JP6378962B2 - 自走式電子機器 - Google Patents
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Description
このように、自走式電子機器が移動する領域を区切り、自走式電子機器が移動すべき経路の情報を提供して自走式電子機器を誘導したりするために光、電波等の無線信号(以下、フェンス信号とも呼ぶ)を軸方向に放射するものを、この明細書でフェンス信号発信器と呼ぶ。
フェンス信号発信器は、自走式電子機器を進入させたくない領域の境界に置かれ、フェンス信号を使って自走式電子機器に回避行動をとらせるものであるが、従来のようにフェンス信号が検出されなくなるまで回転させるやり方では、自走式電子機器がフェンス信号の軸に沿って進んでしまい、何回も回避行動を繰り返す虞がある。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、走行中にフェンス信号の信号到達領域への進入を検出して旋回するとき、前記信号到達領域から離脱する方向、即ち旋回終了のタイミングを適切に制御して前記信号到達領域から遠ざかることのできる自走式電子機器を提供するものである。
≪自走式電子機器の具体的態様≫
この発明の自走式電子機器の一例として「自走式掃除機」について説明する。この自走式掃除機とは、底面に吸気口を有すると共に内部に集塵部を有する筐体、筐体を走行させる駆動輪、駆動輪の回転、停止および回転方向等を制御する制御部などを備え、ユーザの手を離れて自律的に掃除動作する掃除機を意味し、後述の図面を用いた実施形態によって一例が示される。
図1は、この発明に係る自走式掃除機の一実施例の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、この発明に係る自走式掃除機は、主として、回転ブラシ9、サイドブラシ10、制御部11、充電池12、障害物検出部14、集塵部15を備える。さらに、動力部21、右駆動輪22R、左駆動輪22L、吸気口31、排気口32、電動送風機115およびイオン発生部117を備える。さらにまた、ブラシモータ119および無線信号受信部217を備える。
図2〜4は、この発明に係る自走式掃除機の一実施形態を示す外観図である。図2は平面図、図3は側面図、図4は正面図である。
また、図5は、図4のA−A矢視断面図である。
自走式掃除機1は、掃除機の内部機構を搭載する底板2aと、集塵部15を収容する凹部が形成された天板2bとを有する。底板2aの後側半分の縁は後方側板2dで囲まれている。天板2bの上には、前記凹部の上方開口部を覆う蓋部3が開閉可能に配置されている。底板2a、天板2bおよび後方側板2dは筐体に相当する。
この実施形態において、自走式掃除機の外周部から底板2aに至る下縁部は、後ろ半分が後方側板2dであり、前半分はバンパー2cと一体のスカート部2eである。後方側板2dの上方には、後方側板2dとほぼ面一でバンパー2cが配置されている。
ここで、前方とは、自走式掃除機1の前進方向(図2において、紙面に沿う上方)をいうものとし、後方とは、自走式掃除機1の後退方向(図2において、紙面に沿う下方)いうものとする。
図1の制御部11は、自走式掃除機1の各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、書換え可能な不揮発性メモリであるROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、前記ROMに予め格納され、RAMに展開された制御プログラムに基づいて、各ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の掃除機能、走行機能などを実行する。
充電池12の充電は、自走式掃除機1を図示しない充電台に近接させた状態で、両者の露出した充電端子どうしを接触させることにより行う。
左接触センサ14CLおよび右接触センサ14CRは、自走式掃除機1が走行時に障害物と接触したことを検出するために、バンパー2cの内側に配置される。CPUは、左接触センサ14CLおよび右接触センサ14CRからの出力信号に基づいてバンパー2cが障害物に衝突したことおよびその方向を知る。
CPUは、障害物検出部14から出力された信号に基づいて、障害物や段差の存在する位置を認識する。認識された障害物や段差の位置情報に基づいて、その障害物や段差を避けて次に走行すべき方向を決定する。なお、左輪床面検出センサ19Lおよび右輪床面検出センサ19Rは、前方床面検出センサ18の検出範囲外にある進行方向の左前方または右前方の段差を検出するものである。これにより下り階段を検出し、自走式掃除機1の下り階段への落下を防止する。
吸気口31および排気口32は、それぞれ掃除のための空気の吸気および排気を行う部分である。
この構成は単なる一例であり、サイドブラシ10を回転させる専用の駆動モータを設けてもよい。
なお、イオン発生部117で発生したイオンの一部が流入路へ導かれるようにしてもよい。このようにすれば、吸気口31から流入路に導かれる気流内にイオンが含まれるため、集塵部15が有する図示しない集塵容器およびフィルタの除菌および脱臭を行うことができる。
無線信号受信部217は、操作リモコンから無線信号として送られるユーザからの指示を受信し、制御部11は受信した指示に応答して自走式掃除機1の動作を制御する。さらに無線信号受信部217は、充電台が発する無線信号を受信して、その無線信号を目標に充電台へ帰還する。
この実施形態では無線信号として赤外光による光信号が用いられる。信号のフォーマットとしては、例えば家電製品協会が定めたいわゆる家製協フォーマットなどが準用可能である。ただし、光ではなく電波や他の媒体を用いて通信する構成でもよく、準用する信号のフォーマットも前述の家製協フォーマットに限定されない。
前記データフォーマットは複数ビットが連続する赤外線ビットストリームとして1フレームが定義される。1フレームは先頭のリーダー、それに続く32ビットのカスタムコード、データコードおよび末尾のストップビットからなる。リーダーコードは3.2ミリ秒のオンと1.6ミリ秒のオフからなる。カスタムコードは、32ビットのデータであり、例えば先頭の16ビットは事業者毎に固有の値が割り当てられ、続く8ビットは4ビットのパリティと4ビットの事業種別のコードが割り当てられ、最後の8ビットに機種に固有の値が割り当てられる。
一方、指向性放射部239bからは遠方まで届く指向性の強い光信号(フェンス信号)が側方へ放射される。指向性放射部239bから放射されるフェンス信号は、無指向性放射部239aからの光信号と異なる識別コードを有している。自走式掃除機1の制御部11は、両者の識別コードに応じて回避制御を異ならせるように制御してもよい。即ち、指向性放射部239bからのフェンス信号を横切ってフェンス到達センサ217aがそのフェンス信号を受信したときにこの発明に係る制御を行うが、無指向性放射部239aからの光信号をフェンス到達センサ217aが受信したときは、例えば180度旋回するように制御する。指向性放射部239bから放射されるフェンス信号が光軸方向において到達可能な距離は2メートルと4メートルがセンサ距離切換スイッチ237により選択可能である。フェンス信号の到達距離が2メートル以下で足りる用途の場合は電池243の寿命がより長い2メートルの方を選択すればよい。
動作インジケーター235は、LEDランプであって電源スイッチ233がオフの状態で消灯し、オンの状態で点灯する。電池243の残容量が十分ある間は緑色に点灯し残容量が減って交換時期が近づくと赤色に点灯する。
図10は、無指向性放射部239aおよび指向性放射部239bから放射される光信号が自走式掃除機1側の無線信号受信部217で受信できる信号到達領域を模式的に示す説明図である。図10において、無指向性放射部239aからの光信号が到達する第3信号到達領域245cは円状の領域であり、指向性放射部239bからのフェンス信号が到達する第2信号到達領域245bおよび第1信号到達領域245aは略楕円状の領域である。センサ距離切換スイッチ237によって2メートルの到達可能距離に設定されたときが図10に二点鎖線で示す第2信号到達領域245bに対応し、4メートルの到達可能距離に設定されたときが実線で示す第1信号到達領域245aに対応する。矢印Bは、指向性放射部239bから放射されるフェンス信号の光軸方向を示す。
続いて、自走式掃除機1がフェンス信号の信号到達領域へ進入したときの走行制御について述べる。
図12は、自走式掃除機1がフェンス信号の信号到達領域へ進入したときに制御部11が走行を制御する様子を示す説明図である。図13は、図12と異なる進入角度で信号到達領域へ進入したときの様子を示す説明図である。図14および図15は、信号到達領域への進入に応答して制御部11が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
旋回中(ステップS21)、制御部11は、旋回センサ217bがフェンス信号を検出したか否かを逐次モニタする(ステップS23)。
その後、制御部11は、障害物を避けつつ自走式掃除機1を走行させて作業を続ける(ステップS29、図12(d)および図13(d)参照)。
図14および図15に示すフローチャートのステップS15の期間とS25の期間とを異ならせると、離脱方向が進入方向と真逆にならないようにできる。あるいは、フェンス到達センサ217aと旋回センサ217bの配置を旋回中心に対して非対称の位置とすることで、離脱方向が進入方向と真逆にならないようにできる。対称の位置としないとは、例えば旋回中心からの距離を異ならせて点対称とならないようにし、あるいはフェンス到達センサ217aと旋回中心を通る直線上から外れた位置に旋回センサを配置して線対称とならないようにすることである。
実施の形態1では、旋回センサ217bがフェンス信号を検出すると旋回を停止した。しかし、自走式掃除機1の方向の変化を検出する他の手段を用いることにより、進入方向に対して略180°旋回させてもよい。
例えば、ジャイロセンサで自走式掃除機1の方向の変化を検出し、旋回センサの機能を実現することができる。
あるいは、左駆動輪22Lおよび右駆動輪22Rが各駆動輪の回転に伴ってパルス信号を出力するエンコーダをそれぞれ備え、そのエンコーダの信号で自走式掃除機1の方向の変化を検出してもよい。
この実施形態は、図6に示す自走式掃除機1の走行制御について述べる。図6に示す自走式掃除機1は、2つの旋回センサを有する態様である。即ち、後方左側の旋回センサ217cおよび後方右側の旋回センサ217dである。2つの旋回センサ217cおよび217dのいずれもフェンス信号を検出するまで旋回させることにより、フェンス信号の軸方向に対して直角に近い方向へ離脱させることができる。
旋回中に、制御部11は、旋回センサ217cおよび217dを逐次モニタし、両者がフェンス信号を検出するようになるのを待つ。例えば、図16(b)では、旋回センサ217dが信号到達領域に進入しようとしているが、旋回センサ217cは信号到達領域からまだ外れている。旋回センサ217dのみがフェンス信号を検出しても、制御部11は旋回を終了させない。
この実施形態は、図7に示す自走式掃除機1の走行制御について述べる。図7に示す自走式掃除機1は、後方に3つの旋回センサ、即ち後方中央の旋回センサ217b、後方左側の旋回センサ217cおよび後方右側の旋回センサ217dを有する。3つの旋回センサのうち複数もしくはすべてがフェンス信号を検出するまで旋回させることにより、フェンス信号をより確実に検出し、好ましい方向で旋回を終了することができる。
旋回中に、制御部11は、旋回センサ217b、217cおよび217dを逐次モニタし、複数の旋回センサがフェンス信号を検出するようになるのを待つ。例えば、図17(b)では、旋回センサ217dが信号到達領域に進入しようとしているが、他の旋回センサ217bおよび217cは信号到達領域から離れている。旋回センサ217dのみがフェンス信号を検出しても、制御部11は旋回を終了させない。
しかし、例えばフェンス信号発信器231から遠く離れている場合、フェンス信号が微弱で旋回センサ217dまたは217bが安定してフェンス信号を検出できないことがある。その場合、制御部は旋回を続ける。やがて図17(d)に示すように、旋回センサ217cも信号到達領域に入る。旋回センサ217b、217dおよび217cのうち何れか2つのセンサがフェンス信号を安定して検出したら、制御部11は旋回を停止させる。そして、信号到達領域から離脱させる(矢印D2)
このように、複数の旋回センサを配置することで、フェンス信号をより確実に検出して離脱させることができる。
なお、図17は3つの旋回センサのうち2つがフェンス信号を検出したら旋回を終了する態様を示しているが、何れか1つの旋回センサがフェンス信号を検出したら旋回を終了するようにしてもよい。また、旋回センサの数は2個であってもよく4個以上であってもよい。それらの旋回センサのうちで何個がフェンス信号を検出したら旋回を終了するかは適宜決定すればよい。
この実施形態では、前進方向に直交する左右方向の異なる位置にフェンス信号をそれぞれ検出する2つのセンサを備えて、そのうち一方をフェンス到達センサとして機能させ、他方を旋回センサとして機能させる態様を述べる。
図18は、この実施形態に係る自走式掃除機の態様の一例を示す外観図である。図18に示すように、自走式掃除機1は、左右の両端部にそれぞれフェンス信号センサ219Lおよび219Rを備えている。
障害物を避けながら走行中に、制御部11は、フェンス信号センサ219Lおよび219Rを逐次モニタする。
そして、制御部11は、決定された旋回の角度まで自走式掃除機を旋回させる。よって、後からフェンス信号を検出したフェンス信号センサ219Rが、フェンス到達センサとして機能する。他方のフェンス信号センサ219Lは、旋回の角度を決定するために用いられる。換言すれば、旋回の終了を決定するために用いられるので、旋回センサとして機能する。旋回の角度は、前述のエンコーダでモニタしてもよいし、一定の旋回速度で旋回させてタイマーで旋回時間を計測してもよい。
なお、フェンス信号センサ219Lおよび219Rが左右方向の一直線上になくてもよい。一直線上の位置からのズレに応じた補正を行うことで同様の機能が実現できる。
以上の実施形態では、フェンス信号の信号到達領域へ進入した場合、制御部11が自走式掃除機1の走行方向を変更するように制御する種々の態様を述べた。
ところで、実施の形態1で述べたように、自走式掃除機1は前方超音波センサ14F、左方超音波センサ14L、右方超音波センサ14Rを備えており、これらのセンサによる障害物の検出に基づいて障害物を回避して走行する。
フェンス信号の信号到達領域に進入したときの走行処理として、障害センサによる障害物の回避と共通の走行処理を適用できるので、別途の処理を行う場合に比べて制御部の処理の開発および検証を簡略化できる。
フェンス信号の信号到達領域に進入したときの走行処理として、床面検出センサによる段差の回避と共通の走行処理を適用できるので、別途の処理を行う場合に比べて制御部の処理の開発および検証を簡略化できる。
(i)この発明による自走式電子機器は、少なくとも前進および旋回による走行を行う動力部と、外部のフェンス信号発信器が指向性を有して出力するフェンス信号の信号到達領域に進入したことを検出するフェンス到達センサと、前記信号到達領域への進入に応答して旋回を開始するように前記動力部を制御する制御部と、前記旋回の終了判定に用いる旋回センサとを備え、前記制御部は、前記旋回センサからの信号に応答してその旋回を終了するように制御することを特徴とする。
また、走行は、車輪によるものが代表的態様であるがこれに限る必要はなく、キャタピラーを有する態様や床面から浮上して移動するものであってもよい。
フェンス信号は、自走式電子機器が移動する領域を限定し、特定の場所に閉じ込めておくために、軸方向に指向性を有して出力される無線信号である。信号として、実施形態で述べた赤外線信号の他、光、電磁波、超音波などを用いてもよい。フェンス到達センサおよび旋回センサは前記フェンス信号を検出するセンサである。
さらに旋回は、ある点を中心に方向を変える動作である。ただし、滑り等のために動作に伴って中心が振れる場合も含んだ広義の旋回動作である。
(ii)前記フェンス到達センサは、旋回の中心位置より前方側に配置され、前記旋回センサは、旋回の中心位置より後方側に配置されて前記フェンス信号を検出し、前記制御部は、旋回により前記旋回センサが前記信号到達領域に進入して前記フェンス信号を検出したことに応答して前記旋回を終了させてもよい。
このようにすれば、旋回中心より後方側に配置された旋回センサがフェンス信号の信号到達領域に入ったことをトリガとして旋回を終了させるので、自走式電子機器が前記信号到達領域から遠ざかる方向へ向いた状態で旋回を終了させることができる。
このようにすれば、複数のセンサが信号到達領域に入ったことをトリガとして旋回を終了させるので、1つの旋回センサを用いる場合に比べて自走式電子機器を前記信号到達領域から遠ざかる方向へより正確に向けることができる。
このようにすれば、左右方向の一直線上に配置された2つのセンサがフェンス信号を検出した時間差に基づいて信号到達領域の軸方向に対する進入角度を算出し、予め定められた離脱方向へ自走式電子機器が向くように旋回角度を決定できる。
このようにすれば、フェンス信号を検出する1つのセンサと、旋回に伴う向きの変化を検出するセンサを用いることで、自走式電子機器が前記信号到達領域から遠ざかる方向へ向いた状態で旋回を終了させることができる。
(vii)前記動力部は左右の駆動輪を含み、前記旋回センサがそれぞれの駆動輪の回転信号を出力するエンコーダであってもよい。
このようにすれば、フェンス信号の信号到達領域に進入したときの走行処理として、障害センサによる障害物の回避の処理または落下防止センサによる段差の回避の処理と共通の走行処理が適用できるので、別途の処理を行う場合に比べて制御部の処理の開発および検証を簡略化できる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
Claims (2)
- 少なくとも前進および旋回による走行を行う動力部と、
外部のフェンス信号発信器が指向性を有して出力するフェンス信号の信号到達領域に進入したことを検出するフェンス到達センサと、
前記信号到達領域への進入に応答して旋回を開始するように前記動力部を制御する制御部と、
前記旋回の終了判定に用いる旋回センサとを備え、
前記フェンス到達センサは、旋回の中心位置より前方側に配置され、
前記旋回センサは、旋回の中心位置より後方側に配置されて前記フェンス信号を検出し、
前記制御部は、旋回により前記旋回センサが前記信号到達領域に進入して前記フェンス信号を検出したことに応答してその旋回を終了するように制御することを特徴とする自走式電子機器。 - 前記旋回センサは、異なる位置にそれぞれ配置される複数のセンサからなり、
前記制御部は、それら複数のセンサが前記信号到達領域に進入して前記フェンス信号を検出したことに応答して前記旋回を終了させる請求項1に記載の自走式電子機器。
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