JP6391454B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
高画質化、高速化、長寿命化を達成する為の電子写真感光体として、光導電層に水素化アモルファスシリコンなどのアモルファスシリコンを用いたアモルファスシリコン感光体が知られている。なお、アモルファスシリコンを、以下「a−Si」とも表記する。また、電子写真感光体を単に「感光体」とも表記する。
a−Si感光体の構成例として、基体上に下部電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を順に積層した構成が挙げられる。その中でも、表面層の材料として水素化アモルファスシリコンカーバイドを適用したa−Si感光体が知られている。なお、水素化アモルファスシリコンカーバイドを、以下「a−SiC」とも表記する。a−SiC表面層は耐摩耗性に優れていることから、主にプロセススピードの速い電子写真装置で用いられている。
例えば、特許文献1によれば、表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和を6.60×1022(原子/cm3)以上とすることで、感光体表面層の耐摩耗性を高めて、長寿命化を達成できることが知られている。
複写機及びプリンターにおいては、感光体の静電潜像をトナーで現像し、感光体上のトナー像を転写材へ転写する工程を経て、画像を得ている。
この際、トナーの消費量を抑えつつ、高画質な画像を得る為には、必要最小限のトナーで感光体の静電潜像を現像し、高い転写効率で転写材へトナー像を転写する必要がある。
感光体の静電潜像を現像する際、帯電均一性が劣るトナーを用いると、ライン/ベタ比が高くなる傾向にある。ライン/ベタ比とは、ライン部とベタ黒部のトナーの消費量の比を示す値である。一般的に文字のようなライン部は静電潜像の電界のエッジ効果により、ベタ黒部よりもトナー消費量が多くなる傾向にある。よって、ライン/ベタ比を低く抑えることが、高い画像濃度を保ちながらトナー消費量を抑制する上で重要である。さらに、帯電均一性が劣るトナーは、選択現像性が悪化する傾向にもある。選択現像性とは、帯電量が高くなり易い微粉が選択的に現像され、現像器内に粒径の大きなトナーが蓄積する現象である。選択現像性が悪いと、長期間の使用で、大粒径のトナーの比率が多くなり、画質が劣化しやすい。
転写工程では、転写材にトナーと逆極性の電圧を印加することで、静電的な転写バイアスを形成し、感光体から転写材へトナー像を転写している。転写効率はトナーが転写バイアスにより受ける静電気力が強くなると高くなる。
しかしながら、転写効率を上げる為に、転写材に印加する電圧を高くすると、転写材と感光体の間で放電が発生し、その結果、転写バイアスが低下して、逆に転写効率が下がることが知られている。さらに、転写材の種類や外部環境の温湿度によっても、放電開始電圧は変化する。
その為、転写材の種類や外部環境の温湿度によらず、高画質な画像を得る為には、高い転写効率が必要不可欠であった。
転写効率を向上させる為には、感光体とトナーの付着力を低減する必要がある。特に非静電的付着力はトナーと感光体の接触面積に比例する為、接触面積を小さくする目的で種々の検討が行われている。
一方で、接触面積を小さくする為にトナー形状を球形にする方法も知られているが、ブレードによる感光体のクリーニング性を考慮するとトナーは非球形であることが好ましい。
しかしながら、今後さらなる高速化が要求されると共に、トナーが現像器内で受けるストレスは高くなっている為、外添剤の埋め込みによる転写効率の低下を抑制することは難しく、改善の余地があった。
該静電荷像担持体は、少なくとも光導電層と、該光導電層の上の水素化アモルファスシリコンカーバイドで構成された表面層とを有する電子写真感光体であり、
該表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が、6.60×1022原子/cm3以上であり、
該表面層の電子スピン共鳴測定によって求められる欠陥密度が、2.2×1019spins/cm3以下であり
該トナーは結着樹脂を有するトナーであって、該結着樹脂は、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル部位を有することを特徴とする画像形成方法に関する。
該静電荷像担持体は、少なくとも光導電層と、該光導電層の上の水素化アモルファスシリコンカーバイドで構成された表面層とを有する電子写真感光体(少なくとも光導電層と、水素化アモルファスシリコンカーバイドで構成された表面層とを順次積層した電子写真感光体)であり、
該表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が6.60×1022原子/cm3以上であり、
該表面層の電子スピン共鳴測定によって求められる欠陥密度が2.2×1019spins/cm3以下であり
該トナーは結着樹脂を有するトナーであって、該結着樹脂は、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル部位を有する画像形成方法を用いることにより、従来にない転写効率を得られることを見出した。
本発明で用いられる感光体の表面層の欠陥密度は2.2×1019spins/cm3以下であることを特徴とする。
欠陥密度とは、電子スピン共鳴(ESR)法により、主にダングリングボンドに起因すると考えられる信号から算出した値である。ダングリングボンドとは、不対電子のことであり、化学的に活性が高く、不安定な部分であると考えられる。その欠陥密度が2.2×1019spins/cm3以下であるということは、該感光体の表面層は従来よりも安定な状態を有していることを示し、感光体の表面自由エネルギーは低い状態であると考えられる。さらに、該表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が6.60×1022原子/cm3以上であることにより、耐摩耗性及び耐酸化性が高い為、表面の安定性を長期間保つことが可能となっている。
一方で、本発明で用いられるトナーは脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル部位を有することを特徴とする。脂肪族化合物をポリエステル部位に縮合させることでトナーの低温定着性が向上することは知られているが、転写効率が向上することは一般的ではない。脂肪族化合物自体はポリエステル部位よりも凝集エネルギーや表面自由エネルギーが低くなる化合物である。その為、ポリエステル部位の末端に脂肪族化合物が縮合することによって、トナーの表面に脂肪族化合物由来のアルキル基が移行し易くなり、結果としてトナーの表面自由エネルギーを下げていると推察される。しかしながら、従来の感光体を用いた実験では、本発明のような顕著な転写効率の向上は得られていない。
即ち、本発明における表面自由エネルギーが低い感光体に、表面自由エネルギーが低いトナーを組み合わせて用いることではじめて従来にない転写効率の向上を見出すに至った。
以下、ケイ素原子の原子密度を「Si原子密度」とも表記する。また、炭素原子の原子密度を「C原子密度」とも表記する。また、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和を「Si+C原子密度」とも表記する。
図1(A)は、a−Si感光体の層構成を示す模式図である。基体101上に下部電荷注入阻止層102、光導電層103、表面層104が順次積層されている。この層構成は主に正帯電用のa−Si感光体に適用される。
図1(B)は、光導電層103、表面層104の間に中間層105を設けたa−Si感光体の層構成を示す模式図である。中間層105に電荷注入阻止能を付与することによって負帯電用のa−Si感光体にも適用できる。
図1(C)は、光導電層103、表面層104の間に複数の中間層106を設けたa−Si感光体の層構成の模式図である。この構成も複数の中間層106のいずれかに電荷注入阻止能を付与することによって負帯電用のa−Si感光体にも適用できる。
図1(D)は、光導電層103、表面層104の間に変化層107を設けたa−Si感光体の層構成の模式図である。この構成も変化層107の一部分に電荷注入阻止能を付与することによって負帯電用のa−Si感光体にも適用できる。
(表面層)
表面層は、以下の要件を満たすことで、本発明における効果を得ることができる。
前記表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和を6.60×1022原子/cm3以上とし、
前記表面層の電子スピン共鳴測定によって求められる欠陥密度を2.2×1019spins/cm3以下とする。
a−SiC表面層は、画像出力の際に繰り返し帯電されることによって、最表面が酸化されて極性基が生成される。極性基が生成されると、表面自由エネルギーが増大するため、トナーと感光体との付着力が増加し、転写効率が悪化する。つまり、転写効率を向上させるためには、a−SiC表面層の酸化を抑制することが有効である。
a−SiC表面層の酸化を抑制するためには、a−SiC表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が6.60×1022原子/cm3以上となるようにする。このようにすることによって、a−SiC表面層の骨格を形成するケイ素原子と炭素原子の結合力が強まり、耐酸化性が向上する。その結果、転写効率が向上する。
Si+C原子密度は、6.60×1022原子/cm3以上7.24×1022原子/cm3以下であることが好ましく、6.90×1022原子/cm3以上7.24×1022原子/cm3以下であることがより好ましい。
欠陥密度が2.2×1019spins/cm3より多くなると、感光体の表面自由エネルギーが高くなり、トナーと感光体の非静電的付着力が増加する為に、脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル部位を含有するトナーを用いても転写効率の改良ができない
また、欠陥密度により表面層の抵抗率が変化するため、画像メモリーにも影響することが分かっている。画像メモリーとは、感光体1周目の画像形成プロセスで形成した感光体上の画像の残像が2周目の画像形成プロセスで現れてしまう現象である。表面層の欠陥密度を低くすると抵抗率が上がる傾向にある。画像メモリーは表面層の抵抗率が低いほうが
より良好である為、転写効率と画像メモリーの抑制とを両立する上で、欠陥密度を9.0×1018spins/cm3以上2.2×1019spins/cm3以下に制御することが好ましく、1.1×1019spins/cm3以上1.8×1019spins/cm3以下がより好ましい。
さらに、転写効率の観点から、a−SiC表面層における赤外線吸収スペクトルにおける波数2890cm−1の吸光度a1に対する波数2960cm−1の吸光度a2の比(a2/a1)は0.52以下がより好ましい。赤外線吸収スペクトルにおける波数2960cm−1の吸収は、sp3−CH3による吸収に起因したピークであり、波数2890cm−1の吸収は、sp3−CHによる吸収に起因したピークである。つまり、a2/a1が低くなるほど、a−SiC表面層中に含まれるメチル基が少ないことを意味する。
特に、a−SiC表面層中のメチル基を少なくすると、局所的なケイ素原子と炭素原子のネットワークの途切れが少なくなる。そこで、Si+C原子密度を6.60×1022原子/cm3以上にしたうえで、a2/a1を低く制御することで、a−SiC表面層中のケイ素原子と炭素原子のネットワーク中に局所的に弱い部分が形成されにくくなる。その結果、a−SiCの骨格がさらに強靭になり、表面自由エネルギーが下がり、転写効率が向上すると考えられる。もちろん、ケイ素原子と水素原子の結合状態もa−SiCの骨格に影響する。
また、該a2/a1は、0.10以上0.52以下がより好ましく、0.46以上0.52以下がさらに好ましい。該a2/a1は、原料ガスの流量及び反応圧力の調整等により制御することができる。
なお、表面層の膜厚は、0.1μm以上2.5μm以下が好ましい。
a−SiC表面層の光透過率を向上させた本発明では、a−SiC表面層と光導電層の間にa−SiCで構成された中間層を設けることが好ましい。
本発明では、光透過率を向上するために、C/(Si+C)を0.50以上0.65以下とすることが好ましい。即ち、a−SiC表面層の光学的バンドギャップが広い方が好ましい。この場合、光導電層のバンドギャップを変更しない限り、表面層と光導電層の光学的バンドギャップの差が大きくなる。光学的バンドギャップの差が大きくなると、バンドの不整合が大きくなり、表面層と光導電層の層間で電荷の移動がスムーズではなくなる場合がある。
/(Si+C))をa−SiC表面層の(C/(Si+C))よりも低く設定することが好ましい。
もちろん、a−SiC中間層に(C/(Si+C))を段階的に変化させた複数の層を設けたり、a−SiC中間層の(C/(Si+C))を連続的に変化させたりしてもよい。この場合、光導電層からa−SiC表面層までa−SiC中間層の(C/(Si+C))が単調増加するように構成することが好ましい。単調増加とは、(C/(Si+C))が光導電層から表面層に向かって実質的に下がっている領域を有さないことである。
また、負帯電用の感光体の場合、中間層に電荷注入阻止能を付与することが帯電特性を得るために有効である。電荷注入阻止能を向上させるためには、a−SiC中間層に周期表第13族を含有させることが有効である。周期表13族に属する原子の中でも、ホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子が好ましい。なお、電荷注入阻止能を付与した中間層を、以下「上部阻止層」とも表記する。
本発明において、光導電層は、電子写真特性上の性能を満足できる光導電特性を有するものであればいずれのものであってもよいが、耐久性、安定性の観点から、a−Si光導電層が好ましい。
本発明において、光導電層としてa−Siで構成された光導電層を用いる場合は、a−Si中の未結合手を補償するため、水素原子に加えて、ハロゲン原子を含有させることができる。
水素原子(H)及びハロゲン原子(X)の含有量の合計(H+X)は、ケイ素原子(Si)と水素原子(H)とハロゲン原子(X)との和(Si+H+X)に対して10原子%以上であることが好ましく、15原子%以上であることがより好ましい。一方、30原子%以下であることが好ましく、25原子%以下であることがより好ましい。
伝導性を制御するための原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができる。すなわち、p型伝導性を与える周期表13族に属する原子又はn型伝導性を与える周期表15族に属する原子を用いることができる。周期表13族に属する原子の中でも、ホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子が好ましい。周期表15族に属する原子の中でも、リン原子、ヒ素原子が好ましい。
光導電層に含有される伝導性を制御するための原子の含有量は、ケイ素原子(Si)に対して1×10−2原子ppm以上であることが好ましい。一方、1×102原子ppm以下であることが好ましい。
光導電層の膜厚が60μm以下であれば、a−Siの異常成長部位(例えば、水平方向で50μm以上150μm以下、高さ方向で5μm以上20μm以下の部位。)が大きくなりにくく、表面を摺擦する部材へのダメージが抑えられ、画像欠陥の発生が抑えられる。
なお、光導電層は、単一の層で構成されてもよいし、複数の層(例えば、電荷発生層及び電荷輸送層)で構成されてもよい。
本発明においては、基体と光導電層との間に、基体側からの電荷の注入を阻止する働き
を有する電荷注入阻止層を設けることが好ましい。なお、下部電荷注入阻止層を、以下「下部阻止層」とも表記する。下部阻止層は、感光体の表面が一定極性の帯電処理を受けた際、基体から光導電層への電荷の注入を阻止する機能を有する層である。このような機能を付与するために、下部阻止層は、光導電層を構成する材料をベースとしたうえで、伝導性を制御するための原子を光導電層に比べて比較的多く含有させることが好ましい。
伝導性を制御するために下部阻止層に含有させる原子は、下部阻止層中にまんべんなく均一に分布した状態で含有されていてもよいし、また、膜厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、基体側に多く分布するように含有させるのが好適である。いずれの場合においても、伝導性を制御するための原子が基体の表面に対して平行面内方向に均一な分布で下部阻止層に含有されることが、特性の均一化を図るうえからも好ましい。
伝導性を制御するために下部阻止層に含有させる原子としては、帯電極性に応じて周期表13族又は15族に属する原子を用いることができる。
下部阻止層に含有される炭素原子、窒素原子及び酸素原子のうちの少なくとも1種の原子は、下部阻止層中にまんべんなく均一に分布した状態で含有されていてもよい。また、膜厚方向に均一に含有されてはいるが、面内方向に不均一に分布する状態で含有されている部分があってもよい。いずれの場合にも、伝導性を制御するための原子が基体の表面に対して平行面内方向に均一な分布で電荷注入阻止層に含有されることが、特性の均一化を図る上からも好ましい。
基体は、導電性を有するもの(導電性基体)が好ましく、表面に形成される光導電層及び表面層を保持しうるものが好ましい。基体の材質としては、例えば、アルミニウム、鉄などの金属や、これらの合金などが挙げられる。なお、導電性を有する基体(導電性の基体)を、以下「導電性基体」とも表記する。
図2を用いてa−Si感光体を有する電子写真装置による画像形成方法を説明する。
まず、感光体201を回転させ、感光体201の表面を主帯電器(帯電手段)202により均一に帯電させる。その後、静電潜像形成手段(露光手段)203により感光体201の表面に画像露光光を照射し、感光体201の表面に静電潜像を形成した後、現像器(現像手段)204より供給されるトナーを用いて現像を行う。この結果、感光体201の表面にトナー像が形成される。
そして、このトナー像を転写手段の一例である中間転写体205に転写し、中間転写体205から紙などの転写材(不図示)に2次転写して、定着手段(不図示)によりトナー像を転写材に定着させる。
一方、トナー像が転写された感光体201の表面に残留するトナーをクリーナー(クリーニング手段)206により除去し、その後、感光体201の表面を前露光器207により露光する。このようにすることにより感光体201中の静電潜像時の残キャリアを除電する。この一連のプロセスを繰り返すことで連続して画像形成が行われる。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、前述した規定を満足する層を形成できるものであればいずれの方法であってもよい。具体的には、プラズマCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。これらの中でも、原料供給の容易さなどの点で、プラズマCVD法が好ましい。
以下に、プラズマCVD法を用いた製造装置及び製造方法について説明する。
この堆積装置は、大別すると、反応容器3110を有する堆積装置3100、原料ガス供給装置3200、及び、反応容器3110内を減圧するための排気装置(図示せず)から構成されている。
堆積装置3100中の反応容器3110内にはアースに接続された基体3112、基体加熱用ヒーター3113、及び、原料ガス導入管3114が設置されている。さらにカソード電極3111には高周波マッチングボックス3115を介して高周波電源3120が接続されている。
原料ガス供給装置3200は、原料ガスボンベ3221〜3225、バルブ3231〜3235、圧力調整器3261〜3265、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255及びマスフローコントローラー3211〜3215から構成されている。各原料ガスを封入したガスのボンベは、補助バルブ3260を介して反応容器3110内の原料ガス導入管3114に接続されている。3116はガス配管であり、3117はリークバルブであり、3121は絶縁材料である。
次に、ガス供給装置3200より堆積膜形成に用いるガスを反応容器3110に供給する。すなわち、必要に応じてバルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を開き、マスフローコントローラー3211〜3215に流量設定を行う。各マスフローコントローラーの流量が安定したところで、真空計3119の表示を見ながらメインバルブ3118を操作し、反応容器3110内の圧力が所望の圧力になるように調整する。
所定の堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止し、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、及び、補助バルブ3260を閉じ、原料ガスの供給を終える。同時に、メインバルブ3118を全開にし、反応容器3110内を例えば1Pa以下の圧力まで排気する。
以上で、堆積膜の形成を終えるが、複数の堆積膜を形成する場合、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すればよい。原料ガスの流量や、圧力などを光導電層形成時の条件に向けて一定の時間で変化させて、接合領域の形成を行うこともできる。
すべての堆積膜形成が終わった後、メインバルブ3118を閉じ、反応容器3110内
に不活性ガスを導入し、大気圧に戻した後、基体3112を取り出す。
なお、本発明に係るa−SiC表面層の形成において、Si+C原子密度と欠陥密度を調整するために、水素(H2)希釈が有用な方法である。原料ガスを水素で希釈することによって、形成されるa−SiC表面層に含有される水素原子の量は一旦大きく減少し、その後微増に転じる。a−SiC表面層に含有される水素原子の量が減少する領域では、a−SiC表面層に含有される水素原子の量の減少に応じてSi+C原子密度が増大する。
なお、他のパラメーターとして、原料ガスの流量を少なくすること、高周波電力を高くすること、又は、基体の温度を高くすることなどが、Si+C原子密度を高くすることができる。一方、反応容器内の圧力(以下「反応圧力」とも表記する。)を高くすることによって、欠陥密度を下げることができる。これらの条件を適宜組み合わせて、設定すればよい。
光導電層の形成は、ケイ素原子供給用の原料ガスとしては、例えば、シラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)などのシラン類が好適に使用できる。また、水素原子供給用の原料ガスとしては、上記シラン類に加えて、例えば、水素(H2)も好適に使用できる。
また、上述のハロゲン原子、伝導性を制御するための原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子など光導電層を含有させる場合には、それぞれの原子を含むガス状又は容易にガス化しうる物質を材料として適宜使用すればよい。
まず、リファレンス感光体の任意の周方向における長手方向の中央部を15mm四方の正方形で切り出し、リファレンス試料を作製した。
次に、下部阻止層、光導電層、上部阻止層及び表面層を形成した感光体を同様に切り出し、測定用試料を作製した。
リファレンス試料と測定用試料を分光エリプソメトリー(J.A.Woollam社製:高速分光エリプソメトリー M−2000)により測定し、表面層の膜厚を求めた。
分光エリプソメトリーの具体的な測定条件は、入射角:60°、65°、70°、測定波長:195nmから700nm、ビーム径:1mm×2mmである。
まず、リファレンス試料について、分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を求めた。
さらに、下部阻止層、光導電層、上部阻止層及び表面層を順次形成した。そして、最表面に表面層と空気層が共存する粗さ層を有する層構成を計算モデルとして用いて、解析ソフトにより粗さ層の表面層と空気層の体積比を変化させて、各入射角における波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係を計算により求めた。そして、各入射角における上記計算により求めた波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係と測定用試料を測定して求めた波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係の平均二乗誤差が最小となるときの計算モデルを選択した。
この選択した計算モデルにより表面層の膜厚を算出し、得られた値を表面層の膜厚とした。なお、解析ソフトはJ.A.Woollam社製のWVASE32を用いた。また、粗さ層の表面層と空気層の体積比に関しては、表面層:空気層を10:0から1:9まで粗さ層における空気層の比率を1ずつ変化させて計算をした。
本実施例の各成膜条件で作製されたプラス帯電用a−Si感光体においては、粗さ層の表面層と空気層の体積比が8:2のときに
計算によって求められた波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係と
測定によって求められた波長と振幅比Ψ及び位相差Δの関係の
平均二乗誤差が最小となった。
分光エリプソメトリーによる測定が終了した後、上記測定用試料について下記の装置を用いてRBS(ラザフォード後方散乱法)により、RBSの測定面積における表面層中のケイ素原子及び炭素原子の原子数を測定した。
後方散乱測定装置:AN−2500 日新ハイボルテージ(株)製
測定したケイ素原子及び炭素原子の原子数から、(C/(Si+C))を求めた。次に、RBSの測定面積から求めたケイ素原子及び炭素原子に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の膜厚を用いて、Si原子密度、C原子密度及びSi+C原子密度を求めた。
なお、中間層の(C/(Si+C))は、RBSの測定結果をシミュレーション解析によって、深さ方向の分析を行った。
RBSの具体的な測定条件は、入射イオン:4He+、入射エネルギー:2.3MeV、入射角:75°、試料電流:35nA、入射ビーム経:1mmである。また、RBSの検出器は、散乱角:160°、アパーチャ径:8mm、HFSの検出器は、反跳角:30°、アパーチャ径:8mm+Slitで測定を行った。
a−SiC表面層の欠陥密度は、電子スピン共鳴(ESR)法により、以下の装置を用いて測定した。
本体:BRUKER社製 Elexsys E580、
ガウスメーター:BRUKER社製 ER036TM、
クライオスタット:OXFORD社製 ESR900。
測定用試料は感光体の任意の周方向における長手方向の中央部を短冊状(20mm×3mm)に切り出し、以下の条件でESR測定を行った。
リファレンス感光体からも同様にリファレンス試料を切り出した。リファレンス試料についても同様にESR測定を行い、測定用試料とリファレンス試料との差分から表面層に起因する欠陥数を算出した。なお、a−SiC表面層の欠陥密度(スピン密度)は、主にC上のダングリングボンドに起因すると考えられる信号(g値=2.0020〜2.0030付近)から算出した。ESRの測定面積から求めた欠陥数に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の膜厚を用いて、欠陥密度を求めた。
ESR法の具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定温度:30K、中心磁場:3369G、磁場掃引範囲:200G、
変調:100kHz,20G、マイクロ波:9.43GHz,2μW、
掃引時間:83.886s×10times、時定数:163.84ms、
データポイント数:1024points、キャビティ:TE011,円筒型。
a−SiC表面層の官能基についてFT−IR−ATR(フーリエ変換赤外分光−減衰全反射)法により、以下の装置を用いて測定した。
Bio−Rad Digilab製:FT−IR装置 FTS−55A
測定サンプルは感光体の任意の周方向における長手方向の中央部を15mm四方の正方形で切り出し、以下の条件でFT−IR−ATR測定を行った。
FT−IR−ATR法の具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
光源:特殊セラミックス、検出器:HgCdTe、分解能:4cm−1、
積算回数:256回、IRE:Ge、入射角:60度、
アタッチメント:一回反射ATR用アタッチメント(シーガル)。
なお、上記条件でa−SiC表面層の屈折率を1.9〜2.5とした場合、ATR法の測定深度は2000cm−1で、最大0.2μmである。よって、a−SiC表面層を0.3μm以上積層することで、a−SiC表面層よりも下層の影響を無視できる。
測定波形のベースライン補正を行い、波数2890cm−1の吸光度a1に対する波数2960cm−1の吸光度a2の比a2/a1を求めた。
該結着樹脂は、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル部位を有することを特徴とする。該結着樹脂を含有するトナーを、上記感光体と共に用いることで、従来にない転写効率が得られる。
本発明に用いられる脂肪族化合物はモノカルボン酸又はモノアルコールであることが重要である。官能基が1価である為、脂肪族化合物はポリエステル部位の末端に結合することになる。末端に結合した脂肪族化合物由来のアルキル基は、分子鎖の内部に結合したアルキル基よりも分子運動がし易いため、表面への移動が起こりやすくなり、効果的にトナーの表面自由エネルギーの低下に寄与する。
炭素数を30以上とすることにより、結着樹脂の分子鎖に結合した脂肪族化合物由来のアルキル基がある程度の大きさを有する為、トナーと感光体の付着力を効果的に低減する上で十分な大きさとなり、転写効率が良好となる。さらに、効果的に着色剤や荷電制御剤を結着樹脂中に分散させることができ、トナーのミクロな帯電均一性が向上して、飛び散りが良化する。飛び散りとは、感光体上の静電潜像をトナーで現像する際に、帯電が不均一なトナーは、現像バイアスに十分に追従することができない為、画像部周辺の非画像部にもトナーが散ったように現像される現象である。
炭素数を102以下とすることにより、分子量が大きくなりすぎず、結着樹脂中である程度自由に動くことが可能となり、表面へ偏り易くなると考えられる。その結果、効果的にトナーと感光体との付着力を低減することができ、転写効率が良好となる。また、荷電制御剤と結着樹脂の相互作用を阻害することなく、良好な帯電均一性を得ることが可能となり、飛び散りが良好になると考えられる。
該結着樹脂は、脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル樹脂を含有することがより好ましい。ポリエステル樹脂を含有することで帯電量が高くなり、ライン/ベタ比が良好となる。
ポリエステル部位を構成する2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;炭素数1以上50以下のアルケニルコハク酸類若しくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどが挙げられる。
脂肪族多価アルコールを上記範囲で含有することにより、定着後のトナー同士の溶融状態がより均一になり、ガサツキが良好となる。出力した画像のガサツキは、定着後のトナーの溶融状態に影響を受ける。すなわち、トナーが均一に溶融した状態であれば、目視評価でも滑らかな画像が得られ、ガサツキが良好となる。脂肪族多価アルコールを含有することで、トナー定着温度領域において、トナーの溶融粘度が低下し易いため、トナー同士がより均一に溶融しやすくなる。
トビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C2H5O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(OHC8H16O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3
N)2(C18H37O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)1(C3H7O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6H14O3N)3(C3H7O)1〕などが挙げられ、これらの中ではチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましい。
この他のチタン触媒の具体例としては、テトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(C4H9O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C3H7O)4〕、テトラステアリルチタネー
ト〔Ti(C18H37O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C14H29O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C8H17O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C8H17O)2(OHC8H16O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C14H29O)2(C8H17O)2〕などが挙げられ、これらの中ではテトラ−n−
ブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましい。
スチレン系モノマーとしては、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンのようなスチレン誘導体が挙げられる。
アクリル酸系モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸及びアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸及びそのエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
上記アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。
例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
そのため、両樹脂のモノマーのいずれとも反応しうる化合物(以下「両反応性化合物」という)を用いて重合を行うことが好ましい。このような両反応性化合物としては、前記の縮重合系樹脂のモノマー及び付加重合系樹脂のモノマー中の、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、及びフマル酸ジメチルなどの化合物が挙げられる。これらのうち、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸が好ましく用いられる。
ハイブリッド樹脂において、ポリエステル部位とビニル系重合部位の混合比(質量比)は50/50〜90/10であることが分子レベルでの架橋構造の制御の観点で好ましく、50/50〜80/20がより好ましい。ポリエステル部位を50質量%以上含有することで低温定着性が良好となり、またビニル系重合部位を10質量%以上含有することで帯電安定性が良好となる。
具体的には、脂肪族モノカルボン酸としては、メリシン酸、ラクセル酸、テトラコンタン酸、ペンタコンタン酸などが挙げられる。
また、脂肪族モノアルコールとしては、メリシルアルコール、テトラコンタノールなどが挙げられる。
これら変性ワックスは、0価、1価及び多価の成分が混ざった混合物中に1価の変性ワックスが50質量%以上含まれていれば、本発明の効果を損なうことはない。
上記酸変性された脂肪族炭化水素系ワックス、及び、アルコール変性された脂肪族炭化水素系ワックスの具体例として、以下のものが挙げられる。
本発明における酸変性された脂肪族炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレン又はポリプロピレンがアクリル酸のような1価の不飽和カルボン酸により変性されているものが好ましい。
また、2級のアルコール変性脂肪族炭化水素系ワックスを製造する工程として、例えば、脂肪族炭化水素系ワックスを、好ましくはホウ酸及び無水ホウ酸の存在下で、分子状酸素含有ガスで液相酸化することにより得られる。得られた炭化水素系ワックスは、さらにプレス発汗法による精製、溶剤を使用した精製、水添処理、硫酸での洗浄後に活性白土による処理をおこなってもよい。触媒としてはホウ酸と無水ホウ酸の混合物を使用することができる。ホウ酸と無水ホウ酸との混合比(ホウ酸/無水ホウ酸)はモル比で、好ましくは1.0以上2.0以下、より好ましくは1.2以上1.7以下である。無水ホウ酸の割合が前記範囲より少ないと、ホウ酸の過剰分が凝集現象を引き起しやすくなる傾向にある。また無水ホウ酸の割合が前記範囲より多いと、反応後無水ホウ酸に由来する粉末物質が回収され、また過剰の無水ホウ酸は反応に寄与せず経済的な面からも好ましくない。
ホウ酸/ホウ酸無水物以外に、メタホウ酸及びピロホウ酸も使用可能である。また、ア
ルコールとエステルを形成するものとしてホウ素の酸素酸、リンの酸素酸、及びイオウの酸素酸が挙げられる。具体的には、ホウ酸、硝酸、リン酸又は硫酸が挙げられる。
反応系に吹き込む分子状酸素含有ガスとしては酸素、空気、又はそれらを不活性ガスで希釈した広範囲ものが使用可能である。ガスは酸素濃度が1体積%以上30体積%以下であるのが好ましく、より好ましくは3体積%以上20体積%以下である。
液相酸化反応は通常溶媒を使用せず、原料の脂肪族炭化水素の溶融状態下で行なわれる。反応温度は120℃以上280℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下である。反応時間は1時間以上15時間以下が好ましい。
反応終了後反応混合物に水を加え、生成した脂肪族炭化水素系ワックスのホウ酸エステルを加水分解・精製して、所望の官能基を有するアルコール変性された脂肪族炭化水素系ワックスが得られる。
脂肪族化合物を結着樹脂の末端に縮合する方法は、特に限定されるわけではない。好適な態様としては、結着樹脂を製造する際、結着樹脂が有するポリエステル部位を構成するモノマーに脂肪族化合物を同時に添加し、縮重合を行うことが好ましい。これによって、結着樹脂が有するポリエステル部位の末端に、十分に脂肪族化合物を縮合することができる。
該結着樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂である結着樹脂A及びポリエステル部位とビニル系重合部位とのハイブリッド樹脂である結着樹脂Bを含有することがこのましい。また、該結着樹脂A及び結着樹脂Bが、(好ましくは炭素数30以上102以下の)脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル部位を含有することがより好ましい。結着樹脂A及び結着樹脂Bに脂肪族化合物が存在することで、転写効率が良好になる。
効果的に相互作用して、帯電均一性が向上する。
また、上記のように複数の結着樹脂を併用する(例えば該結着樹脂A及び該結着樹脂Bを含有する)場合、高軟化点樹脂と低軟化点樹脂を用いることが好ましい。高軟化点樹脂は、軟化点が120℃以上170℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上145℃以下である。また、低軟化点樹脂は軟化点が70℃以上120℃未満であることが好ましく、より好ましくは80℃以上100℃未満である。
このような系では、トナーの分子量分布の設計を比較的容易に行うことができ、幅広い定着領域を持たせることができるので好ましい。
なお、軟化点は、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
測定試料は、約1.0gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナー用結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。測定試料として、結着樹脂約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降
温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
本発明に係るトナーは、荷電制御剤として、既知の荷電制御剤を使用することができる。例えば、アゾ系鉄化合物、アゾ系クロム化合物、アゾ系マンガン化合物、アゾ系コバルト化合物、アゾ系ジルコニウム化合物、カルボン酸誘導体のクロム化合物、カルボン酸誘導体の亜鉛化合物、カルボン酸誘導体のアルミ化合物、カルボン酸誘導体のジルコニウム化合物が挙げられる。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下使用することが好ましい。
本発明に係るトナーは、荷電制御剤として、下記式〔1〕
で示される化合物を含有することが好ましい。式〔1〕で示される化合物を含有することで、トナーの帯電量が高くなり、ライン/ベタ比が良好となり、文字のようなライン画像を印刷する場合でも、消費量が良好となる。
拌溶解する。そこに前記ジアゾ化合物を注加し、室温で数時間撹拌し、カップリングを行う。撹拌後、ジアゾ化合物とレゾルシンとの反応がないことを確認し反応終了とする。水を加えた後十分に撹拌し、静置してから分液する。さらに水酸化ナトリウム水溶液を加え、撹拌洗浄し分液を行う。これによって、モノアゾ化合物の溶液を得る。
液温を30℃以上40℃以下に昇温し、TLCで反応を追跡する。5時間以上10時間以下反応後、原料のスポットが消失したことを確認し、反応終了とする。撹拌停止後、静止し、分液を行う。さらに水、n−ブタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え、アルカリ洗浄を行う。濾過を行い、ケーキを取り出し、水で洗浄する。
水洗浄したケーキを有機溶剤に溶解させる。この時用いる有機溶剤としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1価アルコール、2価アルコールが好ましい。1価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、エチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜4)エーテルが挙げられる。2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。
この溶解液を50℃に昇温し、撹拌させながら水を添加していくことで、徐々に荷電制御剤を析出させる。あらかじめ水に消泡剤を添加しておくと、系内で発生する泡を除去することで、荷電制御剤を均一にできる。冷却濾過後、水によりケーキを洗浄し、さらにケーキを真空乾燥することで、本発明のピラゾロンモノアゾ金属化合物を得ることができる。
また、該荷電制御剤は、下記式〔2〕で表されるモノアゾ鉄化合物であることが好ましい。
即ち、配位金属が鉄であることが好ましい。配位金属を鉄とすることで、トナーに長期に渡り安定な帯電性能を与えることができる。その結果、ライン/ベタ比が良好となる。
該荷電制御剤は、下記式〔3〕で表されるモノアゾ鉄化合物であることがさらに好ましい。
式〔3〕に示す構造をとることで、より帯電量分布がシャープなトナーが得られ、ライ
ン/ベタ比が良好となる。
該荷電制御剤は、体積平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましい。体積平均粒径をこの範囲にすることで、結着樹脂中の分散性が向上する。
荷電制御剤の粒径はレーザー回折型粒度分布計のコールターLS−230型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定する。測定溶媒としてはエタノールを使用する。エタノールにて粒度分布計の測定系内を数回洗浄、置換し、バックグラウンドファンクションを実行する。
次に下記のようにして試料液を得て、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDS(濃度)が45%以上55%以下になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、体積分布から算術した分布から頻度比率を求める。
装置係数としてはエタノールの屈折率を1.36とし、光学モデルとしては1.08(実数部)−0.00i(虚数部)として測定を行った。なお、本発明におけるレーザー回折型粒度分布計のコールターLS−230型粒度分布計の粒度測定範囲は0.040以上2000μm未満である。測定温度としては20℃以上25℃以下の範囲で行った。
なお、本発明における超音波振動層としては井内盛栄堂社製のULTRASONIC CLEANER VS−150型(周波数50kHz、最大出力150W)を使用した。
この測定におけるサンプル濃度は、微粉体の凝集及び分散を観測するのに適しており、微粉体の粒径の分布を正確に観測することができる濃度である。なお、粒径が小さいもの、又は凝集性が低いサンプルを測定する場合には、サンプル量を0.2gとし、エチルアルコールの量を50mlとしてもよい。
なお、コールターLS−230型粒度分布計においては、先ず各粒子の粒径を求め、以下のチャンネルに振り分ける。そして、各チャンネルの中心径をそのチャンネルの代表値とし、その代表値を直径として有する球を想定し、その球の体積をもとに体積基準の粒度分布を求めている。
ピラゾロンモノアゾ金属化合物中に含まれる酢酸エステルは、トナー製造工程の混練工程で大部分が揮発する。酢酸エステルが揮発する際は、トナー中に含まれる荷電制御剤と結着樹脂の界面から揮発していく為、結着樹脂と荷電制御剤の密着性を弱める働きをする。その為、粉砕工程で結着樹脂と荷電制御剤との界面で粉砕されやすく、荷電制御剤がトナー表面に露出しやすい。その結果、荷電制御剤の効果がより顕著となり、選択現像性が良好になると考えられる。
好ましい酢酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシルなどが挙げられ、特に酢酸ブチル、より好ましくは酢酸n−ブチルが用いられる。
<酢酸エステル含有量の測定方法>
酢酸エステル含有量は、ヘッドスペース法による加熱温度120℃における有機揮発成分分析による荷電制御剤のトルエン換算の有機揮発成分量として算出する。具体的には以下のようにして測定することができる。
ヘッドスペース用バイアル瓶(容積22ml)に荷電制御剤50mgを精秤し、クリン
パーを用いてクリンプキャップとフッ素樹脂コーティングされた専用セプタムでシールする。このバイアルをヘッドスペースサンプラーにセットし、下記条件でガスクロマトグラム(GC)分析を行なう。そして、得られたGCチャートのピークの総面積値をデータ処理により算出する。この際、荷電制御剤を封入していない空のバイアルもブランクとして同時に測定し、ブランク測定における測定値については荷電制御剤測定データから差し引く。
一方、バイアルの中にトルエンのみを精秤したものを数点(例えば0.1μl、0.5μl、1.0μl)準備し、荷電制御剤サンプルの測定を行なう前に下記分析条件にてそれぞれ測定を行なった後、トルエンの仕込み量とトルエン面積値から検量線を作成する。
トルエン換算の有機揮発成分量は、この検量線を元に荷電制御剤の有機揮発成分の面積値をトルエンの質量に換算し、さらに荷電制御剤の質量を基準とした量に換算することによって得られる。
ヘッドスペースサンプラー:Turbo Matrix HS40(株式会社パーキンエルマージャパン製
)
オーブン温度 :120℃
トランスファーライン温度:125℃
ニードル温度:125℃
保温時間:60分
サイクルタイム:65分
加圧時間:2.5分
注入時間:0.08分
キャリアーガス:He
GC :TRACE GC Ultra(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式
会社製)
MS:ISQ(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)
カラム :HP−5MS(内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、カラム長:60m
)
昇温条件:(1)40℃:3分ホールド、(2)2℃/分で70℃まで昇温、(3)5℃/分で150℃まで昇温、(4)10℃/分で300℃まで昇温後1分ホールド。
Inlet条件
温度;200℃
圧力:150kPa
Split flow:10mL
Split ratio:7
荷電制御剤の電気伝導度を300μS/cm以下に調整する方法としては、十分な量の水を用いて繰り返し洗浄、濾過を行う方法があり、濾過方法としてはフィルタープレスや遠心濾過などがある。さらには逆浸透膜、半透膜を用いる方法、あるいは、荷電制御剤を溶解し、結晶を再析出させる晶析操作による精製方法などがある。
荷電制御剤乾燥品1.5gをイオン交換水150mlに分散して、15分間煮沸する。流水により、室温まで冷却後、5A濾紙で濾過する。この濾液について蒸出水はイオン交換水で150mlに調整し、電気伝導度計(HORIBA導電率メーターES−14)で測定する。
また、該荷電制御剤の比表面積は、3.0m2/g以上30.0m2/g以下であることが好ましい。
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、以下の方法が挙げられる。結着樹脂に着色剤などとともに添加し、混練し、粉砕する方法(粉砕トナー)、又は重合性の単量体モノマーにモノアゾ金属化合物を添加し、重合せしめてトナーを得る方法(重合トナー)のように、予めトナー粒子の内部に添加(内添)する方法;予めトナー粒子を製造し、トナー粒子の表面に添加(外添)する方法。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
非磁性一成分トナー、及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162などが挙げられる。これらのものを単独又は2以上を併用して用いる。
ト19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122など、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27など、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40など、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28などの塩基性染料などが挙げられる。これらのものを単独又は2以上を併用して用いる。
て合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンのようなアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。具体的には、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
シリカ微粉末のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉末の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
シリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
体が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
<トナーの重量平均粒径(D4)測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約
1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
図3のプラズマ処理装置を用いて、下記表2に示す条件で、円筒状基体の上に下部阻止層、光導電層、上部阻止層及び表面層を順次形成し、負帯電用のa−Si感光体1〜7を作製した。円筒状基体として、直径84mm、長さ371mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム製の導電性基体を使用した。
なお、表面層形成時の原料ガスの流量、反応圧力、高周波電力及び基体の温度(基体温
度)を下記表3に示す条件とした。感光体の作製本数は、各成膜条件(層形成条件)で2本ずつ作製した。また、表2の下部阻止層、光導電層及び上部阻止層のみを形成したリファレンス感光体を1本作製した。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加物):45.0mol部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2mol付加物):40.0mol部
・エチレングリコール:15.0mol部
・テレフタル酸:100.0mol部
上記ポリエステル部位を構成するモノマー95質量部及び炭素数50の脂肪族モノアルコール(ポリエチレンの片末端にヒドロキシル基を有するワックス)5質量部をテトラ−n−ブチルチタネート500ppmと共に5リットルオートクレーブに仕込んだ。そこに、還流冷却器、水分分離装置、N2ガス導入管、温度計及び撹拌装置を付し、オートクレ
ーブ内にN2ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるよ
うに反応時間を調整し、反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂A−1を得た。Tg及びTmを表5に示す。
エチレングリコール(表中、EGと記載)とビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加物)(表中、BPA−EOと記載)のmol部を表5に示す様に変更する以外は、結着樹脂A−1の製造例に従い、結着樹脂A−2〜A−4を得た。
(ポリエステル部位の処方)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加物):100.0mol部
・テレフタル酸: 65.0mol部
・無水トリメリット酸: 25.0mol部
・アクリル酸: 10.0mol部
上記ポリエステル部位を構成するモノマーの混合物55質量部及び炭素数50の脂肪族モノアルコール5質量部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌した。
そこに、ビニル系共重合部位を構成するビニル系共重合モノマー(スチレン90.0mol部と2−エチルヘキシルアクリレート:10.0mol部)40質量部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1質量部を滴下ロートから4時間かけて滴下し、160℃で5時間反応させた。
その後、230℃に昇温して、ポリエステル部位を構成するモノマー成分の総量に対して0.2質量部のテトラ−n−ブチルチタネートを添加し、所望の軟化点になるまで重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂B−1を得た。
0.2質量部のチタンテトラブトキシドの代わりに、0.2質量部のジブチルスズオキシドを用いて、脂肪族化合物の質量部、炭素数及び種類を表6に示す様に変更する以外は、結着樹脂B−1の製造例に従い、結着樹脂B−2〜B−7を得た。
水580部及び35%塩酸84部の混合溶液中に、4−クロロ−2−アミノフェノールの57.4部を加え、冷却下で撹拌した。氷冷し、溶液の温度が0℃以上5℃以下になるように維持し、水50.7部に溶解させた亜硝酸ナトリウム28.2部を塩酸水溶液に滴下し、2時間撹拌しジアゾ化した。これにスルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、濾過を行ってジアゾ溶液とした。
次に、3−メチル−1−(3,4−ジクロロフェニル)−5−ピラゾロンの101部を水475部、炭酸ナトリウム95部、及びn−ブタノール840部の混合溶液に添加し溶解させた。そこに上記ジアゾ溶液を加え、温度20℃以上22℃以下で4時間撹拌し、カップリング反応を行った。その後、25%水酸化ナトリウム水溶液43.5部を加え撹拌洗浄し、下層の水層を分液除去した。
次に、水226部、サリチル酸29部、n−ブタノール823.7部、及び15%炭酸ナトリウム242.4部を上記反応液に添加し撹拌した。さらに、38%塩化第二鉄水溶液89.6部を添加し、液温を温度30℃に昇温した後、8時間撹拌し錯体化反応を行い、反応物を濾過した。この濾過物を水1000部で洗浄する作業を5回繰り返した。温度60℃で24時間真空乾燥し、モノアゾ金属化合物98.8部を得た。これを荷電制御剤1とする。
荷電制御剤1の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、式(3)の化合物でX+
が水素イオンであることを確認した。
荷電制御剤1の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径が5.5μm、4.0μm以上の粒子の割合が73%であった。さらに、荷電制御剤1をイオン交換水に1質量%分散させた時の電気伝導度は560μS/cmであった。
荷電制御剤の製造例1で得られた荷電制御剤1を80質量部、ジメチルスルホキシド320質量部に添加し溶解させた。そこに、消泡剤KF995(環状ジメチルシリコーン)5質量部と酢酸n−ブチル0.005質量部、水5000質量部の混合溶液を滴下し、モノアゾ金属化合物を析出させた。滴下終了後、得られた析出物を水1000質量部で洗浄した後、温度60℃で24時間真空乾燥し、目的化合物である荷電制御剤2を得た。
荷電制御剤2の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、式(3)の化合物でX+が水素イオンであることを確認した。
荷電制御剤2の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径が0.9μm、4.0μm以上の粒子の割合が6%であった。また、酢酸n−ブチルの含有量は10ppmであった。さらに、荷電制御剤2をイオン交換水に1質量%分散させた時の電気伝導度は21μS/cmであった。
荷電制御剤の製造例2の中で、酢酸n−ブチルを0.001質量部にして、滴下速度により析出スピードを調整した以外は同様にして、荷電制御剤3を得た。
荷電制御剤3の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、式(3)の化合物でX+が水素イオンであることを確認した。
荷電制御剤3の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径が1.8μm、4.0μm以上の粒子の割合が12%であった。また、酢酸n−ブチルの含有量は1ppmであった。さらに、荷電制御剤3をイオン交換水に1質量%分散させた時の電気伝導度は17μS/cmであった。
荷電制御剤の製造例2の中で、酢酸n―ブチルを0.2質量部にして、滴下速度により析出スピードを調整した以外は同様にして、荷電制御剤4を得た。
荷電制御剤4の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、式(3)の化合物でX+が水素イオンであることを確認した。
荷電制御剤4の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径が2.0μm、4.0μm以上の粒子の割合が13%であった。また、酢酸n―ブチルの含有量は300ppmであった。さらに、荷電制御剤4をイオン交換水に1質量%分散させた時の電気伝導度は14μS/cmであった。
荷電制御剤の製造例2の中で、酢酸n−ブチルを0.3質量部にして、滴下速度により析出スピードを調整した以外は同様にして、荷電制御剤5を得た。
荷電制御剤5の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、式(3)の化合物でX+が水素イオンであることを確認した。
荷電制御剤5の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径が0.5μm、4.0μm以上の粒子の割合が2%であった。また、酢酸n―ブチルの含有量は500ppmであった。さらに、荷電制御剤5をイオン交換水に1質量%分散させた時の電気伝導度は33μS
/cmであった。
荷電制御剤の製造例5の中で、酢酸n―ブチルを0.1質量部、水を500質量部にして、滴下速度により析出スピードを調整した以外は同様にして、荷電制御剤6を得た。
荷電制御剤6の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、式(3)の化合物でX+が水素イオンであることを確認した。
荷電制御剤6の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径が2.2μm、4.0μm以上の粒子の割合が16%であった。また、酢酸n―ブチルの含有量は1000ppmであった。さらに、荷電制御剤6をイオン交換水に1質量%分散させた時の電気伝導度は293μS/cmであった。
荷電制御剤の製造例5の中で、酢酸n―ブチルを0.1質量部、水を200質量部にして、滴下速度により析出スピードを調整した以外は同様にして、荷電制御剤7を得た。
荷電制御剤7の構造を、赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより同定したところ、式(3)の化合物でX+が水素イオンであることを確認した。
荷電制御剤7の粒度分布を測定したところ、体積平均粒径が2.3μm、4.0μm以上の粒子の割合が18%であった。また、酢酸n―ブチルの含有量は1100ppmであった。さらに、荷電制御剤7をイオン交換水に1質量%分散させた時の電気伝導度は365μS/cmであった。
・結着樹脂A−1: 30質量部
・結着樹脂B−1: 70質量部
・フィッシャートロプッシュワックス: 4質量部
(サゾール社製、C105、融点105℃)
・磁性酸化鉄粒子(平均粒径0.15μm、Hc=11.5kA/m、σs=88Am2
/kg、σr=14Am2/kg) 75質量部
・荷電制御剤2: 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。この時、混練された樹脂の温度が150℃になるように滞留時間をコントロールした。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)を用いて分級し、重量平均粒径(D4)が7.3μmのトナーを得た。該トナー100質量部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g、疎水化処理としてヘキサメチルジシラザン処理)1.0質量部とチ
タン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)3.0質量部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
表7に記載の様に処方を変更し、それ以外は実施例1と同様にして、トナー2〜15を作製した。
なお、表7における荷電制御剤のT77とは、下記式〔4〕で表わされるモノアゾ鉄錯体(保土谷化学工業(株))である。
評価は、キヤノン(株)製のデジタル電子写真装置「image RUNNER ADVANCE 8105 Pro」(商品名)の改造機を用いた。改造機は、一次帯電及び現像バイアスを外部電源から印加する構成とし、一次帯電及び現像バイアスの直流成分を負帯電に変更した。この改造機の感光体を感光体1に変更し、感光体への露光部を反転させて、感光体の露光部にトナーを現像する反転現像プロセスに変更した。このとき、感光体ヒーターをONにする条件で実施した。さらに、現像器にトナー1を補給して、下記条件で各種評価を行った。
温度30℃、湿度80RH%環境(以下、H/H環境とも表記する)において、初期及び10万枚耐久後の転写効率を評価した。転写紙としてはCS−680、A4紙(坪量68g/m2)を一晩H/H環境に放置して充分に吸水した紙を使用した。転写効率は10
cm2のべた黒パッチを通紙して、感光体上の転写残トナー及び転写前トナーの重量を測定し、計算して評価した。
A:非常に良好(98%以上)
B:良好(95%以上98%未満)
C:普通(92%以上95%未満)
D:やや悪い(90%以上92%未満)
E:悪い(90%未満)
H/H環境下での耐久使用において、10万枚後に100μm(潜像)ラインでの格子パターン(1cm間隔)をプリントし、その飛び散りを、光学顕微鏡を用いて目視で評価した。
(評価基準)
A(非常に良好):ラインが非常にシャープで飛び散りはほとんどない
B(良好):わずかに飛び散っている程度でラインはシャープ
C(普通):飛び散りがやや多いがラインは比較的シャープ
D(悪い):飛び散りがかなり多くラインがぼんやりした感じになる
H/H環境下において、10万枚耐久使用後にFFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.9mg/cm2となるように直流電圧VDCを調整した。
縦1cm、横7cmのベタ黒パッチがドラム上に現像された状態で本体を止めて、ドラム上のベタ黒部のトナーの載り量(Mb)を測定する。
次いで、縦1cm、横7cmの範囲に170μmのラインを20本書いたパッチ(ライン:ベタ白=4:8)がドラム上に現像された状態で本体を止めて、ドラム上のライン部のトナーの載り量(Ml)を測定する。
ライン部の載り量(Ml/(7*4/12))/ベタ黒部の載り量(Mb/7)を計算して求めて評価した。
(評価基準)
A(非常に良好):1.30未満
B(良好):1.30以上1.40未満
C(普通):1.40以上1.50未満
D(悪い):1.50以上
ハーフトーン(30H)画像を形成し、この画像を目視にて観察し、ガサツキについて以下の基準に基づき評価した。なお、30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hをベタ白(非画像)とし、FFHをベタ黒(全面画像)とするときのハーフトーン画像である。この評価を、温度23℃、湿度5RH%環境(以下、N/L環境とも表記する)において、10万枚耐久使用後に行い、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A(非常に良好):全くガサツキを感じなく、なめらかである。
B(良好):ガサツキを余り感じない。
C(普通):ややガサツキ感はあるが、実用上問題ないレベルである。
D(悪い):ガサツキ感があり、問題である。
H/H環境下での耐久使用において、初期と10万枚後に現像器内のトナーの粒度分布を測定し、体積平均粒径の変化を以下の基準に基づき評価した。
(評価基準)
A(非常に良好):0.20未満
B(良好):0.20以上0.30未満
C(普通):0.30以上0.40未満
D(悪い):0.40以上
画像データは、プリンタードライバーを介さずに直接出力可能な構成とし、図4示すA3のテストチャートを出力して行った。このテストチャートは、画像の先端側にベタ白とベタ黒の繰り返しパターンがあり、その後、600dpiの1ドット1スペースの面積比率25%のハーフトーンで形成されている。感光体の1周目でベタ白ベタ黒の画像を形成した感光体部分が、2周目でハーフトーンを形成した画像において、該ハーフトーン部分の、1周目でベタ白を形成した感光体部分に対応する部分の濃度と、1周目でベタ黒を形成した部分に対応する部分との濃度差を、反射濃度計(X−Rite Inc製:504
分光濃度計)により画像濃度を測定した。
この評価において、濃度差から以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):濃度差が0.010未満
B(普通):濃度差が0.010以上0.020未満
C(悪い):濃度差が0.020以上
以上の各評価項目において、実施例1の構成は全てA判定であった。
表8に記載の様に感光体とトナーを変更し、それ以外は実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表8に示す。
実施例5は、10万枚耐久使用後の転写効率がB評価となった。感光体の吸光度の比a2/a1が、0.54である為、感光体表面層がやや耐久により変化したと考えられる。また、選択現像性もB評価であった。荷電制御剤6に含まれる酢酸ブチルの量が1000ppmと多い為、選択現像性が若干悪化したと考えられる。さらに、画像メモリーもB評価であった。感光体5の欠陥密度が9.0 ×1018spins/cm3と低めである
為、感光体の抵抗が高くなり、画像メモリーが若干悪化したと考えられる。
実施例6及び7は、ガサツキがB評価となり、選択現像性がC評価となった。結着樹脂Aの脂肪族多価アルコールの量が影響して、結着樹脂とエステル基濃度と荷電制御剤との相互作用が低下して、ガサツキに若干影響したと考えられる。また、酢酸ブチルの量が1
100ppmと多い為、選択現像性に影響したと考えられる。
実施例8はガサツキがC評価となった。結着樹脂Aの脂肪族多価アルコールが35mol%と多い為、ガサツキが悪化したと考えられる。
実施例10は、ライン/ベタ比がC評価となった。荷電制御剤をT77に変更したことで帯電量が低下し、ライン/ベタ比が若干悪化したと考えられる。
実施例11及び12は初期の転写効率がB評価であり、飛び散りがB評価となった。実施例11は炭素数30の脂肪族化合物が0.1質量%と含有量が少ない為、トナーと感光体の付着力を抑制する効果が弱く、初期の転写効率が若干悪化したと考えられる。さらに、飛び散りに関しては、結着樹脂中に着色剤や荷電制御剤を分散させる効果が弱く、帯電均一性が悪化した為と考えられる。また、実施例12は炭素数102の脂肪族化合物が10質量%と多い為、トナーがやや変形しやすく、トナーと感光体の接触面積、帯電均一性が悪化して、飛び散りに影響したと考えられる。
実施例13及び14は、10万枚耐久使用後の転写効率がC評価であり、また飛び散りもC評価であった。実施例13及び14は脂肪族化合物が11質量%と多い為、トナーが変形しやすく、トナーと感光体の付着力が高まった為、転写効率が悪化したと考えられる。
表9に記載の様に感光体とトナーを変更し、それ以外は実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表9に示す。
比較例2は初期の転写効率がD評価であった。さらに、飛び散り、ライン/ベタ比、ガサツキ、選択現像性がD評価であった。結着樹脂が脂肪族化合物を含有していない為、トナーと感光体の付着力が高くなり、初期の転写効率が悪化したと考えられる。また、脂肪族化合物を含有していない為に、帯電性能が変化して、画質もそれぞれ1ランクずつ悪化したと考えられる。
比較例3は、10万枚後の転写効率がE評価であった。感光体7は表面層のSi+C原子密度が6.50×1022原子/cm3と低い為、耐久使用によって感光体表面層が変化して、感光体とトナーの付着力が増加した為と考えられる。
201:電子写真感光体、202:主帯電器、203:静電潜像形成手段(画像露光手段
)、204:現像器、205:中間転写体、206:クリーナー、207:前露光器
3100:堆積装置、3110:反応容器、3200:原料ガス供給装置、
3111:カソード電極、3112:基体、3113:基体加熱用ヒーター、3114:原料ガス導入管、3115:高周波マッチングボックス、3116:ガス配管、3117:リークバルブ、3118:メインバルブ、3119:真空計、3120:高周波電源、3121:絶縁材料、3123:受け台、
3221〜3225:原料ガスボンベ、3231〜3235:バルブ、3261〜3265:圧力調整器、3241〜3245:流入バルブ、3251〜3255:流出バルブ、3211〜3215:マスフローコントローラ、3260:補助バルブ
Claims (7)
- 静電荷像担持体を帯電し、帯電された該静電荷像担持体に静電荷像を形成し、該静電荷像をトナーにより現像してトナー像を形成し、該静電荷像担持体上の該トナー像を転写材に転写する画像形成方法において、
該静電荷像担持体は、少なくとも光導電層と、該光導電層の上の水素化アモルファスシリコンカーバイドで構成された表面層とを有する電子写真感光体であり、
該表面層におけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度との和が、6.60×1022原子/cm3以上であり、
該表面層の電子スピン共鳴測定によって求められる欠陥密度が、2.2×1019spins/cm3以下であり、
該トナーは結着樹脂を有するトナーであって、該結着樹脂は、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪族化合物が末端に縮合したポリエステル部位を有することを特徴とする画像形成方法。 - 前記脂肪族化合物が炭素数30以上102以下の脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪族化合物である請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記結着樹脂中の前記脂肪族化合物の含有量が、0.1質量%以上10質量%以下である請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記電子写真感光体は、前記表面層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(Si+C))が、0.50以上0.65以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記欠陥密度が、9.0 ×1018spins/cm3以上2.2×1019spi
ns/cm3以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成方法。 - 前記電子写真感光体は、前記表面層における赤外線吸収スペクトルにおける波数2890cm−1の吸光度a1に対する波数2960cm−1の吸光度a2の比(a2/a1)が、0.52以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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