以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による開錠防止具の第1実施形態を示す平面図である。開錠防止具1は、扉の錠前が開くのを防止する開錠防止具であって、サムターンが設けられた扉に取り付けられる。詳細には、開錠防止具1は、組立式の開錠防止具であって、組立後に扉に取り付けられる。図1は、組立前の開錠防止具1を示している。
図2及び図3は、それぞれ、組立後の開錠防止具1を示す斜視図及び平面図である。ただし、図3においては、後述する補強領域181,182の図示を省略している。図4及び図5は、それぞれ、図3のIV−IV線及びV−V線に沿った端面図である。
開錠防止具1は、図1に示すように、板状部材100を備えている。板状部材100は、厚紙からなっている。板状部材100は、平坦なシート状をしており、1枚の厚紙から形成されている。板状部材100は、所定の折り線(後述する山折線及び谷折線)に沿って折り曲げられることにより、図2〜図5に示す箱体10を構成する。折り線には、当該折り線に沿って板状部材100を折り曲げやすいように、折り筋が予め形成されていることが好ましい。本実施形態において箱体10は、1枚の板状部材100のみによって構成される。
箱体10は、底部12及び側面部14を有している。本実施形態において底部12は、平面視で矩形をしている。これに伴い、側面部14は、底部12の4辺のそれぞれから立設する4枚の平板からなっている。箱体10の上面は、開口している。当該開口部の各辺の長さは、例えば、4〜8cm程度である。
箱体10は、後述するとおり、サムターンを覆うように扉に固定される。具体的には、箱体10は、上面(開口面)における当該箱体10の縁部16が扉に固着されることにより、扉に固定される。本実施形態において縁部16には、扉に対して粘着力を有する粘着手段(図示せず)が設けられている。かかる粘着手段を介して縁部16を扉板に貼着することができる。粘着手段としては、例えば、粘着テープ又は粘着ゲルを用いることができる。縁部16は、箱体10の側方外側に延出している。すなわち、縁部16は、側面部14の上端から箱体10の外側に向かって張り出すように設けられている。
箱体10の底部12には、サムターンの摘み部と嵌合する穴20が存在する。穴20は、サムターンの摘み部と隙間なく嵌合するものであってもよいし、隙間を空けて嵌合するものであってもよい。本実施形態において穴20は、平面視で、細長い長方形状をしている(図3参照)。穴20の長辺の長さは、例えば、3〜4cm程度である。また、穴20の短辺の長さは、例えば、0.5〜1.5cm程度である。穴20は、底部12の中央に位置している。この穴20は、底部12を貫通している。
開錠防止具1は、扉に対して着脱可能であることが好ましい。ここで、着脱可能とは、扉や開錠防止具1を汚損することなく、扉に対する開錠防止具1の取付け及び取外しを容易に行えるということである。例えばネジを用いて開錠防止具1を扉に取り付けるような場合、ネジ穴により扉が損傷を受けるため、開錠防止具1が着脱可能であるとはいえない。
図1に戻って、板状部材100は、底部領域121〜123、側面部領域141〜144、及び縁部領域161〜164を有している。各底部領域121〜123、各側面部領域141〜144、及び各縁部領域161〜164は、矩形状をしている。板状部材100は、点対称な形状をしている。
底部領域121(第1の底部領域)は、箱体10において底部12を構成する。底部領域121の各辺の長さは、例えば、4〜8cm程度である。底部領域121には、開口領域131(第1の開口領域)が設けられている。開口領域131は、箱体10において穴20を構成する。開口領域131は、細長い長方形状をしている。開口領域131の長辺の長さは、例えば、3〜4cm程度である。また、開口領域131の短辺の長さは、例えば、0.5〜1.5cm程度である。本実施形態において開口領域131には、2つのフラップ部131a(第1のフラップ部)が設けられている。組立前、開口領域131は、これらのフラップ部131aによって閉塞された状態にある。
フラップ部131aは、略直角に折り曲げられることにより、箱体10において穴20の内周面を構成する。詳細には、開口領域131の短辺上に切込線C11a,C11bが設けられるとともに、切込線C11aの中点と切込線C11bの中点とを結ぶように切込線C11cが設けられている。また、開口領域131の長辺上には、山折線M11a,M11bが設けられている。組立時、切込線C11a,C11b,C11cに沿って切目が入った状態で、山折線M11a,M11bを略直角に山折りすることにより、開口領域131に開口が形成される。なお、本実施形態においては、板状部材100内の全ての切込線に沿って予め切目が入っている。
底部領域121の各辺には、側面部領域141〜144が連設されている。これらの側面部領域141〜144は、箱体10において側面部14を構成する。具体的には、底部領域121の上辺、下辺、右辺及び左辺に、それぞれ、側面部領域141(第1の側面部領域)、側面部領域142(第2の側面部領域)、側面部領域143(第3の側面部領域)及び側面部領域144(第4の側面部領域)が連設されている。底部領域121と側面部領域141との境界(底部領域121の上辺)上には、谷折線V11aが設けられている。底部領域121と側面部領域142との境界(底部領域121の下辺)上には、谷折線V11bが設けられている。底部領域121と側面部領域143との境界(底部領域121の右辺)上には、谷折線V11cが設けられている。また、底部領域121と側面部領域144との境界(底部領域121の左辺)上には、谷折線V11bが設けられている。
板状部材100は、側面部領域141及び側面部領域142が互いに対向するとともに、側面部領域143及び側面部領域144が互いに対向するように折り曲げられる。具体的には、側面部領域141〜側面部領域144が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11a,V11b,V11c,V11dが直角に谷折りされる。これにより、側面部14が形成される。
側面部領域141〜144には、それぞれ縁部領域161〜164が連設されている。具体的には、側面部領域141の上辺に縁部領域161が連設され、側面部領域142の下辺に縁部領域162が連設され、側面部領域143の右辺に縁部領域163が連設され、側面部領域144の左辺に縁部領域164が連設されている。これらの縁部領域161〜164は、箱体10において縁部16を構成する。各縁部領域161〜164には、上述の粘着手段が設けられている。側面部領域141と縁部領域161との境界上には、山折線M14aが設けられている。側面部領域142と縁部領域162との境界上には、山折線M14bが設けられている。側面部領域143と縁部領域163との境界上には、山折線M14cが設けられている。また、側面部領域144と縁部領域164との境界上には、山折線M14dが設けられている。
底部領域122(第2の底部領域)は、箱体10において底部領域121と共に底部12を構成する。底部領域122は、側面部領域141及び側面部領域144の双方に隣接する位置(底部領域121の左上)に設けられている。底部領域122と側面部領域141及び縁部領域161との境界上には、切込線C12dが設けられている。切込線C12dは、当該境界の全体にわたって設けられている。底部領域122と側面部領域144及び縁部領域164との境界上には、切込線C12e及び谷折線V12が設けられている。切込線C12eは、当該境界の左端から当該境界の途中まで延びている。ただし、切込線C12eの右端は、底部領域122と側面部領域144との境界上に存在する。谷折線V12は、切込線C12eの右端から上記境界の右端まで延びている。谷折線V12の長さは、例えば、5〜10mm程度である。
底部領域122内には、山折線M12c,M12dが設けられている。山折線M12cは、底部領域122の右辺の近傍において、当該右辺と平行に底部領域122の上辺から下辺まで延びている。山折線M12cの下端は、切込線C12eの右端(谷折線V12の左端)に一致する。それゆえ、底部領域122の右辺と山折線M12cとの間隔は、谷折線V12の長さに等しい。山折線M12dは、底部領域122の左辺の近傍において、当該左辺と平行に底部領域122の上辺から下辺まで延びている。底部領域122の左辺と山折線M12dとの間隔は、底部領域122の右辺と山折線M12cとの間隔に等しい。山折線M12cと山折線M12dとの間隔は、底部領域121の左右方向の長さ(各谷折線V11a,V11bの長さ)に等しい。また、底部領域122の上下方向の長さは、底部領域121の上下方向の長さに等しい。
底部領域122には、開口領域132(第2の開口領域)が設けられている。開口領域132は、箱体10において開口領域131と共に穴20を構成する。開口領域132は、開口領域131と略同一の形状及び大きさを有している。本実施形態において開口領域132には、2つのフラップ部132a(第2のフラップ部)が設けられている。組立前、開口領域132は、これらのフラップ部132aによって閉塞された状態にある。
フラップ部132aは、略直角に折り曲げられることにより、箱体10において穴20の内周面を構成する。詳細には、開口領域132の短辺上に切込線C12a,C12bが設けられるとともに、切込線C12aの中点と切込線C12bの中点とを結ぶように切込線C12cが設けられている。また、開口領域132の長辺上には、山折線M12a,M12bが設けられている。組立時、切込線C12a,C12b,C12cに沿って切目が入った状態で、山折線M12a,M12bを略直角に山折りすることにより、開口領域132に開口が形成される。
板状部材100は、底部領域122が平面視で底部領域121と重なり合うように折り曲げられる。具体的には、底部領域122が側面部領域144上に折り返されるように谷折線V12が180°谷折りされるとともに、山折線M12c,M12dが略直角に山折りされる。これにより、側面部領域144を起こしたときに、底部領域121及び底部領域122が平面視で重なり合うようになる。このとき、開口領域131及び開口領域132も平面視で重なり合う。ただし、底部領域121と底部領域122との間には、谷折線V12の長さに等しい間隔が生じる。すなわち、箱体10において底部領域121及び底部領域122は、互いに離間している。
底部領域123(第3の底部領域)は、箱体10において底部領域121及び底部領域122と共に底部12を構成する。底部領域123は、側面部領域142及び側面部領域143の双方に隣接する位置(底部領域121の右下)に設けられている。底部領域123と側面部領域142及び縁部領域162との境界上には、切込線C13dが設けられている。切込線C13dは、当該境界の全体にわたって設けられている。底部領域123と側面部領域143及び縁部領域163との境界上には、切込線C13e及び谷折線V13が設けられている。切込線C13eは、当該境界の右端から当該境界の途中まで延びている。ただし、切込線C13eの左端は、底部領域123と側面部領域143との境界上に存在する。谷折線V13は、切込線C13eの左端から上記境界の左端まで延びている。谷折線V13の長さは、谷折線V12の長さに略等しい。
底部領域123内には、山折線M13c,M13dが設けられている。山折線M13cは、底部領域123の左辺の近傍において、当該左辺と平行に底部領域123の上辺から下辺まで延びている。山折線M13cの上端は、切込線C13eの左端(谷折線V13の右端)に一致する。それゆえ、底部領域123の左辺と山折線M13cとの間隔は、谷折線V13の長さに等しい。山折線M13dは、底部領域123の右辺の近傍において、当該右辺と平行に底部領域123の上辺から下辺まで延びている。底部領域123の右辺と山折線M13dとの間隔は、底部領域123の左辺と山折線M13cとの間隔に等しい。山折線M13cと山折線M13dとの間隔は、底部領域121の左右方向の長さに等しい。また、底部領域123の上下方向の長さは、底部領域121の上下方向の長さに等しい。
底部領域123には、開口領域133(第3の開口領域)が設けられている。開口領域133は、箱体10において開口領域131及び開口領域132と共に穴20を構成する。開口領域133は、開口領域131と略同一の形状及び大きさを有している。本実施形態において開口領域133には、2つのフラップ部133a(第3のフラップ部)が設けられている。組立前、開口領域133は、これらのフラップ部133aによって閉塞された状態にある。
フラップ部133aは、略直角に折り曲げられることにより、箱体10において穴20の内周面を構成する。詳細には、開口領域133の短辺上に切込線C13a,C13bが設けられるとともに、切込線C13aの中点と切込線C13bの中点とを結ぶように切込線C13cが設けられている。また、開口領域133の長辺上には、山折線M13a,M13bが設けられている。組立時、切込線C13a,C13b,C13cに沿って切目が入った状態で、山折線M13a,M13bを略直角に山折りすることにより、開口領域133に開口が形成される。
板状部材100は、底部領域123が平面視で底部領域121及び底部領域122と重なり合うように折り曲げられる。具体的には、底部領域123が側面部領域143上に折り返されるように谷折線V13が180°谷折りされるとともに、山折線M13c,M13dが略直角に山折りされる。これにより、側面部領域143を起こしたときに、底部領域121〜123が平面視で重なり合うようになる。このとき、開口領域131〜133も平面視で重なり合う。
さらに、板状部材100は、補強領域181,182を有している。これらの補強領域181,182は、箱体10において底部12を覆う。補強領域181は、側面部領域141及び側面部領域143の双方に隣接する位置(底部領域121の右上)に設けられている。補強領域181と側面部領域141及び縁部領域161との境界上には、切込線C15a及び谷折線V15が設けられている。切込線C15aは、当該境界の上端から当該境界の途中まで延びている。ただし、切込線C15aの下端は、補強領域181と側面部領域141との境界上に存在する。谷折線V15は、切込線C15aの下端から上記境界の下端まで延びている。谷折線V15の長さは、各谷折線V12,13の長さに略等しい。補強領域181と側面部領域143及び縁部領域163との境界上には、切込線C15bが設けられている。切込線C15bは、当該境界の全体にわたって設けられている。
補強領域181は、切欠部181a及び舌片181bを有している。切欠部181aは、矩形状をしており、補強領域181の上辺から補強領域181の下辺に向かって延びている。切欠部181aは、箱体10において穴20の一部に重なる。切欠部181aの幅は、各開口領域131〜133の幅に略等しい。舌片181bは、矩形状をしており、切欠部181aに向かって延出している。舌片181bの上辺は、切欠部181aの下端に一致する。舌片181bの左辺及び右辺上には、それぞれ、切込線C15c及び切込線C15dが設けられている。また、舌片181bの下辺上には、山折線M15aが設けられている。
補強領域181内には、山折線M15bが設けられている。山折線M15bは、補強領域181の下辺の近傍において、当該下辺と平行に補強領域181の右辺から左辺まで延びている。山折線M15bの左端は、切込線C15aの下端(谷折線V15の上端)に一致する。それゆえ、補強領域181の下辺と山折線M15bとの間隔は、谷折線V15の長さに等しい。
補強領域182は、側面部領域142及び側面部領域144の双方に隣接する位置(底部領域121の左下)に設けられている。補強領域182と側面部領域142及び縁部領域162との境界上には、切込線C16a及び谷折線V16が設けられている。切込線C16aは、当該境界の下端から当該境界の途中まで延びている。ただし、切込線C16aの上端は、補強領域182と側面部領域142との境界上に存在する。谷折線V16は、切込線C16aの上端から上記境界の上端まで延びている。谷折線V16の長さは、谷折線V15の長さに略等しい。補強領域182と側面部領域144及び縁部領域164との境界上には、切込線C16bが設けられている。切込線C16bは、当該境界の全体にわたって設けられている。
補強領域182は、切欠部182a及び舌片182bを有している。切欠部182aは、矩形状をしており、補強領域182の下辺から補強領域182の上辺に向かって延びている。切欠部182aは、箱体10において穴20の一部に重なる。切欠部182aの幅は、各開口領域131〜133の幅に略等しい。舌片182bは、矩形状をしており、切欠部182aに向かって延出している。舌片182bの下辺は、切欠部182aの上端に一致する。舌片182bの右辺及び左辺上には、それぞれ、切込線C16c及び切込線C16dが設けられている。また、舌片182bの上辺上には、山折線M16aが設けられている。
補強領域182内には、山折線M16bが設けられている。山折線M16bは、補強領域182の上辺の近傍において、当該上辺と平行に補強領域182の左辺から右辺まで延びている。山折線M16bの右端は、切込線C16aの上端(谷折線V16の下端)に一致する。それゆえ、補強領域182の上辺と山折線M16bとの間隔は、谷折線V16の長さに等しい。
図6〜図8を参照しつつ、開錠防止具1の組立方法の一例を説明する。まず、山折線M11a,M11b,M12a,M12b,M13a,M13bを略直角に山折りすることにより、各開口領域131〜133に開口を形成する。そして、底部領域122が側面部領域144上に折り返されるように、谷折線V12を180°谷折りする。また、山折線M12c,M12dを略直角に山折りする。その後、側面部領域144が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11dを直角に谷折りする。また、山折線M14dを直角に山折りする。これにより、図6に示すように、底部領域122が平面視で底部領域121と重なり合った状態となる。
次に、底部領域123が側面部領域143上に折り返されるように、谷折線V13を180°谷折りする。また、山折線M13c,M13dを略直角に山折りする。その後、側面部領域143が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11cを直角に谷折りする。また、山折線M14cを直角に山折りする。これにより、図7に示すように、底部領域123が平面視で底部領域121及び底部領域122と重なり合った状態となる。
続いて、補強領域181が側面部領域141上に折り返されるように、谷折線V15を180°谷折りする。また、山折線M15a,M15bを略直角に山折りする。その後、側面部領域141が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11aを直角に谷折りする。また、山折線M14aを直角に山折りする。これにより、図8に示すように、底部領域121〜123から構成される底部12の一部が補強領域181で覆われた状態となる。このとき、舌片181bが穴20の内部に入り込むようにする。なお、側面部領域141は、粘着テープ等を用いて各側面部領域143,144に固定される。
最後に、補強領域182が側面部領域142上に折り返されるように、谷折線V16を180°谷折りする。また、山折線M16a,M16bを略直角に山折りする。その後、側面部領域142が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11bを直角に谷折りする。また、山折線M14bを直角に山折りする。これにより、底部12の残部(補強領域181で覆われていない部分)が補強領域182で覆われた状態となる。このとき、舌片182bが穴20の内部に入り込むようにする。なお、側面部領域142は、粘着テープ等を用いて各側面部領域143,144に固定される。以上により、開錠防止具1が得られる。
図9〜図12を参照しつつ、開錠防止具1の使用方法の一例を説明する。図9は、開錠防止具1が取り付けられる扉90を示している。同図は、扉90の内側(室内側)の面を示している。扉90には、サムターン92が設けられている。開錠防止具1を取り付けるには、図10に示すように、サムターン92の全体を覆うようにして箱体10を扉に固定すればよい。このとき、図11及び図12に示すように、穴20にサムターン92の摘み部93が嵌まるようにする。図11は、扉90に取り付けられた開錠防止具1を示す拡大図である。また、図12は、図11のXII−XII線に沿った端面図である。ただし、図12においては、見やすくするため、底部12を簡略化して示している。このように開錠防止具1が取り付けられた扉90においては、穴20によって摘み部93の回動が規制される。このため、サムターン92の回転が阻止され、錠前を開けることができなくなる。
開錠防止具1の効果を説明する。開錠防止具1においては、折り線に沿って板状部材100を折り曲げることにより、箱体10が得られる。箱体10の底部12には、穴20が存在する。穴20にサムターンの摘み部が嵌合することにより、当該サムターンの回転が阻止されるため、錠前が開くのを防止することができる。しかも、底部12の穴20にサムターンの摘み部が嵌まるように当該サムターンを箱体10で覆うだけで、開錠防止具1を正しい位置に取り付けることができる。このため、扉への取付時の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、扉への取付時の位置合わせが容易な開錠防止具1が実現されている。
開錠防止具1において箱体10は、板状部材100を組み立てることにより得られる。それゆえ、組立前の開錠防止具1は、平面的な形状をしている。このため、開錠防止具1は、収納時や運搬時に嵩張りにくい。
また、開錠防止具1は、箱体10でサムターンを覆うようにして扉に取り付けられる。これにより、扉における開錠防止具1が取り付けられる範囲をサムターン近傍の比較的狭い領域に限定することができる。このように開錠防止具1の取付範囲をサムターン近傍の狭い領域に限定できれば、開錠防止具1を取り付ける際、扉に設けられた他の構造物(ドアノブ、ドアチェーン等)が邪魔になりにくいという利点がある。
開錠防止具1が扉に対して着脱可能である場合、扉を汚損する心配がないため、開錠防止具1は、賃貸住宅や外出先においても気軽に使用することができる。例えば、旅行時の宿泊先において、扉のセキュリティに不安がある場合であっても、扉の内側に開錠防止具1を取り付けておけば、扉の外側から開錠されてしまう事態を避けることができる。
箱体10は、縁部16が扉に固着されることにより、扉に固定される。このように箱体10の一部分(縁部16)を扉への固定面とすることにより、固定用のアタッチメントを用いることなく箱体10を扉に固定することができる。これにより、簡易な構成の開錠防止具1を実現することができる。実際、本実施形態において開錠防止具1は、箱体10(板状部材100)のみからなっている。
縁部16(縁部領域161〜164)には、粘着手段が設けられている。このように粘着手段を予め設けておくことにより、箱体10を扉に固着するための手段を別途用意しなくても、箱体10を扉に固着することができる。
縁部16は、箱体10の側方外側に延出している。これにより、縁部16の面積を大きくすることができる。このように扉への固定面となる縁部16の面積を大きくすることにより、箱体10を扉に対して強固に固定しやすくなる。
穴20は、底部12を貫通している。このため、開錠防止具1を取り付ける際、穴20を通じて、箱体10の外からでも箱体10で覆われたサムターンを視認することができる。これにより、穴20にサムターンの摘み部を合わせやすくなるため、開錠防止具1の取付時の位置合わせが一層容易になる。
開口領域131には、フラップ部131aが設けられている。この場合、フラップ部131aが設けられていない場合に比して、サムターンの摘み部に対する穴20の接触面積が大きくなるため、サムターンの回転を一層確実に阻止できるようになる。ただし、フラップ部131aを設けることは、必須でない。
板状部材100は、底部領域121に加えて底部領域122を有しており、底部領域122が平面視で底部領域121と重なり合うように折り曲げられる。この場合、底部領域122が設けられていない場合に比して、底部12の厚み、ひいては穴20の深さを大きくすることができる。これにより、サムターンの摘み部に対する穴20の接触面積が大きくなり、サムターンの回転を一層確実に阻止できるようになる。
箱体10において底部領域121及び底部領域122は、互いに離間している。この場合、両者が離間していない場合に比して、底部12の厚み、ひいては穴20の深さを一層大きくすることができる。
開口領域132には、フラップ部132aが設けられている。この場合、フラップ部132aが設けられていない場合に比して、サムターンの摘み部に対する穴20の接触面積が大きくなるため、サムターンの回転を一層確実に阻止できるようになる。ただし、フラップ部132aを設けることは、必須でない。
板状部材100は、底部領域121,122に加えて底部領域123を有しており、底部領域123が平面視で底部領域121,122と重なり合うように折り曲げられる。この場合、底部領域123が設けられていない場合に比して、底部12の厚み、ひいては穴20の深さを大きくすることができる。
開口領域133には、フラップ部133aが設けられている。この場合、フラップ部133aが設けられていない場合に比して、サムターンの摘み部に対する穴20の接触面積が大きくなるため、サムターンの回転を一層確実に阻止できるようになる。ただし、フラップ部133aを設けることは、必須でない。
板状部材100は、底部領域121の各辺に連設された側面部領域141〜144を有している。かかる構成により、底部領域121の各辺に沿って板状部材100を折り曲げるだけで、側面部領域141〜144からなる側面部14を容易に形成することができる。
板状部材100は、縁部領域161〜164を有している。これにより、縁部16の面積を大きくしやすくなる。このように扉への固定面となる縁部16の面積を大きくすることにより、上述のとおり、箱体10を扉に対して強固に固定しやすくなる。
板状部材100は、点対称な形状をしている。これにより、板状部材100の美観を高めることができる。また、組立時に対称的な動作が増えるため、組立作業が簡易になる。例えば、上述の組立方法において、底部領域122を側面部領域144上に折り返してから底部領域121と重なり合うようにするまでの一連の動作と、底部領域123を側面部領域143上に折り返してから底部領域121,122と重なり合うようにするまでの一連の動作とは、対称的である。
板状部材100は、補強領域181,182を有している。これにより、箱体10においては底部12が補強領域181,182で覆われるため、底部12の強度を高めることができる。
箱体10は、板状部材100のみによって構成されている。この場合、箱体10が互いに別体に設けられた複数のパーツによって構成される場合と異なり、パーツの一部を紛失等する心配がないという利点がある。
板状部材100は、厚紙からなっている。これにより、板状部材100を折り曲げやすくなるため、開錠防止具1の組立てが容易になる。
(第2実施形態)
図13は、本発明による開錠防止具の第2実施形態を示す平面図である。開錠防止具2は、扉の錠前が開くのを防止する開錠防止具であって、サムターンが設けられた扉に取り付けられる。詳細には、開錠防止具2は、組立式の開錠防止具であって、組立後に扉に取り付けられる。図13は、組立前の開錠防止具2を示している。
図14及び図15は、それぞれ、組立後の開錠防止具2を示す斜視図及び平面図である。また、図16及び図17は、それぞれ、図15のXVI−XVI線及びXVII−XVII線に沿った端面図である。
開錠防止具2は、図13に示すように、板状部材200を備えている。板状部材200は、厚紙からなっている。板状部材200は、所定の折り線に沿って折り曲げられることにより、図14〜図17に示す箱体10を構成する。本実施形態において箱体10は、1枚の板状部材200のみによって構成される。箱体10の概略構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
板状部材200は、底部領域121,122、側面部領域141〜144、及び縁部領域161a,161b,162,163,164を有している。これらのうち底部領域121,122、側面部領域141〜144、及び縁部領域162〜164の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
本実施形態において側面部領域141には、縁部領域161aが連設されている。縁部領域161aには、縁部領域161bが連設されている。具体的には、側面部領域141の上辺に縁部領域161aが連設され、縁部領域161aの上辺に縁部領域161bが連設されている。各縁部領域161a,161bは、矩形状をしている。これらの縁部領域161a,161bは、箱体10において、互いに重なり合った状態で縁部16を構成する。縁部領域161bの裏面には、粘着手段が設けられている。側面部領域141と縁部領域161aとの境界上には、山折線M14aが設けられている。縁部領域161aと縁部領域161bとの境界上には、谷折線V14aが設けられている。
縁部領域161bには、側面被覆領域191が連設されている。具体的には、縁部領域161bの上辺に側面被覆領域191が連設されている。側面被覆領域191は、箱体10において側面部14(側面部領域141)の内面を覆う。側面被覆領域191においては、上辺の長さが下辺の長さよりも小さくなっている。
さらに、板状部材200は、固定領域211(第1の固定領域)、固定領域212(第2の固定領域)、及び固定領域213を有している。固定領域211は、矩形状をしており、側面部領域141及び側面部領域143の双方に隣接する位置(底部領域121の右上)に設けられている。固定領域211は、側面部領域141の右辺に連設されている。固定領域211と側面部領域141との境界上には、谷折線V21が設けられている。谷折線V21は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域211と側面部領域143及び縁部領域163との境界上には、切込線C21が設けられている。切込線C21は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域211は、スリット211a(第1のスリット)を有している。スリット211aは、固定領域211の下辺から固定領域211の上辺に向かって延びている。
固定領域212は、矩形状をしており、側面部領域142及び側面部領域143の双方に隣接する位置(底部領域121の右下)に設けられている。固定領域212は、側面部領域142の右辺に連設されている。固定領域212と側面部領域142との境界上には、谷折線V22が設けられている。谷折線V22は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域212と側面部領域143及び縁部領域163との境界上には、切込線C22が設けられている。切込線C22は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域212は、スリット212a(第2のスリット)を有している。スリット212aは、固定領域212の下辺から固定領域212の上辺に向かって延びている。
スリット211a及びスリット212aの長さの和は、側面部領域143の左右方向の長さ(谷折線V11cと山折線M14cとの間隔)に略等しい。また、スリット211aと谷折線V21との間隔、及びスリット212aと谷折線V22との間隔の和は、側面部領域143の上下方向の長さ(切込線C21と切込線C22との間隔)に略等しい。
箱体10においては、固定領域211のスリット211aと固定領域212のスリット212aとが互いに係合することにより、側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定される。このとき、固定領域211及び固定領域212が側面部14(側面部領域143)の外面に重なる。
固定領域213は、側面部領域142及び側面部領域144の双方に隣接する位置(底部領域121の左下)に設けられている。固定領域213は、側面部領域142の左辺に連設されている。固定領域213と側面部領域142との境界上には、谷折線V23aが設けられている。谷折線V23aは、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域213と側面部領域144及び縁部領域164との境界上には、切込線C23が設けられている。切込線C23は、当該境界の全体にわたって設けられている。
固定領域213内には、谷折線V23bが設けられている。谷折線V23bは、谷折線V23aと平行に固定領域213の上辺から下辺まで延びている。谷折線V23aと谷折線V23bとの間隔は、側面部領域144の上下方向の長さ(切込線C12eと切込線C23との間隔)に略等しい。固定領域213の先端部(谷折線V23bよりも左側にある部分)には、爪213a,213bが設けられている。爪213aの幅(上下方向の長さ)は、側面部領域141の上下方向の長さ(山折線M14aと谷折線V11aとの間隔)と、谷折線V12の長さとの差に略等しい。また、爪213bの幅は、谷折線V12の長さに略等しい。
箱体10においては、爪213a,213bが側面部領域141と側面被覆領域191との間に挿入されることにより、側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定される。詳細には、側面部領域141と側面被覆領域191との隙間のうち底部領域122よりも上にある部分に爪213aが挿入され、当該隙間のうち底部領域122よりも下にある部分に爪213bが挿入される。このとき、固定領域213における先端部以外の部分が側面部14(側面部領域144)の外面に重なる。
図18〜図20を参照しつつ、開錠防止具2の組立方法の一例を説明する。まず、山折線M11a,M11b,M12a,M12bを略直角に山折りすることにより、各開口領域131,132に開口を形成する。そして、底部領域122が側面部領域144上に折り返されるように、谷折線V12を180°谷折りする。また、山折線M12c,M12dを略直角に山折りする。その後、側面部領域144が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11dを直角に谷折りする。また、山折線M14dを直角に山折りする。これにより、図18に示すように、底部領域122が平面視で底部領域121と重なり合った状態となる。
次に、側面部領域141,143が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11a,V11cを直角に谷折りする。また、山折線M14a,M14cを直角に山折りする。さらに、谷折線V14aを180°谷折りするとともに、谷折線V14bを直角に谷折りする。これにより、図19に示すように、側面被覆領域191が側面部領域141の内面を覆った状態となる。
続いて、側面部領域142が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11bを直角に谷折りする。また、山折線M14bを直角に山折りする。その後、固定領域211のスリット211aと固定領域212のスリット212aとを係合させながら、谷折線V21,V22を直角に谷折りする。これにより、図20に示すように、固定領域211,212を介して側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定された状態となる。
最後に、爪213a,213bを側面部領域141と側面被覆領域191との間に挿入しながら、谷折線V23a,V23bを直角に谷折りする。これにより、固定領域213を介して側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定された状態となる。以上により、開錠防止具2が得られる。
開錠防止具2の効果を説明する。開錠防止具2においては、折り線に沿って板状部材200を折り曲げることにより、箱体10が得られる。箱体10の底部12には、穴20が存在する。穴20にサムターンの摘み部が嵌合することにより、当該サムターンの回転が阻止されるため、錠前が開くのを防止することができる。しかも、底部12の穴20にサムターンの摘み部が嵌まるように当該サムターンを箱体10で覆うだけで、開錠防止具2を正しい位置に取り付けることができる。このため、扉への取付時の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、扉への取付時の位置合わせが容易な開錠防止具2が実現されている。
側面部領域141及び側面部領域142には、それぞれ、固定領域211及び固定領域212が連設されている。そして、箱体10においては、固定領域211のスリット211aと固定領域212のスリット212aとが互いに係合することにより、側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定される。これにより、粘着テープ等を用いなくても、側面部領域141及び側面部領域142が立設した状態を確実に維持することができる。
箱体10においては、固定領域211及び固定領域212が側面部領域143の外面に重なる。これにより、側面部領域143は、固定領域211,212によって外側から支持される。このため、側面部領域143が立設した状態を確実に維持することができる。
板状部材200は、固定領域213を有している。そして、箱体10においては、爪213a,213bが側面部領域141と側面被覆領域191との間に挿入されることにより、側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定される。これにより、粘着テープ等を用いなくても、側面部領域141及び側面部領域142が立設した状態を確実に維持することができる。開錠防止具2のその他の効果は、開錠防止具1と同様である。
(第3実施形態)
図21は、本発明による開錠防止具の第3実施形態を示す平面図である。開錠防止具3は、扉の錠前が開くのを防止する開錠防止具であって、サムターンが設けられた扉に取り付けられる。詳細には、開錠防止具3は、組立式の開錠防止具であって、組立後に扉に取り付けられる。図21は、組立前の開錠防止具3を示している。
図22及び図23は、それぞれ、組立後の開錠防止具3を示す斜視図及び平面図である。また、図24及び図25は、それぞれ、図23のXXIV−XXIV線及びXXV−XXV線に沿った端面図である。
開錠防止具3は、図21に示すように、板状部材300、及び副板状部材400(第1の副板状部材)を備えている。板状部材300は、厚紙からなっている。板状部材300は、所定の折り線に沿って折り曲げられることにより、図22〜図25に示す箱体10を構成する。箱体10の概略構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
板状部材300は、底部領域121、側面部領域141〜144、縁部領域161〜164、及び固定領域211,212,214,215を有している。これらのうち底部領域121、側面部領域141〜144、及び縁部領域161〜164の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。また、固定領域211,212の構成は、第2実施形態で説明したとおりである。板状部材300は、線対称な形状をしている。
固定領域214は、矩形状をしており、側面部領域141及び側面部領域144の双方に隣接する位置(底部領域121の左上)に設けられている。固定領域214は、側面部領域141の左辺に連設されている。固定領域214と側面部領域141との境界上には、谷折線V24が設けられている。谷折線V24は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域214と側面部領域144及び縁部領域164との境界上には、切込線C24が設けられている。切込線C24は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域214は、スリット214aを有している。スリット214aは、固定領域214の下辺から固定領域214の上辺に向かって延びている。
固定領域215は、矩形状をしており、側面部領域142及び側面部領域144の双方に隣接する位置(底部領域121の左下)に設けられている。固定領域215は、側面部領域142の左辺に連設されている。固定領域215と側面部領域142との境界上には、谷折線V25が設けられている。谷折線V25は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域215と側面部領域144及び縁部領域164との境界上には、切込線C25が設けられている。切込線C25は、当該境界の全体にわたって設けられている。固定領域215は、スリット215aを有している。スリット215aは、固定領域215の下辺から固定領域215の上辺に向かって延びている。
スリット214a及びスリット215aの長さの和は、側面部領域144の左右方向の長さ(谷折線V11dと山折線M14dとの間隔)に略等しい。また、スリット214aと谷折線V24との間隔、及びスリット215aと谷折線V25との間隔の和は、側面部領域144の上下方向の長さ(切込線C24と切込線C25との間隔)に略等しい。
箱体10においては、固定領域214のスリット214aと固定領域215のスリット215aとが互いに係合することにより、側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定される。このとき、固定領域214及び固定領域215が側面部14(側面部領域144)の外面に重なる。
副板状部材400は、板状部材300とは別体に設けられており、板状部材300と共に箱体10を構成する。副板状部材400の材料としても、例えば厚紙を用いることができる。副板状部材400は、副底部領域410、及び側面接触領域431〜434を有している。副底部領域410は、矩形状をしており、箱体10において底部領域121と共に底部12を構成する。詳細には、副底部領域410が底部12の上面を構成し、底部領域121が底部12の下面を構成する。副底部領域410の上下方向の長さ及び左右方向の長さは、それぞれ、底部領域121の上下方向の長さ及び左右方向の長さに略等しい。
副底部領域410には、開口領域420(副開口領域)が設けられている。開口領域420は、箱体10において開口領域131と共に穴20を構成する。開口領域420は、開口領域131と略同一の形状及び大きさを有している。本実施形態において開口領域420には、2つのフラップ部420a(副フラップ部)が設けられている。組立前、開口領域420は、これらのフラップ部420aによって閉塞された状態にある。
フラップ部420aは、略直角に折り曲げられることにより、箱体10において穴20の内周面を構成する。詳細には、開口領域420の短辺上に切込線C41a,C41bが設けられるとともに、切込線C41aの中点と切込線C41bの中点とを結ぶように切込線C41cが設けられている。また、開口領域420の長辺上には、山折線M41a,M41bが設けられている。組立時、切込線C41a,C41b,C41cに沿って切目が入った状態で、山折線M41a,M41bを略直角に山折りすることにより、開口領域420に開口が形成される。
副底部領域410の各辺には、側面接触領域431〜434が連設されている。これらの側面接触領域431〜434は、箱体10において側面部14の内面に接触する。具体的には、副底部領域410の上辺、下辺、右辺及び左辺に、それぞれ、側面接触領域431、側面接触領域432、側面接触領域433及び側面接触領域434が連設されている。副底部領域410と側面接触領域431との境界上には、山折線M43aが設けられている。副底部領域410と側面接触領域432との境界上には、山折線M43bが設けられている。副底部領域410と側面接触領域433との境界上には、山折線M43cが設けられている。また、副底部領域410と側面接触領域434との境界上には、山折線M43dが設けられている。
図26及び図27を参照しつつ、開錠防止具3の組立方法の一例を説明する。まず、山折線M11a,M11b,M41a,M41bを略直角に山折りすることにより、開口領域131及び開口領域420に開口を形成する。そして、側面部領域141〜144が底部領域121に対して起きるように、谷折線V11a,V11b,V11c,V11dを直角に谷折りする。また、山折線M14a,M14b,M14c,M14dを直角に山折りする。これにより、図26に示すように、側面部領域141〜144が立設した状態となる。
次に、固定領域211のスリット211aと固定領域212のスリット212aとを係合させながら、谷折線V21,V22を直角に谷折りする。同様に、固定領域214のスリット214aと固定領域215のスリット215aとを係合させながら、谷折線V24,V25を直角に谷折りする。これにより、図27に示すように、固定領域211,212,214,215を介して側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定された状態となる。
続いて、副板状部材400の山折線M43a,M43b,M43c,M43dを直角に山折りする。その後、側面接触領域431,432,433,434がそれぞれ側面部領域141,142,143,144の内面に接触するように、箱状に組み立てられた板状部材300内に副板状部材400を入れる。このとき、副底部領域410が底部領域121と平行になるようにする。以上により、開錠防止具3が得られる。
開錠防止具3の効果を説明する。開錠防止具3においては、折り線に沿って板状部材300を折り曲げることにより、箱体10が得られる。箱体10の底部12には、穴20が存在する。穴20にサムターンの摘み部が嵌合することにより、当該サムターンの回転が阻止されるため、錠前が開くのを防止することができる。しかも、底部12の穴20にサムターンの摘み部が嵌まるように当該サムターンを箱体10で覆うだけで、開錠防止具3を正しい位置に取り付けることができる。このため、扉への取付時の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、扉への取付時の位置合わせが容易な開錠防止具3が実現されている。
開錠防止具3においては、底部12の上面を構成する副底部領域410を有する副板状部材400が設けられている。この場合、副板状部材400が設けられていない場合に比して、底部12の厚み、ひいては穴20の深さを大きくすることができる。これにより、サムターンの摘み部に対する穴20の接触面積が大きくなり、サムターンの回転を一層確実に阻止できるようになる。
副板状部材400は、板状部材300とは別体に設けられている。これにより、副板状部材400は、箱体10内を上下動することが可能である。すなわち、箱体10において底部12から上面(開口面)までの距離d1(図24及び図25参照)は、可変である。このため、サムターンの基底部の厚み(扉板から摘み部までの距離)に合わせて距離d1を調整することにより、基底部の厚みが異なる様々なサムターンに対して開錠防止具3を適合させることができる。
開口領域420には、フラップ部420aが設けられている。この場合、フラップ部420aが設けられていない場合に比して、サムターンの摘み部に対する穴20の接触面積が大きくなるため、サムターンの回転を一層確実に阻止できるようになる。ただし、フラップ部420aを設けることは、必須でない。
側面部領域141及び側面部領域142には、それぞれ、固定領域214及び固定領域215が連設されている。そして、箱体10においては、固定領域214のスリット214aと固定領域215のスリット215aとが互いに係合することにより、側面部領域141と側面部領域142とが互いに固定される。これにより、粘着テープ等を用いなくても、側面部領域141及び側面部領域142が立設した状態を確実に維持することができる。
箱体10においては、固定領域214及び固定領域215が側面部領域144の外面に重なる。これにより、側面部領域144は、固定領域214,215によって外側から支持される。このため、側面部領域144が立設した状態を確実に維持することができる。
板状部材300は、線対称な形状をしている。これにより、板状部材300の美観を高めることができる。また、組立時に対称的な動作が増えるため、組立作業が簡易になる。開錠防止具3のその他の効果は、開錠防止具1,2と同様である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、箱体10の縁部16(縁部領域161〜164等)に粘着手段が設けられた場合を例示した。しかし、粘着手段に代えて、あるいは粘着手段と共に、磁石が設けられていてもよい。その場合、当該磁石の磁力により、縁部16をスチール製の扉板に固着することができる。
上記実施形態においては、板状部材100,200,300が厚紙からなる場合を例示した。しかし、板状部材100,200,300の材料としては、折曲げ可能でかつ折曲げ後の形状を維持できる程度の剛性を有するものである限り、厚紙以外の材料を用いてもよい。かかる材料としては、例えばプラスチックが挙げられる。
上記実施形態においては、各切込線に予め切目が入っている場合を例示した。しかし、切込線の両側に力を加えたときに初めて当該切込線に切目が入るように構成されていてもよい。かかる構成は、例えば、切込線上にミシン目を形成しておくことにより実現することができる。
上記実施形態においては、穴20の平面形状が長方形である場合を例示した。しかし、サムターンの回動を規制しうる限り、穴20の平面形状は、任意である。例えば、穴20は、図28に示すように、平面視で十字型をしていてもよい。同図において穴20は、長方形部22a(第1の長方形部)及び長方形部22b(第2の長方形部)からなっている。長方形部22aは、第1の方向(同図の左右方向)を長手方向としている。他方、長方形部22bは、第1の方向に直交する第2の方向(同図の上下方向)を長手方向としている。長方形部22a及び長方形部22bは、相異なる長さを有している。具体的には、長方形部22aの長さの方が、長方形部22bの長さよりも大きい。また、長方形部22a及び長方形部22bは、相異なる幅を有している。具体的には、長方形部22aの幅の方が、長方形部22bの幅よりも大きい。
かかる構成の場合、開錠防止具を取り付ける向きを選択しうるという利点がある。すなわち、長方形部22aの長手方向がサムターンの摘み部と平行になるように開錠防止具を取り付けることも、長方形部22bの長手方向が摘み部と平行になるように開錠防止具を取り付けることも可能となる。これにより、開錠防止具の取付けの自由度が向上する。また、長方形部22a及び長方形部22bが相異なる長さを有していることにより、摘み部の長さが異なる様々なサムターンに対して開錠防止具を適合させることができる。同様に、長方形部22a及び長方形部22bが相異なる幅を有していることにより、摘み部の幅が異なる様々なサムターンに対して開錠防止具を適合させることができる。
上記実施形態においては、底部12に穴20が1つだけ設けられた場合を例示した。しかし、底部12には、図29に示すように、複数の穴20が設けられていてもよい。その場合、複数の穴20のうち少なくとも2つは、相異なる長さを有していてもよい。また、複数の穴20のうち少なくとも2つは、相異なる幅を有していてもよい。図29においては、3つの穴20が設けられている。同図において真ん中に位置する穴20の長さ及び幅は、一番上に位置する穴20の長さ及び幅よりも大きい。また、一番下に位置する穴20の長さ及び幅は、真ん中に位置する穴20の長さ及び幅よりも大きい。
かかる構成の場合、開錠防止具を取り付ける位置を選択しうるという利点がある。すなわち、サムターンの摘み部が一番上の穴20に嵌合するように開錠防止具を取り付けることも、真ん中の穴20に嵌合するように開錠防止具を取り付けることも、一番下の穴20に嵌合するように開錠防止具を取り付けることも可能となる。これにより、開錠防止具の取付けの自由度が向上する。また、複数の穴20のうち少なくとも2つが相異なる長さを有している場合、摘み部の長さが異なる様々なサムターンに対して開錠防止具を適合させることができる。同様に、複数の穴20のうち少なくとも2つが相異なる幅を有している場合、摘み部の幅が異なる様々なサムターンに対して開錠防止具を適合させることができる。
上記実施形態において開錠防止具は、図30に示す副板状部材500(第2の副板状部材)を備えていてもよい。副板状部材500は、板状部材100,200,300とは別体に設けられる。副板状部材500は、帯状をしている。副板状部材500の材料としても、例えば厚紙を用いることができる。副板状部材500内には、谷折線V51a,V51b,V51c,V51dが設けられている。これらの谷折線V51a,V51b,V51c,V51dは、副板状部材500の長手方向と直交している。谷折線V51aと副板状部材500の左端との間隔、谷折線V51bと谷折線V51cとの間隔、及び谷折線V51dと副板状部材500の右端との間隔は、何れも、穴20の短辺の長さに略等しい。また、谷折線V51aと谷折線V51bとの間隔、及び谷折線V51cと谷折線V51dとの間隔は、何れも、穴20の長辺の長さに略等しい。
副板状部材500は、図31に示すように、所定の折り線(谷折線V51a,V51b,V51c,V51d)に沿って折り曲げられることにより環状となる。環状に折り曲げられた副板状部材500は、図32に示すように、穴20の内周面に沿って隙間なく配置されるとともに、サムターンの摘み部93と嵌合する。このように穴20内に副板状部材500が配置された状態で開錠防止具を扉に取り付けることにより、穴20と摘み部93との間に副板状部材500が介在することになる。かかる副板状部材500を用いることにより、穴20と摘み部93との間の隙間の大きさを調整することができる。このため、摘み部の大きさが異なる様々なサムターンに対して開錠防止具を適合させることができる。