする、(1)に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(3) プラズマCVD法を用いる、(1)又は(2)に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(4) プラズマ出力、プラズマ発生時間、前記水素還元ガス及び前記有機シランガスの圧力及び濃度のうち、いずれか1以上を調整して、前記シリコン窒化膜の膜厚を制御する、(3)に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(5) 前記シリコン窒化膜の膜密度が2.00g/cm 以上である、(1)乃至(4)のいずれかに記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(6) 前記シリコン窒化膜の膜厚が5nm以上である、(1)乃至(5)のいずれかに記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(7) 水分透過度が、0.1g/m /day以下である、(1)乃至(6)のいずれかに記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(8) 前記シリコン窒化膜の膜厚が150nm以下である、(1)乃至(7)のいずれかに記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(9) 前記収容容器が、飲食品用、医薬品用、及び化粧品用のいずれかである、(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
(10) 前記収容容器が、中空容器である、(1)乃至(9)のいずれかに記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
本発明のガスバリア性樹脂基材は、樹脂基材と、樹脂基材の表面の少なくとも一部に設けられたシリコン窒化膜を含むガスバリア層とを備え、シリコン窒化膜の膜密度が2.00g/cm以上、膜厚が5nm以上であるため、水分透過度が0.1g/m/day以下のガスバリア性を有する。さらに、シリコン窒化膜の膜厚が150nm以下であれば、98%以上の全光線透過率を有する。
また、本発明のガスバリア性樹脂基材の製造方法は、水素還元ガスのプラズマ雰囲気中に有機シランガスを添加して、樹脂基材の表面の少なくとも一部の表面にシリコン窒化膜を形成する構成であるため、膜密度が2.00g/cm以上のシリコン窒化膜を形成することができる。さらに、シリコン窒化膜の膜厚が5nm以上、150nm以下となるように制御すれば、優れたガスバリア性及び透明性が得られる。
本発明に係るシリコン窒化膜の膜厚と、水分透過度との関係を示す図である。
以下、本発明を適用した一実施形態であるガスバリア性樹脂基材について、その製造方法とともに詳細に説明する。
<ガスバリア性樹脂基材>
先ず、本発明を適用した一実施形態であるガスバリア性樹脂基材の構成の一例について説明する。
本実施形態のガスバリア性樹脂基材は、樹脂基材と、上記樹脂基材の表面の少なくとも一部に設けられたシリコン窒化膜(以下、「SiN膜」ともいう)を含むガスバリア層とを備えて、概略構成されている。
樹脂基材の原料(樹脂材料)としては、特に限定されるものではなく、一般的な樹脂成形品に適用される公知の合成樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料としては、具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、シクロオレフィンコポリマ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、アイオノマ樹脂、ポリスルホン樹脂及び4−フッ化エチレン樹脂(TFE)等が挙げられる。これらの樹脂材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの樹脂材料の中でも、SiN被膜との密着性及び成形性が良好であり、透明性が高く、飲食品等の収容容器に好適に使用することが可能な、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
樹脂基材の形態(形状)としては、特に限定されるものではなく、一般的な樹脂成形品の形態を用いることができる。このような形態としては、具体的には、例えば、樹脂フィルム、シート、中空容器、射出成形体等の樹脂成型品が挙げられる。これらの形態の中でも、例えば、飲食品、医薬品及び化粧品などの収容容器としても使用することが可能な、樹脂フィルム、中空容器が好ましい。また、中空容器としては、例えば、市販の飲料、調味料、医薬、サプリメント、化粧品等用のPETボトルやプラスチックボトルが挙げられる。
ここで、樹脂フィルムおよび中空容器は、上述した合成樹脂材料を原料として、公知の方法により製造することができる。樹脂フィルムとしては、未延伸のものを用いてもよいが、機械強度を向上させるためには延伸フィルムを適用することが好ましい。また、延伸倍率としては、一方向に2〜10倍が好ましく、二軸延伸であることがより好ましい。中空容器としては、射出成形、ブロー成形などが好ましく、ブロー倍率は2〜10倍が好ましい。
また、樹脂フィルムおよび中空容器の厚さは、目的や用途、要求される機械強度、可撓性、透明性等の様々な観点から、適宜設定することができる。樹脂フィルムが、例えば、飲食品、医薬品及び化粧品等の収容容器として使用される場合、5〜500μmの範囲の厚さとすることが好ましく、10〜200μmの範囲の厚さに設定することがより好ましい。また、樹脂フィルムの幅や長さには特に制限はなく、機能や用途に応じて適宜選択することができる。中空容器の場合は、厚さ100μm〜5mmの範囲が好ましく、200μm〜3mmの範囲がより好ましい。
なお、本実施形態のガスバリア性樹脂基材を構成する樹脂基材は、本発明の効果を損なわない範囲において基材としての樹脂材料に添加剤として酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、増感剤等が配合されていてもよい。
樹脂基材の表面には、ガスバリア層が設けられている。このガスバリア層は、樹脂基材の表面の少なくとも一部に設けられていればよく、全面に設けられていてもよい。
ガスバリア層は、シリコン窒化膜(SiN膜)を含む被膜である。ここで、ガスバリア層は、シリコン窒化膜からなる被膜であってもよいし、シリコン窒化膜と他の層(例えば、Si原子、O原子、C原子からなるSiOC層、又は、Si原子、O原子、N原子からなるSiON層、さらには、Si原子、O原子、C原子、N原子からなるSiOCN層)との積層体であってもよい。尚、本発明のシリコン窒化膜(SiN膜)を含むガスバリア層において、シリコン窒化膜(SiN膜)は、微量のC原子を含んでも良い。具体的にはC原子25%未満であることが好ましい。
ここで、本実施形態のガスバリア性樹脂基材に適用可能なシリコン窒化膜は、アモルファスであり、高ガスバリア性、高硬度、高耐食性等の特性を有する硬質な被膜である。また、シリコン窒化膜は、後述するように、添加ガスである有機シランガスとプラズマ雰囲気ガスである水素還元ガスとを原料として形成される。
本実施形態のガスバリア性樹脂基材に適用可能なシリコン窒化膜は、膜密度が2.00g/cm以上であることを特徴としている。このような緻密な膜を用いてガスバリア層を形成することにより、従来のDLC被膜と同等以上の水分透過度を達成することができる。
なお、シリコン窒化膜の膜密度は、X線反射率法を用いて測定することができる。また、測定装置としては、例えば、リガク製「ATX−G」等を用いることができる。
また、上記シリコン窒化膜の膜厚としては、5〜150nmの範囲とすることが好ましく、10〜50nmの範囲とすることがより好ましく、20〜30nmの範囲とすることがさらに好ましい。ここで、シリコン窒化膜の膜厚を5nm以上とすると、シリコン窒化膜の膜密度が担保されるため、優れたガスバリア性を発現させることができる。
また、シリコン窒化膜の膜厚を150nm以下とすることで、当該シリコン窒化膜の透明性を担保することができる。具体的には、上記膜厚の好ましい範囲では、シリコン窒化膜の全光線透過率は98%以上である。ガスバリア層となるシリコン窒化膜の全光線透過率が98%以上であると、容器等として用いた場合には内容物の確認や変色等を容易且つ正確に確認することができる。
なお、シリコン窒化膜の膜厚は、二次イオン質量分析法を用いて算出することができる。具体的には、シリコン窒化膜中のC、Oの深さ方向濃度分布を測定することでシリコン窒化膜の膜厚を算出するまた、二次イオン質量分析装置としては、例えば、PHI製「ADEPT1010」等を用いることができる。
また、シリコン窒化膜の全光線透過率は、可視光源(例えば、浜松ホトニクス製「L10027−01」等)及び可視光検出器(例えば、浜松ホトニクス製「C10027−01」等)を用いて可視光線透過率を測定し、反射を考慮してシリコン窒化膜の全光線透過率を算出することができる。
本実施形態のガスバリア性樹脂基材は、ガスバリア層を構成するシリコン窒化膜の膜密度が2.00g/cm以上であり、膜厚が5nm以上であるため、水分透過度が0.1g/m/day以下となり、優れたガスバリア性を発揮することができる。ここで、水分透過度が0.1g/m/day以下のガスバリア性樹脂基材を、飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器に適用した場合、従来のDLC被膜からなるガスバリア性樹脂成形体と比較して、内容物の性能劣化が5倍以上改善することができる。
ここで、ガスバリア性樹脂基材の水分透過度は、一般的な水分透過度測定装置(例えば、GTR製「GTR2000XA」等)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定することができる。
<ガスバリア性樹脂基材の製造方法>
次に、本実施形態のガスバリア性樹脂基材の製造方法の一例について説明する。
本実施形態のガスバリア性樹脂基材の製造方法は、水素還元ガスのプラズマ雰囲気中に有機シランガスを添加して、樹脂基材の表面の少なくとも一部の表面にシリコン窒化膜を形成することを特徴としている。
ここで、樹脂基材の表面上にシリコン窒化膜を形成する方法の一例として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。プラズマCVD法を用いたシリコン窒化膜の形成は、市販のプラズマCVD装置を用いて行なうことが可能である。
具体的には、プラズマCVD法(プラズマCVD装置)を用いたシリコン窒化膜の形成方法としては、先ず、真空チャンバー内に被覆対象となる樹脂基材を載置する。ここで、真空チャンバー内には一対の電極があり、一方に所定の高周波(例えば13.56MHz)電源(RF電源)が接続され、他方はアースとなる。
次に、この真空チャンバー内を、ヒータ等を用いて加熱する。加熱温度としては、チャンバー内の温度が樹脂基材の耐熱温度である100℃以下とすることが好ましく、80℃以下がより好ましく、50℃以下が更に好ましい。
次に、この真空チャンバー内を、真空ポンプを用いて所定の圧力(例えば1〜350Pa)となるまで減圧し、ガス導入口から添加ガス及びプラズマ雰囲気ガスを真空チャンバー内に導入する。次いで、上述した高周波電力を印加することにより、樹脂基材の表面にプラズマを発生させてガスバリア性の薄膜(すなわち、シリコン窒化膜)を形成することができる。
なお、上述したシリコン窒化膜の形成方法は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、樹脂基材の種類、大きさ、厚み等に応じて、公知の方法を適宜選択して用いることができる。
プラズマCVD法によってシリコン窒化膜を形成する際に添加ガスとして使用される有機シランガスとしては、テトラキスジメチルアミノシラン、トリスジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジエチルアミノシラン、トリスジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、テトラキスエチルメチルアミノシラン、トリスエチルメチルアミノシラン、ビスエチルメチルアミノシラン等が挙げられる。なお、有機シランガスとしては、上述したガスのうち、いずれか1つを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、上述した添加ガスは、プラズマ雰囲気ガスである水素還元ガスと混合させて用いることが好ましい。ここで、水素還元ガスとしては、水素、アンモニア、アミン、炭化水素等の水素原子を含む水素化合物ガスが挙げられる。なお、水素還元ガスとしては、上述したガスのうち、いずれか1つを単独で用いてもよいし、2以上を同時に使用してもよい。
上述したシリコン窒化膜の形成方法によれば、樹脂基材の表面上に、膜密度が2.00g/cm以上の緻密なシリコン窒化膜を形成することができる。好ましくは、2.10g/cm以上である。
また、プラズマCVD法によってシリコン窒化膜を形成する場合、プラズマ出力、プラズマ発生時間、前記水素還元ガス及び前記有機シランガスの圧力及び濃度のうち、いずれか1以上を調整して、シリコン窒化膜の膜厚を制御することができる。
以上のようにして、本実施形態のガスバリア性樹脂基材を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態のガスバリア性樹脂基材によれば、樹脂基材と、樹脂基材の表面の少なくとも一部に設けられたシリコン窒化膜を含むガスバリア層とを備え、シリコン窒化膜の膜密度が2.00g/cm以上、膜厚が5nm以上であるため、水分透過度が0.1g/m/day以下のガスバリア性を有する。さらに、シリコン窒化膜の膜厚が150nm以下であれば、98%以上の全光線透過率を有する。
また、本実施形態のガスバリア性樹脂基材の製造方法によれば、水素還元ガスのプラズマ雰囲気中に有機シランガスを添加して、樹脂基材の表面の少なくとも一部の表面にシリコン窒化膜を形成する構成であるため、膜密度が2.00g/cm以上のシリコン窒化膜を形成することができる。さらに、シリコン窒化膜の膜厚が5nm以上、150nm以下となるように制御すれば、優れたガスバリア性及び透明性を備えるガスバリア性樹脂基材が得られる。
また、本実施形態の樹脂基材の一例である樹脂フィルムについて、表面に膜厚が5〜150nm、且つ膜密度が2.00g/cm以上のシリコン窒化膜を設けることにより、水分透過度が0.1g/m/day以下のガスバリア性を付与することができる。したがって、上述したガスバリア性樹脂フィルムを飲食品、医薬品、化粧品等の収容包装体の用途に適用した場合、従来のDLC被膜によるガスバリア性樹脂包装体と比較して、内容物の性能劣化を5倍以上改善することができる。
また、本実施形態の樹脂基材の一例であるPETフィルムについて、表面に膜厚が5〜150nm、且つ膜密度が2.00g/cm以上のシリコン窒化膜を設けることにより、水分透過度が0.1g/m/day以下のガスバリア性を付与するとともに、シリコン窒化膜の全光線透過率が98%以上であるガスバリア性PETフィルムを提供することができる。このガスバリア性PETフィルムによれば、ガスバリア性が要求される飲食品等のPET包装体に好ましく使用することができる。
また、本実施形態のバリア性樹脂基材のガスバリア層を構成するシリコン窒化膜は、膜厚が5〜150nmと薄いため、樹脂基材として樹脂フィルムを用いた場合であっても樹脂フィルムとの密着性が低下することがない。
また、本実施形態のガスバリア性樹脂基材では、ガスバリア層となるシリコン窒化膜の全光線透過率が98%以上であるため、飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器の用途に適用した場合であっても、内容物の変色等を容易且つ正確に確認することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態の適用例として、飲食品、医薬品、化粧品等の収容容器の用途に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ガスバリア性が要求される樹脂基材の用途全般に適用することができる。
以下、試験例、実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果を具体的に説明する。
試験例1>
基材として、厚さが約50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用した。このPETフィルムの表面に、13.56MHzの高周波プラズマ装置を用いて、SiN被膜の形成処理を行なった。
具体的には、PETフィルムを大気に暴露することなく真空中(333Paの減圧下)、放電出力300Wの条件で行なった。また、ヒータを用いて、チャンバー内の温度が90℃になるまで加熱した。そして、有機シランガスとしてトリスジメチルアミノシランを使用し、プラズマ雰囲気ガスとなる水素還元ガスとして水素とアンモニアとを使用した。プラズマCVD法の原理によりプラズマを照射してSiN被膜を形成し、試験例1のガスバリア性PETフィルムを得た。
得られた試験例1のガスバリア性PETフィルムについて、水分透過度、ガスバリア層となるSiN被膜の全光線透過率、SiN被膜の膜厚、SiN被膜の膜密度について測定した。ここで、各測定及び評価の方法は、以下の通りである。なお、以下の試験例、実施例及び比較例についても同様の測定及び評価方法を用いた。また、下記の表1に測定結果を示す。
(水分透過度)
水分透過度測定装置(GTR製、「GTR2000XA」)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。1日当たり1平方メートルでいくら水分が透過したかについて、表わした。
(全光線透過率)
可視光源(浜松ホトニクス製、「L10027−01」)及び可視光検出器(浜松ホトニクス製、「C10027−01」)を用いて可視光線透過率を測定し、反射を考慮してガスバリア層となるSiN被膜の全光線透過率を算出した。
(SiN被膜の膜厚)
二次イオン質量分析法(PHI製、「ADEPT1010」)を用いて、SiN被膜中の、炭素「C」、酸素「O」の深さ方向の濃度分布を測定することで、SiN被膜の膜厚を算出した。
(SiN被膜の膜密度)
X線反射率法(リガク製、「ATX−G」)を用いて、SiN被膜の膜密度を測定した。
試験例2>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、形成時間を0.06倍とした以外は試験例1と全く同一として、試験例2のガスバリア性PETフィルムを得た。
試験例3>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、有機シランガスとしてテトラキスジメチルアミノシランを用いた以外は試験例1と全く同一として、試験例3のガスバリア性PETフィルムを得た。
<実施例4>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、水素還元ガスとして水素のみを用いた以外は試験例1と全く同一として、実施例4のガスバリア性PETフィルムを得た。
<実施例5>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、水素還元ガスとしてアンモニアを用いた以外は試験例1と全く同一として、試験例5のガスバリア性PETフィルムを得た。
<比較例1>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、形成時間を1.5倍とした以外は試験例1と全く同一として、比較例1のガスバリア性PETフィルムを得た。
<比較例2>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、形成時間を0.04倍とした以外は試験例1と全く同一として、比較例2のガスバリア性PETフィルムを得た。
<比較例3>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、有機シランガスにかえて非有機シランガスであるシランを用いた以外は試験例2と全く同一として、比較例3のガスバリア性PETフィルムを得た。
なお、比較例3において、シリコン源ガスをシラン、窒素源ガスをアンモニア、水素還元ガスを水素、且つアンモニアとした。
<比較例4>
プラズマCVD法によるSiN被膜の形成条件において、水素とアンモニアの代わりに窒素を用いた以外は試験例2と全く同一として、比較例4のガスバリア性PETフィルムを得た。
Figure 0006414707
表1に示すように、本発明の試験例1〜3,5及び実施例のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜の膜密度がいずれも2.00g/cm以上であるため、膜厚が、5〜150nmの薄膜であっても、水分透過度が0.1g/m/day以下の高いガスバリア性を有すると同時に、全光線透過率が98%以上の高い透明度も有することが確認できた。
また、図1は、本発明のSiN被膜の膜厚と水分透過度との関係を示す図である。図1に示すように、SiN被膜の膜厚が5nm以上になると水分透過度は0.1g/m/day以下となり、高いガスバリア性を発現する。したがって、本発明の膜密度が高いSiN被膜は、5nm以上の膜厚であれば、高いバリア性を有することがわかった。
<実施例4と比較例1の比較結果>
実施例4のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜の膜厚が148nmであるため、高いガスバリア性を発揮するとともに、高い透明性も示すことが確認された。これに対して、比較例1のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜の膜厚が157nmであるため、高いバリア性は示すが、ガスバリア層となるSiN被膜の全光線透過率が97%まで低下することが確認された。
試験例2と比較例2の比較結果>
試験例2のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜の膜厚が6nmであるため、高いガスバリア性を発揮するとともに、高い透明性も示すことが確認された。これに対して、比較例2のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜の膜厚が4nmであるため、高い透明性は示すが、ガスバリア性の指標となる水分透過度が2.0g/m/dayまで低下することが確認された。
試験例1,3と比較例3の比較結果>
試験例1,3のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜を形成する際、有機シランガスとしてトリスジメチルアミノシラン及びテトラキスジメチルアミノシランを用いるため、高いガスバリア性を発揮するとともに、高い透明性も示すことが確認された。これに対して、比較例のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜を形成する際、非有機シランガスであるシランを用いるため、ガスバリア性の指標となる水分透過度が10.7g/m/dayまで低下するとともに、ガスバリア層となるSiN被膜の全光線透過率も95%まで低下してしまうことが確認された。
試験例1,5及び実施例と比較例4の比較結果>
試験例1,5及び実施例のガスバリア性PETフィルムによれば、SiN被膜を形成する際、水素還元ガスとして水素とアンモニア又は水素、アンモニアを用いるため、高いガスバリア性を発揮するとともに、高い透明性も示すことが確認された。これに対して、比較例4のガスバリア性PETフィルムによれば、水素還元ガスを用いずに窒素を用いるため、ガスバリア性の指標となる水分透過度が11.1g/m/dayまで低下するとともに、ガスバリア層となるSiN被膜の全光線透過率も91%まで低下してしまうことが確認された。

Claims (10)

  1. 水素還元ガスのプラズマ雰囲気中に有機シランガスを添加して、樹脂基材の表面の少なくとも一部の表面にシリコン窒化膜を形成して、ガスバリア性樹脂基材を製造するとともに、
    前記水素還元ガスとして、水素、アミン、及び炭化水素のうち、いずれか1以上のガスのみからなるガスを用い、
    前記有機シランガスとして、テトラキスジメチルアミノシラン、トリスジメチルアミノシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラキスジエチルアミノシラン、トリスジエチルアミノシラン、ビスジエチルアミノシラン、テトラキスエチルメチルアミノシラン、トリスエチルメチルアミノシラン及びビスエチルメチルアミノシランからなる群のうち、いずれか1以上を含むガスを用い、
    前記ガスバリア性樹脂基材を、収容容器に用いる、ガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  2. 前記シリコン窒化膜を形成する際の温度を、100℃以下とする、請求項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  3. プラズマCVD法を用いる、請求項1又は2に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  4. プラズマ出力、プラズマ発生時間、前記水素還元ガス及び前記有機シランガスの圧力及び濃度のうち、いずれか1以上を調整して、前記シリコン窒化膜の膜厚を制御する、請求項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  5. 前記シリコン窒化膜の膜密度が2.00g/cm 以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  6. 前記シリコン窒化膜の膜厚が5nm以上である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  7. 前記ガスバリア性樹脂基材の水分透過度が、0.1g/m /day以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  8. 前記シリコン窒化膜の膜厚が150nm以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  9. 前記収容容器が、飲食品用、医薬品用、及び化粧品用のいずれかである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  10. 前記収容容器が、中空容器である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
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