JP6413796B2 - 架橋性組成物、硬化物の製造方法、および硬化物 - Google Patents

架橋性組成物、硬化物の製造方法、および硬化物 Download PDF

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本発明は、エポキシ基を有するヒドロキシアルキルアミドと、有機溶剤と、カルボキシ基を有する樹脂とからなる架橋性組成物、およびその組成物を加熱することでなる硬化物に関する。
架橋剤を用いて樹脂組成物を硬化させることで、樹脂の耐熱性、機械特性、密着性、耐湿性、耐薬品性などを向上させることは様々な用途で幅広く用いられている。
樹脂としてカルボキシ基を有する樹脂を使用する場合は、カルボキシ基と反応しうる官能基からなる架橋剤が用いられる。その官能基は、たとえば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、β−ヒドロキシアルキルアミド基、などが挙げられる。
イソシアネート基を有する架橋剤を使用した場合、イソシアネート基とカルボキシ基は130℃以上で反応すると言われている。しかし、イソシアネート基は樹脂中のOH基や水、アルコールとの反応性がより高いため、配合時の溶剤にアルコールを使用する場合や、水が含まれる溶剤を使用する場合には、カルボキシ基と反応する前に水やアルコールと反応してしまうため使用できない。また、配合後の長期間保存も空気中の水分と反応してしまうため、1液化するのは困難である。
上記の問題を解決するためにブロックイソシアネートを使用する例もあるが、ブロック化剤が硬化物に残存することで物性に悪影響を与えることがある。また、ブロック化剤によっては加熱硬化時にブロック化剤が空気中に飛散し、作業者あるいは環境に悪影響を与える懸念がある。ブロック化剤が外れて硬化する温度よりも沸点が高いアルコール系の溶剤を使用する場合も、樹脂に含まれるカルボキシ基よりも先にアルコール系溶剤と反応してしまうため、このような溶剤は使用できない。
また、エポキシ基を有する架橋剤はイソシアネートと並んでカルボキシ基を有する樹脂を架橋するときに汎用的に用いられており、多くの種類が市販されている。エポキシ基とカルボキシ基の反応では副生成物が存在せず、ブロックイソシアネートのブロック化剤のような悪影響は起こさないと考えられる。無触媒ではあまり反応が進まないが、3級アミンや4級アンモニウム塩などを触媒として添加することで、150℃以下の温度で硬化させることが可能である。しかし、添加する触媒の影響で室温でも反応が少しずつ進行してしまい、保存安定性が悪いという問題がある。
β−ヒドロキシアルキルアミドもカルボキシ基と反応する架橋剤である(特許文献1)。β−ヒドロキシアルキルアミド基は室温ではカルボキシ基と反応しないため、保存安定性が良い利点がある。また、反応時の副生成物は水のみであり、硬化物に与える影響も少なく、作業者や環境にはまったく影響がない利点も有している。現在市販されているβ−ヒドロキシアルキルアミドとしては、エムスケミー社のPrimid XL−552などが挙げられ、主に粉体塗料の架橋剤として用いられている(特許文献2)。
上記記載の市販されているβ−ヒドロキシアルキルアミドは、アジピン酸の両端にジエタノールアミンが縮合した構造の4官能型のものである。しかし、市販品は有機溶剤に対する溶解性が非常に悪く、液体塗料として用いられている例は少ない。多数のヒドロキシ基からなる化合物であることや、分子構造全体の結晶性および極性の高さが溶解性を悪化させていると考えられる。ヒドロキシ基が多いため、水性塗料への応用例は一部みられる(特許文献3)が、溶剤系の塗料に応用されている例は見られない。溶解性が悪く均一に混合できていない塗料では膜物性の一部が低下、または、その物性が安定しないといった問題が発生する。
上記問題を解決するため、中心骨格構造に直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは脂環式炭化水素基を選択することで、β−ヒドロキシアルキルアミド基を含む架橋剤が有機溶剤可溶となる例がある(特許文献4)。このβ−ヒドロキシアルキルアミド基を含む架橋剤は、熱硬化性の印刷インキ、塗料、コーティング剤、粘接着剤、成形材料、光硬化性材料に使用することができる。
しかしながら、中心骨格構造が直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは脂環式炭化水素基であるβ−ヒドロキシアルキルアミド基を含む架橋剤とカルボキシ基を有する樹脂との硬化膜は、その構造由来の特徴である柔軟性のために、機械特性(膜強度)が弱く、強度が必要な用途には不向きである。
特開昭51−17970号公報 特開2008−255197号公報 特開2009−108299号公報 特開2013−151639号公報
本発明は、有機溶媒に対する溶解性に優れ、保存安定性が高く、架橋後の膜強度が高い、カルボキシ基を有する樹脂と架橋剤を含む架橋性樹脂組成物、および、その硬化物を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される化合物と、有機溶剤と、カルボキシ基を有する樹脂とからなる架橋性組成物に関する。
一般式(1)
(式中、Xはn価の炭素数4以上の直鎖の脂肪族炭化水素、あるいは、n価の炭素数6以上の脂環式炭化水素基を表し、
nはの整数であり、
1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、一般式(2)で表される基、または一般式(3)で表される基を表し、n個あるR1およびn個あるR2はそれぞれ、同一でも異なっていても良い。また、n個あるR1のうち少なくとも1つは一般式(2)で表される基、n個あるR2のうち少なくとも1つは一般式(3)で表される基である。)
一般式(2)
(式中、R3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、または、脂肪族炭化水素基を表す。)
一般式(3)
(式中、R3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、または、脂肪族炭化水素基を表し、
7は一般式(4)で表される基、‐CH2‐Y、または‐CO‐Yを表し、Yは脂環式エポキシ基を表す。)
一般式(4)
更に本発明は、Xが炭素数6〜20の直鎖の脂肪族炭化水素基であることを特徴とする、上記架橋性組成物に関する。
更に本発明は、Xが炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基であることを特徴とする、上記架橋性組成物に関する。
更に本発明は、上記架橋性組成物を加熱してなる硬化物の製造方法に関する。
更に本発明は、上記製造方法で得られる硬化物に関する。
本発明により、有機溶媒に対する溶解性に優れ、保存安定性が高く、架橋後の膜強度が高い樹脂組成物、その硬化物を提供することができた。
以下、詳細にわたって本発明を説明する。
一般式(1)におけるXは、n価の炭素数4以上の直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは、n価の炭素数6以上の脂環式炭化水素基を表し、nはの整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、一般式(2)で表される基、または一般式(3)で表される基を表し、n個あるR1およびn個あるR2はそれぞれ、同一でも異なっていても良い。また、n個あるR1のうち少なくとも1つは一般式(2)で表される基、n個あるR2のうち少なくとも1つは一般式(3)で表される基である。

一般式(1)におけるXの、直鎖の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、および、アルキニル基のいずれかからn−1個の水素原子が結合手になったものが挙げられ、本発明ではこれらを、n価のアルキル基、n価のアルケニル基、および、n価のアルキニル基とする。
ここで、炭素数4以上の2価以上のアルキル基としては、1,4−ブチル基、1,5−ペンチル基、1,6−ヘキシル基、1,7−ヘプチル基、1,8−オクチル基、1,9−ノニル基、1,6−デシル基、1,10−デシル基、1,11−ウンデシル基、1,12−ドデシル基、1,13−トリデシル基、1,14−テトラデシル基、1,15−ペンタデシル基、1,16−ヘキサデシル基、1,17−ヘプタデシル基、1,18−オクタデシル基、1,19−ノナデシル基、1,20−イコシル基、1,3,6−ヘキシル基、1,4,7−ヘプチル基、1,2,8−オクチル基、1,3,9−ノニル基、1,3,4,6−ヘキシル基、1,4,6,7−ヘプチル基、1,4,5,6,7−ヘプチル基、1,2,3,4,5,6−ヘキシル基などが挙げられる。
また、炭素数4以上の2価以上のアルケニル基としては、1,4−(2−ブテニル)基、1,5−(2−ペンテニル)基、1,6−(2−ヘキセニル)基、1,7−(2−ヘプテニル)基、1,8−(2−オクテニル)基、1,9−(2−ノネニル)基、1,10−(2−デセニル)基、1,11−(2−ウンデセニル)基、1,12−(2−ドデセニル)基、1,13−(2−トリデセニル)基、1,14−(2−テトラデセニル)基、1,15−(2−ペンタデセニル)基、1,16−(2−ヘキサデセニル)基、1,17−(2−ヘプタデセニル)基、1,18−(2−オクタデセニル)基、1,19−(2−ノナデセニル)基、1,3,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,7−(3−ヘプテニル)基、1,2,8−(4−オクテニル)基、1,3,9−(5−ノネニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプチニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプテニル)基などが挙げられる。
また、炭素数4以上の2価以上のアルキニル基としては、1,4−(2−ブチニル)基、1,5−(2−ペンチニル)基、1,6−(2−ヘキシニル)基、1,7−(2−ヘプチニル)基、1,8−(2−オクチニル)基、1,9−(2−ノニル)基、1,10−(2−デシニル)基、1,11−(2−ウンデシニル)基、1,12−(2−ドデシニル)基、1,13−(2−トリデシニル)基、1,14−(2−テトラデシニル)基、1,15−(2−ペンタデシニル)基、1,16−(2−ヘキサデシニル)基、1,17−(2−ヘプタデシニル)基、1,18−(2−オクタデシニル)基、1,19−(2−ノナデシニル)基、1,3,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,7−(3−ヘプチニル)基、1,2,8−(4−オクチニル)基、1,3,9−(5−ノニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプチニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプチニル)基などが挙げられる。
一般式(1)における脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基などの1価の基からn−1個の水素原子が結合手になったものが挙げられる。
る。
ここで、炭素数6以上の2価以上の脂環式炭化水素基としては、1,1−シクロヘキシル基、1,2−シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキシル基、1,4−シクロヘキシル基、1,2,4−シクロヘキシル基、1,3,5−シクロヘキシル基、1,2,4,5−シクロヘキシル基、1、2,3,4,5,6−シクロヘキシル基、2,6−デカヒドロナフチル基、1,3−アダマンチル基、1、3、5ーアダマンチル基などが挙げられる。
一般式(1)中のXにおいて、好ましくは、炭素数6〜20の直鎖の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数8〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基である。炭素数20を超えるとロウ状固体となり、有機溶剤や樹脂への溶解性が低下する恐れがある。
一般式(1)中のnにおいて、好ましくは、n=2であり、さらに好ましくは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基の両末端の水素原子が結合手になったものである。
一般式(1)中のR1およびR2における、脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といったアルキル基が挙げられる。
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といったアルケニル基が挙げられる。
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といったアルキニル基が挙げられる。
一般式(1)中のR1およびR2における、脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基などが挙げられる。
ここで、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−インデノ基などが挙げられる。
一般式(1)中のR1およびR2における、芳香族炭化水素基としては、単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
ここで、単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基などが挙げられる。
また、縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基などが挙げられる。
また、環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基などが挙げられる。
一般式(1)中のR1およびR2において、好ましくは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素、または、単環芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、脂肪族炭化水素基、または、脂環式炭化水素であり、さらに好ましくは、脂肪族炭化水素基である。
一般式(2)中のR3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、または、脂肪族炭化水素基を表す。
ここで、脂肪族炭化水素基としては、一般式(1)中のR1およびR2における脂肪族炭化水素基と同義である。
一般式(3)中のR7は一般式(4)で表される基、‐CH2‐Y、または‐CO‐Yを表し、Yは脂環式エポキシ基を表す。
一般式(4)
脂環式エポキシ基としては、脂環式化合物の環構造を形成する隣接する炭素原子と酸素原子とでエポキシ基を形成した化合物から、水素原子を1つ除いた1価の脂環式基であり、例えば、エポキシシクロヘキサン、エポキシシクロペンタン、エポキシノルボルナン、などが挙げられる。
本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物の代表例を、以下の表1に示すが、本発明は、この代表例に限定されるものではない。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、2価以上のカルボン酸またはその誘導体と、ヒドロキシ基を有するアミンとをアミド化し、続いてヒドロキシ基の一部をグリシジル基、または脂環式エポキシ基へ変換することで製造できる。
ヒドロキシ基を有するアミンと、カルボン酸またはその誘導体とをアミド化する方法は様々あるが、カルボン酸の場合は水、カルボン酸エステルの場合はアルコール、カルボン酸無水物またはハロゲン化物の場合は酸を取り除くことで反応を進行させることができる。水やアルコールの場合は加熱または減圧、あるいはその両方により反応系外へ留去することが容易である。酸の場合はトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基によって取り除くことができる。
上記アミド化の際に触媒を使用することができる。たとえば、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの無機塩基触媒、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンなどのアミン類や、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシドなどのアルコキシド類をはじめとする有機塩基触媒、鉄(III)、ジルコニウム(IV)、スカンジウム(III)、チタン(IV)、スズ(IV)、ハフニウム(IV)などの金属イオンを含む塩や錯体、ジフェニルアンモニウムトリフラート、ペンタフルオロフェニルアンモニウムトリフラートなどのアンモニウム塩、などが挙げられる。
上記アミド化反応において、必要に応じて溶媒や触媒を使用することができる。使用する溶媒は、アルコール、アミン、カルボン酸など反応基質と反応する溶媒以外であれば使用できる。たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、などが挙げられる。
特にカルボン酸とのアミド化において、縮合剤を用いて行うことができる。縮合剤とは、カルボン酸またはアミンを活性化させ、エステル化反応を温和な条件で行うことができると同時に、副生成物の水は縮合剤と結合して別の化合物となるため、触媒作用と水除去作用を兼ね備えた化合物である。このような縮合剤としては、たとえば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、p−トルエンスルホニルクロリド、1−エチル−3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル、2,4,6−トリクロロ安息香酸クロリド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、4−ボロノピリジニウム塩、などが挙げられる。
ヒドロキシ基をグリシジル基、または脂環式エポキシ基へ変換する方法は様々あり、公知の方法により得ることができる。代表的な方法を挙げれば、3−シクロヘキセン―1―カルボン酸メチルとエステル交換触媒を用いて生成するメタノールを留去しながらエステル交換反応させ、生じたオレフィン体をエポキシ化することで得られる。オレフィンのエポキシ化は、通常行なわれる酸化剤を使用する手法を用いることができる。
エステル交換反応のための触媒は様々なものがあるが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸バリウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸セシウム、チオシアン酸コバルト、チオシアン酸鉛、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸亜鉛、例えば酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛などが挙げられる。
前述の触媒は、1種類のみで用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
使用する触媒量としては、0.001モル%〜25モル%の量で使用できるが、0.1モル%〜5モル%を使用するのが好ましい。触媒は、反応物に全部を一度に、あるいは数回に分けて(同じ又は異なる量であってよい)添加することができる。
エステル交換反応は脱アルコール反応であり、生成するアルコールを取り除くことで平衡を生成系に移動させることができ、より短時間で反応を完結させることができる。アルコールを取り除く方法としては、例えば、水溶性が低く、水より密度が小さい溶媒を還流させ、ディーンスターク装置を用いる方法や、窒素などの不活性ガスをフローする方法、減圧するなどの方法が挙げられる。
エステル交換反応の反応温度は使用する触媒によって異なるが、50〜250℃が好ましく、より好ましくは120〜180℃である。
オレフィンのエポキシ化に用いる酸化剤としては、たとえば、酸素を含むガス、過酸化水素、過酸化ナトリウム等の無機過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、p−ニトロ過安息香酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、ペルオキシマレイン酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸、ペルオキシフタル酸、ペルオキシラウリン酸、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メンチルヒドロペルオキシド、1−メチルヘキサンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
酸化反応において、必要に応じて触媒を使用することができる。たとえば、タングステン、モリブデン、バナジウム、チタン、レニウム、ルテニウムなどが含まれる金属化合物、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレロアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、などのアルデヒド類、α−アミノメチルホスホン酸、α−アミノエチルホスホン酸などの、α−アミノホスホン酸類、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化トリオクチルエチルアンモニウム、ヨウ化ジラウリルジメチルアンモニム、リン酸水素ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、などの4級オニウム塩などが挙げられる。
酸化反応に用いる溶媒は上記酸化剤と反応しないものを使用できる。たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
酸化反応の反応温度は使用する酸化剤、触媒、溶媒によって異なるが、0〜150℃が好ましく、より好ましくは0〜50℃である。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機溶剤に可溶であることが特徴である。
ここでの有機溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、シクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、などが挙げられる。
本発明の架橋性組成物は、さらに、必要に応じて、非反応性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、併用する硬化剤、光開始剤、増感剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、などの添加剤を加えてもよい。
本発明の架橋性組成物を、各種基材の片面または両面に塗布し、もしくは金型等を用いて成形後、必要に応じて加熱乾燥後、100〜200℃において加熱硬化させることで目的の硬化物を得ることができる。基材としては、たとえば、ガラス、セラミック、ポリカーボネート、ポリエステル、ウレタン、アクリル、ポリアセテートセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリビニルアルコール、ステンレス等の各種金属、などが挙げられる。
本発明の架橋性組成物の加熱硬化温度として、好ましくは、100℃〜180℃であり、より好ましくは120℃〜180℃であり、更に好ましくは120℃〜150℃で加熱することである。
本発明のカルボキシ基を有する樹脂は、樹脂の末端および/または側鎖にカルボキシ基からなる樹脂である。樹脂は直鎖、分岐、星状を問わない。たとえば、カルボキシ基末端の樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、アクリル、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられ、側鎖にカルボキシ基を有する樹脂としては、アクリル、ポリウレタンなどが挙げられる。
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」を意味する。
実施例中のNMR測定はすべて、JEOL社製のJNM−ECX400Pを用いて1H−NMR測定をDMSO−d6中で行った。数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)は東ソー社製のGPC−8020によって測定したポリスチレン換算の値である。
実施例中のIR測定はすべて、PerkinElmer社製のSpectrum Oneを用いて行った。
以下、実施例における化合物番号は表1における化合物番号を示す。
合成例1 化合物1中間体の合成I
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、アジピン酸(ヘキサン二酸)146部、ジエタノールアミン105部、水酸化カリウム2部、トルエン200部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃まで降温した後、得られた均一な淡黄色透明の溶液を取り出した。
合成例2 化合物1中間体の合成II
窒素雰囲気下、攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、減圧装置を備えた反応容器に、アジピン酸ジメチル(ヘキサン二酸ジメチル)174部、ジエタノールアミン105部、ナトリウムメトキシド3部を入れ、常圧状態で内温が90℃になるまで加熱攪拌した。内温が90℃に達したら、500hPaの減圧状態で2時間加熱攪拌し、生成するメタノールを留去しながら反応を進行させた。2時間後、200hPaの減圧状態でさらに1時間加熱攪拌し、残存するメタノールを全て留去した。1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃まで降温した後、得られた均一な淡黄色透明の溶液を取り出した。
合成例3 化合物1中間体の合成III
窒素雰囲気下、攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、減圧装置を備えた反応容器に、アジピン酸ジメチル(ヘキサン二酸ジメチル)174部、ジエタノールアミン105部、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン8部を入れ、常圧状態で内温が90℃になるまで加熱攪拌した。内温が90℃に達したら、500hPaの減圧状態で2時間加熱攪拌し、生成するメタノールを留去しながら反応を進行させた。2時間後、200hPaの減圧状態でさらに1時間加熱攪拌し、残存するメタノールを全て留去した。1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃まで降温した後、得られた均一な淡黄色透明の溶液を取り出した。
合成例4 化合物1の合成
窒素雰囲気下、攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、減圧装置を備えた反応容器に、化合物1中間体320部、エピクロロヒドリン462部、n−ブタノール800部、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2部を仕込み、常圧状態で内温が65℃になるまで加熱攪拌した。内温が65℃に達したら、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90部を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。ディーンスターク管にはn−ブタノールを満たし、縮合により生成する水をn−ブタノールと共沸させることで留出させ、n−ブタノールは反応器に戻るようにした。その後、未反応のエピクロロヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。得られた溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液50部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水900部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、溶媒を減圧下で留去し、化合物1を376部得た。1H−NMR測定を行って目的物が生成していることを確認した。
合成例5 化合物2の合成
窒素雰囲気下、攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、減圧装置を備えた反応容器に、化合物1中間体320部、3−シクロヘキセン−1−メタノール112部、濃硫酸1部、キシレン432部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら120℃に加熱した。ディーンスターク管にはキシレンを満たし、縮合により生成する水をキシレンと共沸させることで留出させ、キシレンは反応器に戻るようにした。8時間後残ったキシレンをすべて留去し、トルエン300部を加え、トルエン溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。この溶液にm−クロロ過安息香酸(純度65%)を780部加え、8時間室温で撹拌した。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後トルエンを留去し、化合物2を430部得た。1H−NMR測定を行って目的物が生成していることを確認した。
合成例6 化合物3の合成
窒素雰囲気下、攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、減圧装置を備えた反応容器に、化合物1中間体320部、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸126部、キシレン446部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃に加熱した。ディーンスターク管にはキシレンを満たし、縮合により生成する水をキシレンと共沸させることで留出させ、キシレンは反応器に戻るようにした。8時間後残ったキシレンをすべて留去し、トルエン350部を加え、トルエン溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。この溶液にm−クロロ過安息香酸(純度65%)を807部加え、8時間室温で撹拌した。この溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄したのち、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後トルエンを留去し、化合物3を444部得た。1H−NMR測定を行って目的物が生成していることを確認した。
化合物4〜62についても、上記合成例と同様の操作により合成した。
樹脂合成例1 カルボキシ基を有する樹脂の合成1
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にメチルエチルケトンを500部入れ、窒素を吹き込みながら70℃で1時間加熱攪拌した。その後、ブチルアクリレート374.4部、アクリル酸25.6部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)11.4部、メチルエチルケトン100部を混合した溶液を滴下装置から2時間かけて滴下した。さらに70℃で2時間反応させ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.1部とメチルエチルケトン10部からなる溶液を加え、さらに1時間攪拌した。できた樹脂溶液は固形分NV=39.1%、数平均分子量Mn=16,000、重量平均分子量Mw=34,000、酸価AV=50.2mgKOH/gであった。
樹脂合成例2 カルボキシ基を有する樹脂の合成2
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、クラレポリオールP−1010(クラレ(株)社製 水酸基価112mgKOH/g)を1002部、ジメチロールブタン酸237部、イソホロンジイソシアネート576部、メチルエチルケトン1815部を仕込み、窒素気流下で80℃まで昇温した。その後ジブチル錫ジラウレートを0.1部加えた。4時間反応させたのち、IRを測定し2270cm-1付近のイソシアネート由来のピークが消失したことを確認した。できた樹脂溶液は固形分NV=39.9%、数平均分子量Mn=23,000、重量平均分子量Mw=51,000、酸価AV=50.0mgKOH/gであった。
まず、本願発明の架橋性組成物について、有機溶媒に対する溶解性を試験した。
実施例1
化合物1を10部、溶剤60部、樹脂合成例1で合成した樹脂溶液から溶剤を取り除いた樹脂40部を混合した。溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンを用いた。このときに均一な液体として得られたものは○、濁りのあるものは△、固体が沈殿した場合は×とした。
実施例2〜62
化合物1の代わりに、化合物2〜62を使用した以外は、実施例1と同様に試験を行った。
比較例1
化合物1の代わりに、化合物A(Primid XL−552(エムスケミー社製のβ−ヒドロキシアルキルアミド))を用いた以外は、実施例1と同様に試験を行った。
比較例2
化合物1の代わりに、化合物Bを用いた以外は、実施例1と同様に試験を行った。
比較例3
化合物1の代わりに、化合物Cを用いた以外は、実施例1と同様に試験を行った。
比較例4
化合物1の代わりに、化合物Bと化合物Cの重量比1:1の混合物を用いた以外は、実施例1と同様に試験を行った。
実施例1〜62および比較例1〜4の結果を表2にまとめた。
表2
従来用いられてきた化合物Aを用いた組成物である比較例1は、化合物Aがいずれの有機溶剤にもほとんど溶解しなかった。これに対し、本願発明の架橋性組成物である実施例1〜62は、一般式(1)で表される化合物が有機溶剤に対して化合物Aより高い溶解度を示した。
実施例63
化合物1を用いた架橋性組成物の硬化性試験(1)、保存安定性試験(1)、および硬化膜強度試験(1)を行った。
硬化性試験(1)は次のように行った。化合物1と樹脂合成例1のカルボキシ基を有する樹脂溶液を、化合物1のヒドロキシ基と、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基とのモル比が1:1になるように配合し架橋性組成物を作製した。この溶液1gをアルミ容器に入れた。この容器を120℃、150℃、180℃のオーブンにそれぞれ1時間入れ、樹脂を硬化させた。硬化膜を、金属メッシュで覆い、メチルエチルケトンで24時間浸した。その後、アルミ容器を60℃で3時間乾燥し、アルミ容器への硬化膜の残存率を測定した。膜の残存率が0〜20%の膜を×、21〜40%の膜を△、41〜80%の膜を○、81〜100%の膜を◎とした。
保存安定性試験(1)は次のように行った。硬化性試験(1)で用いた架橋性組成物の粘度を測定した。その後、40℃で1週間保存し、1週間後の粘度を測定した。試験前の粘度と比較して粘度変化が5%未満のものを○、5%以上増加したものを×とした。
硬化膜強度試験(1)は次のように行った。硬化性試験(1)において150℃で硬化させた硬化膜の粘弾性を測定した。TAインストゥルメンツ社製のARESIIIを用いて、平行円盤形の測定部
に試験片を挟み込み、一定の周波数(1Hz)で、温度を10℃/分で昇温させ、−50〜250℃での測定を行い、その30〜120℃での貯蔵弾性率を決定した。試験片は、厚みが1.0mmのものを用いた。30〜120℃における貯蔵弾性率が105Pa未満の硬化膜を×、105Pa以上106Pa未満の硬化膜を△、106Pa以上の硬化膜を○とした。なお、粘弾性測定はすべて、TAインストゥルメンツ社製のARESIIIを用いて行った。
実施例64〜124
化合物1の代わりに、化合物2〜62を使用した以外は、実施例63と同様に試験を行った。
比較例5〜7
化合物1の代わりに、化合物A〜Cを用いた以外は、実施例63と同様に試験を行った。
比較例8
化合物1の代わりに、化合物Bと化合物Cの重量比1:1の混合物を用いた以外は、実施例63と同様に試験を行った。
実施例63〜124および比較例5〜8の結果を表3にまとめた。
表3
実施例63〜124は硬化性試験(1)、保存安定性試験(1)、および硬化膜強度試験(1)全てにおいて良好であった。
比較例5は市販のβ−ヒドロキシアルキルアミドを使用した例であるが、比較例1の結果にあるように、メチルエチルケトン(MEK)に対する溶解性が乏しく、硬化性試験(1)おいても、本発明の化合物と比較して硬化性が劣る結果が得られた。
比較例6は中心骨格構造が直鎖の脂肪族炭化水素であるβ−ヒドロキシアルキルアミドを使用した例である。硬化性試験と保存安定性試験の結果は良好であるが、その構造由来の特徴である柔軟性のために硬化膜強度が弱く、発明の化合物と比較して硬化膜強度が劣る結果が得られた。
比較例7および比較例8は架橋性組成物中の架橋剤として2官能エポキシを使用した例である。架橋性組成物中のカルボキシ基とエポキシ基との反応が少しずつ進行して40℃で1週間保存後の粘度が上昇しており、保存安定性に劣る結果が得られた。
実施例125
化合物1を用いた架橋性組成物の硬化性試験(2)、保存安定性試験(2)、および硬化膜強度試験(2)を行った。
硬化性試験(2)は次のように行った。化合物1と樹脂合成例2のカルボキシ基を有する樹脂溶液を、化合物1のヒドロキシ基と、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基とのモル比が1:1になるように配合し架橋性組成物を作製した。この溶液1gをアルミ容器に入れた。この容器を120℃、150℃、180℃のオーブンにそれぞれ1時間入れ、樹脂を硬化させた。硬化膜を、金属メッシュで覆い、メチルエチルケトンで24時間浸した。その後、アルミ容器を60℃で3時間乾燥し、アルミ容器への硬化膜の残存率を測定した。膜の残存率が0〜20%の膜を×、21〜40%の膜を△、41〜80%の膜を○、81〜100%の膜を◎とした。
保存安定性試験(2)は次のように行った。硬化性試験(2)で用いた架橋性組成物の粘度を測定した。その後、40℃で1週間保存し、1週間後の粘度を測定した。試験前の粘度と比較して粘度変化が5%以内のものを○、5%以上増加したものを×とした。
硬化膜強度試験(2)は次のように行った。硬化性試験(2)において150℃で硬化させた硬化膜の粘弾性を測定した。TAインストゥルメンツ社製のARESIIIを用いて、平行円盤形の測定部
に試験片を挟み込み、一定の周波数(1Hz)で、温度を10℃/分で昇温させ、−50〜250℃での測定を行い、その30〜120℃での貯蔵弾性率を決定した。試験片は、厚みが1.0mmのものを用いた。30〜120℃における貯蔵弾性率が105Pa未満の硬化膜を×、105Pa以上106Pa未満の硬化膜を△、106Pa以上の硬化膜を○とした。なお、粘弾性測定はすべて、TAインストゥルメンツ社製のARESIIIを用いて行った。
実施例126〜186
化合物1の代わりに、化合物2〜42を使用した以外は、実施例125と同様に試験を行った。
比較例9〜11
化合物1の代わりに、化合物A〜Cを用いた以外は、実施例125と同様に試験を行った。
比較例12
化合物1の代わりに、化合物Bと化合物Cの重量比1:1の混合物を用いた以外は、実施例125と同様に試験を行った。
実施例125〜186および比較例9〜12の結果を表4にまとめた。
表4
実施例125〜186は硬化性試験(2)、保存安定性試験(2)、および硬化膜強度試験(2)全てにおいて良好であった。
比較例9は市販のβ−ヒドロキシアルキルアミドを使用した例であるが、比較例1の結果にあるように、メチルエチルケトン(MEK)に対する溶解性が乏しく、硬化性試験(2)おいても、本発明の化合物と比較して硬化性が劣る結果が得られた。
比較例10は中心骨格構造が直鎖の脂肪族炭化水素であるβ−ヒドロキシアルキルアミドを使用した例である。硬化性試験と保存安定性試験の結果は良好であるが、その構造由来の特徴である柔軟性のために硬化膜強度が弱く、発明の化合物と比較して硬化膜強度が劣る結果が得られた。
比較例11および比較例12は架橋性組成物中の架橋剤として2官能エポキシを使用した例である。架橋性組成物中のカルボキシ基とエポキシ基との反応が少しずつ進行して40℃で1週間保存後の粘度が上昇しており、保存安定性に劣る結果が得られた。
以上のことから、本発明の一般式(1)で表される化合物を用いた架橋性組成物は、有機溶剤に対する溶解性、硬化性、保存安定性、架橋後の硬化膜強度に優れていることが明らかとなった。
本発明の樹脂組成物は、熱硬化性の印刷インキ、塗料、コーティング剤、粘接着剤、成形材料、光硬化性材料に使用することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、有機溶剤と、カルボキシ基を有する樹脂とからなる架橋性組成物。
    一般式(1)
    (式中、Xはn価の炭素数4以上の直鎖の脂肪族炭化水素、あるいは、n価の炭素数6以上の脂環式炭化水素基を表し、
    nはの整数であり、
    1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、一般式(2)で表される基、または一般式(3)で表される基を表し、n個あるR1およびn個あるR2はそれぞれ、同一でも異なっていても良い。また、n個あるR1のうち少なくとも1つは一般式(2)で表される基、n個あるR2のうち少なくとも1つは一般式(3)で表される基である。)
    一般式(2)
    (式中、R3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、または、脂肪族炭化水素基を表す。)

    一般式(3)
    (式中、R3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、または、脂肪族炭化水素基を表し、
    7は一般式(4)で表される基、‐CH2‐Y、または‐CO‐Yを表し、Yは脂環式エポキシ基を表す。)

    一般式(4)
  2. Xが炭素数6〜20の直鎖の脂肪族炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載の架橋性組成物。
  3. Xが炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基であることを特徴とする請求項1または2記載の架橋性組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の架橋性組成物を加熱してなる硬化物の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法で得られる硬化物。
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