JP2018051835A - 粗面化シートおよびその製造方法 - Google Patents

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規弘 大島
信彦 田所
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信彦 田所
武文 中下
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武文 中下
高橋 俊行
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俊行 高橋
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Abstract

【課題】原型面の粗面形状が高い転写率でもって型面に忠実に転写され、かつ上記粗面形状が、同一型面内や異なる型面間でばらついたりせずに常にほぼ一定に維持されており、しかも印刷用樹脂原版の製造に使用した際に当該印刷用樹脂原版から容易に剥離できる粗面化シートと、その製造方法を提供する。【解決手段】粗面化シート1は、紫外線硬化型樹脂8を紫外線の照射によって硬化させた硬化物からなり、その表面が粗面化された型面5とされた表層4を備える。製造方法は、粗面状の原型面6上に液状の紫外線硬化型樹脂を塗布して表層のもとになる前駆層9を形成し、その上に補強フィルム2を密着させた状態で紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させたのち原型面から剥離して、表層の、原型面と接触していた面を、当該原型面の粗面形状の転写により粗面化された型面とする工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、フレキソ印刷版のもとになる印刷用樹脂原版の製造に用いる粗面化シートと、その製造方法に関するものである。
液晶表示素子を構成する基板の電極形成面上に、できるだけ厚みが均一でピンホール等がなくしかも薄いという、高い塗膜品質が要求される液晶配向膜を形成するために、良好な印刷特性を有するフレキソ印刷法が利用される。
フレキソ印刷法には、柔軟な樹脂のシートからなり、その表面が液晶配向膜等のもとになるインキを担持した状態で電極形成面等の被印刷面に接触して、当該被印刷面にインキを転写させる面、すなわち版表面とされたフレキソ印刷版が用いられる。
フレキソ印刷版の版表面は、インキに対する濡れ性を向上して当該インキを良好に保持するとともに、保持したインキを被印刷面に良好に転写できるようにするために、所定の表面粗さの粗面とされるのが一般的である。
特許文献1には、上記樹脂のシート(印刷用樹脂原版)のもとになる感光性樹脂組成物を、表面が粗面化された型面とされた粗面化シートの上に層状に塗り拡げた状態で、紫外線等の活性光線の照射によって硬化させたのち、硬化によって形成されたシートから粗面化シートを剥離することで、当該シートの、上記型面と接触していた面に粗面形状を転写して、上記面を、粗面化された版表面とする印刷用樹脂原版の製造方法が記載されている。
上記の製造方法によれば、版表面の全面が粗面化された印刷用樹脂原版を、生産性良くコスト安価に製造できる。
粗面化シートとしては、例えば特許文献1に記載されているように、感光性樹脂組成物との親和性や濡れ性が高いため、型面の粗面形状を印刷用樹脂原版の版表面に良好に転写できるウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー(TPE)のシートからなり、上記型面側とは反対面に、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を補強フィルムとしてラミネートしたもの等が用いられる。
かかる粗面化シートは、例えばTPEをシート状に押出成形して、補強フィルムとともに、外周面が粗面化シートの型面の粗面形状に対応する粗面状の原型面とされた粗面化ロールと対ロールとの間を連続的に挿通させたのち、必要に応じて所定の大きさに切り出す等して製造される。
すなわち、上記挿通時の圧によってTPEのシートと補強フィルムとが互いにラミネートされるとともに、上記シートの表面に原型面の粗面形状が転写されて、当該表面が粗面化された型面とされる。
しかし上記従来の粗面化シートにおいては、粗面化ロールの原型面の粗面形状が型面に十分良好に転写、再現されない場合がある。
具体的には、例えば原型面と型面の比表面積換算の転写率で表して、粗面化ロールの原型面の粗面形状のおよそ85%未満程度しか粗面化シートの型面に再現されなかったり、上記転写率が一つの粗面化シートの同一型面内や、別個の粗面化シートの異なる型面間でばらついたりしやすいという問題がある。
そして、上記のように粗面形状がばらついた粗面化シートを用いると、前述した製造方法によって製造される印刷用樹脂原版からなるフレキソ印刷版の版表面の粗面形状にもばらつきを生じて、例えば版ごとに印刷特性が微妙に変化するおそれがある。
そこで粗面化シートの製造に際しては、出来上がった型面の粗面形状を、例えばその比表面積等でもってできるだけ厳密にチェックする必要を生じ、そのために多くの労力と時間を要して、粗面化シートは言うまでもなく、当該粗面化シートを用いて製造される印刷用樹脂原版やフレキソ印刷版の生産性も低下するおそれがある。
また液晶表示素子の製造に際しては、所定の印刷仕上がりを維持して液晶表示素子の性能を安定させるために、印刷条件の頻繁な調整が必要となることから、やはり多くの労力と時間を要して、液晶表示素子の生産性が低下するおそれもある。
さらに、粗面化シートの型面の粗面形状のばらつきの状態や、あるいは型面を形成するTPEと感光性樹脂組成物の組み合わせ等によっては、形成した印刷用樹脂原版から粗面化シートを容易に剥離できなくなって、やはり印刷用樹脂原版やフレキソ印刷版の生産性が低下する場合がある。
特許第5427225号公報
本発明の目的は、原型面の粗面形状が、現状よりも高い転写率でもって型面に忠実に転写されているとともに、上記粗面形状が、同一型面内や異なる型面間でばらついたりせずに常にほぼ一定に維持されており、しかも印刷用樹脂原版の製造に使用した際に当該印刷用樹脂原版から容易に剥離できる粗面化シートと、その製造方法を提供することにある。
本発明は、印刷用樹脂原版の製造に用いる、表面が粗面化された型面とされた表層、および前記表層の裏面側に設けられた補強フィルムを少なくとも備え、前記表層は、紫外線硬化型樹脂の硬化物からなる粗面化シートである。
また本発明は、前記本発明の粗面化シートの製造方法であって、前記型面に対応する粗面状の原型面上に液状の紫外線硬化型樹脂を層状に塗布して前記表層のもとになる前駆層を形成する工程、当該前駆層の上に前記補強フィルムを密着させた状態で紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる工程、および前記硬化によって形成された表層を前記補強フィルムごと前記原型面から剥離して、当該表層の前記原型面と接触していた面を、当該原型面の粗面形状の転写によって粗面化された型面とする工程を含む粗面化シートの製造方法である。
本発明によれば、原型面の粗面形状が、現状よりも高い転写率でもって型面に忠実に転写されているとともに、上記粗面形状が、同一型面内や異なる型面間でばらついたりせずに常にほぼ一定に維持されており、しかも印刷用樹脂原版の製造に使用した際に当該印刷用樹脂原版から容易に剥離できる粗面化シートと、その製造方法を提供できる。
本発明の粗面化シートの、実施の形態の一例の層構成を拡大して示す断面図である。 図1の例の粗面化シートを本発明の製造方法によって製造する装置の一例を説明する図である。 図(a)〜(c)は、図1の例の粗面化シートを用いて印刷用樹脂版を製造する工程の一例を示す断面図である。 図(a)〜(c)は、図3(a)〜(c)の続きの工程の一例を示す断面図である。 上記製造方法によって製造された印刷用樹脂原版を用いて製造されるフレキソ印刷版の一例を示す斜視図である。
〈粗面化シートとその製造方法〉
図1は、本発明の粗面化シートの、実施の形態の一例の層構成を拡大して示す断面図である。
図1を参照して、この例の粗面化シート1は、補強フィルム2としてのPETフィルムの片面(図では上面)に、プライマー処理としてごく薄いプライマー層3を形成した上に、紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射によって硬化させた硬化物からなる表層4を積層してなり、上記表層4の露出された表面が、粗面化された型面5とされたものである。
上記表層4のもとになる紫外線硬化型樹脂は通常、硬化前には液状を呈するため、当該液状の紫外線硬化型樹脂を、型面5のもとになる原型面の微小な凹凸に隙間なく良好に密着させた状態で、紫外線の照射によって硬化させたのち剥離して型面5を形成できる。
そのため、例えば前述した、シート状に押出成形された半固形状ないし固形状のTPEのシートを補強フィルムとともに、粗面化ロールと対ロールとの間を連続的に挿通させて型面を形成する従来法に比べて、原型面から型面5への凹凸形状の転写率を大幅に向上できる。
すなわち従来法では、先に説明したように原型面と型面の比表面積換算の転写率で表して、粗面化ロールの原型面の粗面形状のおよそ85%未満程度しか粗面化シートの型面に再現されなかったり、上記転写率が一つの粗面化シートの同一の型面内や、別個の粗面化シートの異なる型面間でばらついたりしやすいという問題がある。
これに対し、紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射によって硬化させた硬化物からなる表層4の型面5では、後述する実施例、比較例の結果からも明らかなように、原型面からの凹凸形状の転写率を85%以上、中でも95%以上、特に98%以上にまで高めることできる上、上記転写率を、一つの粗面化シート1の同一の型面5内や、別個の粗面化シート1の異なる型面5間で常にほぼ一定に維持できる。
また上記紫外線硬化型樹脂の硬化物からなる型面5は、従来のTPEからなる粗面化シートの型面と同等程度に、感光性樹脂組成物との親和性や濡れ性が高いため、当該型面5の凹凸形状を、高い転写率でもって、印刷用樹脂原版の版表面に良好に転写できる。
しかも、かかる紫外線硬化型樹脂の硬化物からなる型面5を備えた本発明の粗面化シート1は、従来の、型面がTPEからなる粗面化シートに比べて、後述する実施例、比較例の結果からも明らかなように、形成した印刷用樹脂原版から容易に剥離することもできる。
そのため、印刷用樹脂原版やフレキソ印刷版、さらには液晶表示素子の生産性をより一層向上できる。
図2は、図1の例の粗面化シートを本発明の製造方法によって製造する装置の一例を説明する図である。
図1、図2を参照して、上記装置は、外周面が表層4に形成する粗面(型面5)に対応する粗面状の原型面6とされた、ローラ状の版胴7を備えている。
また版胴7の周囲には下記の各部が、図2中に実線の矢印で示す版胴7の回転方向に沿って順に配設されている。
・ 原型面6に、液状の紫外線硬化型樹脂8を所定の厚みで層状に塗布して、表層4のもとになる前駆層9を形成する塗布ローラ10。
・ 原型面6との間に前駆層9と長尺の補強フィルム2とを連続的に挿通させて、当該補強フィルム2の、プライマー層3を形成した面を前駆層9に連続的に密着させる密着ローラ11。
・ 前駆層9に、その上に密着された補強フィルム2およびプライマー層3を通して、図中に白抜きの矢印で示すように紫外線を照射して、前記前駆層9を形成する紫外線硬化型樹脂8を硬化させる紫外線ランプ12。
・ 硬化後の前駆層9を、補強フィルム2ごと原型面6から剥離して、表面が粗面化された表層4とする剥離ローラ13。
そして上記版胴7を、図2中に実線の矢印で示す方向に回転させながら上記各部を経ることにより、同図中に一点鎖線の矢印で示すように連続的に供給される長尺の補強フィルム2の、プライマー層3を形成した面に、紫外線硬化型樹脂8の硬化物からなる表層4を連続的に形成して、図1に示す層構成を有する粗面化シート1を連続的に、効率よく製造できる。
なお製造された粗面化シート1は、さらに必要に応じて所定長、所定幅にカットする等して、印刷用樹脂原版の製造に使用できる。
表層4を形成する紫外線硬化型樹脂8としては、例えば図2の例の製造方法の作業環境で液状を呈するとともに、任意の波長の紫外線の照射によって硬化でき、しかも硬化後も、粗面化シート1の表層4に求められる適度な柔軟性と強度とを両立し得る種々の紫外線硬化型樹脂が使用可能である。また紫外線硬化型樹脂8としては、ラジカル重合型、カチオン重合型等の種々の重合型の紫外線硬化型樹脂が使用可能である。
ラジカル重合型の紫外線硬化型樹脂は、例えばラジカル重合性のオリゴマーやモノマー、ラジカル光重合開始剤、増感剤、ならびに各種添加剤等を任意の割合で配合して調製できる。
このうちラジカル重合性のオリゴマーとしては、例えばエポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリルアクリレートオリゴマー等の1種または2種以上が挙げられる。
またラジカル重合性のモノマーとしては、例えばアクリレートモノマー等が挙げられる。
ラジカル光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系等の各種のラジカル光重合開始剤が挙げられる。
増感剤としては3級アミン等が挙げられる。
さらに添加剤としては、例えば熱重合禁止剤、各種フィラー、着色剤(染料、顔料等)、レベリング剤、流動性調整剤、消泡剤、可塑剤等が挙げられる。
またカチオン重合型の紫外線硬化型樹脂は、例えばカチオン重合性のオリゴマーやモノマー、カチオン光重合開始剤、ならびに各種添加剤等を任意の割合で配合して調製できる。
このうちカチオン重合性のオリゴマーとしては、例えばビニルエーテルオリゴマー、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ等の1種または2種以上が挙げられる。
またカチオン重合性のモノマーとしては、例えばビニルエーテルモノマー等が挙げられる。
カチオン光重合開始剤としては、例えばスルホニウム系、ヨードニウム系等の各種のカチオン光重合開始剤が挙げられる。
さらに添加剤としては、ラジカル重合型の紫外線硬化型樹脂の場合と同様に、例えば熱重合禁止剤、各種フィラー、着色剤(染料、顔料等)、レベリング剤、流動性調整剤、消泡剤、可塑剤等が挙げられる。
特にラジカル重合型の紫外線硬化型樹脂が好ましい。
補強フィルム2は、粗面化シート1の全体での引張強さ等を高める文字通り補強としての機能を有する他、上記粗面化シート1が、紫外線硬化型樹脂8の硬化時の収縮等によって反ったりするのを矯正するためにも機能する。
補強フィルム2としては、前述したようにPETフィルムが好適に用いられる。PETフィルムは、補強フィルム2としての機能等に優れている。
特に紫外線硬化型樹脂8を硬化させるための紫外線の透過性や、印刷用樹脂原版製造のための活性光線の透過性を有するPETフィルムが好ましい。
プライマー処理はプライマー層3には限定されず、上記PETフィルム等の補強フィルムの表面に液状の紫外線硬化型樹脂8、ならびに当該紫外線硬化型樹脂8の硬化物からなる表層4を良好に密着させることができる種々のプライマー処理が適用可能である。
かかるプライマー処理としては、例えばコロナ放電処理、フレーム処理、オゾン処理、紫外線照射処理、サンドブラスト処理、溶剤処理等の1種または2種以上が挙げられる。
またプライマー層3としては、例えば補強フィルム2を形成するPETや、紫外線硬化型樹脂8、あるいはその硬化物等との親和性、密着性に優れた種々の材料からなる層が使用可能である。
かかるプライマー層3のもとになる塗剤の具体例としては、例えばラミネート用二液混合型ポリエステルウレタン樹脂に、紫外線硬化型樹脂8との接着性を高めるべく、メタクリレートおよび光重合開始剤を配合したもの等が挙げられる。
ただし紫外線硬化型樹脂8と補強フィルム2の組み合わせによっては、プライマー層3を省略しても良好な密着性を確保できる場合があり、その場合、プライマー層3は省略しても構わない。
上記各層のうち表層4の厚みは0.009mm以上、特に0.018mm以上であるのが好ましく、0.06mm以下、中でも0.05mm以下、特に0.03mm以下であるのが好ましい。
例えば版胴7の原型面6の凹凸形状の大きさ等にもよるものの、液状の紫外線硬化型樹脂8を上記原型面6上に塗布して前駆層9を形成したのち硬化させて表層4を形成する前述した工程によって、厚みが上記の範囲未満の薄くて連続した前駆層9や表層4を形成するのは容易でない。そして、例えば硬化後の表層4が不連続になったり厚みがばらついたり、あるいは表層4の表面である型面5への、原型面からの凹凸形状の転写率がばらついたりしやすくなるおそれがある。
一方、表層4の厚みが上記の範囲を超える場合には、液状の紫外線硬化型樹脂8を原型面6上に塗布して前駆層9を形成する際に塗布厚みがばらついたり、厚みの大きな前駆層9の全体で、紫外線硬化型樹脂8を均一に硬化させたりできないおそれがある。
また補強フィルム2の厚みにもよるものの、粗面化シート1の重量が増加する上、当該粗面化シート1を曲げたり巻いたりしにくくなるため、例えばカット前の長尺の粗面化シート1をロール状に巻き取ったり、カットして製造した粗面化シート1を印刷用樹脂原版の製造に使用したり、収納等するために巻き付けたりする取り扱い時の取り扱い性等が低下するおそれもある。
これに対し、厚みを上記の範囲とすることによってこれらの問題が生じるのを抑制して、厚みが均一で凹凸形状の転写率にばらつきがない上、取り扱い性が良いなど、種々の特性に優れた表層4、ひいては粗面化シート1を形成できる。
補強フィルム2の厚みは0.10mm以上、特に0.12mm以上であるのが好ましく、0.25mm以下、特に0.20mm以下であるのが好ましい。
補強フィルム2の厚みがこの範囲未満では、上述した取り扱い時等に補強フィルム2、ひいては粗面化シート1が折れやすくなり、折れが発生すると型面5、ひいてはフレキソ印刷版の版表面の粗面形状に折れ欠点が生じて、例えば厚みが均一で連続した液晶配向膜を形成できないといった問題を生じるおそれがある。
一方、補強フィルム2の厚みが上記の範囲を超える場合には粗面化シート1の重量が増加する上、当該粗面化シート1を曲げたり巻いたりしにくくなるため、前述した取り扱い性等が低下するおそれがある。
これに対し、補強フィルム2の厚みを上記の範囲とすることにより、折れ等の発生をできるだけ抑制しながら、粗面化シートの取り扱い性等を向上できる。
なお、補強フィルム2の片面にプライマー処理としてプライマー層3を形成する場合、本発明では、上述した補強フィルム2の厚みは、補強フィルム2とプライマー層3の合計の厚みとすることとする。
粗面化シート1の全体の厚みは、上述した取り扱い性等を向上することなどを考慮すると0.31mm以下、特に0.24mm以下であるのが好ましい。また折れの発生をできるだけ抑制することなどを考慮すると、粗面化シート1の全体の厚みは、上記の範囲でも0.10mm以上、特に0.20mm以上であるのが好ましい。
〈印刷用樹脂原版およびフレキソ印刷版の製造方法〉
図3(a)〜(c)は、図1の例の粗面化シートを用いて印刷用樹脂版を製造する方法の、工程の一例を示す断面図である。また図4(a)〜(c)は、図3(a)〜(c)の続きの工程の一例を示す断面図である。
図3(a)を参照して、この例の印刷用樹脂原版の製造方法においては、まずガラスや、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の硬質樹脂などの、硬質でなおかつ紫外線等の活性光線の透過性を有する材料からなる支持基板14を用意する。
そして支持基板14の図において上側の表面15に、補強フィルム2、プライマー層3、および表層4の3層からなる粗面化シート1を、表層4の表面である型面5が上、補強フィルム2の表面である反対面16が下になるように、当該反対面16を支持基板14の表面15に接触させながら、例えば図中に一点鎖線の矢印で示すように上記表面15の一端から他端へかけて順に重ねる等して着脱自在に固定する。
粗面化シート1は、当該粗面化シート1上に液状の感光性樹脂組成物を塗り拡げる際のせん断力や、あるいは感光性樹脂組成物の硬化時の収縮力等によって支持基板14に対して位置ずれしたりするのを防止するとともに、使用後の粗面化シート1の交換を容易にするため、例えば下記(i)〜(iii)のいずれかの方法によって、支持基板14の表面15に着脱自在に固定するのが好ましい。
(i) 活性光線に対する透過性を有する材料からなる弱粘着層を介して着脱自在に粘着固定。
(ii) 支持基板14の表面15に吸引溝を形成し、当該吸引溝を介して真空吸引することによって着脱自在に吸着固定。
(iii) 支持基板14の面方向の寸法よりも間隔を隔てた一対のチャック治具間に展張させた状態で着脱自在に圧接固定。
このうち(i)の粘着固定に用いる弱粘着層としては支持基板14、および補強フィルム2としてのPETフィルムに対して弱粘着性を有し、かつ活性光線に対する透過性を有する種々の粘着剤からなる層がいずれも採用可能である。弱粘着層は、支持基板14の表面15および粗面化シート1の反対面16のうちの少なくとも一方に、上記粘着剤を、例えばスプレー塗布等の種々の塗布方法によって塗布することで形成される。
かかる弱粘着層を形成したのち、図3(a)に一点鎖線の矢印で示すように粗面化シート1を、反対面16を下にして支持基板14の表面15の一端から他端へかけて間に空気が入らないように注意しながら順に重ねると、弱粘着層の粘着力によって粗面化シート1が表面15上に固定される。
また固定した粗面化シート1を表面15から取り外すには、当該粗面化シート1を、例えば図3(a)の矢印とは逆に支持基板14の他端から一端へかけて弱粘着層の粘着力に抗しながら順に引き剥がす等すればよい。
(ii)の吸着固定をするには、支持基板14の表面15を平滑に仕上げるとともに、かかる表面15の略全面に吸引溝を形成する。吸引溝は真空ポンプ等を含む真空系に接続する。
そして粗面化シート1を、反対面16を下にして支持基板14の表面15に重ねた状態で真空系を作動させるか、あるいは先に作動させておいた真空系を吸引溝と接続する等して当該吸引溝を介して真空吸引すると、粗面化シート1が表面15上に固定される。
固定した粗面化シート1を表面15から取り外すには真空系を停止させるか、あるいは真空系と吸引溝との接続を遮断すればよい。
図3(b)を参照して、次にこの例の製造方法では、支持基板14の表面15上に固定した粗面化シート1の型面5上に、印刷用樹脂原版のもとになる所定量の液状の感光性樹脂組成物17を供給する。
そして供給した感光性樹脂組成物17を、上記粗面化シート1と、当該感光性樹脂組成物17とともに印刷用樹脂原版を構成する補強シート18との間に挟んで、図3(b)に一点鎖線の矢印で示すように支持基板14の表面15の一端から他端へかけて間に空気が入らないように注意しながら順に、粗面化シート1の型面5上に塗り拡げて、上記感光性樹脂組成物17の層19を形成するとともに、その上に補強シート18を積層する。
次いで図3(c)を参照して、補強シート18上に対向基板20の対向面21を接触させる。
そして上記対向面21を、支持基板14の表面15との間に一定の間隔を隔てて平行に維持しながら図3(c)に黒矢印で示すように対向基板20を支持基板14の方向に押圧することで、層19を粗面化シート1の型面5に圧着させる。
そしてこの状態で層19に、図3(c)に実線の矢印で示すように支持基板14および粗面化シート1を通して活性光線を照射して、当該層19を形成する感光性樹脂組成物17を硬化させる。
この際、支持基板14の表面15と対向基板20の対向面21との間の間隔は、製造する印刷用樹脂原版の厚みに粗面化シート1の厚みを加えた寸法を維持するようにする。
なお対向基板20は金属、ガラス、硬質樹脂等の任意の材料によって形成できる。
特に対向基板20を、支持基板14と同様の、活性光線に対する透過性を有する材料によって形成するとともに、補強シート18も、活性光線に対する透過性を有する材料によって形成して、当該対向基板20の側からも層19に活性光線を照射して感光性樹脂組成物17を硬化させることもできる。
また、例えば粗面化シート1を形成する各層2〜4の少なくとも1層が活性光線に対する透過性を有しない材料からなり粗面化シート1が活性光線に対する透過性を有しない場合は、対向基板20の側からのみ層19に活性光線を照射して、当該層19を形成する感光性樹脂組成物17を硬化させてもよい。
次いで図4(a)(b)を参照して、補強シート18、感光性樹脂組成物17の硬化によって形成された層22、および粗面化シート1の積層体23を支持基板14と対向基板20の間から取り出し、上下逆転させて補強シート18を下にして作業台24の上に載置する。
そして図4(b)に一点鎖線の矢印で示すように粗面化シート1を、積層体23の一端から他端へかけて順に引き剥がすと、層22の図において上面側が、粗面化シート1の型面5の凹凸形状が転写されて粗面化された版表面25とされて、図4(c)に示す印刷用樹脂原版26が完成する。
上記感光性樹脂組成物17としては、紫外線等の活性光線の照射によって硬化させることができ、しかも硬化後は、例えばフレキソ印刷等に使用するのに適した適度な柔軟性やゴム弾性を有するとともに、印刷に使用するインキ中に含まれたり印刷版の清掃に使用したりする溶剤に対する耐溶剤性に優れた硬化物を形成しうる、種々の樹脂組成物がいずれも使用可能である。
かかる感光性樹脂組成物としては、これに限定されないが、例えば1,2−ブタジエン構造を有し、かつ末端にエチレン性二重結合を有するプレポリマ、エチレン性不飽和単量体、および光重合開始剤を含むもの等が挙げられる。光重合開始剤としては、ベンゾインアルキルエーテルが好ましい。
また補強シート18としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PET、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等の熱可塑性樹脂からなり、好ましくは前述したように活性光線に対する透過性を有するシートが使用可能である。
このあと、図示していないが印刷用樹脂原版26の4辺をカットして全体の平面形状を矩形に整えたのち、図5に示すように、互いに平行な2辺の近傍の層22を例えばレーザー加工等によって熱的に切除して、図示しない印刷機のバイスで咥え込んで把持するための咥え込み部27やピンを挿通するためのチャック穴28等を形成し、さらに必要に応じて版表面25に所定の印刷パターンを形成することによってフレキソ印刷版29が完成する。
なお図の例では、上記咥え込み部27は、フレキソ印刷版29の上記2辺の全幅に亘って、上記版表面25との間に一定幅の溝部30を挟んで一定幅に形成されている。
またチャック穴28は、上記咥え込み部27の長さ方向の複数箇所(図では5箇所)に等間隔で形成されている。
〈液晶表示素子の製造方法〉
本発明の粗面化シートを用いて、上述した方法によって製造された、不良率が小さく生産性に優れたフレキソ印刷版を用いて、フレキソ印刷によって液晶配向膜を形成することにより、液晶表示素子の生産性をも向上できる。
液晶表示素子の製造方法のその他の工程は、従来同様に実施できる。
すなわちガラス基板等の透明基板の表面に、所定のマトリクスパターン等に対応した透明電極層を形成した上に、上記フレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷によって液晶配向膜を形成し、さらに液晶配向膜の表面を必要に応じてラビング等によって配向処理して基板を作製する。
次いでこの基板を2枚用意し、それぞれの透明電極層を位置合わせした状態で、間に液晶材料を挟みこんで互いに固定して積層体を形成するとともに、さらに必要に応じてこの積層体の両外側に偏光板を配設することで液晶表示素子が製造される。
本発明の構成は、以上で説明した図の例には限定されない。
例えば本発明の粗面化シートの製造方法は、図2の例の装置を用いて連続的に実施するのが、当該粗面化シートの生産性を向上する上で好ましいが、かかる製造方法を実施するための装置の構成は、図2の例のものには限定されない。
また、例えばフレキソ印刷版の製造方法においては、感光性樹脂組成物の層を対向基板によって支持基板の方向に押圧する代わりに、粗面化シートをローラ状にしたもの等によって塗り拡げて厚みを一定にしながら、同時にその表面を粗面化してもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。
〈実施例1〉
補強フィルム2としては、片面にプライマー層3が形成された、当該プライマー層3を含む厚みT2が0.100mmのPETフィルムを用いた。
プライマー層3は、ラミネート用二液混合型ポリエステルウレタン樹脂〔東洋モートン(株)製のAD−335A/CAT−10L〕に、メタクリレートおよび光重合開始剤を配合した塗剤を用いて形成した。
また表層4用の紫外線硬化型樹脂としては、液状のラジカル重合性の紫外線硬化型樹脂を用いた。
図2の製造装置の版胴7を図中に実線の矢印で示す方向に一定速度で回転させながら、当該版胴7の原型面6に、上記紫外線硬化型樹脂8を、所定の厚みとなるように塗布ローラ10によって層状に塗布して、表層4のもとになる前駆層9を形成した。
次いで、補強フィルム2としての長尺の上記PETフィルムを、プライマー層3側が前駆層9と接するように、原型面6と密着ローラ11との間に連続的に挿通させることで、上記原型面6上に形成した前駆層9に連続的に密着させた。
そして前駆層9を、紫外線ランプ12から紫外線を照射して連続的に硬化させたのち、剥離ローラ13によって補強フィルム2ごと原型面6から連続的に剥離して、表面が粗面化された型面5とされた表層4を形成し、図1に示す積層構造の粗面化シート1を連続的に製造した。
版胴7としては、原型面6の、(株)キーエンス製の形状測定レーザーマイクロスコープVK−9510を用いて測定した結果から求めた比表面積が3.4であるものを用いた。
表層4の厚みT4は0.009mm、粗面化シート1の全厚みT1は0.109mmであった。
〈実施例2〉
補強フィルム2としてのPETフィルムの厚みT2を0.125mmとし、また紫外線硬化型樹脂8の塗布厚みを調整して表層4の厚みT4を0.018mmとしたこと以外は実施例1と同様にして粗面化シート1を製造した。
粗面化シート1の全厚みT1は0.143mmであった。
〈実施例3〉
補強フィルム2としてのPETフィルムの厚みT2を0.188mmとし、また紫外線硬化型樹脂8の塗布厚みを調整して表層4の厚みT4を0.025mmとしたこと以外は実施例1と同様にして粗面化シート1を製造した。
粗面化シート1の全厚みT1は0.213mmであった。
〈実施例4〉
補強フィルム2としてのPETフィルムの厚みT2を0.188mmとし、また紫外線硬化型樹脂8の塗布厚みを調整して表層4の厚みT4を0.040mmとしたこと以外は実施例1と同様にして粗面化シート1を製造した。
粗面化シート1の全厚みT1は0.228mmであった。
〈実施例5〉
補強フィルム2としてのPETフィルムの厚みT2を0.250mmとし、また紫外線硬化型樹脂8の塗布厚みを調整して表層4の厚みT4を0.055mmとしたこと以外は実施例1と同様にして粗面化シート1を製造した。
粗面化シート1の全厚みT1は0.305mmであった。
〈実施例6〉
補強フィルム2としてのPETフィルムの厚みT2を0.075mmとし、また紫外線硬化型樹脂8の塗布厚みを調整して表層4の厚みT4を0.007mmとしたこと以外は実施例1と同様にして粗面化シート1を製造した。
粗面化シート1の全厚みT1は0.082mmであった。
〈実施例7〉
補強フィルム2としてのPETフィルムの厚みT2を0.188mmとし、また紫外線硬化型樹脂8の塗布厚みを調整して表層4の厚みT4を0.080mmとしたこと以外は実施例1と同様にして粗面化シート1を製造した。
粗面化シート1の全厚みT1は0.268mmであった。
〈比較例1〉
ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)のシートと補強フィルムとを粗面化ロールと対ロールとの間を連続的に挿通させて型面を形成する従来法を再現することとし、補強フィルムとしては、厚みT2が0.125mmのPETフィルムを用いた。
また表層用のTPUとしては、エステルタイプのTPUを用いた。
上記TPUを、押出機のダイを通してシート状に連続的に押出成形して表層を形成し、当該表層が冷却されて固化する前に、長尺で連続的に供給される上記補強フィルムとともに、粗面化ロールと対ロールとの間を連続的に挿通させて一体にラミネートするとともに、表層の表面に、粗面化ロールの原型面の粗面形状を連続的に転写させて、当該表面が粗面化された型面とされた粗面化シートを連続的に製造した。
粗面化ロールとしては、その最外層がシリコーンゴムからなり、当該最外層の外周面である原型面の、前述した形状測定レーザーマイクロスコープを用いて測定した結果から求めた比表面積が3.4であるものを用いた。
表層の厚みT4は0.010mm、粗面化シートの全厚みT1は0.135mmであった。
〈比較例2〉
補強フィルムとしてのPETフィルムの厚みT2を0.188mmとし、またダイのスリット幅を調整して表層の厚みT4を0.050mmとしたこと以外は比較例1と同様にして粗面化シートを連続的に製造した。
粗面化シートの全厚みT1は0.238mmであった。
〈比較例3〉
補強フィルムとしてのPETフィルムの厚みT2を0.250mmとし、またダイのスリット幅を調整して表層の厚みT4を0.070mmとしたこと以外は比較例1と同様にして粗面化シートを連続的に製造した。
粗面化シートの全厚みT1は0.320mmであった。
〈成形性〉
UVプリントモールドによって製造した各実施例の粗面化シートの成形性は、下記の基準で評価した。
◎:図1に示す製造工程において、紫外線硬化型樹脂8の横方向へのはみ出し等を生じることなしに、粗面化シート1を連続的に製造できた。
○:紫外線硬化型樹脂8の横方向へのはみ出し等が僅かに見られたが、粗面化シート1を連続的に製造できた。
△:表層4に部分的に欠けや気泡の混入が見られたが、粗面化シートを連続的に製造できた。
×:表層の広い範囲で欠けや気泡の混入が発生して、粗面化シートを連続的に製造できなかった。
また押出法によって製造した各比較例の粗面化シートの成形性は、下記の基準で評価した。
◎:厚みのムラやTPUの切れ等を生じることなしに、表層を連続的かつ均一に押出成形できた。
○:わずかに厚みのムラが見られたが、連続的に押出成形できた。
△:上記「○」より大きい厚みのムラが見られたが、連続的に押出成形できた。
×:上記「△」より厚みのムラが大きかったり、TPUの切れを生じて連続的に押出成形できなかったりした場合があった。
〈取り扱い性評価〉
各実施例、比較例で製造したカット前の長尺の粗面化シートを、それぞれ型面を外側にして連続的にロール状に巻き取った際の状態を目視にて観察して、下記の基準で取り扱い性を評価した。
◎:巻きシワを生じることなしに、200m以上連続して巻き取ることができた。
○:100m以上、200m未満の範囲では、巻きシワを生じることなしに連続して巻き取ることができた。
△:40m以上、100m未満の範囲では、巻きシワを生じることなしに連続して巻き取ることができた。
×:40mで巻きシワを生じてしまい、粗面化シート1の生産性にも影響を生じた。
〈転写性評価(i)〉
各実施例、比較例で製造した粗面化シートの型面の比表面積を、前述した形状測定レーザーマイクロスコープを用いて測定した。また式(1):
転写率I(%)=(型面の比表面積)/(原型面の比表面積)×100 (1)
によって転写率I(%)を求めて、下記の基準で、原型面から型面への粗面形状の転写性を評価した。
◎:転写率Iは98%以上であった。
○:転写率Iは95%以上、98%未満であった。
△:転写率Iは85%以上、95%未満であった。
×:転写率Iは85%未満であった。
〈転写性評価(ii)〉
各実施例、比較例で製造した粗面化シートを用いて、図3(a)〜(c)、図4(a)〜(c)の工程を経て印刷用樹脂原版26を製造した。
当該印刷用樹脂原版26のもとになる感光性樹脂組成物としては、住友ゴム工業(株)製のNK樹脂を用いた。また補強シート18としては、住友ゴム工業(株)製のBF/CF貼り合わせフィルムを用いた。
そして製造した印刷用樹脂原版26の版表面の比表面積を、前述した形状測定レーザーマイクロスコープを用いて測定した。また式(2):
転写率II(%)=(版表面の比表面積)/(型面の比表面積)×100 (2)
によって転写率II(%)を求めて、転写性評価(i)と同じ基準で、型面から版表面への粗面形状の転写性を評価した。
〈剥離性評価〉
◎:製造した粗面化シートを印刷用樹脂原版26から180°剥離した際の剥離強度が0.25N/mm以下であり、手動で容易に剥離できた。
×:製造した粗面化シートを印刷用樹脂原版26から180°剥離した際の剥離強度が0.25N/mmを超えており、剥離作業に補助が必要であった。
〈総合評価〉
全ての評価が◎と○のみで、かつ◎が4以上であったものをA、◎が3以下であったものをB、1つだけ△で他は◎または○であったものをC、△が2つ以上で他は◎または○であったものをD、一つでも×があったものをEと評価した。
以上の結果を表1、表2に示す。
Figure 2018051835
Figure 2018051835
表1、表2の実施例、比較例の結果から、紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射によって硬化させた硬化物によって表層を形成することにより、原型面の粗面形状が高い転写率で型面に忠実に転写されているとともに、印刷用樹脂原版の製造に使用した際に当該印刷用樹脂原版から容易に剥離できる上、成形性や取扱性にも優れた粗面化シートが得られることが判った。
また実施例1〜7の結果から、上記の効果をより一層向上することを考慮すると、表層の厚みT4は0.009mm以上、0.06mm以下であるのが好ましいこと、粗面化シートの全体の厚みは0.31mm以下で、かつ補強フィルムの厚みは0.10mm以上、0.25mm以下であるのが好ましいことが判った。
1 粗面化シート
2 補強フィルム
3 プライマー層
4 表層
5 型面
6 原型面
7 版胴
8 紫外線硬化型樹脂
9 前駆層
10 塗布ローラ
11 密着ローラ
12 紫外線ランプ
13 剥離ローラ
14 支持基板
15 表面
16 反対面
17 感光性樹脂組成物
18 補強シート
19 層
20 対向基板
21 対向面
22 層
23 積層体
24 作業台
25 版表面
26 印刷用樹脂原版
27 咥え込み部
28 チャック穴
29 フレキソ印刷版
30 溝部

Claims (5)

  1. 印刷用樹脂原版の製造に用いる、表面が粗面化された型面とされた表層、および前記表層の裏面側に設けられた補強フィルムを少なくとも備え、前記表層は、紫外線硬化型樹脂の硬化物からなる粗面化シート。
  2. 前記補強フィルムは、前記表層側の片面がプライマー処理されている請求項1に記載の粗面化シート。
  3. 前記表層の厚みは0.009mm以上、0.06mm以下である請求項1または2に記載の粗面化シート。
  4. 前記粗面化シートの全体の厚みは0.31mm以下で、かつ前記補強フィルムの厚みは0.10mm以上、0.25mm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粗面化シート。
  5. 前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粗面化シートの製造方法であって、前記型面に対応する粗面状の原型面上に液状の紫外線硬化型樹脂を層状に塗布して前記表層のもとになる前駆層を形成する工程、当該前駆層の上に前記補強フィルムを密着させた状態で紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる工程、および前記硬化によって形成された表層を前記補強フィルムごと前記原型面から剥離して、当該表層の前記原型面と接触していた面を、当該原型面の粗面形状の転写によって粗面化された型面とする工程を含む粗面化シートの製造方法。
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