JP6414677B2 - 魚類エキスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軟骨魚類を用いた魚類エキスの製造方法に関する。
軟骨魚類は、全身の骨格が軟骨で構成されているという特徴がある。また、軟骨魚類は、浸透圧を調節するために、その体内に尿素やトリメチルアミンオキサイドを蓄積している。軟骨魚類であるサメやエイは、古くから食品として利用されてきたが、鮮度管理が不十分な場合や、調理加工方法によっては、その体内に含まれる尿素が分解し、強い刺激臭を有するアンモニアが発生するという問題がある。そこで、軟骨魚類に含まれる尿素や発生したアンモニアを除去することを目的として、様々な検討が行われている。
例えば、サメ肉を発泡剤と共に擂潰して膨化させた後、加熱することにより脱臭するようにしたことを特徴とするサメ肉の加工方法(特許文献1)、サメ肉の切り身を流水中に浸漬して水晒しを行った後その含有する水分を除去することによってサメ肉の臭気を除去する方法(特許文献2)、骨と内臓を除去した、エイの魚肉又は/及び軟骨からなる魚体をよく洗浄し、チョッパー等で裁断する前処理工程と、これに濃度5〜10重量%の食塩水を魚体重量の2〜3重量倍加えて、1〜60分間煮沸して、加熱殺菌する加熱殺菌工程と、エイ魚体100重量部に対して5〜150重量部の麹を加えてもろみとなし、さらにもろみの食塩濃度を15〜20重量%に調整し、15〜60℃で90〜300日間、魚肉又は/及び軟骨を可溶化・分解する可溶化工程と、さらに可溶化・分解された可溶化物を上槽する上槽工程からなることを特徴とする、旨味のあるエイの調味食品の製造方法(特許文献3)、尿素を含有する魚類の魚体可食部を洗浄し、次いでチョッパー等で細断して魚体細断物を得る前処理工程と、前記前処理工程で得られた魚体細断物を水又は食塩水等の水性溶媒に浸漬して魚体から尿素を溶出させる浸漬工程と、前記浸漬工程で得られた魚体と浸漬液を蒸煮する蒸煮工程と、前記蒸煮工程で得られた魚体を含む蒸煮液に生豆乳を加えて酵素反応させる酵素反応工程と、前記酵素反応工程を終えた混合物液を再蒸煮して、酵素反応工程で生成したアンモニアを除去する再蒸煮工程とからなることを特徴とする尿素を含有する魚類からアンモニア臭の無い調味食品原材料を製造する方法(特許文献4)が開示されている。
また、魚介類を原料とするエキスについて、糖類を添加することにより風味の向上、改良を図る様々な検討が行われている。
例えば、魚介類エキスに糖類を添加溶解して加熱することを特徴とする魚介類エキスの生臭み(トリメチルアミン、脂質の酸化物等)の除去方法(特許文献5)、魚介類エキスについて、エキス中のクレアチン量の0.5〜50倍量(重量)のフラクトース(果糖)を添加し、加熱を行うことを特徴とするコク味の付与された新規な魚介類エキス調味料素材の製造法(特許文献6)が開示されている。
上記の方法において、例えば、水溶性成分である尿素やアンモニアを水等に移行させて除去する場合では、尿素やアンモニアと共に、魚介類エキスとして有用な旨味成分や栄養成分等が共に溶出するという問題がある。また、臭気成分であるアンモニアを酵素反応によって発生させ除去する場合においても、加熱が不足すれば、臭気成分は残留し、臭気成分の除去に十分な加熱をすれば、エキスの変質、品質低下を及ぼす。さらに、従来の糖類を添加する方法では、アンモニア臭に関する報告はなく、また、加熱時のメイラード反応等による褐変や炭化(焦げ)等が発生するという問題がある。
特開平7−31420号公報 特開2001−157563号公報 特開2010−75093号公報 特開2011−193849号公報 特開平7−289206号公報 特開平10−165134号公報
本発明の課題は、軟骨魚類を原料として、軟骨魚類を調理加工処理したときに起こるアンモニア臭の発生を抑え、旨味やコク味を増強させた、魚類エキスの製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、軟骨魚類を原料として、該原料を還元糖の存在下で加熱処理した後、酵素処理を行うことにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、軟骨魚類を原料として、該原料を還元糖の存在下で加熱処理した後、酵素処理を行うことにより、アンモニア臭を発生させることなく、旨味やコク味を増強させた呈味力価の強い魚類エキスの製造方法を提供するものである。
本発明には、下記の態様が含まれる。
項(1)
軟骨魚類を原料として、該原料を還元糖の存在下で加熱処理した後、酵素処理を行うことを特徴とする、魚類エキスの製造方法。
項(2)
前記加熱処理が95℃以上で行われる、項(1)に記載の製造方法。
項(3)
前記酵素処理が、プロテアーゼ活性を有する酵素を用いて行われる、項(1)又は項(2)に記載の製造方法。
項(4)
還元糖がキシロース、グルコース、フルクトース又はマルトースのうち少なくとも1種である、項(1)乃至項(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
項(5)
項(1)乃至項(4)のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、魚類エキス。
本発明によれば、軟骨魚類を調理加工処理したときに起こるアンモニア臭の発生を抑止することができ、さらに、従来アンモニア臭を低減する際に引き起こされていた旨味成分の溶出が起こらないだけでなく、褐変や焦げによる着色や焦げ臭の発生、旨味成分の変質等を抑制し、旨味やコク味を増強させた、呈味力価の強い、魚類エキスを提供することができる。
本発明によれば、従来、そのアンモニア臭の発生により利用が制限されてきた軟骨魚類を、風味良好で汎用性の高い魚類エキスとして利用することができる。
本発明において、軟骨魚類とは、サメ、エイ、ギンザメ等が属する軟骨魚綱に属する魚類である。例えば、ネコザメ目に属するネコザメ、テンジクザメ目に属するテンジクザメ、イヌザメ、ジンベイザメ、ネズミザメ目に属するネズミザメ(モウカサメ)、ウバザメ、アオザメ、ホオジロザメ、メジロザメ目に属するヨシキリザメ、トラザメ、ホシザメ、シロザメ、イタチザメ、メジロザメ、ネムリブカ、アカシュモクザメ、シロシュモクザメ、ツノザメ目に属するアブラツノザメ、ダルマザメ、ノコギリザメ目に属するノコギリザメ、ノコギリエイ目に属するノコギリエイ、ガンギエイ目に属するガンギエイ、サカタザメ、トビエイ目に属するナルトビエイ、アカエイ、ヒラタエイ、ウチワザメ、ツバクロエイ、マダラトビエイ、オニイトマキエイ、ギンザメ目に属するギンザメ等が挙げられる。本発明において用いる原料の軟骨魚類は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。また、原料の軟骨魚類は、生であっても乾燥物であっても用いることができる。さらに、本発明において使用する軟骨魚類の部位は、特に限定されず、肉、骨(軟骨)、皮、内臓等、いずれの部位も用いることができる。
本発明において、原料の軟骨魚類は、そのままでも、細切処理又は粉砕処理した物であってもよい。原料の軟骨魚類を細切処理又は粉砕処理する方法は、特に限定されず、食材の加工に一般に用いられる方法を単独又は組み合わせて処理することができる。細切処理又は粉砕処理に用いる機器としては、例えば、切断、粉砕、摩擦、空気圧、水圧等を利用して加工する各種の裁断機、粉砕機等が挙げられる。さらに、原料の軟骨魚類は、水等の溶媒を添加して使用してもよい。
本発明においては、軟骨魚類を原料として、該原料を還元糖の存在下で加熱処理を行う。本発明において用いる還元糖は、一般に食品に用いることができる還元糖であればいずれでもよく、還元糖を含むものであってもよい。還元糖としては、例えば、キシロース、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、ソルボース、ラムノース等の単糖類、マルトース、ラクトース、セロビオース、パラチノース、ツラノース等の二糖類、マルトトリオース等のオリゴ糖、デキストリン、デンプン等の多糖類が挙げられる。本発明において、還元糖は、1種が単独で存在してもよく、複数種が併存してもよい。
本発明において、軟骨魚類を原料として、該原料を還元糖の存在下で加熱処理を行う際に存在する還元糖の量は、その種類や加熱条件、得られるエキスの目的とする呈味等によって適宜決定されるものであり、必要となるだけ存在するよう添加、調整すればよい。例えば、通常、固形物比率で、原料である軟骨魚類100重量部に対して10重量部以上、好ましくは、20重量部以上、より好ましくは、40重量部以上である。
本発明において、原料の軟骨魚類を還元糖の存在下で加熱処理を行う温度は、通常95℃以上、好ましくは、100℃以上であり、より好ましくは、100℃〜150℃である。さらに、本発明において、原料の軟骨魚類を還元糖の存在下で加熱処理を行う時間は、通常10分間〜6時間、好ましくは、15分間〜3時間、より好ましくは、30分間〜2時間である。
本発明において、原料の軟骨魚類を還元糖の存在下で加熱処理を行う方法は、特に限定されず、直接加熱、間接加熱を問わない。例えば、蒸気加熱や過熱水蒸気といった湿式加熱、直火加熱や電熱加熱、赤外線加熱、電磁加熱といった乾式加熱、また、高周波加熱等を挙げることができる。本発明において、原料の軟骨魚類を還元糖の存在下で加熱処理を行う雰囲気は、密閉状態であっても、非密閉(開放)状態であってもよい。当該加熱処理に用いる装置は、特に限定されず、耐圧密閉加熱釜(オートクレーブ)やオーブン、ニーダー等での加熱が挙げられる。中でも、耐圧密閉加熱釜(オートクレーブ)が好ましい。
本発明においては、原料の軟骨魚類を還元糖の存在下で加熱処理を行った後に、酵素処理を行う。酵素処理に用いる酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ等の活性を有する酵素等が挙げられるが、中でも、プロテアーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行うことが好ましい。本発明において、プロテアーゼ活性を有する酵素を用いる場合には、食品に用いることができるプロテアーゼ活性を有する酵素であればいずれでもよく、該酵素を含むものであってもよく、酵素製剤の形で用いることもできる。プロテアーゼ活性を有する酵素としては、例えば、プロテアーゼ製剤であるスミチーム(登録商標)FP、スミチームLPL、スミチームACP(以上、新日本化学工業株式会社製)や、プロテアーゼM、ウマミザイムG(以上、天野エンザイム株式会社製)等が挙げられる。
本発明において、酵素処理を行う温度は、通常10〜70℃、好ましくは、20〜60℃である。また、本発明において、酵素処理を行う時間は、通常10分間〜24時間、好ましくは、30分間〜20時間、より好ましくは、1〜18時間である。また、本発明において、酵素の添加量は、処理温度及び処理時間により適宜変更することができるが、例えば、酵素製剤として、通常0.01〜2重量%、好ましくは、0.02〜1重量%である。
本発明により得られる魚類エキスは、風味が良好で嗜好性に優れていることから、そのままの形態でも利用することができるが、さらに、該魚類エキスを固液分離した液部として用いることができる。固液分離する方法は、特に限定されず、濾過、遠心分離等の公知の方法により行うことができる。また、本発明により得られる魚類エキスは、そのまま又は固液分離した液部を常法により濃縮機等で処理して濃縮物として用いてもよく、乾燥して用いてもよい。乾燥方法は、特に限定されず、公知の手段を用いて乾燥することができる。乾燥方法としては、例えば、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、フリーズドライヤー、エアードライヤー等の公知の手段を用いることができる。また、デキストリン等の賦形剤を添加して乾燥してもよい。さらに、乾燥により得られたものを粉砕後、粉末等として用いてもよく、必要に応じて造粒機等を用いて顆粒品とすることができる。
本発明により得られる魚類エキスは、そのまま又は水等で希釈して利用することができる。また、本発明により得られる魚類エキスは、種々の加工食品、例えば、即席食品、乳製品、菓子類、調味料、飲料等の各種飲食品に適宜添加、配合して用いることもできる。さらに、必要に応じて、通常の飲食品の原料や添加物として使用されているものと併用することもできる。
本発明により得られる魚類エキスは、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品といった食品や、医薬部外品、飼料等に用いることができる。形態としては、アンプル、カプセル、丸剤、錠剤、粉末、顆粒、固形、液剤、ゲル、エアロゾル等とすることができるほか、各種製品中に配合することができる。これら製品の調製に当たっては、賦形剤、結合剤、潤沢剤等を適宜配合することができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本実施例において、各原料及び素材の配合比率、含有比率、濃度は、断りのない限り全て重量部基準である。
[実施例1]
内臓を除いたナルトビエイの粉砕物(固形分:23.4%)50gに、水道水及びキシロースを表1に記載の分量でそれぞれ加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、プロテアーゼ製剤であるプロテアーゼM(天野エンザイム株式会社製)を0.2g添加して50℃で3時間酵素処理を行い、さらに、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、本発明による魚類エキス(実施例1−1〜1−3)各90gを得た。
[比較例1]
内臓を除いたナルトビエイの粉砕物(固形分:23.4%)50gに、水道水50gを加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、プロテアーゼ製剤であるプロテアーゼM(天野エンザイム株式会社製)を0.2g添加して50℃で3時間酵素処理を行い、さらに、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキス(比較例1)90gを得た。
[評価試験1]
実施例1で得られた本発明による魚類エキス及び比較例1で得られた還元糖の非存在下で加熱処理した魚類エキスを検体として、尿素及びグルタミン酸の含有量並びにアンモニア濃度を測定した。尿素及びグルタミン酸の含有量の測定は、酵素法による食品分析試薬であるFキット(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いて行った。アンモニア濃度の測定は、100ml容ねじ口瓶に検体20gを入れて密封し、30℃で30分間静置した後のヘッドスペースガスについて、GASTEC(登録商標) No.3L(アンモニア)(株式会社ガステック製)を用いて行った。さらに、パネラー10名により、風味(アンモニア臭及び呈味)について評価を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0006414677
表1に示すとおり、実施例1の本発明による魚類エキスは、アンモニアが検出されず、アンモニア臭を全く感じないものであった。さらに、旨味やコク味といった呈味が強く、調味用素材として有用なエキスであった。一方、比較例1の還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキスは、実施例1の本発明による魚類エキスと比べて、アンモニア濃度が高く、強烈なアンモニア臭を発しており、食用として利用することが難しい素材であった。呈味については、その強烈なアンモニア臭から、評価することができなかった。
[実施例2]
内臓を除いたナルトビエイの粉砕物(固形分:23.4%)50gに、水道水30g及びキシロース20g(ナルトビエイ粉砕物の固形物100重量部に対して170.9重量部)を加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いてそれぞれ表2に記載の温度で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、プロテアーゼ製剤であるスミチームFP(新日本化学工業株式会社製)を0.2g添加して50℃で5時間酵素処理を行い、さらに、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、本発明による魚類エキス(実施例2−1〜2−4)各90gを得た。
[評価試験2]
実施例2で得られた本発明による魚類エキスを検体として、評価試験1と同様にして尿素及びグルタミン酸の含有量並びにアンモニア濃度を測定した。さらに、パネラー10名により、風味(アンモニア臭及び呈味)について評価を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0006414677
表2に示すとおり、実施例2の本発明による魚類エキスは、表2に記載のいずれの温度で加熱処理を行ったものであっても、アンモニアが検出されず、アンモニア臭を全く感じないものであった。さらに、旨味やコク味といった呈味が強く、調味用素材として有用なエキスであった。
[実施例3]
内臓を除いたヨシキリザメの粉砕物(固形分:20.6%)40gに、水道水16g、キシロース16g(ヨシキリザメ粉砕物の固形物100重量部に対して194.2重量部)及び食塩8gを加えて混合した。次いで、コンベクションオーブンを用いて100℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、プロテアーゼ製剤であるスミチームFP(新日本化学工業株式会社製)を0.16g添加して50℃で3時間酵素処理を行い、さらに、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、本発明による魚類エキス(実施例3)70gを得た。
[比較例2]
内臓を除いたヨシキリザメの粉砕物(固形分:20.6%)40gに、水道水16g、キシロース16g(ヨシキリザメ粉砕物の固形物100重量部に対して194.2重量部)及び食塩8gを加えて混合した。次いで、50℃まで加温し、プロテアーゼ製剤であるスミチームFP(新日本化学工業株式会社製)を0.16g添加して50℃で3時間酵素処理を行い、さらに、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、還元糖の存在下で加熱処理を行っていない魚類エキス(比較例2)70gを得た。
[比較例3]
内臓を除いたヨシキリザメの粉砕物(固形分:20.6%)40gに、水道水32g及び食塩8gを加えて混合した。次いで、50℃まで加温し、プロテアーゼ製剤であるスミチームFP(新日本化学工業株式会社製)を0.16g添加して50℃で3時間酵素処理を行い、さらに、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、還元糖が存在せず加熱処理も行っていない魚類エキス(比較例3)70gを得た。
[評価試験3]
実施例3で得られた本発明による魚類エキス、比較例2で得られた還元糖の存在下で加熱処理を行っていない魚類エキス及び比較例3で得られた還元糖が存在せず加熱処理も行っていない魚類エキスを検体として、評価試験1と同様にして尿素の含有量及びアンモニア濃度を測定した。さらに、実際の調理における加熱加工処理を想定して、それぞれの検体を90℃で12時間保持した後、アンモニア濃度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006414677
表3に示すとおり、実施例3の本発明による魚類エキスは、アンモニアが検出されず、アンモニア臭を全く感じないものであった。さらに、実施例3の本発明による魚類エキスを90℃で12時間保持した後でも、アンモニアは検出されず、アンモニア臭を全く感じないものであった。一方、比較例2の還元糖の存在下で加熱処理を行っていない魚類エキス及び比較例3の還元糖が存在せず加熱処理も行っていない魚類エキスは、いずれも、30℃で30分静置後にはアンモニアが検出されなかったが、各検体を90℃で12時間保持した後では、アンモニアが検出され、強いアンモニア臭を発しており、食用として利用することが難しい素材であった。すなわち、本発明による魚類エキスは、調理工程等における加熱加工処理によるアンモニア臭の発生を懸念することなく使用することができる有用なエキスであることが分かった。
[実施例4]
内臓を除いたナルトビエイの粉砕物(固形分:23.4%)50gに、水道水40g及びグルコース(実施例4−1)又はキシロース(実施例4−2)10g(ナルトビエイ粉砕物の固形物100重量部に対して85.5重量部)をそれぞれ加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、プロテアーゼ製剤であるスミチームLPL及びスミチームACP(いずれも、新日本化学工業株式会社製)を各0.1gずつ添加して50℃で3時間酵素処理を行い、さらに、90℃で10分間酵素失活処理を行うことで、本発明による魚類エキス(実施例4−1及び4−2)各90gを得た。
[比較例4]
内臓を除いたナルトビエイの粉砕物(固形分:23.4%)50gに、水道水40g及びグルコース(比較例4−1)又はキシロース(比較例4−2)10g(ナルトビエイ粉砕物の固形物100重量部に対して85.5重量部)をそれぞれ加えて混合した。次いで、プロテアーゼ製剤であるスミチームLPL及びスミチームACP(いずれも、新日本化学工業株式会社製)を各0.1gずつ添加して50℃で3時間酵素処理を行った。酵素処理後、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行うことで、加熱処理前に酵素処理を行った魚類エキス(比較例4−1及び4−2)各90gを得た。
[評価試験4]
実施例4で得られた本発明による魚類エキス及び比較例4で得られた加熱処理前に酵素処理を行った魚類エキスを検体として、評価試験1と同様にして尿素及びグルタミン酸の含有量並びにアンモニア濃度を測定した。また、各検体について、その色度を比較した。色度は、各検体をイオン交換水で100倍に希釈した液の吸光度(OD430)を、分光光度計(UV−1200:株式会社島津製作所製)を用いて、光路長1cm、波長430nmの条件で測定した。さらに、パネラー10名により、風味(アンモニア臭、焦げ臭及び呈味)について評価を実施した。結果を表4に示す。
Figure 0006414677
表4に示すとおり、実施例4の本発明による魚類エキスは、アンモニアが検出されず、アンモニア臭を全く感じないものであった。さらに、旨味やコク味といった呈味が非常に強く、調味用素材として有用なエキスであった。一方、比較例4の加熱処理前に酵素処理を行った魚類エキスは、実施例4の本発明による魚類エキスと比べて、著しい着色があり、さらに、強烈な焦げ臭も発生しており、食用として利用することが難しい素材であった。呈味については、その強烈な焦げ臭から、評価することができなかった。
[実施例5]
ネズミザメの肉の粉砕物(固形分:20.9%)40gに、水道水24g及びマルトース16g(ネズミザメ粉砕物の固形物100重量部に対して191.4重量部)を加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、プロテアーゼ製剤であるウマミザイムG(天野エンザイム株式会社製)を0.16g添加して50℃で2時間酵素処理を行い、さらに、80℃で10分間酵素失活処理を行うことで、本発明による魚類エキス(実施例5)70gを得た。
[比較例5]
ネズミザメの肉の粉砕物(固形分:20.9%)40gに、水道水24gを加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、マルトース16g(ネズミザメ粉砕物の固形物100重量部に対して191.4重量部)を、プロテアーゼ製剤であるウマミザイムG(天野エンザイム株式会社製)を0.16g添加して50℃で2時間酵素処理を行い、さらに、80℃で10分間酵素失活処理を行うことで、還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキス(比較例5)70gを得た。
[評価試験5]
実施例5で得られた本発明による魚類エキス及び比較例5で得られた還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキスを検体として、評価試験1と同様にして尿素及びグルタミン酸の含有量並びにアンモニア濃度を測定した。さらに、パネラー10名により、風味(アンモニア臭及び呈味)について評価を実施した。結果を表5に示す。
Figure 0006414677
表5に示すとおり、実施例5の本発明による魚類エキスは、アンモニアが検出されず、アンモニア臭を全く感じないものであった。さらに、旨味やコク味といった呈味が強く、調味用素材として有用なエキスであった。一方、比較例5の還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキスは、実施例5の本発明による魚類エキスと比べて、アンモニア濃度が高く、強烈なアンモニア臭を発しており、食用として利用することが難しい素材であった。呈味については、その強烈なアンモニア臭から、評価することができなかった。
[実施例6]
アブラツノザメの肉の粉砕物(固形分:21.7%)40gに、水道水32g及びフルクトース8g(アブラツノザメ粉砕物の固形物100重量部に対して92.17重量部)を加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、プロテアーゼ製剤であるウマミザイムG(天野エンザイム株式会社製)を0.16g添加して50℃で2時間酵素処理を行い、さらに、80℃で10分間酵素失活処理を行うことで、本発明による魚類エキス(実施例6)70gを得た。
[比較例6]
アブラツノザメの肉の粉砕物(固形分:21.7%)40gに、水道水32gを加えて混合した。次いで、オートクレーブを用いて130℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理後、50℃まで冷却し、フルクトース8g(アブラツノザメ粉砕物の固形物100重量部に対して92.17重量部)を、プロテアーゼ製剤であるウマミザイムG(天野エンザイム株式会社製)を0.16g添加して50℃で2時間酵素処理を行い、さらに、80℃で10分間酵素失活処理を行うことで、還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキス(比較例6)70gを得た。
[評価試験6]
実施例6で得られた本発明による魚類エキス及び比較例6で得られた還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキスを検体として、評価試験1と同様にして尿素及びグルタミン酸の含有量並びにアンモニア濃度を測定した。さらに、パネラー10名により、風味(アンモニア臭及び呈味)について評価を実施した。結果を表6に示す。
Figure 0006414677
表6に示すとおり、実施例6の本発明による魚類エキスは、アンモニアが検出されず、アンモニア臭を全く感じないものであった。さらに、旨味やコク味といった呈味が強く、調味用素材として有用なエキスであった。一方、比較例6の還元糖の非存在下で加熱処理を行った魚類エキスは、実施例6の本発明による魚類エキスと比べて、アンモニア濃度が高く、強烈なアンモニア臭を発しており、食用として利用することが難しい素材であった。呈味については、その強烈なアンモニア臭から、評価することができなかった。

Claims (4)

  1. 軟骨魚類を原料として、該原料を還元糖の存在下で95℃以上で加熱処理した後、プロテアーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行うことを特徴とする、魚類エキスの製造方法。
  2. 還元糖の量が、軟骨魚類固形物100重量%に対して20重量部以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 還元糖がキシロース、グルコース、フルクトース又はマルトースのうち少なくとも1種である、請求項1又は請求項に記載の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、魚類エキス。
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