JP6398732B2 - 水性顔料分散体、及びインクジェット記録用水性インク - Google Patents

水性顔料分散体、及びインクジェット記録用水性インク Download PDF

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Description

本発明は水性顔料分散体及びインクジェット記録用水性インクに関する。
インクジェット記録方式は、家庭用からオフィス用、写真用、屋外用へと用途が拡大傾向にあり、印字物の耐候(光)性・保存性が重視されるようになっている。これまでインクジェット記録用着色剤として中心的存在であった染料では、耐光性という点では課題が多く、それに伴い、耐光性に優れた顔料によるインクジェット記録用水性インクの開発が進められている。
顔料は水不溶性であるために、水性媒体に安定して分散させるための手法が必要となる。従来これらの手法としては、一部の酸基が塩基で中和されてなる自己水分散性樹脂例えば(メタ)アクリル酸基の一部が中和されたスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体で顔料を内包し、それを分散させたものを水性媒体に希釈する方法等が知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながらこれらアクリル系の顔料分散剤を使用した顔料分散体は、体積平均粒径が増大することがあった。
前記体積平均粒径の増大は、塗装や印刷時には均一な塗膜面の形成を阻害し、一方インクジェット記録用インクのようにインクをノズルから吐出し印字する方法においては、インクジェットヘッドのノズル目詰まりを引き起こす。特に近年のインクジェットプリンタの高解像度化に伴いインクジェットヘッドのノズルの高密度化及び液滴の微細化、即ちインクを吐出するノズル径の微細化、高集積化が進んでいる(例えば特許文献2参照)。ノズル径の微細化が進むと許容できる異物の大きさも小さくなるため、ノズルの目詰まりが増加し、即ち従来のインクジェットプリンタに適用できていたインクが、新たに開発された高解像度のインクジェットヘッドを搭載したプリンタには使用できないという問題が生じる。
一方、ウレタンポリマーを顔料分散剤として使用する例も知られている。例えば特許文献3では、ポリ(オキシテトラメチレン)構造を有する酸価40〜90のポリエーテル系ウレタンポリマーを顔料分散剤として使用する旨が記載されている。しかし該方法であっても、時として体積平均粒径の増大が生じる場合があった。
特開2007−238949号公報 特開2013−993号公報 特開2005−290044号公報
本発明の課題は、高解像度のインクジェットヘッドを搭載したプリンタにも適用可能な、体積平均粒径が小さく吐出安定性に優れたインクジェット記録用インクを与える水性顔料分散体、及びそれを使用したインクジェット記録用水性インクを提供することにある。
本発明者らは、顔料分散剤として使用する自己水分散性樹脂の、顔料への吸着の度合が、体積平均粒径に直接関係していると推定し鋭意検討した結果、顔料として黒顔料であるカーボンブラックを使用した場合では、使用するウレタンポリマーは、1H-NMRの測定により得られるウレタン結合由来のピーク面積(A1)から算出された(吸着を示す)値が、特定の範囲であるときに、体積平均粒径が増大せず吐出安定性に優れたインクジェット記録用インクが得られることを見出した。
即ち本発明は、カーボンブラック顔料と、アニオン性基含有ウレタンポリマーと、水溶性溶媒及び/または水とを含有し、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーが、
アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液(A)のH−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(A1)と、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液に顔料をアニオン性基含有ウレタンポリマーの重量/顔料の重量が1/4となるように混合した溶液(B)の、H−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(B1)とが、式(1)の関係を満たす水性顔料分散体を提供する。
Figure 0006398732
(1)
また本発明は、前記記載の水性顔料分散体を使用するインクジェット記録用水性インクを提供する。
本発明により、体積平均粒径が小さく、吐出安定性に優れた水性顔料分散体、及びそれを使用したインクジェット記録用水性インクを得ることができる。
(カーボンブラック顔料)
本発明で使用するカーボンブラック顔料は、特に限定なく公知のコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の方法によって製造された、顔料として使用されているカーボンブラックを使用することができる。例えば三菱化学社製の#2600シリーズ、#2300シリーズ、#1000シリーズ、#900シリーズ、MAシリーズ、オリオンエンジニアドカーボンズ社製のCOLOR−BLACKシリーズ、SPESIAL−BLACKシリーズ、PRINTEXシリーズ、HIBLACKシリーズ、NEROXシリーズ、NIPexシリーズ、旭カーボン社製のSUNBLACKシリーズ、#70シリーズ、#80シリーズ、東海カーボン社製のトーカブラック#7000シリーズ、#8000シリーズ、などが挙げられる。
(アニオン性基含有ウレタンポリマー)
本発明で使用する前記アニオン性基含有ウレタンポリマーは、アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液(A)のH−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(A1)と、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液に顔料をアニオン性基含有ウレタンポリマーの重量/顔料の重量が1/4となるように混合した溶液(B)の、H−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(B1)とが、式(1)の関係を満たすを満たすアニオン性基含有ウレタンポリマーである。
Figure 0006398732
(1)
以後、「アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液(A)のH−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(A1)」を、「ピーク面積(A1)」と称し、「アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液に顔料をアニオン性基含有ウレタンポリマーの重量/顔料の重量が1/4となるように混合した溶液(B)のH−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(B1)」を、「ピーク面積(B1)」と称する。
(NMR法によるピーク面積(B1)の面積の関係式)
本願において、前記式(1)は、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの顔料への吸着の度合いを数値化したものである。
一般に、溶液中に存在する化合物の含有量は、H−NMRの測定により得られる該化合物に特徴的なピークの面積比から正確に導き出すことが可能であり、これは一般的な方法である。
前記ピークは、水溶液中に、ウレタンポリマーがフリーポリマーとして存在する時に観察され、一方、顔料等にウレタンポリマーが吸着した場合は観察されない。即ちピーク面積の減少率が、ウレタンポリマーのウレタン基の、顔料に対する吸着率と一致すると推定される。
本発明における、前記式(1)とは、アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液中の、顔料に吸着されたアニオン性基含有ウレタンポリマーの重量/アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液を、H−NMRのピーク面積比で表したものである。
本発明における、H−NMRの測定条件は以下の通りである。
[装置条件例]
装置:JEOL社製 JNM−LA300核磁気共鳴装置
測定法:シングルパルス法
フリップ角:45度
繰返し時間:7秒
測定温度:25℃
[スペクトル解析例]
フーリエ変換後のスペクトルにおいて、水由来のピークを4.65ppmとし、各ピークのケミカルシフト値および積分値を求める。ピーク面積比は、水由来のピークを1とし、樹脂由来のピーク面積比を求める。
[試料調製]
試料は、不揮発分20%のアニオン性基含有ウレタンポリマー溶液 250mgを取り、そこへ重水を加え5.00gとしアニオン性基含有ウレタンポリマーの10mg/gの樹脂基準溶液(水溶液(A))を調製する。一方、顔料40mgを取り、そこへ先に調製した10mg/gの樹脂水溶液(水溶液(A))1gを加え、撹拌し24時間静置しR/P=1/4の試料溶液(水溶液(B))とする。
このように調製した水溶液(A)と水溶液(B)について、前記条件でH−NMRを測定し、データ解析を行い、各々得られたウレタン結合由来のピーク面積(A1)とピーク面積(B1)とから、前記式(1)の値を算出した。
本発明においては、前記式(1)の値が10%より大きいことが好ましい。この理由としては推定ではあるが、顔料への樹脂の吸着率が高いことで、樹脂同士の静電反発や立体障害により、顔料粒子同士が凝集しにくくなるためと考えられる。中でも、30%より大きいことがなお好ましい。
(アニオン性基含有ウレタンポリマーの具体的構造)
前記アニオン性基含有ウレタンポリマーは、具体的には、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等のアニオン性基を有するウレタンポリマーである。
このようなウレタンポリマーは、例えば、ジイソシアネート化合物と、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、ポリカーボネートジオール類などのジオール化合物と、カルボン酸基、スルホン酸基などのアニオン性基含有ジオールとを反応して得られる水溶性ないしは水分散性の各種のポリウレタン系樹脂(脂肪族系ウレタン樹脂、芳香族系ウレタン樹脂、エステル系ウレタンポリマー、エーテル系ウレタンポリマー、カーボネート系ウレタンポリマーなど)が挙げられる。中でも、顔料との親和性やインクとしたときの諸物性等から、エーテル系ウレタンポリマーが好ましく、エーテル系としてポリオキシアルキレン構造を有することが加水分解安定性の点から好ましい。
上記のジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらジイソシアネートの変性物(カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変成物など)等が挙げられる。
上記のジオール化合物とは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテルジオール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート等のポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
中でもポリプロピレン構造やポリオキシテトラメチレン構造を有するジオール化合物を使用することが好ましい。該化合物は、アニオン性基含有ウレタンポリマー中にポリプロピレン構造やポリオキシテトラメチレン構造が30〜90重量%の割合で存在するように反応させることが好ましい。
上記のアニオン基含有ジオールとしては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などが挙げられる。特にジメチロールプロピオン酸が好ましい。
前記アニオン性基含有ウレタンポリマーは、一度に全ての原料を仕込んで反応させてもよく、あるいは一部のイソシアネートとポリオールとを反応させウレタンプレポリマーを得た後ポリオール等を反応させるプレポリマー法によって合成してもよい。その際、低分子量のポリヒドロキシ化合物を使用してもよい。低分子量のポリヒドロキシ化合物としては、上記のポリエステルジオールの原料として挙げたグリコール及びアルキレンオキシド低モル付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、そのアルキレンオキシド低モル付加物などが挙げられる。
また、ウレタンプレポリマーは、ジメチロールアルカン酸に由来する酸基を中和した後または中和しながら水延長またはジ若しくはトリアミン延長することが出来る。アミン延長の際に使用するポリアミンとしては、通常ジアミン又はトリアミンが挙げられる。また、その具体例としてはヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン等が挙げられる。上記の中和の際に使用する塩基としては、例えば、ブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア、水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
また、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーは、直鎖状(リニアー)であることが着色画像の皮膜物性の観点からは好ましいが、直鎖状ウレタンポリマーであることの特徴を損なわない範囲において、必要に応じて、前記した原料に加えて、3官能以上の活性水素化合物や3官能以上の有機ポリイソシアネート化合物を適宜併用して、3次元網目構造を有するウレタンポリマーを、直鎖状のウレタンポリマーに極少量含有させても良い。
また、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの重量平均分子量は5000〜80000が好ましく、10000〜50000がなお好ましく、15000〜30000の範囲が最も好ましい。重量平均分子量が5000に満たない場合、未反応成分などが残存し組成が不均一となり分散安定性が低下するおそれがある。重量平均分子量が80000を超える場合は、水溶性が低下し分散性が低下するおそれがある。
重量平均分子量は、前記アクリル系樹脂と同様に、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)によって測定されるポリスチレン換算の値とする。
またウレタンポリマーの酸価は、20〜100mgKOH/gが好ましく、さらに好ましくは 40〜80mgKOHである。発明におけるポリマーの酸価は、JIS試験方法K 0070−1992に準拠して測定した酸価とした。
(塩基性化合物)
前記アニオン性基含有ウレタンポリマーのアニオン性基は、塩基性化合物で中和して使用してもよく好ましい。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属類、およびジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどが挙げられる。これらの塩を形成するための化合物の使用量は、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの酸価に基づき、中和率として20〜200%となる範囲であることが好ましい。
前記中和率として20%以上であると、水溶性溶媒及び/または水中に、アニオン性基含有ウレタンポリマーをより安定に乳化又は懸濁化することができる。また100%以上の塩基を加えた場合多くのアニオン性基含有ウレタンポリマーが水性媒体中に溶解するが、低い酸価のポリマーや高分子量のポリマー等では、完全に溶解せずに乳化又は懸濁化状態を保つものもあり、このようなポリマーの場合、100%以上の中和率に相当する塩基を添加することができる。
一方、長期保存時におけるゲル化を防ぐ目的や、得られる印字物の耐水性の予期せぬ低下を防ぐ観点から、中和率は200%以下とすることが好ましい。
なお本発明において、中和率は、塩基性化合物の配合量が前記ポリマー中の全てのアニオン性基の中和に必要な量に対して何%かを示す数値であり、以下の式で計算される。
Figure 0006398732

(水溶性溶媒及び/または水)
本発明で使用する水溶性溶媒及び/または水は、水単独で使用してもよいし、水と水溶性溶媒からなる混合溶媒でもよい。水溶性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素数が3〜6のケトン及び炭素数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。
また、その他、水性に溶解しうる水溶性有機溶剤も使用することができる。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらと同族のジオールなどのジオール類;ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシルの各エーテル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコールなどのアルコール類;あるいは、スルホラン;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類;グリセリンおよびその誘導体など、水溶性有機溶剤として知られる他の各種の溶剤などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
中でも、高沸点、低揮発性で、高表面張力のグリコール類やジオール類等多価アルコール類が好ましく、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類が好ましい。
(水性顔料分散体の製造方法)
本発明においては、顔料分散剤として前記アニオン性基含有ウレタンポリマーを使用する以外は特に限定なく公知の方法で水性顔料分散体を製造することができる。
通常は、前記アニオン性基含有ウレタンポリマー、前記顔料、水溶性溶媒及び/または水、必要に応じて前記アニオン性基含有ウレタンポリマーを中和する塩基性物質、所望の物性に必要な添加剤を、公知慣用の混合機あるいは分散機を使用して水性顔料分散体を得ることができる。
なお本発明において、水性顔料分散体とは、インク化する前のいわゆるミルベースと称される、顔料が高濃度に分散された水性顔料分散体を指す。
水性顔料分散体の顔料濃度は通常10〜50質量%となるように調整してある。これを使用してインク化する際は、所望するインク用途や物性に応じて、適宜水溶性溶媒及び/または水、あるいは添加剤を添加して、顔料濃度を0.1〜20質量%となるように希釈するのみで、インクを得ることができる。
水性顔料分散体の製造方法に特に限定はなく、公知の方法を使用すればよい。例えば、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーと、顔料と、有機溶剤との混合体を有機相とし、塩基性化合物を溶解させた水性媒体中に該有機相を投入するか、あるいは、該有機相に塩基性化合物を混合した後、水を投入するかして、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーのカルボキシル基を中和させて自己分散化させて、顔料を芯材とし前記アニオン性基含有ウレタンポリマーを壁材とする、いわゆる転送乳化法や、
前記アニオン性基含有ウレタンポリマーのカルボキシル基の一部又はすべてを塩基性化合物でもって中和し、顔料と水性媒体中で混練する工程、及び、塩酸等の酸性化合物でpHを中性又は酸性にして前記アニオン性基含有ウレタンポリマーを析出させて顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、乾燥させることなく、塩基性化合物を用いてカルボキシル基の一部又はすべてを中和させることで、顔料を前記アニオン性基含有ウレタンポリマーで被覆する酸析法や、
顔料と前記アニオン性基含有ウレタンポリマーを、撹拌機または混練機にて混合・混練することで、顔料を前記アニオン性基含有ウレタンポリマーで被覆する方法、等があげられる。
また、この時使用する攪拌・分散装置としては、特に限定はなく公知の分散装置を用いることが出来、ペイントシェーカー、ビーズミル、ロールミル、サンドミル、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル、ジュースミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機、ニーダー、プラネタリーミキサーなどがあげられる。
(インクジェット記録用水性インク)
本発明の水性顔料分散体は、所望の濃度に希釈して、自動車や建材用の塗料分野や、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ等の印刷インキ分野、あるいはインクジェット記録用インク分野等様々な用途に使用することができる。なかでも、粗大粒子が低減されていることから、インクジェット記録用インクとして特に好ましく使用できる。
本発明の水性顔料分散体をインクジェット記録用インクに適用する場合は、更に水溶性溶媒及び/または水、バインダー樹脂等を加え、所望の物性に必要に応じて湿潤剤(乾燥抑止剤)、浸透剤、あるいはその他の添加剤を添加して調製する。
インクの調整後に、遠心分離あるいは濾過処理工程を加えてもよい。
(湿潤剤)
前記湿潤剤は、インクの乾燥防止を目的として添加する。乾燥防止を目的とする湿潤剤のインク中の含有量は3〜50質量%であることが好ましい。
本発明で使用する湿潤剤としては特に限定はないが、水との混和性がありインクジェットプリンターのヘッドの目詰まり防止効果が得られるものが好ましい。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、等が挙げられる。中でも、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールを含むことが安全性を有し、かつインク乾燥性、吐出性能に優れた効果が見られる。
(浸透剤)
前記浸透剤は、被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として添加する。浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。インク中の浸透剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
(界面活性剤)
前記界面活性剤は、表面張力等のインク特性を調整するために添加する。このために添加することのできる界面活性剤は特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、又2種類以上を混合して用いることもできる。また、界面活性剤の溶解安定性等を考慮すると、そのHLBは、7〜20の範囲であることが好ましい。界面活性剤を添加する場合は、その添加量はインクの全質量に対し、0.001〜2質量%の範囲が好ましく、0.001〜1.5質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%の範囲であることがさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.001質量%未満の場合は、界面活性剤添加の効果が得られない傾向にあり、2質量%を超えて用いると、画像が滲むなどの問題を生じやすくなる。
また、必要に応じて防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
前記インクジェット記録用インクに占める顔料量は、充分な画像濃度を得る必要性と、インク中での顔料の分散安定性を確保するために、10〜30質量%であることが好ましい。
(記録媒体)
インクジェット記録用インクの記録媒体としては特に限定はなく、複写機で一般的に使用されているコピー用紙(PPC紙)等の吸収性の記録媒体、インクの吸収層を有する記録媒体、インクの吸収性を有しない非吸水性の記録媒体、インクの吸水性の低い難吸収性の記録媒体などがありうる。本発明のインクジェット記録用インクは、特に吸収層を有する記録媒体、非吸水性の記録媒体、難吸収性の記録媒体に記録した際に、発色性が良好という特徴も有する。
吸収性の記録媒体の例としては、例えば普通紙、布帛、ダンボール、木材等があげられる。また吸収層を有する記録媒体の例としては、インクジェット専用紙等があげられ、この具体例としては、例えば、株式会社ピクトリコのピクトリコプロ・フォトペーパー等が挙げられる。
インクの吸収性を有しない非吸水性の記録媒体の例には、例えば食品用の包装材料に使用されているもの等を使用することができ、公知のプラスチックフィルムが使用できる。具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ナイロン等のポリアミド系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリ乳酸フィルム等の生分解性フィルム等が挙げられる。特にポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミド系フィルムが好ましく、さらにポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロンが好ましい。またバリア性を付与するためのポリ塩化ビニリデン等のコーティングをした上記フィルムでもよいし、必要に応じてアルミニウム等の金属、あるいはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムを併用してもよい。
前記プラスチックフィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、1軸もしくは2軸方向に延伸されたものが好ましい。さらにフィルムの表面は、未処理であってもよいが、コロナ放電処理、オゾン処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理等、接着性を向上させるための各種処理を施したものが好ましい。
前記プラスチックフィルムの膜厚は用途に応じて適宜変更されるが、例えば軟包装用途である場合は、柔軟性と耐久性、耐カール性を有しているものとして、膜厚が10μm〜100μmであることが好ましい。より好ましくは10μm〜30μmである。この具体例としては、東洋紡株式会社のパイレンなどが挙げられる。
インクの吸水性の低い難吸収性の記録媒体には、印刷本紙などのアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などが使用できる。これら難吸収性の記録媒体は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものであり、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の例において「部」及び「%」は特に断りがない限り質量基準である。
<合成例1>
(酸基含有ポリエーテル系ウレタンポリマーの合成)
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた4つ口フラスコに、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール(以後、PPG2000と略す)を9部、イソホロンジイソシアネート(以後、IPDIと略す)を52部仕込み、窒素ガス雰囲気下100℃で2時間反応させた。その後65℃以下に冷却しジメチロールプロピオン酸(以後、DMPAと略す)33部、ネオペンチルグリコール(以後、NPGと略す)3部、1,6−ヘキサンジオール(以後、HDと略す)2部およびジブチル錫ジラウレート(以後、DBTDLと略す)を0.1部仕込み、メチルエチルケトン(以後、MEKと略す)34部を添加し、80℃で6時間反応させた後、MEK16部、メタノールを加えて反応を停止し、酸価54.3、ポリスチレン換算で重量平均分子量15,498の直鎖状のカルボン酸基含有ポリエーテル系ウレタンポリマーを得た。このポリエーテル系ウレタンポリマーは、ポリプロピレン構造を52.1%含有し、NPG(分岐構造を有する低分子ジオール)とIPDIとの重付加反応構造を含有していた。
<合成例2〜3および比較合成例1>
使用する触媒、原料モノマーを、表1のようにした以外は合成例1と同様の方法で、ウレタンポリマー(P−2)、(P−3)および(H−1)を得た。
なお、ウレタンポリマー(P−1)〜(H−1)の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されるポリスチレン換算の値とした。また酸価は次のように測定した。
(酸価)
JIS試験方法K 0070−1992に準拠して、メタノールとトルエンの混合溶媒に試料0.1gを溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1M水酸化カリウムアルコール溶液で滴定することにより求めた。
Figure 0006398732

表1中、DBTDLはジブチル錫ジラウレートであり、IPDIはイソホロンジイソシアネートであり、TDIはトリレンジイソシアネートであり、PPG2000、PPG1000はそれぞれ数平均分子量2,000、1,000のポリプロピレングリコールであり、PTMG2000はそれぞれ数平均分子量2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールであり、DMPAはジメチロールプロピオン酸であり、NPGはネオペンチルグリコールであり、HDは1,6−ヘキサンジオールである。
<実施例1>
カーボンブラック顔料(三菱カーボンブラック#995B:PB7)50部、アニオン性基含有ウレタンポリマー(P−1)35部を0.2Lの常圧ニーダー(株式会社アドバンス製)に仕込み、ジャケット温度を80℃(羽回転数:40rpm)で混合した。その後、トリエチレングリコール25部、34%水酸化カリウム水溶液6部を添加し、1時間混練を行った。
続いて、容器内の混練物に、撹拌を継続しながらイオン交換水150部を徐々に加えた後、トリエチレングリコール15部、イオン交換水53部の混合液を加え混合し、水性顔料分散体(1)を得た。
水性顔料分散体(1)の固形分濃度は26.1%、顔料濃度は15.0%であった。
<実施例2>
カーボンブラック顔料(三菱カーボンブラック#995B:PB7)50部、アニオン性基含有ウレタンポリマー(P−2)35部を0.2Lの常圧ニーダー(株式会社アドバンス製)に仕込み、ジャケット温度を80℃(羽回転数:40rpm)で混合した。その後、トリエチレングリコール25部、34%水酸化カリウム水溶液6部を添加し、1時間混練を行った。
続いて、容器内の混練物に、撹拌を継続しながらイオン交換水150部を徐々に加えた後、トリエチレングリコール15部、イオン交換水53部の混合液を加え混合し、水性顔料分散体(2)を得た。
水性顔料分散体(2)の固形分濃度は26.1%、顔料濃度は15.0%であった。
<実施例3>
カーボンブラック顔料(三菱カーボンブラック#995B:PB7)50部、アニオン性基含有ウレタンポリマー(P−2)35部を0.2Lの常圧ニーダー(株式会社アドバンス製)に仕込み、ジャケット温度を80℃(羽回転数:40rpm)で混合した。その後、トリエチレングリコール25部、34%水酸化カリウム水溶液6部を添加し、1時間混練を行った。
続いて、容器内の混練物に、撹拌を継続しながらイオン交換水150部を徐々に加えた後、トリエチレングリコール15部、イオン交換水53部の混合液を加え混合し、水性顔料分散体(3)を得た。
水性顔料分散体(3)の固形分濃度は26.1%、顔料濃度は15.0%であった。
<比較例1>
カーボンブラック顔料(三菱カーボンブラック#995B:PB7)50部、アニオン性基含有ウレタンポリマー(H−1)35部を0.2Lの常圧ニーダー(株式会社アドバンス製)に仕込み、ジャケット温度を80℃(羽回転数:40rpm)で混合した。その後、トリエチレングリコール25部、34%水酸化カリウム水溶液6部を添加し、1時間混練を行った。
続いて、容器内の混練物に、撹拌を継続しながらイオン交換水150部を徐々に加えた後、トリエチレングリコール15部、イオン交換水53部の混合液を加え混合し、水性顔料分散体(H1)を得た。
水性顔料分散体(H1)の固形分濃度は26.1%、顔料濃度は15.0%であった。
実施例、比較例で得た水性顔料分散体は、以下の評価を行った。
H−NMR測定方法)
実施例1で得た水性顔料分散体(1)で使用したアニオン性基含有ウレタンポリマー(P−1)の不揮発分20%の水溶液 250mgを調整した。これに重水を加え5.00gとしアニオン性基含有ウレタンポリマー(P−1)の10mg/gの樹脂基準溶液(水溶液(A))を調製した。
一方、実施例1で使用したカーボンブラック顔料(三菱カーボンブラック#995B:PB7)40mgを取り、そこへ先に調製した10mg/gのアニオン性基含有ウレタンポリマー(P−1)の水溶液1gを加え、撹拌し24時間静置しR/P=1/4の試料溶液(水溶液(B))とした。
調製した、樹脂基準溶液(水溶液(A))および顔料と混合した試料溶液(水溶液(B))について、以下の条件でH−NMRスペクトル(装置:JEOL社製 JNM−LA300核磁気共鳴装置、測定法:シングルパルス法、フリップ角:45度、繰返し時間:7秒、測定温度:25℃)を測定し、データ解析を行った。
フーリエ変換後のスペクトルにおいて、水由来のピークを4.65ppmとし、各ピークのケミカルシフト値および積分値を求める。ピーク面積比は、水由来のピークを1とし、4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積比を求める。
樹脂基準溶液(水溶液(A))のピーク面積(A1)と、顔料と混合した試料溶液(水溶液(B))のピーク面積(B1)とを、関係式(1−(B1)/(A1))×100% に挿入し、顔料添加によるポリマーのNMRピーク面積変化(%)を求めた。
(体積平均粒径(nm))
実施例、比較例で作成した水性顔料分散体を5000倍に希釈し、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)で測定を行った。測定値は3度測定した平均値を取った。
(60℃2週間での安定性試験)
実施例、比較例で作成した水性顔料分散体を60℃で2週間加温した後、サンプルの体積平均粒径と粘度とを測定した。該安定性試験前後の体積平均粒径および粘度の変化率が±5%以内のものを○、5〜10%のものを△、10%以上変化したものを×として評価を行った。
(インク調製、吐出試験、印字濃度試験)
インクジェット記録用水性インクの吐出性および印刷物の印字濃度を測定するために、実施例および比較例で作成した水性顔料分散体を用いて、評価用インクジェット記録用水性インクを作成した。該インクは、顔料濃度が5質量%となるように調製した。
水性顔料分散体は最終的な顔料濃度が5質量%となるように、全量が100部の以下の配合において、各実施例、比較例における水性顔料分散体の顔料濃度に合わせて調整した。
水性顔料分散体 33部 (顔料濃度5%)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8部
2−ピロリドン 8部
グリセリン 3部
サーフィノール440(エアープロダクツジャパン製) 0.5部
純水 残量(インク全量として100部となるように適宜調整)
(吐出性・発色性)
前記得られたインクジェット記録用インクをインクジェットプリンター(EPSON社製EM−930C)を用い、吐出試験及び発色性試験を行った。
インクをカートリッジに充填後ノズルチェックパターンを印刷した。更に単色モードで、「ピクトリコプロ・フォトペーパー」(株式会社ピクトリコ製)、並びに「OKトップコート+」(王子製紙株式会社製)にA4用紙1枚の340cmの範囲に印刷濃度設定100%の印刷をした後に、再度ノズルチェックテストパターンを印刷し、試験前後のノズルの状態を比較し、ノズル欠けが増加するかどうかをチェックし、吐出性の評価とした。
発色性については、「ピクトリコプロ・フォトペーパー(株式会社ピクトリコ製)」に印刷濃度100%で印刷した印刷面の濃度を、「SpectroScan」(X-Rite社製)で測定し、発色性の評価とした。結果を表に示す。
Figure 0006398732

表2中、PB7はカーボンブラック顔料を表す。
この結果、実施例1〜3の水性顔料分散体は、アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液(A)のピーク面積(A1)と、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液に顔料をアニオン性基含有ウレタンポリマーの重量/顔料の重量が1/4となるように混合した溶液(B)の、ピーク面積(B1)とが、
Figure 0006398732
(1)
の関係を満たす分散樹脂を使用しており、体積平均粒径が小さく吐出安定性に優れたインクが得られた。
一方、比較例1の水性顔料分散体は、前記式(1)において値が7%であり、該水性顔料分散体を使用したインクは良好な吐出性が得られなかった。

Claims (3)

  1. カーボンブラック顔料と、アニオン性基含有ウレタンポリマーと、水溶性溶媒及び/または水とを含有し、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーが、
    アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液(A)のH−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(A1)と、前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの1重量%水溶液に顔料をアニオン性基含有ウレタンポリマーの重量/顔料の重量が1/4となるように混合した溶液(B)の、H−NMRの測定により得られた4.0ppm付近に観察されるウレタン結合に隣接したメチレンに由来するピーク面積(B1)とが、式(1)の関係を満たすことを特徴とする水性顔料分散体。
    39%>((1−(B1)/(A1))×100%)>10% (1)
  2. 前記アニオン性基含有ウレタンポリマーの重量平均分子量が5000〜80000の範囲であり、ポリオキシアルキレン構造を有する請求項1に記載の水性顔料分散体。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の水性顔料分散体を使用することを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
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