JP6401529B2 - 感光性組成物 - Google Patents

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本発明は、感光性組成物と、それを用いたカラーフィルタ及び表示装置とに関する。
液晶表示ディスプレイ等の表示装置は、互いに対向して対となる電極が形成された2枚の基板の間に、液晶層を挟みこむ構造となっている。そして、一方の基板の内側には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の各色の画素領域からなるカラーフィルタが形成されている。このカラーフィルタにおいては、通常、赤色、緑色、青色等の各画素領域を区画するように、ブラックマトリクスが形成されている。
一般に、カラーフィルタはリソグラフィ法により製造される。すなわち、まず、基板上に黒色の感光性組成物を塗布、乾燥させた後、露光、現像し、ブラックマトリクスを形成する。次いで、赤色、緑色、青色等の各色の感光性組成物ごとに、塗布、乾燥、露光、及び現像を繰り返し、各色の画素領域を特定の位置に形成してカラーフィルタを製造する。
ブラックマトリクスは、遮光剤を含む感光性組成物から作製されるパターンであり、各画素領域からの光漏れを抑制することによって、表示装置におけるコントラストの向上や良好な発色を得ることに寄与している。また、上記のように、カラーフィルタ作製の最初の段階で形成されるブラックマトリクスは、その後に各画素領域を着色する感光性組成物が埋め込まれるための凹部を形成し、特定の位置に各色の画素領域を形成させる役割も担っている。
近年、液晶表示ディスプレイの製造にあたっては、ブラックマトリクスによる遮光性を向上させて、液晶表示ディスプレイに表示させる画像のコントラストをより一層向上させる試みがなされている。このためには、ブラックマトリクスを形成させるための感光性組成物に遮光剤を多量に含ませることが必要である。しかし、このように感光性組成物に遮光剤を多量に含ませると、基板上に塗布されてなる感光性組成物の膜を露光した際に、感光性組成物を硬化させるための光が膜の底部まで到達し難くなり、感光性組成物の著しい感度の低下にともなう硬化不良を招来することにつながる。
感光性組成物は、その成分の一部として含まれる光重合開始剤が露光によってラジカルを発生させ、このラジカルが感光性組成物に含まれる重合性の化合物を重合させることによって硬化する。そのため、感光性組成物の感度は、それに含まれる光重合開始剤の種類によって影響を受けることが知られている。また、近年、液晶表示ディスプレイの生産台数が増大するのに合わせてカラーフィルタの生産量も増大しており、より一層の生産性向上の観点から、低露光量でパターンを形成することのできる高感度の感光性組成物が要望されている。このような状況において、感光性組成物の感度を良好にすることのできる光重合開始剤として、特許文献1には、シクロアルキル基を有するオキシムエステル化合物が提案されている。特許文献1に記載された実施例では、下記化学式(a)及び(b)で表される化合物が具体的に開示されている。
Figure 0006401529
中華人民共和国公開特許公報 第101508744号
上記化学式(a)及び(b)で表される化合物を光重合開始剤として用いることにより、高感度の感光性組成物を作製することができる。しかし、上記化学式(a)及び(b)で表される化合物を光重合開始剤として含む感光性組成物の感度は、ディスプレイ等の生産時のパターン形成における低露光量化の影響に必ずしも応えられるものではなく、感光性組成物のさらなる感度向上が求められる。
また、これらの化合物を光重合開始剤として使用してブラックマトリクスを形成させようとすると、感度が良好である反面、形成されたブラックマトリクスのパターン形状に下記のような問題が生じる。
通常、感光性組成物を使用して液晶表示ディスプレイ用のカラーフィルタのパターンを形成させた場合、図1(a)に示すように、当該パターンの幅方向の断面である断面1が、底辺1aに近いほど幅広となり、頂辺1bに近いほど幅狭となる台形形状となることが一般的である。このとき、パターンの断面1がカラーフィルタ基板(図示せず)との間でなす角θは、鋭角となる。
しかしながら、上記化学式(a)又は(b)で表される化合物を光重合開始剤として含む感光性組成物を使用してブラックマトリクスを形成させると、図1(b)に示すように、現像時にパターンの底部の一部が溶解することに伴って、当該パターンの幅方向の断面となる断面2における底辺2aの両端にアンダーカット21を生じる場合がある。このとき、パターンの断面2がカラーフィルタ基板(図示せず)との間でなす角θは、鈍角となる。このように角θが鈍角になると、ブラックマトリクスに隣接する赤色、緑色、青色等の各色の画素領域を形成させる際に、アンダーカット21の部分に気泡を生じる。すなわち、ブラックマトリクスに隣接して画素領域形成用の感光性組成物の膜を形成させた場合に、アンダーカット21として存在する空間に感光性組成物が入り込まずに、当該空間が気泡として残留する。このような気泡がカラーフィルタに存在すると、液晶表示装置の画質を大きく損なうことにつながるため問題である。こうした問題は、ブラックマトリクスのパターン形成の際の現像が、やや過剰気味となるオーバー現像の場合に特に顕著に生じる。
さらに、上記化学式(a)及び(b)で表される化合物を光重合開始剤として含む感光性組成物を用いてパターンを形成する場合、直進性に優れるパターンを形成しにくかったり、現像後に基板からのパターンの剥離が生じやすかったりする問題がある。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、高感度であって、直進性及び基板への密着性に優れるパターンを形成でき、感光性組成物が遮光剤を含んだり、露光量が不足したりするような状況にあっても、現像後のパターンにアンダーカットが生じることを抑制できる感光性組成物、並びにそれを用いたカラーフィルタ及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含む感光性組成物において、カルバゾール環上の6位に特定の置換基を有するカルバゾール−3−イルカルボニル基と、特定の構造のシクロアルキルアルキル基とがオキシム炭素に結合するオキシム系化合物を光重合開始剤として用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、(A)光重合性化合物、及び(B)下記式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤を含む感光性組成物である。
Figure 0006401529
(上記式(1)中、lは1〜5の整数であり、mは0〜(l+3)の整数であり、nは1〜8の整数であり、Rは、炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、Rは下記式(2)〜(5)で表される置換基のいずれかであり、Rはアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
Figure 0006401529
本発明の第2の態様は、第1の態様に係る感光性組成物であって、着色剤(C)を含む感光性組成物を用いて形成されたカラーフィルタである。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様に係るカラーフィルタが使用された表示装置である。
本発明によれば、高感度であって、直進性及び基板への密着性に優れるパターンを形成でき、感光性組成物が遮光剤を含んだり、露光量が不足したりするような状況にあっても、現像後のパターンにアンダーカットが生じることを抑制できる感光性組成物、並びにそれを用いたカラーフィルタ及び表示装置を提供することができる。
感光性組成物から形成されたパターンの幅方向の断面形状を示す模式図であり、(a)は通常のパターンの断面形状を示す図であり、(b)はアンダーカット21を生じたパターンの断面形状を示す図である。
[感光性組成物]
感光性組成物は、(A)光重合性化合物、及び(B)上記の式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤を少なくとも含有する。以下、本発明の感光性組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
<(A)光重合性化合物>
本発明に係る感光性組成物に含有される(A)光重合性化合物としては、特に限定されず、従来公知の光重合性化合物を用いることができる。その中でも、エチレン性不飽和基を有する樹脂又はモノマーが好ましく、これらを組み合わせることがより好ましい。エチレン性不飽和基を有する樹脂とエチレン性不飽和基を有するモノマーとを組み合わせることにより、感光性組成物の硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。
[エチレン性不飽和基を有する樹脂]
エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カルドエポキシジアクリレート等が重合したオリゴマー類;多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。さらに、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を好適に用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、エポキシ化合物と不飽和基含有カルボン酸化合物との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を好適に用いることができる。
その中でも、下記式(a1)で表される化合物が好ましい。この式(a1)で表される化合物は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
Figure 0006401529
上記式(a1)中、Xは、下記式(a2)で表される基を表す。
Figure 0006401529
上記式(a2)中、R1aは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、R2aは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Wは、単結合又は下記式(a3)で表される基を表す。
Figure 0006401529
また、上記式(a1)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を表す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を表す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a1)中、mは、0〜20の整数を表す。
エチレン性不飽和基を有する樹脂の酸価は、樹脂固形分で、10〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜110mgKOH/gであることがより好ましい。酸価を10mgKOH/g以上とすることにより、現像液に対する十分な溶解性が得られるので好ましい。また、酸価を150mgKOH/g以下とすることにより、十分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができるので好ましい。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。質量平均分子量を1000以上とすることにより、良好な耐熱性、膜強度を得ることができるので好ましい。また、質量平均分子量を40000以下とすることにより、良好な現像性を得ることができるので好ましい。
[エチレン性不飽和基を有するモノマー]
エチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(A)成分である光重合性化合物の含有量は、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して10〜99.9質量部であることが好ましい。(A)成分の含有量を固形分の合計100質量部に対して10質量部以上とすることにより、形成されるパターンの十分な耐熱性及び耐薬品性が期待できる。
<(B)オキシム系光重合開始剤>
本発明に係る感光性組成物に含有されるオキシム系光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0006401529
(上記式(1)中、lは1〜5の整数であり、mは0〜(l+3)の整数であり、nは1〜8の整数であり、Rは、炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、Rは下記式(2)〜(5)で表される置換基のいずれかであり、Rはアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
Figure 0006401529
上記式(1)中、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基であることがより好ましい。
上記式(1)中、Rはアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(1)中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。上記式(1)中、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル、3−メチルブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、エチル基であることがより好ましい。
上記式(1)中、lは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(1)中、mは0〜(l+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(1)中、nは1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(1)で表される化合物の中でも、好適な化合物としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 0006401529
式(1)で表される化合物の合成方法は、特に限定されない。式(1)で表される化合物は、例えば下記の合成スキームに従って合成することができる。
<合成スキーム>
Figure 0006401529
具体的には、まず、式(i)で表されるカルバゾール化合物を、常法に従って、ニトロ化又はフリーデルクラフツアシル化して、式(ii)で表されるカルバゾール化合物を得る。次いで、式(ii)で表されるカルバゾール化合物を、式(iii)で表されるカルボン酸ハライドを用いて、フリーデルクラフツアシル化し、式(iv)で表されるケトン化合物を得る。
次いで、式(iv)で表されるケトン化合物を塩酸の存在下、亜硝酸エステルを反応させて、式(v)で表されるオキシム化合物を得る。得られたオキシム化合物(v)を、酸ハライド(RCOHal)、又は酸無水物((RCO)O)等によってアシル化することによって、式(1)で表される化合物が得られる。
なお、上記式(i)〜(v)において、R、R、R、R、m、n、及びlは、式(1)における定義と同様である。また、上記合成スキームにおいて、Halはハロゲン原子を意味する。ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、塩素が好ましい。
上記式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤は、高感度であって、直進性及び基板への密着性に優れるパターンを形成でき、感光性組成物が遮光剤を含んだり、露光量が不足したりするような状況にあっても、現像後のパターンにアンダーカットが生じることを抑制できる感光性組成物を与える点で好ましい。
また、上記式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)に溶解しやすい点でも好ましい。PMは、安全であって、使用に規制がないことから、カラーフィルタを製造するため、あるいはLCDの製造工程において種々の構造体を形成するために使用される材料の溶剤として汎用されている。このため、PMに良好に溶解する光重合開始剤は、感光性組成物(フォトレジスト材料)に添加する添加剤として有用である。
(B)成分であるオキシム系光重合開始剤の含有量は、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜45質量部であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得るとともに、塗膜形成能を向上させ、光硬化不良を抑制することができる。
感光性組成物は、(B)成分である上記式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤のみを光重合開始剤として含むのが好ましい。しかし、(B)成分である上記式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で、式(1)以外の構造の光重合開始剤と併用されてもよい。この場合、感光性組成物に含まれる光重合開始剤の総質量に対して、(B)成分であるオキシム系光重合開始剤の質量は、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのが特に好ましく、90質量%以上であるのが最も好ましい。
式(1)以外の構造の光重合開始剤の具体的例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
<(C)着色剤>
本発明に係る感光性組成物は、さらに、(C)着色剤を含んでもよい。感光性組成物は、(C)成分である着色剤を含むことにより、例えば、液晶表示ディスプレイのカラーフィルタ形成用途として好ましく使用される。また、本発明に係る感光性組成物は、着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、表示装置のカラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。
本発明に係る感光性組成物に含有される(C)着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることが好ましい。
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。光重合開始剤として、上記の(B)成分を用いることにより、遮光性の高い黒色顔料を使用したとしても、現像後のパターンにアンダーカットが生じることを抑制することができる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのような液晶表示素子のブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
上記の着色剤を感光性組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
感光性組成物における着色剤の使用量は、感光性組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。上記の範囲とすることにより、目的とするパターンでブラックマトリクスや各着色層を形成することができ、好ましい。
特に、感光性組成物を使用してブラックマトリクスを形成する場合には、ブラックマトリクスの被膜1μm当たりのOD値が4以上となるように感光性組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける被膜1μm当たりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性組成物に添加することが好ましい。
<(D)アルカリ可溶性樹脂>
本発明に係る感光性組成物は、さらに、(D)アルカリ可溶性樹脂を含んでもよい。前述の(A)光重合性化合物について、アルカリ可溶性を有する樹脂である場合があるが、(D)アルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合のような光重合性の官能基を含まない樹脂である点で、(A)光重合性化合物と相違する。
(D)アルカリ可溶性樹脂(以下、「(D)成分」ともいう。)とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
(D)アルカリ可溶性樹脂は、上述のアルカリ可溶性を示し、且つエチレン性不飽和二重結合のような光重合性の官能基を持たない樹脂であれば特に限定されず、従来公知の樹脂から適宜選択して使用できる。(D)アルカリ可溶性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体であって、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む樹脂が好ましい。以下、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体であって、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む樹脂を(D1)共重合体とも記す。
不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として使用されるエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体に含まれる、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂が所望するアルカリ可溶性を有する限り特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂として使用される樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂の質量に対して、5〜25質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましい。
(D1)共重合体の中では、透明性、製膜性、形成される膜の硬度等のバランスがよいことから、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とを含む単量体の重合体が好ましい。以下、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とを含む単量体の重合体について説明する。
(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上を含む単量体の重合体の調製に用いられる、(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、公知の(メタ)アクリル酸エステルから適宜選択される。
(メタ)アクリル酸エステルの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの詳細については後述する。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上を含む単量体の重合体の調製に使用される単量体は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル以外の他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体を含んでいてもよい。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸以外の他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とを含む単量体の重合体の中では、感光性組成物を用いて形成される膜の透明性や機械的性質の点から、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とからなる単量体の重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体とからなる重合体の中では、感光性組成物を用いて形成される膜の基材への密着性や機械的強度が優れる点から、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。芳香族基を構成する芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。芳香族基を有し、且つエポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
感光性組成物を用いて形成される膜の透明性の観点から、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸は、芳香族基を含まないものが好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とからなる単量体の重合体における、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、樹脂の重量に対して、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とからなる単量体の重合体の中では、感光性組成物を用いて透明性に優れる絶縁膜を形成しやすいことから、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂も好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を有する基は、脂環式炭化水素基を有する基であっても、脂環式エポキシ基を有する基であってもよい。脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式炭化水素基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(d1−1)〜(d1−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(d1−3)〜(a1−8)で表される化合物が好ましく、下記式(d1−3)又は(d1−4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0006401529
Figure 0006401529
上記式中、Rd1は水素原子又はメチル基を示し、Rd2は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rd3は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。Rd2としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rd3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(d2−1)〜(d2−15)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感光性組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(d2−1)〜(d2−5)で表される化合物が好ましく、下記式(d2−1)〜(d2−3)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0006401529
Figure 0006401529
Figure 0006401529
上記式中、Rd4は水素原子又はメチル基を示し、Rd5は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rd6は炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を示し、pは0〜10の整数を示す。Rd5としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rd6としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とからなる単量体の重合体が、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂である場合、樹脂中の脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
また、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とからなる単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。このような樹脂は、基材に対する密着性に優れる。また、このような樹脂を用いる場合、樹脂に含まれるカルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることが可能である。このため、このような樹脂を含む感光性組成物を用いると、膜を加熱する方法等を用いて、カルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることによって、形成された膜の硬度のような機械的物性を向上させることができる。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上とからなる単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
(D1)共重合体の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜200000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
(D)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性組成物の固形分に対して30〜80質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスをとりやすい傾向がある。
<その他の成分>
本発明に係る感光性組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を加えてもよい。具体的には、溶剤、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
本発明に係る感光性組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上述の(A)成分、(B)成分、及び(D)成分に対して優れた溶解性を示すとともに、上述の(C)成分の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤は、感光性組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して、50〜900質量部程度が挙げられる。
本発明に係る感光性組成物に使用される熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系等の化合物を、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン等の化合物を、それぞれ例示できる。
[感光性組成物の調製方法]
本発明に係る感光性組成物は、上記の各成分を全て撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性組成物が均一なものとなるようフィルタを用いて濾過してもよい。
[パターン形成方法]
本発明の感光性組成物を用いてパターンを形成するには、まず、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて、基板上に感光性組成物を塗布する。
次いで、塗布された感光性組成物を乾燥させて塗膜を形成させる。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間乾燥させる方法、(2)室温にて数時間〜数日間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間〜数時間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
次いで、この塗膜に、ネガ型のマスクを介して、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm程度が好ましい。
次いで、露光後の膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。既に説明したように、本発明に係る感光性組成物を使用することにより、現像後に形成されるパターンにおけるアンダーカットが抑制される。そのため、本発明の感光性組成物を使用すれば、例えば表示装置用のカラーフィルタを作製した場合に、各画素の境界部付近に気泡が入ることを抑制できるので、好ましい。
次いで、現像後のパターンに対して200℃〜250℃程度でポストベークを行うことが好ましい。
このようにして形成されたパターンは、例えば、液晶ディスプレイ等のような表示装置におけるカラーフィルタの画素やブラックマトリクスとして好適に用いることができる。このようなカラーフィルタや、当該カラーフィルタの使用された表示装置も本発明の一つである。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、光重合開始剤として、下記のPI−1〜PI−12を用いた。PI〜1〜PI−6は、前述の式(1)で表される構造を有する化合物であり、PI−7〜PI−12は、前述の式(1)で表される構造を有さない化合物である。
Figure 0006401529
Figure 0006401529
上記のPI−1〜PI−6は、下記合成例1〜6に従って合成された。
[合成例1]
(PI−1の合成)
3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール5.00g(16.37mmol)と、3−シクロヘキシルプロピオン酸塩化物3.14g(18.00mmol)とを、塩化アルミニウム2.62gの存在下に、ジクロロメタン溶媒、50ml中で、氷冷下で1時間反応させた。反応混合物を氷水にあけ、有機層を分液した。回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=1/2の溶離液でシリカゲルカラム精製して、3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−6−(3−シクロヘキシルプロピオニル)−9−エチルカルバゾール6.90g(15.55mmol)を得た。3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−6−(3−シクロヘキシルプロピオニル)−9−エチルカルバゾール6.90g(15.55mmol)と、濃塩酸1.60g(15.55mmol)とを、亜硝酸イソブチル2.42g(23.33mmol)の存在下に、ジメチルホルムアミド溶媒、25ml中で、氷冷下で3時間反応させた。反応液をエバポレートし、残渣に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートして、3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−6−(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシイミノプロピオニル)−9−エチルカルバゾール5.51g(11.67mmol)を得た。3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−6−(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシイミノプロピオニル)−9−エチルカルバゾール5.51g(11.67mmol)と、無水酢酸1.43g(13.42mmol)と、トリエチルアミン1.36g(13.42mmol)と、ジメチルホルムアミド溶媒45.00mlとを混合し、35℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液に酢酸エチルを加え、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=2/1の溶離液でシリカゲルカラム精製して、PI−1、5.40g(10.50mmol)を得た。
[合成例2]
(PI−2の合成)
3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール5.00g(16.37mmol)を、3−(フラン−3−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール4.74g(16.37mmol)に変更することの他は、合成例1と同様にして、PI−2、5.15g(10.32mmol)を得た。
[合成例3]
(PI−3の合成)
3−シクロヘキシルプロピオン酸塩化物3.14g(18.00mmol)を、4−シクロペンチルブタン酸塩化物3.14g(18.00mmol)に変更することの他は、合成例1と同様にして、PI−3、5.28g(10.26mmol)を得た。
[合成例4]
(PI−4の合成)
3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール5.00g(16.37mmol)を、3−(フラン−3−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール4.74g(16.37mmol)に変更することと、3−シクロヘキシルプロピオン酸塩化物3.14g(18.00mmol)を、4−シクロペンチルブタン酸塩化物3.14g(18.00mmol)に変更することとの他は、合成例1と同様にして、PI−4、5.17g(10.36mmol)を得た。
[合成例5]
(PI−5の合成)
3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール5.00g(16.37mmol)を、3−ニトロ−9−エチルカルバゾール3.93g(16.37mmol)に変更することの他は、合成例1と同様にして、PI−5、4.85g(10.80mmol)を得た。
[合成例6]
(PI−6の合成)
3−(チオフェン−2−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール5.00g(16.37mmol)を、3−(ナフタレン−1−イルカルボニル)−9−エチルカルバゾール5.72g(16.37mmol)に変更することの他は、合成例1と同様にして、PI−6、6.02g(10.78mmol)を得た。
合成例1〜6で得られた、PI−1〜PI−6のH NMRの測定結果を以下に記す。
(PI−1)
H NMR(CDCl,600MHz,δ in ppm)8.9(s,1H);8.7(s,1H);8.3(d,1H);8.1(d,1H);7.7(dd,2H);7.5(dd,2H);7.2(t,1H);4.4(q,2H);2.8(d,2H);2.3(s,3H);1.6−1.8(m,6H);1.5(t,3H);1.0−1.2(m,5H).
(PI−2)
H NMR(CDCl,600MHz,δ in ppm)9.0(s,1H);8.9(a,1H);8.3(d,1H);8.2(d,1H);7.8(s,1H);7.4(dd,2H);7.3(d,1H);6.6(d,1H);4.4(q,2H);2.8(d,2H);2.3(s,3H);1.6−1.8(m,6H);1.5(t,3H);1.1−1.3(m,5H).
(PI−3)
H NMR(CDCl,600MHz,δ in ppm)8.9(s,1H);8.7(s,1H);8.3(d,1H);8.1(d,1H);7.7(dd,2H);7.5(dd,2H);7.2(t,1H);4.4(q,2H);3.0(t,2H);2.3(s,3H);1.8−1.9(m,3H);1.5−1.6(m,9H);1.1(m,2H).
(PI−4)
H NMR(CDCl,600MHz,δ in ppm)9.0(s,1H);8.9(s,1H);8.3(d,1H);8.2(d,1H);7.8(dd,2H);7.4(dd,2H);7.3(t,1H);6.6(d,1H);4.4(q,2H);3.0(t,2H);2.3(s,3H);1.8−1.9(m,3H);1.5−1.6(m,9H);1.1(m,2H).
(PI−5)
H NMR(CDCl,600MHz,δ in ppm)9.1(s,1H);8.6(s,1H);8.5(d,1H);8.2(d,1H);7.5(m,2H);4.4(q,2H);2.8(d,2H);2.3(s,3H);1.6−1.8(m,6H);1.5(t,3H);1.0−1.2(m,5H).
(PI−6)
H NMR(CDCl,600MHz,δ in ppm)8.7(s,1H);8.5(s,1H);7.9−8.1(m,5H);7.4−7.7(m,6H);4.4(q,2H);2.8(d,2H);2.3(s,3H);1.6−1.8(m,6H);1.5(t,3H);1.0−1.2(m,5H).
[実施例1〜6、及び比較例1〜6]
着色剤を含まない透明な感光性組成物について、以下、実施例1〜6、及び比較例1〜6として評価を行った。
実施例1〜6、及び比較例1〜6では、光重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。また、実施例1〜6、及び比較例1〜6では、アルカリ可溶性樹脂として、質量平均分子量が15,000である下記構造の樹脂を用いた。下記構造中、各構成単位における括弧の右下の数値は、樹脂中の各構成単位の含有量(質量%)を表す。
Figure 0006401529
アルカリ可溶性樹脂59.3質量部と、光重合性化合物40質量部と、表1に記載の種類の光重合開始剤0.7質量部とを、固形分濃度が15質量%となるように、ジエチレングリコールメチルエーテル60質量%と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量%とからなる混合溶剤に均一に溶解させて、実施例1〜6、及び比較例1〜6の感光性組成物を得た。得られた感光性組成物を用いて形成されるパターンについて、直進性、パターン剥がれ、パターンの断面形状(テーパー角)を評価した。また、各実施例及び比較例の感光性組成物の調製に用いた光重合開始剤の、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)に対する溶解性を評価した。これらの評価結果を表1に記す。
<最適露光量>
各実施例及び比較例の感光性組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、プロキシミティ露光機(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、10μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、露光量を15、30、45、60mJ/cmの4段階に変化させて紫外線を塗膜に照射した。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。各露光量ごとに、形成されたラインパターンの寸法を測定し、露光量と形成されたラインの幅との関係から、幅10μmのラインを有するパターンを形成するために必要な最適露光量を求めた。
<パターン直進性評価>
各実施例及び比較例の感光性組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、プロキシミティ露光機(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、10μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、15、30、45、60mJ/cmの4段階とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「○」、がたつきがあるものを「×」として評価した。
<パターン密着性評価>
パターン直性の評価において形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「○」、ラインパターンにパターン欠けが発生しているものを「×」として評価した。
<パターンの断面形状(テーパー角)評価>
パターン直進性評価と同様にして、ガラス基板(10cm×10cm)上に膜厚1.0μmの感光性組成物の塗膜を形成させた。その後、プロキシミティ露光機(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、10μmのパターンの形成されたネガ型マスクを介して、露光量4045mJ/cmで塗膜を露光した。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で50秒間現像後、230℃にて30分間焼成処理を行い、走査型電子顕微鏡にてパターンと基板との間の接合角度(テーパー角)を測定した。
このテーパー角は、図1(a)及び(b)における角θに対応する。テーパー角が鋭角であれば、パターンにアンダーカットが存在しないことを意味し、テーパー角が鈍角であれば、パターンにアンダーカットが存在することを意味する。
測定されたテーパー角に基づいて、以下の基準に従って、パターンの断面形状を評価した。
◎:70°以上85°以下
○:85°超90°以下
△:90°超100°以下
×:100°超
<プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)溶解性>
安全であって、使用に規制がないことから、カラーフィルタを製造するためのあるいはLCDの製造工程において構造を形成するための材料の溶剤としてPMが汎用されている。このため、フォトレジスト材料に添加する光重合開始剤について、PMに良好に溶解することが望まれる。
このため、光重合開始剤のPMに対する溶解性を以下の方法に従って評価した。
23℃条件にて光重合開始剤の紛体1gに対して、光重合開始剤を完全に溶解させない範囲の任意の量のPM溶剤を添加し、5分間撹拌を行った。撹拌後の液を静置した後上澄み液について光重合開始剤の濃度を測定した。測定された、上澄み液中の光重合開始剤の濃度に基づいて、以下の基準に従って、光重合開始剤のPM溶解性を評価した。
◎:6質量%超
○:3質量%超6質量%以下
△:1質量%超3質量%以下
×:1質量%以下
Figure 0006401529
実施例1〜6によれば、光重合性化合物と、前述の式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤とを含む感光性組成物を用いる場合、直進性及び基板への密着性に優れ、且つアンダーカットの抑制されたパターンを、低露光量で形成できることが分かる。
比較例1〜6によれば、光重合性化合物と、前述の式(1)以外の構造の光重合開始剤とを含む感光性組成物を用いる場合、直進性及び基板への密着性に優れるパターンを低露光量で形成しにくく、形成されたパターンにおけるアンダーカットも生じやすいことが分かる。
[実施例7〜12、及び比較例7〜12]
着色剤を含む感光性組成物について、以下、実施例7〜12、及び比較例7〜12として評価を行った。
実施例7〜12、及び比較例7〜12では、光重合性化合物として、下記合成例7で得られた、樹脂Aと、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとを用いた。また、実施例7〜12、及び比較例7〜12では、着色剤として、カーボンブラック分散液(固形分濃度50質量%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)を用いた。
[合成例7]
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
Figure 0006401529
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂Aを得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂Aは、上記式(a−1)で表される樹脂に相当する。
上記樹脂A30質量部と、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート17質量部と、表1に記載の種類の光重合開始剤3質量部とを、カーボンブラック分散液50質量部とを、固形分濃度が15質量%となるように、3−メトキシブチルアセテート60質量%と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量%と、シクロヘキサノン20質量%とからなる混合溶剤に均一に溶解・分散させて、実施例7〜12、及び比較例7〜12の感光性組成物を得た。得られた感光性組成物を用いて形成されるパターンについて、実施例1〜6、及び比較例1〜6と同様にして、直進性、パターン剥がれ、パターンの断面形状(テーパー角)を評価した。これらの評価結果を表1に記す。
Figure 0006401529
実施例7〜12によれば、光重合性化合物と、前述の式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、着色剤とを含む感光性組成物を用いる場合、直進性及び基板への密着性に優れ、且つアンダーカットの抑制されたパターンを、低露光量で形成できることが分かる。
比較例7〜12によれば、光重合性化合物と、前述の式(1)以外の構造の光重合開始剤と、着色剤とを含む感光性組成物を用いる場合、直進性及び基板への密着性に優れるパターンを低露光量で形成しにくく、形成されたパターンにおけるアンダーカットも生じやすいことが分かる。
1 アンダーカットが存在しないパターンにおける幅方向の断面
2 アンダーカットが存在するパターンにおける幅方向の断面

Claims (6)

  1. (A)光重合性化合物、及び(B)下記式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤を含み、
    前記(A)光重合性化合物が、下記式(a1)で表される化合物を含む、
    感光性組成物。
    Figure 0006401529
    (上記式(1)中、lは1〜5の整数であり、mは0〜(l+3)の整数であり、nは1〜8の整数であり、Rは、炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、Rは下記式(2)〜(5)で表される置換基のいずれかであり、Rはアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
    Figure 0006401529
    Figure 0006401529
    (上記式(a1)中、Xは、下記式(a2)で表される基を表す。また、上記式(a1)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を表す。また、上記式(a1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を表す。また、上記式(a1)中、mは、0〜20の整数を表す。)
    Figure 0006401529
    (上記式(a2)中、R 1a は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、R 2a は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Wは、単結合又は下記式(a3)で表される基を表す。)
    Figure 0006401529
  2. (A)光重合性化合物、(B)下記式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤、及び、(D)アルカリ可溶性樹脂を含み、前記(D)アルカリ可溶性樹脂が、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つを含む単量体の重合体を含む、感光性組成物。
    Figure 0006401529
    (上記式(1)中、lは1〜5の整数であり、mは0〜(l+3)の整数であり、nは1〜8の整数であり、R は、炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、R は下記式(2)〜(5)で表される置換基のいずれかであり、R はアルキル基であり、R は水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
    Figure 0006401529
  3. さらに着色剤(C)を含む請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  4. 前記着色剤が遮光剤である請求項に記載の感光性組成物。
  5. 請求項又はに記載の感光性組成物を用いて形成されたカラーフィルタ。
  6. 請求項に記載のカラーフィルタが使用された表示装置。
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