以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態に係るノイズフィルタを示す斜視図である。図2は、図1のノイズフィルタの構成を示す分解斜視図である。図3は、図1のノイズフィルタの蓋部を示す平面図である。図4の(a)は図1の筒状部を示す斜視図、図4の(b)は図1の保持部を示す斜視図である。
図1及び図2に示されるように、ノイズフィルタ1は、伝導ノイズを取り除くための装置である。ノイズフィルタ1は、外部の電気回路に接続される。ノイズフィルタ1は、例えば、ハイブリッド自動車及び電気自動車等に搭載されるバッテリとインバータ回路との間に設けられ、電源ラインと接地ラインとの間に生じるコモンモードノイズを除去するために用いられる。ノイズフィルタ1は、例えば、入力電圧がDC600Vであり、定格電流が40Aである大容量のノイズフィルタである。ノイズフィルタ1は、ケース10と、コイル部30と、バスバー41(第1バスバー)と、バスバー42(第2バスバー)と、バスバー43(第3バスバー)と、バスバー44(第4バスバー)と、接続部50と、を備える。
ケース10は、コイル部30を収容するための部材である。ケース10は、例えば、略直方体の箱型形状を呈している。ケース10の高さ(方向D1における長さ)は、例えば、35mm程度、ケース10の長さ(方向D2における長さ)は、例えば、70mm程度、ケース10の幅(方向D3における長さ)は、例えば、70mm程度である。ケース10は、本体部11と、蓋部12と、底部13と、を備える。
本体部11は、方向D1における両端部11a,11bが開口された角形の筒状部材である。端部11aの開口及び端部11bの開口は、方向D1から見て略正方形である。本体部11は、例えば、耐熱性プラスチックによって構成されている。本体部11は、方向D2において対向する一対の側面11c,11dを備える。側面11c,11dには、ノイズフィルタ1を所望の場所に取り付けるための取付部14が設けられている。取付部14は、側面11c,11dのそれぞれにおいて複数設けられてもよい。この場合、取付部14は、方向D1及び方向D2と直交する方向D3に配列されている。取付部14には、方向D1に取付部14を貫通する挿通孔14aが設けられている。この挿通孔14aにビス等が挿通されることにより、ノイズフィルタ1が所望の場所に取り付けられる。本体部11の端部11aにおける4つの角には、螺子穴15が設けられている。後述するバスバー41〜44の接続孔41b〜44bを介してビス等の固定部材が螺子穴15に螺合されることにより、外部の電気回路が接続される。
図1〜図3に示されるように、蓋部12は、本体部11の端部11aの開口を閉塞するとともに、バスバー41〜44を支持する部材である。蓋部12は、略正方形の板状部材である。蓋部12は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂といった絶縁性を有する絶縁材料によって構成されている。蓋部12は、方向D1において対向する主面12a及び裏面12bと、方向D2において対向する周縁部12c及び周縁部12dと、方向D3において対向する周縁部12e及び周縁部12fと、を含む。蓋部12の主面12aには、バスバー41〜44を保持するための凹部21〜24(位置決め部)が設けられている。
凹部21〜24はそれぞれ、バスバー41〜44の外形に合わせて窪んでいる。凹部21及び凹部23は、主面12aの方向D3における中心線Cに対して略線対称であり、凹部22及び凹部24は、中心線Cに対して略線対称である。具体的には、凹部21は、周縁部12c側に設けられ、中心線Cから周縁部12eに延びる矩形状の窪みである。凹部22は、主面12aの中央付近から周縁部12eに向かって延び、さらに周縁部12dに向かって延びるL字状の窪みである。凹部23は、周縁部12c側に設けられ、中心線Cから周縁部12fに延びる矩形状の窪みである。凹部24は、主面12aの中央付近から周縁部12fに向かって延び、さらに周縁部12dに向かって延びるL字状の窪みである。凹部21及び凹部22は方向D2に配列され、凹部23及び凹部24は方向D2に配列されている。
凹部21の中心線C側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する孔部21aが設けられている。凹部21の周縁部12e側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する開口部21bが設けられている。凹部22の中心線C側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する孔部22aが設けられている。凹部22の周縁部12d側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する開口部22bが設けられている。凹部23の中心線C側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する孔部23aが設けられている。凹部23の周縁部12f側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する開口部23bが設けられている。凹部24の中心線C側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する孔部24aが設けられている。凹部24の周縁部12d側の端部には、蓋部12を方向D1に貫通する開口部24bが設けられている。
孔部21a〜24aは、接続部50が挿入されたバスバー41〜44を蓋部12に配置する際に、接続部50が蓋部12と干渉するのを避けるための孔である。孔部21a〜24aは、例えば、略円形の孔である。開口部21b〜24bは、バスバー41〜44に外部の電気回路が接続される際に、ビス等の固定部材の先端が蓋部12に当接することを回避するための部分である。開口部21b〜24bは、例えば、矩形状の孔である。開口部21b〜24bは、コイル部30の上に位置しないように配置されている。
蓋部12には、主面12aから裏面12bに蓋部12を貫通する放熱孔25が設けられている。放熱孔25は、ケース10内部で発生した熱を外部に放散するための孔である。放熱孔25は、例えば、矩形状の孔である。放熱孔25は、凹部21と凹部22との間、凹部23と凹部24との間、並びに、凹部22及び凹部24により囲まれた部分に配置される。
蓋部12の主面12aには、仕切部26が設けられている。仕切部26は、バスバー41とバスバー43との間の絶縁耐圧を向上するとともに、バスバー42とバスバー44との間の絶縁耐圧を向上するための板状部材である。仕切部26は、凹部21と凹部23との間、及び、凹部22と凹部24との間に配置され、中心線Cに沿って主面12aの中央付近から周縁部12cまで延びている。つまり、仕切部26は、バスバー41とバスバー43との間の沿面距離を大きくすることにより、バスバー41とバスバー43との間の絶縁耐圧を向上する。また、仕切部26は、バスバー42とバスバー44との間の沿面距離を大きくすることにより、バスバー42とバスバー44との間の絶縁耐圧を向上する。
底部13は、本体部11の端部11bの開口を閉塞する部材である。底部13は、例えば、略正方形の板状部材である。底部13は、ノイズフィルタ1において発生した熱を外部に放散するための部材であり、例えば、アルミニウム等の熱伝導性を有する金属によって構成される。本体部11、蓋部12及び底部13によって、ケース10の収容空間Sが規定される。
コイル部30は、伝導ノイズを取り除くためのデバイスである。コイル部30は、例えば、コモンモードチョークコイルである。コイル部30は、ケース10の収容空間Sに収容される。コイル部30は、コア31と、導線32(第1導線)と、導線33(第2導線)と、一対の支持部材34と、セパレータ35と、を備える。コア31は、例えば、環状形状を呈している。コア31は、例えば、アモルファスによって構成される。コア31は、方向D1に延びる軸線を有し、コア31の軸線及び方向D2により規定される面によって区分される領域31a(第1領域)及び領域31b(第2領域)を含む。
導線32は、コア31の領域31aにおいて、コア31に巻き回されてコイルを形成している。導線32の直径は、例えば、2mm程度である。導線32の一端32aは、本体部11の側面11c側において、コア31の外周面に沿って方向D1に延び、蓋部12の裏面12bに向かって突出している。導線32の他端32bは、コア31の軸線付近において、コア31の内周面に沿って方向D1に延び、蓋部12の裏面12bに向かって突出している。一端32aは、例えば、導線32によって形成されるコイルの入力端であり、他端32bは、例えば、導線32によって形成されるコイルの出力端である。
導線33は、コア31の領域31bにおいて、コア31に巻き回されてコイルを形成している。導線33の直径は、例えば、2mm程度である。導線33の一端33aは、本体部11の側面11c側において、コア31の外周面に沿って方向D1に延び、蓋部12の裏面12bに向かって突出している。導線33の他端33bは、コア31の軸線付近において、コア31の内周面に沿って方向D1に延び、蓋部12の裏面12bに向かって突出している。一端33aは、例えば、導線33によって形成されるコイルの入力端であり、他端33bは、例えば、導線33によって形成されるコイルの出力端である。
一対の支持部材34は、セパレータ35を支持するための部材である。支持部材34はそれぞれ環状部材であって、コア31が挿通するようにコア31に嵌め合わされている。支持部材34は、例えば、耐熱性プラスチック等の絶縁性を有する絶縁材料によって構成されている。一対の支持部材34は、方向D2において対向している。一対の支持部材34には、方向D1に延びるスロット34aが互いに対向してそれぞれ設けられている。つまり、一対のスロット34aは、互いに対向するようにコア31の内側に配置される。
セパレータ35は、導線32と導線33との間の絶縁耐圧を向上するための部材である。セパレータ35は、例えば、T字状の板状部材である。セパレータ35は、例えば、耐熱性プラスチック等の絶縁性を有する絶縁材料によって構成されている。セパレータ35は、一対の支持部材34のスロット34aに挿入され、支持部材34によって支持される。支持部材34及びセパレータ35によって、コア31は、方向D2に沿って2つの領域31a,31bに区分される。本体部11の端部11aを蓋部12によって閉塞した状態で、セパレータ35は、蓋部12の裏面12bに当接する。
バスバー41〜44は、コイル部30の各端子(一端32a、他端32b、一端33a及び他端33b)を外部の電気回路に接続するための部材である。バスバー41〜44は、低抵抗値を有し、例えば、銅及び真鍮等の金属といった導電性を有する導電材料によって構成される。バスバー41〜44の厚さは、例えば、3mm程度である。バスバー41〜44はそれぞれ、凹部21〜24に嵌め込まれ、接続部50によって蓋部12に固定される。各バスバー41〜44について、以下に具体的に説明する。
バスバー41は、凹部21に嵌め合わせることが可能な形状を有し、例えば、矩形状の板状部材である。バスバー41の一端部には、貫通孔41aが設けられている。貫通孔41aは、接続部50によってバスバー41を蓋部12に固定するための孔である。貫通孔41aは、例えば、バスバー41を厚さ方向に貫通する略円形の孔であって、貫通孔41aの直径は孔部21aの直径よりも大きい。貫通孔41aは、バスバー41が凹部21に嵌め込まれた状態で、孔部21aと略同軸になるように孔部21aの上に位置する。バスバー41の他端部には、接続孔41bが設けられている。接続孔41bは、バスバー41を外部の電気回路に接続するための孔である。接続孔41bは、例えば、バスバー41を厚さ方向に貫通する略円形の孔である。接続孔41bは、バスバー41が凹部21に嵌め込まれた状態で、開口部21bの上に位置する。
バスバー42は、凹部22に嵌め合わせることが可能な形状を有し、例えば、L字状の板状部材である。バスバー42の一端部には、貫通孔42aが設けられている。貫通孔42aは、接続部50によってバスバー42を蓋部12に固定するための孔である。貫通孔42aは、例えば、バスバー42を厚さ方向に貫通する略円形の孔であって、貫通孔42aの直径は孔部22aの直径よりも大きい。貫通孔42aは、バスバー42が凹部22に嵌め込まれた状態で、孔部22aと略同軸になるように孔部22aの上に位置する。バスバー42の他端部には、接続孔42bが設けられている。接続孔42bは、バスバー42を外部の電気回路に接続するための孔である。接続孔42bは、例えば、バスバー42を厚さ方向に貫通する略円形の孔である。接続孔42bは、バスバー42が凹部22に嵌め込まれた状態で、開口部22bの上に位置する。
バスバー43は、凹部23に嵌め合わせることが可能な形状を有し、例えば、矩形状の板状部材である。バスバー43の一端部には、貫通孔43aが設けられている。貫通孔43aは、接続部50によってバスバー43を蓋部12に固定するための孔である。貫通孔43aは、例えば、バスバー43を厚さ方向に貫通する略円形の孔であって、貫通孔43aの直径は孔部23aの直径よりも大きい。貫通孔43aは、バスバー43が凹部23に嵌め込まれた状態で、孔部23aと略同軸になるように孔部23aの上に位置する。バスバー43の他端部には、接続孔43bが設けられている。接続孔43bは、バスバー43を外部の電気回路に接続するための孔である。接続孔43bは、例えば、バスバー43を厚さ方向に貫通する略円形の孔である。接続孔43bは、バスバー43が凹部23に嵌め込まれた状態で、開口部23bの上に位置する。
バスバー44は、凹部24に嵌め合わせることが可能な形状を有し、例えば、L字状の板状部材である。バスバー44の一端部には、貫通孔44aが設けられている。貫通孔44aは、接続部50によってバスバー44を蓋部12に固定するための孔である。貫通孔44aは、例えば、バスバー44を厚さ方向に貫通する略円形の孔であって、貫通孔44aの直径は孔部24aの直径よりも大きい。貫通孔44aは、バスバー44が凹部24に嵌め込まれた状態で、孔部24aと略同軸になるように孔部24aの上に位置する。バスバー44の他端部には、接続孔44bが設けられている。接続孔44bは、バスバー44を外部の電気回路に接続するための孔である。接続孔44bは、例えば、バスバー44を厚さ方向に貫通する略円形の孔である。接続孔44bは、バスバー44が凹部24に嵌め込まれた状態で、開口部24bの上に位置する。
図1、図2及び図4に示されるように、接続部50は、導線32,33とバスバー41〜44とを電気的に接続するための部材である。接続部50は、例えば、ソケットである。接続部50は、筒状部51と、保持部52と、を備える。筒状部51は、バスバー41〜44を蓋部12に押し付けて固定するための部材である。筒状部51は、例えば、銅及び真鍮等の金属といった導電性を有する導電材料によって構成される。筒状部51は、略円筒状の内周面51aを含み、内周面51aに保持部52を嵌め合わせて保持する。筒状部51は、第1挿入部53と、第2挿入部54と、固定部55と、差込部56と、を含む。第1挿入部53、第2挿入部54、固定部55及び差込部56は、その順で筒状部51の軸線方向に配列されている。
第1挿入部53は、蓋部12の凹部21〜24の孔部21a〜24aに挿入される筒状部分である。第1挿入部53の外径は、孔部21a〜24aの直径と略同じであり、貫通孔41a〜44aの直径よりも小さい。第1挿入部53の外周面には爪部53a(図7参照)が設けられている。爪部53aは、第1挿入部53の外周面から突出している。爪部53aは、第1挿入部53から第2挿入部54に向かう方向になだらかな傾斜で第1挿入部53の外周面から突出しており、第2挿入部54から第1挿入部53に向かう方向に急な傾斜で第1挿入部53の外周面から突出している。この爪部53aが孔部21a〜24aの周面に引っ掛かることにより、接続部50は蓋部12に固定される。
第2挿入部54は、バスバー41〜44の貫通孔41a〜44aに挿入される筒状部分である。第2挿入部54の外径は、貫通孔41a〜44aの直径と略同じである。接続部50が貫通孔41a〜44a及び孔部21a〜24aに挿入された状態で、第2挿入部54の外周面は、貫通孔41a〜44aの周面に当接する。
固定部55は、バスバー41〜44を押さえ付けて固定する筒状部分である。固定部55は、例えば、第2挿入部54の外周面よりも外側に突出したフランジである。固定部55の外径は貫通孔41a〜44aの直径よりも大きい。差込部56は、接続部50を貫通孔41a〜44a及び孔部21a〜24aに挿入して固定するための治具を差し込むことが可能な筒状部分である。差込部56は、治具を差し込むための溝56aを含む。
保持部52は、導線32の一端32a及び他端32b、並びに、導線33の一端33a及び他端33bを挿入した状態で保持する部材である。保持部52は、例えば、銅、真鍮及びベリリウム銅等の金属といった導電性を有する導電材料によって構成される。保持部52は、筒状部51の内周面51aに嵌め合わされる。保持部52は、一端32a及び他端32b、並びに、導線33の一端33a及び他端33bの挿入方向における中央付近で狭窄された筒状形状を呈しており、例えば、挿入方向(軸線方向)に延びる複数の板状の接触子52aと、複数の接触子52aを支持する一対の支持部材52bと、を含む。複数の接触子52aは、保持部52の軸線回りに配列され、保持部52の軸線に向かって凸に湾曲している。一対の支持部材52bは、円筒状の部材であり、同軸に配置される。一対の支持部材52bの対向する周縁に、接触子52aの両端がそれぞれ連接されている。
次に、図1、図2及び図5を参照して、ノイズフィルタ1の組立工程を説明する。図5は、ノイズフィルタ1の組立工程を説明するための図である。まず、筒状部51に保持部52を第1挿入部53側から挿入して嵌め込むことにより、接続部50を組み立てる。そして、蓋部12の凹部21〜24にバスバー41〜44をそれぞれ嵌め込む。続いて、差込部56に治具を差し込むことにより、貫通孔41a及び孔部21a、貫通孔42a及び孔部22a、貫通孔43a及び孔部23a、並びに、貫通孔44a及び孔部24aに、それぞれ接続部50を挿入し、固定部55がバスバー41〜44に当接するまで接続部50を押し込む。このとき、バスバー41〜44はそれぞれ凹部21〜24に嵌め込まれているので、バスバー41〜44が接続部50を軸として回転することが規制される。
一方、本体部11の端部11bに底部13を取り付ける。また、支持部材34のスロット34aにセパレータ35を挿入してコイル部30を組み立てる。そして、本体部11の収容空間Sにコイル部30を収容する。続いて、一端32a、他端32b、一端33a及び他端33bをそれぞれ接続部50の保持部52に挿入しつつ、バスバー41〜44が嵌め込まれた蓋部12を本体部11の端部11aに取り付ける。このようにして、図1に示されるノイズフィルタ1が組み立てられる。
次に、図6及び図7を参照して、バスバーと導線との接続機構を詳細に説明する。図6は、図1のノイズフィルタ1のVI−VI線に沿った断面図である。図7は、図6のVII部を拡大して示す図である。一端32a、他端32b、一端33a、及び、他端33bにおける接続機構はいずれも同様であるので、ここでは他端33bについて説明を行う。
図6及び図7に示されるように、接続部50はバスバー44の貫通孔44a及び蓋部12の凹部24の孔部24aに挿入されている。この状態では、第1挿入部53の爪部53aが孔部24aの周面に引っ掛かっているので、接続部50が蓋部12に固定されている。そして、固定部55がバスバー44を蓋部12の主面12aに向かって押さえ付けているので、バスバー44が蓋部12に固定されるとともに、バスバー44が接続部50に電気的に接続されている。
導線33の他端33bは接続部50に挿入されて接続部50に保持されている。具体的に説明すると、接触子52aは保持部52の軸線に向かって凸に湾曲しているので、複数の接触子52aによって狭窄部が形成される。この狭窄部の直径は、導線33の直径よりも小さい。このため、他端33bが挿入されると、狭窄部は外側に押し広げられる。これにより、保持部52の軸線に向かって接触子52aの復元力が働き、他端33bは、複数の接触子52aによって挟持される。このようにして、導線33は、接続部50を介してバスバー44に電気的に接続される。
次に、図8を参照して、ノイズフィルタ1の使用例を説明する。図8は、ノイズフィルタ1の使用例を示す図である。ノイズフィルタ1は、例えば、ハイブリッド自動車及び電気自動車等に搭載されるバッテリとインバータ回路との間に設けられる。つまり、バッテリがノイズフィルタ1の入力側に接続され、インバータ回路がノイズフィルタ1の出力側に接続される。図8に示されるように、筐体60の収容空間Vに、開口60aからノイズフィルタ1が収容される。具体的には、圧縮性を有する冷却用シート61を介して筐体60の底部60bにノイズフィルタ1が載置される。そして、取付部14の挿通孔14aにビスが挿通され、筐体60の固定台62の螺子穴にビスが螺合されることにより筐体60にノイズフィルタ1が取り付けられる。
なお、ノイズフィルタ1は、取付部14によって固定台62に締結され、底部13が冷却用シート61を介して底部60bに支持される。ノイズフィルタ1の底部13と筐体60の底部60bとの間のクリアランスが小さいと、製造上の誤差によってノイズフィルタ1の方向D1の長さが設計寸法よりも大きい場合、取付部14の挿通孔14aを介してビスを固定台62に螺合する際に、ノイズフィルタ1を破損するおそれがある。このため、ノイズフィルタ1の底部13と筐体60の底部60bとの間には0.5mm程度のクリアランスが確保されてもよい。つまり、冷却用シート61は圧縮性を有するので、取付部14の挿通孔14aを介してビスを固定台62に螺合することにより、ノイズフィルタ1の底部13が冷却用シート61を上から押し潰した状態でノイズフィルタ1が固定される。
また、インバータ回路を搭載したプリント基板63がノイズフィルタ1に接続される。具体的には、プリント基板63の一端部に設けられた2つの貫通孔63aがバスバー42の接続孔42b及びバスバー44の接続孔44bの上に重なり合うように、プリント基板63が配置される。そして、貫通孔63a及び接続孔42b、並びに貫通孔63a及び接続孔44bにそれぞれビスが挿通されて、螺子穴15に螺合されることにより、プリント基板63がノイズフィルタ1に電気的に接続される。また、バッテリの正極に接続されたケーブル(不図示)と、バッテリの負極に接続されたケーブル(不図示)とが、バスバー41の接続孔41b及びバスバー43の接続孔43bを介して接続される。このように、ノイズフィルタ1は、EMC(Electromagnetic Compatibility:電磁適合性)対策用のノイズフィルタとして用いられ得る。
以上詳述したように、ノイズフィルタ1では、接続部50は導電材料から構成されており、バスバー41〜44は導電材料から構成されている。接続部50はバスバー41〜44に固定されているので、接続部50とバスバー41〜44とは電気的に接続される。コイル部30の導線32の一端32a及び他端32b、導線33の一端33a及び他端33bがそれぞれ接続部50に挿入された状態で、導線32の一端32a及び他端32b、導線33の一端33a及び他端33bが接続部50に保持される。このため、コイル部30の導線32,33と接続部50とは電気的に接続される。したがって、コイル部30の導線32,33とバスバー41〜44とは接続部50を介して電気的に接続される。また、接続部50の保持部52に導線32の一端32a及び他端32b、導線33の一端33a及び他端33bを挿入することによって、導線32の一端32a及び他端32b、導線33の一端33a及び他端33bがそれぞれ接続部50の保持部52に保持されるので、コイル部30の導線32,33と接続部50とは機械的な構造によって接続される。このように、ノイズフィルタ1によれば、熱を用いることなく機械的な構造によって、コイル部30の導線32,33とバスバー41〜44とを電気的に接続することが可能となる。また、ロウ付け、溶接等によってコイル部の導線とバスバーとを電気的に接続する構成と比較して、導線32,33を接続部50に挿入するだけの簡単な作業で導線32,33とバスバー41〜44とを電気的に接続できるので、作業性の向上及びコストの低減が可能となる。
また、蓋部12にバスバー41〜44が配置され、バスバー41の貫通孔41a及び蓋部12の孔部21a、バスバー42の貫通孔42a及び蓋部12の孔部22a、バスバー43の貫通孔43a及び蓋部12の孔部23a、並びに、バスバー44の貫通孔44a及び蓋部12の孔部24aにそれぞれ接続部50が挿入されている。このため、ケース10に収容されたコイル部30の導線32,33とケース10の蓋部12に配置されたバスバー41〜44とを電気的に接続することが可能となる。また、凹部21によってバスバー41の位置が固定され、凹部22によってバスバー42の位置が固定され、凹部23によってバスバー43の位置が固定され、凹部24によってバスバー44の位置が固定される。このため、バスバー41の貫通孔41a及び蓋部12の孔部21a、バスバー42の貫通孔42a及び蓋部12の孔部22a、バスバー43の貫通孔43a及び蓋部12の孔部23a、並びに、バスバー44の貫通孔44a及び蓋部12の孔部24aにそれぞれ接続部50を挿入する際の作業性を向上することができる。
保持部52の複数の接触子52aは、保持部52の軸線に向かって凸に湾曲しているので、複数の接触子52aによって狭窄部が形成される。このため、狭窄部よりも大きい直径を有する導線32の一端32a及び他端32b、並びに、導線33の一端33a及び他端33bが保持部52に挿入されると、狭窄部は保持部52の軸線と反対方向に押し広げられる。これにより、接触子52aの復元力が保持部52の軸線に向かって働くので、複数の接触子52aによって導線32の一端32a及び他端32b、並びに、導線33の一端33a及び他端33bが挟持される。このように、導線32,33の端部を挿入するだけの簡単な作業で、導線32,33とバスバー41〜44とを電気的に接続することが可能となる。
導線32及び導線33によって、コモンモードチョークコイルが形成される。そして、導線32の一端32a及び他端32bが、コモンモードチョークコイルの一方のコイルの入力端及び出力端をなし、導線33の一端33a及び他端33bが、コモンモードチョークコイルの他方のコイルの入力端及び出力端をなす。この導線32の一端32a及び他端32b、並びに、導線33の一端33a及び他端33bの各々にバスバー41〜44が接続されるので、外部の電気回路へのコモンモードチョークコイルの接続を容易化することができる。
方向D1から見た場合、接続孔41b〜44bは、コイル部30から離れて位置している。つまり、接続孔41b〜44bは、コイル部30の上に位置しない。このため、接続孔41b〜44bにビス等の固定部材を挿通することによって外部の電気回路をバスバー41〜44に接続する際に、固定部材の先端がコイル部30に接触することを回避できる。
また、バスバー41の一端部とバスバー43の一端部との間に仕切部26が設けられている。この仕切部26によって、バスバー41とバスバー43との沿面距離を大きくすることができる。これにより、バスバー41とバスバー43との間の絶縁耐圧の向上が可能となる。
また、バスバー42は、蓋部12の中心線Cから周縁部12eに向かって延び、さらに折り曲げられて周縁部12dに向かって延びている。また、バスバー44は、蓋部12の中心線Cから周縁部12fに向かって延び、さらに折り曲げられて周縁部12dに向かって延びている。そして、バスバー42の一端部とバスバー44の一端部との間に仕切部26が設けられている。このように、バスバー42の一端部とバスバー44の一端部とは、仕切部26を挟んで互いに対向しており、バスバー42及びバスバー44は、互いに離れるようにL字状に延びている。これにより、バスバー42とバスバー44との沿面距離を大きくすることができる。その結果、バスバー42とバスバー44との間の絶縁耐圧の向上が可能となる。
また、放熱孔25によって、ケース10の内部で発生した熱が外部に放散されるので、ケース10の内部の温度上昇を低減することができる。また、蓋部12に放熱孔25が設けられることにより、ノイズフィルタ1の軽量化が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、バスバー41〜44は、ノイズフィルタ1と外部の電気回路との接続形態に応じた別の形状としてもよい。
また、凹部21〜24に代えて、バスバー41〜44の位置を固定することが可能な位置決め部が蓋部12に設けられてもよい。位置決め部は、例えば、主面12aから突出した突出部であってもよい。
セパレータ35は、蓋部12と一体化されていてもよい。つまり、蓋部12の裏面12bにセパレータ35が一体的に設けられてもよい。