この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図1は、吊上げ部材500で吊り下げた状態の本実施形態のブロック吊り具10の正面図であり、図2(a)は、吊上げ部材500で吊り下げた状態のブロック吊り具10の左側面図であり、図2(b)は、図2(a)における係止アーム21、及びその周辺の拡大図である。図3(a)は、図1におけるブロック吊り具10の左側に備えた係止アーム21、及びその周辺の拡大図であり、図3(b)は、図3(a)のZ部の拡大図であり、図4は、本体フレーム11の右側に備えた係止アーム21、及びその周辺部分のみを図示したブロック吊り具10の分解斜視図である。
なお、図中、X方向、Y方向、Z方向は、本実施形態のブロック吊り具10のそれぞれ横方向、奥行方向、上下方向を示すものとし、図中、Xaは横方向内側、Xbは横方向外側を示すものとする。
本実施形態のブロック吊り具10は、図7に示すような天版部610の平面視中央に開口部600Aが形成されたコンクリートブロック600を図示省略するクレーン等の搬送装置で吊り上げて搬送する際に用いる吊り具であり、図1乃至図4に示すように、本体フレーム11と、コンクリートブロック600に係止する係止アーム21とを備えている。
本体フレーム11は、図2(b)に示すように、奥行方向Yに対して上下方向Zに長い断面長方形状に形成されるとともに、コンクリートブロック600の天版610の平面視中央に形成された開口部600Aの横方向Xの長さよりも長尺に、且つ図1に示すように、横方向Xに直線状に延びる角形鋼管で構成している。
本体フレーム11には、横方向Xの中間部に対して左右各側に同一間隔を隔てた位置に係止アーム21が枢着され、この係止アーム21を枢着する位置(係止アーム枢着位置P1)には、図2(b)、及び図4に示すように、本体フレーム11の奥行方向Yの各面(正面、及び背面)の間に、円筒状部材12が奥行方向Yに横架されるとともに、円筒状部材12の内部空間と奥行方向Yに連通する本体フレーム貫通孔13が形成されている。
本実施例においては、図1に示すように、係止アーム枢着位置P1は、本体フレーム11の横方向Xの中間部に対して左右各側に有する内側係止アーム枢着位置P1aと、内側係止アーム枢着位置P1aよりも横方向外側Xbに有する外側係止アーム枢着位置P1bとの合計4箇所に有している。これにより、係止アーム21は、後述するが、コンクリートブロック600の規格に応じて、内側係止アーム枢着位置P1aと外側係止アーム枢着位置P1bとのいずれかに貫通形成した本体フレーム貫通孔13に挿通された後述する枢支ピン31によって選択的に枢支される。
本体フレーム11の上面11aの横方向Xの中央には、図1に示すように、本体フレーム11に吊上げ部材500を連結する本体用吊上げ連結部15を備えている。本体用吊上げ連結部15は、正面視略五角形状で上方に突出した線材で形成するとともに、線材の横方向Xの両端部分を本体フレーム11の上面11aの横方向Xの中央に固着することで一体に形成している。さらに、本体用吊上げ連結部15は、線材に、後述する吊上げ部材500に備えたマスターリング510に取り外し可能に係止するCリンク15aが係止されている(図1参照)。
なお、吊上げ部材500は、図1、図2(a)、及び後述する図5(a)に示すように、本体用吊上げ連結部15に備えたCリンク15aに係止するとともに、クレーンのフック(図示省略)に係止する環状のマスターリング510と、マスターリング510に長さ方向の一端が連結された2本のチェーン520と、各チェーン520の長さ方向の他端側に連結され、本体用吊上げ連結部15に取り外し可能に係止するロッキングフック530とで構成している。
一方、係止アーム21は、図1に示すように、本体フレーム11の横方向Xの各側に左右対称配置され、それぞれの係止アーム21は、図2に示すように、2枚の板状の係止アーム基材211を備え、本体フレーム11の奥行方向Yの両側に本体フレーム11の奥行方向Yの長さよりも若干広い間隔を隔てて2枚の板状の係止アーム基材211が対向状態で配置されるように、これら係止アーム基材211の間にスペーサ部材212,213を介在させた構成としている。
スペーサ部材212,213は、図2(b)、及び図4に示すように、本体フレーム11の奥行方向Yの長さよりも若干長い長さを有する円筒状スペーサ部材212と板状スペーサ部材213とがあり、円筒状スペーサ部材212は、係止アーム21の上部の横方向外側Xbに、円筒状スペーサ部材212の内部空間に挿通するボルト212aとナット212bとの締結によって配設されるとともに、板状スペーサ部材213は、係止爪23に相当する箇所に配設されている。
このような要素を組付けて構成した係止アーム21は、図2(b)、図3(a)に示すように、上下方向Zに延びる係止アーム本体22と、係止爪23と、重錘部24と、アーム用吊上げ連結部25が設けられるとともに、係止アーム枢着孔26が形成されている。
係止爪23は、図1、及び図3(a)に示すように、コンクリートブロック600の天版部610の平面視中央に形成した開口部600Aの横方向Xの縁部を吊上げ箇所611(図7参照)として天版部610の下面610bから係止可能となるように係止アーム21の下部に備えるとともに、係止アーム本体22の下端部から横方向外側Xbへ突出させて形成している。
詳述すると、係止アーム21の下端部は、図2(b)、図3(a)、及び図4に示すように、2枚の係止アーム基材211の各下端から横方向外側Xbへ突出させて形成した突出部分231と、これら突出部分231の間に介在する板状スペーサ部材213とで突出方向先端側から基端側を見て略H形状になるように溶接などによって一体に構成している(図2(b)参照)。
このように構成した係止爪23は、係止アーム21の下端部において、図2(b)に示すように、突出部分231と板状スペーサ部材213と、板状スペーサ部材213の上面に配設した緩衝ブロック232とで構成している。なお、緩衝ブロック232は、軟質な塩化ビニル等の軟質樹脂やゴム等で形成した衝撃部材であり、板状スペーサ部材213に対してボルト233の締結により一体に固定されている。
重錘部24は、図1、及び図3(a)に示すように、係止アーム本体22の上部から係止爪23よりも横方向外側Xbへ迫り出して形成し、係止アーム21の上部において係止爪23と上下方向Zに対向するように備えている。
係止アーム本体22の重錘部24と係止爪23との間部分は、少なくともコンクリートブロック600の係止部分としての吊上げ箇所611の厚みよりも上下方向Zの長さが長くなるように形成している。
なお、図2(b)、図3(a)、及び図4に示すように、係止アーム本体22の係止爪23と重錘部24との間部分における横方向外側端部22aと横方向内側端部22bの夫々には、係止爪23によって吊上げ箇所611を係止した状態、すなわち後述する係止姿勢Sxにおいて、上下方向Zに直線状に延びる端辺形状で形成するとともに、2枚の係止アーム基材211を奥行方向Yに架設する2枚の補強板214,215を備えている。このうち係止アーム本体22の横方向外側端部22aに備えた図2(b)、及び図3(a)に示す補強板214は、係止爪23によって吊上げ箇所611を係止した状態において吊上げ箇所611の内縁に略面接触状態で当接可能に配置している。
アーム用吊上げ連結部25は、図1、及び図3(a)に示すように、上述した吊上げ部材500のロッキングフック530に取り外し可能に連結するように係止アーム21の上部における円筒状スペーサ部材212の配設箇所と略同じ上下方向Zの位置で、且つ配設箇所よりも横方向内側Xaに枢着されている。
アーム用吊上げ連結部25は、図4に示すように、ロッキングフック530により係止されるU字状係止部を有するシャックル251と枢支ピン252aとで構成し、シャックル251は、その基部251aを挿通する枢支ピン252aによって2枚の係止アーム基材211の間に軸支され、枢支ピン252a(ボルト252a)とナット252bとを締結することで係止アーム21に枢着されている。
続いて、係止アーム枢着孔26の形状について本体フレーム11の正面視左側に枢着した係止アーム21の係止アーム枢着孔26に基づいて図3を参照しながら説明する。
係止アーム枢着孔26は、係止アーム本体22の上下方向Zの略中間部に、係止長孔部27と、枢支長孔部28とで連続するように貫通形成するとともに正面視略くの字形状(正面視立位のブーメラン形状)をした長孔で形成している。
ここで、係止長孔部27は、上下方向Zに延びる長孔であり、枢支長孔部28は、係止長孔部27の上端から横方向Xに対して約60°の角度で横方向Xの内側斜め上方へ延びる長孔である。
なお、本体フレーム11の左側に有する係止アーム21は、吊上げ部材500の吊り上げによってアーム用吊上げ連結部25を力点として横方向Xの内側斜め上方へ引張られるが、係止長孔部27は、この引張り方向と略同方向に延びるように形成されている。
一方、本体フレーム11の正面視左側に枢着した係止アーム21に形成した係止アーム枢着孔26は、正面視右側に枢着した係止アーム21のそれと左右対称形状、すなわち、背面視略くの字形状をした長孔で形成している。
係止アーム21は、本体フレーム11における内側係止アーム枢着位置P1aと外側係止アーム枢着位置P1bとのいずれかの位置において奥行方向Yの両側へ突出した状態の枢支ピン31によって軸支される。なお、図1には、本体フレーム11における外側係止アーム枢着位置P1bにおいて軸着された係止アーム21が図示されている。
具体的には、本体フレーム11の係止アーム枢着位置P1において、2枚の係止アーム基材211のそれぞれを、本体フレーム11の奥行方向Yの各側に互いに対向した状態で配置させるとともに、2枚の係止アーム基材211のそれぞれの係止アーム枢着孔26と、本体フレーム11に形成した本体フレーム貫通孔13とが奥行方向Yに連通した状態で配置し(図4参照)、枢支ピン31を、これら係止アーム枢着孔26,26と本体フレーム貫通孔13に挿通させている(図2(b)参照)。
これにより、図3(a)に示すように、係止アーム21は、吊上げ箇所611の下面610bに係止爪23を係止する係止姿勢Sxと、係止姿勢Sxに対して係止爪23が横方向内側Xaに配置されるように傾いた傾き姿勢Syとの間で枢動可能に本体フレーム11の奥行方向Yの両側から突出した状態の枢支ピン31によって、本体フレーム11に枢着される。
なお、各要素が上述のように構成された本実施例において、本体フレーム11に嵌挿する枢支ピン31と、係止アーム21に貫通形成された係止アーム枢着孔26とで枢着部40としている(図2(b)参照)。また、枢支ピン31はショルダボルト31aと袋ナット31bとで構成される(図4参照)。
このように構成したブロック吊り具10において、係止姿勢Sxは、図3(a)において実線で示すように、係止爪23によって吊上げ箇所611の下面610bに横方向内側Xaから外側Xbへ係止する係止アーム21の姿勢であり、傾き姿勢Syは、図3(a)において二点鎖線で示すように、係止姿勢Sxに対して係止爪23が横方向内側Xaに配置されるように例えば、20°〜25°程度傾いた係止アーム21の姿勢である。
さらに、図3(b)に示すように、係止アーム枢着孔26(枢支長孔部28)の上端部は、傾き姿勢Syの係止アーム21を枢支可能とする位置であるため、上端部を枢支位置Pyに設定し、係止アーム枢着孔26(係止長孔部27)の下端部は、吊上げ部材500による吊り上げによって、係止姿勢Sxの係止アーム21に備えた係止爪23が吊上げ箇所611に、その下面610bから係止する位置であるため、下端部を係止位置Pxに設定する。
なお、係止アーム枢着孔26の下端部について、本実施例においては、下端部を係止位置Pxに設定したが、吊上げ箇所611の厚さによっては、係止姿勢Sxの係止アーム21に備えた係止爪23が吊上げ箇所611を下面610bから係止する係止状態において、枢支ピン31が必ずしも係止長孔部27の下端部に位置するとは限らないため、係止位置Pxは、係止アーム枢着孔26の下端部に限らず、吊上げ箇所611の厚さに応じて設定することができ、具体的には、係止爪23による吊上げ箇所611の係止状態において、枢支ピン31が係止長孔部27に配置された位置に設定することができる。
上述した枢支位置Pyについて補足すると、係止アーム21が、吊上げ部材500によって吊り上げられておらず、且つ係止アーム枢着孔26の枢支位置Pyにおいて枢支ピン31によって枢支されている状態においては、係止アーム21は傾き姿勢Syとなる。
一方、上述した係止位置Pxについて補足すると、係止アーム21が、係止アーム枢着孔26の係止位置Pxにおいて枢支ピン31によって枢支されている状態においては、係止アーム21は係止姿勢Sxとなる、或いは、枢支ピン31が枢支位置Pyに位置する場合と比較して吊上げ部材500による吊り上げによって、より係止姿勢Sxになり易い。
さらに、枢支ピン31が係止アーム枢着孔26における係止位置Pxに配置された状態においては(後述する図6(c)、(d)参照)、本体フレーム11は係止アーム枢着孔26の重錘部24の略全体よりも下方に位置し、本体フレーム11の下面11bにおける、係止爪23との対向部分11dが吊上げ箇所611の天版部610の上面610aに接触する、すなわち、係止アーム21の吊り上げによって、本体フレーム11の下面11bと係止爪23との間隔L(図3参照)が吊上げ箇所611の上下方向Zの厚みとなるように調整される。
また、本体フレーム11の横方向Xの両側に備えた一対の係止アーム21,21が、いずれも傾き姿勢Syの状態において(後述する図5(a)参照)、これら一対の係止アーム21,21は、それぞれの係止アーム21の係止爪23の先端を結ぶ横方向Xの間隔が、コンクリートブロック600の開口部600Aの横方向Xの長さよりも小さくなるように本体フレーム11に枢着されている。
上述した本実施形態のブロック吊り具10を用いてクレーンによりコンクリートブロック600を持ち上げる際の実施例について図5、及び図6を参照しながら説明する。
なお、図5は係止アーム21をコンクリートブロック600の吊上げ箇所611に係止可能な位置に配置するまでの手順を示す説明図であり、詳しくは、図5(a)はブロック吊り具10をコンクリートブロック600に載置する様子を示す説明図であり、図5(b)は図5(a)中のX1部の拡大図である。図5(c)は、係止アーム21を傾き姿勢Syから係止姿勢Sxへ姿勢変更した直後の様子を示す説明図であり、図5(d)は図5(c)中のX2部の拡大図である。
また、図6はブロック吊り具10の係止アーム21をコンクリートブロック600の吊上げ箇所611に係止するまでの手順を示す説明図であり、詳しくは、図6(a)は、係止アーム21を吊り上げる様子を示す説明図であり、図6(b)は図6(a)中のX3部の拡大図である。図6(c)は、係止アーム21をコンクリートブロック600の吊上げ箇所611に係止した様子を示す説明図であり、図6(d)は図6(c)中のX4部の拡大図である。
但し、図5(a)、図5(c)、図6(a)、図6(c)中におけるコンクリートブロック600は、天版部610以外を図示省略するとともに、奥行方向Yの中間部における縦断面で図示するものとし、また、図5(b)、図5(d)、図6(b)、図6(d)中における係止アーム枢着孔26に有する枢支ピン31は、ハッチングを付して模式的に図示するものとする。
なお、本実施例においては、吊上げ部材500のマスターリング510に係止するクレーンのフック等は図示省略するものとし、吊上げ部材500に備えた2本のチェーン520は、簡略化した線状に図示している。また、係止アーム21は、本体フレーム11の外側係止アーム枢着位置P1bに枢着されているものとする。
まず、図5(a)に示すように、吊上げ部材500のマスターリング510にクレーンのフックを係止するとともに、Cリンク15aを介して本体用吊上げ連結部15をマスターリング510に係止し、クレーンにより吊上げ部材500を介してブロック吊り具10を吊り下げる。
このとき、吊上げ部材500に備えた2本のチェーン520には、ブロック吊り具10の吊り下げによる引張力が加わらないため、それぞれ弛緩した状態となる。すなわち、係止アーム21は、吊上げ部材500によって直接的に吊り上げられないため、図5(a)、(b)に示すように、係止アーム枢着孔26の枢支位置Py(上端)において枢支ピン31によって傾き姿勢Syで枢支された状態となる。
そして、図5(a)に示すように、ブロック吊り具10をコンクリートブロック600の天版部610の平面視中央に形成された開口部600Aの上方に配置し(図5(a)中の仮想線で示したブロック吊り具10参照)、開口部600Aに向けて真直ぐに徐々に降下させていくと(図5(a)中の矢印Dd参照)、やがてブロック吊り具10はコンクリートブロック600の天版部610の上面610aに載置した状態となる。
具体的には、ブロック吊り具10をコンクリートブロック600の開口部600Aに向けて降下させていくと、ブロック吊り具10は、係止アーム21の少なくとも係止爪23が開口部600Aを通じてコンクリートブロック600の内部空間600Xに挿入されるとともに、本体フレーム11が開口部600Aを横方向Xに跨ぐようにコンクリートブロック600の天版部610の開口部600Aの横方向Xの両縁部に載置した状態となる(図5(a)参照)。
続いて、図5(c)に示すように、マスターリング510とCリンク15aとの係止を解除し、クレーンのフックにより、吊上げ部材500のマスターリング510を上方に持ち上げる(図5(c)中の矢印Du参照)。
このとき、吊上げ部材500に備えた2本のチェーン520には、クレーンの吊り上げによる引張力が加わり、横方向Xに延びる本体フレーム11に対して斜め方向となるように略直線状に伸長した状態となる。吊上げ部材500のロッキングフック530は、係止アーム21のアーム用吊上げ連結部25に連結されているため、係止アーム21は、吊上げ部材500のチェーン520を介して直接的に吊り上げられる。
これにより、係止アーム21は、図5(d)に示すように、枢支ピン31によって係止アーム枢着孔26の枢支位置Pyにおいて枢支されたままであるが、この枢支ピン31を支点として図5(c)に示すように、傾き姿勢Syから係止姿勢Sxとなるように枢動する。
続いて、図6(a)に示すように、クレーンのフックにより、マスターリング510を上方にさらに持ち上げる。係止アーム枢着孔26は、上下方向Zの長孔形状であるため、吊上げ部材500の吊り上げによって、本体フレーム11に対して係止アーム21のみが持ち上げられる。
このとき、係止アーム21は、吊上げ部材500から横方向Xの内側斜め上方向の吊り上げ力が作用するため(図6(a)中の矢印F参照)、枢支ピン31は、図6(b)に示すように、枢支長孔部28の枢支位置Pyから係止長孔部27に向かって、下方及び横方向外側Xbにスライドする。
但し、係止アーム21の横方向外側端部22aは、係止姿勢Sxの状態で吊上げ箇所611の内端に当接するため、係止姿勢Sxの状態からさらに係止爪23が横方向外側Xbへ配置される側へ回動することがなく、係止姿勢Sxの状態を維持しつつ、吊上げ部材500の吊り上げによって、吊上げ箇所611に対して係止爪23が横方向外側Xbへ配置される側へさらに傾く方向へ付勢させることができる(図6(a)中の付勢力fb参照)。
続いて、図6(c)に示すように、クレーンのフックにより、マスターリング510を上方にさらに吊り上げる。
このとき、係止アーム21は、吊上げ部材500から横方向Xの内側斜め上方向の吊上げ力が作用するため(図6(c)中の吊上げ力F参照)、枢支ピン31は、図6(d)に示すように、上下方向Zに延びる係止長孔部27をその上端から下方へスライドする。やがて枢支ピン31が係止位置Px(本実施例においては係止長孔部27の下端部)に位置するまで係止アーム21を吊上げ部材500によって吊り上げたとき、ブロック吊り具10は、図6(c)に示すように、係止爪23を吊上げ箇所611に下面610bから係止することができ、係止爪23と、本体フレーム11の下面11bにおける対向部分11dとで吊上げ箇所611を挟み込んだ状態とすることができる。
なお、図示しないが、この状態でクレーンのフックにより、吊上げ部材500を上方にさらに吊り上げることでブロック吊り具10によりコンクリートブロック600を持ち上げて安全に搬送することができる。
上述した本実施形態のブロック吊り具10は、図3、及び図6に示すように、横方向Xに延びる本体フレーム11と、本体フレーム11の左右各側において、コンクリートブロック600の吊上げ箇所611の下面610bに係止する係止爪23を備える係止アーム21と、係止爪23によって吊上げ箇所611の下面610bに係止する係止姿勢Sxと、係止姿勢Sxに対して横方向Xに傾いた傾き姿勢Syとの間で枢動可能に係止アーム21を本体フレーム11に枢着する枢着部40とを備え、係止アーム21に、係止アーム21を吊り上げる吊上げ部材500と連結するアーム用吊上げ連結部25を設け、枢着部40を、アーム用吊上げ連結部25を介した吊上げ部材500による係止アーム21の吊り上げによって、係止アーム21が係止姿勢Sxの状態における係止爪23と、吊上げ箇所611を挟んで係止爪23に対向する本体フレーム11における対向部分11dとの間隔Lを調整可能とした。そのため、コンクリートブロック600を、様々な厚みの吊上げ箇所611に対応して係止することができ、安定した状態で移動することができる。
詳述すると、吊上げ部材500の吊り上げに伴って係止アーム枢着孔26において枢支ピン31が移動することによってコンクリートブロック600の吊上げ箇所611の厚みに応じて係止爪23と本体フレーム11における対向部分11dとの間隔L(図3)を調整することができるため、様々な厚みの吊上げ箇所611に対応して係止爪23をより確実に係止することができる。
さらに、係止爪23をコンクリートブロック600の吊上げ箇所611の下面610bに係止した状態において、吊上げ箇所611の天版部610の上面610aを本体フレーム11における対向部分11dによって規制することができるため、吊上げ箇所611を係止爪23と本体フレーム11における対向部分11dとで挟み込むようにしてコンクリートブロック600を安定して移動することができる。
例えば、人手によって係止爪23と対向部分11dとの間隔Lを調整せずとも吊上げ部材500による係止アーム21の吊り上げという1つの動作によって、コンクリートブロック600の持ち上げと、係止爪23と対向部分11dとの間隔Lの調整との双方を行うことができるため、コンクリートブロック600を容易に、且つ、安定した状態で移動することができる。
しかも、係止アーム21を吊上げ箇所611に係止する際に、係止アーム21を傾き姿勢Syから係止姿勢Sxに姿勢変更してから吊上げ箇所611に係止するため、まずは傾き姿勢Syの状態で係止アーム21を、コンクリートブロック600の内部空間600Xに、開口部600Aを通じて吊上げ箇所611に係止可能な位置まで挿入し(図5(a)参照)、その後、係止姿勢Sxに姿勢変更することにより(図5(c)参照)、係止アーム21がコンクリートブロック600の開口部600Aの縁部(吊上げ箇所611)に意に反して干渉することなく、係止アーム21を吊上げ箇所611に確実、且つ容易に係止することができる。
加えて、上述した構成によれば、係止爪23と本体フレーム11における対向部分11dとの間隔Lを、例えば、リンク機構等の複雑な構成を採用せずとも調整でき、部品点数を低減するとともに、シンプルな構造で実現できるため、軽量化を図ることができるとともに、現場において重量物であるコンクリートブロック600の運搬においても耐久性に優れたブロック吊り具10を提供することができる。
また、図3(a)に示すように、係止姿勢Sxを、係止アーム21に横方向外側Xbを向いて突出するように備えた係止爪23によって吊上げ箇所611の下面610bに横方向内側Xaから外側Xbへ係止する係止アーム21の姿勢とし、傾き姿勢Syを、係止姿勢Sxに対して係止爪23が横方向内側Xaに配置されるように傾いた係止アーム21の姿勢とし、係止アーム21を、図5(b)に示すように、吊上げ部材500によるアーム用吊上げ連結部25を介した係止アーム21の吊り上げによって傾き姿勢Syから係止姿勢Sxとなるように構成したため、傾き姿勢Syから係止姿勢Sxへの係止アーム21の姿勢変更についても、吊上げ部材500による係止アーム21の吊り上げによって行うことができ、例えば、人手によって係止アーム21の姿勢を変更して吊上げ箇所611に係止爪23を係止する必要がなく、吊上げ箇所611に係止爪23を容易に係止することができる。
具体的には、上述したように、吊上げ部材500によるアーム用吊上げ連結部25を介した吊り上げによって係止アーム21は、コンクリートブロック600の開口部600Aに挿入可能な傾き姿勢Syから吊上げ箇所611に係止可能な係止姿勢Sxへと姿勢変更することができ(図5(c)参照)、その後、係止アーム21を係止姿勢Sxの状態でさらに吊上げ部材500により吊り上げることによって、係止爪23と、本体フレーム11の下面11bにおける、吊上げ箇所611を挟んで係止爪23に対向する対向部分11dとの間隔Lを調整して、係止爪23を吊上げ箇所611に、その下面610bから係止することができる(図6(a)、(c)参照)。
また、図3(b)に示すように、枢着部40を、係止アーム21に貫通形成した枢着凹部としての係止アーム枢着孔26と、係止アーム枢着孔26と係合する枢着凸部としての枢支ピン31とで構成し、係止アーム21を傾き姿勢Syで枢支可能な枢支位置Pyと、係止アーム21の吊り上げによって係止爪23が吊上げ箇所611の下面610bに係止する係止位置Pxとの間で枢支ピン31がスライド可能に形成したため、図5(d)に示すように、枢支ピン31を係止アーム枢着孔26における枢支位置Pyに配置することで、係止アーム21は、枢支位置Pyにおいて傾き姿勢Syで枢支することができる。
したがって、係止アーム21を、係止爪23がコンクリートブロック600の開口部600Aの縁部に干渉することなく、コンクリートブロック600の吊上げ箇所611の下面610bから係止可能な係止な位置へとスムーズに配置することができる。
さらに、図6(c)に示すように、枢支ピン31を係止アーム枢着孔26における係止位置Pxに配置することで、係止アーム21の吊り上げによって、傾き姿勢Syから係止姿勢Sxへと姿勢変更した係止アーム21の係止爪23を吊上げ箇所611の下面610bに確実に係止することができる。
また、図3に示すように、係止アーム枢着孔26における枢支位置Pyを、係止位置Pxよりも係止アーム21の重心位置Pwに対して、横方向Xにおけるアーム用吊上げ連結部25を有する側、すなわち横方向内側Xaへずらした位置、且つ係止位置Pxよりも上方の位置としたため、図5(a)に示すように、枢支ピン31を枢支位置Pyに配置した状態において、係止アーム21を吊上げ部材500によって吊り上げていない状態において、係止アーム21を、確実に傾き姿勢Syとすることができる。
したがって、係止アーム21を、係止爪23がコンクリートブロック600の開口部600Aの縁部に干渉することなく、コンクリートブロック600の吊上げ箇所611の下面610bから係止できるようにスムーズに配置することができるという上述した効果を確実に得ることができる。
一方、換言すると、上述した構成によれば、係止アーム枢着孔26における係止位置Pxは、枢支位置Pyと比較して横方向外側Xbにずらした位置に有し(図3(b)参照)、さらに、係止アーム21は、アーム用吊上げ連結部25を力点として、吊上げ部材500の吊り上げによって横方向内側Xa斜め上方へ引張られるため、係止アーム21が枢支ピン31によって係止位置Pxにおいて枢支されている場合、枢支位置Pyにおいて枢支されている場合と比較して、傾き姿勢Syから係止姿勢Sxへと積極的に姿勢変更できるため(図6(a)中の付勢力fb参照)、係止爪23を吊上げ箇所611に確実に係止することができる(図6(c)中の付勢力fb参照)。
また、図3(b)に示すように、係止アーム枢着孔26を、係止位置Pxを有するとともに上下方向Z(間隔Lの調整方向)に延びる係止長孔部27(係止凹部)と、枢支位置Pyを有するとともに、係止長孔部27の上端からアーム用吊上げ連結部25を有する横方向Xの内側斜め上方へ延びる枢支長孔部28(枢支凹部)とで略くの字形状に形成しているため、図5(a)に示すように、枢支ピン31を枢支長孔部28に配置した場合には、係止アーム21を吊上げ部材600によって吊り上げていない状態とした場合であっても、係止アーム21を、傾き姿勢Syとすることができる。
一方、枢支ピン31を係止長孔部27に配置した場合には、図6(a)、(c)に示すように、係止アーム21を吊上げ部材500によって吊り上げる際に、枢支ピン31を枢支長孔部28に配置した場合と比較して係止アーム21を係止姿勢Sxへと姿勢変更し易くすることができる。
よって、係止アーム枢着孔26を、係止長孔部27と枢支長孔部28とで略くの字形状に形成することで、枢支ピン31を、このような係止位置Pxと枢支位置Pyとの間においてスムーズに移動させることが可能となる。
また、図1、及び図3(a)に示すように、係止アーム21における枢支位置Pyよりも横方向外側Xbの部分に重錘部24を備えたため、係止アーム21の重心位置Pwを、係止アーム21の横方向Xの中間位置よりも横方向外側Xbへ偏心させることができ、係止アーム21を吊上げ部材600によって吊り上げていない状態において、係止アーム21を、より確実に傾き姿勢Syとした状態で枢支ピン31によって枢支できる。
したがって、係止アーム21を係止爪23がコンクリートブロック600に干渉することなく、係止爪23を、コンクリートブロック600の吊上げ箇所611に、その下面610bから係止できるようにスムーズに配置することができるという上述した効果をより確実に得ることができる。
また、図6(c)に示すように、枢支ピン31が係止アーム枢着孔26における係止位置Pxに配置された吊り上げ状態おいて、本体フレーム11の下面11bにおける、係止爪23との対向部分11dが吊上げ箇所611の天版部610の上面610aに接触することによって、本体フレーム11は、吊上げ箇所611の天版部610の上面610aに載置された状態となるため、本体フレーム11の自重によりコンクリートブロック600の吊上げ箇所611を押さえ付けることができる。
よって、係止爪23を吊上げ箇所611の下面610bに係止した状態において本体フレーム11の下面11bにおける、係止爪23に対向する対向部分11dと、係止爪23とで上下各側から吊上げ箇所611を挟み込むことができる。
すなわち、吊上げ部材500によって係止アーム21を吊り上げる際の引張力のみならず、本体フレーム11の重量を含めた係止力で吊上げ箇所611を係止することができ、このような強固な係止力で係止した状態でコンクリートブロック600を安定して吊り上げることができる。
また、図1、図3(a)に示すように、アーム用吊上げ連結部25を、係止アーム21における枢支位置Pyに対して係止爪23を有する側の下方と反対側の上方に配置したため、アーム用吊上げ連結部25を、アーム用吊上げ連結部25の係止爪23からの距離が枢支位置Pyのそれよりも遠方となるように配置できるため、吊上げ部材500により係止アーム21を吊り上げる際に、吊上げ部材500が係止爪23に干渉するおそれを回避することができる。
さらに、係止アーム21を吊り上げる際に力点となるアーム用吊上げ連結部25を、係止アーム21における、支点となる枢支位置Pyに対して作用点となる係止爪23を有する下側と反対側の上方に配置したため、係止アーム21を吊り上げる際に、係止アーム21を、係止アーム枢着孔26において枢支する枢支ピン31を支点とする梃の原理を利用してアーム用吊上げ連結部25に作用する吊り上げ力を係止爪23に係止力として伝え易くなり、係止爪23によるコンクリートブロック600の吊上げ箇所611の優れた係止力を得ることができる(図6(c)中の係止力fb参照)。
また、図1に示すように、本体フレーム11に吊上げ部材500を連結する本体用吊上げ連結部15を備えたため、図5(a)に示すように、本体用吊上げ連結部15を、Cリンク15aを介して吊上げ部材500のロッキングフック630に連結することで本体フレーム11を直接、吊上げ部材500によって吊り上げることができ、係止アーム21によってコンクリートブロック600を係止していない状態においてブロック吊り具10を安定して移動させることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の間隔調整手段は、この実施形態の係止アーム枢着孔26に対応し、以下、同様に、
枢着凹部は、係止アーム枢着孔26、及び本体フレーム貫通孔13に対応し、
枢着凸部は、枢支ピン31に対応し、
係止凹部は、係止長孔部27に対応し、
枢支凹部は、枢支長孔部28に対応し、
枢着手段は、枢着部40に対応し、
間隔の調整方向は、上下方向Zに対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、本実施形態において、係止アーム枢着孔26は、図3(a)、(b)に示すように、係止アーム本体22に正面視略くの字形状の長孔で形成したが、本発明の係止アーム側枢着孔は、直線状、孤状などの曲線状、或いはこれら直線状と曲線状とを組み合わせた形状の長孔など、枢支位置Pyと係止位置Pxとを連続して結ぶ長孔であれば特にその形状については限定しない。
また、本実施例において、係止アーム枢着位置P1は、図1に示すように、内側係止アーム枢着位置P1aと外側係止アーム枢着位置P1bとで本体フレーム11の左右各側に2箇所ずつ有する構成としたが、本発明の係止アーム枢着位置は、これに限定せず、本体フレーム11の左右各側に1箇所或いは、3箇所以上に有する構成としてもよい。