JP6379939B2 - 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法 Download PDF

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本発明は、液体を吐出する液体吐出装置、及び、その製造方法に関する。
従来から、液体吐出装置において、ノズル内の液体に吐出エネルギーを付与するアクチュエータとして、圧電式のアクチュエータを採用したものが知られている。上記の液体吐出装置として、例えば、特許文献1には、圧電アクチュエータを有するインクジェットヘッドが開示されている。
特許文献1のインクジェットヘッドは、複数のノズル、及び、複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室が形成された流路ユニットと、この流路ユニットに接合された圧電アクチュエータを有する。圧電アクチュエータは、複数の圧力室を覆うように配置された2枚の圧電層と、上層の圧電層の上面において複数の圧力室にそれぞれ対応して配置された複数の個別電極と、2枚の圧電層の間に配置された共通電極とを有する。この圧電アクチュエータにおいて、個別電極と共通電極との間に電位差が発生すると、上層の圧電層のうちの、前記2種類の電極に挟まれる部分に電界が作用して圧電変形が生じる。この圧電層の圧電変形により圧力室に容積変化が生じることで、圧力室内のインクに吐出エネルギーが付与される。
上層の圧電層の上面の複数の個別電極には、ドライバICが実装された配線部材が接続されており、ドライバICによって個別電極の電位を変化させることが可能となっている。また、上層の圧電層の上面には、多数の表面電極からなる導電パターンが配置され、これらの表面電極は、圧電層を貫通する導通部(スルーホール)によって共通電極と導通している。また、配線部材が、導電パターンを構成する表面電極と電気的に接続されることによって、共通電極の電位は常にグランド電位に保持されている。
ところで、特許文献1の圧電アクチュエータは、流路ユニットに接着剤で接合されている。その圧電アクチュエータの接合の際に、接着剤の一部が、流路ユニットと圧電アクチュエータとの接合部からはみ出し、さらに、このはみ出した接着剤が、上層の圧電層の上面までせり上がってくることがある。圧電層の上面に達した接着剤がさらに個別電極まで流れてしまうと、接着剤によって圧電層の変形が阻害されるなど、圧電アクチュエータの作動に悪影響が出る。
この点、特許文献1においては、上層の圧電層の上面において、複数の表面電極からなる表面導電パターンが、複数の個別電極を取り囲むように配置されている。また、表面導電パターンは、複数の個別電極を3重に取り囲んでおり、さらに、それらの3重の囲いの間で、表面導電パターンの位置が互いにずれている。これにより、圧電層の上面にせり上がってきた接着剤が、表面導電パターンの囲いによって堰き止められて、内側の個別電極へ流れ込みにくくなっている。
特開2012−206442号公報
上記の特許文献1の圧電アクチュエータでは、表面導電パターンが複数の個別電極を取り囲むように配置されているものの、表面導電パターンを構成する表面電極の間には多くの隙間が存在する。隙間が多い分、圧電層の上面にせり上がってきた接着剤が、隙間を通って内側へ流れ込む確率が高くなることから、接着剤が個別電極へ到達するのを確実に阻止できるとは言い難い。
この点、せり上がってきた接着剤が個別電極側へ流入することを確実に防止するには、表面導電パターンの表面電極の間に隙間が生じないように、多数の表面電極を全て繋いだ構成を採用することも考えられる。しかし、このような構成では、表面導電パターンと共通電極との間の、上層の圧電層を貫通する導通部の導通検査を行うことが難しくなる。即ち、表面導電パターンが複数の表面電極に分かれている場合は、適宜の導通検査装置(テスターなど)を用いて、異なる2つの表面電極にそれぞれプローブを当てて両者の導通状態を検査することによって、スルーホール内の導通部における導通不良を簡単に検出できる。しかし、表面導電パターンが、表面電極が全て繋がった連続的なパターンであると、上記の方法では、導通部の導通不良を検出できない。
本発明の目的は、表面導電パターンと、圧電層を挟んで反対側に位置する電極との間の導通検査を簡単に行える構成としつつ、圧電層の縁から表面にせり上がってくる接着剤が内側へ流入するのを確実に防止することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明の液体吐出装置は、複数のノズル、及び、前記複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室を含む、液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体に、接着剤によって接合された圧電アクチュエータと、を備え、
前記圧電アクチュエータは、前記流路構造体の前記複数の圧力室を覆うように配置された圧電層と、前記圧電層の前記流路構造体とは反対側の面に配置され、前記複数の圧力室とそれぞれ対向する複数の第1電極と、前記圧電層の前記流路構造体側の面に配置された第2電極と、前記圧電層の前記流路構造体とは反対側の面において、前記複数の第1電極を取り囲むように配置された表面導電パターンと、前記圧電層の前記表面導電パターンが形成される領域において前記第1圧電層を貫通するスルーホール内に配置され、前記第2電極と前記表面導電パターンとを導通させる導通部と、を有し、
前記表面導電パターンは2つの分離パターンに分割され、前記2つの分離パターンは、前記第2電極と、前記導通部によってそれぞれ導通し、前記2つの分離パターンによって、前記複数の第1電極が取り囲まれていることを特徴とするものである。
本発明では、圧電層の流路構造体と反対側の面において、第2電極に導通する表面導電パターンが、複数の第1電極を取り囲むように配置されている。そのため、圧電アクチュエータを流路構造体に接着したときの余剰の接着剤が、圧電層の表面までせり上がってきても、表面導電パターンによって、複数の第1電極への接着剤の流入を抑制できる。また、表面導電パターンと第2電極とを導通させる導通部の導通検査のためには、表面導電パターンは2以上の分離パターンに分割されていることが望ましい。しかし、表面導電パターンの分割数が多いほど、分離パターンの間の隙間が多くなって接着剤が流入する確率が高くなる。また、導通部の導通検査のために、表面導電パターンの分割数を多くする必要は特になく、2つに分割されていれば十分である。この点、本発明では、表面導電パターンの分割数が2つであり、分離パターンの間の隙間が2つしか存在しない。そのため、導通部の導通検査を簡単に行うことが可能で、且つ、第1電極への接着剤の流入も確実に阻止できる。
第2の発明の液体吐出装置は、前記第1の発明において、前記分離パターンの外側から内側へ向けて延びる、前記2つの分離パターンの間の隙間が、前記分離パターンの延在方向と直交する方向に対して、傾斜した方向に延びていることを特徴とするものである。
本発明では、表面導電パターンの2つの分離パターンの間の隙間が、分離パターンの延在方向と直交する方向に対して傾斜しているため、接着剤が分離パターンの間の隙間に入り込みにくくなる。また、隙間が傾斜していない場合、即ち、隙間が分離パターンの直交方向に延びている場合と比べて、隙間の実質的な長さが長くなっているため、隙間に接着剤が入り込んだ場合でも、接着剤が隙間を完全に通過しにくくなる。
第3の発明の液体吐出装置は、前記第1の発明において、前記分離パターンの外側から内側へ向けて延びる、前記2つの分離パターンの間の隙間が、その途中で屈曲していることを特徴とするものである。
本発明では、表面導電パターンの2つの分離パターンの間の隙間が、途中で屈曲しているため、接着剤が分離パターンの間の隙間に入り込んだ場合でも、接着剤が隙間を通過しにくくなる。
第4の発明の液体吐出装置は、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記2つの分離パターンの隙間は、前記分離パターンの外側から内側へ向かう第1隙間と、前記第1隙間から分岐した第2隙間を含むことを特徴とするものである。
本発明では、表面導電パターンの2つの分離パターンの間の隙間が、分離パターンの外側から内側へ向かう第1隙間と、第1隙間から分岐する第2隙間を有する。そのため、分離パターンの外側から第1隙間に接着剤が入り込んだ場合でも、その接着剤が、途中の第2隙間にトラップされるため、内側の第1電極側へ接着剤が流れにくくなる。
第5の発明の液体吐出装置は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記圧電アクチュエータは、前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面に配置され、且つ、前記第1電極と前記第2電極とも導通していない第3電極を有し、前記2つの分離パターンは、前記複数の第1電極と前記第3電極とを取り囲むように配置され、前記2つの分離パターンの前記隙間の内側端部が、前記第1電極よりも前記第3電極に近い位置に配置されていることを特徴とするものである。
本発明において、圧電層の流路構造体と反対側の面、即ち、第1電極が配置される面には、さらに、第3電極が配置されている。この第3電極は、第1電極とも第2電極とも接続されていない電極であり、圧電アクチュエータの作動に直接関係しない電極である。また、2つの分離パターンは、複数の第1電極と第3電極とを取り囲むように配置されている。その上で、本発明では、2つの分離パターンの隙間の内側端部が、第1電極よりも第3電極に近い位置にある。そのため、接着剤が分離パターンの外側から隙間に流入し、隙間を通過したとしても、隙間の内側端部から出た接着剤は、まず先に第3電極に付着するため、第1電極には接着剤が付着しにくくなる。また、第3電極は、圧電アクチュエータの作動に直接関係しないことから、第3電極に接着剤が付着しても、それほど大きな問題は生じない。
第6の発明の液体吐出装置は、前記第5の発明において、前記流路構造体の前記複数の圧力室は、前記圧電層の面方向に沿った所定方向に配列されて、圧力室列を構成し、前記複数の第1電極も、前記圧力室の配列に対応して前記第1方向に配列されて、電極列を構成し、前記電極列に対して前記所定方向における両側に、前記第3電極がそれぞれ配置され、前記2つの分離パターンの間に形成される前記隙間の内側端部が、前記所定方向において、前記第3電極に対して前記複数の第1電極とは反対側に位置していることを特徴とするものである。
本発明において、複数の第1電極からなる電極列に対して、その配列方向の両端側に、第3電極がそれぞれ配置されている。その上で、2つの分離パターンの間に形成されている隙間の内側端部が、第3電極に対して、複数の第1電極とは反対側に位置している。そのため、接着剤が隙間に流入して、さらに、隙間を通過した場合でも、隙間から出た接着剤は、まず先に第3電極に付着するため、第1電極には接着剤が付着しにくくなる。
第7の発明の液体吐出装置の製造方法は、前記第1〜第6の何れかの液体吐出装置の製造方法であって、前記圧電アクチュエータの製造工程は、前記圧電層となるグリーンシートを焼成する焼成工程と、前記焼成工程後に、前記グリーンシートの焼成によって得られた前記圧電層の一面に、前記複数の第1電極と前記表面導電パターンの2つの分離パターンとを形成する、電極形成工程と、を含むことを特徴とするものである。
複数の第1電極を取り囲む表面導電パターンは、比較的面積の大きな導電パターンである。このような導電パターンを、複数の第1電極とともに、先にグリーンシートに形成してからグリーンシートの焼成を行うと、グリーンシートを構成する圧電材料と導電パターンを構成する導電性材料との間の熱膨張係数の差により、焼成後に得られる圧電層が大きく反ってしまう。本発明では、グリーンシートの焼成を行ってから、焼成で得られた圧電層に表面導電パターンを形成するため、表面導電パターンの面積が大きくても、圧電層に反りを生じさせる要因にはならない。
本実施形態に係るプリンタの概略的な平面図である。 インクジェットヘッドの平面図である。 図2のA部拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 インクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 変更形態のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 別の変更形態のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 別の変更形態のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 別の変更形態のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 別の変更形態のインクジェットヘッドの平面図である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの概略的な平面図である。まず、図1を参照してインクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。尚、以下では、図1の紙面手前側を上方、紙面向こう側を下方と定義して、適宜、「上」「下」の方向語を使用して説明する。
(プリンタの概略構成)
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プラテン2と、キャリッジ3と、インクジェットヘッド4と、搬送機構5と、制御装置6等を備えている。
プラテン2の上面には、被記録媒体である記録用紙100が載置される。キャリッジ3は、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール10,11に沿って走査方向に往復移動可能に構成されている。キャリッジ3には無端ベルト14が連結され、キャリッジ駆動モータ15によって無端ベルト14が駆動されることで、キャリッジ3は走査方向に移動する。
インクジェットヘッド4は、キャリッジ3に取り付けられており、キャリッジ3とともに走査方向に移動する。インクジェットヘッド4は、プリンタ1に装着された4色(例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクカートリッジ17と、図示しないチューブによって接続されている。また、インクジェットヘッド4の下面(図1の紙面向こう側の面)には、複数のノズル25(図2〜図5参照)が形成されている。インクジェットヘッド4は、インクカートリッジ17から供給された4色のインクを、複数のノズル25からプラテン2に載置された記録用紙100に対して吐出する。
搬送機構5は、搬送方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ18,19を有する。搬送機構5は、2つの搬送ローラ18,19によって、プラテン2に載置された記録用紙100を搬送方向に搬送する。
制御装置6は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。 制御装置6は、ROMに格納されたプログラムに従い、ASICにより、記録用紙100への印刷等の各種処理を実行する。例えば、印刷処理においては、制御装置6は、PC等の外部装置から入力された印刷指令に基づいて、インクジェットヘッド4やキャリッジ駆動モータ15等を制御して、記録用紙100に画像等を印刷させる。具体的には、キャリッジ3とともにインクジェットヘッド4を走査方向に移動させながらインクを吐出させるインク吐出動作と、搬送ローラ18,19によって記録用紙100を搬送方向に所定量搬送する搬送動作とを、交互に行わせる。
(インクジェットヘッド)
次に、インクジェットヘッド4について説明する。図2は、インクジェットヘッド4の平面図である。図3は、図2のA部拡大図である。図4は、図3のIV-IV線断面図である。図5は、図3のV-V線断面図である。尚、図2〜図5では、インクジェットヘッド4の圧電アクチュエータ21に接続されるCOF63を二点鎖線で概略的に示している。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド4は、流路ユニット20と、この流路ユニット20の上面に設けられた圧電アクチュエータ21を備えている。
(流路ユニットの構成)
図4、図5に示すように、流路ユニット20は、それぞれ流路孔が形成された5枚のプレート31〜35と、プレート31の上面に接合されたインク封止膜40とを有する。プレート31の圧力室26を覆うインク封止膜40は、インク透過性の低い材料、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成されたものを好適に使用できる。流路孔が形成されるプレート31〜34は、ステンレス鋼等の耐食性の高い金属で形成されたものを好適に使用できる。最も下側に位置するプレート35は、複数のノズル25が形成されたノズルプレートであるが、このノズルプレート35は、ポリイミド等の樹脂で形成されたものを好適に使用できる。
図2に示すように、インク封止膜40は、その下側のプレート31〜35と比べて、平面積が一回り小さい。従って、プレート31の上面には、インク封止膜40が接合されない領域が存在する。プレート31の、インク封止膜40が接合されない領域のうちの、搬送方向上流側部分には、4つのインクカートリッジ17(図1参照)と接続される4つのインク供給孔23が形成されている。尚、以下の説明において、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)のインクにそれぞれ対応する構成要素については、その構成要素を示す符号に、どのインクに対応するかが分かるように、適宜、ブラックを示す“k”、イエローを示す“y”、シアンを示す“c”、マゼンタを示す“m”の何れかの記号を付す。例えば、インク供給孔23kは、ブラックインクのインクカートリッジ17と接続されて、ブラックインクが供給されるインク供給孔23である。
流路ユニット20のプレート33には、4つのインク供給孔23にそれぞれ接続される4本のマニホールド24が形成されている。各マニホールド24には、インク供給孔23を介して、インクカートリッジ17(図1参照)に貯留されているインクが供給される。また、4本のマニホールド24は、それぞれ搬送方向に延在している。
流路ユニット20の、最も下側のノズルプレート35には複数のノズル25が形成されている。また、インク封止膜40が接合されるプレート31には、複数のノズル25にそれぞれ対応する複数の圧力室26が形成されている。
図2に示すように、流路ユニット20の下面(図3の紙面向こう側の面)において、複数のノズル25は搬送方向に沿って配列されており、4色のインクにそれぞれ対応した4つのノズル群29(29k、29y、29c、29m)を構成している。4つのノズル群は、図2の左側から、マゼンタのノズル群29m、シアンのノズル群29c、イエローのノズル群29y、及び、ブラックのノズル群29kの順に、走査方向に並んでいる。尚、ブラックのノズル群29kとイエローのノズル群29yとの間では、他のノズル群29の間と比べて、走査方向の間隔が広くなっている。
4つのノズル群29のそれぞれは、走査方向に並ぶ2列のノズル列28を有する。つまり、流路ユニット20のノズルプレート35には、合計8列のノズル列28が形成されている。図3に示すように、各ノズル列28において、ノズル25が搬送方向に配列間隔Pで配列されている。また、1つのノズル群29を構成する2列のノズル列28の間では、配列方向におけるノズル25の位置が互いにずれている。これにより、1つのノズル群29の全体では、ノズル25が、搬送方向においてP/2の配列間隔で配列されている。
複数の圧力室26は、4つのノズル群29のそれぞれにおけるノズル25の配列に対応して、搬送方向に配列され、合計8列の圧力室列38を構成している。また、2列の圧力室列38が1本のマニホールド24の直上に配置されており、前記2列の圧力室列38に属する圧力室26が、前記1本のマニホールド24に連通している。図4、図5に示すように、複数の圧力室26は、プレート31の上面に接合されたインク封止膜40によって、上方から覆われている。
図3に示すように、各圧力室列38の、搬送方向における圧力室26の配列間隔は、ノズル列28の配列間隔Pと等しい。各圧力室26は、走査方向に長い、略矩形の平面形状を有する孔である。図4に示すように、各圧力室26の長手方向一端部は、マニホールド24と連通し、長手方向他端部はノズル25と連通している。これにより、図4に矢印で示されるように、流路ユニット20には、マニホールド24から分岐して、圧力室26を経てノズル25に至る、個別インク流路が複数形成されている。尚、図4、図5においては、マニホールド24及び複数の圧力室26等の個別インク流路内に、符号Iで示されるインクが充填されている状態が示されている。
(圧電アクチュエータの構成)
圧電アクチュエータ21は、流路ユニット20のインク封止膜40の上面に配置されている。図2〜図5に示すように、圧電アクチュエータ21は、2枚の圧電層41,42、複数の個別電極44、共通電極45等を備えている。
2枚の圧電層41,42は、それぞれ圧電材料からなる。圧電層41,42を構成する圧電材料としては、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を採用することができる。その他、非鉛の圧電材料である、チタン酸バリウムや、ニオブ系の圧電材料を採用することもできる。圧電層41,42は互いに積層された状態でインク封止膜40の上面に配置される。また、下側の圧電層42はインク封止膜40に接着剤37で接合される。
複数の個別電極44は、圧電層41の、圧電層42と反対側の面である上面に形成されている。複数の個別電極44は、流路ユニット20の複数の圧力室26とそれぞれ対応して搬送方向に配列され、合計8列の個別電極列50を構成している。個別電極列50の、搬送方向における個別電極44の配列間隔は、ノズル25及び圧力室26の配列間隔Pと等しい。各個別電極44は、走査方向に長い略楕円の平面形状を有し、対応する圧力室26の中央部と対向している。各個別電極44の長手方向一端部には、接続端子46が設けられている。この接続端子46は、圧電層41の上面において、個別電極44の前記一端部から、走査方向に沿って圧力室26と対向しない領域まで延びている。
図4、図5に示すように、接続端子46は、導電性のバンプ53を介して、配線部材であるCOF63と接合される。これにより、個別電極44は、COF63と電気的に接続される。COF63は、プリンタ1の制御装置6(図1参照)と接続されている。また、COF63には図示しないドライバICが設けられている。ドライバICは、制御装置6からの吐出制御信号に基づき、各個別電極44の電位を、所定の駆動電位とグランド電位との間で切り換える。
共通電極45は、2枚の圧電層41,42の間にほぼ全面的に配置されている。また、共通電極45は、上側の圧電層41を挟んで複数の個別電極44のそれぞれと対向している。
図2、図3に示すように、上側の圧電層41の上面の、縁部の全周にわたって、矩形枠状の表面導電パターン51が形成されている。この表面導電パターン51は、走査方向に2つの分離パターン64,65に分割されている。そして、表面導電パターン51の2つの分離パターン64,65によって、複数の個別電極44が取り囲まれている。
図2に示すように、圧電層41の上面の、表面導電パターン51の分離パターン64,65が形成されている領域には、圧電層41を貫通するスルーホール41aが複数形成されている。各スルーホール41aには導電性材料が充填されて導通部55が形成されている。2枚の圧電層41,42の間に配置されている共通電極45は、複数の導通部55によって、2つの分離パターン64,65とそれぞれ導通している。また、図2、図3に示すように、各分離パターン64,65には、複数のバンプ54が配置されている。バンプ54には、COF63が押し付けられて接合される。これにより、共通電極45は、COF63に形成されているグランド配線(図示省略)と電気的に接続されており、共通電極45は、常にグランド電位に維持されている。
また、本実施形態では、図2に示すように、各分離パターン64,65の、搬送方向に延びる部分64b,65bの幅は、走査方向に延びる部分64c,65cの幅よりも大きくなっている。また、圧電層41を貫通するスルーホール41aは、各分離パターン64,65のうちの、幅の大きい、搬送方向に延びる部分64b,65bの配置領域に形成されており、スルーホール41a内の導通部は、各分離パターン64,65の上記幅広の部分64b,65bと導通している。さらに、バンプ54も、各分離パターン64,65の上記幅広の部分64b,65bに配置されている。
尚、圧電アクチュエータ21を流路ユニット20に接着剤37で接合したときに、図5に示すように、余剰の接着剤37が、圧電層41,42の周縁から上面にせり上がってくる場合がある(図7(c)参照)。この点、複数の個別電極44を取り囲む表面導電パターン51は、圧電層41の上面にせり上がってきた接着剤37が、複数の個別電極44へ流れ込むことを防止する役割も有する。表面導電パターン51の、接着剤37の流入阻止効果、及び、その効果を上げるための構成面での工夫については、後で詳細に説明する。
図4に示される、圧電層41の、個別電極44と共通電極45に挟まれた部分を、特に、活性部43と呼ぶ。活性部43は、厚み方向において下向き、即ち、個別電極44から共通電極45に向かう方向に分極されている。
圧電アクチュエータ21の、ノズル25からインクを吐出させる際の動作は、以下の通りである。COF63に実装されたドライバICにより、ある個別電極44の電位が、グランド電位から駆動電位に切り換えられたとする。このとき、個別電極44とグランド電位に保持されている共通電極45の間に電位差が生じる。これにより、図4に示される、圧電層41の活性部43に厚み方向の電界が生じる。また、活性部43の分極方向と電界の方向とが一致するために、活性部43はその分極方向である厚み方向に伸びて面方向に収縮する。この活性部43の収縮変形に伴って、2つの圧電層41,42が圧力室26側に凸となるように撓む。これにより、圧力室26の容積が減少してその内部のインクに圧力が付与され、圧力室26に連通するノズル25からインクの液滴が吐出される。
また、圧電アクチュエータ21は、前述した個別電極44及び共通電極45の他に、圧力室26内のインクへの圧力付与には直接関係しない下記の電極パターンを、さらに有する。
(1)ダミー電極
先にも説明したが、図2、図3に示すように、圧電層41の上面には、走査方向に並ぶ、合計8列の個別電極列50が形成されている。そして、各個別電極列50の、搬送方向上流側と下流側に、個別電極44と同じ平面形状を有する、2つのダミー電極61がそれぞれ配置されている。即ち、各個別電極列50の、搬送方向上流側の配列端に位置する個別電極44よりも、さらに搬送方向上流側にダミー電極61が配置されている。また、各個別電極列50の、搬送方向下流側の配列端に位置する個別電極44よりも、さらに搬送方向下流側にダミー電極61が配置されている。また、図3に示すように、各個別電極列50の、端に位置する個別電極44とダミー電極61との離間距離は、個別電極列50内における個別電極44の配列間隔Pに等しい。
ダミー電極61は、圧電アクチュエータ21の活性部43の駆動(即ち、ノズル25からのインクの吐出)には寄与しない電極である。具体的には、個別電極44とは異なり、ダミー電極61はCOF63とは接続されておらず、ダミー電極61には駆動電位は印加されない。また、ダミー電極61は、個別電極44や共通電極45とも接続されていない。
ダミー電極61が設けられる主な目的は、複数の活性部43の間での圧電特性差の解消にある。1列の圧力室列38を構成する複数の圧力室26のうち、端に位置する圧力室26は、その配列方向の一方側にしか、他の圧力室26が隣接していない。つまり、端以外の圧力室26に対応する活性部43の両側には、2つの圧力室26に対応する2つの個別電極44が存在するのに対して、端の圧力室26に対応する活性部43の隣には、1つの個別電極44しか配置されていない。
ここで、両側に2つの個別電極44が配置されている活性部43と、一方側に1つの個別電極44のみが配置されている活性部43とでは、圧電層41,42の焼成時における、活性部43の周囲の熱収縮等の条件が異なってくる。これにより、端の活性部43とそれ以外の活性部43とで、活性部43の残留応力の程度が異なることになり、活性部43の特性に違いが出る。この点、図2、図3のように、各個別電極列50の端に位置する個別電極44と、個別電極44の配列方向である搬送方向において並ぶように、ダミー電極61が配置されていることで、端の活性部43の両側に、個別電極44とダミー電極61とが配置されることになる。これにより、端の活性部43と端以外の活性部43との間の特性差を小さくできる。
(2)共振周波数検査用のパターン
図2に示すように、流路ユニット20の、ブラックのノズル群29kとイエローのノズル群29yとの間の間隔が大きくなっているのに対応して、圧電層41の上面の、ブラックの個別電極列50と、イエローの個別電極列50との間にも、空いた領域が存在する。この領域には、圧電アクチュエータ21の共振周波数を測定するための検査パターン56が形成されている。
検査パターン56は、搬送方向に並ぶ複数の検査電極57と、複数の検査電極57にそれぞれ導通する複数のパッド58とを有する。複数の検査電極57は、圧電層41を挟んで、共通電極45と対向している。各パッド58にプローブ(図示省略)を当てて検査電極57に電圧を印加し、且つ、その電圧印加の周波数を変化させる。このときの、共通電極45の出力電流値の変化から、検査電極57が設けられている部分の、圧電アクチュエータ21の共振周波数を測定することが可能である。尚、各検査電極57の搬送方向における両側には、ダミー検査電極59が配置されている。また、各パッド58の搬送方向における両側にも、ダミーパッド60が配置されている。
尚、検査パターン56の、検査電極57、パッド58、ダミー検査電極59、及び、ダミーパッド60は、それぞれ、COF63に接続されておらず、また、個別電極44や共通電極45にも接続されていない。つまり、検査パターン56も、上記のダミー電極61と同様、圧電アクチュエータ21の活性部43の駆動(即ち、ノズル25からのインクの吐出)には直接関係しない電極である。
(表面導電パターンの詳細)
次に、圧電層41の上面に形成された表面導電パターン51の詳細について説明する。上述したように、表面導電パターン51が設けられている1つの目的は、2枚の圧電層41,42の間に配置されている共通電極45を、圧電層41の上面に接合されるCOF63と電気的に導通をとることである。さらに、本実施形態の表面導電パターン51は、圧電アクチュエータ21を流路ユニット20に接合したときに、圧電層41,42の側面を伝って、圧電層41の縁部上面までせり上がってきた余剰の接着剤37が、内側の複数の個別電極44まで到達しないように、接着剤37の流れを堰き止める役割も有する。
先にも述べたが、図2、図3に示すように、矩形枠状の平面形状を有する表面導電パターン51は、走査方向に2つの分離パターン64,65に分割されている。尚、2つの分離パターン64,65からなる表面導電パターン51は、圧電層41の縁部全周に沿って配置され、複数の個別電極44だけでなく、複数のダミー電極61、及び、検査パターン56も取り囲んでいる。また、2つの分離パターン64,65の間には2つの隙間67が存在する。図2、図3に示すように、本実施形態では、2つの隙間67は、搬送方向に沿って配列された複数の個別電極44に対して、搬送方向の上流側と下流側にそれぞれ位置している。
ここで、せり上がってきた接着剤37の流れを堰き止めるという観点だけを考えれば、表面導電パターン51は複数のパターンに分割されておらず、隙間が全く存在しないことが好ましい。しかし、表面導電パターン51が分割されていないと、この表面導電パターン51と共通電極45とを接続する導通部55の導通検査を行うのが難しい、という問題がある。即ち、表面導電パターン51が複数のパターンに分割されていると、テスター等の導通検査装置のプローブを、分離された2つのパターンにそれぞれ当てることにより、スルーホール41a内の導通部55の導通状態を簡単に確認することができる。
一方で、表面導電パターン51のパターン分割数が多いほど、それらのパターンの間の隙間が多くなるため、この隙間を通って個別電極44側へ接着剤37が流入する確率が高くなる。また、導通部55の導通検査のためには、表面導電パターン51の分割数を多くする必要は特にない。そこで、本実施形態では、表面導電パターン51の分割数が2つとなっており、分離パターン64,65の間の隙間67が2つしか存在しない。これにより、導通部55の導通検査を可能な構成としつつも、個別電極44側への接着剤37の流入が確実に阻止される。
また、2つの分離パターン64,65の間の隙間67は、接着剤37が通過しにくい形状になっていることが好ましい。この点、本実施形態では、各隙間67は、分離パターン64,65の外側から内側に向けて延びる途中で、クランク状に屈曲した形状を有する。より詳細には、図3に示すように、隙間67を挟んで左側の分離パターン64の境界部64aは、右方に延びる延在部73を有する。一方、隙間67を挟んで右側の分離パターン65の境界部65aは、左方に延びる延在部74を有し、また、この延在部74は、分離パターン64の延在部73と搬送方向に並んでいる。そして、左側の分離パターン64の境界部64aと右側の分離パターン65の境界部65aとの間に、外側から内側(個別電極44側)へ向けて、搬送方向に延びる隙間部分71a、走査方向に延びる隙間部分71b、及び、搬送方向に延びる隙間部分71cが連なって構成された、クランク状の第1隙間71が形成されている。また、隙間67の外側端部67aと内側端部67bは、走査方向にずれて配置されている。
さらに、右側の分離パターン65の境界部65aは、延在部74と、搬送方向において隙間(第2隙間72)を挟んで配置され、且つ、左側の分離パターン65の延在部73の先端と近接する位置まで左方に延びる、延在部75を有する。これにより、隙間67は、外側から内側へ延びるクランク状の第1隙間71に加えて、さらに、第1隙間71から分岐して走査方向に延びる、第2隙間72を有する。
2つの分離パターン64,65の間の隙間67が、クランク状に屈曲した形状の第1隙間71を有することから、接着剤37が隙間67に入り込んだ場合でも、接着剤37が隙間67を通過しにくくなる。さらに、隙間67は、第1隙間71から分岐して延びる第2隙間72を有することから、外側から第1隙間71に接着剤37が入り込んだ場合でも、その接着剤37の一部が、途中で分岐する第2隙間72にトラップされるため、接着剤37が個別電極44側へ流れにくくなる。
図2に示すように、2つの隙間67は、複数の個別電極44に対して搬送方向上流側と下流側に配置されている。また、図3に示すように、各隙間67の内側(個別電極44側)の端部57bは、搬送方向において検査パターン56と並んでいる。この構成により、隙間67の内側端部67bは、個別電極44よりも、圧電アクチュエータ21の作動には直接関係しない検査パターン56(特に、ダミー検査電極59)に近い位置に配置されている。
また、図2、図3に示すように、個別電極列50の配列方向両端には2つのダミー電極61が配置されている。そして、2つの隙間67の内側端部67bは、それぞれ、ダミー電極61よりも外側、即ち、ダミー電極61に対して、個別電極列50を構成する複数の個別電極44とは反対側に位置している。
このように、隙間67に近い位置に検査パターン56があり、また、隙間67と個別電極列50との間にはダミー電極61が存在する。そのため、外側から隙間67に接着剤37が流入して、その接着剤37が隙間67を通過した場合でも、隙間67から出た接着剤37は、まず先に、検査パターン56、または、ダミー電極61に付着することから、個別電極44には接着剤37が付着しにくい。また、ダミー電極61や検査パターン56は、個別電極44や共通電極45とは接続されていない電極パターンであって、圧電アクチュエータ21の作動には直接関係しないことから、これらの電極パターンに接着剤37が付着しても、それほど大きな問題は生じない。
次に、上述したインクジェットヘッド4の製造工程について説明する。図6は、インクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。
(流路ユニットの製造工程)
図6では、図示が省略されているが、流路ユニット20の製造は以下のようにして行う。流路ユニット20の5枚のプレート31〜35のうち、4枚のプレート31〜34については、それぞれエッチングを行って、それぞれ圧力室26、マニホールド24等の流路孔を形成する。また、ノズルプレート35には、レーザー加工等により、複数のノズル25を形成する。そして、プレート31〜35とインク封止膜40とを重ね合わせて接着剤で接合する。
(圧電アクチュエータの製造工程)
まず、未焼成の2枚のグリーンシート81,82を準備する。上層の圧電層41となるグリーンシート81には、スルーホール41aとなる孔を形成しておく。また、グリーンシート82の一面に共通電極45を形成する。そして、図6(a)に示すように、2枚のグリーンシート81,82を、共通電極45を挟むように積層する。次に、これら2枚のグリーンシート81,82を所定温度で加熱して焼成し、2枚の圧電層41,42の積層体を得る。焼成後に、図6(b)に示すように、圧電層41の、圧電層42とは反対側の面に、複数の個別電極44、表面導電パターン51、ダミー電極61、検査パターン56を形成する。また、その際に、図6では示されていないが、圧電層41のスルーホール41a内にも導電性材料を充填して、導通部55を形成する。
ここで、圧電層41の上面に形成される表面導電パターン51は、複数の個別電極44を取り囲むものであり、比較的面積の大きい導電パターンである。そのため、複数の個別電極44や表面導電パターン51等を先にグリーンシート81に形成してから、グリーンシート81の焼成を行うと、グリーンシート81を構成する圧電材料と表面導電パターン51等を構成する導電性材料との間の熱膨張係数の差により、焼成後に得られる圧電層41が大きく反ってしまう。この点、本実施形態では、グリーンシート81の焼成を行ってから、焼成後に圧電層41に複数の個別電極44や表面導電パターン51等を形成するため、表面導電パターン51の面積が大きくても、圧電層41に反りを生じさせる要因にはならない。また、焼成後に表面導電パターン51等を形成するため、例えば、1インチ以上の長さのノズル列28を複数列囲うことができるような大きさの、表面導電パターン51(2つの分離パターン64,65)を形成した場合でも、圧電層41,42が反ることがない。このように、焼成後に、面積の大きな表面導電パターン51を形成することで、圧電層41,42の反りを抑えて、歩留まりを向上させることができる。
(接合工程)
図6(c)に示すように、上記の圧電アクチュエータ21を、流路ユニット20に接着剤37で接合する。まず、流路ユニット20の上面に熱硬化性接着剤37を塗布した後、この流路ユニット20の上面に圧電アクチュエータ21を載せる。次に、流路ユニット20と圧電アクチュエータ21とを押圧しながら加熱することで、接着剤37を硬化させる。
この接合工程において、流路ユニット20と圧電アクチュエータ21との間から、余剰の接着剤37が溢れ出し、その接着剤37が圧電アクチュエータ21の側面を伝って、圧電層41の上面までせり上がる場合がある。しかし、圧電層41の上面には、複数の個別電極44を取り囲むように、表面導電パターン51が形成されているため、この表面導電パターン51によって、圧電層41の縁部から内側に向かおうとする接着剤37aの流れが堰き止められる。
以上説明した実施形態において、インクジェットヘッド4が、本発明の「液体吐出装置」に相当する。流路ユニット20が、本発明の「流路構造体」に相当する。個別電極44が、本発明の「第1電極」に相当する。共通電極45が、本発明の「第2電極」に相当する。ダミー電極61と検査パターン56(ダミー検査電極59)が、それぞれ、本発明の「第3電極」に相当する。特に、ダミー電極61は、本発明の請求項6の「第3電極」に相当する。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]2つの分離パターン64,65の構成は、前記実施形態の形状には限られない。例えば、各分離パターン64,65の、搬送方向に延びる部分64b,65bと、走査方向に延びる部分64c,65cが、同じ幅であってもよい。また、導通部55(スルーホール41a)が、各分離パターン64,65のうちの、走査方向に延びる部分64c,65cに配置されてもよい。さらに、バンプ54も、走査方向に延びる部分64c,65cに配置されてもよい。
2]2つの分離パターン64,65の間の隙間67の形状は、前記実施形態の形状には限られず、以下のような形状を採用してもよい。
例えば、図7に示すように、隙間67が、分離パターン64,65の外側から内側へ向かう第1隙間71のみからなり、第1隙間71から分岐する第2隙間72を有さない構成であってもよい。
あるいは、図8に示すように、2つの分離パターン64,65の境界部64a,65aの縁が、分離パターン64,65の延在方向と直交する方向(図では搬送方向)に対してそれぞれ傾斜することにより、分離パターン64,65の間の隙間67が、前記延在方向と直交する方向に対して傾いた方向に延びていてもよい。この構成では、圧電層41の縁部上面にせり上がってきた接着剤37が、隙間67に流れ込みにくくなる。また、隙間67が傾斜していない場合、即ち、隙間67が分離パターン64,65の直交方向に延びている場合と比べて、隙間67の実質的な長さが長くなっているため、隙間67に接着剤37が入り込んだ場合でも、接着剤37が隙間67を通過しにくくなる。
あるいは、図9に示すように、2つの分離パターン64,65の境界部64a,65aの縁がジグザグ形状に形成されることで、2つの分離パターン64,65の間の隙間67も、ジグザグに屈曲しながら外側から内側へ延びていてもよい。このように、隙間67がジグザグ形状に形成されることで、隙間67に接着剤37が流入した場合でも、接着剤37が隙間67を通過しにくくなる。
また、図10に示すように、2つの分離パターン64,65の隙間67が、分離パターン64,65の延在方向と直交する方向に延びる形状であってもよい。この図10では、前記実施形態の図3、あるいは、上記の図7〜図9の隙間67の形状と比べると、接着剤37が隙間67を通りやすい。但し、2つの分離パターン64,65の隙間67が2つしかないため、表面導電パターンに多数の隙間が存在する従来構成と比べると、接着剤37が内側へ流れ込むのを阻止する効果は高い。
3]前記実施形態では、矩形枠状の表面導電パターン51が、走査方向(左右方向)に2つの分離パターン64,65に分割されていたが、図11に示すように、表面導電パターン51が、搬送方向に2つの分離パターン64,65に分割されてもよい。
4]前記実施形態の圧電アクチュエータ21では、圧電層41の上面に、個別電極44及び表面導電パターン51の他に、ダミー電極61や検査パターン56が形成されているが、ダミー電極61や検査パターン56は、圧電アクチュエータ21の作動に必須なものではないことから、適宜省略することが可能である。
以上、説明した前記実施形態及びその変更形態は、本発明を、記録用紙にインクを吐出して画像等を印刷するインクジェットヘッドに適用したものであるが、画像等の印刷以外の様々な用途で使用される液体吐出装置においても本発明は適用されうる。例えば、基板に導電性の液体を噴射して、基板表面に導電パターンを形成する液体吐出装置にも、本発明を適用することは可能である。
4 インクジェットヘッド
20 流路ユニット
21 圧電アクチュエータ
25 ノズル
26 圧力室
37 接着剤
38 圧力室列
41 圧電層
41a スルーホール
44 個別電極
45 共通電極
50 個別電極列
51 表面導電パターン
55 導通部
56 検査パターン
59 ダミー検査電極
61 ダミー電極
64,65 分離パターン
67 隙間
67b 内側端部
71 第1隙間
72 第2隙間
81 グリーンシート

Claims (7)

  1. 複数のノズル、及び、前記複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室を含む、液体流路が形成された流路構造体と、
    前記流路構造体に、接着剤によって接合された圧電アクチュエータと、を備え、
    前記圧電アクチュエータは、
    前記流路構造体の前記複数の圧力室を覆うように配置された圧電層と、
    前記圧電層の前記流路構造体とは反対側の面に配置され、前記複数の圧力室とそれぞれ対向する複数の第1電極と、
    前記圧電層の前記流路構造体側の面に配置された第2電極と、
    前記圧電層の前記流路構造体とは反対側の面において、前記複数の第1電極を取り囲むように配置された表面導電パターンと、
    前記圧電層の前記表面導電パターンが形成される領域において前記圧電層を貫通するスルーホール内に配置され、前記第2電極と前記表面導電パターンとを導通させる導通部と、を有し、
    前記表面導電パターンは2つの分離パターンに分割され、前記2つの分離パターンは、前記第2電極と、前記導通部によってそれぞれ導通し、
    前記2つの分離パターンによって、前記複数の第1電極が取り囲まれていることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記分離パターンの外側から内側へ向けて延びる、前記2つの分離パターンの間の隙間が、前記分離パターンの延在方向と直交する方向に対して、傾斜した方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記分離パターンの外側から内側へ向けて延びる、前記2つの分離パターンの間の隙間が、その途中で屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  4. 前記2つの分離パターンの隙間は、前記分離パターンの外側から内側へ向かう第1隙間と、前記第1隙間から分岐した第2隙間を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液体吐出装置。
  5. 前記圧電アクチュエータは、前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面に配置され、且つ、前記第1電極とも前記第2電極とも導通していない第3電極を有し、
    前記2つの分離パターンは、前記複数の第1電極と前記第3電極とを取り囲むように配置され、
    前記2つの分離パターンの前記隙間の内側端部が、前記第1電極よりも前記第3電極に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体吐出装置。
  6. 前記流路構造体の前記複数の圧力室は、前記圧電層の面方向に沿った所定方向に配列されて、圧力室列を構成し、
    前記複数の第1電極も、前記圧力室の配列に対応して前記所定方向に配列されて、電極列を構成し、
    前記電極列に対して前記所定方向における両側に、前記第3電極がそれぞれ配置され、
    前記2つの分離パターンの間に形成される前記隙間の内側端部が、前記所定方向において、前記第3電極に対して前記複数の第1電極とは反対側に位置していることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の液体吐出装置の製造方法であって、
    前記圧電アクチュエータの製造工程は、
    前記圧電層となるグリーンシートを焼成する焼成工程と、
    前記焼成工程後に、前記グリーンシートの焼成によって得られた前記圧電層の一面に、前記複数の第1電極と前記表面導電パターンの2つの分離パターンとを形成する、電極形成工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出装置の製造方法。
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