以下に、添付図面を参照して、本発明に係る圧下レベル制御装置および圧下レベル制御方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
(圧下レベル制御装置)
まず、本発明の実施の形態に係る圧下レベル制御装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る圧下レベル制御装置の一構成例を示す図である。なお、図1には、本発明の実施の形態に係る圧下レベル制御装置1を適用した圧延機の一例である仕上圧延機11と、この仕上圧延機11の前段に設置された粗圧延機10とを有する熱間圧延ラインの一部分が模式的に図示されている。
本実施の形態において、圧下レベル制御装置1は、例えば、粗圧延機10による粗圧延後の被圧延材15の進行速度や実質蛇行量等を考慮して、仕上圧延機11の圧下レベリング量を制御し、これにより、被圧延材15の実質蛇行量を低減するものである。図1に示すように、圧下レベル制御装置1は、被圧延材15の蛇行量の測定を行う蛇行量測定部2と、圧下レベル制御に必要な演算処理を行う演算処理部3と、圧下レベリング量の制御を行う制御部4とを備える。
蛇行量測定部2は、制御対象の圧延機の入側における被圧延材15の実質蛇行量を測定するものである。本実施の形態において、蛇行量測定部2は、例えば、撮像装置等を用いて構成され、図1に示すように、粗圧延機10の出側と仕上圧延機11の入側との間に配置される。蛇行量測定部2は、仕上圧延機11の入側において、粗圧延機10による粗圧延後の被圧延材15のキャンバー量を被圧延材15の長手方向全長に亘り測定する。蛇行量測定部2は、測定したキャンバー量を被圧延材15の蛇行量に換算して、被圧延材15の長手方向各位置のキャンバーによる蛇行量(以下、キャンバー起因蛇行量という)を測定(取得)する。また、蛇行量測定部2は、仕上圧延機11の入側において、被圧延材15の先端部のオフセンター量を、キャンバー起因蛇行量を加味して測定する。すなわち、この測定されるオフセンター量には、被圧延材15の先端部におけるキャンバー起因蛇行量と、被圧延材15の幅方向移動による蛇行量(以下、オフセンター起因蛇行量という)とが含まれる。蛇行量測定部2は、この測定したオフセンター量をもとに、被圧延材15の先端部のオフセンター起因蛇行量分、被圧延材15の長手方向各位置のキャンバー起因蛇行量を被圧延材15の幅方向に変更する。これにより、蛇行量測定部2は、仕上圧延機11の入側における被圧延材15のキャンバー起因蛇行量とオフセンター起因蛇行量とを含む実質的な蛇行量である実質蛇行量を、被圧延材15の長手方向各位置について測定(取得)する。
なお、オフセンターは、被圧延材15の幅方向移動によって被圧延材15の長手方向全長に亘る幅方向中心位置が、搬送経路の作業側または駆動側へ位置ズレすること、すなわち、仕上圧延機11のワークロールの幅方向中心位置(以下、ロール幅方向中心位置と適宜いう)に対して位置ズレすることである。オフセンター量は、上述したオフセンターによる被圧延材15の長手方向全長における幅方向中心位置の、搬送経路の幅方向中心位置(仕上圧延機11のロール幅方向中心位置)に対する位置ズレ量である。
演算処理部3は、制御対象の圧延機の圧下レベリング量を制御するために必要な各種値を算出するものである。本実施の形態において、演算処理部3は、蛇行量測定部2によって測定された被圧延材15の長手方向各位置の実質蛇行量と被圧延材15の進行速度とをもとに、仕上圧延機11の圧下レベリング量の指示値(以下、圧下レベリング指示値という)を算出する。圧下レベリング指示値は、仕上圧延機11による被圧延材15の圧延期間の各時刻における圧延機直下の被圧延材15の実質蛇行量を修正するために必要な圧下レベリング量であって、この実質蛇行量の修正のために仕上圧延機11に指示する圧下レベリング量である。圧延機直下の被圧延材15の実質蛇行量は、被圧延材15の長手方向各位置(先端部から尾端部までの各位置)のうち仕上圧延機11における最上流の圧延機11−1のワークロールによって圧延中(ワークロール間を通過中)の被圧延材部分の位置における実質蛇行量である。
また、演算処理部3は、仕上圧延機11による被圧延材15の圧延期間の各時刻の圧下レベリング指示値をもとに、目標圧下レベリング量の単位時間当たりの変化量である目標圧下レベリング変化量を算出する。本実施の形態において、目標圧下レベリング量は、上述した圧延期間の各時刻の圧下レベリング指示値によって指示される圧下レベリング量、すなわち、圧延機直下の被圧延材15の実質蛇行量を修正すべく仕上圧延機11に調整させる圧下レベリング量の目標値(理想値)である。
さらに、演算処理部3は、上述した圧延期間において、目標圧下レベリング変化量が仕上圧延機11による圧下レベリング動作の動作速度の設備上限を超過するケースがある場合、仕上圧延機11における最上流の圧延機11−1に行わせる圧下レベリング動作の最速動作開始時刻を算出する。本実施の形態において、圧下レベリング動作は、演算処理部3によって算出した圧下レベリング指示値に従って仕上圧延機11の圧下レベリング量を調整する動作である。最速動作開始時刻は、上述した圧延期間のうち、圧下レベリング動作を仕上圧延機11の最大動作速度で開始する動作開始時刻である。演算処理部3は、圧下レベリング指示値によって指示される目標圧下レベリング量と仕上圧延機11の最大動作速度での圧下レベリング動作によって調整される圧下レベリング量との差が最小となるように、上述の最速動作開始時刻を算出する。
制御部4は、制御対象の圧延機の圧下レベリング量を制御するものであり、予め設定されたプログラムを実行するCPUおよび各種データ等を記憶するメモリ等を用いて構成される。本実施の形態において、制御部4は、演算処理部3によって算出された目標圧下レベリング変化量と仕上圧延機11の最大圧下レベリング変化量とを比較する。最大圧下レベリング変化量は、仕上圧延機11の最大動作速度での圧下レベリング動作によって調整される圧下レベリング量の単位時間当たりの変化量である。ここで、目標圧下レベリング変化量が最大圧下レベリング変化量を超過することは、上述した目標圧下レベリング変化量が仕上圧延機11による圧下レベリング動作の動作速度の設備上限を超過することを意味する。制御部4は、比較処理の結果、上述した圧延期間の各時刻のいずれかにおいて目標圧下レベリング変化量が最大圧下レベリング変化量を超過する場合、演算処理部3によって算出された最速動作開始時刻に、仕上圧延機11の最大動作速度での圧下レベリング動作を行うように仕上圧延機11(詳細には最上流の圧延機11−1)を制御する。
一方、上述した圧下レベル制御装置1が適用される熱間圧延ラインには、図1に示すように、被圧延材15の搬送経路14に沿って粗圧延機10と仕上圧延機11とが設置される。粗圧延機10は、加熱炉(図示せず)による加熱処理等が行われた被圧延材15(例えばスラブ)を粗圧延する設備であり、仕上圧延機11に比して搬送方向(図1中の破線矢印によって示される方向)の前段に設置される。なお、図1には、粗圧延機10として1スタンドの圧延機が図示されているが、粗圧延機を構成する圧延機の数量(スタンド数)は、1つでもよいし複数でもよく、本発明において特に問われない。
仕上圧延機11は、例えば、搬送経路14に沿って並設される複数(n個)の圧延機11−1〜11−nによって構成されるタンデム圧延機である。複数の圧延機11−1〜11−nの各々は、ワークロール等を備え、被圧延材15を順次圧延する。これら複数の圧延機11−1〜11−nのうち、圧延機11−1は、最上流の圧延機であり、圧延機11−nは、最下流の圧延機である。以下、この最上流の圧延機11−1は、適宜「圧延機11−1」と略記する。これらの圧延機11−1と圧延機11−nとの間には、圧延機11−2等の残りの圧延機が設置される。また、複数の圧延機11−1〜11−nは、各々、ワークロールの圧下レベリング量を調整する圧下装置と、被圧延材15の幅方向両端部の位置を規制するサイドガイドとを有する。例えば、図1に示すように、各圧延機11−1,11−2,11−nは、圧下装置12−1,12−2,12−nを各々有する。圧延機11−1の入側にはサイドガイド13−1が設置され、圧延機11−2の入側(すなわち圧延機11−1の出側)にはサイドガイド13−2が設置される。同様に、圧延機11−nの入側にはサイドガイド13−nが設置される。仕上圧延機11は、これら複数の圧延機11−1〜11−nによって、被圧延材15を、要求される厚さに仕上圧延する。
被圧延材15の搬送経路14は、複数の搬送ロール等(図示せず)を用いて構成される。被圧延材15は、例えば鋼板等の金属材であり、搬送経路14に沿って順次進行する。この被圧延材15の進行方向は、搬送経路14に沿った被圧延材15の搬送方向であり、被圧延材15の長手方向および圧延方向と同じ方向になる。被圧延材15の幅方向は、被圧延材15の進行方向(長手方向)および厚さ方向に対して垂直な方向である。本実施の形態において、被圧延材15の幅方向両側の一方は作業側(FS)であり、他方は駆動側(DS)である。このことは、搬送経路14の幅方向および各圧延機のロール幅方向についても同様である。また、被圧延材15の進行速度は、搬送ロールによる搬送や圧延機による圧延に伴う被圧延材15の長手方向の移動速度である。
(被圧延材の実質蛇行量)
つぎに、本発明の実施の形態における被圧延材15の実質蛇行量について説明する。図2は、本発明の実施の形態における被圧延材の実質蛇行量を説明する図である。図2に示すように、被圧延材15の長手方向各位置の実質蛇行量x(P)は、被圧延材15の長手方向各位置(任意の位置P)におけるキャンバー起因蛇行量xc(P)とオフセンター起因蛇行量Δxとを含む蛇行量である。
キャンバー起因蛇行量xc(P)は、被圧延材15のキャンバーによって生じる蛇行量であり、被圧延材15の長手方向各位置とキャンバー量Camとの相関によって決まる。特に図2には示さないが、キャンバー量Camは、被圧延材15の長手方向に対する幅方向への曲がり量である。ここで、キャンバー起因蛇行量xc(P)は、被圧延材15の長手方向各位置、例えば、被圧延材15の先端部15aから尾端部15bまでの間の任意の位置PにおけるFSまたはDS(図2ではFS)への曲がり量に相当する。このようなキャンバー起因蛇行量xc(P)は、被圧延材15の長手方向の中心位置Pcにおける幅方向中心位置CL3と、被圧延材15の長手方向各位置のキャンバー量Camに応じた幅方向中心位置CL1との偏差(距離)で定義される。この際、幅方向中心位置CL1は、図2に示すように、被圧延材15の先端部15aの幅方向中心位置Waと尾端部15bの幅方向中心位置Wbとを、キャンバーが発生した状態の被圧延材15の長手方向に沿って結ぶ曲線によって表される。本実施の形態において、キャンバー起因蛇行量xc(P)は、被圧延材15の長手方向の位置Pが中心位置Pcから先端部15aの位置Pa側または尾端部15bの位置Pb側へ変位するに伴い、増加する。
オフセンター起因蛇行量Δxは、被圧延材15のFSまたはDSへの幅方向移動によって生じる蛇行量であり、被圧延材15のオフセンター量に相当する。ここで、被圧延材15のオフセンター量は、制御対象の圧延機(例えば図1に示す仕上圧延機11)のロール幅方向中心位置CL4と被圧延材15の幅方向中心位置CL1との偏差からキャンバー起因蛇行量xc(P)を差し引いた値となる。本実施の形態において、被圧延材15の長手方向における先端部15aの位置Paでの実質蛇行量x(Pa)は、図2に示すように、被圧延材15の幅方向中心位置Waとロール幅方向中心位置CL4との距離で定義され、上述した蛇行量測定部2(図1参照)により、被圧延材15の先端部15aのオフセンター量として測定される。また、キャンバー起因蛇行量xc(Pa)は、上述した蛇行量測定部2によって測定される被圧延材15の長手方向各位置のキャンバー起因蛇行量xc(P)のうち先端部15aの位置Paでの値である。図2に示すように、オフセンター起因蛇行量Δxは、この位置Paでの実質蛇行量x(Pa)とキャンバー起因蛇行量xc(Pa)との差(x(Pa)−xc(Pa))で表される。このようなオフセンター起因蛇行量Δxは、被圧延材15の長手方向全長に亘って一定の値である。
被圧延材15の長手方向各位置の実質蛇行量x(P)は、先端部15aの位置Paでの実質蛇行量x(Pa)と蛇行量測定部2によって測定される先端部15aのオフセンター量とが一致するよう、蛇行量測定部2によるキャンバー起因蛇行量xc(P)を被圧延材15の幅方向に変更することによって得られる。すなわち、実質蛇行量x(P)は、図2に示すように、被圧延材15の長手方向全長に亘り、位置Pにおけるキャンバー起因蛇行量xc(P)とオフセンター起因蛇行量Δxとを加算した値となる。このような実質蛇行量x(P)は、被圧延材15の長手方向の中心位置Pcにおいて最小値になり、この中心位置Pcから先端部15aの位置Paおよび尾端部15bの位置Pbに向かって増加(例えば1時関数的または2次関数的に増加)する。
(圧下レベル制御方法)
つぎに、本発明の実施の形態に係る圧下レベル制御方法について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る圧下レベル制御方法の一例を示すフローチャートである。本発明の実施の形態に係る圧下レベル制御方法において、圧下レベル制御装置1(図1参照)は、図3に示すステップS101〜S108を適宜実行して、被圧延材15の仕上圧延の際における仕上圧延機11の圧下レベリング量を制御する。
すなわち、図3に示すように、圧下レベル制御装置1は、まず、仕上圧延機11の入側における被圧延材15の長手方向各位置の実質蛇行量x(P)を測定する(ステップS101)。
ステップS101において、蛇行量測定部2は、仕上圧延機11の入側、詳細には、粗圧延機10の出側において、粗圧延後の被圧延材15のキャンバー量Camを被圧延材15の長手方向全長に亘り測定する。続いて、蛇行量測定部2は、測定した被圧延材15の長手方向全長分のキャンバー量Camを、被圧延材15の長手方向位置毎にキャンバーによる蛇行量に変換する。これにより、蛇行量測定部2は、粗圧延機10の出側(すなわち仕上圧延機11の入側)における被圧延材15の長手方向各位置のキャンバー起因蛇行量xc(P)を測定する。なお、本実施の形態において、キャンバー起因蛇行量xc(P)は、被圧延材15が粗圧延機10の出側から仕上圧延機11の入側へ進行する間に変化しない。
また、蛇行測定部2は、ステップS101において、仕上圧延機11の入側における被圧延材15の先端部15aのオフセンター量を測定する。詳細には、蛇行測定部2は、被圧延材15の先端部15aの位置Pa(図2参照)における実質蛇行量x(Pa)を、上記オフセンター量として測定する。蛇行量測定部2は、このステップS101において測定したキャンバー起因蛇行量xc(P)と実質蛇行量x(Pa)とをもとに、このキャンバー起因蛇行量xc(P)を、被圧延材15のオフセンター起因蛇行量Δx(=x(Pa)−xc(Pa))分、被圧延材15の幅方向に変更する。これにより、蛇行量測定部2は、仕上圧延機11の入側における被圧延材15のキャンバー起因蛇行量xc(P)とオフセンター起因蛇行量Δxとを含む実質蛇行量x(P)を、被圧延材15の長手方向各位置について測定する。その後、蛇行測定部2は、実質蛇行量x(P)の測定結果を演算処理部3に送信する。
ステップS101を実行後、圧下レベル制御装置1は、仕上圧延機11の圧下レベリング指示値を算出する(ステップS102)。ステップS102において、演算処理部3は、被圧延材15の進行速度と、ステップS101によって測定された被圧延材15の長手方向各位置の実質蛇行量x(P)とをもとに、仕上圧延機11のうち最上流に位置する圧延機11−1の圧下レベリング指示値Lv(t)を算出する。本実施の形態において、被圧延材15の進行速度は、例えば、仕上圧延機11等の熱間圧延ラインの設備を管理するプロセスコンピュータ(図示せず)から演算処理部3に入力される。圧下レベリング指示値Lv(t)は、圧延機11−1による被圧延材15の圧延期間の各時刻tにおける圧延機直下の被圧延材15の実質蛇行量x(t)を修正するに必要な圧延機11−1の圧下レベリング量の指示値である。以下、「圧延機11−1による被圧延材15の圧延期間」は「上述の圧延期間」と略記する。特に圧延期間の説明の記載がなければ、「上述の圧延期間」は「圧延機11−1による被圧延材15の圧延期間」を意味する。
詳細には、ステップS102において、演算処理部3は、被圧延材15の進行速度と圧延機11−1の入側における被圧延材15の長手方向各位置とをもとに、被圧延材15の長手方向各位置の実質蛇行量x(P)を、上述の圧延期間の各時刻tにおける圧延機直下の被圧延材15の実質蛇行量x(t)に変換する。ついで、演算処理部3は、得られた実質蛇行量x(t)[mm]を用い、次式(1)に基づいて、圧延機11−1による被圧延材15の圧延期間の各時刻tにおける圧下レベリング指示値Lv(t)[mm]を算出する。演算処理部3は、圧下レベリング指示値Lv(t)の算出結果を制御部4に送信する。
式(1)において、αは調整係数であり、Mは被圧延材15の塑性定数であり、KLは圧延機11−1の平行剛性であり、Lは圧下装置12−1の圧下スクリュー/シリンダー間隔であり、Bは被圧延材15の仕上圧延後の幅(例えば製品として要求される板幅)である。調整係数α[−]は、仕上圧延機11による過去の被圧延材の仕上圧延実績(例えば被圧延材の仕上圧延時における実質蛇行量の修正結果と圧下レベリング量との相関データ)等によって決定される。塑性定数M[tonf/mm]は、プロセスコンピュータから演算処理部3に入力される被圧延材15の金属種(鋼種)等によって決定される。平行剛性KL[tonf/mm]および圧下スクリュー/シリンダー間隔L[mm]は、圧延機11−1の設備仕様によって決定される。板幅B[mm]は、プロセスコンピュータから演算処理部3に入力される被圧延材15の圧延条件等によって決定される。これらの調整係数α、塑性定数M、平行剛性KL、圧下スクリュー/シリンダー間隔L、および板幅Bは、ステップS102以前において既知の値であり、式(1)に予め設定される。なお、本発明において、圧下レベリング指示値Lv(t)の算出式は、上述の式(1)に限定されない。
ステップS102を実行後、圧下レベル制御装置1は、ステップS102によって算出された圧下レベリング指示値Lv(t)をもとに、圧延機11−1の目標圧下レベリング変化量を算出する(ステップS103)。
ステップS103において、演算処理部3は、上述の圧延期間の各時刻tの圧下レベリング指示値Lv(t)を時間微分して、時間微分値Lv’(t)[mm/sec]を算出する。ここで、時間微分値Lv’(t)は、上述の圧延期間の各時刻tの圧下レベリング指示値Lv(t)によって指示される目標圧下レベリング量の単位時間当たりの変化量である。すなわち、時間微分値Lv’(t)は、圧延機11−1の圧下レベリング量を目標圧下レベリング量に調整するために必要な圧延機11−1の圧下レベリング動作の必要動作速度に相当する。演算処理部3は、このような圧下レベリング指示値Lv(t)の時間微分値Lv’(t)を、圧延機11−1の目標圧下レベリング変化量として算出する。演算処理部3は、目標圧下レベリング変化量の算出結果として時間微分値Lv’(t)を制御部4に送信する。
ステップS103を実行後、圧下レベル制御装置1は、ステップS103によって算出された目標圧下レベリング変化量と、圧延機11−1の最大圧下レベリング変化量とを比較する(ステップS104)。
ステップS104において、制御部4は、演算処理部3が目標圧下レベリング変化量として算出した時間微分値Lv’(t)と、圧延機11−1の最大圧下レベリング変化量とを比較する。ここで、最大圧下レベリング変化量は、圧延機11−1の最大動作速度での圧下レベリング動作によって調整される圧延機11−1の圧下レベリング量の単位時間当たりの変化量である。すなわち、この最大圧下レベリング変化量は、圧延機11−1の圧下レベリング動作の最大動作速度vS[mm/sec]に相当する。この最大動作速度vSは、圧延機11−1の設備仕様によって決定される既知の値であり、ステップS104以前に制御部4に予め設定される。本実施の形態において、制御部4は、目標圧下レベリング変化量としての時間微分値Lv’(t)と、最大圧下レベリング変化量としての圧下レベリング動作の最大動作速度vSとを比較する。
ステップS105を実行後、圧下レベル制御装置1は、比較した目標圧下レベリング変化量と最大圧下レベリング変化量との大小関係を判断する(ステップS105)。ステップS105において、制御部4は、上述の圧延期間の各時刻tのいずれかで、目標圧下レベリング変化量としての時間微分値Lv’(t)が最大圧下レベリング変化量としての圧下レベリング動作の最大動作速度vSを超過するか否かを判断する。
上述の圧延期間の各時刻tのいずれかにおいて目標圧下レベリング変化量(時間微分値Lv’(t))が最大圧下レベリング変化量(最大動作速度vS)を超過する場合(ステップS105,Yes)、圧下レベル制御装置1は、圧延機11−1の最大動作速度vSでの圧下レベリング動作の動作開始時刻を算出する(ステップS106)。
ステップS106において、演算処理部2は、圧延機11−1に行わせる圧下レベリング動作の最速動作開始時刻tSを算出する。ここで、最速動作開始時刻tSは、ステップS102によって算出された圧下レベリング指示値Lv(t)に従って圧延機11−1の圧下レベリング量を調整する圧下レベリング動作を圧延機11−1の最大動作速度vSで開始する動作開始時刻である。演算処理部3は、このような圧下レベリング動作の最速動作開始時刻tSを、圧下レベリング指示値Lv(t)によって指示される目標圧下レベリング量と圧延機11−1の最大動作速度vSでの圧下レベリング動作によって調整される圧下レベリング量との差が最小となるように算出する。すなわち、演算処理部3は、次式(2)を解くことによって、上述の圧延期間のうちの最速動作開始時刻tSを算出する。演算処理部3は、最速動作開始時刻tSの算出結果を制御部4に送信する。
式(2)において、材抜け時刻TEは、圧延機11−1から被圧延材15の尾端が抜ける時刻、すなわち、圧延機11−1による被圧延材15の圧延が完了する時刻である。動作準備時間tcは、圧延機11−1が圧下レベリング動作を開始するために必要な準備時間である。
また、重み係数w(t)は、上述の圧延期間の各時刻tにおける最大動作速度vSでの圧下レベリング動作による圧下レベリング量の重み付け(圧下レベリング動作によって矯正したい被圧延材15の蛇行部分の重み付け)を行うための係数である。例えば、重み係数w(t)が「1」に設定されると、圧延機11−1の圧下レベリング動作は、平均的に圧下レベリング指示値Lv(t)と近い動作に制御することができる。重み係数w(t)が「t」等と材抜け時刻TEに近づくにつれて大きな値となるように設定されると、圧延機11−1の圧下レベリング動作は、圧延機11−1から被圧延材15の尾端が抜けるタイミングに材抜け時刻TEにおける圧下レベリング指示値Lv(TE)に近い動作に制御することができる。また、重み係数w(t)は、上述の圧延期間における所望期間毎に「0」や「1」等の所望値に設定して、最大動作速度vSでの圧下レベリング動作による圧下レベリング量の重み付けを上述の圧延期間内の所望期間毎に決めてもよい。
ステップS106を実行後、圧下レベル制御装置1は、ステップS106によって算出された動作開始時刻、すなわち、最速動作開始時刻tSに、圧延機11−1による最大動作速度vSでの圧下レベリング動作を制御し(ステップS107)、本処理を終了する。
ステップS107において、制御部4は、上述したステップS105の判断処理の結果、上述の圧延期間の各時刻tのいずれかにおいて目標圧下レベリング変化量が最大圧下レベリング変化量を超過する場合、ステップS106によって算出された最速動作開始時刻tSを、上述の圧延期間における最大動作速度vSでの圧下レベリング動作の動作開始時刻として、圧延機11−1による被圧延材15の圧延開始以前にプリセットする。制御部4は、現時刻が最速動作開始時刻tSになったタイミングに、圧延機11−1の最大動作速度vSでの圧下レベリング動作を開始するように圧延機11−1(詳細には圧下装置12−1)を制御する。この制御部4による制御に基づいて、圧延機11−1は、上述の圧延期間のうち最速動作開始時刻tSから材抜け時刻TEまでの期間、最大動作速度vSでの圧下レベリング動作を継続する。これにより、圧延機11−1は、被圧延材15のキャンバーを矯正し且つ実質蛇行量x(t)を順次修正するとともに、被圧延材15を圧延する。
一方、ステップS105の判断処理の結果、上述の圧延期間の全時刻(各時刻tの全て)において目標圧下レベリング変化量(時間微分値Lv’(t))が最大圧下レベリング変化量(最大動作速度vS)以下である場合(ステップS105,No)、圧下レベル制御装置1は、圧下レベリング指示値Lv(t)に応じて圧延機11−1の圧下レベリング動作を制御し(ステップS108)、本処理を終了する。
ステップS108において、制御部4は、ステップS102によって算出された圧下レベリング指示値Lv(t)を、上述の圧延期間の各時刻tにおける圧下レベリング量の指示値として、圧延期間11−1による被圧延材15の圧延開始以前にプリセットする。制御部4は、現時刻が上述の圧延期間の開始時刻(以下、圧延開始時刻TSという)になって以降、圧下レベリング指示値Lv(t)によって指示される圧下レベリング量の圧下レベリング動作を行うように圧延機11−1(詳細には圧下装置12−1)を制御する。制御部4は、この圧下レベリング指示値Lv(t)に応じた圧下レベリング動作の制御を、材抜け時刻TEまでの期間、継続する。圧延機11−1は、上述の圧延期間の全時刻において、この制御部4による制御に基づいて圧下レベリング動作を行い、圧下装置12−1による圧下レベリング量を、圧下レベリング指示値Lv(t)によって指示される圧下レベリング量に調整する。これにより、圧延機11−1は、被圧延材15のキャンバーを矯正し且つ実質蛇行量x(t)を順次修正するとともに、被圧延材15を圧延する。
本実施の形態では、上述したステップS107,S108において、制御部4は、仕上圧延機11のうち最上流の圧延機11−1の下流側に位置する残りの各圧延機11−2〜11−nに対し、例えば、プロセスコンピュータから入力される圧延条件等に基づいて、圧下レベリング動作を指示する。この際、制御部4は、被圧延材15の実質蛇行量x(t)をその許容範囲内に収めるべく圧下レベリング量を調整する(例えば圧下レベリング量=0にする)ように、各圧延機11−2〜11−n(詳細には圧下装置12−2〜12−n)の圧下レベリング動作を制御する。あるいは、制御部4は、各圧延機11−2〜11−nに対し、上述した最上流の圧延機11−1と同様に圧下レベリング動作の制御を行ってもよい。
(実施例)
つぎに、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。本実施例では、被圧延材15として、図1に示した熱間圧延ラインの粗圧延機10によって粗圧延された後に仕上圧延機11によって仕上圧延される鋼板が用いられる。この鋼板には、仕上圧延機11の入側においてキャンバーおよびオフセンターが発生している。この鋼板を圧延する仕上圧延機11のうち最上流の圧延機11−1に対し、本発明の実施の形態に係る圧下制御装置1が、最速動作開始時刻tSに最大動作速度vSでの圧下レベリング動作を圧延機11−1に開始させて、圧延機11−1直下の鋼板の実質蛇行量x(t)を修正した。この例は、本発明例である。
また、本実施例では、上述の本発明例と比較する比較例として、圧延機11−1に対する圧下レベリング指示値Lv(t)が圧延機11−1の圧下レベリング動作の設備上限を超えるまで、圧延機11−1は、圧下レベリング指示値Lv(t)に従って圧下レベリング動作を行い、圧下レベリング指示値Lv(t)が設備上限を超えて以降、圧延機11−1は、最大動作速度vSでの圧下レベリング動作を行って、圧延機11−1直下の鋼板の実質蛇行量x(t)を修正した。
図4は、本実施例において圧延機に指示する圧下レベリング指示値の時間変化を示す図である。図4において、横軸は、圧延機11−1による鋼板の圧延期間(以下、鋼板の圧延期間と略記する)の時刻tを表し、縦軸は、圧延機11−1に対して指示する圧下レベリング量の指示値(すなわち圧下レベリング指示値Lv(t))を表す。圧下レベリング指示値Lv(t)は、縦軸の上方に向かって作業側(FS)に大きくなり、縦軸の下方に向かって駆動側(DS)に大きくなる。グラフ線D1は、本発明例において鋼板の圧延期間の各時刻tに圧延機11−1に対して指示される圧下レベリング指示値Lv(t)(以下、本発明例の圧下レベリング指示値という)を示す。グラフ線D2は、比較例において鋼板の圧延期間の各時刻tに圧延機11−1に対して指示される圧下レベリング指示値Lv(t)(以下、比較例の圧下レベリング指示値という)を示す。グラフ線D3は、鋼板の圧延期間の各時刻tに圧延機11−1に対して指示すべき理想的な圧下レベリング指示値Lv(t)(以下、理想の圧下レベリング指示値という)を示す。なお、理想の圧下レベリング指示値は、圧延機11−1直下の鋼板の実質蛇行量x(t)を零値に修正し得る理想の圧下レベリング量(目標圧下レベリング量)を指示するものである。また。図4には、鋼板の圧延期間の全時刻のうち本発明例における最速動作開始時刻tSから当該圧延期間の終了時刻(=材抜け時刻TE)までの圧下レベリング指示値Lv(t)が図示されている。
図4のグラフ線D2,D3を参照して分かるように、比較例では、鋼板の圧延期間の途中(時刻ta)まで、圧延機11−1の圧下レベリング動作の動作速度(グラフ線D2の傾き)が、理想の圧下レベリング指示値の単位時間当たりの変化量(グラフ線D3の傾き)を上回る。このため、比較例の圧下レベリング指示値が理想の圧下レベリング指示値に追従できており、圧延機11−1直下の鋼板の実質蛇行量x(t)が許容範囲に修正されている。
しかし、図4に示す時刻ta以降において、比較例では、グラフ線D2の傾きがグラフ線D3の傾きを下回り、これら傾きの差は時刻tの経過とともに増大している。この場合、比較例の圧下レベリング指示値は理想の圧下レベリング指示値に追従できておらず、時刻tの経過とともに、比較例の圧下レベル制御による圧下レベリング量と理想の圧下レベリング量との差、すなわち、グラフ線D2の時間積分値とグラフ線D3との時間積分値との差(図4に示すグラフ線D2,D3で囲まれる領域R3の面積)が増大する傾向にある。このことは、比較例の圧下レベル制御では圧延機11−1直下の鋼板(特に長手方向に対し曲がりが発生している尾端部)の実質蛇行量x(t)を許容範囲内に修正しきれないことを意味する。
上述の比較例に対し、本発明例の圧下レベル制御では、鋼板の圧延期間の途中(時刻ta)から圧延機11−1に対する圧下レベリング指示値が理想の圧下レベリング指示値に追従できなくなることを予め考慮して、比較例よりも早めに最大動作速度vSでの圧下レベリング動作を圧延機11−1に行わせている。
具体的には、図4に示すように、本発明例では、本発明例の圧下レベル制御による圧下レベリング量と理想の圧下レベリング量との差が最小となるように、鋼板の圧延期間内に最速動作開始時刻tSが設定される。ここで、図4のグラフ線D1,D3を参照して分かるように、本発明例と理想との圧下レベリング量の差は、グラフ線D1の時間積分値とグラフ線D3の時間積分値との差、すなわち、図4に示すグラフ線D1,D3で囲まれる領域R1の面積(正の面積)と領域R2の面積(負の面積)との和の絶対値に相当する。本発明例の圧下レベリング指示値は、このような最速動作開始時刻tSから最大動作速度vSでの圧下レベリング動作を圧延機11−1に行わせるように設定される。この結果、本発明例の圧下レベル制御では、圧延機11−1の圧下レベリング動作の動作速度(グラフ線D1の傾き)が理想の圧下レベリング指示値の単位時間当たりの変化量(グラフ線D3の傾き)を上回る期間と下回る期間とを含む鋼板の圧延期間の全時刻において、本発明例と理想との圧下レベリング量の差が最小となる。このことは、本発明例の圧下レベル制御では圧延機11−1直下の鋼板の実質蛇行量x(t)を理想に近い状態で許容範囲内に十分修正し得ることを意味する。
図5は、本発明例と比較例とで圧延機の圧下レベル制御による鋼板の実質蛇行量の修正効果を比較した結果を示す図である。図5において、横軸は、鋼板の圧延期間の時刻tを表し、縦軸は、圧延機11−1の圧下レベリング量の制御(圧下レベル制御)による修正後の鋼板の実質蛇行量(例えば圧延機11−1の出側における鋼板の実質蛇行量)を表す。この実質蛇行量は、縦軸の上方に向かって作業側(FS)に増大し、縦軸の下方に向かって駆動側(DS)に増大する。グラフ線D4は、本発明例の圧下レベル制御による修正後の鋼板の実質蛇行量を示す。グラフ線D5は、比較例の圧下レベル制御による修正後の鋼板の実質蛇行量を示す。グラフ線D6は、圧延機11−1の入側における鋼板の実質蛇行量、すなわち、圧下レベル制御による修正前の鋼板の実質蛇行量を示す。
図5のグラフ線D5,D6を参照して分かるように、比較例の圧下レベル制御では、圧延機11−1の入側における鋼板の実質蛇行量(最大値=50.3[mm])を低減しているものの、最大値が25.3[mm]になる実質蛇行量への修正にとどまった。これに対し、本発明例の圧下レベル制御では、最大値が50.3[mm]になる鋼板の実質蛇行量を、比較例よりも更に修正することができ、この結果、修正後の鋼板の実質蛇行量は、最大値が16.4[mm]になるまでに低減された。この効果は、圧延機11−1の入側および出側において鋼板(特に尾端部)がサイドガイド(例えば図1に示した入側のサイドガイド13−1および出側のサイドガイド13−2)に衝突して折れ曲がる事態を防止すること、延いては鋼板の圧延時に絞りが発生する事態を防止することに有効である。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、圧延機入側における被圧延材の長手方向各位置の実質蛇行量(キャンバー起因蛇行量とオフセンター起因蛇行量とを含み実質的な蛇行量)を測定し、被圧延材の進行速度と実質蛇行量の測定結果とを考慮して、圧延機による被圧延材の圧延期間の各時刻における圧延機直下の被圧延材の実質蛇行量を修正するために必要な圧延機の圧下レベリング量の指示値(圧下レベリング指示値)を算出し、算出した圧下レベリング指示値による目標圧下レベリング量と圧延機の最大動作速度での圧下レベリング動作による圧下レベリング量との差が最小となるように、圧延機の圧下レベリング動作をその最大動作速度で開始する動作開始時刻(最速動作開始時刻)を算出し、算出した最速動作開始時刻に圧延機の最大動作速度での圧下レベリング動作を開始するよう圧延機を制御している。
このため、被圧延材の圧延期間の各時刻のいずれか(特に被圧延材の長手方向に対する幅方向曲がりが大きくなる被圧延材の尾端側の部分が圧延機直下に位置する時刻)に圧下レベリング動作が圧下レベリング量の指示に追従できないケースを予め想定して、このケース以前のタイミングに被圧延材の実質蛇行量を、このケース以降に修正しきれなくなる実質蛇行量とは反対方向に修正することができる。これにより、このケース前後の総合的な被圧延材の実質蛇行量を可能な限り低減して、圧延機直下の被圧延材のキャンバーや幅方向移動による蛇行を抑制することができる。この結果、たとえ圧下レベリング動作が圧下レベリング量の指示に追従できないケースが発生しても、圧延機出側での被圧延材の実質蛇行量を十分に低減することができる。延いては、圧延機の入側および出側の各サイドガイドとの衝突による被圧延材の折れ曲がりを防止して、絞り等の圧延トラブルを防止することができる。
また、本発明の実施の形態では、上述の圧延期間の各時刻の圧下レベリング指示値による目標圧下レベリング量の単位時間当たりの変化量(目標圧下レベリング変化量)を算出し、この算出した目標圧下レベリング変化量と、圧延機の最大動作速度での圧下レベリング動作による圧下レベリング量の単位時間当たりの変化量(最大圧下レベリング変化量)とを比較し、上述の圧延期間の各時刻のいずれかにおいて目標圧下レベリング変化量が最大圧下レベリング変化量を超過する場合、圧延機の最大動作速度での圧下レベリング動作を上述の最速動作開始時刻に開始するように圧延機を制御している。
このため、被圧延材の進行速度と圧延機の圧下レベリング動作の最大動作速度(設備上限値)とを考慮して、圧延機の最速動作開始時刻を決定することができる。このように決定した最速動作開始時刻に圧延機の最速動作速度での圧下レベリング動作を開始することにより、被圧延材の実質蛇行量を零値に修正し得る理想の圧下レベリング量と、圧下レベリング動作による実際の圧下レベリング量との差を最小化することができる。この結果、圧下レベリング動作が圧下レベリング量の指示に追従できないケース前後の総合的な被圧延材の実質蛇行量を、適切なタイミングに十分低減することができる。
なお、上述した実施の形態では、本発明に係る圧下レベル制御装置および圧下レベル制御方法を適用する圧延機(本発明適用の圧延機)としてタンデム型の仕上圧延機を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明適用の圧延機は、粗圧延機等の仕上圧延機以外の圧延機であってもよいし、複数(2つ以上)の圧延機を備えたタンデム圧延機であってもよいし、単一の圧延機であってもよい。
また、上述した実施の形態では、被圧延材の長手方向に対してFSに曲がるキャンバーが発生している場合を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、被圧延材のキャンバーは、被圧延材の長手方向に対してFSに曲がるものであってもよいし、DSに曲がるものであってもよい。あるいは、被圧延材のキャンバーは、被圧延材の長手方向に対してFSおよびDSの双方にS字状に曲がるものであってもよい。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。