JP6395301B2 - テスト用フレキソ印刷版とその製造方法、および液晶表示素子の製造方法 - Google Patents
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Description
フレキソ印刷法には、柔軟な樹脂のシートからなり、その片面が液晶配向膜等のもとになるインキを担持した状態で上記電極形成面等の被印刷面に接触して、かかるインキを上記被印刷面に転写させる面、すなわち版表面とされたフレキソ印刷版が用いられる。
また単なる粗面ではなく、所定の平面形状を有する微小な凸部を規則的に配列するとともに、その凸部の配列間隔を印刷領域ごとに違えたり、凸部の面積を違えたりするといった工夫がされる場合もある(特許文献1、2等参照)。
すなわち版表面の粗面の状態を規定する、平面に対する比表面積の異なる複数のサンプルのフレキソ印刷版を作製し、それぞれのフレキソ印刷版を用いてテスト印刷を繰り返して最適な比表面積を有するフレキソ印刷版を選定するのであるが、
(1) 1枚造るだけでも多大なエネルギー、時間およびコストを要するフレキソ印刷版を複数枚用意しなければならない上、
(2) 例えば2つのサンプルのフレキソ印刷版の間に比表面積の適正値があることが判った場合には、比表面積を決定するためさらにサンプルのフレキソ印刷版を新たに作って再テストをしなければならずより一層エネルギー、時間およびコストが嵩む、
といった問題がある。
また本発明は、前記テスト用フレキソ印刷版のもとになる感光性樹脂組成物の層の片面を、前記感光性樹脂組成物を硬化反応させることができる活性光線に対する透過性を有する材料からなり片面が前記フレキソ印刷版の版表面に対応した、平面に対する比表面積が連続的に変化された粗面状の型面とされた粗面化シートの前記型面に接触させた状態で、前記層を前記粗面化シートを通して前記活性光線の照射によって硬化反応させたのち前記型面から剥離することにより、前記層の片面を粗面化された版表面とする工程を含む前記本発明のテスト用フレキソ印刷版の製造方法である。
さらに本発明の液晶表示素子の製造方法によれば、上記のようにフレキソ印刷版を選定する際のエネルギー、時間およびコストを省略できる分、よりコスト安価に液晶表示素子を製造することが可能となる。
図1は、本発明のテスト用フレキソ印刷版の、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例のテスト用フレキソ印刷版1は柔軟な樹脂の層2を備え、当該層2の片面(図では上面)が版表面3とされているとともに、反対面(図では下面)に補強フィルム4が積層されてなり、全体が矩形平板状に形成されている。
また把持部5と版表面3との間には、上記把持部5と平行に一定幅の溝部6が設けられている。
上記版表面3は、図示していないが平面(表面積を1とする)に対する比表面積が図中に白矢印で示すように上記一方(図では手前側)の把持部5側から他方(図では奥側)の把持部5側へ向けて連続的に増加するように比表面積に傾斜を持たせた状態で粗面化されている。
これにより、当該比表面積の範囲での基板との相性を1枚のテスト用フレキソ印刷版1を用いてテスト印刷するだけで、上記高精細の液晶表示素子の液晶配向膜印刷用として最適な比表面積を備えたフレキソ印刷版を選定できる。
どの比表面積が最適化を見極めるには、例えば印刷した液晶配向膜にムラやはじき、あるいはモアレ縞その他の乱れが発生しているか否かを確認すればよい。
上記本発明のテスト用フレキソ印刷版は、先述のように平面に対する比表面積が連続的に変化された粗面とされた型面を有する粗面化シートを用いるだけで、他は従来と同様にして製造できる。
図2は、上記粗面化シートの作製方法の一例を説明する図である。
この際、ゴムロール12は図中に白矢印で示すように対ロール13の方向に所定のニップ圧が加えられて前駆シート10の図では左側の面に圧接されており、それによって当該面に上記ゴムロール12の外周面11の微細凹凸が連続的に転写される。
転写された微細凹凸は、その高さや形成間隔等と、それに基づく型面14の比表面積が、上記ゴムロール12のニップ圧に応じて変化する。すなわちニップ圧が高いほど比表面積は大きくなり、低いほど比表面積は小さくなる。
しかし本発明の場合は、上記の工程を経て粗面化シート8を連続的に長尺状に作製する際に、上記ニップ圧を、例えば1枚の粗面化シート分の長さごとに繰り返し連続的に変化させたのち、1枚分の長さにカットすることにより、当該1枚の粗面化シート8中で、型面14の比表面積を上記ニップ圧の変化に応じて、例えば一端側で小さく他端側で大きく形成できる。
上記樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタンエラストマ(TPU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等の熱可塑性樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
その場合には粗面化シート8の反対面15に、例えばPET等からなり活性光線に対する透過性を有する補強シートを貼り合わせる等すればよい。
図3(a)を参照して、この例の製造方法においてはまずガラスや、あるいはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の硬質樹脂などの硬質材料からなり、なおかつ紫外線等の活性光線に対する透過性を有する支持基板16を用意する。
なお図では型面14を構成する凹凸をわかり易いように大きめに強調して描いているが、実際の凹凸は印刷する液晶配向膜の形状等に影響を及ぼさないために、図に示した粗面化シート8の大きさと比較すると判別できない程度の微小なものである。また図では凹凸を型面14の全面でほぼ一定に描いているが、実際は先に説明したように比表面積が粗面化シート8の例えば図において左端から右端へ連続して変化するように、その高さや形成間隔等を変化させて形成している。比表面積を変化させる方法は先に説明したとおりである。
(ii) 支持基板16の表面に吸引溝を形成し、当該吸引溝を介して真空吸引することによって着脱自在に吸着固定。
(iii) 支持基板16の面方向の寸法よりも間隔を隔てた一対のチャック治具間に展張させた状態で着脱自在に圧接固定。
また固定した粗面化シート8を表面17から取り外すには、当該粗面化シート8を例えば図3(a)の矢印とは逆に支持基板16の他端から一端へかけて弱粘着層の粘着力に抗しながら順に引き剥がす等すればよい。
そして粗面化シート8を、反対面15を下にして支持基板16の表面17に重ねた状態で真空系を作動させるか、あるいは先に作動させておいた真空系を吸引溝と接続する等して当該吸引溝を介して真空吸引することにより、粗面化シート8を表面17上に固定できる。
図3(b)を参照して、次にこの例の製造方法では支持基板16の表面17上に固定した粗面化シート8の型面14上に、所定量の液状の感光性樹脂組成物18を供給する。
そして感光性樹脂組成物18を粗面化シート8と補強フィルム4との間に挟んで、図3(b)に一点鎖線の矢印で示すように支持基板16の表面17の一端から他端へかけて間に空気が入らないように注意しながら順に、粗面化シート8の型面14上に塗り拡げて感光性樹脂組成物の層19を形成するとともに、その上に補強フィルム4を積層する。
そして対向基板20の対向面21を、支持基板16の表面17との間に一定の間隔を隔てて平行に維持しながら図3(c)に黒矢印で示すように対向基板20を支持基板16の方向に押圧することで層19を粗面化シート8の型面14に圧着させる。
この際、支持基板16の表面17と対向基板20の対向面21との間の間隔は、製造するテスト用フレキソ印刷版1の厚みに粗面化シート8の厚みを加えた寸法を維持するようにする。
特に対向基板20を支持基板16と同様の、活性光線に対する透過性を有する材料によって形成し、また補強フィルム4も粗面化シート8と同様の、活性光線に対する透過性を有する材料によって形成して、当該対向基板20の側からも感光性樹脂組成物の層19を活性光線によって露光して硬化反応させるようにしてもよい。
そして図4(b)に一点鎖線の矢印で示すように粗面化シート8を、積層体22の一端から他端へかけて順に引き剥がすと層2の図において上面側が粗面化シート8の型面14の凹凸形状が転写されて粗面化された版表面3とされて、図4(c)に示すテスト用フレキソ印刷版1の前駆体としての版シート24が完成する。
層2のもとになる感光性樹脂組成物としては、紫外線等の活性光線によって硬化させることができ、しかも硬化後は例えばフレキソ印刷等に使用するのに適した適度な柔軟性やゴム弾性を有するとともに、印刷に使用するインキ中に含まれたり印刷版の清掃に使用したりする溶剤に対する耐溶剤性に優れた硬化物を形成しうる種々の樹脂組成物がいずれも使用可能である。
光重合開始剤としては、ベンゾインアルキルエーテルが好ましく、特に蛍光灯等からの可視光によって反応して印刷用樹脂原版を黄変させる原因となるベンゾインの含有割合が、感光性樹脂組成物の総量の500ppm以下であるものが好適に使用される。これにより、短期間で黄変しない耐光性に優れた印刷用樹脂原版を得ることができる。
本発明は、上記テスト用フレキソ印刷版を用いてテスト印刷した結果をもとに、平面に対する比表面積が一定値である最適なフレキソ印刷版を選定する工程、および選定したフレキソ印刷版を用いて、フレキソ印刷によって液晶配向膜を形成する工程を含む液晶表示素子の製造方法である。
これにより、所定の比表面積の範囲での基板との相性を1枚のテスト用フレキソ印刷版を用いてテスト印刷するだけで、高精細の液晶表示素子の液晶配向膜印刷用として最適な比表面積を備えたフレキソ印刷版を選定できる。
本発明の製造方法のその他の工程は、従来同様に実施できる。
すなわち、ソーダライムガラス基板等の透明基板の片面に所定のマトリクスパターン等に対応した透明電極層を形成した上に、先の工程で選定したフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷により液晶配向膜を形成し、さらに液晶配向膜の表面を必要に応じてラビング等によって配向処理することで基板が作製される。
本発明は、以上で説明した図の例には限定されない。例えば本発明のテスト用フレキソ印刷版1においては、補強フィルム4は省略しても良い。また製造方法では、感光性樹脂組成物の層を対向基板によって支持基板の方向に押圧する代わりに、粗面化シートのローラ等によって塗り拡げて厚みを一定にするとともに、その表面を粗面化してもよい。
先述した図2の方法により、型面14の比表面積が矩形の一端側から他端側へかけて連続的に変化した粗面化シート8を作製し、かかる粗面化シート8を用いて図3(a)〜(c)、図4(a)〜(c)の工程を経て、版表面3の比表面積がその一辺側から他辺側へかけて2.8から4.1の間で連続的に変化した、図1に示すテスト用フレキソ印刷版1を製造した。
ここまでの工程に要した時間は12時間、再テストはなし、要したテスト用フレキソ印刷版は1枚のみで済み、作製費用は200万円であった。
従来通り版表面の比表面積が2.8、3.4および4.1で一定である3枚のテスト用フレキソ印刷版を製造し、それぞれのテスト用フレキソ印刷版を用いて上記基板上に液晶配向膜のモデルをテスト印刷したのち、液晶配向膜にムラやはじき、あるいはモアレ縞その他の乱れが発生しているか否かを確認したところ、最適な比表面積は3.4と4.1の間にあることが判ったが、結論は出なかった。
しかしここまでの工程に要した時間は60時間、テスト用フレキソ印刷版は5枚で、その作製費用は1000万円に達した。
2 層
3 版表面
4 補強フィルム
5 把持部
6 溝部
7 ピン穴
8 粗面化シート
9 ノズル
10 前駆シート
11 外周面
12 ゴムロール
13 対ロール
14 型面
15 反対面
16 支持基板
17 表面
18 感光性樹脂組成物
19 層
20 対向基板
21 対向面
22 積層体
23 作業台
24 版シート
Claims (5)
- 片面が版表面とされた平板状に形成された樹脂の層を備え、前記版表面は粗面化されているとともにその平面に対する比表面積が、前記版表面の一辺側から他辺側へかけて連続的に変化されているテスト用フレキソ印刷版。
- 前記比表面積は平面を1として2.8から4.1の間で変化されている請求項1に記載のテスト用フレキソ印刷版。
- 前記テスト用フレキソ印刷版のもとになる感光性樹脂組成物の層の片面を、前記感光性樹脂組成物を硬化反応させることができる活性光線に対する透過性を有する材料からなり片面が前記フレキソ印刷版の版表面に対応した、平面に対する比表面積が連続的に変化された粗面状の型面とされた粗面化シートの前記型面に接触させた状態で、前記層を前記粗面化シートを通して前記活性光線の照射によって硬化反応させたのち前記型面から剥離することにより、前記層の片面を粗面化された版表面とする工程を含む請求項1または2に記載のテスト用フレキソ印刷版の製造方法。
- 前記粗面化シートは、外周面に微細凹凸加工がされたゴムロールを、溶融樹脂を押出成形して形成した樹脂シートの片面に圧接させることによって片面が粗面化された型面とされているとともに、前記ゴムロールの圧接力を連続的に変化させることで、前記型面の、平面に対する比表面積が連続的に変化されている請求項3に記載のフレキソ印刷版の製造方法。
- 請求項1または2に記載のテスト用フレキソ印刷版を用いてテスト印刷した結果をもとに、平面に対する比表面積が一定値である最適なフレキソ印刷版を選定する工程、および選定したフレキソ印刷版を用いて、フレキソ印刷によって液晶配向膜を形成する工程を含む液晶表示素子の製造方法。
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