JP2018006460A - ラインフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルの特性を維持しつつ小型化することができるラインフィルタを提供する。【解決手段】本発明のラインフィルタは、半円の弧の形状をした2つの半円部を2つの直線部で連結させた環状のトラック形状のトラック型コア10と、トラック型コアと嵌合することによりトラック型コアを収納する凹部22が形成された環状のトラック形状の収納部21を有する第1ケース20と、凹部22に収納されたトラック型コア10を覆う環状のトラック形状の蓋部31を有する第2ケース30と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明はラインフィルタに関し、特に、回路基板等の開口に埋め込まれた基板埋め込み型コイルを有するラインフィルタに関する。
基板埋め込み型コイルは、省スペース化、及び、回路基板等の厚さ方向の寸法を小さくする低背化のために、回路基板等に形成された開口に、部分的に埋め込まれたコイルである。
特許文献1には、回路基板に形成された開口にコイルを埋め込む電子部品が記載されている。特許文献1の電子部品は、コイルの側面に突出させた端子固定部に接続端子を設け、回路基板の回路パターンに対して接続端子を取付けている。また、特許文献1の電子部品には、E字型のフェライトコアが用いられている。
特許文献2には、プリント基板に形成された開口に縦型コイルを埋め込む電子部品が記載されている。特許文献2の電子部品は、巻線が巻き回しされたボビンの鍔部に端子台を設け、プリント基板の回路パターンと端子台とを端子により接続している。特許文献2の電子部品でもE字型のフェライトコアが用いられている。
従来の基板埋め込み型コイルは、コイルの巻線部とは分離させた端子台等に、実装用の接続端子を設けた構造となっている。よって、回路基板等の回路パターンに、接続端子を接続する場合には、回路基板を占める実装面積が大きくなり、省スペース化の妨げとなっている。また、コイルの巻線には、細線が用いられ、コイルの巻線と接続端子とは半田等で接続されている。コイルの巻線に大電流を流す大電流化への対応として、太線(外径φ1.0mm以上)を用いる場合には、太線に加わる応力が大きくなり、接続端子等に対して、太線の固定を半田等で維持することは困難である。
また、コモンモードチョークコイルのコアには、閉磁路コアを用いた方が高特性を得る上で望ましい。しかしながら、従来の基板埋め込み型コイルは、E字型コア等(フェライト、分割コア)を用いた構成となっており、高特性のコモンモードチョークコイルとすることが困難である。
さらに、低背化させた埋め込み型コイルにおいては、コア断面積を大きくすることは困難である。よって、大電流化への対応として、小さなコア断面積のままで、フェライトコアの巻線に大電流を流した場合には、磁気飽和を引き起こす可能性がある。
また、大電流化への対応として、巻線に太線を用いた場合、従来の基板埋め込み型コイルのように、多層重ねて巻き回しすると、回路基板の厚さ方向の寸法が大きくなり、低背化することが困難となる。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、大電流を流した場合でも、コイルの特性を維持しつつ小型化することができるラインフィルタを提供することである。
本発明にかかるラインフィルタは、半円の弧の形状をした2つの半円部を2つの直線部で連結させた環状のトラック形状のトラック型コアと、前記トラック型コアと嵌合することにより前記トラック型コアを収納する凹部が形成された環状のトラック形状の収納部を有する第1ケースと、前記凹部に収納された前記トラック型コアを覆う環状のトラック形状の蓋部を有する第2ケースと、を備える。
本発明により、コイルの特性を維持しつつ小型化することができるラインフィルタを提供することができる。
<実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態に係るラインフィルタに用いられるトラック型コアを例示した図であり、(a)は斜視図を示し、(b)は上面図を示し、(c)は側面図を示し、(d)は正面図を示す。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態に係るラインフィルタに用いられるトラック型コアを例示した図であり、(a)は斜視図を示し、(b)は上面図を示し、(c)は側面図を示し、(d)は正面図を示す。
図1(a)〜(d)に示すように、本実施形態に係るラインフィルタに用いられるトラック型コア10は、レース等に用いるトラックの形状をした環状となっている。トラック型コア10は、2つの半円部13と2つの直線部14とを有している。半円部13は、トラックの形状におけるコーナーの部分を形づける半円の弧の形状をしている。直線部14は、トラックの形状における直線の部分を形づけている。このように、トラック型コア10は、半円の弧の形状をした2つの半円部13を2つの直線部14で連結させた環状のトラック形状となっている。
ここで、トラック型コア10を説明するために、XYZ直交座標軸系を導入する。例えば、直線部14が延びる方向をX軸方向とする。半円部13を構成する半円に直交する方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向とする。方向だけでなく、向きを示す場合には、+X軸方向または−X軸方向と符号をつけて示す。XYZ直交座標軸系は、説明のために導入されたものであり、実際のトラック型コア10が、常にこの方向で使用されるわけではない。
トラック型コア10は、環状である。よって、トラック型コア10は、閉磁路コアとなっている。また、トラック型コア10は、半円部13と直線部14とで構成されているので、湾曲した部分は円弧となっている。また、本実施形態のトラック型コア10は、分割コアではなく、一体として形成されている。
半円部13によって形づけられる半円の中心Oから半円の弧上の任意の点に向かう方向を半径方向という。コアの断面、すなわち、半円部13の弧に沿った方向に直交する断面及び直線部14のX軸方向に直交する断面を、コア断面と呼び、コア断面の面積をコア断面積と呼ぶ。トラック型コア10は、コア断面が矩形のものに限らない。角が丸みを帯びた角丸長方形のものでもよいし、円形のものでもよい。また、コア断面をZ軸方向から見た長さをコアの幅という。コア断面をY軸方向から見た長さをコアの厚さという。
トラック型コア10は、材料として、ナノ結晶軟磁性合金薄帯を含むことが好ましい。ナノ結晶軟磁性合金薄帯は、例えば、結晶粒径が50nm以下の微細なナノ結晶粒の組織を含み、そのようなナノ結晶粒の組織が少なくとも体積全体の50%を占める薄帯磁性材料をいう。なお、トラック型コア10の材料は、ナノ結晶軟磁性合金薄帯に限らず、他の材料でもよい。
図2は、比較例に係るラインフィルタに用いられるロの字型コアを例示した図であり、(a)は斜視図を示し、(b)は上面図を示し、(c)は側面図を示し、(d)は正面図を示す。図2(a)〜(d)に示すように、比較例に係るロの字型コア110は、コの字形の部材113と直線部材114とを有している。比較例においては、半円部13の代わりに、コの字形の部材113を用いている。そして、2つのコの字形の部材113を連結するように2つの直線部材114が設けられている。
比較例に係るロの字型コア110においては、コの字形の部材113と直線部材114との接合部分の曲部Rに応力が残留する。そして、残留応力により、ロの字型コア110のコイルの特性は劣化する。特に、ロの字型コア110が、材料として、ナノ結晶軟磁性合金薄帯を含んでいる場合には、コイルの特性が大幅に劣化する。
これに対して、本実施形態のトラック型コア10は、半円部13と直線部14の組み合わせで構成されているので、曲部Rを含まないようにすることができる。よって、材料として、ナノ結晶軟磁性合金薄帯コアを用いても、残留応力による特性劣化を抑制することができる。
図3(a)は、実施形態に係るラインフィルタの構成部品のうち、上側外装ケースを例示した斜視図である。図3(a)に示すように、上側外装ケース(第1ケース)20は、トラック型コア10を収納するトラック形状をした収納部21と、回路基板等に埋め込む際に基板上で支持する支持部28とを有している。上側外装ケース(第1ケース)20は、例えば、材料に樹脂を含んでいる。図3(a)おいても、上側外装ケース20を説明するために、XYZ直交座標軸系を導入している。図3(a)においては、便宜上、凹部22が設けられた側を、−Z軸方向としているが、実際の上側外装ケース20が、常にこの方向で使用されるわけではない。
収納部21は、−Z軸方向から見て、環状のトラック形状である。収納部21の−Z軸方向側には、トラック形状に沿った環状の溝からなる凹部22が形成されている。凹部22は、−Z軸方向側から見てトラック型コア10と略同形状で、トラック型コア10と嵌合することによりトラック型コア10を収納する。
凹部22を構成する溝の断面は、上に開いたコの字形をしている。よって、コア断面が矩形のトラック型コア10と嵌合する。なお、トラック型コア10のコア断面が角丸長方形等の場合には、凹部22を構成する溝の断面形状をその形状に合わせるようにUの字にしてもよい。
収納部21は、トラック型コア10の半円部13を収納する半円収納部23と、トラック型コア10の直線部14を収納する直線収納部24とを有している。半円収納部23は、収納された半円部13に沿って半円形となっている。直線収納部24は、収納された直線部14が延びる方向に延びている。
トラック内孔25は、上側外装ケース20の収納部21に囲まれた部分に形成されている。したがって、トラック内孔25の端縁は、トラック形状となっている。トラック内孔25は、上側外装ケース20の+Z軸方向側から−Z軸方向側に貫通している。トラック内孔25の各半円収納部23側の内周面には、Z軸方向に延びる切込26を伴った突出部が形成されている。
突起27は、各直線収納部24のX軸方向の両端部24aに設けられている。突起27は、両端部24aにおいて、収納部21に収納される半円部13の半円の中心Oとは反対側、すなわち、+Y軸方向側の直線収納部24の両端部24aにおいては、+Y軸方向に突出し、−Y軸方向側の直線収納部24の両端部24aにおいては、−Y軸方向に突出している。
巻線部44は、上側外装ケース20の直線収納部24を含んでいる。巻線部44は、各直線収納部24における両端部24aの突起27間の直線状の部分である。巻線部44は、トラック内孔25を挟んで対向する位置に設けられている。各巻線部44は、X軸方向において、一定の幅及び一定の厚さとなっている。巻線部44は、巻線によって巻き回しされる。
上側外装ケース20は、支持部28を有している。上側外装ケース20は、例えば、2つの支持部28を有し、各支持部28は、各半円収納部23の+Z軸方向側に接続されている。支持部28は、直線収納部24には接続されていない。支持部28は、−Z軸方向側から見て半円収納部23から半円の半径方向に突出した部分を含んでいる。支持部28は、+Z軸方向から見て、短辺及び長辺を有する矩形の板状となっている。支持部28の短辺は、X軸方向に沿っている。短辺の長さは、半円収納部23のX軸方向の長さ以上である。支持部28の長辺は、Y軸方向に沿っている。長辺の長さは、半円収納部23のY軸方向の長さ以上である。なお、支持部28の短辺及び長辺の長さは、上記に限らない。
収納部21における各半円収納部23に支持部28が接続することにより、上側外装ケース20は、+Z軸方向側及び−Z軸方向側から見て略矩形となっている。矩形形状の4つの各角部29の側面には、Z軸方向に延びた溝の端子溝41が形成されている。
図3(b)は、実施形態に係るラインフィルタの構成部品のうち、下側外装ケースを例示した斜視図である。図3(b)に示すように、下側外装ケース(第2ケース)30は、トラック型コア10を覆う環状のトラック形状をした蓋部31と、トラック内孔35を分割する仕切板38とを有している。下側外装ケース(第1ケース)30は、例えば、材料に樹脂を含んでいる。図3(b)おいても、下側外装ケース30を説明するために、XYZ直交座標軸系を導入している。図3(b)においては、便宜上、凹部32が設けられた側を、+Z軸方向としているが、実際の下側外装ケース30が、常にこの方向で使用されるわけではない。
蓋部31は、+Z軸方向側から見て、環状のトラック形状である。蓋部31の+Z軸方向側には、トラック形状に沿った環状の溝からなる凹部32が形成されている。凹部32は、+Z軸方向側から見てトラック型コア10と略同形状で、収納部21の凹部22に収納されたトラック型コア10を覆う。
凹部32を構成する溝の断面は、上に開いたコの字形をしている。よって、断面が矩形のトラック型コアと嵌合する。なお、トラック型コアの断面が角丸長方形等の場合には、凹部を構成する溝の断面形状をその形状に合わせるようにUの字にしてもよいことは、上述の収納部21の場合と同様である。
蓋部31は、トラック型コア10の半円部13を覆う半円蓋部33と、トラック型コア10の直線部14を覆う直線蓋部34とを有している。半円蓋部33は、半円部13に沿って半円形となっている。直線蓋部34は、直線部14が延びるX軸方向に延びている。
トラック内孔35は、下側外装ケース30の蓋部31に囲まれた部分に形成されている。したがって、トラック内孔35の端縁は、トラック形状となっている。このように、下側外装ケース30には、+Z軸方向側から−Z軸方向側に貫通するトラック内孔35が形成されている。
仕切板38は、板状の部材であり、トラック内孔35を2つに分割するように、トラック内孔35内に設けられている。仕切板38は、トラック内孔35を+Y軸方向側及び−Y軸方向側に分割している。仕切板38は、トラック内孔35におけるX軸方向の両端において、半円蓋部33に接続している。
突起37は、各直線蓋部34におけるX軸方向の両端部34aに設けられている。突起37は、両端部34aにおいて、蓋部31に覆われる半円部13の半円の中心Oとは反対側、すなわち、+Y軸方向側の直線蓋部34の両端部34aにおいては、+Y軸方向に突出し、−Y軸方向側の直線蓋部34の両端部34aにおいては、−Y軸方向に突出している。なお、上側外装ケース20と下側外装ケース30との繋ぎ目をどこに持ってくるかによって、上側外装ケース20における突起27及び下側外装ケース30における突起37の両方が形成されるだけでなく、突起27または突起37のいずれか一方だけが形成される場合がある。すなわち、上側外装ケース20の直線収納部24及び下側外装ケース30の直線蓋部34のうち、少なくともいずれか一方における、直線部14が延びる方向の両端部に設けられ両端部から半円部13の半円の中心Oとは反対側に突出した突起が形成される。
巻線部44は、下側外装ケース30の直線蓋部34を含んでいる。巻線部44は、各直線蓋部34における両端部34aの突起37間の直線状の部分である。巻線部44は、トラック内孔35を挟んで対向する位置に設けられている。各巻線部44は、X軸方向において、一定の幅及び一定の厚さとなっている。巻線部44は、巻線によって巻回しされる。
図3(c)は、実施形態に係るラインフィルタの構成部品のうち、トラック型コア10が上側外装ケース20に収納された状態を例示した斜視図である。図3(c)に示すように、上側外装ケース20の収納部21には、トラック型コア10が収納される。具体的には、収納部21の半円収納部23には半円部13が収納され、直線収納部24には直線部14が収納される。
図3(d)は、実施形態に係るラインフィルタの構成部品のうち、上側外装ケース20に収納されたトラック型コア10を下側外装ケース30が覆った状態を例示した斜視図である。図4は、実施形態に係るラインフィルタにおいて、上側外装ケースに収納されたトラック型コアを下側外装ケースが覆った状態を例示した図であり、(a)は上面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は下面図を示し、(d)は正面図を示し、(e)は斜視図を示す。各図においてもXYZ直交座標軸系を導入しているが、実際のラインフィルタが常にこの方向で使用されるわけではない。各図において、下側外装ケース30から上側外装ケース20に向かう方向を+Z軸方向にとっている。
図3(d)及び図4(a)〜(e)に示すように、上側外装ケース20に収納されたトラック型コア10は、下側外装ケース30によって覆われている。
図3(d)及び図4(c)に示すように、トラック型コア10を収納した上側外装ケース20が、下側外装ケース30によって、−Z軸方向側から覆われたとき、上側外装ケース20の支持部28には、−Z軸方向側から見て、下側外装ケース30に覆われていない部分を有している。
図4(a)及び(e)に示すように、支持部28は、収納部21の+Z軸方向側に接続されている。具体的には、支持部28は、収納部21における半円収納部23の+Z軸方向側にのみ接続され、直線収納部24の+Z軸方向側には接続されていない。
リード線引出溝42は、支持部28の+Z軸方向側に形成されている。リード線引出溝42は、例えば、各支持部28の+Z軸方向側に2か所ずつ、合計4か所に設けられている。リード線引出溝42は、各支持部28の+Z軸方向側において、トラック内孔25と各角部29とを結ぶように形成されている。リード線引出溝42には、巻線の端末部分が嵌め込まれる。これにより、リード線引出溝42は、巻線部44から引き出された巻線を、例えば、回路基板等の回路パターンへ接続する接続端子位置に導き固定する。
リード線引出溝42には、リード線接着固定用凹部43が設けられていてもよい。リード線接着固定用凹部43は、例えば、リード線引出溝42が延びる方向に直交する方向に延びるように設けられている。リード線接着固定用凹部43は、巻線の端末部分をリード線として接着固定するために用いられる。リード線引出溝42は端子溝41に繋がっている。これにより、巻線部44から引き出された巻線の端末部分をリード線として接続端子に接続する際に、接続端子位置の精度を向上させることができる。
図4(a)に示すように、内径側引出リード線フォーミング部45は、支持部28の+Z軸方向側に形成されている。内径側引出リード線フォーミング部45は、巻線の端末部分の形状をフォーミングする曲線により構成された突起である。内径側引出リード線フォーミング部45は、巻線部44に巻き回しされた巻線のうち、トラック内孔25側からリード線引出溝42に引き出される巻線の形状をフォーミングする。内径側引出リード線フォーミング部45は、巻線部44から引き出された巻線の湾曲形状を調整する。
図4(a)に示すように、外径側引出リード線フォーミング部46は、支持部28の+Z軸方向側に形成されている。外径側引出リード線フォーミング部46は、巻線の端末部分の形状をフォーミングする曲線により構成された突起である。外径側引出リード線フォーミング部46は、巻線部44に巻き回しされた巻線のうち、トラック内孔25とは反対側の外側からリード線引出溝42に引き出される巻線の形状をフォーミングする。外径側引出リード線フォーミング部46は、巻線部44から引き出された巻線の湾曲形状を調整する。
図4(b)に示すように、突起27は、上方にも突出している。突起37は、突起27の−Z軸方向側に位置している。図4(a)及び(c)に示すように、トラック内孔25及びトラック内孔35は、収納部21に収納されたトラック型コア10を蓋部31で覆ったときに、Z軸方向において連通している。しかしながら、連通したトラック内孔25及びトラック内孔35は、仕切板38によってY軸方向に分割されている。仕切板38のX軸方向の両端は、切込26によって固定される。
図4(d)に示すように、下側外装ケース30側を、回路基板50に形成された開口55に埋め込む。回路基板50の開口55は、Z軸方向から見て下側外装ケース30の形状と略同形状のトラック形状をしている。図4(c)及び(d)に示すように、下側外装ケース30を開口55に埋め込んだとき、−Z軸方向側から見て、支持部28における半円収納部23から半円の半径方向に突出した部分は、回路基板50に当接する。これにより、支持部28は、回路基板50に対してラインフィルタを支持する。
図5は、実施形態に係るラインフィルタを例示した図であり、(a)は上面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は下面図を示し、(d)は正面図を示し、(e)は斜視図を示す。図5(a)〜(e)においても、ラインフィルタ1の説明のために、XYZ直交座標系を用いている。各図において、下側外装ケース30から上側外装ケース20に向かう方向を+Z軸方向にとっている。実際のラインフィルタが常にこの方向で使用されるわけではないことは上述と同様である。
図5(a)〜(e)に示すように、本実施形態のラインフィルタ1は、巻線部44に巻線47が巻き回しされている。巻線47の外径は、例えば、1mm以上である。好ましくは、巻線47の外径は、1mm以上2.6mm以下である。巻線47は、上側外装ケース20に設けられた突起27間及び下側外装ケース30に設けられた突起37間に巻き回しされる。巻線部44に巻き回しされる巻線47は、例えば1層である。例えば、+X軸方向に向けて1巻ずつ隙間なく順に整列させて巻き回しされる。つまり、巻線部44において、例えば、+X軸方向に整列させて1層巻回しされた後に、その上に、さらに巻線47が巻き回しされない。なお、場合によっては、複数層巻き回しされてもよい。
図5(a)に示すように、巻線部44に巻き回しされた巻線47の端末部分47aは、巻線部44におけるX軸方向の両端部からリード線引出溝42に導かれる。その際に、巻線部44における+X軸方向側の端部から取り出された巻線47の端末部分47aは、トラック内孔25及び35とは反対側の外側からリード線引出溝42に導かれる。リード線引出溝42に引き出された巻線47の端末部分47aは、外径側引出リード線フォーミング部46によって端末部分47aの湾曲形状が調整される。これにより、巻線47の端末部分47aをリード線引出溝42に導き固定する。リード線引出溝42によって引き出された端末部分47aは、角部29の端子溝41を通って、図5(d)及び(e)に示すように、上側外装ケース20の−Z軸方向側へ突出する。
一方、図5(a)に示すように、巻線部44における−X軸方向側の端部から取り出された巻線47の端末部分47aは、トラック内孔25側からリード線引出溝42に導かれる。トラック内孔25側からリード線引出溝42に引き出された端末部分47aは、内径側引出リード線フォーミング部45によって端末部分47aの湾曲形状が調整される。これにより、巻線47の端末部分47aをリード線引出溝42に導き固定する。リード線引出溝42によって引き出された巻線47の端末部分47aは、角部29の端子溝41を通って、図5(d)及び(e)に示すように、上側外装ケース20の−Z軸方向側へ突出する。
図5(d)に示すように、ラインフィルタ1の下側外装ケース30の部分を、回路基板50に形成された開口55に埋め込んだとき、−Z軸方向側から見て支持部28における半円収納部23から半円の半径方向に突出した部分は、回路基板50に当接する。これにより、支持部28は、回路基板50に対してラインフィルタ1を支持する。端子溝41を通って上側外装ケース20の−Z軸方向側へ突出した端末部分47aは、回路基板50への接続端子として、回路基板50の回路パターンにおけるランド等に接続される。
図5(b)、(d)及び(e)に示すように、ラインフィルタ1の+Z軸方向側は、フラットとなっている。ラインフィルタ1における+Z軸方向側では、各支持部28の+Z軸方向側の面が、面一となっている。よって、上側外装ケース20の凹部22が形成された側の反対側、すなわち、上側外装ケース20の+Z軸方向側は、図示しない放熱シートで被われる。
次に、本実施形態に係るラインフィルタ1の効果を説明する。
実施形態のラインフィルタ1は、トラック型コア10を用いている。本実施形態のトラック型コア10は、分割コアではなく、一体として形成されている。また、トラック型コア10は、環状であるので、閉磁路コアとなっている。よって、コイルに関する特性を向上させることができる。特に、トラック型コア10を、例えば、コモンモードチョークコアとして用いる場合には、E型コア等(フェライト、分割コア等)に比べて、高特性を得ることができる。
実施形態のラインフィルタ1は、トラック型コア10を用いている。本実施形態のトラック型コア10は、分割コアではなく、一体として形成されている。また、トラック型コア10は、環状であるので、閉磁路コアとなっている。よって、コイルに関する特性を向上させることができる。特に、トラック型コア10を、例えば、コモンモードチョークコアとして用いる場合には、E型コア等(フェライト、分割コア等)に比べて、高特性を得ることができる。
また、トラック型コア10は、半円部13と直線部14とで構成されており、湾曲した部分は円弧となっている。よって、湾曲部に応力が残留しない。これにより、コイルの特性の劣化を抑制することができる。特に、材料として、ナノ結晶軟磁性合金薄帯コアを用いても、残留応力による特性劣化を抑制することができる。
トラック内孔25及び35を挟んで対向するように、同じ長さの2つの巻線部44が設けられている。よって、2つの巻線部44における巻線47の配置バラつきを抑制することができ、コイルの結合度バラつきが抑制され、安定した特性のコモンモードコイルを提供することができる。
巻線部44の両端部44aに設けられた突起により、2つの巻線部44に対して、1層ずつ順に隙間なく巻線を巻き回しすることができる。これによって、二つの巻線の配置バラつきを抑制することができ、コモンモードコイルの結合度バラつきが抑制され、安定した特性のコモンモードコイルを提供することができる。
基板埋め込み型ラインフィルタには太線、例えば、外径1mm以上を用いている。よって、コイルに大電流を流すことができるので、コイルの特性を向上させることができる。
また、外径1mm以上であると、接続端子として用いることができる程度の強度を有する。よって、巻線47の端末部分47aをそのまま接続端子として、回路基板50等の回路パターンのランド等に接続することができる。また、太線は容易に曲がらないので、接続端子としての位置決め精度を向上させることができる。
したがって、巻線47とは別個に接続端子を用いる必要がなく、そのような別個の接続端子に半田付け等する工程を省くことができる。よって、半田接合ミスや、巻線47と接続端子との接合部が外れる等の信頼性低下を抑制することができる。これに対して、従来のコイルに用いられるような外径が0.3〜0.6mm等の細線のように、外径が1mm未満の場合では、接続端子として用いるには強度が小さい。
その一方で、細線の場合には、どのような形状であっても巻き回しができ、形を変えることも容易であるが、太線になると、外径が大きくなるほど、巻き回し及び変形させるのに必要な力が大きくなり、容易に巻き回し及び変形等を行うことが困難になる。そこで、本実施形態では、リード線引出溝42、内径側及び外径側引出リード線フォーミング部45、46を設け、太線を溝等に沿って変形させることにより、巻線47の端末部分47aを接続端子位置まで導くことを容易にしている。なお、巻線の外径が、2.6mmを超えるようになると、巻線が硬くなり、湾曲形状を調整することが非常に困難になる。
巻線部44には1巻ずつ隙間なく順に整列させて1層だけ巻き回しされる。これにより、外径が1mm以上の太線を用いた場合でも、低背化の要求を満たし、小型化・省スペース化を実現することができる。これに対して、従来技術のようなボビン等を用いて巻線を同心円方向に巻線した場合には、低背化することが困難である。
ラインフィルタ1の下側外装ケース30を回路基板50等の開口55に埋め込んだとき、支持部28における下側外装ケース30から突出した部分は、回路基板50に当接し、回路基板50に対してラインフィルタ1を支持することができる。また、支持部28は、トラック型コア10の半円部13が収納される半円収納部23のみに接続されて、直線部14が収納される直線収納部24には接続されていない。よって、回路基板50上の縦と横の矩形形状の寸法で規定される実装面積に影響を与えずに、回路パターンのランド等に接続する接続端子を導くことができる。さらに、巻線部44には支持部28が接続されないので低背化することもできる。これらにより、小型化・省スペース化を実現することができる。
リード線引出溝42に巻線47の端末部分47aを嵌め込むことにより、巻線部44から引き出された巻線47を、回路基板50等の接続端子位置に導き固定することができる。また、内径側引出リード線フォーミング部45及び外径側引出リード線フォーミング部46は、巻線部44から引き出された巻線47の湾曲形状を調整することができる。本実施形態のラインフィルタ1では、このようにして、巻線47の端末部分47aを接続端子として、そのまま用いることができる。
トラック型コア10は、材料として、ナノ結晶軟磁性合金薄帯を含む場合には、初透磁率を高くすることができ、飽和磁束密度Bmsを高くすることができる。よって、コア断面積を小さくすることができるので、低背化させた埋め込み型コイルにトラック型コア10を用いても、磁気飽和の発生を抑制し、コイルの特性の劣化を抑制することができる。これに対して、低背化させた埋め込み型コイルにフェライトコアを用いた場合には、フェライトコアのコア断面積を小さくすると、大電流において磁気飽和を引き起こす可能性があり、十分に特性を発揮できない。
トラック内孔25及び35を2分する仕切板38は、トラック内孔25及び35を挟んで対向する2つの巻線部44を分断している。よって、2つの巻線部44間の絶縁を確実なものとすることができる。
ラインフィルタ1の上側外装ケース20の+Z軸方向、すなわち、凹部22と反対側は、フラットとなっている。よって、放熱シートで覆ったときの、ラインフィルタ1からの伝導放熱を行う際の放熱性を向上させることができる。
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
1 ラインフィルタ
10 トラック型コア
13 半円部
14 直線部
20 上側外装ケース(第1ケース)
21 収納部
22 凹部
23 半円収納部
24 直線収納部
24a 端部
25 トラック内孔
26 切込
27 突起
28 支持部
29 角部
30 下側外装ケース(第2ケース)
31 蓋部
32凹部
33 半円蓋部
34 直線蓋部
34a 端部
35 トラック内孔
37 突起
38 仕切板
41 端子溝
42 リード線引出溝
43 リード線接着固定用凹部
44 巻線部
45 内径側引出リード線フォーミング部
46 外径側引出リード線フォーミング部
47 巻線
47a 端末部分
50 回路基板
55 開口
110 ロの字型コア
113 部材
114 直線部材
O 中心
R 曲部
10 トラック型コア
13 半円部
14 直線部
20 上側外装ケース(第1ケース)
21 収納部
22 凹部
23 半円収納部
24 直線収納部
24a 端部
25 トラック内孔
26 切込
27 突起
28 支持部
29 角部
30 下側外装ケース(第2ケース)
31 蓋部
32凹部
33 半円蓋部
34 直線蓋部
34a 端部
35 トラック内孔
37 突起
38 仕切板
41 端子溝
42 リード線引出溝
43 リード線接着固定用凹部
44 巻線部
45 内径側引出リード線フォーミング部
46 外径側引出リード線フォーミング部
47 巻線
47a 端末部分
50 回路基板
55 開口
110 ロの字型コア
113 部材
114 直線部材
O 中心
R 曲部
Claims (10)
- 半円の弧の形状をした2つの半円部を2つの直線部で連結させた環状のトラック形状のトラック型コアと、
前記トラック型コアと嵌合することにより前記トラック型コアを収納する凹部が形成された環状のトラック形状の収納部を有する第1ケースと、
前記凹部に収納された前記トラック型コアを覆う環状のトラック形状の蓋部を有する第2ケースと、
を備えたラインフィルタ。 - 前記収納部における前記直線部を収納する直線収納部及び前記蓋部における前記直線部を覆う直線蓋部を含む巻線部は巻線によって巻き回しされる、
請求項1に記載のラインフィルタ。 - 前記第1ケースの前記直線収納部、及び、前記第2ケースの前記直線蓋部のうち、少なくともいずれか一方における前記直線部が延びる方向の両端部に設けられ前記両端部から前記半円の中心とは反対側に突出した突起を有する、
請求項2に記載のラインフィルタ。 - 前記巻線の外径は、1mm以上2.6mm以下であり、
前記巻線部に巻き回しされる前記巻線は1層である、
請求項2または3に記載のラインフィルタ。 - 前記第1ケースは、前記半円部を収納した半円収納部における前記凹部が形成された側と反対側に接続された支持部を有し、
前記支持部は、前記凹部が形成された側から見て前記半円収納部から前記半円の半径方向に突出した部分を含み、
前記収納部に収納された前記トラック型コアを前記蓋部で覆い、前記第2ケース側を、回路基板に形成された開口に埋め込んだとき、前記突出した部分は、前記回路基板に当接する、
請求項2〜4のいずれか一項に記載のラインフィルタ。 - 前記支持部には、前記巻線部から引き出された前記巻線を接続端子位置に導くリード線引出溝が形成されている、
請求項5に記載のラインフィルタ。 - 前記支持部には、前記巻線部から引き出された前記巻線の湾曲形状を調整する引出リード線フォーミング部が形成されている、
請求項5または6に記載のラインフィルタ。 - 前記トラック型コアは、材料として、ナノ結晶軟磁性合金薄帯を含む、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のラインフィルタ。 - 前記第1ケース及び前記第2ケースには、前記収納部に収納された前記トラック型コアを蓋部で覆ったとき、連通するトラック内孔が設けられ、
前記第2ケースには、前記連通するトラック内孔を分割する仕切板を有する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のラインフィルタ。 - 前記第1ケースの前記凹部が形成された側の反対側は、放熱シートで被われる、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のラインフィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016128877A JP2018006460A (ja) | 2016-06-29 | 2016-06-29 | ラインフィルタ |
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ID=60949792
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7574602B2 (ja) | 2020-10-12 | 2024-10-29 | 株式会社プロテリアル | 磁心ユニットと、それを用いたノイズフィルタ |
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- 2016-06-29 JP JP2016128877A patent/JP2018006460A/ja active Pending
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