JP6378984B2 - 自走式掃除機 - Google Patents

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Description

本発明は、自走式掃除機に関する。
従来の自走式掃除機として、特許文献1には、筐体の底部前方の左右両側に設けられたサイドブラシと、筐体の底部における左右一対のサイドブラシの間に設けられた吸込口と、筐体内に設けられて吸込口から床面上の塵埃を空気と共に吸引する吸引装置とを備えた自走式掃除機(従来技術1)が開示されている。
また、特許文献1には、筐体の底部前方の左右両側に設けられたノズル孔と、筐体の底部における左右一対のノズル孔の間に設けられた吸込口と、筐体内に設けられて吸込口から床面上の塵埃を空気と共に吸引する吸引装置と、筐体の後部に設けられて吸引装置内に吸い込まれた空気を外部に排出する排気口とを備えた自走式掃除機(従来技術2)が開示されている。
従来技術1の自走式掃除機は、一対のサイドブラシを回転させることによって床面上の塵埃を吸込口へ集めて吸引装置にて吸い込むように構成されているが、床面上から立ち上がる壁の隅部にサイドブラシが届かない。そのため、壁の隅部に溜まった塵埃をサイドブラシによって掻き出して除去することができない。
従来技術2の自走式掃除機では、従来技術1の自走式掃除機の前記課題を解消するために、排気の一部を一対のノズル孔から左右前方へ排出するように構成されている。すなわち、壁側のノズル孔から吹き出た排気風が壁際や壁の隅部に吹き込まれ、それによって壁際や隅部にある塵埃が吹かれて別の場所へ移動する。そして、別の場所に移動した塵埃は吸込口から吸い込まれて除去される。
また、特許文献2には、筐体の底板に設けられた吸込口および左右一対のサイドブラシと、筐体の天板に設けられた第1排気口と、筐体の側板に設けられた第2排気口とを有し、第2排気口から排気風を吹き出すことによって壁の隅部にある塵埃を別の場所に吹き飛ばしサイドブラシにて吸込口側へ集めて吸い込むように構成された自走式掃除機(従来技術3)が開示されている。
特開平8−89448号公報 特開2013−223650号公報
従来技術2および3の各自走式掃除機は、壁際や壁の隅部に向かって排気風を吹き出すための専用の排気風路を筐体内に作り込む必要があるため、部品数が増加する、構造が複雑になる、筐体が大型化するといった問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、部品数が増加せず、構造が複雑化せず、筐体が大型化せずにエアーブラシ機能が付加された自走式掃除機を提供するものである。
かくして、本発明によれば、平盤形の筐体と、この筐体内に設けられた集塵部および電動送風機とを備え、
前記筐体は、底部に設けられた吸込口、第1排気口および平面視外周部に設けられた第2排気口を有し、
前記筐体内には、前記第2排気口と前記電動送風機の間に前記筐体の前記外周部の内面に沿って第2排気風路が形成されると共に、前記第1排気口と前記電動送風機の間に第1排気風路が形成され、
前記第2排気口は、前記筐体の前記平面視外周部における左右側部のうちの少なくとも一方に配置されて前方へ向かって開口しており、
前記筐体は、前記第2排気風路からの空気流を前記筐体が直進する方向と略平行方向へ向けて前記第2排気口から外部へ吹き出すように、前記平面視外周部における前記第2排気口と対向する位置に凹部を有している自走式掃除機が提供される。
本発明の自走式掃除機は、第2排気口と電動送風機の間に筐体の外周部の内面に沿って第2排気風路が形成された構造であるため、前方へ空気流を吹き出す第2排気口と電動送風機との間の第2排気風路を筐体の一部を利用して形成することができる。そのため、部品数が増加せず、構造が複雑化せず、筐体が大型化せずにエアーブラシ機能が付加された自走式掃除機を提供することができる。
また、エアーブラシによって自走式掃除機の走路前方へ塵埃を移動させることができるため、自走式掃除機にサイドブラシを設ければ、その塵埃をその後の走行時にサイドブラシで吸込口へ導いて効率よく集塵できる。
本発明の実施形態1に係る自走式掃除機の電気的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態1に係る自走式掃除機の平面図である。 図1に示される自走式掃除機の正面図である。 図1に示される自走式掃除機の側面図である。 図1に示される自走式掃除機の背面図である。 図1に示される自走式掃除機の底面図である。 図1に示される自走式掃除機の平断面図である。 図1に示される自走式掃除機の別の平断面図である。 図1に示される自走式掃除機の側断面図である。 図1に示される自走式掃除機の側断面図である。 (A)〜(C)は実施形態1の自走式掃除機が壁際から隅部に向かって清掃する状態を示す説明図である。
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る自走式掃除機の電気的な構成を示すブロック図である。また、図2は本発明の実施形態1に係る自走式掃除機の平面図であり、図3は図1に示される自走式掃除機の正面図であり、図4は図1に示される自走式掃除機の側面図であり、図5は図1に示される自走式掃除機の背面図であり、図6は図1に示される自走式掃除機の底面図である。また、図7は図1に示される自走式掃除機の平断面図であり、図8は図1に示される自走式掃除機の別の平断面図である。また、図9は図1に示される自走式掃除機の側断面図であり、図10は図1に示される自走式掃除機の側断面図である。
≪自走式掃除機の構成≫
図1〜図10に示すように、実施形態1に係る自走式掃除機1は、平盤形の筐体2と、この筐体2内に設けられた集塵部15および電動送風機115とを備える。なお、実施形態1の場合、筐体2は円盤形であるが、これに限定されず、平面的に視た形状は楕円形あるいは四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。
筐体2は、底部に設けられた吸込口31、第1排気口32および外周部に設けられた第2排気口33を有する。
筐体2内には、第2排気口33と電動送風機115の間に筐体2の外周部後半の内面に沿って第2排気風路35が形成されると共に、第1排気口32と電動送風機115の間に第1排気風路34が形成される。
第2排気口33は、筐体2の外周部における左右側部のうちの少なくとも一方に配置されて前方へ向かって開口し、第2排気風路35からの空気流を前方へ向けて吹き出すように構成されている。なお、ここで言う「前方」とは、自走式掃除機が直進する方向と平行方向を意味するが、厳密に平行方向でなくてもよく、多少の斜め方向も含まれる。
詳しく説明すると、筐体2は、底部を構成する底板2aと、天部を構成する天板2bと、外周部を構成する側板2cと、底板2a、天板2bおよび側板2cにて覆われる内部構造壁2dとを含む。なお、内部構造壁2dは複数の構造部材を組み合わせて構成される。
図6に示すように、底板2aは、円形に形成されており、内部構造壁2dの下面に取り付けられている。底板2aは、その前半部には、長方形の前記吸込口31と、吸込口31の左右斜め前方位置に形成された後述するサイドブラシ10を収容する一対の円形孔部2a1と、吸込口31の左右斜め後方位置に形成された後述する左右一対の駆動輪22L、22Rを収容する一対の開口部2a2とが設けられている。また、底板2aの後半部の左右中間位置には後輪26を回転自在に収容する凹部2a3が設けられている。なお、図4と図6と図9においては、後輪26が前方へ180°回動した状態を二点差線で記している。
図2に示すように、筐体2の天板2bは、円形に形成されており、内部構造壁2dの上面に取り付けられている。天板2bは、その前部を構成する前板部2b1と、中間部から後部に亘って構成する蓋部2b2とによって分割可能に構成されている。蓋部2b2における前板部2b1との境界側の端部には、蓋部2b2を開閉可能に支持する図示しない一対のヒンジ部が設けられており、各ヒンジ部は天板2bに枢着されている。
図1、図4および図6に示すように、側板2cは、それぞれ円弧形の前半部2c1と後半部2c2とに分割された状態で内部構造壁2dに取り付けられており、前半部2c1はバンパーとして機能するよう図示しない弾発部材を介して内部構造壁2dに取り付けられている。前半部2c1には、前半部2c1の衝突を検出する衝突センサ14Cが内部に設けられている。さらに、前半部2c1には、前方および左右斜め前方の3箇所に超音波受信部14Aが配置されると共に、3箇所の超音波受信部14Aの間の2箇所に超音波送信部14Bが配置されている。誘導信号受信部24および充電用接続部13は、筐体2の前部表面の外部から視認できる位置に設けられている。
この自走式掃除機1は、回転ブラシ9、前記サイドブラシ10、制御部11を有する回路基板11S、充電池12、充電用接続部13、障害検出部14、前記集塵部15を備えると共に、ジャイロセンサ20、動力部21、左右一対の駆動輪22L、22R、誘導信号受信部24、後輪26を備える。さらにまた、入力部51、記憶部61、前記電動送風機115、ブラシモータ119およびイオン発生器120を備える。
自走式掃除機1は、設置された場所の床面を自走しながら、床面(走行面)上の塵埃を含む空気を吸い込み、塵埃を除去した空気を排気することにより床面上を掃除する。自走式掃除機1は、障害検出部14により検出された障害物を自律的に回避して走行し、掃除が終了すると自律的に図示しない充電ステーションに帰還する機能を有する。
また、筐体2の底板2aにおける前方中央位置と左右のサイドブラシ10の軸心位置には床面検出センサ18がそれぞれ配置されている。
自走式掃除機1は、右駆動輪22Rおよび左駆動輪22Lが同一方向に正回転して前進し、中央の超音波受信部14Aが配置されている前方へ走行する。また、左右の駆動輪22L、22Rが同一方向に逆回転して後退し、互いに逆方向に回転しまたは互いに異なる速度で回転することにより旋回する。一方の駆動輪のみが停止する場合を含む。例えば、自走式掃除機1は、障害検出部14の各センサにより掃除領域の周縁に到達した場合左右の駆動輪を減速させた後に停止させる。その後、左右の駆動輪22L、22Rを互いに逆方向に回転させて90°旋回し吸込口31の大きさに略等しい距離だけ進んでさらに90°旋回して元の進路と逆方向へ進む。
また、進路上に障害物を検出した場合、自走式掃除機1は減速もしくは停止した後に旋回して障害物を避けるように向きを変え、その障害物が検知されなくなると元の進路の延長に近づくように旋回して走行を続ける。また、各床面検出センサ18が床面を検知しないときに一旦停止して後退および/または旋回し階段等から落下しないように走行する。このようにして、自走式掃除機1は、設置場所の全体あるいは所望範囲全体に渡って障害物を避けながら自走する。
ここで、前方とは、自走式掃除機1の前進方向(図2において、紙面に沿う上方)をいうものとし、後方とは、自走式掃除機1の後退方向(図2において、紙面に沿う下方)いうものとする。
さらに、自走式掃除機1は、充電台201の誘導信号送信部203から出射される信号を誘導信号受信部24で検知し、充電台201のある方向を認識する。そして、掃除が終了した場合、充電池12の充電残量が少なくなった場合、あるいは予め定められた清掃作業の期間が経過した場合などに、充電台201のある方向のルートを自律的に走行して、充電台201まで帰還する。ただし、障害物があれば、それを避けながら充電台201の方向へ移動する。
以下、図1に示す各構成要素を説明する。
図1の制御部11は、自走式掃除機1の各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。制御部11は、自走式掃除機1の走行を制御する走行制御部11aの機能を含む。
制御部11を含む回路基板11Sは、集塵部15より前の内部構造壁11dの前部に設置されている。それに伴い、筐体2の天板2bの前板部2b1の前端部には、回路基板11Sの熱を逃がす複数の空気孔2b11が設けられている。
CPUは、後述する記憶部61に予め格納されRAMに展開された制御プログラムに基づいて処理を実行し、各ハードウェアを有機的に動作させてこの発明の清掃機能、走行機能などを実行する。
充電池12は、自走式掃除機1の各機能要素に対して電力を供給する部分であり、主として、清掃機能および走行制御を行うための電力を供給する部分である。たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、Ni−Cd電池、などの充電池が用いられる。
充電池12の充電は、自走式掃除機1を充電台201にドッキングさせた状態で、自走式掃除機1の充電用接続部13と充電台201の充電端子部202とを接触させて行う。
障害検出部14、特に超音波受信部および送信部14A、14Bは、自走式掃除機1が走行中に、室内の壁や机、いすなどの障害物に接触又は近づいたことを検出する部分であり、壁面や障害物を検出しながらそれに沿って自走式掃除機1が走行するために用いられる。障害検出部14は、超音波受信部および送信部14A、14Bを用いて障害物への近接を検出する。超音波受信部および送信部14A、14Bに代えて、あるいは超音波受信部および送信部14A、14Bと共に、赤外線測距センサなど他の方式の非接触センサを用いてもよい。
衝突センサ14Cは、自走式掃除機1が走行時に障害物と接触したことを検出するために、例えば、筐体2の側板2cの内部に配置される。CPUは、衝突センサ14Cからの出力信号に基づいて側板2cが障害物に衝突したことを知る。
各床面検出センサ18は下り階段等の大きな段差を検出する。
CPUは、障害検出部14から出力された信号に基づいて、障害物や段差の存在する位置を認識する。認識された障害物や段差の位置情報に基づいて、その障害物や段差を避けて次に走行すべき方向を決定する。なお、左右の床面検出センサ18は、前方の床面検出センサ18が段差の検出に失敗した場合や故障した場合に下り階段を検出し、自走式掃除機1の下り階段への落下を防止する。
ジャイロセンサ20は、自走式掃除機1が走行するとき走行方向の情報を走行制御部11aに提供する。
動力部21は、自走式掃除機1の左右の駆動輪を回転および停止させる駆動モータによって走行を実現する部分である。この実施形態においては左右の駆動輪を独立して正逆両方向に回転させ得るように駆動モータを構成することにより、自走式掃除機1の前進、後退、旋回、加減速などの走行状態を実現している。
誘導信号受信部24は、赤外線を受信するための赤外線センサであり、筐体2の前方部に配置される。誘導信号受信部24は、充電台201の誘導信号送信部203から出射される位置標識信号(ビーコン)等を受信する。
吸込口31、第1および第2排気口32、33は、それぞれ清掃のための空気の吸気および排気を行う部分である。特に、第2排気口33は、そこから前方に向かって空気を吹き出すことによって壁際の塵埃を隅部へ集め、かつ隅部の塵埃を壁際へ移動させるエアーブラシを発生させる箇所でもある(図11参照)。なお、これについて詳しくは後述する。
集塵部15は、室内のゴミやちりを集める清掃機能を実行する部分であり、主として、図示しない集塵容器15aと、フィルター部15bと、集塵容器15aおよびフィルター部15bを覆うカバー部15cとを備える。また、集塵容器15aには、吸込口31と連通する流入路に通じる流入口15a1と、電動送風機115と連通するダクト部114に通じる排気口15a2とを有する。
筐体2の内部において、集塵部15の後方には充電池12および電動送風機115が配置されている。
電動送風機115は、その上部にダクト部114と接続された上方開口状の吸気孔を有すると共に、外周部に第1排気孔115aと第2排気孔115bとを有しており、その軸心を垂直方向に向けた状態で集塵部15の後方の右寄りに配置されている。電動送風機115は、吸込口31から空気を吸い込み、その空気を、流入路を介して集塵容器15a内に導き、集塵後の空気を、ダクト部114、電動送風機115、第1および第2排気風路34、35を介して第1および第2排気口32、33から外部へ放出する気流を発生させる。
筐体2の内部において、電動送風機115の第1排気孔115aは第1排気風路34を介して第1排気口32と連通し、電動送風機115の第2排気孔115bは第2排気風路35を介して第2排気口33と連通している。
第2排気風路35は、筐体2の外周部後半の内面、すなわち、側板2cの後半部2c2の内面と、この内面に沿って設けられたリブとによって形成されている。なお、リブは、筐体2の内部構造壁2dを構成するリブ2d1、2d2や天板2cの下面に設けられたリブ等である。また、第2排気口33は、側板2cの後半部2c2の右側端部2c21を開放端とすることにより縦長の形状に形成されている。一方、側板2cの後半部2c2の左側端部2c22はL形に折れ曲がり、側板2cの前半部2c1の左側端部の内側に隙間をもって重ねられている。
このように、第2排気口33は、側板2cの前半部2c1と後半部2c2との境界付近における後半部2c2に配置されている。これに伴い、図3と図4と図8に示すように、側板2cの前半部2c1の右側端部における第2排気口33と対向する位置に凹部2c11が設けられている。この凹部2c11によって第2排気口33は前半部2c1の右側端部によって塞がれることなく前方へ開口している。なお、凹部2c11は前方へ向かうにつれて浅くなる形状である。
図3に示すように、実施形態1の場合、第2排気口33は、筐体2の厚み方向の下部に配置されているため、第2排気口33が床面に近くなっている。これにより、床面と平行に近い空気流を床面に対して吹き付けることができる。この結果、床面上から上方への塵埃の舞い上がりを抑制しながら少ない風量でも効率よく前方へ吹き飛ばすことが可能となる。
一方、第1排気口32は、側板2cの後半部2c2における後部左寄りに形成されている。そして、筐体2内における第1排気口32と電動送風機155の第1排気孔115aとの間の空間が、第1排気風路34とされている。この第1排気風路34にはイオン発生器120が配置されているため、第1排気口32から外部へ放出される空気流中にはイオン発生器120にて発生させたイオンが含まれる。
吸込口31の奥には、底面と平行な軸心廻りに回転する回転ブラシ9が設けられており、吸込口31の左右両側には垂直な回転軸心廻りに回転するサイドブラシ10が設けられている。回転ブラシ9は、回転軸であるローラの外周面に螺旋状にブラシやブレードを植設することにより形成されている。サイドブラシ10は、回転軸の下端にブラシ束を放射状に設けることにより形成されている。なお、回転ブラシ9の回転軸および一対のサイドブラシ10の回転軸は、筐体2の底板2aの一部に枢着されると共に、その付近に設けられたブラシモータ119とプーリおよびベルト等を含む動力伝達機構を介して連結されている。これは、一例であり、サイドブラシ10を回転させる専用の駆動モータを設けてもよい。
この発明に係る吸塵機構は、以上に説明した集塵部15、回転ブラシ9、サイドブラシ10、ブラシモータ119、電動送風機115を含む。吸塵機構は、回転ブラシ9の回転によって床等の走行面上の塵埃を吸込口31内へ取り込み、それに合わせて吸込口31から空気を吸気して集塵部15の集塵容器15aに吸引された塵埃を取り込む。
図7、図8および図10中の矢印AおよびBに示されるように、吸引された空気は、集塵容器15aに配されたフィルター15bを通過してダクト部114に流入する。なお、図7において、集塵部15はカバー15cおよびフィルター15bが取り外された状態で示されている。
ダクト部114に流入した空気は、電動送風機115の上方開口部から内部へ流入し、図2および図7中の矢印CおよびDで示されるように、電動送風機115の第1排気孔115aから第1排気風路34を通過して第1排気口32から外部へ放出され、かつ電動送風機115の第2排気孔115bから第2排気風路35を通過して第2排気口33から外部へ放出される。なお、第1排気口32から放出される空気の風量と第2排気口33から放出される空気の風量の比率は任意であり、実施形態1の場合はほぼ1:1に設定されている。
入力部51は、ユーザが、自走式掃除機1の動作を指示入力する部分であり、自走式掃除機1の筐体2の表面に、操作パネル、あるいは操作ボタンとして設けられる。
さらに、前述の掃除機本体に設けられた操作パネルや操作ボタンとは別にリモコンユニットが設けられており、このリモコンユニットも入力部51に相当する。このリモコンユニットに設けられた操作ボタンを押すと、リモコンユニットから赤外線や無線電波信号が送出され、無線通信により動作の指示入力を行う。
入力部51は、主電源スイッチ52M、電源スイッチ52Sおよび起動スイッチ53を含む。主電源スイッチ52Mは、充電池12から制御部11等への給電を回路的にオン/オフするスイッチである。電源スイッチ52Sは、自走式掃除機1の電源をオン/オフするスイッチである。起動スイッチ53は、清掃作業をスタートさせるスイッチである。入力部51としては、その他のスイッチ(例えば、充電要求スイッチ、運転モードスイッチ、タイマスイッチ)がさらに設けられる。入力部51としてのリモコンがユーザからの指示を受けると、制御部11はこの指示に応答し、例えば動力部21を制御してユーザが指示する方向へ走行させあるいは走行を停止させる。
記憶部61は、自走式掃除機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムを記憶する部分であり、フラッシュメモリ等不揮発性の半導体記憶素子やハードディスク等の記憶媒体が用いられる。
記憶部61には、例えば、充電池12の残容量等の状態を示す電池情報62、自走式掃除機1の走行経路の履歴、現在位置および方向を示す位置情報63、自走式掃除機1の動作モードを示す動作モード情報71を格納する。動作モード情報71は、運転モード72、スタンバイモード73およびスリープモード74を格納する。運転モード72は、清掃作業中であることを示すデータである。スタンバイモード73は、自走式掃除機の状態が起動スイッチ53に応答して掃除を開始できるスタンバイモードであることを示すデータである。スリープモード74は、節電状態のスリープモードであることを示すデータである。
充電台201は、充電端子部202および誘導信号送信部203を備える。充電台201の充電端子部202と自走式掃除機1の充電用接続部13とを電気的に接触することにより、自走式掃除機1は充電台201からの電力の供給を受け、自走式掃除機1の充電池12が充電される。誘導信号送信部203は、ビーコン信号を生成する信号生成回路と生成された信号を放射するLEDからなる。
≪自走式掃除機の走行制御≫
図11(A)〜(C)は実施形態1の自走式掃除機が壁際から隅部に向かって清掃する状態を示す説明図である。
通常、充電台201は壁際に設置されており、自走式掃除機1は壁際の充電台201からスタートする。すなわち、起動スイッチ53がオンされると、走行制御部11aは、動力部21の駆動モータを回転させて走行を開始する。また、制御部11は電動送風機115およびブラシモータ119を回転させて清掃作業をスタートする。また、各超音波受信部14Aおよび各超音波送信部14Bが作動する。
なお、ここでは、図11を参照しながら、自走式掃除機1の走行モードの一例としてジグザグ走行を説明する。
走行を開始すると、図11(A)に示すように、走行制御部11aは、充電台201から壁面W1を右側に見ながら壁面W1を沿うように自走式掃除機1を矢印X方向(X軸方向)へ走行させる。この間、筐体2の右側の第2排気口33から吹き出る空気流F1がエアーブラシのように作用して壁際の塵埃Qを前方へ吹き飛ばすと共に、左右一対のサイドブラシ10が相互に逆回転して周囲の塵埃Qを吸込口31へ集める。
このとき、空気流F1は、右側のサイドブラシ10の回転範囲R(仮想線の範囲内)を含む前方の領域に吹き付けられる。このようにすれば、サイドブラシ10をすり抜けた塵埃Qをサイドブラシ10の前方に吹き飛ばすことができるため、サイドブラシ10によってより確実に塵埃Qを吸込口31側へ掻き集めて除去することができる。すなわち、サイドブラシ10による掻き集め残しを低減することができる。
そして、障害検出部14の前方の超音波受信部14Aが前方の壁面W2を検出するまで移動させる。壁面W1に沿う走行は、右側の超音波受信部14Aによる検出に基づいて行う。走行制御部11aは、壁面W1に沿って直進するときの方向をジグザグ走行の開始地点および終了地点を判断するうえでの基準座標軸、即ちX軸方向とする。壁面W1に沿って走行しながら、走行制御部11aは、X軸方向およびそれに直角なY方向の位置をジャイロセンサ20及び左右の駆動輪22L、22Rの回転数からの情報に基づいて逐次算出する。そして、走行した位置の履歴を位置情報63に逐次記録していく。
図11(B)に示すように、前方の超音波受信部14Aが走行方向前方の障害物である壁面W2を検出すると、走行制御部11aは、その手前の地点で自走式掃除機1を左側(上方から見て反時計方向)へ90°旋回させる。このとき、壁面W1と壁面W2との間の隅部Kに押しやられた塵埃Qは、空気流F1が前方の壁面W2に当たることによってこの壁面W2に沿って移動するため、隅部Kから塵埃Qが除去される。またこの際、隅部Kを念入りに掃除するために、反時計方向へ90°旋回した後、逆方向へ旋回し、再び反時計方向へ旋回するようにしてもよく、これを複数回(例えば、2〜5回)繰り返してもよい。
上述のように旋回した後、走行制御部11aは、壁面W2を右側に見ながら壁面W2に沿うように自走式掃除機1を矢印Y方向(Y軸方向)へ走行させる。この間も空気流F1によって壁際の塵埃Qが前方へ吹き出される。そして、例えば、自走式掃除機1の直径程度の距離を進んだ後、図11(C)中の実線矢印で示すように、自走式掃除機1を反時計方向へ90°旋回させ、その後前進させ、このように直進と旋回を繰り返しながらジグザグに走行させる。あるいは、図11(C)中の点線矢印で示すように、壁面W2に沿って自走式掃除機1を走行させ、壁面W2と直角に交わる図示しない壁面まで接近すると、反時計方向へ90°旋回し、その壁際に沿って自走式掃除機1の直径程度の距離を進んだ後、自走式掃除機1を反時計方向へ90°旋回させ、その後前進させ、このように直進と旋回を繰り返しながらジグザグに走行させる。なお、いずれの場合も、90°の旋回は、反時計方向と時計方向にそれぞれ2回ずつ交互に行う。これにより、自走式掃除機1がジグザグに走行する。
走行モードが壁際走行の場合、自走式掃除機1は壁面に沿って走行を続け、部屋の各隅部の塵埃をエアーブラシで除去し、サイドブラシ10で吸込口31へ集めて集塵部15に集塵する。
そして、部屋の掃除が終了すると、自走式掃除機1は充電台201へ帰還する。この際、自走式掃除機1は前部から充電台201へ帰還し、自走式掃除機1の底板2aの前部に設けられた一対の充電用接続部13が充電台201の充電端子部202に接触し、充電池12が充電される。
なお、自走式掃除機1は、内部構造を左右反転させて左側から空気流を吹き出しながら壁際および隅部を清掃するように構成してもよい。あるいは、左右両側から空気流が吹き出る構造であってもよい。
(実施形態2)
実施形態1では、筐体2の側板2cの後半部2c2および内部構造壁2dに設けたリブ2d1、2d2等によって第2排気風路35を形成した場合を例示したが、内部構造壁2dに設置する各種部品と側板2cの後半部2c2との間に隙間を形成して第2排気風路を形成してもよい。
(実施形態3)
実施形態1の場合、電動送風機115の出力が一定であるために、第2排気口33からの空気流F1の風量も一定であった。
そこで、実施形態3では、図11(A)および(B)に示すように、自走式掃除機1において、前方の超音波受信部14Aが前方の壁面W2を検知すると電動送風機115の出力を通常レベルよりも増加させ(例えば、1.3〜1.5倍)、それに伴って第2排気口33から吹き出る空気流F2の風量を増加させてもよい。これにより、塵埃Qが溜まりやすい隅部Kの清掃力を高めることができる。なお、前方の超音波受信部14Aが壁面を検知しなくなれば電動送風機115の出力を通常レベルに戻す。
(実施形態4)
実施形態1の場合、自走式掃除機1が壁際以外を走行するときも第2排気口33から空気流が吹き出す構成であった。
そこで、実施形態4では、例えば、第1および第2排気風路34、35にそれぞれ電磁弁を設け、壁際を走行する際は第2排気風路35の電磁弁のみを開いて全排気を第2排気口33から吹き出させ、壁際以外を走行する際は第1排気風路34の電磁弁のみを開いて全排気を第1排気口32から吹き出させるようにしてもよい。
これにより、電動送風機115の出力を増加させることなく隅部の清掃力を高めると共に、壁際以外の走行時には床面に空気流を吹き付けて床面上の塵埃を拡散させないようにすることが可能となる。
なお、電動送風機115の排気孔を1箇所とし、排気を2方向に切り替え可能な切替弁を排気孔に設け、切替弁の2箇所の出口に第1および第2排気風路を接続し、切替弁にて第1または第2排気風路に空気を送るように構成してもよい。
(まとめ)
本発明の自走式掃除機は平盤形の筐体と、この筐体内に設けられた集塵部および電動送風機とを備え、
前記筐体は、底部に設けられた吸込口、第1排気口および平面視外周部に設けられた第2排気口を有し、
前記筐体内には、前記第2排気口と前記電動送風機の間に前記筐体の前記外周部の内面に沿って第2排気風路が形成されると共に、前記第1排気口と前記電動送風機の間に第1排気風路が形成され、
前記第2排気口は、前記筐体の前記平面視外周部における左右側部のうちの少なくとも一方に配置されて前方へ向かって開口しており、
前記筐体は、前記第2排気風路からの空気流を前記筐体が直進する方向と略平行方向へ向けて前記第2排気口から外部へ吹き出すように、前記平面視外周部における前記第2排気口と対向する位置に凹部を有している
本発明の自走式掃除機は次のように構成されてもよい。
(1)前記第2排気風路は、前記筐体の外周部の内面とこの内面に沿って設けられたリブとによって形成されてもよい。
このようにすれば、リブを含む筐体を利用して容易に第2排気風路を形成することができる。
(2)前記筐体の底部から回転可能に突出したサイドブラシをさらに備え、
前記サイドブラシの回転範囲内に向かって前記第2排気口から空気流が吹き出されるようにしてもよい。
このようにすれば、サイドブラシをすり抜けた塵埃があっても、その塵埃をサイドブラシの前方に吹き飛ばすことができるため、サイドブラシによってより確実に塵埃を吸込口側へ掻き集めて除去することができる。なお、ここで言う回転範囲とは、ブラシ先端が回転して描く円の内側領域を意味する。
(3)前記筐体の前記外周部は、前半部と後半部とに分割されてなり、
前記第2排気口は、前記外周部の前記前半部と前記後半部との境界付近における前記後半部に配置されてもよい。
このようにすれば、筐体の外周部の前半部をバンパーとして機能させることができると共に、前記境界付近における後半部の端部を開放端にして第2排気口とすることができるため好都合となる。なお、前半部と後半部は均等に分割されてもよく、均等に分割されていなくてもよい。
(4)前記筐体は、円盤形に形成されると共に、前記境界付近における前記前半部の前記第2排気口と対向する位置に凹部が設けられてもよい。
このようにすれば、円盤形の筐体の前記境界付近と接する接線の方向と進行方向(前方)とが一致するため、第2排気口から前方へ空気流を吹き出させる構造として好適となる。この場合、前半部に凹部を設けることにより、前半部の曲率半径を後半部の曲率半径よりも小さくして第2排気口から前方へ吹き出す空気流を妨げないようにすることが不要となる。したがって、平面的に視て外周部を大きな段差のない連続的なほぼ円形にデザインすることができる。
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
2 筐体
2a 底板(底部)
2b 天板(天部)
2c 側板(外周部)
2c1 前半部
2c2 後半部
2c11 凹部
2d1、2d2 リブ
10 サイドブラシ
15 集塵部
31 吸込口
32 第1排気口
33 第2排気口
34 第1排気風路
35 第2排気風路
115 電動送風機
1、F2 空気流
R 回転範囲

Claims (5)

  1. 平盤形の筐体と、この筐体内に設けられた集塵部および電動送風機とを備え、
    前記筐体は、底部に設けられた吸込口、第1排気口および平面視外周部に設けられた第2排気口を有し、
    前記筐体内には、前記第2排気口と前記電動送風機の間に前記筐体の前記外周部の内面に沿って第2排気風路が形成されると共に、前記第1排気口と前記電動送風機の間に第1排気風路が形成され、
    前記第2排気口は、前記筐体の前記平面視外周部における左右側部のうちの少なくとも一方に配置されて前方へ向かって開口しており、
    前記筐体は、前記第2排気風路からの空気流を前記筐体が直進する方向と略平行方向へ向けて前記第2排気口から外部へ吹き出すように、前記平面視外周部における前記第2排気口と対向する位置に凹部を有していることを特徴とする自走式掃除機。
  2. 前記第2排気風路は、前記筐体の前記平面視外周部の内面とこの内面に沿って設けられたリブとによって形成されている請求項1に記載の自走式掃除機。
  3. 前記筐体の前記底部から回転可能に突出したサイドブラシをさらに備え、
    前記サイドブラシの回転範囲内に向かって前記第2排気口から空気流が吹き出される請求項1または2に記載の自走式掃除機。
  4. 前記筐体の前記平面視外周部は、前半部と後半部とに分割されてなり、
    前記第2排気口は、前記平面視外周部の前記前半部と前記後半部との境界付近における前記後半部に配置された請求項1〜3のいずれか1つに記載の自走式掃除機。
  5. 前記筐体は、円盤形に形成されると共に、前記境界付近における前記前半部の前記第2排気口と対向する位置に前記凹部が設けられている請求項4に記載の自走式掃除機。
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