以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置及び電子部品実装方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。
図2は、電子部品実装装置の筐体の概略構成を示す斜視図である。図3Aは、図2に示す筐体の正面図である。図3Bは、図2に示す筐体の上面図である。図3Cは、図2に示す筐体の右側面図である。図3Dは、図2に示す筐体の左側面図である。図3Eは、図2に示す筐体の背面図である。図4は、筐体のカバーの概略構成を示す説明図である。図5は、筐体のロック機構の概略構成を示す説明図である。なお、図3Aから図3Eは、筐体11をわかりやすく示すために、部品供給ユニット14f、14rの図示を省略している。
筐体11は、図3Aから図3Eに示すように、本体11aとカバー11bf、11brとを有する。本体11aは、電子部品実装装置10を構成する各部を収納する箱である。本体11aは、フロント側に、カバー11bfと操作部40と表示部42とフロント側バンク44とコネクタ48とが配置され、リア側に、カバー11brとリア側バンク46とコネクタ49とが形成されている。本体11aは、2つの側面にそれぞれ基板8を装置内に搬入し、排出する2つの開口11cが形成されている。本実施形態の操作部40は、キーボード40aとマウス40bとを有する。本実施形態の表示部42は、タッチパネル42aとビジョンモニタ42bとを有する。なお、タッチパネル42aは、操作部40の一部ともなる。フロント側バンク44とリア側バンク46とは、それぞれ部品供給ユニット14f、14rを支持する部材である。フロント側バンク44とリア側バンク46との詳細な構造は、後述する。コネクタ48は、後述する部品供給ユニット14fの各部の配線と接続される。また、コネクタ49は、後述する部品供給ユニット14rの各部の配線と接続される。ここで、配線としては、電気信号を伝達する配線や、空気を供給するチューブがある。
次に、カバー11bf、11brについて説明する。なお、カバー11bf、11brは、配置位置がフロント側とリア側とで異なるのみで、構成は同じである。以下、特に区別しない場合、カバー11bとして説明する。カバー11bfは、本体11aのフロント側の一部に設けられた囲いであり、鉛直方向上側に配置されている。カバー11brは、本体11aのリア側の一部に設けられた囲いであり、鉛直方向上側に配置されている。カバー11bは、本体11aの正面または背面の一部と上面の一部を覆う形状であり断面がLとなる。カバー11bは、図4に示すように、本体11aに対して開閉することができる。カバー11bが開状態となることで、本体11aの内部に配置された各部に対する作業を行うことができる。カバー11bは、上面の先端が本体11aに連結されており、連結部分を支点にして回動する。また、カバー11bは、カバー支持部11dに支持されている。カバー支持部11dは、伸縮する棒状の部材であり、一方の端部が本体11aに連結され、他方の端部がカバー11bに連結されている。カバー支持部11dは、カバー11bの開閉に合わせて伸縮する。また、カバー支持部11dには、カバー支持部11dの伸縮をロックするロック機構11eが設けられている。ロック機構11eは、ロック状態となることで、カバー支持部11dを伸縮できない状態とし、オープン状態となることで、カバー支持部11dを伸縮できる状態とする。カバー11bは、ロック機構11eがロック状態となると、現状の位置に固定される。これにより、開いた状態のカバー11bが自重で閉じることを抑制することができる。
図1に戻り、電子部品実装装置10の説明を続ける。基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
図6は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図7は、フロント側バンクの概略構成を示す模式図である。図8は、リア側バンクの概略構成を示す模式図である。電子部品実装装置10は、図6に示すように、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、図6に示すように、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着または把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rはともに、本体と、本体に連結されたリードとを有するリード型電子部品を供給する。
フロント側の部品供給ユニット14fは、2つのボウルフィーダアセンブリ90を有する。ボウルフィーダアセンブリ90は、ボウルフィーダである部品供給装置を複数備え、各部品供給装置から保持位置(吸着位置、把持位置)に電子部品を供給する。各部品供給装置が保持位置に供給した電子部品は、ヘッド15により基板8に実装される。ボウルフィーダアセンブリ90については後述する。
部品供給ユニット14fの2つのボウルフィーダアセンブリ90は、フロント側バンク44に設置される。図7に示すようにフロント側バンク44は、支持板44aを有する。支持板44aは、ボルト等で本体11aの内部の所定位置に固定される。支持板44aは、2つのボウルフィーダアセンブリ90を支持する。支持板44aは、基板搬送部12側の端部にセットシャフト44bが配置されている。セットシャフト44bは、ボウルフィーダアセンブリ90を支持し、ボウルフィーダアセンブリ90を位置決めする。また、支持板44aは、基板搬送部12側とは反対側の端部に2つの凹部44cが形成されている。凹部44cもそれぞれボウルフィーダアセンブリ90の一部が挿入され、ボウルフィーダアセンブリ90を位置決めする。
リア側の部品供給ユニット14rは、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)100を有する。電子部品供給装置100は、ラジアルフィーダであり、保持位置(吸着位置、把持位置)に電子部品を供給する。各部品供給装置100が保持位置に供給した電子部品は、ヘッド15により基板8に実装される。
部品供給装置100は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。部品供給装置100は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。部品供給装置100は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。部品供給装置100については後述する。なお、複数の部品供給装置100は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。
複数の電子部品供給装置100は、リア側バンク46に設置される。リア側バンク46は、複数の電子部品供給装置100を支持する機構であり、図8に示すように、第1フィクシングプレート46aと第2フィクシングプレート46bと、ロックシャフト46cと、ドライブシリンダ46dと、ポジションラベル46eと、を有する。第1フィクシングプレート46aは、ZX平面上に延在する板状の部材であり、X方向に列状に穴が形成されている。穴は、電子部品供給装置100に形成された突起が挿入可能な穴である。第1フィクシングプレート46aは、穴に電子部品供給装置100に形成された突起が挿入されることで、電子部品供給装置100を位置決めする。第2フィクシングプレート46bは、鉛直方向下側の面、つまり、電子部品供給装置100を支持する面に配置された板状部材である。第2フィクシングプレート46bは、基板搬送部12から離れる側の端面に凹凸が形成されている。第2フィクシングプレート46bは、凹凸に電子部品供給装置100に形成された突起が挿入されることで、電子部品供給装置100を位置決めする。ロックシャフト46cは、第2フィクシングプレート46bよりも基板搬送部12から離れる側に配置されている。ロックシャフト46cは、電子部品供給装置100のクランプユニット112により挟まれることで、電子部品供給装置100を支持し、位置決めする。ドライブシリンダ46dは、鉛直方向上側に突出することができるピストンであり、対応する位置に設置された電子部品供給装置100の所定位置を押すことで、電子部品供給装置100の保持位置に電子部品を搬送する。ポジションラベル46eは、リア側バンク46におけるバンクの位置を目視で認識可能とする案内表示である。オペレータは、ポジションラベル46eを確認して所定の位置に電子部品供給装置100を設置することで、所望の位置に電子部品供給装置100を設置することができる。
図9は、リア側の部品供給ユニットの他の例の概略構成を示す模式図である。部品供給ユニット14は、複数のラジアルリード型電子部品(ラジアル部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したリード型電子部品のリードを保持位置(第2保持位置)で切断し、当該保持位置にあるリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置100を複数装着することに加え、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズルまたは把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置100aを備えていてもよい。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置100aとしてスティックフィーダやトレイフィーダをリア側バンク46に設置してもよい。図9に示す複数の部品供給装置100、100aは、支持台(バンク)102に保持される。支持台102は、上述したリア側バンク46と同様の構成である。また、支持台102は、部品供給装置100、100aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14は、支持台102に保持されている複数の部品供給装置100、100aが、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構または供給機構が異なる複数種類の部品供給装置100、100aで構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の部品供給装置100、100aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
電子部品供給装置100aは、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置100aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置100aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、テープフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品(ボウルフィーダユニットに保持されたリード型電子部品、または部品供給ユニット14rに保持された電子部品(電子部品供給装置100に保持されたラジアルリード型電子部品(リード型電子部品、挿入型電子部品)、をノズルで保持(吸着または把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置100aを備えている場合、電子部品供給装置100aに保持されたチップ電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ電子部品(搭載型電子部品)とは、基板の形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板に実装される。
XY移動機構16は、ヘッド15を図1、図2中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置にある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引または把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスであり、キーボード40a、マウス40bと、タッチパネル42aと、を有する。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面であり、タッチパネル42aとビジョンモニタ42bとを有する。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像をタッチパネル42aとビジョンモニタ42bとに表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッドを1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッドを設けてもよい。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッドをそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッドを独立して移動させることができる。電子部品実装装置10は、2つのヘッドを備えることで、1つの基板8に対して、交互に電子部品を搭載することができる。このように、2つのヘッドで交互に電子部品を搭載することで、一方のヘッドが電子部品を基板8に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品を保持することができる。これにより、基板8に電子部品が搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品を搭載することができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板を交互に電子部品搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板に電子部品を搭載することができる。
次に、図10及び図11を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図10は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図11は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図10には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置100もあわせて示す。ヘッド15は、図10及び図11に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部)38と、を有する。
電子部品実装装置10は、図10に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置100は、電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)にリードが保持された電子部品80の本体が上方に露出している。なお、電子部品80としては、アルミ電解コンデンサが例示される。なお、電子部品80として、アルミ電解コンデンサの他にも、リードを有する各種電子部品を用いることができる。電子部品供給装置100は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品実装装置100のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置100の構成については後述する。また、電子部品供給装置100aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図11に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図11に示すノズル32は、いずれも電子部品を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口33を有し、この開口33から空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。なお、ノズル32は、開口33が形成され電子部品80を吸着する先端部に連結されたシャフト32aを有する。シャフト32aは、先端部を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト32aは、内部に開口33とノズル駆動部34の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板の表面に対して直交する方向となる。また、ノズル駆動部34は、電子部品の実装時等にノズル32をθ方向に回転させる。θ方向とは、すなわち、Z軸駆動部がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、ノズル32の回動方向となる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、直動リニアモータでノズル32のシャフト32aをZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口33をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト32aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト32aに伝達し、シャフト32aをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口33で電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口33と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口33から空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口33から空気を吸引することで開口33に電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口33から空気を吸引しないことで開口33に吸着していた電子部品80を開放する、つまり開口33で電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)33で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引開放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品の本体を上方から把持開放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品の高さを検出する。なお、電子部品との距離の測定結果に基づいて電子部品の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図10に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置100側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。レーザ認識装置38による形状の認識処理については後述する。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図10に示すように、制御装置20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、ヘッド制御部62や部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品の吸着(保持)/開放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、部品供給装置100、ボウルフィーダユニット400毎に設けても、1つですべての部品供給装置100、ボウルフィーダユニット400を制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、部品供給装置100による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給制御部64は、ボウルフィーダユニット400による部品の供給動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給ユニット14fが部品供給装置100aを備えている場合、部品供給装置100aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープまたは電子部品保持テープの移動を制御する。
次に、図12から図24を用いて部品供給装置100について説明する。部品供給装置100は、上述したようにラジアルリード型電子部品を保持位置に供給するラジアルフィーダである。まず、図12及び図13を用いて、電子部品保持テープについて説明する。図12は、電子部品保持テープの一例の概略構成を示す模式図である。図13は、電子部品保持テープの他の例の概略構成を示す模式図である。
図12に示す電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)70は、テープ本体72と、テープ本体72に保持される複数の電子部品(ラジアルリード型電子部品、ラジアルリード部品)80と、を有する。テープ本体72は、第1テープ74と第1テープ74よりも幅の細い第2テープ76とが貼り合わされている。また、テープ本体72は、延在方向に一定間隔で送り穴としての穴78が形成されている。つまり、テープ本体72は、複数の穴78が延在方向に列状に形成されている。
電子部品80は、電子部品本体(以下単に「本体」という。)82と、本体82のラジアル方向に配置された2本のリード84と、を有する。電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ、固定されている。これにより、電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ固定されることで、テープ本体72の所定位置に固定される。また、複数の電子部品80は、2本のリード84の間に穴78が配置され、テープ本体72の穴78が形成されている位置に、それぞれ固定されている。つまり、電子部品80は、穴78と同じ送りピッチPの間隔で、かつテープの延在方向における位置が同じ位置に配置されている。なお、電子部品80は、テープ本体72の第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれるリード線を有した形状であればよく、リード線及び本体の形状、種類は特に限定されない。
次に、図13に示す電子部品保持テープ70aは、テープ本体72と、テープ本体72に保持される複数の電子部品(ラジアルリード型電子部品)80と、を有する。なお、電子部品保持テープ70aは、電子部品80と、穴78との相対位置関係が異なるのみで、他の構成は、電子部品保持テープ70と同様である。電子部品保持テープ70aは、電子部品80の2本のリード84が、テープ本体72の穴78と穴78との間に配置されている。つまり、電子部品80は、穴78と同じ送りピッチPの間隔で、かつテープの延在方向における位置が配置間隔の半分ずれた位置に配置されている。つまり、電子部品80は、穴78に対して半ピッチ分ずれた位置に配置されている。
電子部品保持テープは、図12と図13に示すように、テープの延在方向における穴78と電子部品80との相対位置関係が異なるものがある。
次に、図14は、リア側の部品供給ユニットの電子部品供給装置の概略構成を示す斜視図である。図15は、図14に示す電子部品供給装置を図14とは異なる方向から見た斜視図である。図16は、部品供給ユニットの電子部品供給装置の概略構成を示す説明図である。電子部品供給装置(部品供給装置)100は、図14から図16に示すように、他の各部を保持し、電子部品保持テープを案内する筐体110と、リア側バンク46と連結されるクランプユニット112と、電子部品保持テープを搬送するフィードユニット114と、電子部品保持テープに保持されている電子部品のリードを切断するカットユニット116と、フィードユニット114の駆動部とカットユニット116の駆動部の空気圧を調整し、各部の駆動を制御する空気圧調整部118と、を有する。
筐体110は、縦に細長い中空の箱であり、クランプユニット112とフィードユニット114とカットユニット116と空気圧調整部118とを内部に保持する。筐体110は、案内溝120と、ガイド部122と、排出部126と、把持部128と、突起部129と、が設けられている。案内溝120は、筐体110の鉛直方向上側の細長い面の長手方向に沿って形成された2本の直線の一方の端部が連結した形状である。つまり、案内溝120は、筐体110の一方の端部から他方の端部近傍まで延び、他方の端部近傍で折り返し、一方の端部まで延びるU字形状で形成されている。案内溝120は、電子部品保持テープを案内する溝であり、U字形状の一方の端部(供給側の端部)から電子部品保持テープが供給される。案内溝120は供給された電子部品保持テープをU字形状に沿って移動させ、U字形状の一方の端部(排出側の端部)から排出する。また、案内溝120は、テープ本体72が筐体110の内部にあり、電子部品が筐体110の外部に露出した状態で電子部品保持テープを案内する。
ガイド部122は、案内溝120の供給側の端部と連結されており、電子部品が保持された状態の電子部品保持テープを案内溝120に案内する。排出部126は、案内溝120の排出側の端部と連結されており、筐体110内を移動して電子部品をヘッド15に供給した部分が電子部品保持テープを排出する。把持部128は、電子部品供給装置100の搬送時等に、オペレータが持つ部分である。突起部129は、上述したリア側バンク46の第1フィクシングプレート46aの穴に挿入される突起である。
次に、図14から図16に加え、図17を用いてクランプユニットについて説明する。ここで、図17は、電子部品供給装置のクランプユニットの概略構成を示す説明図である。クランプユニット112は、リア側バンク46と連結される機構である。クランプユニット112は、連結部132と、伝達部134と、弾性部136と、レバー138と、を有する。
連結部132は、リア側バンク46との連結時にリア側バンク46と接する部分であり、筐体110の外に露出している。なお、連結部132は、筐体110の案内溝120が形成されている面とは反対側の面に配置されている。連結部132は、鉛直方向下側に端部に噛みこみ部133が設けられている。噛みこみ部133は、リア側バンク46のロックシャフト46cと連結する。伝達部134は、連結部132の噛みこみ部133と弾性部136とレバー138と連結されており、レバー138、弾性部136から付与される力を連結部132に伝達する。弾性部136は、一方の端部が筐体110に固定され、他方の端部が伝達部134に固定されている。弾性部136は、バネ等の部材であり、伝達部134を、筐体110に固定されている側に引っ張る力を付与する。これにより、伝達部134は、弾性部136が連結している部分が所定方向に引っ張られている状態である。レバー138は、一方の端部が筐体110の外に露出しており、他方の端部が伝達部134に連結されている。レバー138は、固定軸139が筐体110に固定されている。これにより、レバー138は、筐体110の外部に露出している一方の端部がオペレータにより、操作されると、固定軸139を軸として、伝達部134に連結されている側の端部が移動する。これにより伝達部134が移動し、連結部132に所定の力が作用し、噛みこみ部133が動かされる。クランプユニット112は、以上の構成であり、オペレータによるレバー138の操作で、噛みこみ部133がリア側バンク46のロックシャフト46cと連結しリア側バンク46に固定されている状態と、噛みこみ部133がロックシャフト46cと連結せずに開放されている状態と、が切り換えられる。
次に、図14から図16に加え、図18から図21を用いてフィードユニットについて説明する。ここで、図18は、電子部品供給装置のフィードユニットの概略構成を示す説明図である。図19は、フィードユニットの先端支持部の概略構成を示す説明図である。図20は、フィードユニットのテープ送り爪ユニットの概略構成を示す説明図である。図21は、フィードユニットの動作を説明するための説明図である。フィードユニット114は、電子部品保持テープを搬送する、つまり案内溝120に沿って案内される電子部品保持テープを移動させる機構である。フィードユニット114は、支持部142と、駆動部144と、先端支持部146と、テープ送り爪ユニット148と、を有する。また、本実施形態では、先端支持部146とテープ送り爪ユニット148とは、テープ送り爪ユニット148と筐体110との相対位置を調整する位置調整機構となる。
支持部142は、筐体110に固定された部材であり、駆動部144を支持している。駆動部144は、固定部144aと可動部144bとを有する。駆動部144は、空気圧により可動部144bの固定部144aから露出している部分を伸縮させるエアシリンダである。駆動部144は、可動部144bの先端を案内溝120の直線部の延びている方向に所定の距離範囲で少なくとも送りピッチに相当して往復移動させる。つまり、駆動部144は、可動部144bの先端を少なくともテープの送りピッチ(穴78のピッチP)に相当する距離、往復移動させる。先端支持部146は、駆動部144の可動部144bの先端に固定されている。先端支持部146は、可動部144bが往復移動すると一体となって往復移動する。また、先端支持部146は、図19に示すように、鉛直方向上側の面であり、テープ送り爪ユニット148と連結する部分にねじ穴149a、149b、149c、149dの4つのねじ穴を備える。この4つのねじ穴149a、149b、149c、149dは、テープ送り方向の位置が異なる4か所に形成されている。ここで、先端支持部146は、ねじ穴149aとねじ穴149bとの距離が、上述したテープ本体72の穴78のピッチPの半分の距離となる。つまり、ねじ穴149aとねじ穴149bとは、穴78の配置間隔の半ピッチ分、ずれた位置に形成されている。また、先端支持部146は、ねじ穴149cとねじ穴149dとの距離が、上述したテープ本体72の穴78のピッチPの半分の距離となる。つまり、ねじ穴149cとねじ穴149dとは、穴78の配置間隔の半ピッチ分、ずれた位置に形成されている。
テープ送り爪ユニット148は、先端支持部146に固定されている。テープ送り爪ユニット148は、取付台150と、送り爪152と、ピン154と、バネ156と、を有する。取付台150は、送り爪152と、ピン154と、バネ156と、を支持する土台である。取付台150は、テープ送り方向に直交する断面がL字となる、折れ曲がった板形状であり、鉛直方向上側の一部が筐体110から露出している。取付台150は、露出している部分にオペレータが持つことができる把持部158が設けられている。オペレータは、必要に応じて把持部158を持って操作を行うことで、テープ送り爪ユニット148をテープ送り方向に移動させることができる。取付台150は、先端支持部146と接する部材であり、2つの固定ねじ159により先端支持部146に固定されている。ここで、取付台150は、2つの固定ねじ159が挿入される穴の間隔が、ねじ穴149aとねじ穴149cとの間隔及びねじ穴149bとねじ穴149dとの間隔と同じとなる。つまり、先端支持部146は、テープ送り爪ユニット148の取付台150に挿入される固定ねじ(ねじ)159の配置ピッチと同じねじ穴の組合せを、テープ送り方向の異なる位置に複数有する。これにより、取付台150は、固定ねじ159を挿入するねじ穴を切り換えることで、取付台150と先端支持部146との相対位置を半ピッチ分ずらすことができる。
送り爪152は、棒状の部材の一方の端部に突出した凸部152aを備える部材である。送り爪152は、電子部品保持テープ(以下、単に「テープ」ともいう。)70のテープ本体72の穴に対面する位置に配置されており、凸部152aは、テープ送り方向において送り方向下流側(送り方向の前側)の面152bが送り方向に直交する面となり、テープ送り方向において送り方向上流側(送り方向の後ろ側)の面152cが送り方向に直交する面に対して傾斜した面となり、テープ70に近づくに従って、送り方向の幅が狭くなる形状である。送り爪152は、凸部152aと対面する位置に穴78がある場合、図20に示すように凸部152aが穴78に挿入した状態となる。ピン154は、送り爪152の凸部152aが形成されていない側の端部を紙面に平行な方向に回転可能に支持している。バネ156は、一方の端部が取付台150の突出面150aに固定され、他方の端部が送り爪152に固定されている。バネ156は、送り爪152の凸部152aが穴78以外の部分と対面している場合、送り爪152をテープ側に押し付ける。
次に、図21を用いて、フィードユニット114のテープ送り動作を説明する。なお、図21に示す例(ステップS1〜S4)は、テープ本体72に形成される穴を、テープ送り方向の下流側(先に筐体110に供給され、先に筐体110から排出される側)から順に78、78a、78b、78cとする。ステップS1は、送り爪152の凸部152aがテープ本体72の穴78aに挿入されている。フィードユニット114は、ステップS1に示すように凸部152aが穴78aに挿入されている状態で、駆動部144を駆動し、テープ送り方向にテープ本体72の穴の1ピッチ分、テープ送り爪ユニット148を移動させる。
フィードユニット114は、ステップS1の状態でテープ送り爪ユニット148をテープ送り方向に送ると、凸部152aの送り方向に直交する面により、穴78aがテープ送り方向に押され、ステップS2に示すように、テープ送り爪ユニット148とテープ本体72とがともにテープ送り方向に移動される。フィードユニット114は、テープ本体72をテープ送り方向に移動させることで、テープの電子部品を保持位置に移動させる。
フィードユニット114は、テープ送り爪ユニット148へのテープ送り方向の移動が完了(ステップS2)するとテープ本体72に保持される先端の電子部品が保持位置となり待機する。このとき保持位置(保持領域)にある電子部品は、後述するように電子部品本体をクランプしてカッタによりリードが切断される。次に電子部品実装装置側で所定の処理が実行されると駆動指令が発信される。例えば、テープが保持していた前記保持位置の電子部品がヘッドの吸着ノズルで吸着または把持ノズルで把持されたら、電子部品供給装置にクランプ開放指令が送られ、電子部品供給装置により電子部品のクランプが開放される。その後、ノズルに保持された電子部品がノズル上昇により引き上げられたら、フィードユニット114に駆動指令が発信される。フィードユニット114は、駆動指令が発信されたら、駆動部144を駆動し、テープ送り方向とは反対方向にテープ本体72の穴の1ピッチ分、テープ送り爪ユニット148を移動させる。フィードユニット114は、ステップS2の状態でテープ送り爪ユニット148をテープ送り方向とは反対側に送ると、凸部152aの傾斜している面が穴78aと接し、傾斜に沿って凸部152aが穴78aから抜ける方向に移動する。これにより、フィードユニット114は、ステップS3に示すように、凸部152aが穴78aから外れて(ステップS3)、テープは移動せず、テープ送り爪ユニット148が、テープ送り方向とは反対側に移動する。
その後、フィードユニット114は、ステップS2に示す状態から、テープ送り方向とは反対方向にテープ本体72の穴の1ピッチ分、テープ送り爪ユニット148を移動させると、ステップS4に示すように、凸部152aが穴78aよりも1ピッチ分上流側にある穴78bに挿入された状態となる。このとき、送り爪152は、バネ156により穴78bの方向に押されるため、的確に凸部152aが穴78bに差し込まれる。その後、駆動部144は直ちにテープ送り方向に駆動されテープ本体72に保持される次の電子部品が保持位置に移送される。
フィードユニット114は、このように、駆動部144によりテープ送り爪ユニット148をテープ本体72の穴の1ピッチ分、送り方向に往復運動させることで、テープを1ピッチ分送り方向に順次移動させることができる。
次に、図14から図16に加え、図22から図24を用いてカットユニットについて説明する。図22は、電子部品供給装置のカットユニットの概略構成を示す説明図である。図23は、電子部品供給装置のカットユニットの概略構成を示す説明図である。図24は、電子部品供給装置のカットユニットの概略構成を示す説明図である。カットユニット116は、電子部品保持テープに保持されている電子部品のリードを切断する。また、カットユニット116は、リードを切断した電子部品を、電子部品がノズルによって吸着(保持)されるまで、クランプ、つまり保持する。カットユニット116は、支持部162と、駆動部164と、伝達部166と、切断部168と、カバー169と、を有する。
支持部162は、筐体110に固定された部材であり、駆動部164と伝達部166とを支持している。また、支持部162は、伝達部166を介して切断部168を支持している。駆動部164は、固定部164aと可動部164bとを有する。駆動部164は、空気圧により可動部164bの固定部164aから露出している部分を伸縮させるエアシリンダである。駆動部164は、可動部164bの先端を案内溝120の直線部の延びている方向に所定の距離範囲で往復移動させる。伝達部166は、可動部164bの往復移動により生じる動力を切断部168に伝達する伝達機構である。伝達部166は、可動部164bのテープ送り方向への往復移動をテープ送り方向に直交する方向の運動に変換し、切断部168をテープ送り方向と直交する方向に移動させる。伝達部166は、テープの通過領域を挟んで配置された先端部166aと先端部166bとが互いに近づく方向または互いに遠ざかる方向、つまり矢印170に示す方向に移動する。本実施形態の伝達部166は、駆動部164の可動部164bが伸びる方向に移動した場合、先端部166aと先端部166bとが互いに近づく方向に移動する。伝達部166は、駆動部164の可動部164bが縮む方向に移動した場合、先端部166aと先端部166bとを互いに遠ざかる方向に移動する。
切断部168は、保持領域に配置されており、保持領域に配置された電子部品の本体を保持し、その後、電子部品のリードを本体とテープ本体との間で切断し、その後、電子部品を保持した状態を維持する。切断部168は、第1刃部168aと、第2刃部168bと、を有する。切断部168は、第1刃部168aと第2刃部168bとが互いに対面する位置に配置されている。また、テープは、第1刃部168aと第2刃部168bとの間に配置されており、テープに保持された電子部品のリードが第1刃部168aと第2刃部168bとに挟まれた位置を通過する。第1刃部168aは、図24に示すように、伝達部166の先端部166aと連結されており、先端部166aが第2刃部168b側に移動すると、先端部166aとともに第2刃部168b側に移動する。第2刃部168bは、図24に示すように、伝達部166の先端部166bと連結されており、先端部166bが第1刃部168a側に移動すると、先端部166bとともに第1刃部168a側に移動する。また、第1刃部168aは、先端部166aとバネを介して連結しており、先端部166aにより第2刃部168b側に押し付けられる。
カバー169は、筐体110に固定されている部材である。カバー169は、第1刃部168aの周囲に配置され、第1刃部168aの第2刃部168bと接触する面が開口となっている。また、カバー169は、バネを介して先端部166aと接しており、先端部166aを第2刃部168bから離れる側に押している。これにより、先端部166aは、第2刃部168b側に押し付けられていない場合、第1刃部168aに第2刃部68bから離れる方向の力を付与することができる。
カットユニット116は、以上のような構成であり、駆動部164により、切断部168の可動側の第1刃部168aと固定側の第2刃部168bとを近づけて、電子部品の本体の側方を支持し、さらに切断部168の可動側の第1刃部168aと固定側の第2刃部168bとを近づけて、接触させることで、可動側の第1刃部168aと固定側の第2刃部168bとの間に配置されているリードを切断することができる。また、カットユニット116は、リードの切断後、第1刃部168aと第2刃部168bとが接触している状態を維持することで、テープ本体から切り離された電子部品の本体の側方を支持することができる。つまり、リードを切断し、テープ本体から分離した電子部品をクランプすることができる。なお、カットユニット116は、電子部品のリードを切断する機構と、切断した電子部品(電子部品の本体)をクランプ(支持)する機構と、を別々の機構としてもよい。
ここで、カットユニット116が切断するリードの切断位置について説明する。従来の基板挿入用のリード型電子部品専用ヘッドを備えた実装装置では、リードを固定するテープに近いリード先端側で切断し、非常に長いリードを基板に挿入していた。これは、従来の実装装置は、ヘッド側にリード切断部とリード把持部を備え、リード把持部でリードの根元を把持してからその下方を切断(仮切断)していたために切断したリードが長くなるためである。また、従来の実装装置は、挿入穴にリード挿入するときにガイドピンに案内して挿入するためリードが長くても基板挿入に差し支えなかったためである。また、従来の実装装置は、基板裏面でリードを必要な長さに切断(本切断)して折り曲げするリード折り曲げ装置で後処理を実行するために前記部品テープからリードを切り離すための仮切断時は長くしておく必要があったためである。
これに対して、カットユニット116は、ラジアルリード型電子部品のリードの切断長さを、基板の厚みと同等の長さ又は基板の裏側に突出するリードが半田不良にならず、かつ、基板の厚みに対応した長さである所定長さとする。所定長さは、例えば、基板の挿入穴とほぼ同じ長さである。より具体的には、基板の挿入穴の長さに対して0mm以上3mm以下長い長さである。このように、従来のようにヘッドで部品を仮切断するのではなく部品供給装置で始めから所定の長さに短く切断する構成とすることで、次のような効果をえることができる。
電子部品実装装置10は、カットユニット116が、リードを短く切断することで、部品供給装置100の保持位置にある電子部品の本体をノズルで保持したときのリード間隔の安定性を向上させることができ、リードが挿入穴に挿入できる部品を多くすることができ、非常に効率よくかつ高い精度で実装できる。
また、従来の実装装置は、予め挿入穴に充填または塗布した半田ペーストに対して長いリードを挿入すると半田ペーストのほとんどがリード先端側に押し出されてしまい、リフロー半田付け時に溶けた半田が挿入穴とリードとの細い隙間に上昇できず半田付けが不良になることがある。これに対して、電子部品実装装置10は、カットユニット116が、リードを短く切断することで前記隙間に溶けた半田が上昇して隙間なく半田が満たされる最良の半田付けができる。さらにこのとき搭載型電子部品も基板上面に塗布した半田ペーストに搭載しておくことで、リード型電子部品と搭載型電子部品を一度のリフロー半田付け工程によって同時に行うことができる効果も生じる。言い換えると、予め挿入穴に充填または塗布した半田ペーストに対して長すぎるリードを挿入すると半田ペーストのほとんどがリード先端側に押し出されてしまい、リフロー半田付け時に溶けた半田が基板に上昇できず、つまり半田が基板に到達できず半田付けが不良になることがある。これに対して、上記構成の電子部品実装装置は、リードを前記所定長さに短く切断することにより、挿入穴を挿通したリードにより挿入穴から押し出された一部の半田は溶けた状態になると前記基板の裏面に上昇して基板裏面の電極と半田付けできる。さらに、挿入穴(基板孔)の内部にも電極がある場合にはリードと基板の内部の電極との隙間に半田が上昇して半田付けできる。このようにして機械的電気的に半田付けができる。
また、所定の長さを基板の厚みと同等の長さとすることで、ラジアルリード型電子部品を基板に実装してもリードが基板(基板の裏面)から突出することを抑制することができる。また、所定長さを、基板の裏側に突出するリードが半田不良にならない長さとすることで、リードを短くしても、リフロー処理でリードを基板の挿入穴に好適に固定することができる。
空気圧調整部118は、フィードユニット114の駆動部144であるエアシリンダと、カットユニット116の駆動部164であるエアシリンダの空気圧を調整し、各部の駆動を制御する。具体的には、空気圧調整部118は、駆動部144の可動部144bの伸び縮み、つまり位置を制御し、送り爪152の位置を制御する。また、空気圧調整部118は、駆動部164の可動部164bの伸び縮み、つまり位置を制御し、切断部168の第1刃部168aと第2刃部168bの位置とを制御する。なお、空気圧調整部118は、部品供給制御部64による制御に基づいて各部の空気圧を制御する。
部品供給装置100は、以上のような構成である。部品供給装置100は、テープ送り爪ユニット148の取付台150を先端支持部146に取り付ける位置をテープ送り方向に複数設け、先端支持部146に対してテープ送り爪ユニット148を設置する位置を切り換えできる構成とすることで、テープ本体の穴と電子部品との相対位置が異なる複数の電子部品保持テープに部品を交換せずに対応することができる。つまり、部品供給装置100は、装填される電子部品保持テープのテープ本体の穴と電子部品との相対位置に基づいて、テープ送り爪ユニット148の取付台150を先端支持部146に取り付ける位置を切り換えることで、いずれの電子部品保持テープの場合でも電子部品を保持位置に移動させることができる。
具体的には、フィードユニット114は、テープ送り爪ユニット148の取付台150を先端支持部146に取り付ける位置を変更することで、駆動部144の可動部144bが往復移動の範囲で最も伸びた状態となる位置における送り爪152の凸部152aの位置を変更することができる。これにより、フィードユニット114は、駆動部144の可動部144bが往復移動の範囲で最も伸びた状態となる位置(送り完了位置、保持位置)としたときに、テープ本体の穴がある位置を種々の位置にすることができる。これにより、フィードユニット114は、穴の位置に対する電子部品の配置位置が異なる電子部品保持テープであっても、可動部144bが往復移動の範囲で最も伸びた状態となったときに、電子部品が保持位置に配置されるようにすることができる。
また、部品供給装置100は、フィードユニット114の可動部144bの往復移動の距離を、テープ本体の穴のピッチよりも長くかつピッチの2倍よりも短くすることが好ましい。これにより、部品供給装置100は、送り爪152の凸部152aを確実に次のピッチの穴に差し込むことができ、送り爪152の一回の往復移動で、テープを1ピッチ分送ることができる。また、部品供給装置100は、搬送対象のテープの穴のピッチが複数種類ある場合、フィードユニット114の可動部144bの往復移動の距離を、穴のピッチが最も長い穴よりも長くし、穴のピッチが最も短いテープのピッチの2倍よりも短くすることが好ましい。これにより、部品供給装置100は、テープのピッチがいずれの種類の場合でも、送り爪152の凸部152aを確実に次のピッチの穴に差し込むことができ、送り爪の一回の往復移動で、テープを1ピッチ分送ることができる。つまり、部品供給装置100は、往復移動の距離を変更したり、部品の交換をしたりすることなく、複数種類のピッチのテープを1ピッチずつ送ることができる。
ここで、上記実施形態のフィードユニット114は、先端支持部146に対してテープ送り爪ユニット148を取り付ける位置を2箇所で選択可能としたが、数はこれに限定されない。フィードユニット114は、先端支持部146に対してテープ送り爪ユニット148を取り付ける位置の選択可能な位置を増加させることでより多くの種類の電子部品保持テープに対応することができる。また、フィードユニット114は、先端支持部146に対してテープ送り爪ユニット148を取り付ける位置をリニアに調整可能としてもよい。例えば、先端支持部146またはテープ送り爪ユニット148のいずれか一方のねじ穴をテープ送り方向に伸びた長穴形状とすることで、先端支持部146とテープ送り爪ユニット148とのテープ送り方向における相対位置を種々の位置とすることができるようにしてもよい。この場合、先端支持部146とテープ送り爪ユニット148とのテープ送り方向における相対位置は、テープの穴の1ピッチ分の範囲で調整可能とすることが好ましい。これにより、フィードユニット114は、相対位置を任意に調整することができ、相対位置の微調整も可能となる。
また、上記実施形態のフィードユニット114は、先端支持部146とテープ送り爪ユニット148とを位置調整機構とし、先端支持部146とテープ送り爪ユニット148との相対位置を変更することで、テープを送り終わった状態、つまり可動部144bが往復移動範囲の中で最も伸びた状態のときの送り爪152の凸部152aの位置を変更可能な構成(筐体110とテープ送り爪ユニット148との相対位置を調整可能)としたが、これに限定されない。フィードユニットは、筐体とテープ送り爪ユニットとの相対位置を調整可能な種々の機構を位置調整機構として用いることができる。例えば、部品供給装置は、筐体とフィードユニットとのテープ送り方向における相対位置を調整可能とすることで、テープを送り終わった状態、つまり可動部144bが往復移動範囲の中で最も伸びた状態のときの送り爪152の凸部152aの位置を変更可能な構成としてもよい。つまり、フィードユニットは、フィードユニットと筐体との連結部に位置調整機構を設けてもよい。
次に、ラジアルフィーダとなる電子部品供給装置の各種変形例について説明する。図25は、カットユニットの他の例の概略構成を示す斜視図である。図26は、図25に示すカットユニットを他の方向から見た概略構成を示す斜視図である。図27は、図25に示すカットユニットと筐体との関係を示す斜視図である。図28は、カットユニットの他の例の概略構成を示す斜視図である。図29は、図25に示すカットユニットの動作を説明するための説明図である。図30は、図25に示すカットユニットの動作を説明するための説明図である。なお、図25から図30に示すカットユニット116aは、基本的な構成は、カットユニット116と同様である。以下、カットユニット116aに特有の点について説明する。
カットユニット116aは、電子部品保持テープに保持されている電子部品のリードを切断する。また、カットユニット116aは、リードを切断した電子部品を、電子部品がノズル32(吸着ノズルまたは把持ノズル)によって吸着または把持(保持)されるまで、クランプ、つまり保持する。カットユニット116aは、支持部162と、駆動部164と、伝達部172と、切断部174と、カバーと、を有する。
伝達部172は、可動部164bの往復移動により生じる動力を切断部174に伝達する伝達機構である。伝達部172は、可動部164bのテープ送り方向への往復移動をテープ送り方向に直交する方向の運動に変換し、切断部174をテープ送り方向と直交する方向に移動させる。伝達部172は、テープの通過領域を挟んで配置された固定子175と、可動子176とで構成される。伝達部172は、切断部174の可動子176に連結されている第1ユニット174aを、切断部174の固定子175に連結されている第2ユニット174bに近づける方向または遠ざかる方向に移動する。つまり、本実施形態の伝達部172は、図29に示すように、駆動部164の可動部164bが伸びる方向に移動した場合、可動子176が固定子175に近づく方向に移動する。伝達部172は、駆動部164の可動部164bが縮む方向に移動した場合、可動子176が固定子175から遠ざかる方向に移動する。このように、カットユニット116aは、切断部174の2つのユニットのうち一方のみが移動する構成である。
切断部174は、保持領域に配置されており、保持領域に配置された電子部品のリードを本体とテープ本体との間で切断し、保持する。切断部174は、電子部品80の本体とリードの両方を保持し、その後リードを切断し、リードを切断した後も、本体とリードを保持した状態を維持する。切断部174は、第1ユニット174aと、第2ユニット174bとを、有する。第1ユニット174aは、第1刃178aと、第1本体保持部179aと第1リード保持部180aと、を有する。第1刃178aと第2刃178bとが切断機構178となり、第1本体保持部179aと第2本体保持部179bとが本体保持機構179となり、第1リード保持部180aと第2リード保持部180bとがリード保持機構180となる。切断部174は、図30に示すように、鉛直方向上側から本体保持機構179、リード保持機構180、切断機構178の順番で配置されている。
第1ユニット174aの各部と第2ユニット174bの各部とは、互いに対面する位置に配置されている。また、テープは、第1ユニット174aと第2ユニット174bとの間に配置されており、テープに保持された電子部品のリードが切断機構178とリード保持機構180に挟まれ、電子部品の本体が本体保持機構179に挟まれた位置を通過する。
切断部174は、第1ユニット174aが可動子176に支持されており、可動子176とともに第2ユニット174bに近づく方向、遠ざかる方向(図30中矢印方向)に移動する。切断部174は、第1ユニット174aが第2ユニット174bに近づく方向に移動すると、本体保持機構179が電子部品80の本体を保持し、リード保持機構180が電子部品80のリードを保持した状態となる。その後、切断部174は、第1ユニット174aが第2ユニット174bにさらに近づく方向に移動すると、切断機構178の第1刃178aと第2刃178bとが交差し、リードを切断する。なお、図30では、第1刃178aと第2刃178bとが重なっているように見えるが、第1刃178aと第2刃178bとは、紙面前後方向における紙面左右方向の位置が異なる(搬送方向に対して斜めになっている)ため、実際には、接触していない。
カットユニット116aは、電子部品80を保持するクランプ機構(本体保持機構179、リード保持機構180)と、リード84を切断する切断機構178とを1つの駆動部164を駆動源として、伝達部172で連動して動かす。これにより、カットユニット116aは、簡単な構成で、電子部品80の保持とリードの切断を実行することができる。この点は、カットユニット116も同様である。
また、カットユニット116aは、本体保持機構179で電子部品80の本体82を保持することで、リード84を切断した後も適切に電子部品80を保持することができる。これにより、リード84を切断した後の電子部品80を適切に保持することができ、ノズル32で電子部品80を保持しやすくすることができる。この点は、カットユニット116も同様である。
また、カットユニット116aは、リード84を切断する前にクランプ機構で電子部品80を保持することで、特に電子部品80の本体82を保持することで、電子部品80を安定した位置に保持した状態でリード84を切断することができる。これにより、リード84を適切に切断することができる。また、カットユニット116aは、リード84を切断する前にクランプ機構で電子部品80を保持することで、リード84をカットした電子部品が保持位置から外れてしまうことや落下してしまうことを抑制することができる。
カットユニット116aは、本体82に加え、リード84を保持することで、切断時にリード84の位置を規制することができ、より適切にリード84を切断することができる。また、リード保持機構180で本体側のリード84を保持することで切断時に生じる本体側のリード84の変形を低減することができる。
カットユニット116aは、伝達部172の一方を固定子175とすることで、装置の機構を簡単にすることができる。また、カットユニット116aで保持する電子部品の保持位置を安定した位置とすることができ、ヘッド15の操作を簡単にすることができる。カットユニット116aは、本体保持機構179と、リード保持機構180の両方を備えることが好ましいが、いずれか一方のみとしてもよい。
ここで、カットユニット116aは、図27に示すように筐体110aに形成された鉛直方向が長手となる長穴181、184にボルト182、185を挿入して固定している。これにより、カットユニット116aは、鉛直方向の位置を調整することができる。これにより、フィードユニットにより移動されるテープに保持された電子部品に対する鉛直方向の位置を調整することができる。したがって、カットユニット116aは、テープの位置に対してリードを切断する鉛直方向の位置、つまり、ラジアルリード型電子部品に対する切断位置を調整することができる。以上より、カットユニット116aは、切断後のリード線の長さを調整することができる。なお、本実施形態では、ラジアルリード型電子部品に対する切断位置を調整する機構を調整方向が長手となる長穴と、長穴に対する位置を固定するボルトとの組み合わせとしたが位置調整機構はこれに限定されない。電子部品供給装置は、カットユニット116aのZ軸方向の位置、より具体的には、切断機構のZ軸方向の位置を保持領域の電子部品保持テープに対して調整可能な機構であればよい。
また、カットユニット116aは、筐体110aの外側に露出したレバー188を有する。レバー188は、伝達部172の直動部分に連結されている。これにより、カットユニット116aは、レバー188を矢印方向に移動させることで、切断部174で電子部品の切断動作を実行させることができる。つまり、レバー188を矢印方向に移動させることで、駆動部164で伝達部172を直動方向に移動させるのと同じ動作を実行させることができる。これにより、例えば、カットユニット116aの位置調整を実行する場合に、電子部品実装装置10の制御装置20で駆動部164を駆動させなくても、電子部品のリードを切断することができる。また、駆動部164に空気圧や電力を供給していない状態でも、電子部品のリードを切断することができる。
なお、電子部品供給装置100は、駆動部164を駆動させるための操作部を筐体110aに設けてもよい。これにより、電子部品供給装置100は、制御装置20で操作をしなくても、カットユニット116aによる電子部品のリードの切断動作を実行することができる。なお、この場合、駆動部164に駆動力(空気圧または電力)を供給する必要はある。
図31Aは、カットユニットの保持機構の概略構成を示す説明図である。図31Bは、カットユニットの保持機構の他の例の概略構成を示す説明図である。カットユニット116aの第2本体保持部179bは、図31Aに示すように、伝達部172の固定子175に固定されるボルトが挿入される2つの穴190を備えるブロックである。第2本体保持部179bは、2つの穴190をつなげた線に平行な面が、穴190からの距離が異なる4つの面で構成される。第1面191aは、穴190との距離が矢印192aとなる。第2面191bは、穴190との距離が矢印192bとなる。第3面191cは、穴190との距離が矢印192cとなる。第4面191dは、穴190との距離が矢印192dとなる。矢印192aと矢印192bと矢印192cと矢印192dとはいずれも長さが異なる。カットユニット116aは、第2本体保持部179bを固定子175に固定する際に、第2本体保持部179bの向きを替える(上下反転、左右反転させる)ことで、第1本体保持部179aと対面する面を、第1面191aとするか、第2面191bとするか、第3面191cとするか、第4面191dとするかを切り換えることができる。ここで、穴190を固定するボルトの位置は固定であるため、第1本体保持部179aと対面する面を切り換えることで、第2本体保持部179bの第1本体保持部179aと対面する面と、第1本体保持部179aとの距離を替えることができる。
これにより、カットユニット116aは、リードの切断動作時の第2本体保持部179bと第1本体保持部179aとの距離を4種類に変更することができ、電子部品供給装置100で供給する電子部品の種類によって、第2本体保持部179bと第1本体保持部179aとの距離を適宜調整することができる。
図31Bに示す第2本体保持部195は、八角形の柱形状であり、第1本体保持部179aが平坦な1つの面となる。第2本体保持部195は、ボルトが挿入される穴196が形成されている。穴196は、テープの搬送方向に直交する方向、つまり、カットユニットが移動する方向が長手となる長穴である。第2本体保持部195は、穴196とボルトとの相対位置を調整することで、切断部の動作方向におけるボルトに対する第2本体保持部195の位置を調整することができる。このように、カットユニットは、第2本体保持部195を用いることで、穴196の長手方向の距離の間で、第2本体保持部195の第1本体保持部179aと対面する面と、第1本体保持部179aとの距離を調整することができる。これにより、カットユニットは、より多くの電子部品の本体の幅に対応することができる。例えば、カットユニットは、20種類のリード型電子部品を把持しつつ、リードを切断して、リードをカットした状態で保持位置に供給できるリード型電子部品の種類を20種類とすることができる。
図32は、電子部品供給装置のフィードユニットの他の例の概略構成を示す説明図である。図33は、図32に示すフィードユニットを他の方向から見た概略構成を示す斜視図である。図34は、図32に示すフィードユニットの概略構成を示す正面図である。図35は、図32に示すフィードユニットの概略構成を示す上面図である。図36は、図32に示すフィードユニットの他の状態の概略構成を示す正面図である。図37は、図32に示すフィードユニットの他の状態の概略構成を示す上面図である。なお、図32から図37に示すフィードユニット200は、テープを送り終わった状態、つまり可動部144bが往復移動範囲の中で最も伸びた状態のときの送り爪152の凸部152aの位置を変更可能な構成以外は基本的にフィードユニット114と同様の構成である。
フィードユニット200は、支持部202と、駆動部204と、第1先端支持部206と、テープ送り爪ユニット208と、第2先端支持部209と、戻り方向テープ送り爪ユニット210と、連動機構211と、を有する。駆動部204は、駆動部144と同様の構成である。また、本実施形態の第1先端支持部206とテープ送り爪ユニット208とは、テープ送り方向における位置調整機能を備えていない。また、テープ送り爪ユニット208は、把持部を備えていない。第1先端支持部206と、テープ送り爪ユニット208と、の他の構成は、先端支持部146と、テープ送り爪ユニット148と、同様である。
支持部202は、駆動部204と、第1先端支持部206と、テープ送り爪ユニット208と、戻り方向テープ送り爪ユニット210と、連動機構211と、を直接的または間接的に支持する機構であり、筐体110に固定されている。支持部202は、支持部材222と、2つの突起部230と、2つのねじ232と、2つのねじ236と、を有する。
支持部材222は、筐体110の細長い箱形状の面積が最も広い面に対面する板状部材であり、駆動部204と第1先端支持部206とテープ送り爪ユニット208との一方の面に対面している。支持部材222は、駆動部204の固定部と連結し、固定部を支持している。また、支持部材222は、突起部230を介して筐体110に固定されている。
突起部230は、支持部材222の、テープ送り爪ユニット208等と対面している面とは反対側の面に配置されている。突起部230は、テープ送り爪ユニット208等から離れる方向に突出している。突起部230は、支持部材222のテープ送り方向において所定距離、離れた位置に、2つ配置されている。
2つのねじ232は、それぞれ突起部230の一方の端部(支持部材222と接触する側の端部)に螺合されている。また、ねじ232は、それぞれ支持部材222に形成された長穴222aに挿入されている。支持部材222に形成された長穴222aは、テープ送り方向に伸びた穴である。なお、長穴222aは、ねじ232がテープ送り方向にテープの穴の1ピッチ分の範囲で移動可能な形状である。
2つのねじ236は、それぞれ突起部230の他方の端部に螺合されている。また、ねじ236は、それぞれ筐体110に形成された長穴212に挿入されている。筐体110に形成された長穴212は、テープ送り方向に伸びた穴である。なお長穴212は、ねじ236がテープ送り方向にテープの穴の1ピッチ分の範囲で移動可能な形状である。
また、フィードユニット200は、突起部230に螺合されたねじ232が支持部材222の長穴222aに挿入されている。フィードユニット200は、突起部230とねじ232と支持部材222に形成された長穴222aとの組み合わせが位置調整機構となる。フィードユニット200は、ねじ232を締め、突起部230と支持部材222とを締結することで、フィードユニット200と筐体110のテープ送り方向の相対位置を固定することができる。また、フィードユニット200は、ねじ232を緩めた状態とすることで、長穴222aとねじ232とを相対移動させることができる。これにより、長穴222aが形成された支持部材222をねじ232が挿入された突起部230に対してテープ送り方向に相対移動させることができる。フィードユニット200は、支持部材222と突起部230とを相対移動可能とすることで、フィードユニット200を筐体110に対してテープ送り方向に移動可能な状態とすることができる。これにより、フィードユニット200は、ねじ232を緩めることで、フィードユニット200と筐体110のテープ送り方向の相対位置を調整することができ、ねじ232を締めることでフィードユニット200と筐体110とのテープ送り方向の相対位置を固定することができる。
また、フィードユニット200は、突起部230に螺合されたねじ236が筐体110の長穴212に挿入されている。フィードユニット200は、突起部230とねじ236と筐体110に形成された長穴212との組み合わせが位置調整機構となる。フィードユニット200は、ねじ236を締め、突起部230と筐体110とを締結することで、フィードユニット200と筐体110のテープ送り方向の相対位置を固定することができる。また、フィードユニット200は、ねじ236を緩めた状態とすることで、長穴212とねじ236とを相対移動させることができる。これにより、長穴212が形成された筐体110をねじ236が挿入された突起部230に対してテープ送り方向に相対移動させることができる。フィードユニット200は、筐体110と突起部230とを相対移動可能とすることで、フィードユニット200を筐体110に対してテープ送り方向に移動可能な状態とすることができる。これにより、フィードユニット200は、ねじ236を緩めることで、フィードユニット200と筐体110のテープ送り方向の相対位置を調整することができ、ねじ236を締めることでフィードユニット200と筐体110とのテープ送り方向の相対位置を固定することができる。
フィードユニット200は、フィードユニット200の全体と筐体110とをテープ送り方向に相対移動可能な構成とすることで、部品の交換等を行うことなく、簡単に送り爪のテープ送り方向の位置を調整することができる。また、フィードユニット200は、筐体110の外側からねじ232を緩めるだけで、筐体110に対してフィードユニット200を移動させることができる。これにより、送り爪のテープ送り方向の位置の調整をより簡単に行うことができる。ここで、オペレータは、フィードユニット200と筐体110とをテープ送り方向に相対移動させる際、支持部材222を持って、支持部材222を筐体110に対してテープ送り方向に移動させることで、相対移動させることができる。また、オペレータは、突起部230を持って相対移動させてもよい。また、オペレータは、ねじ236を緩めてフィードユニット200と筐体110とをテープ送り方向に相対移動させる際、緩めたねじ236を持って、ねじ236を長穴212に対して移動させることでもフィードユニット200と筐体110とをテープ送り方向に相対移動させることができる。この場合、ねじ236を持ちやすい形状とすることが好ましい。
また、フィードユニット200は、ねじ232と長穴222aとを組み合わせた機構で、相対位置を移動させる場合、ねじ236で筐体110と突起部230とが固定されている状態とすることが好ましい。また、フィードユニット200は、ねじ236と長穴212とを組み合わせた機構で、相対位置を移動させる場合、ねじ232で支持部材222と突起部230とが固定されている状態とすることが好ましい。
また、フィードユニット200は、位置調整機構として、ねじ232と長穴222aとを組み合わせた機構と、ねじ236と長穴212とを組み合わせた機構、の2つの機構を設け、それぞれでフィードユニット200と筐体110とのテープ送り方向の相対位置を調整可能としたがこれに限定されない。フィードユニット200は、位置調整機構として、突起部230と支持部材222とを固定する部分に設けたねじ232と長穴222aとを組み合わせた機構のみを設けてもよい。また、フィードユニット200は、位置調整機構として、突起部230と筐体110とを固定する部分である、ねじ236と長穴212とを組み合わせた機構のみを設けてもよい。
また、フィードユニット200は、駆動部204により第1先端支持部206をテープ送り方向に往復移動させることで、テープ送り爪ユニット208を、図34及び図35に示す位置と、図36及び図37に示す位置とに往復移動させる。このように、テープ送り爪ユニット208を往復移動させることで、フィードユニット114と同様にテープをテープ送り方向に1ピッチずつ送ることができる。
ここで、本実施形態のフィードユニット200は、上述したように、第2先端支持部209と、戻り方向テープ送り爪ユニット210と、連動機構211と、をさらに有する。以下、図32から図37に加え、図38から図43を用いて、第2先端支持部209と、戻り方向テープ送り爪ユニット210と、連動機構211と、について説明する。図38は、図32に示すフィードユニットの概略構成を示す説明図である。図39は、図32に示すフィードユニットの他の状態の概略構成を示す説明図である。図40は、図32に示すフィードユニットの連動機構の概略構成を示す説明図である。図41は、筐体の他の例の概略構成を示す説明図である。図42は、図32に示すフィードユニットの動作を説明するための説明図である。図43は、図32に示すフィードユニットの動作を説明するための説明図である。図41は、フィードユニット200を説明するために、筐体280を示している。
図38および図39に示すように第2先端支持部209は、筐体110の細長い箱形状の面積が最も広い面に対面する板状部材であり、駆動部204と第1先端支持部206とテープ送り爪ユニット208との他方の面に対面している。つまり、第2先端支持部209と支持部材222とは、駆動部204と第1先端支持部206とテープ送り爪ユニット208とを挟み込む位置に配置されている。第2先端支持部209は、連結部226と、連動機構211とを介して支持部材222に対して固定されている。第2先端支持部209は、後述する戻り方向テープ送り爪ユニット210を支持する機構であり、連結部226で連動機構211に連結されている。第2先端支持部209は、鉛直方向上側の一部が筐体110から露出している。つまり、第2先端支持部209は、鉛直方向上側の一部が、筐体110の案内溝120が形成されている面から筐体110の外に露出している。第2先端支持部209の鉛直方向上側の一部には、把持部228が設けられている。また、支持部材222と第2先端支持部209は、テープ送り方向に移動可能な状態で第1先端支持部206を支持している。
連結部226は、ボルト及びナット等で構成され、第2先端支持部209を連動機構211に固定する。把持部228は、上述したように、第2先端支持部209の鉛直方向上側の一部に設けられている。把持部228は、オペレータが掴むことが可能な部分である。把持部228は、第2先端支持部209をオペレータがテープ送り方向と平行な方向に移動させやすい形状となっている。オペレータは、第2先端支持部209をテープ送り方向と平行な方向に移動させることで、テープ送り爪ユニット208と戻り方向テープ送り爪ユニット210とをテープ送り方向と平行な方向の方向に移動させることができる。
戻り方向テープ送り爪ユニット210は、テープ送り爪ユニット208と基本的に同様の構成である。戻り方向テープ送り爪ユニット210は、支持部202の表面に直交する向きにおいて、テープ送り爪ユニット208よりも離れる位置で、テープ送り爪ユニット208に対面する位置に配置されている。戻り方向テープ送り爪ユニット210は、第2先端支持部209に固定されており、第2先端支持部209とともに直動方向(駆動部204の可動部が移動する方向)に移動する。また、戻り方向テープ送り爪ユニット210は、直動方向における送り爪の向きがテープ送り爪ユニット208とは逆になっている。また、戻り方向テープ送り爪ユニット210は、送り爪の凸部が支持部202側とは反対側に突出している。
連動機構211は、駆動部204から第1先端支持部206に伝達される動力を第2先端支持部209に伝達する機構である。連動機構211は、図40に示すように、第1スライド機構242と、伝達部244と、第2スライド機構246と、を有する。第1スライド機構242は、固定部242aと可動部242bと、を有する。固定部242aは、支持部202に固定されている。可動部242bは、直動方向(駆動部204の可動部が移動する方向)に移動可能な状態で固定部242aに支持されている。可動部242bは、第1先端支持部206に固定されており、第1先端支持部206とともに直動方向に移動する。
伝達部244は、第1スライド機構242から伝達される動力を第2スライド機構246に伝達する動力伝達機構である。伝達部244は、ピンで支持部に固定されたピニオンギヤを有する。
第2スライド機構246は、固定部246aと可動部246bと、を有する。固定部246aは、支持部202に固定されている。可動部246bは、直動方向(駆動部204の可動部が移動する方向)に移動可能な状態で固定部246aに支持されている。可動部246bは、第2先端支持部209に固定されており、第2先端支持部209とともに直動方向に移動する。
連動機構211は、以上のような構成であり、伝達部244は、ピニオンギヤが第1スライド機構242の可動部242bに形成されたギヤ溝及び第2スライド機構246の可動部246bに形成されたギヤ溝にはめ込まれている。つまり、連動機構211は、伝達部244と第1スライド機構242とがラックアンドピニオン機構で連結されており、伝達部244と第2スライド機構246とがラックアンドピニオン機構で連結されている。また、図40に示すように、連動機構211は、伝達部244と第1スライド機構242とが連結する位置と、伝達部244と第2スライド機構246とが連結する位置とが、ピニオンギヤの対面する位置となる。これにより、フィードユニット200は、ピニオンギヤが回転すると、第1スライド機構242と第2スライド機構246とが直動方向において互いに反対となる向きに移動する。
ここで、フィードユニット200が固定される筐体280について説明する。図41に示すように、筐体280は、上述した筐体110と同様の案内溝282が形成されている。案内溝282は、筐体280の鉛直方向上側の細長い面の長手方向に沿って形成された2本の直線部283、285の一方の端部が折り返し部284で連結した形状である。つまり、案内溝282は、直線部283が筐体280の一方の端部から他方の端部近傍まで延び、他方の端部近傍の折り返し部284で折り返し、直線部285が一方の端部まで延びるU字形状で形成されている。案内溝282は、電子部品保持テープを案内する溝であり、U字形状の一方の端部(供給側の端部)から電子部品保持テープが供給される。案内溝282は供給された電子部品保持テープをU字形状に沿って移動させ、U字形状の一方の端部(排出側の端部)から排出する。また、案内溝282は、テープ本体が筐体280の内部にあり、電子部品が筐体280の外部に露出した状態で電子部品保持テープを案内する。筐体280の折り返し部284は、テープの搬送領域の外周側にガイド部286aが配置され、テープの搬送領域の内周側にガイド部286bが配置されている。ガイド部286a、286bは、それぞれ折り返している搬送領域の外周と内周とに沿って折れ曲がった曲面形状となっている。筐体280は、折り返し部284にガイド部286a、286bを設けることで、折り返し部284でテープを適切な方向に移動させることができる。
次に、図42と図43とを用いて、フィードユニット200による電子部品保持テープの送り動作について説明する。図42に示すように、フィードユニット200は、第1先端支持部206にテープ送り爪ユニット208が固定されており、第2先端支持部209に戻り方向テープ送り爪ユニット210が固定されている。
テープ送り爪ユニット208は、送り爪152を備える。送り爪152は、上述したテープ送り爪ユニット148と同様に、棒状の部材の一方の端部に突出した凸部152aを備える部材である。送り爪152は、電子部品保持テープ70のテープ本体の穴に対面する位置に配置されており、凸部152aは、テープ送り方向において送り方向下流側(送り方向の前側)の面152bが送り方向に直交する面となり、テープ送り方向において送り方向上流側(送り方向の後ろ側)の面152cが送り方向に直交する面に対して傾斜した面となり、テープに近づくに従って、送り方向の幅が狭くなる形状である。送り爪152は、凸部152aと対面する位置に穴78がある場合、図42に示すように凸部152aが穴に挿入した状態となる。ここで、テープ送り爪ユニット208は、案内溝282の直線部283にあるテープ70と対面する位置に配置されており、凸部152aが折り返し部284側に配置されている。テープ送り爪ユニット208は、案内溝282の直線部283にあるテープ70を電子部品が吸着される保持領域PPに向けて搬送する。
戻り方向テープ送り爪ユニット210は、送り爪252を備える。送り爪252は、上述したテープ送り爪ユニット208と同様に、棒状の部材の一方の端部に突出した凸部252aを備える部材である。送り爪252は、テープ70のテープ本体の穴に対面する位置に配置されており、凸部252aは、テープ送り方向において送り方向下流側(送り方向の前側)の面252bが送り方向に直交する面となり、テープ送り方向において送り方向上流側(送り方向の後ろ側)の面252cが送り方向に直交する面に対して傾斜した面となり、テープに近づくに従って、送り方向の幅が狭くなる形状である。送り爪252は、凸部252aと対面する位置に穴78がある場合、図42に示すように凸部252aが穴に挿入した状態となる。ここで、戻り方向テープ送り爪ユニット210は、案内溝282の直線部285にあるテープ70と対面する位置に配置されており、凸部252aが折り返し部284側とは反対側に配置されている。つまり、戻り方向テープ送り爪ユニット210は、直動方向においてテープ送り爪ユニット208の送り爪152とは反対側の向きで送り爪252が配置されている。戻り方向テープ送り爪ユニット210は、電子部品が吸着される保持領域PPを通過したテープ70を、案内溝282の直線部285の排出部に向けて搬送する。
次に、図43を用いて、フィードユニット200のテープ送り動作を説明する。ステップS6は、送り爪152の凸部152aがテープ70のテープ本体の穴78に挿入され、送り爪252の凸部がテープ本体の穴に挿入されている。ここで、送り爪152は、テープ送り方向において、保持領域PPよりも上流側(保持領域PP通過前)のテープ70の穴に凸部が挿入されている。送り爪252は、テープ送り方向において、保持領域PPよりも下流側(保持領域PP通過後)で、折り返し部284で折り返されたテープの穴に凸部が挿入されている。フィードユニット200は、ステップS6に示すように送り爪152の凸部が穴に挿入され、送り爪252の凸部が穴に挿入されている状態で、駆動部204を駆動し、テープ送り方向にテープ本体の穴の1ピッチ分、テープ送り爪ユニット208、戻り方向テープ送り爪ユニット210を移動させる。
フィードユニット200は、ステップS6の状態でテープ送り爪ユニット208、戻り方向テープ送り爪ユニット210をテープ送り方向に送ると、送り爪152の凸部の送り方向に直交する面及び送り爪252の凸部の送り方向に直交する面により、穴がテープ送り方向に押され、ステップS7に示すように、テープ送り爪ユニット208とテープとがともにテープ送り方向に移動される。ここで、テープ送り爪ユニット208と戻り方向テープ送り爪ユニット210とは、連動機構211により互いに逆方向に移動される。このように、戻り方向テープ送り爪ユニット210が、テープ送り爪ユニット208とは逆方向に移動されることで、送り爪152、252が挿入されている穴を有するテープを、テープ送り方向、つまり、案内溝282に沿ってガイド部から排出部に向かう方向に搬送することができる。
フィードユニット200は、テープ送り爪ユニット208、戻り方向テープ送り爪ユニット210へのテープ送り方向の移動が完了(ステップS7)するとテープ本体に保持される先端の電子部品が保持位置となり待機する。このとき保持位置(保持領域)PPにある電子部品は、電子部品本体をクランプしてカッタによりリードが切断される。次に電子部品実装装置側で所定の処理、例えば、テープが保持していた保持位置の電子部品をヘッドに供給したら、駆動指令が発信されて駆動部204を駆動し、テープ送り方向とは反対方向にテープ本体72の穴の1ピッチ分、テープ送り爪ユニット208、戻り方向テープ送り爪ユニット210を移動させる。フィードユニット200は、ステップS7の状態でテープ送り爪ユニット208、戻り方向テープ送り爪ユニット210をテープ送り方向とは反対側に送ると、送り爪152、252の凸部の傾斜している面が穴と接し、傾斜に沿って送り爪152、252の凸部が穴から抜ける方向に移動する。これにより、フィードユニット200は、ステップS8に示すように、送り爪152、252の凸部が穴から外れて(ステップS8)、テープは移動せず、テープ送り爪ユニット208、戻り方向テープ送り爪ユニット210が、テープ送り方向とは反対側に移動する。
その後、フィードユニット200は、ステップS7に示す状態から、テープ送り方向とは反対方向にテープ本体72の穴の1ピッチ分、テープ送り爪ユニット208、戻り方向テープ送り爪ユニット210を移動させると、ステップS9に示すように、送り爪152、252の凸部がステップS7で挿入されていた穴よりも1ピッチ分上流側にある穴に挿入された状態となる。その後、駆動部204は、直ちにテープ送り方向に駆動されテープ本体72に保持される次の電子部品が保持位置に移送される。
フィードユニット200は、このように、駆動部204によりテープ送り爪ユニット208をテープ本体72の穴の1ピッチ分、送り方向に往復運動させることで、テープを1ピッチ分送り方向に順次移動させることができる。
また、フィードユニット200は、戻り方向テープ送り爪ユニット210を設け、連動機構211により、戻り方向テープ送り爪ユニット210をテープ送り爪ユニット208と連動させて駆動することで、保持領域PPを通過したテープを送り方向に搬送することができる。このように、保持領域PPを通過したテープを送り方向に搬送することができることで、保持領域PPの上流と下流の両方でテープを移動させることができる。これにより、保持領域PPでテープが撓んだりして、テープの位置がずれることを抑制することができる。また、本実施形態のフィードユニット200は、連動機構211により、テープ送り爪ユニット208と戻り方向テープ送り爪ユニット210とを連動して移動させることで、1つの駆動機構で2つの送り爪を移動させることができる。また、連動して移動させることで、2つの送り爪の間の距離を一定に維持することができ、テープを適切に搬送することができる。
ここで、電子部品供給装置100は、上記各実施形態のように、テープ送り方向において、フィードユニット200で送り爪152の配置位置の下流側、かつ、折り返し部よりも上流側に保持領域(保持位置)PPを配置することが好ましい。つまり、電子部品供給装置100は、ノズル32で電子部品80を保持する保持領域PPを、電子部品保持テープ70を保持領域に送る送り爪152と案内溝282の折り返し部との間に挟まれた位置との間に配置することが好ましい。これにより、保持領域PPを通過する電子部品保持テープ70が撓んだり、変形したりすることを抑制することができ、保持領域PPでの電子部品保持テープ70の位置及び電子部品80の位置を安定させることができる。
図44は、部品供給装置の他の例の概略構成を示す説明図である。図45は、図44の一部を拡大して示す説明図である。電子部品供給装置310は、フィードユニットに連結した板状部材312を有し、筐体に開口314が形成されている。板状部材312は、フィードユニットの固定部とともに搬送方向に移動する。開口314は、板状部材312の可動範囲の板状部材312の端部と重なる位置に、鉛直方向に伸びた複数の辺314a、314b、314c、314dが形成されている。ここで、辺314a、314b、314c、314dは、テープの穴の間隔及び穴に対する電子部品の配置がそれぞれの場合に対応した位置に形成されている。利用者は、テープの穴の間隔及び穴に対する電子部品の配置の組み合わせに応じて、辺314a、314b、314c、314dの条件に一致する辺に対して、板状部材312の辺の位置を合わせることで、フィードユニットが電子部品を保持領域に搬送することができる。なお、本実施形態では、上記実施形態と同様に、テープの穴の間隔及び穴に対する電子部品の配置の組み合わせが4つの場合としたが、組み合わせに応じて、開口314の形状を変更すればよい。
図46は、部品供給装置の他の例の概略構成を示す説明図である。図47は、図46の一部を拡大して示す説明図である。図46及び図47に示す電子部品供給装置320は、排出部にテープ排出ガイド322が配置されている。テープ排出ガイド322は、排出部に向かい合う面に半円筒が鉛直方向とのなす角が60度となる向きで配置されている。また、テープ排出ガイド322は、ガイド部122に対向する面に板状部材が配置されている。電子部品供給装置320は、テープ排出ガイド322を配置することで、排出部126から排出されたテープを半円筒部に沿わせて方向転換させ、鉛直方向下側に好適に案内することができる。これにより、案内溝を通過して排出部から排出された電子部品保持テープの排出角度を規制することができる。テープ排出ガイド322は、排出部に対向する面を円筒とすることで、電子部品保持テープにかかる負荷を小さくすることができ、電子部品保持テープを好適に方向転換させることができる。さらに、テープ排出ガイド322は、円筒部の傾斜角度を鉛直方向に対して60度とすることで、電子部品保持テープにかかる負荷を小さくすることができ、電子部品保持テープを好適に方向転換させることができる。なお、テープ排出ガイド322は、図46、47の構成とすることで、円滑に方向転換させることができ、所望の位置に電子部品保持テープを排出することができるが、この構成に限定されない。
図48は、部品供給装置の他の例の概略構成を示す説明図である。図49は、図48の一部を拡大して示す説明図である。図48及び図49に示す電子部品供給装置320は、ガイド部122に部材置き箱324が設置されている。部材置き箱324は、鍵部326が設けられており、鍵部326がガイド部122に連結し、ガイド部122に支持される。部材置き箱324は、電子部品供給装置320に供給する電子部品保持テープが収納されている。なお、電子部品保持テープは、当該電子部品保持テープを収納する箱ごと、部材置き箱324に置いてもよい。電子部品供給装置320は、部材置き箱324を設けることで、電子部品保持テープが貯留されている位置と、ガイド部122との距離を短くすることができる。これにより、電子部品保持テープが貯留されている位置からガイド部122に搬送されるまでの間に電子部品保持テープにかかる負荷を小さくすることができる。これにより、電子部品供給装置320で、電子部品保持テープを好適に搬送することができる。また、電子部品保持テープが自重で切れたり、穴が延びたりすることを抑制することができる。
次に、部品供給ユニット14fについて説明する。ここで、部品供給ユニット14fは、2つのボウルフィーダアセンブリ90を有する。2つのボウルフィーダアセンブリ90は、並列に配置され、基本的に同じ構成である。以下、1つのボウルフィーダアセンブリ90について説明する。
図50は、ボウルフィーダアセンブリの概略構成を示す斜視図である。図51は、図50に示すボウルフィーダアセンブリの概略構成を示す斜視図である。ボウルフィーダアセンブリ90は、図50及び図51に示すように、2つのボウルフィーダユニット400と、支持機構401と、を有する。本実施形態において、ボウルフィーダユニット400およびボウルフィーダアセンブリ90は、制御部によって動作が制御される。ボウルフィーダユニット400およびボウルフィーダアセンブリ90は、電子部品実装装置10が有する制御装置20を制御部として用いてもよいし、ボウルフィーダユニット400およびボウルフィーダアセンブリ90が制御部を有していてもよい。
支持機構401は、2つのボウルフィーダユニット400を支持する機構である。支持機構401は、支持板491と、支持棒492と、連結部493と、を有する。支持板491は、板状の部材であり、2つのボウルフィーダユニット400が設置、固定されている。支持板491は、部品を供給する側の先端がフロント側バンク44のセットシャフト44b及び凹部44cと連結する。支持棒492は連結部493を介して、支持板491のフロント側バンク44から遠い側に連結している。支持棒492は、鉛直方向下側の端部が電子部品実装装置10を設置する設置面(床)に支持されている。支持機構401は、2つのボウルフィーダユニット400が設置された支持板491がフロント側バンク44と支持棒492とで支持される。支持機構401は、フロント側バンク44と、フロント側バンク44から離れた支持棒492の2箇所で支持板491を支持することで、支持板491がたわむことを抑制することができる。これにより、ボウルフィーダユニット400の振動が支持板491の振動となって吸収されることを抑制することができ、ボウルフィーダユニット400を好適に駆動することができる。
ボウルフィーダアセンブリ90が有する1つのボウルフィーダユニット400は、後述するボウルが他のボウルフィーダユニット400のボウルと鉛直方向に2列、かつ保持位置(レール422の先端、吸着位置)に対して前後にずらして配置される。すなわち、ボウルフィーダアセンブリ90は、Y方向において、2つのボウルフィーダユニット400の後述するボウルが前後する位置に配置されている。そして、X方向(後述するレールの延在方向に直交する方向、基板の搬送方向)において、第1列のボウルフィーダユニット400が有するボウルと第2列のボウルフィーダユニット400が有するボウルとの配置領域の少なくとも一部が重なっている。すなわち、ボウルフィーダアセンブリ90は、X方向において、2つのボウルフィーダユニット400の後述するボウルの位置が重なって配置されている。また、ボウルフィーダアセンブリ90は、Y方向において、2つのボウルフィーダユニット400の後述するボウルが前後する位置に配置されている。これにより、ボウルフィーダアセンブリ90は、ボウルフィーダユニット400を効率よく配置することができる。具体的には、X方向の幅を狭くすることができ、電子部品実装装置10の部品供給可能領域により多くの部品供給装置を配置することができる。
本実施形態において、第1列のボウルフィーダユニット400が有するボウルと第2列のボウルフィーダユニット400(第1列のボウルフィーダユニット400よりも保持位置から離れた位置に配置される)が有するボウルとは、レールの延在方向に直交する方向(X方向、基板の搬送方向)において、ボウルの外径の2倍以内の領域に配置される。このようにすることで、確実にX方向の幅を狭くすることができ、電子部品実装装置10の部品供給可能領域により多くの部品供給装置を配置することができる。
次に、図52から図67Bを用いて、部品供給ユニット14fのボウルフィーダアセンブリ90のボウルフィーダユニット400について説明する。図52から図67Bに示すボウルフィーダユニット400は、ボウルフィーダを電子部品供給装置として用いている。まず、図52から図54を用いてボウルフィーダユニット400の全体構成について説明する。図52は、部品供給ユニットの他の例を示す側面図である。図53は、部品供給ユニットの他の例を示す上面図である。図54は、図52に示す部品供給ユニットからボウルを取り外した状態を示す側面図である。
ボウルフィーダユニット400は、電子部品供給装置(ボウルフィーダ)402、404、406と、駆動装置408と、固定部410と、を有する。つまり、ボウルフィーダユニット400は、3つの電子部品供給装置402、404、406を備え、3箇所で部品を供給することができる機構である。また、ボウルフィーダユニット400は、1つの駆動装置408が、電子部品供給装置402、404、406の駆動部となる。また、ボウルフィーダユニット400は、固定部410が電子部品供給装置402、404、406と、駆動装置408と、を支持している。固定部410は、鉛直方向に伸びた枠形状の支持部442と、支持部444とを有し、電子部品供給装置402、404、406と、駆動装置408と、を上端と下端で支持している。また、支持部442と、支持部444とは、後述する駆動装置408の回転軸まで延在しており、駆動装置408が電子部品供給装置402、404、406の対象部分を回転軸中心に回動できる状態で支持している。
電子部品供給装置402は、ボウル420aと、レール422aと、支持機構424aと、連結部436aと、を有する。電子部品供給装置404は、ボウル420bと、レール422bと、支持機構424bと、連結部436bと、を有する。電子部品供給装置406は、ボウル420cと、レール422cと、支持機構424cと、連結部436cと、を有する。電子部品供給装置402、404、406は、ボウル420a、420b、420cが水平方向における位置が重なる位置に積層して配置され、鉛直方向上から順にボウル420a、420b、420cの順で配置されている。また、電子部品供給装置402、404、406は、支持機構424a、424b、424cが同一平面上に並列して配置されている。すなわち、複数のレール422a、422b、422cのそれぞれの保持位置は、同一平面に配置される。
電子部品供給装置402、404、406は、配置位置や、この配置位置が異なる関係でレール422a、422b、422cの形状が異なるのみで基本的に同様の構成である。以下、電子部品供給装置402、404、406のボウル420a、420b、420cで共通する点については、ボウル420として説明する。同様に、レール422a、422b、422cで共通する点については、レール422として説明する。支持機構424a、424b、424cで共通する点については、支持機構424として説明する。連結部436a、436b、436cで共通する点については、連結部436として説明する。
ボウル420は、複数の電子部品が投入されている入れ物である。レール422は、ボウル420に投入された電子部品を吸着位置まで案内する案内部材となる。支持機構424は、レール422で案内された電子部品を吸着位置で支持する機構である。連結部436は、ボウル420及び駆動装置408の加振部と連結しており、駆動装置408からボウル420に振動を伝達する。なお、本実施形態において、電子部品供給装置402、404、406は、連結部436と駆動装置408とが振動部となる。以下、各部について詳細に説明する。
図55及び図56を用いてボウル420について説明する。図55は、図53に示す部品供給ユニットの電子部品供給装置のボウルと振動部の支持部との関係を示す説明図である。図56は、図55に示すボウルの概略構成を示す説明図である。ボウル420は、上述したように複数の電子部品が投入されている入れ物である。ボウル420は、入れ物である本体450が、底面が円形であり、外縁が底面に垂直な方向に伸び、上面が開放された箱形状である。ボウル420は、本体450の底面に鉛直方向下側に伸びる突起部451を有し、突起部451に連結部436と締結するための締結部材452が挿入されている。締結部材452は、突起部451に対して回転可能な状態で、かつ、突起部451から外れない構造で支持されているねじ(取り付けねじ)である。連結部436は、締結部材452が締結される締結穴(ねじ穴)454が設けられている。ボウル420は、締結部材452を締結穴454に締結させることで、連結部436に固定される。
このように、ボウル420は、締結部材452で着脱可能な状態で連結部436に固定される構造とすることで、電子部品供給装置402、404、406及びボウルフィーダユニット400からボウル420を容易に取り外すことができる。これにより、ボウル420を容易に交換することができる。
次に、レール422は、一方の端部がボウル420に連結され、他方の端部が支持機構424に連結されている。レール422は、電子部品を案内する案内溝が形成されており、ボウル420から搬出された電子部品を案内溝に沿って移動させ、支持機構424と連結している部分まで案内する。また、後述するがレール422は、ボウル420と連結している部分が駆動装置408の振動部に固定されており、ボウル420とともに振動する。また、レール422は、支持機構424に連結されている側の端部が、レール422の延在方向に振動可能(一方向に摺動可能)な状態で、支持されている。
図50、図51に示す2つのボウルフィーダユニット400は、いずれも鉛直方向に向かって配置された複数のボウル420a、420b、420cを有している。複数のレール422a、422b、422cのそれぞれの保持位置(吸着位置)に近い方を第1列のボウルフィーダユニット400とし、これよりも保持位置から離れている方を第2列のボウルフィーダユニット400とする。このとき、第2列のボウルフィーダユニット400が有する複数のレール422a、422b、422cは、第1列のボウルフィーダユニット400が有する複数のレール422a、422b、422cの側方では鉛直方向に並べて配置される。そして、図53に示すように、その先で複数のレール422a、422b、422cの延在方向に直交する方向に広がるとともに、複数のレール422a、422b、422cのそれぞれの保持位置、すなわち支持機構424a、424b、424cが同一平面上に並列して配置される。
次に、図57Aから図58Bを用いて支持機構424について説明する。図57Aは、図53に示す部品供給ユニットの電子部品供給装置の支持機構の概略構成を示す斜視図である。図57Bは、図57Aに示す支持機構の概略構成を示す正面図である。図58Aは、図57Aに示す支持機構の他の状態を示す斜視図である。図58Bは、図58Aに示す支持機構の概略構成を示す正面図である。図57A及び図57Bは、支持機構424の位置調整用ブラケット470が閉じた状態であり、図58A及び図58Bは、支持機構424の位置調整用ブラケット470が開いた状態である。また、図57B及び図58Bでは、各部材の相対位置を示すため案内溝464をブラケット470の上側に仮想的に示している。
支持機構424は、土台460と、レール支持部462と、案内溝464と、吸着位置調整ユニット468と、を有する。土台460は、ボウルフィーダユニット400の固定部に固定されている部材である。レール支持部462は、土台460に回転可能な状態で支持されている車輪であり、レール422を鉛直方向下側から支持している。レール支持部462は、レール422の延在方向に平行な方向への移動に応じて回転する。これにより、レール422は、支持機構424に対して延在方向に平行な方向へ移動可能な状態で支持される。案内溝464は、土台460のレール422の延在方向の端部に形成されている。案内溝464は、レール422の溝と連結しており、レール422を案内された電子部品が供給される。つまり案内溝464は、レール422が通過した電子部品が供給される。
吸着位置調整ユニット468は、支持機構424における電子部品の吸着位置を調整する機構であり、位置調整用ブラケット470と、回動軸472と、固定部474と、ねじ476と、を有する。位置調整用ブラケット470は、案内溝464を塞ぐ位置に配置された部材であり、レール422側の端部に突起480が形成されている。位置調整用ブラケット470は、突起480が案内溝464を塞ぐことで、案内溝464を通過している電子部品が、突起480よりも電子部品の移動方向において下流側に移動しないように支持する。これにより、位置調整用ブラケット470は、電子部品を案内溝464の所定の位置で保持することができる。回動軸472は、案内溝464の延在方向に伸びた軸であり、固定部474に回動可能な状態で固定されている。回動軸472は、位置調整用ブラケット470を案内溝464の延在方向に移動可能な状態、かつ、案内溝464の延在方向に伸びた軸を中心として回動可能な状態で支持している。固定部474は、土台460に固定されている。
ねじ476は、位置調整用ブラケット470を固定部474に対して固定する部材であり、ねじ476は、位置調整用ブラケット470に形成された長穴482に挿入されている。長穴482は、案内溝464の延在方向が長手方向となる穴である。吸着位置調整ユニット468は、ねじ476で位置調整用ブラケット470を固定部474に対して固定することで、固定部474に対して、案内溝464の延在方向に移動可能な状態、かつ、案内溝464の延在方向に伸びた軸を中心として回動可能な状態の位置調整用ブラケット470を固定する。
吸着位置調整ユニット468は、以上のような構成であり、図57A及び図57Bに示すように、ねじ476で位置調整用ブラケット470を固定部474に対して固定することで、電子部品を支持機構424の所定位置で支持することができる。また、吸着位置調整ユニット468は、図58A及び図58Bに示すように、ねじ476を位置調整用ブラケット470から取り外すことで、案内溝464の電子部品の移動方向において下流側の端部490を開放することができる。これにより、レール422及び案内溝464に供給された電子部品を案内溝464の先端(電子部品の移動方向において下流側の端部)から排出することができる。このように、電子部品を案内溝464の先端から排出することができる機構とすることで、ボウル420を交換し、供給する電子部品を変更する場合に、レール422や案内溝464に残った電子部品を簡単に排出することができる。
電子部品供給装置402、404、406は、位置調整用ブラケット470を固定部474に対して、案内溝464の延在方向に移動可能な状態とし、かつねじ476で固定する構造とすることで、案内溝464の延在方向における位置調整用ブラケット470の位置を容易に調整することができる。これにより、電子部品の種類に応じて、電子部品を支持する位置を変更することができる。つまり、電子部品の吸着位置にあわせて、突起480の位置を調整することができる。これにより、供給する電子部品が異なる種類となった場合でも、電子部品を適切な吸着位置で支持することができる。
また、電子部品供給装置402、404、406は、ボウル420を上記構成とし、支持機構424を上記構成とすることで、ボウル420を交換しやすくし、かつ、交換時に残った電子部品を容易に排出することができる。これにより、電子部品供給装置402、404、406で供給する電子部品の種類を容易に変更させることができる。
次に、図52から図54に加え、図59から図64を用いて駆動装置408について説明する。図59は、図53に示す部品供給ユニットの電子部品供給装置の駆動装置の概略構成を示す上面図である。図60は、図59に示す駆動装置の概略構成を示す斜視図である。図61は、図59に示す駆動装置の概略構成を拡大して示す拡大上面図である。図62は、図59に示す駆動装置の概略構成を示す側面図である。図63は、図59に示す駆動装置の概略構成を示す側面断面図である。図64は、図59に示す駆動装置の動作を説明するための説明図である。
駆動装置408は、図59から図62に示すように、モータ430と、軸432と、リニアウェイ433と、取付ブロック部434と、レール支持部502と、基端レール(アーム部)504と、固定部506と、回動部508と、を有する。
モータ430は、図59から図63に示すように、駆動装置408の駆動源であり、モータ本体550と、偏心シャフト552と、ベアリング554と、リニアウェイ556と、を有する。モータ430は、モータ本体550がシャフト550aを回転させることで、偏心シャフト552が回転する。モータ430は、偏心シャフト552と、ベアリング554を介して回転力が伝達し、リニアウェイ556が回転される。
軸432は、図59から図63に示すように、固定部に固定されたベアリング562、564で回転可能な状態で支持されている。また、ベアリング562、564は、軸432に連結されたカラー566で鉛直方向に移動しない状態で支持されている。
リニアウェイ433は、一方の端部近傍がリニアウェイ556の外終端に回転可能な状態で支持され、他方の端部近傍が取付ブロック部434に固定されている。また、リニアウェイ433は、軸432に回転可能な状態で支持されている。ここで、リニアウェイ433とリニアウェイ556とは、リニアウェイ433がレールユニットとなり、リニアウェイ556がスライドユニットとなる。これにより、リニアウェイ433は、リニアウェイ556に対する連結位置が移動可能な状態で連結している。つまり、リニアウェイ433は、リニアウェイ556と連結している位置が変動する。このような構成により、リニアウェイ433は、リニアウェイ556が回転することで、軸432を中心として回動する。
取付ブロック部434は、軸432に回動可能な状態で支持されており、リニアウェイ433と連結している。取付ブロック部434とリニアウェイ433とは連結部材570で連結されている。取付ブロック部434は、リニアウェイ433の延在方向と直交する水平方向に伸びた細長い板状の部材であり、端部がレール支持部502と連結している。また、取付ブロック部434は、リニアウェイ433と連結している板状の部材の上面が連結部436と連結している。また、取付ブロック部434は、各連結部436と連結する位置にリニアウェイ433と連結している細長い板状の部材と同じ部材が配置されており、上面が連結部436と連結している。取付ブロック部434は、また、図52から図53に示すように、鉛直方向に延在する棒部が設けられており、この棒部が細長い板状の部材の端部と連結している。これにより、取付ブロック部434と、連結部436と連結する細長い板状の部材が軸432を回転軸として一体で回動する。
レール支持部502は、取付ブロック部434の端部と連結している。基端レール(アーム部)504は、一方の端部がレール支持部502と連結し他方の端部がレール422と連結している。基端レール504は、取付ブロック部434の回動運動がレール支持部502により直動運動に変換されて伝達される。また、基端レール504は、ボウル420の電子部品の供給部と連結しており、ボウル420から供給された電子部品をレール422に案内する。固定部506は、駆動装置408の移動しない部分、つまり土台等に固定されている。回動部508は、固定部506に回動可能な状態で支持されている。回動部508は、固定部506に回動可能な状態で支持されている固定端520と基端レール504とレール422との連結部である可動端522とを有する。回動部508は、可動端522が基端レール504とレール422との連結部と連結し、基端レール504とレール422との連結部の移動領域を規制する。
駆動装置408は、以上のような構成であり、図64に示すように、モータ430は、駆動源であり、リニアウェイ433に駆動力を伝達し、回転させる。また、取付ブロック部434は、軸432によって回動可能な状態で固定され、リニアウェイ433が回転することで、軸432の回転軸を中心として回動する。取付ブロック部434の回動は、レール支持部502に伝達される。レール支持部502は、取付ブロック部434の回動方向の駆動力を直動方向の駆動力に変換し、基端レール(アーム部)504をレールの延在方向と平行な方向に往復運動させる。この時、基端レール504とレール422との連結部に設けられた回動部508は、固定端520を中心として基端レール504とレール422との連結部である可動端522が回動する。駆動装置408は、このようにして、取付ブロック部434と基端レール504を振動させることで、取付ブロック部434に連結部436を介して取り付けられたボウル420と、基端レール504に連結されたレール422とを振動させる。ボウルフィーダユニット400は、駆動装置408でボウル420を振動させることで、ボウル420に投入された電子部品をボウル420内で移動させ、レール422に供給する。また、ボウルフィーダユニット400は、駆動装置408でレール422を振動させることで、レール422内を案内された電子部品を支持機構424に供給する。
ボウルフィーダユニット400は、以上のように部品供給装置402、404、406のボウルを鉛直方向に積層することで、水平方向の領域を有効に活用することができ、複数の部品供給装置を省スペースで配置することができる。これにより、ボウルフィーダユニット400は、吸着位置に多数の電子部品を供給することができる。また、ボウルフィーダユニット400は、以上のように部品供給装置402、404、406のボウルを鉛直方向に積層することで、支持機構424を水平方向に近接して配置することができる。これにより、電子部品の吸着位置を近づけることができ、部品の吸着時のヘッドの移動距離を少なくすることができる。また、ボウルフィーダユニット400は、1つの駆動装置408を、3つの部品供給装置402、404、406の駆動部として用いることで、駆動源を少なくすることができ、装置構成を簡単にすることができる。また、固定部410で部品供給装置402、404、406の回転軸を支持することで、安定して各部を振動させることができる。また、上記実施形態のボウルフィーダユニット400は、部品供給装置を3つとしたが、これに限定されず、部品供給装置の数は限定されない。
また、本実施形態では、ボウルフィーダユニット400の駆動部として、ボウル420を振動させる駆動機構を用いたがこれに限定されない。ボウルフィーダユニット400を構成する電子部品供給装置(ボウルフィーダ)は、ボウル420を震わすことでレール422に電子部品80を供給することができればよい。例えば、駆動部としてボウル420を揺動させる駆動部を用いてもよい。
図65は、電子部品供給装置の一部を拡大して示す斜視図である。ボウルフィーダユニット400の、部品供給装置402、404、406は、図65に示すように、レール422のボウル420側の端部に電子部品の有無を検出する始端側部品検出センサ580a、580b、580cを有する。始端側部品検出センサ580a、580b、580cは、レール422のボウル420側の端部に電子部品があるかを検出する。始端側部品検出センサ580a、580b、580cとしては、レーザセンサを用いることができる。ボウルフィーダユニット400は、始端側部品検出センサ580a、580b、580cでレール422のボウル420側の端部に電子部品があるかを検出することで、電子部品がレール422に留まり、満杯状態であるかを検出することができる。例えば、ボウルフィーダユニット400は、始端側部品検出センサ580a、580b、580cで、電子部品を検出している状態が一定時間連続して検出された場合、電子部品が所定位置で留まり、レール422の先に進めない状態であるので、満杯状態であると判定することができる。
図66は、電子部品供給装置の一部を拡大して示す斜視図である。ボウルフィーダユニット400の、部品供給装置402、404、406は、図66に示すように、レール422の先端(吸着位置、保持位置)の電子部品の有無を検出する保持位置側部品検出センサ582a、582b、582cを有する。保持位置側部品検出センサ582a、582b、582cは、対応するレール422の先端側である保持位置に電子部品があるかを検出する。保持位置側部品検出センサ582aは、発光部584aと受光部586aとを有する光学式センサである。発光部584aと受光部586aは、両者で保持位置を挟む位置に配置されている。保持位置側部品検出センサ582aは、発光部584aから出力した測定光が受光部586aで受光された場合、測定領域(本実施形態では保持位置)に電子部品がないことを検出する。保持位置側部品検出センサ582aは、発光部584aから出力した測定光が受光部586aで受光されない場合、測定領域(本実施形態では保持位置)に電子部品があることを検出する。同様に保持位置側部品検出センサ582bも、発光部584bと受光部586bとを有する光学式センサであり、保持位置側部品検出センサ582cも、発光部584cと受光部586cとを有する光学式センサである。保持位置側部品検出センサ582a、582b、582cは、同様の構成で電子部品の有無を検出する。ボウルフィーダユニット400は、保持位置側部品検出センサ582a、582b、582cで、保持位置の電子部品の有無を検出し、検出結果に基づいて、ボウルフィーダユニット400を駆動する。ボウルフィーダユニット400は、例えば、保持位置側部品検出センサ582a、582b、582cで、保持位置の電子部品がないと判定した場合、駆動装置408を駆動し、電子部品を搬送する。
また、電子部品実装装置10は、ヘッド15のノズル32でボウルフィーダユニット400の保持位置の電子部品を保持する動作を実行する場合、保持位置側部品検出センサ582a、582b、582cで保持位置に電子部品があることが検出されている場合は、保持位置の電子部品を保持する保持動作を実行し、保持位置側部品検出センサ582a、582b、582cで保持位置に電子部品がないことが検出されている場合は、待機するようにしてもよい。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品をより確実に保持することができ、保持位置に電子部品がない場合に保持動作を実行することを抑制することができる。これにより、電子部品実装装置は、電子部品の保持動作をより効率よく実行することができる。
図67Aは、電子部品供給装置の一部を拡大して示す斜視図である。図67Bは、図67Aに示す電子部品供給装置の一部を他の方向から示す斜視図である。なお、図67A,図67Bでは、ボウルフィーダユニット400の部品供給装置402を示すが、部品供給装置404、406も同様の構成である。部品供給装置402は、ボウル420の電子部品がボウル420とレール422とを接続する基端レール504のレール422側の端部に鉛直方向上側(矢印591の方向)に空気を噴射するエアブロー部590を有する。エアブロー部590は、基端レール504のレール422側の端部に矢印591方向の空気を吹き付けることで、当該位置にある電子部品をボウル420に戻す。
基端レール504は、ボウル420との連結部にガイド部592が配置されている。ガイド部592は、ボウル420から基端レール504に搬送される電子部品のうち、適切な向きではない電子部品をボウル420に案内する。つまり、ガイド部592は、基端レール504に搬送される電子部品のうち、不適切な向きで搬送される電子部品が基端レール504に進入しないようにする。具体的には、ガイド部592は、不適切な向きの電子部品のリードが接触する位置に板状部材が配置されており、リードが接触した電子部品をボウル420に案内する。
また、基端レール504は、エアブロー部590により空気が吹き付けられる領域の鉛直方向上側に落し込み部594が設けられている。落し込み部594は、基端レール504の外側(ボウル420から離れる側)に配置されており、鉛直方向上側に向かうに従って、ボウル420に近づく傾斜が設けられている。落し込み部594は、エアブロー部590により空気が吹き付けられ、鉛直方向上側に押し上げられた電子部品を傾斜によりボウル420側に案内する。これにより、電子部品がボウル420の外側に飛び出ることを抑制することができる。
図67A及び図67Bに示すように、部品供給装置402は、エアブロー部590を設け、レール422に向けて移動される電子部品をボウル420に戻すことで、電子部品を好適にレール422に案内することができる。例えば、部品供給装置402は、エアブロー部590でエアブローを定期的に行うことで、対象位置にある電子部品を定期的にボウル420に戻すことができる。これにより、レール422に対して傾いて搬送され、対象領域でレール422に搬入されない電子部品を排除することができる。また、部品供給装置402は、ガイド部592で排除できなかった向きが不適切な電子部品をエアブロー部590で排除することもできる。なお、本実施形態では、レール422の始端である基端レール504の電子部品をボウル420に戻す機構としてエアブロー部590を設けたがこれに限定されない。例えば、エアブロー部590に換えて、機械的な機構を用いてもよい。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図68から図74を用いて、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作について説明する。図68は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図69は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図70は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図71は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図72は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。図73は、認識動作の検出結果の一例を示す模式図である。図74は、認識動作の検出結果の一例を示す模式図である。
電子部品実装装置10は、上述したようにレーザ認識装置38を用いて電子部品の形状を計測する。レーザ認識装置38は、図68に示すように、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置されている状態で、光源38aからレーザ光を出力し、受光素子38bで到達したレーザ光を検出することで、光源38aと受光素子38bとの間に配置されている部品の形状を検出する。また、レーザ認識装置38は、ノズル32で吸着した電子部品80の一方向の形状を検出したら、ノズル駆動部34によりノズル32を移動または回転させて電子部品80を移動または回動させて、形状の検出を再び行う。このように、レーザ認識装置38は、電子部品80を回転させることで、図69に示すように、電子部品80に対してレーザ光が照射される方向及び電子部品80に対する受光素子38bの角度が変化する。
電子部品実装装置10は、図70に示すように、ステップS11として、電子部品80のZ軸方向の高さを合わせて、レーザ認識装置38は、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置された状態で、光源38aから一定の領域にレーザ光を照射する。その後、電子部品実装装置10は、ステップS12として、電子部品80の回転(θ方向の回転)を開始する。
その後、電子部品実装装置10は、電子部品80の回転の回転速度が一定速度に到達したら、ステップS13としてレーザ認識装置38で電子部品80の所定向きの形状の計測を開始する。このとき、レーザ認識装置38は、光源38aと受光素子38bとの間に電子部品80が配置された状態で、光源38aから一定の領域にレーザ光を照射し受光素子38bでレーザ光を受光する。ここで、電子部品80でさえぎられたレーザ光は、受光素子38bに到達しないまたは強度が低下する。これにより、レーザ認識装置38は、受光素子38bで受光したレーザ光の分布で、測定した角度の断面における電子部品80の形状を検出することができる。本実施形態において、レーザ認識装置38は、受光素子38bで受光したレーザ光の端部を検出し、当該向きにおける電子部品80の最外形を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS14として、電子部品80を回転させつつステップS13の方法による電子部品80の形状の検出を繰り返すことで、電子部品80の一周分の形状を検出する。これにより、電子部品80の全方向の形状を検出することができる。レーザ認識装置38は、このように、一周分の方向からの形状を検出し、図71に示すように各方向形状の検出結果をかさねあわせることで、電子部品80の三次元形状(最外部分の形状)を正確に検出することができる。
ここで、上述したように本実施形態の電子部品実装装置10は、ラジアルリード型電子部品である電子部品80を基板8に搭載する。電子部品実装装置10は、図72に示す電子部品80の形状を検出する場合、計測するZ軸方向の高さによって検出される形状が異なる。つまり、電子部品実装装置10のレーザ認識装置38は、図72に示すようにラインAで検出を実行する場合、ラインBで検出を実行する場合、ラインCで検出を実行する場合、ラインDで検出を実行する場合で検出される形状が異なる形状となる。
例えば、レーザ認識装置38は、図72に示すラインAで形状の計測を行うと、図73に示すように電子部品80の本体82の形状を検出することができる。また、レーザ認識装置38は、図72に示すラインBで形状の計測を行うと、図74に示すように電子部品80のリード84の形状を検出することができる。なお、レーザ認識装置38は、電子部品の計測高さの最外部分の形状を検出するため、電子部品の形状として、電子部品の一番外側同士(一番外側のリード84)をつなげた形状が検出される。また、レーザ認識装置38は、図72に示すラインCで形状の計測を行うと、本体82の下面位置の形状を検出することができ、図72に示すラインDで形状の計測を行うと、リード84の下面位置の形状を検出することができる。電子部品実装装置10は、電子部品80を吸着しているノズル32のZ軸方向の高さを調整することで、レーザ認識装置38が電子部品80の形状を計測する位置を種々の位置とすることができる。
図75は、電子部品実装装置の電子部品の形状の認識動作を説明するための説明図である。また、電子部品実装装置10は、ラジアルリード型電子部品である電子部品として、図75に示す電子部品80aを用いる場合もある。電子部品80aは、本体82aの一部に切り欠き89が形成されている。電子部品80aは、切り欠き89が形成されている部分が他の電子部品とは異なる形状となる。また、電子部品80aは、切り欠き89が形成されている位置により向きを判定することができる。
ここで、本実施形態の電子部品実装装置10の制御部60は、搭載対象の電子部品、つまり、ノズルで吸着した電子部品に対する位置(電子部品のZ軸方向の位置)がオペレータによって予め設定されている場合、オペレータによって設定された位置の電子部品の形状をレーザ認識装置38で検出する。このように、電子部品実装装置10は、オペレータが設定した位置に基づいて電子部品の形状を計測することで、電子部品の特徴的な形状部分を計測位置とすることができ、電子部品の種類の識別及び電子部品の向きの検出をより高い精度で実行することができる。
なお、電子部品実装装置10は、レーザ認識装置38を用いて電子部品の形状認識を行う場合で説明したが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、状態検出部として、筐体11に支持された電子部品形状を三次元計測するカメラ(本実施形態のVCSユニット17)で行ってもよい。なお、VCS以外の公知の電子部品形状を三次元計測するカメラを用いてもよい。電子部品形状を三次元計測するカメラで、測定対象の電子部品のリード先端部の間隔、リードの曲がり形状、部品本体形状等を計測することで、同様の処理を実行することができる。
図76は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図76を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図76に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品の種類、準備されているノズルの種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS62として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS60の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された穴(挿入穴)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図77は、操作画面の一例を示す説明図である。図78は、操作画面の一部を示す説明図である。図79Aは、部品供給角度の一例を示す説明図である。図79Bは、部品供給角度の一例を示す説明図である。図80は、操作画面の一例を示す説明図である。図81は、操作画面の一例を示す説明図である。図82は、操作画面の一部を示す説明図である。図83Aから図83Dは、それぞれ電子部品の測定位置の一例を示す説明図である。
以下、図77から図83Dを用いて、電子部品実装装置10に実装する電子部品の各種情報を登録する処理の一例を説明する。電子部品実装装置10は、登録された電子部品の情報に基づいて、生産プログラムに基づいた実装処理の各種値を決定し、決定した値に基づいて電子部品の実装を実行する。なお、電子部品の各種情報は、生産プログラムの一部として登録することも、複数の生産プログラムに共通の電子部品単体の情報として登録することもできる。
電子部品実装装置10は、表示部42(タッチパネル42aまたはビジョンモニタ42b)に図77に示す操作画面602を表示させる。操作画面602は、各種入力項目が表示されている。オペレータは、操作画面602が表示されている状態で、各種操作を行うことで、電子部品の情報を入力することができる。なお、図77では、電子部品の情報を部品データとして入力する画面を示しているが、電子部品実装装置10は、基板データ、搭載データ、吸着データ、ビジョンデータも入力することができる。
図77に示す操作画面602は、電子部品の部品種別を入力する入力項目604と荷姿を入力する入力項目606が表示されている。また、操作画面602は、電子部品の横、縦、高さ、リード長さを含む外形寸法を入力する項目、センタリング方式にレーザ(レーザ認識装置38)を用いるかビジョン(VCSユニット17)を用いるかを選択する項目、パッケージサイズ(電子部品の本体の大きさ)を入力する項目等が含まれる。さらに操作画面602は、荷姿、センタリング、付加情報、拡張、検査等の詳細な項目を表示させるためのタブが表示されている。また、本実施形態の操作画面602は、荷姿の詳細項目として、保持位置に供給される電子部品の角度を示す部品提供角度の入力項目608、テープの種類の入力項目、電子部品の配置ピッチを示すピッチ情報の入力項目が含まれる。
ここで、入力項目604は、登録する電子部品の種類を入力する項目であり、項目を選択すると、図78に示すようにプルダウンで選択肢のリスト610が表示される。リスト610には、各種電子部品の種類に加え、挿入部品と他の部品の選択肢が表示される。オペレータは、カーソル612を所望の選択肢に合わせて、決定操作を行うことで、部品種別の入力項目604に情報を入力することができる。
入力項目608は、入力される保持位置に供給される電子部品の角度を示す部品提供角度として、0°、90°、180°、270°、その他が選択できる。例えば、図79Aに示すように、対象の電子部品が電子部品614である場合、電子部品614が90°ずつ回転した状態がそれぞれ0°、90°、180°、270°の姿勢となる。オペレータは、電子部品614が電子部品供給装置の保持位置に供給される際の姿勢がいずれの姿勢になるかに基づいて、入力項目608に角度を入力する。なお、電子部品614の角度の基準位置は、オペレータが設定することができる。
また、電子部品実装装置10は、図79Bに示すように、電子部品616が、テープ618に対して所定角度傾斜した状態で保持されている場合がある。ここで、電子部品616は、フィルムコンデンサである。オペレータは、電子部品616のように、姿勢が0°、90°、180°、270°のいずれにも該当しない場合、その他に電子部品616の角度を入力する。ここで、電子部品616を保持する場合、ヘッド15は、ノズル32として電子部品616を挟むことで保持する把持ノズルを用いることが好ましい。電子部品実装装置10は、把持ノズルを用いて電子部品616を保持する場合、入力項目608のその他に入力された部品提供角度に基づいて、ノズルの角度を調整することで、把持ノズルの接触面を電子部品616の傾斜に対応した角度とすることができ、保持ミスの発生を低減することができる。
電子部品実装装置10は、表示部42(タッチパネル42aまたはビジョンモニタ42b)に図77に示す操作画面602を表示させている状態で、操作部40により付加情報のタブが選択されると、操作画面602の一部に図80に示す操作画面620を表示させる。操作画面620には、搭載押し込み量の入力項目622と、吸着押し込み量の入力項目624とが含まれる。また、操作画面620は、試打を行うか、部品リリースをセンサで確認するか、部品吸着位置の補正をするか、オートティーチングを実行するか、部品スキップを実行するかの選択項目も表示されている。また、部品を廃棄する場合(部品が実装できない状態であると判定した場合)の電子部品の処理方法を入力する部品廃棄の項目も表示されている。
入力項目622は、搭載時に電子部品を基板上面より押し込む寸法を設定する項目である。「0」が、設計値において電子部品と基板との距離が0となる値である。電子部品実装装置10は、数値がプラスの方向に大きくなると、電子部品が基板よりも鉛直方向下側に押し込んだ状態まで移動させる。押し込み量を設定することで、基板の平面度等の影響により、部品が基板まで届かない状態で搭載されて搭載ずれが発生したり、搭載時クリームハンダの上で部品が滑ったりすることを抑制することができる。なお、電子部品をより確実に基板に実装させるため、初期値をプラスの値、例えば0.5mmとすることが好ましい。
入力項目624は、部品保持時の押し込み量である。つまり電子部品供給装置の保持位置でノズルが電子部品を保持する場合のノズルと電子部品との距離を設定する項目である。「0」が、設計値において電子部品とノズルの保持部との距離が0となる値である。電子部品実装装置10は、数値がプラスの方向に大きくなると、ノズルが電子部品よりも鉛直方向下側に押し込んだ状態まで移動させる。押し込み量を設定することで、部品寸法(高さ)のばらつき等の影響で、ノズルが電子部品まで届かず部品を吸着または把持できないことや、チップ形状の電子部品の立ち等の現象が発生することを抑制することができる。なお、電子部品をより確実にノズルで保持させるため、初期値をプラスの値、例えば0.2mmとすることが好ましい。
また、操作画面620は、部品レイヤの入力項目が表示されている。部品レイヤの入力項目は、同一の搭載レイヤ内での部品毎の優先度を設定する項目である。この項目を設定することで、最適化順の生産を行う場合に、当該電子部品の搭載順序の優先度を設定することができる。
また、操作画面620は、グリッパノズルデータの入力項目が表示されている。ここでグリッパノズルとは、電子部品を把持して保持する把持ノズルである。押し当て位置は、把持時に電子部品を押し当てる位置である。水平方向クリアランスは、把持ノズルの固定側アームの押し当て面と部品とのクリアランスをマイナスで入力する項目である。吸着時ノズル方向は、部品が0度で供給された時の吸着時のノズル方向を入力する項目である。吸着高さ微調整値は、把持時の把持高さ(吸着高さ)のオフセット値を入力する項目である。
電子部品実装装置10は、表示部42(タッチパネル42aまたはビジョンモニタ42b)に図77に示す操作画面602を表示させている状態で、操作部40により拡張のタブが選択されると、操作画面602の一部に図81に示す操作画面630を表示させる。操作画面630には、レーザ認識装置38で実行する電子部品の状態の検出処理の各種条件を設定する項目が表示されている。操作画面630には、ノズルの移動速度を設定する入力項目と、レーザ高さの入力項目632と、部品形状の入力項目634とが含まれる。ここで、θ速度(計測時)は、レーザ認識時のノズルのθ軸の加速度を入力する項目であり、θ速度(計測外)は、レーザセンタリング後の回転、例えば搭載角度にするための回転等の場合のノズルのθ軸の加速度を入力する項目である。
入力項目632は、計測時のノズル先端からレーザ照射面までの距離を入力する項目である。入力項目634は、測定対象の電子部品の形状を入力する項目であり、図82に示すように、選択肢が表示されたリスト636からカーソル638で指定して、部品形状の情報を入力する。入力項目634で部品の形状、具体的には電子部品の本体の形状を入力することで、レーザ認識装置38で電子部品の形状を認識した場合に、当該電子部品であるかを判定する特徴点を特定することができる。例えば、入力項目634に角欠けなしが入力され場合、4つの頂点を検出する。図83Aに示す電子部品640、641の場合、それぞれ1から4の4つの頂点の位置を検出する。これにより、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。また、入力項目634に角欠けありが入力された場合、5つから8つの頂点を検出する。図83Bに示す電子部品642の場合、1から6の6つの頂点の位置を検出する。図83Bに示す電子部品643の場合、1から8の8つの頂点の位置を検出する。これにより、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。入力項目634にPLCCが入力され場合、8つの頂点を検出する。図83Cに示す電子部品644の場合、1から8の8つの頂点の位置を検出する。また、PLCCの場合、検出した8つの頂点から4つの点を用いて、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。また、入力項目634にフレキシブルが入力された場合、XY方向の部品幅が最小になる付近の8つの点を検出する。図83Dに示す電子部品646、647の場合、1から8の8つの点の位置を検出する。図83Dに示す電子部品643の場合、1から8の8つの頂点の位置を検出する。これにより、位置ずれ、角度ずれを検出することができる。
電子部品実装装置10は、以上のように操作画面602、620、630等を表示させて、電子部品に関連する種々の情報を取得することができる。電子部品実装装置10は、取得した電子部品に関連する種々の情報に基づいて電子部品の実装処理を行うことで、好適に電子部品を基板に搭載することができる。また、電子部品実装装置10は、リードのないリードなし電子部品(搭載型電子部品)と基板に挿入するリードを有するリード型電子部品(挿入型電子部品)とに適応した各種入力項目を設けることで、それぞれの電子部品に応じた処理を実行することができる。例えば、電子部品実装装置10は、部品種別として、挿入型電子部品であることを示す挿入部品を入力することができる。これにより、電子部品実装装置10は、部品種別を検出することで、搭載型電子部品か挿入型電子部品か、つまり、実装時にリードを基板の穴(挿入穴)に挿入するか否か(挿入するか、搭載するか)を検出することができる。
図84及び図85を用いて、電子部品の形状の認識動作について説明する。図84及び図85は、それぞれ、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図84及び図85に示す処理は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
図84に示す処理は、電子部品の形状を計測する位置を設定する処理である。ここで、制御部60は、図84に示す処理を電子部品の形状を計測する際に毎回行ってもよいし、基板への電子部品の搭載動作の設定を行う際にすべての電子部品について実行し、実際の電子部品の搭載処理時は、事前に実行して決定した結果(計測位置の設定結果)に基づいて形状の計測を行うようにしてもよい。
制御部60は、ステップS112として、計測位置設定ありかを判定する。ここで計測位置設定とは、対象の電子部品に対して、オペレータによって設定される形状を計測する位置の情報、上記操作画面におけるレーザ高さの入力値である。制御部60は、ステップS112で設定あり(Yes)と判定した場合、ステップS114として設定に基づいて計測位置を設定し、つまり、オペレータが設定した計測位置を、当該電子部品の計測位置に設定し、本処理を終了する。また、制御部60は、ステップS112で設定なし(No)と判定した場合、ステップS116として、基準位置を計測位置に設定し、本処理を終了する。ここで、基準位置とは、電子部品のカテゴリー、つまりコンデンサかICチップか等によって設定されている基準の計測位置である。
電子部品実装装置10は、このようにオペレータが計測位置を設定可能とし、オペレータが任意に設定した位置を計測位置とすることができる。また、電子部品実装装置10は、1つの電子部品の計測位置を複数設定することができる。例えば、ラジアルリード型電子部品の場合、本体とリードの2箇所の形状を計測することもできる。また、電子部品実装装置10は、計測位置が設定された場合、設定に基づいて、当該電子部品の当該計測位置における形状の情報を取得する。なお、形状の情報はレーザ認識装置38を用いて計測した結果を用いても、オペレータによって入力された当該電子部品の形状データを用いてもよい。
次に、図85に示す処理は、電子部品の実装前の処理、具体的には電子部品の形状の計測処理及び計測結果に基づいた判定処理である。なお、制御部60は、図85の処理を保持するすべての電子部品に対して実行する。制御部60は、ステップS120として保持対象の電子部品のデータを取得する。ここで、保持対象(吸着対象、把持対象)の電子部品のデータとは、当該電子部品を基板に実装するために必要な各種情報である。保持対象の電子部品のデータは、当該電子部品が保持されている部品供給装置100の位置、電子部品の形状データ、電子部品の吸着高さ(保持高さ)、電子部品をレーザ認識装置38で計測する計測位置の情報等である。
制御部60は、ステップS120でデータを取得したら、ステップS122として計測位置を決定する。つまり、制御部60は、ステップS120で取得したデータに基づいて電子部品の形状を検出する位置、つまり、電子部品のZ軸方向の位置を決定する。なお、制御部60は、ステップS120及びステップS122の処理を、電子部品の吸着前に行ってもよい。
制御部60は、ステップS122で計測位置を決定し、かつノズルで電子部品を吸着した場合、ステップS124として、電子部品のZ軸位置を調整する。つまり、制御部60は、ノズルをZ軸方向に移動させることで、電子部品のステップS122で決定した計測位置をレーザ認識装置38の計測領域に移動させる。制御部60は、ステップS124で電子部品のZ軸位置を調整したら、ステップS126として電子部品の形状を計測する。つまり、制御部60は、レーザ認識装置38を用いて電子部品の計測位置における形状を検出する。
制御部60は、ステップS126で電子部品の計測位置における形状を検出したら、ステップS128として計測終了かを判定する。つまり制御部60は、ステップS122で決定した計測位置での形状の計測が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS128で計測終了ではない(No)と判定した場合、ステップS124に進み、ステップS124とステップS126の処理を再び行い、計測が終了していない計測位置の形状を計測する。制御部60は、このように電子部品の位置の調整と形状の計測とを繰り返すことで、設定した計測位置の形状を検出する。
制御部60は、ステップS128で計測終了である(Yes)と判定した場合、ステップS130として計測結果と基準データとを比較する。ここで基準データは、ステップS120で取得した吸着対象(保持対象)の電子部品の形状のデータである。制御部60は、計測結果と基準データとを比較することで、吸着している電子部品が基準データと一致する形状であるか、電子部品の向きが基準データの向きと一致するか等を判定する。
制御部60は、ステップS130で比較を行ったら、ステップS132として部品は適正であるかを判定する。具体的には、制御部60は、ステップS132で電子部品を実装可能な状態で吸着しているかを判定する。制御部60は、ステップS132で部品は適正ではない(No)と判定した場合、ステップS134としてノズルが吸着している電子部品を廃棄し、本処理を終了する。制御部60は、部品貯留部19と対面する位置にヘッド及びノズルを移動させ、当該ノズルが保持している電子部品を部品貯留部19に投入することで、電子部品を廃棄する。なお、制御部60は、同一種類の電子部品を基板の同一搭載位置(実装位置)に実装する処理を再び実行する。
制御部60は、ステップS132で部品は適正である(Yes)と判定した場合、ステップS136として部品の方向(ノズルの回転方向における方向)が適正であるかを判定する。つまり、吸着している電子部品が基準の向きと同一であるかを判定する。なお、本実施形態の制御部60は、ステップS136として電子部品は反転しているかを判定する。制御部60は、ステップS136で方向が適正ではない、つまり電子部品が反転した状態である(No)と判定した場合、ステップS138で電子部品を反転させた後ステップS140に進む。
制御部60は、ステップS136でYesと判定した場合またはステップS138の処理を実行した場合、ステップS140として保持位置に基づいて、電子部品の搭載位置(実装位置)を微調整する。例えば、電子部品の形状の検出結果に基づいて、ノズルが電子部品を吸着している位置を検出し、基準位置に対する保持位置のずれに基づいて、実装時のノズルと基板の相対位置を調整する。制御部60は、ステップS140の処理を実行したら本処理を終了する。また、制御部60は、図85のステップS140の処理を行ったら、判定した電子部品をステップS140の結果を加味して電子部品を基板に実装する。
電子部品実装装置10は、このようにレーザ認識装置38を用いて電子部品の形状を検出し、その結果に基づいて各種処理を行うことで、基板により適切に電子部品を実装することができる。
電子部品実装装置10は、図85に示すフローチャートのステップS134で電子部品を廃棄したが、電子部品のリードの形状が不適切と判定した場合、リードの形状を修正する処理を実行するようにしてもよい。つまり、ステップS134で電子部品を廃棄せずに、電子部品のリードを挿入可能な形状に補正(加工)し、搭載位置(実装位置)に実装するようにしてもよい。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置100のカットユニットの電子部品をクランプする機構で電子部品のリードを修正するようにしても、別途設けた修正機構で電子部品のリードを修正するようにしてもよい。このようにリードの形状を加工する加工手段としては、電子部品の本体またはリードをクランプする機構、別途も受けて修正機構等、種々の手段を用いることができる。
図86は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図86を用いて、電子部品のリードの状態(形状)の認識動作について説明する。なお、図86に示す処理は、上述したレーザ認識装置38を用いた電子部品の認識処理と一部同一の処理である。電子部品実装装置10は、ステップS150として、Z軸位置を調整し、リードの形状を計測位置に移動させる。電子部品実装装置10は、ステップS150で測定位置に電子部品を移動させたら、ステップS152として電子部品を回転させて計測を実行する。なお、ステップS152の処理は上述した図70の処理と同様である。電子部品実装装置10は、ステップS152で計測を実行したら、ステップS154として計測結果に基づいて、リードの最外形状を検出する。つまり計測位置におけて外側のリードをつなげた形状を検出する。
電子部品実装装置10は、ステップS154でリードの最外形状を検出したら、ステップS156として、電子部品の向きを設定した向きに回転させ、設定した向きで計測を行い、つまり固定された1つの向きで計測を行い、ステップS158として、計測結果に基づいてリードの本数を検出し、本処理を終了する。
ここで、図87Aは、電子部品の一例を示す説明図である。図87Bは、リードの計測結果の一例を示す説明図である。図88Aは、電子部品の一例を示す説明図である。図88Bは、リードの計測結果の一例を示す説明図である。電子部品実装装置10は、例えば、図87Aに示す電子部品670のリードの形状の計測を行う場合、ステップS156において紙面前後方向にレーザ光が照射される向きで計測を行う。図87Aに示す向きでリードの形状の計測を行うと、計測結果として図87Bに示す画面672に示す波形673が検出される。波形673は、リードがある位置で出力が低下する。電子部品670は、リードを5本備える。このため波形673は、出力が低減する谷が5箇所で検出される。
次に、電子部品実装装置10は、図88Aに示す電子部品671のリードの形状の計測を行う場合、ステップS156で紙面前後方向にレーザ光が照射される向きで計測を行う。図88Aに示す向きでリードの形状の計測を行うと、計測結果として図88Bに示す画面674に示す波形675が検出される。波形675は、リードがある位置で出力が低下する。電子部品671は、リードを3本備える。このため波形675は、出力が低減する谷が3箇所で検出される。
このように、電子部品実装装置10は、電子部品を所定の向きに固定して、形状の計測を行い、その結果を解析することで、電子部品の最外形状に加え、所定向きで検出されるリードの本数(ピンの本数)を検出することができる。電子部品実装装置10は、図86の処理を行うことで、電子部品の外形形状に加え、リードの本数を検出することができる。
図89及び図90を用いて、形状を計測した電子部品が適正であるかの判定の一例を説明する。つまり、図85のステップS130、S132で実行する処理の一例を説明する。図89は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図90は、リードと挿入穴との関係を示す説明図である。電子部品実装装置10は、ステップS160として、電子部品のリードの最外形状を取得する。なお、リードの最外形状は、上述した図86の処理で検出することができる。電子部品実装装置10は、ステップS160で形状を取得したら、ステップS162として、実装する電子部品と一致するかを判定する。つまり、リードの最外形状の特徴点に基づいて、ノズルが保持している電子部品が、実装する対象の電子部品であるかを判定する。なお、ステップS162の判定を実行する際にリードの最外形状以外の形状、本体の形状等を比較してもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS162で電子部品と一致している(Yes)と判定した場合、ステップS166に進み、一致していない(No)と判定した場合、ステップS169に進む。電子部品実装装置10は、ステップS162でYesと判定した場合、ステップS166として、最外形状の間隔が許容範囲に含まれるかを判定する。具体的には、電子部品実装装置10は、検出したリードの最外形状と、リードを挿入する基板の挿入穴とを比較し、リードの最外形状の間隔が挿入穴の間隔の許容範囲内であるかを判定する。
以下、図90に示す四角形の頂点に配置された4つの挿入穴682のそれぞれに電子部品680のリード684を挿入する場合の許容範囲について説明する。なお、図90は、紙面上下方向がY方向、紙面左右方向がX方向となる。ここで、挿入穴682の径は、dPとなり、リード684の径は、dLとなる。また、設計値のリード684の最も離れた位置を結んだX方向の距離は、dAとなり、設計値のリード684の最も離れた位置を結んだY方向の距離は、dBとなる。
図90に示す例の場合、設計値では、挿入穴682の中心とリード684の中心が重なるようにそれぞれが配置されている。この場合、許容範囲の上限値は、挿入穴682の最も離れた位置を結んだ距離となる。つまり、X方向の上限値は、挿入穴682のX方向の最も離れた点の距離であるdCとなる。Y方向の上限値は、挿入穴682のY方向の最も離れた点の距離であるdDとなる。また、許容範囲の下限値は、挿入穴682の最も距離が近い位置に内接した場合のリード684の最も離れた位置を結んだ距離となる。X方向の下限値は、リード684aのX方向の最も離れた点の距離であるdEとなる。Y方向の下限値は、リード684bのY方向の最も離れた点の距離であるdFとなる。なお、図90に示す許容範囲(上限値、下限値)は、一例であり、許容範囲は種々の設定とすることができる。例えば、リードの少なくとも一部が挿入穴と接触する間隔であればよいとする許容範囲を設定してもよい。許容範囲を広くすることで、廃棄する電子部品を低減することができ、許容範囲を狭くすることで、実装ミスが生じることを抑制することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS166で最外形状の間隔が許容範囲に含まれる(Yes)と判定した場合、ステップS168として、電子部品が適正であると判定し、本処理を終了する。電子部品実装装置10は、ステップS166で最外形状の間隔が許容範囲に含まれない(No)と判定した場合、ステップS162でNoと判定した場合、ステップS169として、電子部品が適切ではないと判定し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、リードの形状を検出し、検出した結果に基づいて、電子部品が適切であるか否か、具体的には、挿入穴に挿入可能か否かを判定することで、電子部品をより確実に基板に実装することができる。つまり、電子部品のリードをより確実に挿入穴に挿入することができる。特に、ラジアルフィーダのように、電子部品供給装置でリードを切断して、保持位置に供給する構成の場合、リードが変形しやすいため、保持した電子部品が実装できない場合が生じやすい。電子部品実装装置10は、リードの状態を判定できるため、実装できない電子部品を用いて基板に実装動作を行うことを抑制することができ、挿入されていない電子部品が基板上に残ることを抑制することができる。これにより、他の電子部品に悪影響を与えることも抑制することができる。なお、図89の処理を実行する場合、電子部品のリードの形状を検出する図86の処理のうち、ステップS156、S158の処理は、実行しなくてもよい。
図91は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図89は、電子部品の最外形状に基づいて、電子部品の適否を判定したら、リードの本数に基づいた判定をさらに行ってもよい。電子部品実装装置10は、ステップS160として、電子部品のリードの最外形状を取得する。電子部品実装装置10は、ステップS160で形状を取得したら、ステップS162として、実装する電子部品と一致するかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS162で電子部品と一致している(Yes)と判定した場合、ステップS163に進み、一致していない(No)と判定した場合、ステップS169に進む。電子部品実装装置10は、ステップS162でYesと判定した場合、ステップS163として、部品のリードの本数を取得する。なお、リードの本数は、最外形状とともに取得してもよい。また、最外形状、リードの本数は、本処理の前に予め計測しておいてもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS163でリードの本数を取得した場合、ステップS164として、実装する電子部品と一致するかを判定する。つまり、リードの本数が実装する電子部品のリードの本数と同じであるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS164で電子部品と一致している(Yes)と判定した場合、ステップS166に進み、一致していない(No)と判定した場合、ステップS169に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS164でYesと判定した場合、ステップS166として、最外形状の間隔が許容範囲に含まれるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS166で最外形状の間隔が許容範囲に含まれる(Yes)と判定した場合、ステップS168として、電子部品が適正であると判定し、本処理を終了する。電子部品実装装置10は、ステップS166で最外形状の間隔が許容範囲に含まれない(No)と判定した場合、ステップS162、S164でNoと判定した場合、ステップS169として、電子部品が適切ではないと判定し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、電子部品のリードの本数を検出し、比較することで、リードの本数のみが異なる電子部品も見分けることができる。これにより、リードの最外形状を検出し、リードの形状を判定する場合も、リードの本数が異なる電子部品を識別することができる。
電子部品実装装置10は、電子部品のリードの形状を検出する装置として、レーザ認識装置38を用いることで、リードの形状を簡単な処理で検出することができる。なお、上記実施形態では、短時間で処理、判定ができるため、リードの形状として最外形状(最外のリードの間隔)を検出したが、他の形状、例えば、リードの径や、最外以外のリードの間隔を検出してもよい。また、電子部品実装装置10は、レーザ認識装置38を用いることで搭載型電子部品の実装に使用する構成を用いて、挿入型電子部品(リード型電子部品)の実装を好適に実行することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品のリードの形状を検出する装置として、他の装置例えば、カメラを備えるVCSユニット17を用いてもよい。なお、VCSユニット17を用いる場合は、電子部品の下側から電子部品の形状を計測することになるため、電子部品を側面から計測することができる、つまりZ軸方向の位置が光源38a、受光素子38bと同じ位置の電子部品を計測できるレーザ認識装置38を用いる場合よりも処理が煩雑になり、精度が低下する場合もある。
次に、図92及び図93を用いて、電子部品の搭載順序(実装順序)の決定動作について説明する。搭載順序には、挿入する電子部品の順序も含む。図92は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。
本実施形態の電子部品実装装置10は、生産プログラムのデータとして、図92に示すリスト302を備える。リスト302は、基板の搭載点(基板に挿入する点も含む)に対する搭載レイアの情報と挿入部品指定の情報である。ここで、搭載レイアとは、電子部品の搭載順序を決定する際に用いられる優先度の情報であり、1から7の数値で設定される。ここで、搭載レイアは、数値が小さいほど搭載順序が先と判定され、大きいほど搭載順序が後と判定される数値である。なお、搭載レイアは、オペレータが各種情報を考慮して設定する値である。挿入部品指定とは、搭載点に搭載する電子部品が挿入部品であるか否かを示す項目である。なお、図92では挿入部品に指定された搭載点をYesで示す。ここで、挿入部品とは、主としてラジアルリード型電子部品等のリードを基板に形成された穴に挿入する電子部品である。なお、挿入部品指定もオペレータが設定する情報である。このため、電子部品の種類によらず、オペレータが挿入部品であると判定した搭載点は挿入部品指定をYesとすることができる。
電子部品実装装置10は、リスト302の情報を用いて、搭載順序リスト304を作成する。ここで、搭載順序リスト304は、リスト上側の搭載点が先に電子部品が搭載される搭載点となり、リスト下側の搭載点が後に電子部品が搭載される搭載点となる。つまり搭載順序リスト304は、電子部品が搭載される順番が早い順で上から順番に表示される。ここで、搭載順序リスト304の内部レイアは、搭載レイアと挿入部品指定とに基づいて制御部60が決定したレイアの情報である。制御部60は、内部レイアの数値が小さい搭載点から順番に電子部品を搭載する搭載点を決定する。
図93は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図93に示す処理は、リスト302に基づいて搭載順序リスト304を作成する処理の一例である。図93に示す処理は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。制御部60は、ステップS200として生産プログラムを読み出す。制御部60は、生産プログラムを外部の装置から読み出したり、電子部品実装装置10の記憶部から読み出したりする。制御部60は、ステップS200で生産プログラムを読み出したら、ステップS202として搭載点nの情報を取得する。具体的には、搭載点nの搭載レイアの情報と挿入部品指定の情報を取得する。
制御部60は、ステップS202で搭載点nの情報を取得したら、ステップS204として、搭載点n=挿入部品であるか、つまり搭載点nの挿入部品指定の情報がYesであるかを判定する。制御部60は、ステップS204で搭載点n=挿入部品ではない(No)と判定した場合、ステップS206として内部レイア=搭載レイアとする。つまり制御部60は、搭載点nの挿入部品指定の情報がYesではない場合、搭載レイアの数値を内部レイアの数値とする。制御部60は、ステップS206の処理を行ったら、ステップS210に進む。制御部60は、ステップS204で搭載点n=挿入部品である(Yes)と判定した場合、ステップS208として内部レイア=搭載レイア+7とする。つまり制御部60は、搭載点nの挿入部品指定の情報がYesである場合、搭載レイアの数値に7を加算した数値を内部レイアの数値とする。制御部60は、ステップS208の処理を行ったら、ステップS210に進む。
制御部60は、ステップS206またはステップS208の処理を行ったら、ステップS210として、搭載データが終了であるか、つまりすべての搭載点について内部レイアを算出したかを判定する。制御部60は、ステップS210で終了ではない(No)と判定した場合、ステップS212として搭載点nをn+1とした後、ステップS202に進む。つまり、内部レイアの検出対象の搭載点を次の搭載点として、上述した処理を行う。
制御部60は、ステップS210で終了である(Yes)、つまりすべての搭載点の内部レイアを設定したと判定した場合、ステップS214として搭載順を決定する。つまり制御部60は、設定した内部レイアと各種条件に基づいて、搭載点に電子部品を搭載する順序を決定する。制御部60は、搭載順を決定したら、搭載順序リストを作成し、本処理を終了する。
このように、電子部品実装装置10は、オペレータが挿入部品であるか否かを設定できる項目を設け、挿入部品に設定された搭載点の内部レイアに一定の加算を行うことで、挿入部品が後から基板に搭載されるようにすることができる。また、オペレータは、挿入部品であるか否かを判定するのみで、対象の電子部品の搭載順を後にすることができる。これにより、搭載レイアの設定の際に、搭載レイアのためのレイアを考慮して電子部品の搭載レイアを設定する必要がなくなる。これにより、搭載レイアを決定する操作がオペレータに与える負担を少なくすることができる。
図94を用いて、電子部品実装装置の部品供給装置の動作について説明する。図94は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図94に示す処理は、部品供給制御部64が、制御部60の処理に基づいて部品供給装置の各部の動作を制御することで実行される。なお、図94に示す処理は、保持領域に電子部品が配置されていない状態で開始される。部品供給制御部64は、ステップS260として、テープを1ピッチ分移動させる。つまり、部品供給制御部64は、フィードユニットの送り爪を1往復または送り方向に移動させることで、テープを1ピッチ分移動させる。これにより、テープ本体に保持された電子部品が保持領域に移動される。
部品供給制御部64は、ステップS260で電子部品を保持領域に移動させたら、ステップS262として保持領域に移動させた電子部品のリードを切断する。つまり、部品供給制御部64は、リードの部品本体とテープ本体との間にある部分を、カットユニットで切断する。部品供給制御部64は、ステップS262でリードを切断したら、ステップS264としてクランプ状態を維持する。つまり部品供給制御部64は、カットユニットでリード線を切断した後、切断した歯でリードを挟み込んでいる状態を維持する。
部品供給制御部64は、ステップS264でクランプ状態を維持したら、ステップS266としてノズル32が電子部品を保持(吸着または把持)しているかを判定する。部品供給制御部64は、ステップS266で電子部品がノズルに保持されていない(No)と判定した場合、ステップS264に進む。部品供給制御部64は、電子部品がノズルに保持されていると判定されるまで、電子部品のクランプ状態を維持する。
部品供給制御部64は、ステップS266で電子部品がノズルに保持されている(Yes)と判定した場合、ステップS268として電子部品を開放し、つまりクランプ状態を解除する。これによりリードが切断されテープから分離された電子部品は、ノズルにより所定の搭載位置(実装位置)に移動され、基板に搭載される。
部品供給制御部64は、ステップS268で電子部品を開放したら、ステップS270としてテープ送り要求があるかを判定する。ここでテープ送り要求とは、テープを1ピッチ分移動させ、保持領域に次の電子部品を移動させる要求である。部品供給制御部64は、ステップS270で要求あり(Yes)と判定した場合、ステップS260に進み、上記処理を再び実行する。
部品供給制御部64は、ステップS270で要求なし(No)と判定した場合、ステップS272として処理終了かを判定する。部品供給制御部64は、ステップS272で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS270に進む。また、部品供給制御部64は、ステップS272で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
部品供給制御部64は、以上のように保持領域に電子部品を移動させ、リードを切断してクランプし、電子部品がノズルに吸着されたら、クランプを解除することで、ラジアルリード型電子部品をノズルに移動可能な状態で吸着させることができる。
図95は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図95に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図95に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS302として、基板を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS302で基板を搬入したら、ステップS304として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS304で保持移動を行ったら、ステップS306として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS306でノズル32を下降させたら、ステップS308として、ノズル32で部品を保持し、ステップS310として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS310でノズルを所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS312として、ノズル32で吸着している電子部品の形状を検出する。制御部60は、ステップS312で電子部品の形状を検出したら、ステップS314としてノズルを上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS312の部品形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS316として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS318として、ノズル32を下降させ、ステップS320として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を開放する処理動作を行い、ステップS322として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS312からステップS320の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS322でノズルを上昇させた場合、ステップS324として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS324で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS304に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS324で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、図96を用いて、部品供給装置100に保持される電子部品をノズルが吸着する前後の部品供給装置100とヘッド15の動作について説明する。図96は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図96に示す処理は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS340として、ヘッド15のXY吸着移動を行い、かつ、部品供給装置100による電子部品のクランプを開始する。つまり、制御部60は、ステップS340として、ヘッド15をXY方向に移動させ、ノズル32を保持領域に移動させる。また、制御部60は、部品供給装置100の保持領域に電子部品を配置し、その後、リードを切断し、クランプした状態とする。
制御部60は、ステップS340の処理を行い、ステップS342としてヘッド15の保持位置移動が完了した場合、つまり、ヘッド15のノズル32を保持領域に移動させたら、ステップS344としてクランプ待ち時間と経過時間とを比較し、ステップS346として待ち時間が経過したか、つまり経過時間がクランプ待ち時間以上であるかを判定する。
制御部60は、ステップS346で待ち時間が経過していない(No)、つまり経過時間がクランプ待ち時間未満であると判定した場合、ステップS344に進む。制御部60は、待ち時間が経過するまでステップS344、S346の処理を繰り返す。
制御部60は、ステップS346で待ち時間が経過している(Yes)と判定した場合、ステップS348としてZ軸吸着降下を行う。つまり制御部60は、ノズルを保持領域にある電子部品を吸着できる位置までZ軸方向下側に移動させる。制御部60は、ステップS348でZ軸吸着降下を行ったら、ステップS350で部品吸着、つまりノズルで電子部品を吸着し、ステップS352として、クランプ解除待ち時間と既存Z軸下降時待ち時間を比較する。ここで、クランプ解除待ち時間とは部品供給装置100がクランプしている電子部品のクランプ状態を解除するのに必要な処理時間である。既存Z軸下降時待ち時間は、ヘッドのノズルが電子部品を吸着する位置で待機する時間である。なお、既存Z軸下降時待ち時間は予め設定されている値であり、電子部品の吸着処理に必要な時間である。
制御部60は、ステップS352で比較を行ったら、ステップS354としてクランプ解除待ち時間の方が大きいか、つまり既存Z軸下降時待ち時間<クランプ解除待ち時間であるかを判定する。制御部60は、ステップS354で、クランプ解除待ち時間の方が大きい(Yes)、つまり既存Z軸下降時待ち時間<クランプ解除待ち時間であると判定した場合、ステップS356としてクランプ解除待ち時間分待機し、ステップS360に進む。また、制御部60は、ステップS354で、クランプ解除待ち時間の方が大きくない(No)、つまり既存Z軸下降時待ち時間≧クランプ解除待ち時間であると判定した場合、ステップS358として既存Z軸下降時待ち時間分待機し、ステップS360に進む。
制御部60は、ステップS356、S358の処理を行ったら、ステップS360としてヘッドのZ軸吸着上昇と、部品供給装置のフィード動作とを行い、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図95及び図96に示す処理動作を実行することで、基板に電子部品を搭載することができる。
次に、図97から図98Bを用いて、ノズルで電子部品供給装置100の保持位置にある電子部品を保持する場合の処理の一例について説明する。図97は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図98Aは、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。図98Bは、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。図97に示す処理は、電子部品実装装置10の制御装置20が各部を制御することで実行することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS402として、ノズルで電子部品の保持動作を実行する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置の保持領域にある電子部品をノズルで保持(吸着、把持)する動作を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS402で保持動作を実行したら、ステップS404として、電子部品の保持状態を検出する。具体的には、レーザ認識装置38やVCSユニット17でノズルが電子部品を保持しているかを検出する。
電子部品実装装置10は、ステップS404で保持状態を検出したら、ステップS406として、ノズルが電子部品を保持しているかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS406で電子部品を保持している(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。電子部品実装装置10は、ステップS406で電子部品を保持していない(No)と判定した場合、ステップS408として、電子部品供給装置の保持位置の状態を検出する。例えば、電子部品実装装置10は、高さセンサ37で保持位置の高さを検出し、保持位置に電子部品があるかを検出する。なお、撮影装置36で撮影して電子部品の有無を検出してもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS408で保持位置の状態を検出したら、ステップS410で保持位置に電子部品があるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS410で電子部品がある(Yes)と判定した場合、ステップS416に進み、電子部品がない(No)と判定した場合、ステップS412に進む。ここで、電子部品実装装置10は、高さセンサ37で保持位置の高さに基づいて電子部品の有無を検出する。例えば、図98Aに示すように、保持領域に電子部品80がある場合、保持領域の高さは高くなり、図98Bに示すように、保持領域に電子部品80がない場合、保持領域の高さは低くなる(テープの位置となる)。以上より、電子部品実装装置10は、保持領域の高さがしきい値より高い場合電子部品ありと判定し、しきい値より低い場合電子部品なしと判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS410でNoと判定した場合、ステップS412として、送り動作回数がしきい値回数以上かを判定する。ここで、送り動作とは、電子部品供給装置100が電子部品の配置間隔分、テープを送る動作である。ステップS412の送り動作回数は、電子部品が吸着できない状態で送り動作を行った回数である。電子部品実装装置10は、ステップS412で送り動作回数がしきい値回数以上である(Yes)と判定した場合、ステップS416に進み、送り動作回数がしきい値回数以上ではない(No)と判定した場合、ステップS414に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS412でNoと判定した場合、ステップS414として、テープ送り動作を実行して、ステップS402に進む。電子部品実装装置10は、ステップS410またはステップS412でYesと判定した場合、ステップS416としてエラー処理を実行し、本処理を終了する。ここで、電子部品実装装置10は、ステップS410でYesと判定した場合、エラー処理として、電子部品が保持位置に残っていることを通知する。電子部品実装装置10は、ステップS412でYesと判定した場合、エラー処理として、電子部品供給装置100で送り動作を一定回数行っても部品が確認できないことを通知する。
電子部品実装装置10は、このように、保持位置に電子部品が残っていない場合は、テープを送り、電子部品の保持動作を再度実行することで、テープに電子部品が配置されていない部分があっても、装置を停止させることなく電子部品の実装を継続することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置100でリードを切断した電子部品がノズルに保持されることなく、保持位置から移動した場合でも、保持位置に電子部品が残っていない場合、実装動作を継続することで、より効率よく電子部品を実装することができる。
図99は、ノズルの一例を示す説明図である。図100は、図99のノズルの保持動作を説明するための説明図である。図99及び図100は、把持ノズル(グリッパーノズル)の一例を示す図である。図99及び図100に示すノズル690は、固定アーム692と、可動アーム694とを有する。ノズル690は、可動アーム694の支点695がノズル690の本体に回動可能な状態で固定されており、可動アーム694は、支点695を軸として固定アーム692と対面する部分が固定アーム692に近づく方向から遠ざかる方向に移動することができる。可動アーム694は、ノズル690の本体の部分、固定アーム692に近づいたり遠ざかったりする部分とは、支点695を介して反対側に駆動部696が連結されている。駆動部696は、吸着ノズルを駆動する駆動源(空気圧)により移動される。可動アーム694は、駆動部696が移動することで、固定アーム692と対面する部分が固定アーム692に近づく方向から遠ざかる方向に移動する。
ノズル690は、固定アーム692と可動アーム694との間に電子部品80がある状態で、固定アーム692と可動アーム694との距離を縮めることで、図100に示すように、電子部品80を把持することができる。
把持ノズルは、ノズル690に限定されず、種々の形状とすることができる。図101Aから図101Dは、それぞれノズルの一例を示す説明図である。図101Aに示すノズル690a、図101Bに示すノズル690b、図101Cに示すノズル690c及び図101Dに示すノズル690dは、それぞれ固定アームと可動アームとの間隔や、可動範囲が異なる。このため、ノズル690aからノズル690dは、把持できる電子部品の形状が異なる。
電子部品実装装置10は、保持する電子部品の種類に応じて、当該電子部品を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズル中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品を実装することができる。
次に、図102を用いて、電子部品実装装置が電子部品を実装している間の処理の一例を説明する。図102は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、ステップS450としてヘッドの各ノズルで保持する電子部品を特定する。つまり、次にノズルが保持する電子部品の種類を特定する。
電子部品実装装置10は、ステップS450で電子部品を特定したら、ステップS452としてノズルの交換があるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS452でノズルの交換なし(No)と判定したら、ステップS456に進む。電子部品実装装置10は、ステップS452でノズルの交換あり(Yes)と判定したら、ステップS454としてノズルの交換を実行する。具体的には、電子部品実装装置10は、ヘッド15を交換ノズル保持機構18に移動させ、ヘッドが保持しているノズルを交換ノズル保持機構18に移動させ、交換ノズル保持機構18に保持され次に使用するノズルをヘッドに装着する。電子部品実装装置10は、交換ノズル保持機構18でヘッドに装着されたノズルを吸着ノズルから把持ノズルに換えたり、吸着ノズルの種類を変えたり、把持ノズルの種類を変えたりする。電子部品実装装置10は、ステップS454の処理を行ったら、またはステップS452でNoと判定した場合、ステップS456として電子部品の保持動作、つまりヘッド15に装着されたノズルを用いてステップS450で特定した電子部品の保持動作を実行し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図102に示すように、電子部品の種類に応じて、ヘッドが装着するノズルを交換することで、より適切なノズルで電子部品を保持することができる。また、ノズルを交換可能とすることで、1つの電子部品実装装置10で、リード型電子部品、搭載型電子部品の両方を適切に保持することができる。またより多くの種類の電子部品を保持することができる。電子部品実装装置10は、リード型電子部品、搭載型電子部品の両方とも、本体部分、つまりリードではない部分を保持することで、共通のノズルを用いて、両方の電子部品を保持することができる。これにより、リードを保持する専用のノズルを設けなくてもリード型電子部品を保持することができる。なお、上記効果を得ることができるため、リード型電子部品の本体を保持することが好ましいが、リードを保持するノズルを設けてもよい。
次に、図103及び図104を用いて、段取り処理(生産プログラムの設定、各部の準備、部品供給装置の調整等)を実行してから、生産を開始するまでの処理の一例を説明する。図103は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図104は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。なお、図103の処理は、生産を一旦中止してから、再開するまでの処理としても実行することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS460として、段取り処理を実行し、ステップS462として、電子部品供給装置100のカットユニットで電子部品のリードをカットし、電子部品をクランプする。なお、ステップS462の処理は、ステップS460の段取り処理の一部の処理として実行する。また、電子部品実装装置10は、電子部品をクランプした後、ヘッドで保持されない。
電子部品実装装置10は、ステップS462の処理を実行したら、ステップS464として、メッセージを出力する。具体的には、図104に示す画面698をメッセージとして表示させる。画面698は、「クランプ状態を維持しますか」というメッセージとYesのボタン699aと、Noのボタン699bが表示されている。
電子部品実装装置10は、ステップS464でメッセージを表示させ、ボタン699a、699bのいずれかが選択され決定されたら、ステップS466として、クランプ状態を維持するかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS466でクランプ状態を維持しない(No)、つまりボタン699bが選択されたと判定したら、ステップS467として、クランプ状態を解除して、電子部品を解放し、本処理を終了する。この場合、オペレータは、保持領域から電子部品を回収する。なお、本実施形態では、クランプ状態を維持するかを問い合わせたが、逆にクランプ状態を解除するかを問い合わせるようにしてもよい。この場合YesとNoの対応が逆になる。
電子部品実装装置10は、ステップS466でクランプ状態を維持する(Yes)、つまりボタン699aが選択されたと判定したら、ステップS468として、クランプ状態を維持し、ステップS469として、生産開始後、クランプした電子部品を使用し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図103に示すように、電子部品のカット位置を調整するため等の目的で、段取り処理の際に、リードがカットされた電子部品を生産開始後に、当該電子部品供給装置の1つ目の電子部品として用いることで、オペレータの負担を軽減することができる。具体的には、電子部品を回収する手間、また回収した電子部品を手差しで基板に挿入する手間をなくすことができる。
次に、図105を用いて、電子部品実装装置10が、電子部品の実装時に実行する処理の一例を説明する。図105は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
電子部品実装装置10は、ステップS470として、電子部品を実装する位置を特定し、ステップS472として、実装する位置の高さを検出する。なお、実装する位置の基板の高さは、高さセンサ37で検出することができる。電子部品実装装置10は、ステップS472で高さを検出したら、ステップS474として、高さがしきい値以下であるか(ヘッドと測定位置との距離がしきい値より長いか)を判定する。つまり、電子部品実装装置10は、基板の電子部品を実装する位置に何も乗っていないかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS474で高さがしきい値以下ではない(No)、つまり高さがしきい値より高いと判定した場合、実装する位置に何かが乗っていると判定して、ステップS476としてエラー処理を行い、本処理を終了する。電子部品実装装置10は、ステップS474で高さがしきい値以下である(Yes)と判定した場合、実装する位置に何かも乗っていないと判定して、ステップS478として、電子部品の実装処理を実行し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図105に示すように、電子部品を搭載する位置の基板の高さを検出し、基板の高さが高い場合、エラー処理を実行することで、基板の搭載する位置に他の部材等の障害物がある場合に、電子部品を実装する動作を実行することを抑制することができる。これにより、基板や電子部品にダメージを与えることを抑制しつつ、電子部品を実装することができる。なお、図105では、処理が簡単にできるため、高さセンサ37で基板の高さを検出したが、撮影装置36で基板上の実装する位置の状態を検出してもよい。
次に、図106を用いて、電子部品実装装置10の電子部品の実装の完了後の処理動作の一例について説明する。図106は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
電子部品実装装置10は、ステップS480として全部品搭載完了か、つまり生産プログラムに基づいて基板に実装する全ての電子部品を基板に実装したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS480で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載していない電子部品があると判定した場合、ステップS480に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS480で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、ステップS482として、搭載位置の電子部品の状態を検出する。ここで、搭載位置の電子部品の状態は、例えば、高さセンサ37で基板の各位置の高さを検出することや、撮影装置36で基板の表面の画像を取得することで検出することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS482で電子部品の状態を検出したら、ステップS484として、電子部品がない搭載位置があるかを判定する。電子部品実装装置10は、高さセンサ37の検出結果を用いる場合は、設計値よりも高さが低い位置(例えば基板の高さ)が検出される搭載位置がある場合、電子部品がないと判定する。また、電子部品実装装置10は、撮影装置36で取得した画像で判定する場合、部品のデータとして記憶している部品の形状とマッチングを行い一致しない場合、電子部品がないと判定することができる。電子部品実装装置10は、ステップS484で、電子部品がない搭載位置がある(Yes)と判定した場合、ステップS486として欠品を示すエラー情報を作成し、ステップS488に進む。なお、電子部品実装装置10は、全ての搭載位置について電子部品があるかを判定し、電子部品がないと判定した全ての搭載位置に対して欠品を示すエラー情報を作成する。電子部品実装装置10は、ステップS484で、電子部品がない搭載位置がない(No)、つまり全ての搭載位置に電子部品が搭載されていると判定した場合、ステップS488に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS484でNoと判定した場合、またはステップS486の処理を実行した場合、ステップS488として、電子部品の位置がずれている搭載位置があるかを判定する。電子部品実装装置10は、高さセンサ37の検出結果を用いる場合は、設計値よりも高さが変化する位置(電子部品のふち)がずれた位置で検出される搭載位置がある場合、電子部品の位置がずれていると判定する。また、電子部品実装装置10は、撮影装置36で取得した画像で判定する場合、部品のデータとして記憶している部品の形状とマッチングを行い、部品の形状が一致するが位置が一致しない場合、電子部品の位置がずれていると判定することができる。電子部品実装装置10は、ステップS488で、電子部品の位置がずれている搭載位置がある(Yes)と判定した場合、ステップS490として位置ずれを示すエラー情報を作成し、ステップS492に進む。なお、電子部品実装装置10は、全ての搭載位置について電子部品の位置がずれているかを判定し、電子部品の位置がずれていると判定した全ての搭載位置に対して位置ずれを示すエラー情報を作成する。電子部品実装装置10は、ステップS488で、電子部品の位置がずれている搭載位置がない(No)、つまり全ての搭載位置の電子部品が適切な位置に搭載されていると判定した場合、ステップS492に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS488でNoと判定した場合、または、ステップS490の処理を実行した場合、ステップS492として、エラー検出ありかを判定する。つまり、ステップS486、ステップS490で作成したエラー情報があるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS492でエラーの検出あり(Yes)と判定した場合、ステップS494として、エラー情報を出力し、本処理を終了する。つまり、電子部品実装装置10は、ステップS486、ステップS490で作成されたエラー情報を出力する。なお、エラー情報の出力方法としては、種々の方法を用いることができる。電子部品実装装置10は、例えば、表示部42にエラー情報を表示させることができる。電子部品実装装置10は、ステップS492でエラーの検出なし(No)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図106に示すように、搭載が完了した後、電子部品が搭載されているかを検出することで、基板に電子部品が適切に搭載されているかを確認することができる。また、電子部品実装装置10で確認することで、目視で確認する手間を低減することができ、かつ、生産した基板が不良品となる恐れを低減することができる。また、検出結果に基づいて、エラー情報を出力することで、オペレータに欠品、位置ずれ等の搭載不良の発生を通知することができる。また、エラー情報として、搭載不良が生じた位置、電子部品の種類を通知することで、次の工程の処理が実行されるまでに、搭載不良を解消することができる。これにより生産効率を向上させることができる。
なお、図106では、判定の対象を全ての搭載部品としたが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、特定の電子部品のみを判定の対象としてもよい。例えば、リード型電子部品のみを対象としてもよいし、ラジアルリード型電子部品のみを判定の対象としてもよい。また、特定の種類の電子部品のみを判定の対象としてもよいし、特定の搭載位置の電子部品のみを判定の対象としてもよい。
次に、図107から図116を用いて、電子部品実装装置の処理動作のうち、電子部品を基板の搭載位置(実装位置)に実装する動作、具体的には、ノズルをZ軸方向に移動させる際の動作について説明する。図107は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図108は、リード型電子部品の一例を示す説明図である。なお、図107に示す処理は、生産プログラム、ティーチング結果に基づいて段取り動作(最適化処理)の際に実行することが好ましい。この場合、電子部品実装装置10は、生産時、つまり実際に電子部品を基板に実装する処理を実行する際に段取り動作で算出した結果に基づいて動作を制御すればよい。なお、電子部品実装装置10は、生産時、つまり実際に電子部品を基板に実装する処理を実行する際、図107に示す処理を行ってもよい。また、電子部品実装装置10は、基板に実装する電子部品毎に図107に示す処理を実行する。
電子部品実装装置10は、ステップS502として、リード型電子部品であるかを判定する。つまり、電子部品実装装置10は、基板に搭載する電子部品(処理対象の電子部品)が基板の挿入穴にリードを挿入させる電子部品であるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS502でリード型電子部品ではない(No)と判定した場合、ステップS504として、第1速度基準でZ軸方向の移動パターンを算出して、本処理を終了する。なお、ステップS504の処理については後述する。
電子部品実装装置10は、ステップS502で、リード型部品である(Yes)と判定した場合、ステップS506として、リードがフォーミングされているかを判定する。ここで、リードがフォーミングされているとは、リードが直線形状ではなく、湾曲部、屈折部が形成されている状態である。例えば、図108に示す電子部品700のように、本体702に連結されているリード704に湾曲部が形成されている場合、リード704がフォーミングされた電子部品となる。リードがフォーミングされた電子部品としては、コネクタ等が励磁される。なお、電子部品は、リードをフォーミングすることで、つまり、湾曲部や屈折部を設けることで、挿入穴に挿入した後に抜けにくくすることができる。つまり、フォーミングした部分が抜け止めとして機能する。
電子部品実装装置10は、ステップS506でリードがフォーミングされていない(No)と判定した場合、ステップS508として、第2速度基準でZ軸方向の移動パターンを算出し、本処理を終了する。なお、ステップS508の処理については後述する。電子部品実装装置10は、ステップS506でリードがフォーミングされている(Yes)と判定した場合、ステップS510として、第3速度基準でZ軸方向の移動パターンを算出し、本処理を終了する。なお、ステップS510の処理については後述する。
次に、図109及び図110を用いて、ステップS504の処理、つまり、第1速度基準に基づいてZ軸方向の移動パターンを算出する方法について説明する。図109は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図110は、ノズルの移動速度と時間との関係を示す説明図である。ここで、ステップS504は、電子部品がリード型電子部品ではない、つまり挿入穴にリードを挿入しない搭載型電子部品であると判定した場合に実行される。つまり、処理対象の電子部品が搭載型電子部品の場合に実行される。
電子部品実装装置10は、ステップS520として、部品高さを取得する。具体的には、電子部品の高さの情報を取得する。電子部品の高さとは、電子部品のZ軸方向の高さである。電子部品実装装置10は、ステップS520で部品高さを検出したら、ステップS522として実装位置とノズルとのZ軸方向の距離を算出する。具体的には、ヘッドが実装位置まで移動され、ノズルをZ軸方向に移動させる際の実装位置とノズルとの距離を算出する。なお、ステップS520とステップS522の処理順序は逆でもよい。また、ステップS520、ステップS522の情報は、予め入力された条件に基づいて取得することができるが、計測で取得してもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS522で実装位置とノズルとの距離を算出したら、ステップS524として、速度V1から速度V2に減速する条件を決定し、ステップS526として、速度V2から減速する条件を決定し、本処理を終了する。ここで、速度V1、V2とは、Z軸方向の移動速度である。速度V1から速度V2に減速する条件とは、Z軸方向への移動時にノズルの移動速度を速度V1から速度V2に減速させる条件である。電子部品実装装置10は、速度V2から減速させる条件とは、Z軸方向への移動時にノズルの移動速度を速度V2からさらに減速させる条件である。
電子部品実装装置10は、ステップS524とステップS526とで、ノズルの移動速度を変更する(減速させる)条件を決定することで、図110に示すノズルの移動パターンを決定する。図110は、ノズルの移動速度と時間との関係、つまり各時間におけるノズルの移動速度を示している。図110に示す第1速度基準に基づいた移動パターンは、ノズルが実装位置への移動(ノズルの降下)を開始すると、速度V1まで加速し、その後、時間t1まで速度V1で移動する。その後、ノズルは、時間t1で減速を開始し、時間t2で速度V2まで減速する。ここで時間t2は、電子部品の下端と基板との距離が設定した距離となる時間である。具体的には、電子部品の下端と基板とが一定の距離まで近づいた時間である。その後、ノズルは、時間t3まで一定速度で移動し、時間t3で減速を開始し、その後、停止する。
電子部品実装装置10は、図110の移動パターンで電子部品を移動させることで、時間t1で電子部品が基板の一定距離内に近づくまで(つまり一定距離よりも遠い範囲では)、速度(第1速度)V1で電子部品を移動させることができる。その後、電子部品が基板に実装(搭載)されるまで、つまり、電子部品が基板の一定距離内に近づいてから搭載が完了するまで(つまり一定距離内の範囲では)、速度V1よりも遅い速度である速度(第3速度)V2で電子部品を移動させることができる。これにより、基板に影響がない範囲では、電子部品を速く移動させ、基板に影響が生じる恐れがある範囲では、電子部品をゆっくり移動させることができる。これにより、基板への搭載の精度を維持しつつ、搭載にかかる時間を短くすることができる。なお、電子部品実装装置10は、電子部品と基板とが接触した後も一定速度で移動させ、その後停止するように時間t3を決定することで、電子部品を基板に押し付けることができ、所定の押圧で基板の半田と電子部品とを接触させることができる。
次に、図111から図114を用いて、ステップS508の処理、つまり、第2速度基準に基づいてZ軸方向の移動パターンを算出する方法について説明する。図111は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図112は、ノズルの移動速度と時間との関係を示す説明図である。図113及び図114は、それぞれ、電子部品実装装置の動作の一例を説明するための説明図である。ここで、ステップS508は、電子部品がリード型電子部品であり、リードがフォーミングされていない、つまり、挿入穴にリードを挿入するリード型電子部品であり、かつリードが直線形状であると判定した場合に実行される。つまり、処理対象の電子部品がフォーミングされていないリード型電子部品の場合に実行される。
電子部品実装装置10は、ステップS530として、部品高さを取得する。具体的には、電子部品の高さの情報を取得する。リード型電子部品の高さは、電子部品のZ軸方向の高さ、つまり図113に示すように電子部品の本体82とリード84の高さを足した部品高さ87である。電子部品実装装置10は、ステップS530で部品高さ(部品長さ)を取得したら、ステップS532として、リード長さを取得する。ここで、リード長さとは、リード84のZ軸方向の高さ、つまり図113に示すように電子部品のリード84の長さ86である。電子部品実装装置10は、ステップS532でリード長さ86を取得したら、ステップS534として、実装位置とノズルとのZ軸方向の距離を算出する。具体的には、ヘッドが実装位置まで移動され、ノズルをZ軸方向に移動させる際の実装位置とノズルとの距離を算出する。なお、ステップS530とステップS532とステップS534の処理順序は逆でもよい。また、ステップS530、ステップS532、ステップS534の情報は、予め入力された条件に基づいて取得することができるが、計測で取得してもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS534で実装位置とノズルとのZ軸方向距離を算出したら、ステップS536として、速度V1から速度V3に減速する条件を決定し、ステップS538として、リード長さに基づいて速度V3から減速する条件を決定し、本処理を終了する。ここで、速度V1、V3とは、Z軸方向の移動速度である。速度(第1速度)V1から速度(第2速度)V3に減速する条件とは、Z軸方向への移動時にノズルの移動速度を速度V1から速度V3に減速させる条件である。電子部品実装装置10は、速度V3から減速させる条件とは、Z軸方向への移動時にノズルの移動速度を速度V3からさらに減速させる条件である。なお、速度V3は、上述した速度V2よりも遅い速度である。
電子部品実装装置10は、ステップS536とステップS538とで、ノズルの移動速度を変更する(減速させる)条件を決定することで、図112に示すノズルの移動パターンを決定する。図112は、ノズルの移動速度と時間との関係、つまり各時間におけるノズルの移動速度を示している。図112に示す第2速度基準に基づいた移動パターンは、ノズルが実装位置への移動(ノズルの降下)を開始すると、速度V1まで加速し、その後、時間t4まで速度V1で移動する。その後、ノズルは、時間t4で減速を開始し、時間t5で速度V3まで減速する。ここで時間t5は、図113に示すように、電子部品の下端(つまりリード84の下端)と基板との距離が設定した距離となる時間である。具体的には、電子部品の下端と基板とか一定の距離まで近づいた時間である。その後、ノズルは、時間t6まで一定速度で移動し、時間t6で減速を開始し、その後、停止する。ここで、電子部品実装装置10は、図112に示す移動パターンで電子部品を実装する場合、時間t5と時間t6の間で図114に示すようにリード84を基板の挿入穴に挿入する。
電子部品実装装置10は、図114の移動パターンで電子部品を移動させることで、時間t4で電子部品が基板の一定距離内に近づくまで(つまり一定距離よりも遠い範囲では)、速度(第1速度)V1で電子部品を移動させることができる。その後、電子部品が基板に実装(搭載)されるまで、つまり、電子部品が基板の一定距離内に近づいてからリードが挿入穴に挿入され搭載が完了するまで(つまり一定距離内の範囲では)、速度V1よりも遅い速度である速度(第2速度)V3で電子部品を移動させることができる。これにより、基板に影響がない範囲では、電子部品を速く移動させ、基板に影響が生じる恐れがある範囲では、電子部品をゆっくり移動させることができる。これにより、基板への搭載の精度を維持しつつ、搭載にかかる時間を短くすることができる。
電子部品実装装置10は、リード長さに基づいて、速度V3から減速するタイミングを検出することで、つまり、時間t5から時間t6までの間隔を決定することで安定してリードを基板に挿入することができる。また、本体82と基板とが一定距離に近づくまで電子部品を移動させることができる。つまり、電子部品実装装置10は、リード長さを判定基準に用いることで、部品高さのみでは調整することができない、リードを挿入穴に挿入させる際の電子部品の移動条件を調整することができる。具体的には、リード型電子部品の本体82の高さを部品高さとすると、リードが基板と接触してから減速する場合があり、リード型電子部品の部品高さ87を部品高さとすると、各部部品毎に押し込み量を調整する必要が生じるが、本実施形態では、リード長さをパラメータとして入力することで、その長さに応じて各種条件を決定することができる。
また、電子部品実装装置10は、リード型電子部品の場合、時間t6のタイミングを調整することで、電子部品と基板とが接触した後に電子部品の本体を基板に押し付ける押圧を調整することができる。これによりはんだペーストに端子を押し付ける搭載型電子部品とは、異なる条件で基板に対して本体を移動させることができる。
次に、図115及び図116を用いて、ステップS510の処理、つまり、第3速度基準に基づいてZ軸方向の移動パターンを算出する方法について説明する。図115は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図116は、ノズルの移動速度と時間との関係を示す説明図である。ここで、ステップS510は、電子部品がリード型電子部品であり、リードがフォーミングされている、つまり、挿入穴にリードを挿入するリード型電子部品であり、かつリードが直線形状ではないと判定した場合に実行される。つまり、処理対象の電子部品がフォーミングされているリード型電子部品の場合に実行される。
電子部品実装装置10は、ステップS540として、部品高さを取得する。具体的には、電子部品の高さの情報を取得する。電子部品実装装置10は、ステップS540で部品高さを取得したら、ステップS541として、リード長さを取得する。電子部品実装装置10は、ステップS541でリード長さを取得したら、ステップS542として、実装位置とノズルとのZ軸方向の距離を算出する。具体的には、ヘッドが実装位置まで移動され、ノズルをZ軸方向に移動させる際の実装位置とノズルとの距離を算出する。なお、ステップS540とステップS541とステップS542の処理順序は逆でもよい。また、ステップS540、ステップS541、ステップS542の情報は、予め入力された条件に基づいて取得することができるが、計測で取得してもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS542で実装位置とノズルとの距離を算出したら、ステップS544として、速度V1から速度V4に減速する条件を決定し、ステップS546として、リード長さに基づいて速度V4から減速する条件を決定し、本処理を終了する。ここで、速度V1、V4とは、Z軸方向の移動速度である。速度(第1速度)V1から速度(第4速度)V4に減速する条件とは、Z軸方向への移動時にノズルの移動速度を速度V1から速度V4に減速させる条件である。電子部品実装装置10は、速度V4から減速させる条件とは、Z軸方向への移動時にノズルの移動速度を速度V4からさらに減速させる条件である。なお、速度(第4速度)V4は、上述した速度(第2速度)V3よりも遅い速度である。
電子部品実装装置10は、ステップS544とステップS546とで、ノズルの移動速度を変更する(減速させる)条件を決定することで、図116に示すノズルの移動パターンを決定する。図116は、ノズルの移動速度と時間との関係、つまり各時間におけるノズルの移動速度を示している。図116に示す第3速度基準に基づいた移動パターンは、ノズルが実装位置への移動(ノズルの降下)を開始すると、速度V1まで加速し、その後、時間t7まで速度V1で移動する。その後、ノズルは、時間t7で減速を開始し、時間t8で速度V4まで減速する。ここで時間t8は、電子部品の下端(つまりリードの下端)と基板との距離が設定した距離となる時間である。具体的は、電子部品の下端と基板とが一定の距離まで近づいた時間である。その後、ノズルは、時間t9まで一定速度で移動し、時間t9で減速を開始し、その後、停止する。
電子部品実装装置10は、図116の移動パターンで電子部品を移動させることで、図112の場合と同様に、時間t7で電子部品が基板の一定距離内に近づくまで(つまり一定距離よりも遠い範囲では)、速度(第1速度)V1で電子部品を移動させることができる。その後、電子部品が基板に実装(搭載)されるまで、つまり、電子部品が基板の一定距離内に近づいてからリードが挿入穴に挿入され搭載が完了するまで(つまり一定距離内の範囲では)、速度V1よりも遅い速度である速度(第4速度)V4で電子部品を移動させることができる。これにより、基板に影響がない範囲では、電子部品を速く移動させ、基板に影響が生じる恐れがある範囲では、電子部品をゆっくり移動させることができる。これにより、基板への搭載の精度を維持しつつ、搭載にかかる時間を短くすることができる。
電子部品実装装置10は、リード長さに基づいて、速度V4から減速するタイミングを検出することで、つまり、時間t8から時間t9までの間隔を決定することで、上述と同様に安定してリードを基板に挿入することができる。また、本体82と基板とが一定距離に近づくまで電子部品を移動させることができる。
また、電子部品実装装置10は、リード型電子部品の場合、時間t9のタイミングを調整することで、電子部品と基板とが接触した後に電子部品の本体を基板に押し付ける押圧を調整することができる。これにより、はんだペーストに端子を押し付ける搭載型電子部品とは、異なる条件で基板に対して本体を移動させることができる。
また、電子部品実装装置10は、リードがフォーミングされており、挿入穴の挿入時により大きい摺動抵抗が生じる場合は、リードを挿入穴に挿入する際の移動速度を速度V3より遅い速度V4とすることで、フォーミングされているリードを好適に挿入穴に挿入することができる。これにより、リードがフォーミングされている電子部品を好適に基板に実装することができる。
電子部品実装装置10は、図107から図116に示すように、電子部品の種類に応じて、具体的には、リード型電子部品か搭載型電子部品かで、電子部品のZ軸方向の移動パターンを調整することで、各電子部品に対応した移動パターンで電子部品を基板に実装することができる。さらに、リード型電子部品の場合は、フォーミングされているか否かで、電子部品のZ軸方向の移動パターンを調整することで、各電子部品に対応した移動パターンで電子部品を基板に実装することができる。
電子部品実装装置10は、電子部品が基板の近傍に近づいた範囲での移動速度を搭載型電子部品の場合の移動速度V2よりもリード型電子部品の場合の移動速度V3をより遅くすることで、リード型電子部品をより確実に基板に実装させることが可能となる。
また、電子部品実装装置10は、電子部品が基板の近傍に近づいた範囲での移動速度をリードがフォーミングされていない電子部品の場合の移動速度V3よりもリードがフォーミングされている電子部品の移動速度V4をより遅くすることで、フォーミングされているリードをより確実に挿入穴に挿入させることができる。これにより、電子部品を実装する確率をより高くすることができる。
また、上述したようにリード線電子部品を実装する場合は、リード線長さに基づいて、移動パターンを設定することで、リードをより好適に挿入穴に挿入させることができ、より高い精度でかつ効率よく電子部品を基板に実装することができる。
また、電子部品実装装置10は、図107に示すように、電子部品の種類により、速度基準を変更し、種類に応じた移動パターンで算出することが好ましいが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、リード型電子部品のみを実装する構成の場合、ステップS504の処理を毎回実行するようにしてもよい。また図107のステップS506と、ステップS508、ステップS510の処理を繰り返し行うようにしてもよい。また、電子部品実装装置10は、移動パターンとして速度と時間との関係を示したが、速度と位置、速度と距離の関係で移動パターンを算出してもよい。
次に、図117から図125を用いて、電子部品実装装置10の処理動作のうち、ボウルフィーダユニット400の動作、具体的には、ボウルフィーダユニット400により電子部品を保持位置(保持領域)に供給する動作について説明する。下記で説明するボウルフィーダユニット400の動作は、いずれも制御装置20をボウルフィーダユニット400の制御部として用いて、各部の動作を制御することができる。
まず、図117を用いて、ボウルフィーダユニット400の電子部品供給装置402、404、406の電子部品の満杯判定動作について説明する。図117は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。ここで、電子部品が満杯であるとは、電子部品供給装置402、404、406の対応するレール422に隙間なく電子部品が配置されていると判定される状態である。つまり、電子部品供給装置402、404、406の電子部品が満杯であるとは、レール422に電子部品が満ちており、ボウル420からレール422に新たに電子部品を案内することができないと判定した状態である。以下、電子部品供給装置402が満杯かを判定する場合として説明する。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置402が駆動されている間、図117の処理を繰り返し実行する。なお、電子部品供給装置404、406も同様の処理で判定を行うことができる。
電子部品実装装置10は、ステップS602として、始端側部品検出センサ580aの検出結果を取得し、ステップS604として、電子部品ありかを判定する。つまり、電子部品実装装置10は、始端側部品検出センサ580aの検出結果に基づいて基端レール504の測定位置(レール422の始端)に電子部品があるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS604で電子部品ありではない(No)、つまりレール422の始端に電子部品なしと判定した場合、ステップS606として継続時間をリセットして本処理を終了する。継続時間とは、電子部品ありが継続している間の時間である。
電子部品実装装置10は、ステップS604で電子部品あり(Yes)と判定した場合、ステップS608として、継続時間がしきい値以上であるか、つまりしきい値時間以上電子部品ありと検出している状態が継続しているかを判定する。なお、しきい値は、オペレータが設定した時間、または初期値で設定されている基準時間である。しきい値は、満杯完了待ち時間として入力される。
電子部品実装装置10は、ステップS608で継続時間がしきい値以上ではない(No)と判定した場合、ステップS602に進み、上記処理を繰り返す。電子部品実装装置10は、ステップS608で継続時間がしきい値以上である(Yes)と判定した場合、ステップS610として、満杯であると判定し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図117に示すように、始端側部品検出センサ580aの検出結果を解析することで、電子部品供給装置402が満杯であるか、つまりレール422(422a)に電子部品が充填されているかを判定することができる。
図117の処理では、始端側部品検出センサの検出結果のみを用いて満杯かを判定したが、さらに保持位置側検出センサの検出結果も利用して満杯かを判定することが好ましい。以下、図118を用いて処理の一例を説明する。
図118は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図118に示す処理の一部は、図117の処理と同様である。そこで同様の処理には、同様のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。電子部品実装装置10は、ステップS602として、始端側部品検出センサ580aの検出結果を取得し、ステップS604として、電子部品ありかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS604で電子部品ありではない(No)、つまり電子部品なしと判定した場合、ステップS606として継続時間をリセットして本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、ステップS604で電子部品あり(Yes)と判定した場合、ステップS612として、保持位置側部品検出センサ582aの検出結果を取得し、ステップS614として、電子部品ありかを判定する。つまり、電子部品実装装置10は、保持位置側部品検出センサ582aの検出結果に基づいて保持位置の測定位置(レール422の終端)に電子部品があるかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS614で電子部品ありではない(No)、つまり保持位置に電子部品なしと判定した場合、ステップS606として継続時間をリセットして本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、ステップS614で電子部品あり(Yes)と判定した場合、ステップS608として、継続時間がしきい値以上であるか、つまりしきい値時間以上電子部品ありと検出している状態が継続しているかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS608で継続時間がしきい値以上ではない(No)と判定した場合、ステップS602に進み、上記処理を繰り返す。電子部品実装装置10は、ステップS608で継続時間がしきい値以上である(Yes)と判定した場合、ステップS610として、満杯であると判定し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図118に示すように、始端側電子部分検出センサ580aの検出結果に加え、保持位置側部品検出センサ582aの検出結果に基づいて、保持位置に電子部品があるかを判定して、満杯であるかを判定することで、満杯の検出精度をより高くすることができる。保持位置の電子部品の有無を検出することで、レール422の途中電子部品が止まっていて、先端まで電子部品が供給されていない状態で、満杯であると判定してしまうことを抑制できる。
次に、図119及び図120を用いて、電子部品供給装置402のエアブロー部590の処理動作を説明する。図119は、操作画面の一例を示す説明図である。図120は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、図119に示す操作画面710を表示させることで、オペレータによりエアブロー部590の制御条件を設定させる。つまり、電子部品実装装置10は、エアブロー部590の制御条件を設定する操作を入力する画面として、操作画面710を表示させることができる。
操作画面710は、ブロー停止間隔の条件を表示させる表示領域712が表示されている。表示領域712は、第1領域718と第2領域720とを有する。第1領域718は、一方のボウルフィーダアセンブリ90の電子部品供給装置402に対応する情報が表示された領域である。第2領域720は、他方のボウルフィーダアセンブリ90の電子部品供給装置402に対応する情報が表示された領域である。第1領域718、第2領域720は、満杯前のブロー停止間隔を入力する入力項目722と、満杯後のブロー停止間隔を入力する入力項目724とが、電子部品供給装置ごと(操作画面720ではレーンごと)に表示されている。ここで、ブロー停止間隔とは、エアブローが停止されている時間である。つまり、エアブロー部590が、エアブローを停止してから次にエアブローを実行するまでの時間である。該当する電子部品供給装置は、満杯が検出されていない場合、入力項目722の停止間隔でエアブローを実行し、満杯が検出されている場合、入力項目724の停止間隔でエアブローを実行する。また、表示領域712は、ボウルフィーダアセンブリ90ごとに領域を分け、さらに電子部品供給装置毎に入力項目722、724を表示させることで、各電子部品供給装置に対する間隔を入力しやすくすることができる。電子部品実装装置10は、入力項目722に入力される数値(停止間隔)は、入力項目724に入力された数値(間隔)よりも長い時間に制限することが好ましい。例えば、満杯前ブロー停止時間を10秒とし、満杯後ブロー停止時間を1秒とすることが好ましい。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置が満杯になった場合に、満杯ではない場合より短い間隔でエアブローを実行するようにすることができる。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置が満杯になった場合に、エアブロー間隔を短くすることで、満杯のレール422に電子部品が流れ込み、押し込まれることを抑制することができる。
操作画面710は、さらに、ブロー継続時間を入力する入力項目714と、満杯完了待ち時間を入力する入力項目716とが表示されている。ここで、ブロー継続時間とは、1回のブローが実行されている時間、つまりブローがONになっている時間である。ブロー継続時間は、オペレータが設定できる時間であるが例えば0.2秒である。満杯完了待ち時間とは、センサで電子部品があることを検出してから満杯であると判定するまでの時間、満杯であるかを判定するしきい値の時間、つまり上述したステップS608のしきい値である。電子部品実装装置10は、操作画面710を表示させることで、オペレータが各種条件を入力することが可能となる。
次に、図120を用いて、電子部品実装装置10によるエアブロー部の制御動作について説明する。電子部品実装装置10は、操作画面710で入力された条件及び上述した満杯の判定の結果に基づいてエアブロー部の動作を制御する。電子部品実装装置10は、ステップS620として、駆動装置が駆動されると、ステップS622として駆動装置が停止したかを判定する。ここで、駆動装置とは、ボウルフィーダユニットの駆動装置である。駆動装置が駆動されているとは、電子部品実装装置が稼動している状態(ボウルが振動されている状態)である。電子部品実装装置10は、ステップS622で駆動装置が停止していない(No)と判定した場合、ステップS624として、満杯であるかを判定する。つまり、エアブロー部が設置されている電子部品供給装置が満杯であるかを判定する。なお、満杯であるかは上述した処理で判定することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS624で満杯ではない(No)と判定した場合、ステップS626として満杯前しきい値時間経過したか、つまり直近のエアブローからの経過時間が満杯前しきい値より長いかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS626で満杯前しきい値時間経過していない(No)と判定した場合、ステップS622に進み、ステップS626で満杯前しきい値時間経過している(Yes)と判定した場合、ステップS630に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS624で満杯である(Yes)と判定した場合、ステップS628として満杯後しきい値時間経過したか、つまり直近のエアブローからの経過時間が満杯後しきい値より長いかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS628で満杯後しきい値時間経過していない(No)と判定した場合、ステップS622に進み、ステップS626で満杯後しきい値時間経過している(Yes)と判定した場合、ステップS630に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS626、またはステップS628でYes、つまり経過時間がしきい値より長いと判定した場合、ステップS630として、エアブローを実行し、ステップS632として経過時間をリセットしてステップS622に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS622で駆動装置が停止した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。このように、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置の駆動装置が駆動している間は、上記処理を繰り返し、各状況に基づいた停止間隔でエアブロー部によるエアブローを実行する。
電子部品実装装置10は、満杯前にエアブローを実行することで、ボウルからレールに電子部品を供給する連結部で電子部品のつまりが生じることを抑制することができる。また、電子部品実装装置10は、満杯後にエアブローを実行することで、満杯の状態のレールにボウルから電子部品が供給されることを抑制することができる。これにより、基端レールに電子部品が集中し、電子部品のつまりが生じることを抑制することができる。特に本実施形態の夜に複数の電子部品供給装置を1つの駆動装置で駆動する場合、ボウルの振動は継続するため、エアブローで電子部品を基端レールからボウルに移動させることで、ボウルからレールへの電子部品の供給動作を維持しつつ、基端レールで電子部品が過度に集中することを抑制できる。
図121は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。次に、図121を用いて、ボウルフィーダユニット400の満杯状態の検出結果に基づいた駆動装置の制御動作について説明する。電子部品実装装置10は、ステップ640として、電子部品供給装置402、404、406を駆動し、ステップS642としてモータを励磁する。つまり、電子部品実装装置10は、ボウルフィーダユニット400の各部を起動した状態とする。電子部品実装装置10は、ステップS642でモータを励磁したら、ステップS646として電子部品の供給動作を開始する。つまり、モータを駆動してボウル422等を振動させて、保持位置への電子部品の供給を開始する。なお、電子部品実装装置は、電子部品の供給動作の実行中は、上述したエアブローの動作を実行することが好ましい。
電子部品実装装置10は、ステップS646で供給動作を開始したら、ステップS648として、同一駆動装置で駆動される電子部品供給装置の全てが満杯かを判定する。つまり、1つのボウルフィーダユニット400の電子部品供給装置の全てが満杯かを判定する。なお、各電子部品供給装置が満杯かは、上述した処理で検出することができる。
電子部品実装装置10は、ステップS648で満杯ではない(No)と判定した場合、ステップS650として電子部品供給装置を停止するかを判定する。具体的には、電子部品供給装置を停止する指示があるかを判定する。電子部品実装装置10は、電子部品の実装動作の停止、例えばエラーが出力された場合、電子部品供給装置でエラーが生じた場合、生産が中断された場合等に、電子部品供給装置を停止する指示が出力される。電子部品実装装置10は、ステップS650で停止させる(Yes)と判定した場合、ステップS659に進み、停止させない(No)と判定した場合、ステップS648に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS648で満杯である(Yes)と判定した場合、ステップS652として、励磁状態を維持してモータを停止させ、ステップS654として、保持位置側部品検出センサ582で部品なしを検出したかを判定する。なお、電子部品実装装置10は、保持位置側部品検出センサ582で部品なしを検出したかに替えて、電子部品供給装置の保持位置の電子部品をヘッドで保持したかを判定してもよい。電子部品実装装置10は、ステップS654で、保持位置側部品検出センサ582で部品なしを検出した(Yes)と判定した場合、ステップS646に進む。電子部品実装装置10は、ステップS654で、保持位置側部品検出センサ582で部品なしを検出していない(No)と判定した場合、ステップS656として、満杯でなくなった電子部品供給装置があるかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS656で満杯でなくなった電子部品供給装置がある(Yes)と判定した場合、ステップS646に進む。電子部品実装装置10は、ステップS656で満杯でなくなった電子部品供給装置がない(No)、つまり全ての電子部品供給装置が満杯を維持していると判定した場合、ステップS658として、電子部品供給装置を停止するかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS658で停止させる(Yes)と判定した場合、ステップS659に進み、停止させない(No)と判定した場合、ステップS654に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS650またはS658でYesと判定した場合、ステップS659として、励磁状態を解消して、電子部品供給装置を停止させ、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図121に示すように全ての電子部品供給装置が満杯になった場合、モータ430を停止することで、つまり駆動装置408によるボウル420の振動を停止させることで、ボウル420からレール422への電子部品の供給動作を停止させることができる。電子部品実装装置10は、満杯状態でのボウル420からレール422への電子部品の供給動作を停止させることで、消費電力を低減させることができる。また、電子部品実装装置10は、振動の停止時もモータ430を励磁した状態を維持することで、短時間で振動を再開させることができる。これにより、保持位置への電子部品の供給の遅れの発生を抑制することができ、効率よく電子部品を基板に実装することができる。
電子部品実装装置10は、段取り動作として、つまり基板への電子部品の実装動作を開始する前に、ボウルフィーダアセンブリ90(またはボウルフィーダユニット400)を満杯にさせる満杯補充動作を実行可能とすることが好ましい。
以下、図122から図124を用いて、満杯補充動作を説明する。図122は、操作画面の一例を示す説明図である。図123A及び図123Bは、それぞれ操作画面の一例を示す説明図である。図124は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。
電子部品実装装置10は、段取り動作中にオペレータの操作に基づいて、操作画面730を表示させる。操作画面730は、段取り動作中に各種操作を入力する画面であり、ボタン732が表示されている。ボタン732は、満杯補充動作の実行を指示するボタンである。電子部品実装装置10は、ボタン732に対して操作が入力されると満杯補充動作に関連する図123Aの操作画面740を表示させる。
図123Aに示す操作画面740は、ボタン732が操作されると表示される満杯補充動作の操作画面である。操作画面740は、表示領域742と、ボタン748、749とを含む。表示領域742は、各電子部品実装装置(ボウルフィーダ)の状態を示す表示領域であり、各電子部品実装装置に対応した項目744が表示される。項目744は、満杯補充が完了しているか否か、また、対応する位置に電子部品実装装置が設置されているかを示す。項目744は、満杯である場合「OK」が表示され、満杯でない場合「未完了」が表示される。また、項目744は、対応する位置に電子部品実装装置が設置されていない場合、「****」が表示される。電子部品実装装置は、操作画面740が表示されている状態で、ボタン748が操作されると、満杯補充動作を実行する。電子部品実装装置は、操作画面740が表示されている状態で、ボタン749が操作されると、満杯補充動作を停止する。
図123Bに示す操作画面740aは、満杯補充動作が終了した状態で表示される画面である。操作画面740aは、項目744から「未完了」がなくなっており、メッセージ表示欄746に「満杯補充完了しました。」という文章が表示される。
電子部品実装装置10は、図124に示すように、ステップS660として、満杯補充動作の実行を指示する満杯補充指示を検出したら、ステップS662として、駆動装置を駆動して、電子部品の供給動作を開始する。
電子部品実装装置10は、ステップS662で供給動作を開始したら、ステップS664として、同一駆動装置で駆動される電子部品供給装置の全てが満杯かを判定する。つまり、1つのボウルフィーダユニット400の電子部品供給装置の全てが満杯かを判定する。なお、各電子部品供給装置が満杯かは、上述した処理で検出することができる。電子部品実装装置10は、ステップS664で満杯ではない(No)と判定した場合、ステップS664に進む。電子部品実装装置10は、ステップS664で満杯である(Yes)と判定した場合、ステップS666として、駆動装置を停止して、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図123に示す処理を実行することで、電子部品実装装置を満杯にすることができる。電子部品実装装置10は、電子部品の供給動作の実行中は、上述したエアブローの動作を実行することが好ましい。電子部品実装装置10は、満杯補充動作を実行することで、生産開始時に迅速に電子部品の実装を開始することができる。
次に、図125を用いて、保持位置側部品検出センサの検出結果に基づいたヘッドの制御動作について説明する。図125は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、電子部品の実装動作を実行している間は、図125の処理を繰り返し実行する。電子部品実装装置10は、ステップS670として、保持位置側部品検出センサの検出結果を取得し、ステップS672として電子部品があるかを判定する。つまり、電子部品実装装置10は、保持位置で電子部品が検出されているかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS672で電子部品あり(Yes)と判定した場合、ステップS674として、ヘッドによる電子部品の保持動作を実行し、本処理を終了する。つまり、保持位置で検出されている電子部品をヘッドのノズルで保持し、電子部品の実装動作を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS672で電子部品なし(No)と判定した場合、ステップS676としてヘッドを待機させる。つまり、ヘッドによる当該保持位置での電子部品の保持動作の実行を待つ。
電子部品実装装置10は、ステップS676でヘッドを待機させたら、ステップS678としてなしの状態が一定時間継続しているか、つまり保持位置で電子部品が検出されない状態が一定時間継続しているかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS678でなしの状態が一定時間継続していない(No)と判定した場合、ステップS670に進み、上記処理を繰り返す。
電子部品実装装置10は、ステップS678でなしの状態が一定時間継続している(Yes)と判定した場合、ステップS679としてエラー情報を出力し、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図125に示すように、保持位置側部品検出センサの検出結果に基づいてヘッドの保持動作を制御することで、電子部品を保持できない状態で電子部品の保持動作を実行することを抑制することができる。これにより、電子部品の保持動作を実行して、電子部品の状態をレーザ認識装置38等で計測し、電子部品を保持していないことを検出し、その後再び電子部品の保持動作を実行する動作を繰り返し実行する恐れを低減することができ、作業効率を向上させることができる。また、電子部品が検出されない場合、エラー情報を出力することで、電子部品実装装置による電子部品の供給に問題が発生していることをオペレータに迅速に通知することができる。
ここで、上記実施形態の電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fとして、ボウルフィーダを用いたボウルフィーダアセンブリ90を備え、部品供給ユニット14rとして、ラジアルフィーダの電子部品供給装置100を備える構成としたが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、部品供給ユニットを各種組み合わせとすることができる。例えば、フロント、リアの両方の部品供給ユニットにボウルフィーダの電子部品供給装置を設置してもよいし、フロント、リアの両方の部品供給ユニットにラジアルフィーダの電子部品供給装置を設置してもよい。また、上述したように部品供給ユニットとして、搭載型電子部品を供給する電子部品供給装置(チップ部品フィーダ)100aを含んでいてもよい。また、フロント、リアのうち、一方の部品供給ユニットの電子部品供給装置を、全て電子部品供給装置(チップ部品フィーダ)100aとしてもよい。つまり、フロント、リアの一方の部品供給ユニットは、リード型電子部品(基板に挿入される電子部品)を供給し、他方は、リードなし電子部品(基板に搭載される電子部品)を供給するようにしてもよい。また、電子部品実装装置としては、いわゆるトレイフィーダやアキシャルフィーダを用いることもできる。電子部品実装装置10は、いずれの電子部品供給装置で供給された電子部品であっても、電子部品を吸着または把持することで、基板に搭載または挿入することができる。なお、リード型電子部品を供給する電子部品供給装置は、本体がリードの鉛直方向上側に配置される向き、つまり、リードが本体の鉛直方向下側に配置される向きでリード型電子部品をノズルによって保持される保持位置に供給する。ここで、電子部品実装装置10は、本実施形態のように、ボウルフィーダの電子部品実装装置を備える部品供給ユニットと、その他の種類の電子部品実装装置を備える部品供給ユニットと基板搬送部12を介して対向する位置に配置することが好ましい。これにより、その他の種類の電子部品実装装置を備える部品供給ユニットに、ボウルフィーダの振動の影響が及ぶことを抑制することができる。
次に、図126から139を用いて、電子部品実装装置の変形例について説明する。図126から図139に記載に記載の電子部品実装装置は、複数のバックアップピンを備えるバックアップ装置によって基板を裏面から支持した状態で、電子部品の実装処理を行う電子部品実装装置である。
図126A及び図126Bは、それぞれ従来のバックアップ装置の概略構成を示す側面図である。ここで、図126Aは、基板100が部品搭載位置で停止している状態を示している。基板861の下方にはバックアップ装置862が配置されており、このバックアップ装置862は、部品搭載時に基板861を下面から支持する複数のバックアップピン863が立設されたバックアップテーブル864を備える。
バックアップテーブル864は上下方向に昇降可能に構成されており、図126Bに示すように基板861が部品搭載位置で位置決めされた後、図126Bに示すようにバックアップテーブル864を上昇することで、バックアップピン863で基板861を持ち上げる。このように、基板861を下面からバックアップピン863の先端部で支持した状態で、搭載ヘッド865の吸着ノズル866によって電子部品107を基板861上に搭載する。
バックアップテーブル864に立設されるバックアップピン863の位置は、基板861の種類(大きさ、形状等)に応じて決定される。そのため、このバックアップテーブル864には、バックアップピン863を挿脱可能な多数のピン穴が設けられ、基板の種類に応じてバックアップピン863の配置位置を変更可能な構成となっている。
基板861の種類に応じてバックアップピン863が適正位置に配置されているか否かを自動的に検査するものとして、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、バックアップピン863の挿脱に応じてオン、オフする複数のスイッチを設け、これら複数のスイッチの信号から取得されるバックアップピン863の配置位置データと、予め登録されている適正位置データとを比較するものである。
ここで、基板に搭載する電子部品としては、アルミ電解コンデンサや直立搭載が必要な抵抗など、下面に端子となるリードが突出したラジアルリード型電子部品(ラジアル部品、リード部品)がある。このようなラジアルリード型電子部品を基板に実装する場合、上述したように、挿入穴に挿入した電子部品のリードをクリンチする場合がある。なお、電子部品実装装置10は、上述したように、実施しなくても基板に的確に実装できるが、クリンチする構成とすることも可能である。
図127A及び図127Bは、それぞれラジアルリード型電子部品のクリンチ処理を示す図である。このようなラジアルリード型電子部品は挿入実装型の電子部品であり、基板に搭載する場合には、先ず、図127Aに示すように基板861に形成された挿入穴861aに基板上面側からリード820aを挿入し、リード820aを基板下面から突出させる。そして、その後、図127Bに示すように、基板下面においてリード部分を曲げるクリンチ処理を行うことで、ラジアルリード型電子部品820を基板861に固定する。
このように、リード部分のクリンチ処理を行うための機構が設けられていない電子部品実装装置は、ラジアルリード型電子部品の搭載時に、リードを基板に形成された挿入穴に挿入し、必要な場合、基板を実装装置外部に搬出後、専用の装置によってクリンチ処理を行うことになる。そのため、電子部品実装装置10は、電子部品のリードをクリンチできる機構を備えることが好ましい。また、電子部品実装装置10は、バックアップピンに電子部品のリードをクリンチできる機構を設けることが好ましい。
次に、本実施形態におけるバックアップピンの具体的構成について説明する。図128Aは、バックアップピンの構成を示す正面図である。図128Bは、バックアップピンの構成を示す側面図である。バックアップピン840は、上下方向に延在し、部品搭載時にその上端部で回路基板8の下面を支持する一対のクリンチガイド(支持部材)841を備える。一対のクリンチガイド841は、図128Aにおける左右方向で対向配置されており、その下端部が所定間隔をおいてガイドフランジ842に連結されている。ここで、各クリンチガイド841は、図128Aにおける紙面垂直方向(上下方向及びクリンチガイド841の対向方向に直交する方向)に延在する軸843を中心に、ガイドフランジ842に対して回動可能に連結する。その際、クリンチガイド841は、カシメ等によりガイドフランジ842に対してきつめの取り付けとする。これにより、図129のバックアップピン840a、840b、840cに示すように、クリンチガイド841の上端部の間隔αを可変とすることができる。このように、ガイドフランジ842及び軸843でクリンチガイド841の開閉機構を実現する。
さらに、各クリンチガイド841の上端部には、対向するクリンチガイド841の配置側とは反対側の側面に、リードガイド溝841aが形成されている。このリードガイド溝841aは、延在方向で一定の溝幅を有し、当該リードガイド溝841aの底面は、水平面に対して傾斜した傾斜面となっている。各クリンチガイド841は、部品搭載時には、図130に示す上面841bによって基板8の下面を支持する。ここで、クリンチガイド841の上面841bは、水平な面となっている。
図131は、リードガイド溝841aの形状を示す図である。この図131に示すように、リードガイド溝841aによって形成される傾斜面は、水平面に対する傾斜角度が上下で異なる2つの傾斜面から構成されている。すなわち、傾斜面の傾斜角度が上下方向の途中の点Pで変化する形状となっており、上側の傾斜面Q−Pの傾斜角度はなだらかであり(傾斜角度=θ1)、下側の傾斜面P−Rの傾斜角度は急峻となっている(傾斜角度=θ1+θ2)。角度θ1及びθ2は、例えばθ1=30°、θ2=30°とする。なお、図131において、点Qはリードガイド溝841a底面(傾斜面)の上端部、点Rはリードガイド溝841a底面(傾斜面)の下端部である。
図128に戻って、ガイドフランジ842は、上下方向に延在するネジ軸844に螺合されており、その高さ位置が調整可能となっている。さらに、ネジ軸844には、ガイドフランジ842の下方にナット845も螺合されており、ダブルナット方式でガイドフランジ842の高さ位置をロック可能としている。ネジ軸844は、その下端部がバックアップテーブルに設置される基台846に固定されている。このように、ガイドフランジ843、ネジ軸844及びナット845でクリンチガイド841の高さ調整機構(高さ調整手段)を実現する。
そして、バックアップピン840をバックアップテーブルに立設する際には、図129のバックアップピン840a、840b、840cに示すように、バックアップピン840の高さ(基台846の底面からクリンチガイド841の先端部までの高さ)βが、クリンチガイド841の上端部の間隔α(図131に示す点Q間の距離)によらずに常に一定となるように調整する。このようなバックアップピン840のバックアップテーブル上における配置位置は、基板8の種類(基板搭載パターン)をもとに予め決定されている。そのため、部品実装処理を開始する前に、基板搭載パターンに応じてバックアップピン840の配置位置を記した配置図をバックアップテーブル850上に貼り付け、その配置図に沿ってバックアップピン840を配置するようにする。なお、バックアップピン840は、マグネットによりバックアップテーブル850に吸着させたり、バックアップテーブル850に設けた穴に挿入したりすること等により、バックアップテーブル850に立設する。
図132は、バックアップピン840の配置例を示す図である。この図132に示すように、バックアップテーブル850上に複数のバックアップピン840が配置される。このとき、図127に示すような挿入実装型のラジアルリード型電子部品820の搭載点に対応する位置には、必ずバックアップピン840を配置する。また、それ以外の領域には、クリンチガイド841の上端部を閉じた状態のバックアップピン840を、部品搭載時に基板8が撓まない程度に支持することができる位置に適宜配置する。
ラジアルリード型電子部品820は、下面から両側に1本ずつ下方に突出したリード端子820aを備える。基板8には、ラジアルリード型電子部品820のリード820aを挿入するための複数の挿入穴が形成されており、ラジアルリード型電子部品820を基板8に搭載する際には、先ず、基板8の挿入穴の上方からリード820aを挿入し、当該リード820aを基板8の下面から突出させる。そして、基板8の下面においてリード820aを曲げるクリンチ処理を行うことで、ラジアルリード型電子部品820を基板8に固定する。
本実施形態では、バックアップピン840をラジアルリード型電子部品820の搭載点に対応する位置に配置する際、リード820aの挿入穴とクリンチガイド841との位置関係が、図133に示す関係となるようにする。図133は、リードの挿入穴とバックアップピンの傾斜面との位置関係を示す図である。図133は、紙面上側にリードの挿入穴とバックアップピンの傾斜面との位置関係の平面図を示し、紙面下側にリードの挿入穴とバックアップピンの傾斜面との位置関係の正面断面図を示す。図133は、バックアップピン840の先端部を簡略化して示している。図133に示すように、ラジアルリード型電子部品820の搭載点に対応する位置に配置するバックアップピン840は、その先端径A(クリンチガイド841の上端部の間隔α)が、ラジアルリード型電子部品820のリード820aを挿入するための挿入穴805aの中心間距離Bよりも小さくなるように、開閉機構によりクリンチガイド841の開度を調整する。また、クリンチガイド841は、バックアップピン840の外径C(各クリンチガイド841の点R間の距離)が、挿入穴805aの中心間距離Bと挿入穴805aの径との和Dよりも大きくなるように、その厚さが設定されている。
すなわち、図133の正面断面図で示すように、正面視において、上記傾斜面の上端部の水平方向(挿入穴805aの径方向)での位置Qは、挿入穴805aの範囲内で且つ挿入穴805aの中心位置よりもバックアップピン840内側にずれた位置にある。また、正面視において、上記傾斜面の下端部の水平方向(挿入穴805aの径方向)での位置Rは、挿入穴805aの範囲外で且つ挿入穴805aの中心位置よりもバックアップピン840外側にずれた位置にある。
また、特に図示しないが、側面視において、上記傾斜面の上端部の水平方向(挿入穴805aの径方向)での中央位置は、挿入穴805aの中心位置と一致する。さらに、当該傾斜面の上端部の幅(リードガイド溝841aの上端部の溝幅)は、挿入穴805aの径と同等かそれ以上に設定されている。このような構成により、電子部品実装装置は、ラジアルリード型電子部品820を基板8へ搭載する際、リード820aを挿入穴805aに挿入してラジアルリード型電子部品820を下降させると、リード820aの先端部はバックアップピン840の上端部に形成された傾斜面に接触し、図134に示すように傾斜面に沿って曲げられる。このように、電子部品実装装置は、ラジアルリード型電子部品820の基板8への搭載と同時に、リード820aのクリンチ処理を行うことができる。
次に、図135を用いて本実施形態におけるラジアルリード型電子部品820の基板8への搭載方法について説明する。図135は、本実施形態におけるラジアルリード型電子部品搭載時の動作を示す図である。先ず、ヘッド15を移動し、ノズル32にて部品供給装置15からラジアルリード型電子部品820の上面を保持する。そして、電子部品実装装置は、VCSユニット17による部品認識を行った後、保持したラジアルリード型電子部品820の搭載点までヘッド15を移動する。このとき、電子部品実装装置は、図135のステップS701に示すように、ラジアルリード型電子部品820のリード820aが、基板8に形成された挿入穴805aの真上にくる位置でヘッド15を停止する。
次に、ヘッド15の吸着ノズルを下降する。このとき、図135のステップS702に示すように、リード820aは挿入穴805aに挿入される。クリンチガイド841の先端径A(上端部の間隔α)は、挿入穴805aの中心間距離Bよりも小さく設定されているため、この図135のステップS702に示す状態からさらにノズル32を下降すると、図135のステップS703に示すようにリード820aの下端部がバックアップピン840の上端部に形成されたリードガイド溝841aの底面に当接する。
リードガイド溝841aの底面は、水平面に対して傾斜した傾斜面であるため、図135のステップS703に示す状態からさらに吸着ノズルを下降すると、ラジアルリード型電子部品820上面からのノズル32の圧力により、リード820aの下端部は、図135のステップS704に示すようにリードガイド溝841aの形状に沿って折れ曲がる。その後、ノズル32は、図135のステップS705に示すように、ラジアルリード型電子部品820の下面が基板8の上面に当接するまで下降し、ラジアルリード型電子部品820の吸着を解除する。このときのリード820a先端部の水平面に対する角度は、リードガイド溝841aの底面における上側の傾斜面の角度θ1となる。上側の傾斜面の角度θ1は比較的小さい角度に設定されているため、この上側の傾斜面でクリンチすることで、ラジアルリード型電子部品820は基板8から抜けない状態となる。
ここで、本実施形態では、リードガイド溝841aの底面によって形成される傾斜面を、上下で傾斜角度の異なる2つの傾斜面で構成している。仮に水平面に対する傾斜角度が比較的大きい下側の傾斜面を設けず、水平面に対する傾斜角度が比較的小さい上側の傾斜面のみでクリンチ加工を行おうとすると、リード820aの先端部が挿入穴805aの下に突出する過程において、当該先端部がクリンチガイド841の外側に広がらず、適切にクリンチ加工が行われないおそれがある。
これに対して、本実施形態では、リード820aの先端部が挿入穴805aの下に突出する過程において、当該先端部を下側の傾斜面によってクリンチガイド841の外側に逃がすことができるので、リード820aを適切に広げることができる。また、このとき、凹状のリードガイド溝841aの側面によってリード820aをガイドしながらクリンチすることができるので、クリンチ時におけるリード820aのリードガイド溝841aの幅方向への逃げを抑制することができる。
そして、基板8上にすべての電子部品が搭載されると、バックアップテーブルが下降し、図135のステップS706に示すようにバックアップピン840が基板8から離反する。このようにバックアップ装置による基板8の支持が解除された後は、基板8は電子部品実装装置1から搬出され、ラジアルリード型電子部品820のリード820aはリフロー方式のはんだ付け等により完全固定される。以上のように、基板8への搭載時にラジアルリード型電子部品820のリード820aをクリンチするので、基板8を搬出する際に当該基板8が振動したとしても、ラジアルリード型電子部品820に直接外力が加わらない限り、リード820aが挿入穴805aに挿入された状態を維持することができる。
このように、部品搭載時に回路基板を裏面から支持するバックアップピンの上端部に、水平面に対して傾斜する傾斜面を形成し、このバックアップピンを少なくともラジアルリード型電子部品の搭載点の真下に配置する。このとき、回路基板に形成されたリードの挿入穴の径方向での傾斜面の上端部の位置が、挿入穴の範囲内で且つ挿入穴の中心位置に対して一方の側にずれた位置となるように配置する。さらに、挿入穴の径方向での傾斜面の下端部の位置が、挿入穴の範囲外で且つ挿入穴の中心位置に対して他方の側にずれた位置となるように配置する。
これにより、部品搭載時に、ラジアルリード型電子部品のリードが回路基板の挿入穴の下面から突出したとき、その先端部を上記傾斜面に当接させることができる。そのため、この状態からラジアルリード型電子部品を下降させることで、リード端子の先端部を上記傾斜面に沿って折れ曲げることができる。このように、部品搭載と同時にリード端子のクリンチ処理を行い、リード端子を基板の挿入穴から抜け難い状態とすることができる。したがって、部品搭載後の搬出時に基板が振動したとしても、ラジアルリード型電子部品が基板に装着された状態を維持することができる。
また、バックアップピンにリードのクリンチ機能を持たせるので、クリンチ処理のために新たに専用機を設置する必要がなく、その分のスペースを軽減することができる。また、当該バックアップピンはクリンチ機能に限定せず使用可能であるため、ラジアルリード型電子部品の搭載点の真下以外に配置すれば、通常の基板支持ピンとしても使用することができる。さらに、クリンチガイドの上端部に上下方向に延在のするリードガイド溝を設け、当該リードガイド溝の底面によって上記傾斜面を構成するので、リードガイド溝のガイドによってリード端子の逃げを抑制し、適切なクリンチ処理を行うことができる。
また、上記傾斜面を、水平面に対する傾斜角度が上下で異なる2つの傾斜面から構成し、上側の傾斜面の角度を下側の傾斜面の角度よりも小さく設定するので、部品搭載時にリード端子の先端部が挿入穴の下に突出する過程において、下側の傾斜面によってリード先端部をクリンチ方向へ逃がすことができる。したがって、リード端子をスムーズに曲げることができる。さらに、クリンチ処理後のリード端子の水平面に対する角度を、比較的小さい上側の傾斜面の角度とすることができるので、クリンチ処理後のラジアルリード型電子部品を回路基板に安定して固定することができる。
また、クリンチガイドの上端部の開度を調整可能な開閉機構を備えるので、1種類のバックアップピンでリードピッチが異なる複数のラジアルリード型電子部品のクリンチ処理に対応することができる。このとき、一対のクリンチガイドの下端部をガイドフランジに回動可能に連結するので、比較的簡易な構成で上記開閉機構を実現することができる。
さらに、クリンチガイドの高さ調整機構を備えるので、クリンチガイドの上端部の開度によらずに複数のバックアップピンの高さを一定とすることができ、安定して回路基板を支持することができる。このとき、ダブルナット方式でクリンチガイドの高さ位置をロックすることで、部品搭載中の高さ変化に耐性を持つことができる。
なお、上記実施形態においては、クリンチガイド841にリードガイド溝841aを1本のみ設ける場合について説明したが、図136に示すようにリードガイド溝841aを2本設けることもできる。これにより、挿入実装型の電子部品として、図127に示すような片側1本のリード820aを備えるラジアルリード型電子部品820ではなく、片側2本のリードを備えるラジアルリード型電子部品に対応することができる。また、片側2本以上のリードを備えるラジアルリード型電子部品に対しても、リードの本数及びリードピッチに応じてリードガイド溝841aの溝数や溝の間隔、溝幅等を調整することで対応可能である。
さらに、上記実施形態においては、リードガイド溝841aの溝幅を延在方向で一定とする場合について説明したが、図137に示すように、延在方向において、クリンチガイド841の先端部から離れるほど当該溝幅が狭くなるようにしてもよい。これにより、クリンチ時のリード逃げをより効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態においては、VCSユニット17を用いて部品認識を行う場合について説明したが、上述したようにレーザ認識装置38によって部品認識を行うこともできる。この場合、レーザ装置は、水平方向にレーザ光を照射するレーザ照射部と、レーザ照射部により照射されたレーザ光を受光するレーザ受光部とを備える。
図138Aは、部品認識方法の別の例を示す側面図である。図138Bは、部品認識方法の別の例を示す下面図である。図138A及び図138Bに示すように、ラジアルリード型電子部品820の認識を行う場合には、リード820aがレーザ面にかかる位置まで吸着ノズルを移動した状態で部品認識を行う。レーザによる部品認識方法としては、上述した方法を用いることができる。先ず、レーザ照射部から照射されたレーザ光をレーザ受光部で受光しながら吸着部品を回転させ、所定の回転角度毎に影となる部分を記憶する。そして、回転終了と共にレーザの光軸と影とにより部品外形を描き出す。この方法により、図139に示すように、リード部のX方向寸法(リード820a間の距離X)及びY方向寸法(リード820aの直径Y)を認識することができる。
次に、リード部の外形認識結果をもとに部品中心位置を算出し、予めパラメータとして記憶してあるヘッド回転中心(部品吸着中心)に対する部品中心のずれ量を算出する。ここで、上記ずれ量としては、ヘッド回転中心に対する部品中心のX方向のずれ量(dX)、ヘッド回転中心に対する部品中心のY方向のずれ量(dY)、ヘッド回転中心に対する部品中心の角度のずれ量(dθ)を算出する。そして、算出した各ずれ量dX、dY及びdθを、X方向補正値、Y方向補正値及びθ方向補正値として部品搭載座標の位置を補正し、部品搭載を行う。これにより、ラジアルリード型電子部品820を適正位置に適正角度で基板8上に搭載することができる。
さらに、上記実施形態においては、両側のリード820aを互いに逆方向にクリンチする場合について説明したが、リード820aをクリンチする方向はこれに限定されるものではない。すなわち、クリンチガイド841におけるリードガイド溝841aを形成する面は適宜選択可能である。さらに、クリンチガイド841の各下端部をガイドフランジ842にカシメにより取り付けることで回転位置を調整維持するようにしたが、ネジ等により締緩可能にして回転位置を調整し維持するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、一対のクリンチガイド841の各下端部をガイドフランジ842に回動可能に連結することで開閉機構を実現する場合について説明したが、一対のクリンチガイド841の上端部の間隔αを可変とする構造であれば、これに限定されるものではない。また、ガイドフランジ842を上下方向に延在するネジ軸844に螺合させることで高さ調整機構を実現する場合について説明したが、クリンチガイド841の高さを調整可能な構造であれば、これに限定されるものではない。
次に、図140から図149Cを用いて、ボウルフィーダである部品供給装置の一例について説明する。なお、図140から図149Cに示す電子部部品実装装置902は、上述した電子部品実装装置402、404、406と基本的に同様の構成である。
図140に示すように、電子部品供給装置902は、振動方式により電子部品Pをヘッドのノズルにより保持される保持位置に供給するボウルフィーダである。電子部品供給装置9910は、直線状のレール904を介して基板搬送部12の手前の保持位置まで電子部品Pを搬送している。電子部品供給装置902は、上面を開口した円筒状に形成された金属製のボウル931(収容容器)を有し、このボウル931に複数の電子部品Pをバラで収容している。ボウル931には、底部から開口側に向けて電子部品Pを搬送するための搬送路933が内周面932に沿って螺旋状に設けられている。
ボウル931は、振動を加える振動部が連結されている。振動部によりボウル931に振動が加えられると、底部に置かれた電子部品Pが開口側に向って搬送路933上を移動する。螺旋状の搬送路933の出口付近には、電子部品Pの向きを揃えてレール904に送り出す樹脂製の送出部941が取り付けられている。送出部941には、螺旋状の搬送路933に連なる直線状の搬送路(基端レール)942が形成されており、この直線状の搬送路942も振動部の振動を受けて電子部品Pをレール904に向けて移動させる。
送出部941には、螺旋状の搬送路933の出口付近に、所定の向きの電子部品Pだけを通過させる振り分け部943が設けられている。また、送出部941には、レール904の入口付近に、振り分け部943によって揃えられた電子部品Pを、ノズル21で吸着可能な姿勢に変更する落とし込み部944が設けられている。送出部941を通過した電子部品Pは、レール904に受け渡され、保持位置に向けて搬送される。レール904は、一対の直線状の金属板からなり、電子部品供給装置902から保持位置に向って僅かに下方に傾斜するように延在している。レール904も、振動部の振動を受けて電子部品Pを実装装置1に向けて搬送する。
ここで図141及び図142を参照して、送出部について詳細に説明する。なお、以下の説明では、図141A及び図142Aで電子部品供給装置が、それぞれ大型の電子部品を供給する場合、図141B及び図142Bで電子部品供給装置が、小型の部品を供給する場合として説明する。図141A及び図141Bは、それぞれ本実施の形態に係る部品の斜視図である。図142A及び図142Bは、それぞれ本実施の形態に係る部品供給装置の一部の斜視図である。なお、図141Aは、大型の部品を示す。図141Bは小型の部品を示す。また、図142Aは、図141Aに示す大型の部品を搬送する部品供給装置を示す。図142Bは、図141Aに示す小型の部品を搬送する部品供給装置を示す。
図141Aに示すように、大型の電子部品Paは、X軸方向を長さ寸法X、Y軸方向を幅寸法Y、Z軸方向を高さ寸法Zとすると、X>Z>Yとなる直方体形状の部品本体971aを有している。部品本体971aには、基板Wに実装される実装面972aから外方に向って突出する複数のリード973aが設けられている。実装面972aには、X軸方向に並んだ4つのリード973aと5つのリード973aとが2列に配置されている。電子部品Paは、基板Wに形成された装着孔にリード973aを差し込むことで、基板Wに取り付けられる。
図141Bに示すように、小型の電子部品Pbは、X軸方向を長さ寸法X、Y軸方向を幅寸法Y、Z軸方向を高さ寸法Zとすると、X>Z>Yとなる直方体形状の部品本体971bを有している。部品本体971bには、基板Wに実装される実装面972bから外方に向って突出する複数のリード973bが設けられている。実装面972bには、X軸方向に並んだ3つのリード973bが1列に配置されている。また、部品本体971bには、中央のリード973bを外部に露出させるように凹部975bが形成されている。電子部品Pbは、基板Wに形成された装着孔にリード973bを差し込むことで、基板Wに取り付けられる。
図142Aに示すように、電子部品供給装置902aのボウル931aには、周壁部934aに沿って螺旋状の搬送路933aが形成されている。すなわち、搬送路933aは、搬送幅方向の一端側が周壁部934aによって囲われ、搬送方向の他端側がボウル931a内に向けて開放されている。この搬送路933a上は、周壁部934aに沿って様々な姿勢で電子部品Paが搬送される。例えば、電子部品Paは、部品本体971aの長さ方向(X軸方向)を縦に向けた起立姿勢、部品本体971aの幅方向(Y軸方向)を縦に向けた横向き姿勢、部品本体971aの高さ方向(Z軸方向)を縦に向けた縦向き姿勢で搬送される。なお、起立姿勢及び横向き姿勢では、リード973aが横に向けられており、縦向き姿勢では、リード973aが縦に向けられている。
送出部941aは、ボウル931aの搬送路933aの出口付近に設けられており、ボウル931の螺旋状の搬送路933aとレール904aとを連ねる搬送路(基端レール)942aを有している。搬送路942aの搬送幅方向の一端側には、ボウル931aの周壁部934aに連なる外壁部945aが形成されている。搬送路942aの搬送幅方向の他端側は、ボウル931aに向けて開放されている。送出部941aには、螺旋状の搬送路933aから様々な姿勢で入ってくる電子部品Paを選別する振り分け部943aが設けられている。
振り分け部943aは、所定の姿勢で搬送された電子部品Paだけを通過させるものであり、搬送路942a上に設けられた金属製のガイド部951a(第1のガイド部)と、搬送路942aに形成された面取部952a(幅縮小部)とを有している。ガイド部951aは、外壁部945aに取り付けた取付板953aに設けられており、取付板953aから前方に延びる帯板を折り返すことで形成される。ガイド部951aは、搬送路942aの上方を搬送方向上流側から下流側に向けて斜めに横切るように延在している。
この場合、ガイド部951aの下端は、搬送路942aの路面から電子部品Paの幅寸法Yよりも僅かに高い位置を横切っている。よって、横向き姿勢の電子部品Paは、ガイド部951aの下方を通過し、起立姿勢及び縦向き姿勢の電子部品Paは、ガイド部951aに通過が規制される。起立姿勢及び縦向き姿勢の電子部品Paは、ガイド部951aの延在方向に沿ってガイドされ、搬送路942aから脱落してボウル931a内に戻される(図143参照)。このように、ガイド部951aは、横向き姿勢の電子部品Paだけを通過させる。
面取部952aは、ガイド部951aの下方において、搬送路942aの搬送幅方向の他端側に電子部品Paの長さ寸法Xよりも僅かに長い範囲で形成されている。面取部952aは、搬送路942aの搬送幅を狭くすることで、横向き姿勢の電子部品Paのうちリード973aをボウル931aの内側に向けた基本姿勢(図143Aの電子部品Pa2参照)の電子部品Paだけを通過させる。横向き姿勢の電子部品Paのうち、リード973aを外壁部945a側に向けた逆向き姿勢の電子部品Paは、重心が面取部952a側に寄ることで、搬送路942aから脱落してボウル931a内に戻される。このように、面取部952aは、横向き姿勢の電子部品Paうち基本姿勢の電子部品Paだけを通過させる。
なお、横向き姿勢の電子部品Paのうち、リード973aを搬送方向に向けた電子部品Paは、搬送路933aの搬送幅に対して長さ寸法Xが十分に大きいため、送出部941aに入る前に搬送路933aから脱落してボウル931内に戻される。このような構成により、振り分け部943aを通過する電子部品Paの姿勢が、一様に揃えられてレール904aに向けて搬送される。また送出部941には、基本姿勢の電子部品Paを実装ヘッド3で吸着可能な姿勢に姿勢変更して、レール904aに送り出す落とし込み部944aが形成されている。
落とし込み部944aは、搬送路942aの搬送幅を狭めるように設けた窪み954aによって、外壁部945に沿って搬送される電子部品Paを自重により搬送幅方向に横転させるように形成されている。このとき、基本姿勢の電子部品Paは、ボウル931aの内側に向けたリード973aから窪み954a内に落とし込まれ、リード973aを下方に向けた縦向き姿勢に姿勢変更される(図145Aから図145C参照)。姿勢変更された電子部品Paは、レール904aに向けて搬送され、保持位置に向けて搬送される。このときの電子部品Paの姿勢は、基板Wに対して上方から電子部品Paを取り付けるヘッド15に対して適切な姿勢となっている。
図142Bに示すように、電子部品供給装置902bは、小型の電子部品Pbを面取部952bに向けてガイドする金属製のガイド部955b(第2のガイド部)を有する点についてのみ、電子部品供給装置902aと相違する。したがって、電子部品供給装置902aと同様な構成については極力説明を省略して、ガイド部955bについてのみ詳細に説明する。この電子部品供給装置902bでは、螺旋状の搬送路933bの搬送幅に対して電子部品Pbの長さ寸法Xが十分に大きくないため、横向き姿勢の電子部品Pbのうちリード973bを搬送方向に向けた電子部品Pb(図143Bの電子部品Pb5参照)も脱落することなく送出部941bに入ってくる。
この向きで搬送された電子部品Pbは、横向き姿勢で搬送されるため、帯板状のガイド部951bの下方を通過する。また、面取部952bによって狭められた搬送路942b上においても、電子部品Pbの重心が搬送路942b上に位置しているため面取部952bから電子部品Pbが脱落し難い。そこで、送出部941bは、ガイド部955bにより電子部品Pbを面取部952bに向けてガイドすることで、横向き姿勢の部品の中でリード973bを搬送方向に向けた電子部品Pbを搬送路933bから外すようにしている。
ガイド部955bは、外壁部945bに固定されたガード56bに取り付けられており、断面視アーチ状に形成されている。ガイド部955bは、外壁部945b側からボウル931b内側に向けて搬送路942bを跨ぐように設置されており、ボウル931bの内側に向う先端部が面取部952bの上方に位置している。ガイド部951bの先端部は、電子部品Pbを面取部952bに向けてガイド可能ように楔状に形成されている。この場合、ガイド部951bの先端部は、基本姿勢で搬送された電子部品Pbに対しては、ボウル931b内側に向けたリード973bを避け、基本姿勢以外で搬送された電子部品Pbに対しては部品本体971bに当接するように形成されている(図144参照)。このようにして、振り分け部943bを通過する電子部品Pbが、一様の姿勢に揃えられてレール904bに向けて搬送される。
図143A及び図143Bを参照して、振り分け部によって部品が振り分けられる様子について説明する。図143A及び図143Bは、それぞれ本実施の形態に係る振り分け部によって部品が振り分けられる様子を示す図である。なお、図143Aは大型の部品が振り分けられる様子、図143Bは小型の部品が振り分けられる様子をそれぞれ示す。
図143Aに示すように、電子部品供給装置902aではボウル931aの螺旋状の搬送路933aから大型の電子部品Paが様々な姿勢で搬送される。ここでは、先頭の電子部品Pa1が縦向き姿勢、2番目の電子部品Pa2が横向きの基本姿勢、3番目の電子部品Pa3が基本姿勢の逆向き姿勢、4番目の電子部品Pa4が起立姿勢でそれぞれ搬送される。縦向き姿勢の電子部品Pa1が送出部941aに入ると、縦に向けた電子部品Pa1のリード973aが帯板状のガイド部951aによってガイドされてボウル931a内に戻される。次に、基本姿勢の電子部品Pa2が送出部941aに入ると、横に倒したリード973a及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体971aが帯板状のガイド部951aの下方を通過する。このとき、電子部品Pa2のリード973aがボウル931aの内側に向いており、電子部品Pa2の重心が外壁部945a側に寄っているため、電子部品Pa2が面取部952aを介してボウル931a内に脱落することがない。
次に、逆向き姿勢の電子部品Pa3が送出部941aに入ると、横に倒したリード973a及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体971aが帯板状のガイド部951aの下方を通過する。このとき、電子部品Pa3のリード973aが外壁部945a側に向いており、電子部品Pa3の重心が面取部952a側に寄っているため、電子部品Pa3が搬送路942aから脱落してボウル931a内に戻される。次に、起立姿勢の電子部品Pa4が送出部941aに入ると、長さ寸法Xを縦に起こした部品本体971aが帯板状のガイド部951aによってガイドされてボウル931a内に戻される。このように、基本姿勢の電子部品Pa2だけが落とし込み部944aに向けて搬送される。
図143Bに示すように、電子部品供給装置902bではボウル931bの螺旋状の搬送路933bから小型の電子部品Pbが様々な姿勢で搬送される。ここでは、先頭の電子部品Pb1が縦向き姿勢、2番目の電子部品Pb2が横向きの基本姿勢、3番目の電子部品Pb3が基本姿勢の逆向き姿勢、4番目の電子部品Pb4が起立姿勢、5番目の電子部品Pb5が基本姿勢に対して水平方向に90度回転させた直交姿勢でそれぞれ搬送される。縦向き姿勢の電子部品Pb1が送出部941bに入ると、縦に向けた電子部品Pb1のリード973bが帯板状のガイド部951bによってガイドされてボウル931b内に戻される。
次に、基本姿勢の電子部品Pb2が送出部941bに入ると、横に倒したリード973b及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体971bが帯板状のガイド部951bの下方を通過する。このとき、電子部品Pb2のリード973bがボウル931b内側に向いており、電子部品Pb2の重心が外壁部945b側に寄ると共に、電子部品Pb2がアーチ状のガイド部955bにも接触しないため、電子部品Pb2が面取部952bを介してボウル931b内に脱落することがない(図144A及び図144B参照)。次に、逆向き姿勢の電子部品Pb3が送出部941bに入ると、横に倒したリード973b及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体971bが帯板状のガイド部951bの下方を通過する。このとき、電子部品Pb3がアーチ状のガイド部955bの先端部によって面取部952bに向けてガイドされ、搬送路942bから脱落してボウル931b内に戻される。
次に、起立姿勢の電子部品Pb4が送出部941bに入ると、長さ寸法Xを縦に起こした部品本体971bがガイド部951bによってガイドされてボウル931b内に戻される。次に、直交姿勢の電子部品Pb5が送出部941bに入ると、横に倒したリード973b及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体971bがガイド部951bの下方を通過する。このとき、電子部品Pb5がアーチ状のガイド部955bの先端部によって面取部952bに向けてガイドされ、搬送路942bから脱落してボウル931b内に戻される(図144C及び図144D参照)。このように、小型の電子部品Pbが搬送される場合であっても、基本姿勢の電子部品Pb2だけが落とし込み部944bに向けて搬送される。
図144を参照して、アーチ状のガイド部によって小型の部品がガイドされる様子について説明する。図144は、本実施の形態に係るアーチ状のガイド部によって部品がガイドされる様子を示す図である。なお、図144A及び図144Bが基本姿勢の部品が搬送される場合、図144C及び図144Dが直交姿勢の部品が搬送される場合をそれぞれ示す。
図144A及び図144Bに示すように、基本姿勢で搬送された電子部品Pbは、リード973bをボウル931bの内側に向けており、リード973bの根元付近にガイド部955bの先端部を逃がす空間が形成されている。したがって、基本姿勢の電子部品Pbが搬送路942b上を搬送されても、ガイド部955bが電子部品Pbに接触することがない。一方、図144C及び図144Dに示すように、直交姿勢で搬送された電子部品Pbは、リード973bを搬送方向の前方に向けており、ガイド部955bの先端部を逃がす空間が形成されていない。したがって、直交姿勢の電子部品Pbが搬送路942b上を搬送されると、ガイド部955bの先端部によって電子部品Pbが面取部952bに向けてガイドされてボウル931b内に脱落する。このような構成により、アーチ状のガイド部955bは、基本姿勢の電子部品Pbだけを通過可能としている。
図145Aから図145Cを参照して、落とし込み部によって部品が姿勢変換される様子について説明する。図145Aから図145Cは、本実施の形態に係る落とし込み部によって部品が姿勢変換される様子を示す図である。なお、図145Aは大型の部品が姿勢変換される様子、図145Bは比較例の落とし込み部において大型の部品が姿勢変換される様子、図145Cは小型の部品が姿勢変換される様子をそれぞれ示す。
図145Aに示すように、落とし込み部944aは、窪み954aによって搬送路942aを狭めることにより形成されている。窪み954aは、搬送幅方向に対向する一対の斜面961a、963aによって下方に向けて幅狭に形成されている。窪み954aによって狭められた搬送路942a上を電子部品Paが搬送されると、搬送路942aと斜面961aとの角部分962aを支点として電子部品Paが矢印方向に横転する。このとき、斜面963aがリード973aの先端を底面964aに導くガイド面として機能し、電子部品Paをスムーズに横転させることが可能となっている。このような構成により、横向き姿勢の電子部品Paがリード973aを下方に向けた縦向き姿勢に姿勢変更される。
ところで、図145Bに示すように、比較例に係る落とし込み部944cは、真下にレール904cが設けられている。このため、電子部品Paの横転時に斜面963cとレール904cとの境界部分にリード973aの先端が引っ掛ってしまうという事象が生じていた。そこで、本実施の形態に係る落とし込み部944aでは、電子部品Paの横転時にリード973aの先端を斜面963aにガイドさせて、電子部品Paの姿勢変換が確実に終了した後にレール904aに送り出すようにしている。これにより、窪み954a内に電子部品Paが詰まることがなく、電子部品Paを連続的にレール904aに送り出すことが可能となっている。
なお、図145Cに示すように、小型の電子部品Pbは、リード973bが横一列に形成されているが、大型の電子部品Pbと同様にして姿勢変更される。また、本実施の形態では、リード973a、973bの先端をガイドするガイド面を斜面963a,963bで構成したが、この構成に限定されない。ガイド面は、リード973a、973bの先端をガイド可能であればよく、例えば曲面であってもよい。
以上のような構成により、電子部品供給装置902から適切な姿勢で保持位置に電子部品Pが搬送される。この場合、電子部品Pは、長さ寸法Xを搬送方向に向け、かつリード973を下方に向けた縦向き姿勢で保持位置に搬送されるが、搬送方向における前後が反転して搬送される場合がある。そこで、電子部品実装装置は、上述したように電子部品Pの方向を判別して前後反転して搬送された電子部品Pについては、適切な向きに戻した後に基板Wに装着するようにしている。以下、電子部品実装装置における電子部品Pの方向判別処理について説明する。
ヘッド15は、ノズル32によって電子部品供給装置902から供給された電子部品Pを取り出し、SWEEP計測によって位置ズレ量を補正している。SWEEP計測とは、ノズル32に吸着された電子部品Pを回転させながら、部品本体971に対して側方からレーザ光を照射するものである。そして、CCDラインセンサによって部品本体971の影を検知することによって、ノズル32に対する電子部品Pの位置や向きのズレ量(XYθ)が算出される。このズレ量に応じてノズル32のθモータの回転及びXY移動機構16等によりズレ量が補正される。
ヘッド15は、SWEEP計測により位置補正すると、レーザ光の照射高さを電子部品Pのリード973に合わせる。そして、電子部品Pのリード973にレーザ光を照射して、ONCE計測によって電子部品Pの前後方向を判別する。ONCE計測とは、ノズル32に吸着された電子部品Pのリード973にレーザ光を照射し、リード973の影の左内側の座標(左端座標)及び右内側の座標(右端座標)を取得するものである。ヘッド15は、リード973の作り出す影が基準座標として設定される閾値αを基準としてどのように非対象になるかで反転状態を判別する。
ここで、図146Aから図146Cを参照して、ONCE計測を用いた方向判別処理について詳細に説明する。図146Aから図146Cは、それぞれ本実施の形態に係る大型の部品のONCE計測の一例を示す図である。図147A及び図147Bは、それぞれ本実施の形態に係る小型の部品のONCE計測の一例を示す図である。なお、以下の説明では、実装装置の制御部に対して、正常供給時の部品の向きが90度に設定され、反転供給時の部品の向きが270度に設定されているものとする。また、図146及び図147においては、座標軸が左側から右側に向って大きくなるように設定されている。また、以下の説明ではONCE計測を用いて方向判別処理を行うが、SWEEP計測を利用して方向判別処理を行ってもよい。
図146Aに示すように、大型の電子部品Paは、長さ方向(X軸方向)に沿って、複数のリード973aが2列に並んで配置されている。したがって、リード973aの並び方向からレーザ光が照射されても、リード973aが作り出す影が基準座標となる閾値αに対して対象となり、90度の向きで正常に搬送されたのか、270度の向きで反転して搬送されたのかが判別できない。よって、例えば、図146B、図146Cに示すように、方向判別角度を945度に設定することで、正常供給時と反転供給時とで閾値αを基準としてリード973aが作り出す影を非対象にしている。
図146B及び図146Cに示すように、リード973aに対するレーザ光の照射により、リード973aによって形成される影の左内側の座標と右内側の座標が取得される。そして、左内側の座標と右内側の座標との中心座標が算出され、中心座標が閾値αに対して左右どちらにあるかによって、電子部品Paの向きが判別される。図146Bに示す向きの場合、影の左内側の座標Alと右内側の座標Arとの中心座標Acが閾値αよりも左側に位置し、中心座標Acの値が閾値αよりも低く設定される。一方、図146Cに示す向きの場合、影の左内側の座標Blと右内側の座標Brとの中心座標Bcが閾値αよりも右側に位置し、中心座標Bcの値が閾値αよりも高く設定される。そして、例えば図146Bに示す向きが正常供給を示す場合には、図146Cに示す電子部品Paが180度回転され、適切な向きに調整される。
なお、閾値αは、予め制御装置20に記憶された座標であり、例えば、α=(Ac+Bc)/2の要件を満たすものである。また、本実施の形態では、上記の方向判別処理の他に部品本体971aに対してリード973aが適切に配置されているかが判定される。例えば、閾値αを中心とした所定の誤差範囲内に中心座標Ac、Bcがある場合に、電子部品Paが不良品と判定されて廃棄される。これにより、例えば、リード973aが折れ曲がった不良品を製造ラインから外すことができる。なお、誤差範囲は、閾値α±誤差判定値βであり、例えば、誤差判定値β=(Ac−α)/2の要件を満たすものである。
図147に示すように、小型の電子部品Pbは、長さ方向(X軸方向)に沿って、複数のリード973bが1列に並んで配置されている。この場合、リード973bの並び方向からレーザ光が照射されると、リード973bが作り出す影が正常供給時と反転供給時とで閾値αを基準として非対象となり、これに基づいて90度の向きで正常に搬送されたのか、270度の向きで反転して搬送されたのかを判別可能である。したがって、方向判別角度が0度に設定されている。図147Aに示す向きの場合、影の左内側の座標Alと右内側の座標Arとの中心座標Acが閾値αよりも左側に位置し、中心座標Acの値が閾値αよりも低く設定される。一方、図147Bに示す向きの場合、影の左内側の座標Blと右内側の座標Brとの中心座標Bcが閾値αよりも右側に位置し、中心座標Bcの値が閾値αよりも高く設定される。そして、例えば図147Aに示す向きが正常供給を示す場合には、図147Bに示す電子部品Pbが180度回転され、適切な向きに調整される。
なお、閾値αは、大型電子部品Paの方向判別処理と同様に、予め制御部18に記憶された座標であり、例えば、α=(Ac+Bc)/2の要件を満たすものである。また、リード973bが一列の電子部品Pbの場合には、リード973bの影の中心座標を算出せずに、左内側の座標又は右内側の座標だけを用いて方向判別することも可能である。また、本実施の形態では、上記の方向判別処理の他に部品本体971bに対してリード973bが適切に配置されているかが判定される。例えば、閾値αを中心とした所定の誤差範囲内に中心座標Ac、Bcがある場合に、電子部品Pbが不良品と判定されて廃棄される。これにより、リード973bが折れ曲がった不良品を製造ラインから外すことができる。なお、誤差範囲は、閾値α±誤差判定値βであり、例えば、誤差判定値β=(Ac−α)/2の要件を満たすものである。
本実施の形態で示す方向判別処理は、一例に過ぎず、この構成に限定されるものではない。方向判別処理は、リードの影の座標を用いて部品の反転を判別する構成であればよく、閾値α、方向判別処理の方法、レーザ光の照射位置等は適宜変更してもよい。また、誤差判定処理は、リードの影の座標を用いて部品本体に対してリードが適切に配置されているか否かを判定する構成であればよく、誤差範囲、誤差判定処理の方法等は適宜変更してもよい。
図148を参照して、方向判別処理の流れについて説明する。図148は、本実施の形態に係る方向判別処理のフローチャートである。なお、ここでは大型の部品の方向判別処理のフローについて説明するが、小型の部品の方向判別処理のフローも同様である。なお、実装装置の制御部には、予め方向判別の有無、判別方式、閾値、誤差判定値、方向判別高さ、方向判別角度が設定されているものとする。
図148に示すように、電子部品供給装置902aに電子部品Paが送られると、ヘッド15のノズル32によりレール904から電子部品Paが取り出され、基板Wに対する装着位置に向けて電子部品Paが搬送される。この電子部品Paの搬送中にステップS681からステップS689までの各処理が実施される。まず、電子部品実装装置は、ステップS681として、電子部品Paの搬送開始時に、電子部品Paに対してSWEEP処理を行う。SWEEP処理では、部品本体971aの高さ位置にレーザ光源及びCCDラインセンサが合わせられ、部品本体971aを回転させた状態で部品本体971aに対してレーザ光が照射される。そして、部品本体971aの影からノズル32に対する電子部品Paの位置や向きのズレ量が算出され、ズレ量が補正される。
次に、電子部品実装装置は、ステップS682として、レーザ光源及びCCDラインセンサが方向判別高さ、すなわち電子部品Paのリード973aの高さに合わせる。次に、電子部品実装装置は、ステップS683として、方向判別高さにリード973aが位置付けられた電子部品Paに対してONCE処理を行う。ONCE処理では、電子部品Paの向きが方向判別角度に合わせられ、方向判別角度に合わせられた電子部品Paのリード973aに対してレーザ光が照射される。そして、リード973aの影の左内側の座標及び右内側の座標が取得され、リード973aの影の中心座標が算出される。リード973aの影の左内側の座標及び右内側の座標が取得されると、電子部品Paの向きが方向判別角度から元の角度に戻される。
次に、電子部品実装装置は、ステップS684として、中心座標が誤差判定値によって規定される誤差範囲内にあるか否かを判定する。電子部品実装装置は、ステップS684、中心座標が誤差範囲内にある(Yes)と判定した場合、ステップS685として、リード973aが折れ曲がった等として電子部品Paを廃棄する。一方、電子部品実装装置は、ステップS684で中心座標が誤差範囲外にある(No)と判定した場合、ステップS686として、中心座標と閾値αの値が比較されて電子部品Paの向きが90度の向きが270度の向きかを判別する。
電子部品実装装置は、ステップS686で正常供給時の電子部品Paの向きが90度に設定されている(90°)と判定した場合、ステップS687として、中心座標が閾値αよりも小さいか否かが判定する。電子部品実装装置は、ステップS687で中心座標が閾値αよりも小さい(Yes)と判定した場合、保持位置に対して電子部品供給装置902aから電子部品Paが正常な向き(90度)で供給されたとして、ステップS690として基板Wに対する挿入動作を実施する。一方、電子部品実装装置は、ステップS687で中心座標が閾値α以上(No)と判定される場合、実装装置1に対して電子部品供給装置902aから電子部品Paが反転した向き(270度)で供給されたとして、ステップS689として、電子部品Paの向きが反転されて正常な向きに合わせる。電子部品実装装置は、ステップS690として、正常な向きに合わせられた電子部品Paを、基板Wに対して挿入する挿入動作を実施する。
電子部品実装装置は、ステップS686で正常供給時の電子部品Paの向きが270度に設定されている(270°)と判定した場合、ステップS688として、中心座標が閾値αよりも大きいか否かを判定する。電子部品実装装置は、ステップS688で中心座標が閾値αよりも大きい(Yes)と判定した場合、保持位置に対して電子部品供給装置902aから電子部品Paが正常な向き(270度)で供給されたとして、ステップS690として、基板Wに対する挿入動作が実施される。一方、電子部品実装装置は、ステップS688で中心座標が閾値α以下(No)と判定した場合、保持位置に対して電子部品供給装置902aから電子部品Paが反転した向き(90度)で供給されたとして、ステップS689として、電子部品Paの向きが反転されて正常な向きに合わせられる。電子部品実装装置は、ステップS690として、正常な向きに合わせられた電子部品Paを、基板Wに対して挿入する挿入動作を実施する。
このように、電子部品供給装置902aからの電子部品Paの搬送姿勢だけでなく、搬送方向における電子部品Paの前後の向きが正常な向きに合わせられることで、基板Wに対する電子部品Paの誤装着を確実に防止できる。また、ヘッド15による電子部品Paの搬送中に、電子部品Paの前後の向きが回転補正されることで、基板Wに対して電子部品Paを効率よく実装できる。なお、電子部品実装装置は、ステップS686において、例えば、大型の電子部品Paに対しては正常供給時の向きが90度に設定され、小型の電子部品Pbに対しては正常供給時の向きが270度に設定されてもよい。
本実施の形態では、リード付きの部品について方向判別処理を行う構成としたが、リード無しの部品に対して方向判別処理を行うことも可能である。図149Aから図149Cを参照して、リード無しの部品に対し、ONCE計測を用いた方向判別処理について説明する。図149Aから図149Cは、それぞれ本実施の形態に係るリード無し部品に対するONCE計測の一例を示す図である。なお、以下の説明では、実装装置の制御部に対して、正常供給時の部品の向きが90度に設定され、反転供給時の部品の向きが270度に設定されているものとする。また、図149においては、座標軸が左側から右側に向って大きくなるように設定されている。
図149Aに示すように、電子部品Pcは、上面視において長方形の一の角部が切り欠かれて、約945度に傾斜した斜面77cが形成されている。したがって、電子部品Pcを945度回転させて斜面77cに対して平行にレーザ光を照射することで、正常供給時と反転供給時とで閾値αを中心として電子部品Pcが作り出す影を非対象にしている。図149B及び図149Cに示すように、レーザ光の照射により、電子部品Pcによって形成される影の左内側の座標と右内側の座標が取得される。そして、左内側の座標と右内側の座標との中心座標が算出され、中心座標が閾値αに対して左右どちらにあるかによって、電子部品Pcの向きが判別される。
図149Bに示す向きの場合、影の左内側の座標Alと右内側の座標Arとの中心座標Acが閾値αよりも右側に位置し、中心座標Acの値が閾値αよりも高く設定される。一方、図149Cに示す向きの場合、影の左内側の座標Blと右内側の座標Brとの中心座標Bcが閾値αよりも左側に位置し、中心座標Bcの値が閾値αよりも低く設定される。そして、例えば図149Bに示す向きが正常供給を示す場合には、図149Cに示す電子部品Pが180度回転され、適切な向きに調整される。
なお、閾値αは、予め制御装置20に記憶された座標であり、例えば、α=(Ac+Bc)/2の要件を満たすものである。また、本実施の形態では、上記の方向判別処理の他に電子部品Pcの寸法誤差が適切な範囲内か否かが判定される。例えば、閾値αを中心とした所定の誤差範囲内に中心座標Ac、Bcがある場合に、電子部品Pcが不良品と判定されて廃棄される。これにより、寸法誤差が大きな不良品を製造ラインから外すことができる。なお、誤差範囲は、閾値α±誤差判定値βであり、例えば、誤差判定値β=(Ac−α)/2の要件を満たすものである。
この電子部品Pの場合、リード付きの部品と略同様な流れで方向判別処理が実施されるが、図148に示すフローチャートにおいては、方向判別高さを調整する処理(図148のステップS682)が省略される。このように、本実施の形態に係る電子部品実装装置では、リード無しの電子部品Pcであっても、ONCE計測時において正常供給時と反転供給時とで電子部品Pcが形成する影に差異があれば、方向判別処理を実施可能である。
以上のように、本実施の形態に係る電子部品供給装置902によれば、電子部品Pが異形部品やコネクタ等の電子部品であっても、振り分け部943によって所定の姿勢の電子部品Pだけが選別され、落とし込み部944によってヘッド15が取り出し可能な姿勢に変換される。よって、電子部品Pがリード973を下方に向けて保持位置に供給されるため、ヘッド15側において電子部品Pを姿勢変更する必要がなく、水平に載置された基板Wに対して電子部品Pを装着するヘッド15(で保持される保持位置)に電子部品Pを適切な姿勢で供給できる。
ボウルフィーダとなる電子部品供給装置は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記した実施の形態において、帯板状のガイド部と面取部とにより部品を振り分ける構成としたが、この構成に限定されない。振り分け部は所定の姿勢の部品だけを通過させる構成であればよい。また、振り分け部は横向き姿勢の部品だけを通過させる構成としたが、縦向き姿勢の部品だけを通過させる構成としてもよい。
また、上記した実施の形態において、部品が振り分け部と落とし込み部によってリードを下方に向けた縦向き姿勢で実装装置に供給される構成としたが、この構成に限定されない。実装ノズルが、リードを側方に向けた横向き部品に対応していれば、部品は横向き姿勢の状態で実装装置に供給されてもよい。
また、上記した実施の形態においては、部品供給装置がリード付きの電子部品(リード型電子部品)を保持位置に供給する構成としたが、この構成に限定されない。部品供給装置は、振り分け部及び落とし込み部によって、リード無しの部品(搭載型電子部品)を適切な姿勢に揃えて実装装置に供給することも可能である。
また、上記した実施の形態において、第1のガイド部として帯状の板材を搬送路の上方を横切るように延在させたが、この構成に限定されない。第1のガイド部は、所定の姿勢の部品だけを通過させる構成であれば、どのように構成さていてもよい。
また、上記した実施の形態において、第2のガイド部としてアーチ状の板材を搬送路を跨ぐように配置したが、この構成に限定されない。第2のガイド部は、基本姿勢以外の部品に当接して搬送路から落下させる構成であればよい。
また、上記した実施の形態において、幅縮小部としての面取部によって搬送路の搬送幅が狭められたが、この構成に限定されない。幅縮小部は、搬送路の搬送幅を縮小する構成であればよく、例えば、切欠きによって搬送幅を縮小してもよい。
また、上記した実施の形態においては、電子部品が基板に実装される構成としたが、この構成に限定されるものではない。電子部品は、基板以外の基材に実装される構成としてもよい。
また、上記した実施の形態においては、電子部品供給装置としてボウルフィーダを例示して説明したが、この構成に限定されない。例えば、振り分け部、落とし込み部や方向判別処理等をバルクフィーダ等に適用することが可能である。
また、上記した実施の形態においては、ONCE計測を用いて方向判別処理を行う構成としたが、この構成に限定されない。部品の搬送方向における前後の反転を判別可能であればよく、例えば、SWEEP計測を用いて方向判別処理を行うことも可能である。
次に図150から図160を用いて、電子部品実装装置の他の例について説明する。図150は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図151は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。なお、図150から図160に示す電子部品実装装置10aは、ヘッドの数等一部の構成を除いた他の構成は、電子部品実装装置10と同様である。
図150及び図151に示す電子部品実装装置10aは、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10aは、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15f、15rと、XY移動機構16と、を有する。XY移動機構16は、X軸駆動部22f、22rと、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10aは、図150に示すように、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15f、15rと、X軸駆動部22f、22rと、を備える。このように、電子部品実装装置10aは、一部の構成を2つずつ備えるが、図151では、各部の構成をわかりやすく示すため、部品供給ユニット14r、ヘッド15rと、X軸駆動部22rと、の図示を省略する。電子部品実装装置10aは、部品供給ユニット14f、ヘッド15fと、X軸駆動部22fと、が電子部品実装装置10aのフロント側に配置される1つのモジュールとなり、部品供給ユニット14r、ヘッド15rと、X軸駆動部22rと、が電子部品実装装置10aのリア側に配置される1つのモジュールとなる。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とし、2つのヘッド15f、15rを特に区別しない場合、ヘッド15aとし、2つのX軸駆動部22f、22rを特に区別しない場合、X軸駆動部22aとする。ここで、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rとは、電子部品実装装置10と同様の構成である。部品供給ユニット14f、14rは、リード型電子部品を供給する電子部品実装装置100やボウルフィーダアセンブリ90や、搭載型電子部品を供給する電子部品実装装置100a等を備える。
ヘッド15aは、部品供給ユニット14に保持された電子部品(部品供給装置100に保持されたラジアルリード型電子部品または部品供給装置100aに保持されたチップ電子部品)を吸着し、吸着した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に搭載する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。
XY移動機構16は、ヘッド15f、15rを図151中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22f、22rとY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22fは、ヘッド15fと連結しており、ヘッド15fをX軸方向に移動させる。X軸駆動部22rは、ヘッド15rと連結しており、ヘッド15rをX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22fをY軸方向に移動させることで、ヘッド15fをY軸方向に移動させ、X軸駆動部22rをY軸方向に移動させることで、ヘッド15rをY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15fをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15fを基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14fと対面する位置に移動させることができる。XY移動機構16は、ヘッド15rをXY軸方向に移動させることで、ヘッド15rを基板8と対面する位置、または、部品供給ユニット14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
電子部品実装装置10aは、2つのヘッド15f、15rを備えることで、1つの基板に対して、交互に電子部品を搭載することができる。このように、2つのヘッド15で交互に電子部品を搭載することで、一方のヘッドが電子部品を基板に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品を吸着することができる。これにより、基板8に電子部品が搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品を搭載することができる。
次に、図152及び図153を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図152は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図153は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す斜視図である。なお、図152には、電子部品実装装置10aを制御する各種制御部と部品供給ユニット14の1つの部品供給装置100もあわせて示す。ヘッド15は、図152及び図153に示すように、ヘッド本体30とレーザ認識装置38と撮影装置36aと高さセンサ37aとを有する。電子部品実装装置10aは、図152に示すように、制御部60と、記憶部61と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。また、電子部品実装装置10aは、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、記憶部61と、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、記憶部61と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。電子部品供給装置100は、上述したように、電子部品保持テープに保持された電子部品80が露出している。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図153に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、撮影装置36a、高さセンサ37a、レーザ認識装置38も支持している。なお、ヘッド本体30、レーザ認識装置38は、上述したヘッド15の各部と同様の構成である。
撮影装置36aは、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。以下、図154A及び図154Bを用いて撮影装置36aの構成について説明する。ここで、図154Aは、電子部品実装装置の撮影装置の概略構成を示す断面図である。図154Bは、電子部品実装装置の撮影装置の概略構成を示す斜視図である。図154A及び図154Bに示すように、撮影装置36aは、筐体51と、カメラ本体52と、レンズ54と、垂直照明56と、角度照明58と、外輪照明59と、を有する。筐体51は、カメラ本体52とレンズ54と垂直照明56と角度照明58と外輪照明59との各部を支持する支持部材であり、ヘッド支持体31に固定されている。カメラ本体52は、撮像素子を備え、ヘッド15と対面する領域を撮影する機構である。カメラ本体52は、取得した画像を制御部60に送る。レンズ54は、カメラ本体52の基板8側、つまり鉛直方向下側に装着されており、カメラ本体52に入射する画像の焦点や倍率を調整する。なお、レンズ54は、カメラ本体52に入射する画像の焦点や倍率を調整する気候を備えない、つまり固定された光学系としてもよい。垂直照明56は、レンズ54よりも基板8側、つまり鉛直方向下側に配置されている。垂直照明56は、基板8に向けて垂直方向から光を照射することで、基板8を照明する。角度照明58は、垂直照明56よりも基板8側、つまり鉛直方向下側に配置されている。角度照明58は、基板8に向けて斜め方向から光を照射することで、基板8を照明する。外輪照明59は、角度照明58よりも基板8側、つまり鉛直方向下側に配置されている。外輪照明59は、基板8に向けてカメラ本体52の撮影領域の外周を囲うように光を照射することで、基板8を照明する。垂直照明56と、角度照明58と、外輪照明59とは、光を照射する照明装置に種々の照明装置を用いることができ、例えばLED等の発光素子を用いることができる。また、垂直照明56と、角度照明58と、外輪照明59とは、カメラ本体52と基板8との間に開口を有する。これによりカメラ本体52は、垂直照明56と、角度照明58と、外輪照明59とに遮られることなく、基板8の画像を撮影することができる。
本実施形態の撮影装置36aは、以上のような構成であり、後述するが基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう)やスルーホールの画像を撮影する。ここで、本実施形態では、BOCマークを用いて基板の表面に形成されている配線パターンの基準位置を検出したが、他の基準マークを用いるようにしてもよい。また、撮影装置36aは、垂直照明56と、角度照明58と、外輪照明59とから出力される光の光量を調整することで、3つの方向から基板8を照明する光量を調整することができ、基板に形成されたスルーホールの画像とBOCマークの画像をより高精度に取得することができる。また、制御部60は、撮影装置36aが撮影した画像のポラリティを反転させて、つまり白黒を反転させてスルーホールを検出することで、スルーホールの位置をより高精度に検出することができる。具体的には、スルーホールは、孔であるため画像上では黒くなってしまうため、ポラリティを反転させることで、白く浮き上がらせることができ、スルーホールの輪郭、穴径をより高い精度で検出することができる。
高さセンサ37aは、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37aとしては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37aは、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品の高さを検出する。なお、電子部品との距離の測定結果に基づいて電子部品の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
次に、電子部品実装装置10aの装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10aは、図152に示すように、制御機能として、制御部60と、記憶部61と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10aの制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、は、電子部品実装装置10の各部と同様の構成である。なお、電子部品実装装置10も同様に制御部60とは別体で記憶部61をそなえていてもよい。
記憶部61は、制御部60と接続されており、ROMやRAM等の記憶機能を備えている。なお、記憶部61は、制御部60と一体で設けてもよいし、別体で設けてもよい。記憶部61は、制御部60が各部から取得したデータや、制御部60で演算して算出したデータを記憶する。記憶部61は、例えば、スルーホール座標設計値と、基準マーク座標設計値と、電子部品搭載座標設計値と、を含む設計図のデータや、各種電子部品の形状、吸着条件、吸着処理の補正条件、生産プログラム等を記憶する。なお、記憶部61は、制御部60の制御により、不要となったデータは削除することもできる。
次に、電子部品実装装置10aの各動作について説明する。なお、以下の制御動作は、電子部品実装装置10でも同様の動作を実行できる。図155から図157を用いて、電子部品実装装置10aが電子部品を搭載する基板8上の位置を決定する動作について説明する。図155は、電子部品を搭載する基板の設計図の一例を示す説明図である。図156は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図157は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。
電子部品実装装置10aは、図155に示すように、設計図970の情報を記憶しており、設計図1570の情報に基づいて基板8に電子部品80を搭載する位置を決定する。電子部品実装装置10aは、通信回線を介してまたは記憶媒体から設計図970の情報を取得し、取得した情報を記憶部61に記憶させる。ここで、設計図970は、複数の電子部品搭載領域980が含んでいる。電子部品搭載領域980は、基板上における電子部品の搭載座標の設計値情報(電子部品搭載座標設計値)である。設計図970に含まれる複数の電子部品搭載領域980は、搭載する電子部品の種類に応じて大きさ、形状が異なる。また、電子部品搭載領域980は、搭載する電子部品のリード線を挿入する位置に対応したスルーホール形成座標の982a、982b、982c、984a、984b、986a、986b、986cの設計値情報(スルーホール座標設計値)が含まれている。ここで、スルーホール形成位置982aとスルーホール形成位置982bとスルーホール形成位置982cとは、互いに隣接したスルーホールである。スルーホール形成位置986aとスルーホール形成位置986bとスルーホール形成位置986cとも、互いに隣接したスルーホールである。スルーホール形成位置984aとスルーホール形成位置984bとは、間に他のスルーホールが配置されている。なお、図155では、電子部品搭載領域980の一部のスルーホール形成位置に符号を付したが、他の電子部品搭載領域980もスルーホールがある場合、スルーホール形成位置が設けられている。また、図155では、リード線を備える電子部品に対応する電子部品搭載領域980のみを示しているが、設計図970は、電子部品の種類としてリード線を備えていない電子部品(表面実装する電子部品)を搭載する位置に対応する電子部品搭載領域の情報を含んでいる。また、設計図970は、表面実装する電子部品の搭載位置の基準マークとなるBOC990の座標の設計値情報(基準マーク座標設計値)も含んでいる。このように、設計図970は、電子部品搭載座標設計値と、スルーホール座標設計値と、基準マーク座標設計値と、の情報を含んでいる。
電子部品実装装置10aは、図155に示す設計図970の情報を記憶部61から読み出し、解析することで、基板8に搭載する電子部品の種類、各電子部品の搭載位置の設計値等の情報を取得する。また、電子部品実装装置10aは、撮影装置36aで取得した基板の情報に基づいて、取得した設計値を補正する。以下、図156を用いて、搭載位置の補正処理について説明する。なお、図156に示す処理は、制御部60の処理を実行し、各部の動作を制御することで実現することができる。
まず、制御部60は、ステップS712として、BOCの座標の設計値を読み出す。つまり、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板に対応する設計図の情報を記憶部61から読み出し、設計図の情報に基づいて、基板上においてBOCが形成されている位置(基準マーク座標設計値)の情報を読み出す。次に、制御部60は、ステップS714として、スルーホールの座標の設計値を読み出す。つまり、制御部60は、設計図の情報に基づいて、基板上においてスルーホールが形成されている位置の情報(スルーホール座標設計値)を記憶部61から読み出す。ここで、制御部60は、多数のスルーホールの座標の設計値のうち、補正処理を実行する対象の少なくとも2つ以上のスルーホールの座標の設計値を読み出す。読み出すスルーホールの座標は、スルーホール設計座標982a、982b、982cの3点や、スルーホール設計座標986a、986b、986cの3点に示すように、任意の位置の上下左右に互いに隣接した位置のスルーホールを対象とする。つまり、スルーホール設計座標984a、984bの2点のように間に別のスルーホール設計座標があるスルーホールは対象としない。なお、ステップS712とステップS714との処理順序は逆でもよい。また、制御部60は、BOC座標設計値、スルーホール座標設計値に加え、電子部品搭載領域(電子部品搭載座標設計値)の情報も読み出す。つまり、制御部60は、基板8に電子部品を搭載する処理を実行する搭載プログラム(生産プログラム)を読み出す。なお、制御部60は、予め作成された搭載プログラムを読み出しても良いし、設計図970の座標に基づいて生産プログラムを作成してもよい。搭載プログラムには、基板データから得られた各部品の搭載座標データ及び部品角度、寸法等が入力されている。制御部60は、搭載プログラムにしたがって基板上に部品を搭載する。
制御部60は、ステップS714の処理を行ったら、ステップS716として、基板を搬入する。つまり、制御部60は、ヘッド15aで電子部品を搭載できる位置つまり部品搭載領域に基板8を搬入させ、固定する。
制御部60は、ステップS716で基板を搬入させたら、ステップS718としてBOCの位置を計測する。具体的には、制御部60は、撮影装置36aを用いて、ステップS712で読み出したBOCの座標の設計値と搬送した基板8の位置とに基づいて、BOCがあると予想される位置の画像を取得する。制御部60は、撮影装置36aで取得した画像に解析することで、基板8のBOCの位置、つまり実際のBOCの位置を計測する。
制御部60は、ステップS718でBOCの位置を計測したら、ステップS720として測定対象のスルーホールの位置、を計測する。具体的には、制御部60は、撮影装置36aを用いて、ステップS712で読み出したスルーホールの座標の設計値と搬送した基板8の位置とに基づいて、測定対象のスルーホールがあると予想される位置の画像を取得する。制御部60は、撮影装置36aで取得した画像に解析することで、基板8のスルーホールの位置つまり実際のスルーホールの位置を計測する。なお、電子部品実装装置10aは、スルーホールの座標をヘッドに備えた前述の高さセンサ37aで計測してもよい。つまり、電子部品実装装置10aは、高さセンサ37aで基板の表面の高さを計測し、基板の表面よりも高さが低い座標や高さが計測できない座標をスルーホールが形成されている座標として計測してもよい。
制御部60は、ステップS720でスルーホールの位置を計測したら、ステップS722として、計測結果を設計値とを比較し、ステップS724として補正量を算出し、ステップS726として補正量に基づいて搭載座標を決定する。具体的には、制御部60は、補正値として、基準マーク補正値とスルーホール補正値を算出する。
以下、図157を用いて、補正の一例を説明する。図157に示す基板8aは、BOC設計座標990、電子部品設計座標992、電子部品設計座標994、スルーホール設計座標996が設計値の座標となる。また、BOC設計座標990は、基板8a上に3箇所設けられている。電子部品設計座標992は、基板8a上に表面実装する、つまりスルーホールにリード線を挿入しない電子部品を搭載する位置の座標である。電子部品設計座標994は、基板8aに形成されたスルーホールにリード線を挿入するリード型電子部品を搭載する設計座標である。基板8aは、電子部品設計座標994の近傍領域に搭載する電子部品のリード線を挿入するスルーホール設計座標996が設けられている。なお、図157では、電子部品設計座標992、電子部品設計座標994をそれぞれ1つずつ示しているが、電子部品設計座標992、電子部品設計座標994は、搭載する電子部品の数にあわせて設けられる。
制御部60は、撮影装置36aにより基板8aに実際に形成されているBOC形成位置990aの情報を取得し、設計値のBOC設計座標990と、計測で取得した実際のBOC形成位置990aとのずれを検出し、検出結果に基づいて、電子部品設計座標992の座標(x、y、θ)を補正する基準マーク補正値を算出し、算出した基準マーク補正値に基づいて図157中矢印maで示すBOC補正をすることで、搭載座標である電子部品搭載位置992aの座標(x1、y1、θ1)を決定する。また、制御部60は、電子部品設計座標994の座標(x2、y2、θ2)を補正する基準マーク補正値を算出し、算出した基準マーク補正値に基づいて図157中矢印mbで示すBOC補正をすることで、搭載座標である電子部品搭載位置994aの座標(x3、y3、θ3)を決定する。
ここで、基板上にBOCや電子部品と電気的に接続するランド位置としての配線パターンを形成する工程は、同一の工程となる。すなわち実際の基板上のBOC形成位置990a、実際の基板上のランド位置によって決定される電子部品搭載位置992a及び電子部品搭載位置994aは一工程で基板上に位置決めされる。このため、基板セットずれに伴うずれをBOC設計座標990と実際のBOC形成位置990aのずれを求め、BOCのずれに基づいて、各電子部品搭載位置におけるBOC補正値を求めることで一度に補正できる。つまり、BOC設計座標990と実際に計測したBOC形成位置990aとのずれに基づいて、電子部品設計座標992を補正することで、配線パターンやランドが形成されている実際の電子部品搭載位置992aを搭載位置として決定することができる。
次に、基板上にスルーホールを開口する工程は、基板上にBOCや電子部品と電気的に接続するランド位置としての配線パターンを形成する工程とは異なる工程で形成される。このため、BOC補正を行っても、BOC補正値に基づいて算出した電子部品搭載位置994aに対応するスルーホールの搭載位置と基板上に形成されたスルーホール996bの位置補正との間に位置ずれが生じる場合がある。つまり、設計値のBOC形成位置990と、計測したBOC形成位置990aとのずれに基づいて実装装置への基板セットずれを求め、このBOC補正に基づいてリード線を有するリード型電子部品搭載位置(単に電子部品搭載位置ともいう、)994の設計座標(x2、y2、θ2)、スルーホール形成位置996の設計座標(A、B、C)を補正し、電子部品搭載位置994aの座標(x3、y3、θ3)、スルーホール形成位置996aの座標(A1、B1、C1)を算出しても、算出したスルーホール形成位置996aが実際のスルーホール形成位置996bからずれ、リード型電子部品(例えばラジアルリード型電子部品)のリードがスルーホール形成位置996bに挿入できない可能性がある。
これを解決するには、スルーホール設計座標996と実際のスルーホール形成位置996bとのずれを検出して補正値(図157中矢印h)を求める方法も考えられるが、電子部品実装装置に基板が搬入されるたびに、チップ形の電子部品を搭載するためのBOCマークの検出とBOC補正値(矢印ma、mb)を算出する演算を行い、さらに、リード型電子部品(本実施形態ではラジアルリード型電子部品)を実装するためにスルーホールの検出とずれを補正する補正値(矢印h)演算をリード型電子部品毎に繰り返す必要があるためタクトが低くなる。
ここで、ラジアルリード型電子部品の実際のスルーホール形成位置996b及び電子部品搭載位置994bは、スルーホール座標設計座標996及びその搭載座標設計座標994に対して、前記BOC補正で補正するずれ(矢印mb)と、BOC補正後のスルーホール形成位置996aと実際の基板上のスルーホール形成位置996bとのずれ量(矢印n)が含まれる。
制御部60は、ステップ24でスルーホールに対して、前記BOC補正の補正量(矢印mb)に加え、BOC補正後のスルーホール形成位置996aと実際の基板上のスルーホール形成位置996bとのずれ量(矢印n)をスルーホール補正の補正量として算出し、記憶部61に記憶する。ここで、上述したように、基板上のスルーホールは、同一工程で形成されるため、スルーホールの設計座標をBOC補正したスルーホール形成位置に対する実際のスルーホール形成位置のずれは、いずれのスルーホールでも同じとなる、また対象のスルーホールの補正量に基づいて演算することができる。したがって、制御部60は、BOC補正後のスルーホール形成位置996aに対する実際の基板上のスルーホール形成位置996bの補正量であるスルーホール補正量を求めて、記憶しておくことで、BOC補正の補正量(矢印m1、m2等)を求めるだけで、電子部品設計座標992に対してBOC補正により実際のチップ形電子部品の搭載位置992aを、決定することができる。また、制御部60は、電子部品設計座標994に対してBOC補正(矢印mbの補正)を行った後さらにスルーホール補正(矢印nの補正)を記憶部61から呼び出して補正することで実際のリード型電子部品の電子部品搭載位置994bを搭載位置に決定することができる。なお、電子部品実装装置は、他の電子部品実装装置とも、BOC補正後のスルーホール形成位置996aと実際の基板上のスルーホール形成位置996bとのずれ量(矢印n)の情報を共有することで、別の電子部品実装装置に搬入する際に、スルーホールの位置を検出しなくても、スルーホール補正を実行することができる。
これによって、基板にチップ形の電子部品とラジアル電子部品を一台の電子部品実装装置により混載して実装する場合でもタクトを高くすることができる。なお、図157のスルーホール補正の補正量(矢印n)は、説明の都合上大きく描いているが実際にはスルーホール形成位置996aとスルーホール形成位置996bが離れるほど(重ならないほど)補正量(矢印n)が大きくなることはない。
制御部60は、ステップS724で補正量を算出し、ステップS726でBOC補正の補正量(矢印ma、mb)及びスルーホール補正の補正量(矢印n)に基づいてチップ形電子部品とラジアルリード型電子部品の搭載座標992a,994bを決定したら、ステップS728として電子部品の搭載処理を実行する。制御部60は、ヘッド制御部62を介してヘッド15aを駆動させ、部品供給ユニット14から供給されるチップ形電子部品又はラジアルリード型電子部品を決定した搭載座標992a、994bに搭載する。制御部60は、基板に電子部品を搭載したら、ステップS730として、電子部品を搭載した基板を装置外に搬出し、ステップS732として生産終了かを判定する。
制御部60は、ステップS732で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS716に進み、上記処理を繰り返す。ここで、制御部60は、同じ搭載プログラムを用いて、基板に電子部品を搭載する場合、つまり同じ製品を再度製造する場合、生産終了ではないと判定する。制御部60は、ステップS732で生産終了である(Yes)と判定したら、本処理を終了する。
電子部品実装装置10aは、撮影装置36aでBOCマークと測定対象のスルーホールの位置を検出し、BOCマークの位置に基づいて、表面実装する電子部品の搭載座標を補正(BOC補正、矢印ma、mbの補正)し、測定対象のスルーホールの位置に基づいて、スルーホールにリード線を挿入する電子部品の搭載座標を補正(スルーホール補正、矢印nの補正)することで、表面実装する電子部品とスルーホールにリード線を挿入する電子部品との両方の搭載位置を適切に補正することができ、電子部品を基板のより適切な位置に搭載することができる。
また、電子部品実装装置10aは、測定対象のスルーホールの座標を2点以上とすることで、角度補正値も取得が可能となり、さらに、3点とすることでより高い精度で搭載座標を補正することができる。また、本実施形態では補正処理を実行した後、電子部品の搭載を実行したが、ステップS720のスルーホールの位置の検出は、スルーホールにリード線を挿入する電子部品(挿入部品)の搭載前に実行すればよく、表面実装する電子部品の搭載後に行ってもよい。
次に、図158から図160を用いて、電子部品の搭載時の処理動作について説明する。図158は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図159Aは、電子部品及び高さの測定位置の一例を示す説明図である。図159Bは、電子部品及び高さの測定位置の一例を示す説明図である。図160は、電子部品実装装置の動作を説明するための説明図である。ここで、電子部品実装装置10aは、図158から図160に示す処理動作を、スルーホールにリード線を挿入して電子部品を搭載する場合に実行する。
図158を用いて、電子部品の搭載時の処理動作の手順について説明する。なお、図158に示す処理は、制御部60の処理を実行し、各部の動作を制御することで実現することができる。また、制御部60は、図158に示す処理を、1つの電子部品を基板に搭載する毎に実行する。
制御部60は、ステップS750として、電子部品を基板に搭載する。つまり、制御部60は、ヘッド15aにより部品供給ユニットから電子部品を吸着し、吸着した電子部品を基板上に搭載する。制御部60は、電子部品を基板に搭載したら、ステップS752として、電子部品の位置を計測する。具体的には、制御部60は、高さセンサ37aにより搭載した部品の高さを計測する。
ここで、電子部品実装装置10aは、電子部品の複数個所の高さを計測することが好ましい。例えば、図159Aに示す電子部品80aは、本体82aと、本体82aのラジアル方向に配置された複数のリード84aと、を有する。本体82aは、ラジアル方向に直交する面(ノズル32で吸着される面)が矩形形状となっている。電子部品実装装置10aは、電子部品80aを搭載する場合、本体82aの矩形形状の四隅を測定位置88aとして、4箇所の測定位置88aの高さを計測する。次に、図159Bに示す電子部品80bは、本体82bと、本体82bのラジアル方向に配置された複数のリード84bと、を有する。本体82bは、ラジアル方向に直交する面(ノズル32で吸着される面)が円形形状となっている。電子部品実装装置10aは、電子部品80bを搭載する場合、本体82bの円形形状の外縁近傍の3箇所を測定位置88bとして、3箇所の測定位置88bの高さを計測する。なお、測定位置88bは、円周周上で互いに120度離れた位置となる。電子部品実装装置10aは、電子部品の複数個所の高さを計測することで、電子部品のどの位置が浮いているかを正確に計測することができる。
制御部60は、ステップS752で電子部品の位置(高さ方向の位置)を計測したら、ステップS754として電子部品の浮きがあるかを判定する。具体的には、制御部60は、対象の電子部品を基板に搭載した場合の測定位置での高さの情報を予め記憶しておき、予め記憶高さと測定した高さとを比較し、電子部品の高さが予め記憶高さの許容値内であるかを判定する。
制御部60は、ステップS754で電子部品の浮きなし(No)、つまり、電子部品の高さが許容値内であると判定した場合、本処理を終了する。制御部60は、電子部品の高さが許容値内である場合、電子部品のリード線がスルーホールに挿入できていると判定できるため、電子部品が適切に挿入されたとして、本処理を終了する。
制御部60は、ステップS754で電子部品の浮きあり(Yes)、つまり、電子部品の高さが許容値よりも高いと判定した場合、ステップS756として、押し込み量及び押し込み位置を決定する。具体的には、制御部60は、電子部品の高さの計測結果に基づいて、電子部品のどの位置が浮いているか及び浮いている量を検出する。制御部60は、検出した電子部品の浮いている位置及び浮いている量に基づいて、電子部品押し込む位置と当該位置で押し込む量を決定する。
制御部60は、ステップS756で押し込み量及び押し込み位置を決定したら、ステップS758として、ノズルで電子部品の押し込み処理を実行する。つまり、制御部60は、ステップS756で決定した押し込み位置で押し込み量に相当する高さ分をノズルで電子部品を押す。制御部60は、ステップS758で押し込み処理を実行したら、ステップS760として、ステップS752と同様に電子部品の位置を計測する。
制御部60は、ステップS760で電子部品の位置を計測したら、ステップS762として、ステップS754と同様に電子部品の浮きがあるかを判定する。制御部60は、ステップS762で電子部品の浮きなし(No)と判定した場合、本処理を終了する。
制御部60は、ステップS762で電子部品の浮きあり(Yes)と判定した場合、ステップS764として、閾値≦押し込み処理回数、つまり、押し込み処理を実行した回数が閾値以上であるかを判定する。制御部60は、ステップS764で閾値>押し込み処理回数である(No)と判定した場合、ステップS756に進み、上記処理を繰り返す。
制御部60は、ステップS764で閾値≦押し込み処理回数である(Yes)と判定した場合、ステップS766として、NG処理を実行し、本処理を終了する。つまり、制御部60は、閾値回数以上押し込み処理を実行しても電子部品の浮きがある場合、押し込み処理では、浮きを解消できないと判定して、NG処理を実行して、本処理を終了する。NG処理としては、装置の停止や、搭載した電子部品をノズルで吸着して廃棄し、新たな電子部品を搭載する処理等がある。
次に、図160を用いて、電子部品に浮きがある場合の処理について説明する。なお、図160は、電子部品80aの4箇所の高さを測定する場合の例である。制御部60は、ステップS780として、高さセンサ37aで電子部品80aの一方のリード線84a側の2箇所の測定位置の高さを計測し、ステップS782として、高さセンサ37aで電子部品80aの他方のリード線84a側の2箇所の測定位置の高さを計測する。制御部60は、ステップS780とステップS782の計測結果から、ステップS782で計測した他方のリード線84a側が浮いていると判定する。
制御部60は、ステップS780とステップS782の計測結果から計測した他方のリード線84a側が浮いていると判定し、電子部品80aの他方のリード線84a側の押し込み位置と押し込み量を決定したら、ステップS784として、電子部品80aの他方のリード線84a側をノズル32で基板8に向けて押し込む。
制御部60は、ステップS784で電子部品80aに対して押し込み処理を実行したら、ステップS786として、高さセンサ37aで電子部品80aの一方のリード線84a側の2箇所の測定位置の高さを計測し、ステップS788として、高さセンサ37aで電子部品80aの他方のリード線84a側の2箇所の測定位置の高さを計測する。制御部60は、ステップS786とステップS788の計測結果から、電子部品80aの高さが許容値内であることを検出したら、電子部品80が基板8に適切に搭載されたと判定して、本処理を終了する。なお、図160では、一回の押し込み処理で電子部品80aを基板8に押し込めた場合を説明したが、測定結果に基づいて押し込み処理を行わない場合や、複数回押し込み処理を行う場合がある。また、押し込み処理として電子部品の複数個所をノズルで押し込む場合もある。
電子部品実装装置10aは、電子部品のリード線をスルーホールに挿入させて電子部品を搭載する場合、搭載後の電子部品の高さを検出して、電子部品が浮いている場合、押し込み処理を実行することで、リード線を有する電子部品を適切に基板に搭載することができる。また、電子部品実装装置10aは、電子部品の搭載処理を実行するヘッド本体に搭載された高さセンサ37aで電子部品の高さを検出し、電子部品が浮いている場合、ノズル32で押し込み処理を実行することで、電子部品が搭載された基板を効率よく製造することができる。つまり、電子部品の搭載時に電子部品の近傍に高さセンサを配置することができ、ノズルで押し込み処理が出来るため、短時間で押し込み処理を実行でき、電子部品が搭載された基板を効率よく製造することができる。また、高さセンサを用いて、浮きを判定することで、より正確に浮いている電子部品を検出することができる。
また、上記実施形態の電子部品実装装置10aは、電子部品が浮いていると判定した場合、押し込み処理を実行するようにしたが、本発明はこれに限定されない。電子部品実装装置10aは、電子部品が浮いていると判定した場合、エラー表示を行うようにしてもよい。つまり、押し込み処理を行わずにエラーを表示するのみとしてもよい。この場合もより正確に浮いている電子部品を検出することができ、オペレータに浮いている電子部品があることを高い精度で通知することができる。これにより、浮いている電子部品がある基板、及び浮いている電子部品の位置を正確に把握することができ、目視等で確認する場合よりも少ない負荷で正確に電子部品の搭載状態を把握することができる。
また、上記実施形態では、1つのヘッドを有する構成または2つのヘッド15aを有する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、電子部品実装装置10aは、3つのヘッドを有してもよい。
また、ヘッド15aは、複数のノズルを備える場合、ラジアルリード型電子部品を保持搭載可能なノズルを少なくとも一本備えていればよく、ノズルの構成を種々の構成とすることができる。例えば、ヘッド15aは、半数のノズルがラジアルリード型電子部品を保持し実装可能なノズルであり、残りの半数のノズルがラジアルリード型電子部品を吸着できないノズルである構成としてもよい。また、ヘッド15aは、すべてのノズルを、ラジアルリード型電子部品を保持し実装可能なノズルとしてもよい。また、電子部品実装装置10aは、生産プログラムに基づいて、搭載対象の電子部品を保持するノズルを決定する際、ノズルの種類によって当該電子部品を保持し搭載するノズルを決定する。また、本実施形態の電子部品実装装置10aは、部品供給装置100と供給装置100aが混在する構成としたが、部品供給装置100のみを備える構成としてもよい。
また、電子部品実装装置10aは、リードを備える電子部品を供給する電子部品供給装置100とリードを備えない電子部品を供給する電子部品供給装置100aとを有する部品供給ユニット14を備えている構成としたが、他の構成の部品供給ユニットを用いることもできる。
次に、図161を用いて、電子部品の搭載時の処理動作の一例について説明する。図161は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、ヘッドのノズルで電子部品をする動作の度に図161の処理を実行する。なお、図161の処理は、基本的に、電子部品として、リード型電子部品と搭載型電子部品の両方を基板に実装する場合の処理である。電子部品実装装置10は、ステップS910として、保持する電子部品を特定し、ステップS912として保持対象の部品がリード型電子部品であるかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS912でリード型電子部品である(Yes)と判定した場合、ステップS914として、電子部品供給装置のリード型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置100、402、404、406等の保持位置(第2保持位置)に供給されるリード型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS914でリード型電子部品をノズルで保持したら、ステップS916として、リード型電子部品のリードを挿入穴に挿入して基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS912でリード型電子部品ではない(No)と判定した場合、ステップS917として、電子部品供給装置の搭載型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置100a等の保持位置(第1保持位置)に供給される搭載型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS917で搭載型電子部品をノズルで保持したら、ステップS918として、搭載型電子部品を基板に実装する。つまり、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品を挿入穴に挿入せずに基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS916またはステップS918の処理を実行したら、つまり電子部品を実装したら、ステップS919として全ての電子部品を実装が完了したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS919で実装が完了していない(No)と判定した場合、ステップS910に進み、次に実装する電子部品を特定して、当該特定した電子部品に対して上記処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS919で実装が完了した(Yes)と判定したら、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図161に示すように、1つのヘッドで搭載型電子部品とリード型電子部品を基板に実装することができる。さらに、電子部品実装装置10は、同じノズルで、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を搭載することができる。ここで、電子部品実装装置10は、リード型電子部品の本体を保持(吸着または把持)することで、搭載型電子部品と同じノズルで移送し、実装することができる。また、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品かリード型電子部品かを判定しそれぞれに応じてリードを挿入穴に挿入する、しないを切り換えることで、同じヘッドや同じノズルで実装を行った場合でもそれぞれの電子部品に適した条件で基板に実装することができる。これにより、ノズルを交換することなく搭載型電子部品とリード型電子部品とを実装することができる。また、搭載型電子部品とリード型電子部品とを分けずに混合して搭載できることで、搭載順序の制限がより少なくなり、実装の効率をより向上させることができる。
ここで、電子部品実装装置10は、リード型電子部品として、上述したように電子部品供給装置100で供給するラジアルリード型電子部品を用いることで上記効果をより好適に得ることができる。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置100でリードが所定の長さに切断されたラジアルリード型電子部品をノズルで保持し、より具体的には、本体をノズル保持し、移送し、リードを挿入穴に挿入することで基板に実装する。このように、電子部品実装装置10は、電子部品の本体を保持するため、リードの長さを短くすることができる。さらに、電子部品実装装置10は、テープ本体で搬送し、保持する前にリードを切断する構成であるため、ラジアルリード型電子部品のリードのうち搬送を行うためにテープで保持していた部分を除去した状態で基板に実装することができる。これにより、ラジアルリード型電子部品のリードを短くして基板に実装することができ、電子部品を安定した状態で基板に実装させることができる。具体的には、ラジアルリード型電子部品のリードを短くして基板に実装することができることで、基板の実装時にリードと挿入穴が接触して基板に与える振動を低減することができる。これにより、ラジアルリード型電子部品と搭載型電子部品とを同じ工程で実装してもお互いの実装に与える影響を少なくすることができ、同じ工程で、つまり同じヘッドや同じノズルで連続して実装しても好適に両方の電子部品を実装することができる。
ここで、上記実施形態の電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fとして、ボウルフィーダを用いたボウルフィーダアセンブリ90を備え、部品供給ユニット14rとして、ラジアルフィーダの電子部品供給装置100を備える構成としたが、これに限定されない。電子部品実装装置10は、部品供給ユニットを各種組み合わせとすることができる。例えば、フロント、リアの両方の部品供給ユニットにボウルフィーダの電子部品供給装置を設置してもよいし、フロント、リアの両方の部品供給ユニットにラジアルフィーダの電子部品供給装置を設置してもよい。また、上述したように部品供給ユニットとして、搭載型電子部品を電子部品保持テープで供給する電子部品供給装置(チップ部品フィーダ)100aを含んでいてもよい。また、フロント、リアのうち、一方の部品供給ユニットの電子部品供給装置を、全て電子部品供給装置(チップ部品フィーダ)100aとしてもよい。つまり、フロント、リアの一方の部品供給ユニットは、リード型電子部品(基板に挿入される電子部品)を供給し、他方は、リードなし電子部品(基板に搭載される電子部品)を供給するようにしてもよい。また、電子部品実装装置は、電子部品供給装置として、いわゆるトレイフィーダを用いることもできる。さらに、電子部品実装装置は、電子部品供給装置としてテープに保持されたアキシャル型電子部品のリードを上記ように基板下に短く出るように切断してコ字型に折り曲げた状態で保持位置に供給するアキシャルフィーダを用いることもできる。この場合、電子部品実装装置は、ノズルでアキシャルフィーダの保持位置のアキシャル型電子部品本体を保持した後、リード間隔の良否を判別して良と判定したアキシャル型電子部品を挿入穴(基板孔)に挿入する。電子部品実装装置10は、いずれの電子部品供給装置で供給された電子部品であっても、電子部品を吸着または把持することで、基板に搭載または挿入することができる。なお、リード型電子部品を供給する電子部品供給装置は、本体がリードの鉛直方向上側に配置される向き、つまり、リードが本体の鉛直方向下側に配置される向きでリード型電子部品をノズルによって保持される保持位置に供給する。ここで、電子部品実装装置10は、本実施形態のように、ボウルフィーダを備える部品供給ユニットと、その他の種類の電子部品供給装置、例えば、上記ラジアルフィーダ、上記アキシャルフィーダ、搭載型電子部品テープフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等の部品供給ユニットと、を基板搬送部12を介して対向する位置であるフロント側とリア側に配置することが好ましい。これにより、その他の種類の部品供給ユニットに、ボウルフィーダの振動の影響が及ぶことを抑制することができるのでその他の種類の電子部品供給装置が保持位置で供給する電子部品に対するノズル保持作用を安定させることができる。
なお、本実施形態では、部品供給ユニットを部品供給ユニット14f、14rの二つとして説明したが、数は限定されない。また、2つの部品供給ユニット14f、14rを1つの部品供給ユニットとみなし、部品供給ユニット14f、14rのそれぞれを第1部品供給部、第2部品供給部とみなすこともできる。例えば、上記実施形態のように1つの部品供給ユニットが、ボウルフィーダ(部品供給ユニット14f、第1部品供給部)とラジアルフィーダ(部品供給ユニット14r、第2部品供給部)を備えている構成とみなすことができる。この場合、第1部品供給部と第2部品供給部とは、基板が配置されている位置を挟んで対向する位置に配置される。また、1つの部品供給ユニット14fに第1部品供給部、第2部品供給部が備えられているとみなすこともできる。例えば、上述したように、1つの部品供給ユニット14fが、ラジアルフィーダ(第1部品供給部)とチップ部品フィーダ(第2部品供給部)を備えている構成とみなすことができる。このように、電子部品実装装置10は、組み合わせによらず、複数種類の電子部品供給装置を備える構成とすることができる。
ここで、ラジアルフィーダである電子部品供給装置100が供給する電子部品としては、テープでリードを保持することができる種々のラジアルリード型電子部品がある。電子部品供給装置100は、例えば、アルミ電解コンデンサ、インダクタ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ等を供給することができる。また、ボウルフィーダである電子部品供給装置402、404、406が供給する電子部品としては、パッケージ部品の各種リード型電子部品がある。電子部品供給装置402、404、406は、例えば、ソリッドステートリレー、DIP型電子部品、SIP型電子部品、コネクタ、トランス等を供給することができる。
また、本実施形態のヘッド15は、1台のヘッドでより多くの種類の電子部品を実装できるようにするため複数のノズルを備えている場合は、前記ノズル自動交換装置(本実施形態では交換ノズル保持機構とヘッド本体との組み合わせで実現されるヘッド交換動作)を使って実装生産中に各ノズルを種々の吸着ノズル、把持ノズルに交換できる。電子部品実装装置10は、搭載型電子部品及びリード型電子部品に対する大きさ、重さ、部品本体上面が吸着可能な平面を有するかどうか、及び部品本体を把持可能かどうか等の部品条件により、部品ごとに適切な吸着孔径の吸着ノズルまたは適切な形状の把持部材を備えた把持ノズルが指定され、生産プログラムに記憶されている。電子部品実装装置10は、生産プログラムに記憶されている電子部品とノズルとの対応関係に基づいて、ヘッドに装着するノズルを切り換えたり、ヘッド内で当該電子部品を保持するノズルを決定したりする。
その結果、電子部品実装装置10は、例えば基板実装中にノズルが保持する電子部品が搭載型電子部品からリード型電子部品に変更される場合、搭載型電子部品を保持するノズルとリード型電子部品を同一のノズルで保持する場合と相違するノズルで保持する場合が生じる。電子部品実装装置10は、前記ノズルが相違する場合、段取り時または生産中に、搭載する電子部品が変更されるときに前記ノズル自動交換装置により自動的にノズルを交換する。すなわち、生産中に基板に実装する電子部品が例えば搭載型電子部品であるときはその電子部品に適したノズル(吸着ノズルまたは把持ノズル)を選択し、該電子部品を供給する電子部品供給装置の保持位置にある搭載型電子部品にノズルを移動して電子部品を保持し基板の所定位置に移動して、電子部品を下降速度制御しながら搭載することを継続する。電子部品実装装置10は、該電子部品の実装が所定数終了し、次に実装すべき電子部品がリード型電子部品に変更されるときは、ノズルが同一か相違するかを判別する。電子部品実装装置10は、ノズルが同一であると判定した場合、ノズルの交換が不要であるため同一のノズルを該リード型電子部品用のノズルとする。また、電子部品実装装置10は、ノズルが相違すると判定した場合、ヘッドに装着された他のノズルで使用可能なものがある場合にはそのノズルを該リード型電子部品用のノズルとし、他のノズルに利用できるノズルがない場合には前記ノズル自動交換装置により自動的に該リード型電子部品用ノズルに自動交換する。電子部品実装装置10は、このようにしてリード型電子部品用のノズルが準備できたら、ヘッドを移動してこのノズルをリード型電子部品供給装置の保持位置に移動する電子部品実装装置10は、リード型電子部品を供給する電子部品供給装置によって、内蔵された切断装置(カットユニット)により電子部品テープ(電子部品保持テープ)から予め所定長さに短く切断されたリードを備えたリード型電子部品を保持位置にセットしている。電子部品実装装置10は、前記ノズルでリード型電子部品を吸着また把持することで保持し、検出手段(レーザ認識装置38)でリード間隔を判別すると共に位置ずれを判別することで、基板に移動して挿入穴(基板孔)に挿入する電子部品を選別し挿入穴に挿入するときにリードを位置ずれ補正すると共に挿入するときの下降速度をリードの切断長さに合わせて順次減速する切り替え制御しながら実装する。
また、ヘッド15は、複数のノズルを備える場合、リード型電子部品(挿入型電子部品)を保持し搭載可能なノズルを少なくとも一本備えていればよく、ノズルの構成を種々の構成とすることができる。例えば、ヘッド15は、一部のノズルがリード型電子部品を保持するノズルであり、残りのノズルが搭載型電子部品を保持するノズルとしてもよい。この場合、電子部品実装装置は、ノズルが搭載型電子部品を保持した場合には、当該搭載型電子部品を基板搭載する実装制御を行い、リード型電子部品を保持した場合には、当該リード型電子部品を挿入穴(基板孔)に挿入する実装制御を行う。また、ヘッド15は、すべてのノズルを、リード型電子部品を保持するノズルとしてもよい。また、電子部品実装装置10は、生産プログラムに基づいて、搭載対象の電子部品を吸着する吸着ノズル(または把持する把持ノズル)を決定する際、電子部品の種類によって当該電子部品を保持し実装するノズルを決定する。電子部品実装装置10は、このように一台のヘッドに装着可能な複数のノズルを用意し、生産プログラムに基づく指令により生産中にノズル自動交換装置を作動させて、ヘッドに装着するノズルを次に生産する電子部品(実装する電子部品)に合わせたノズルに着脱交換することで、基板に対してリード型電子部品を保持挿入するとともに搭載型電子部品を基板搭載することで順次基板実装できる。
次に、図162と図163を用いて、上述した電子部品実装装置を用いた電子部品実装システム(実装システム)の一例について説明する。図162は、電子部品実装システムの概略構成を示す模式図である。図162に示す電子部品実装システム(以下「実装システム」ともいう。)1は、パターン形成装置2と、リフロー処理装置4と、搬送装置6、7と、電子部品実装装置10と、を有する。実装システム1は、パターン形成装置2、搬送装置6、電子部品実装装置10、搬送装置7、リフロー処理装置4となる順序で基板が搬送されるように各部が配置されている。
パターン形成装置2は、基板の表面に半田ペーストのパターンを形成し、基板の挿入穴に半田ペーストを充填する装置である。リフロー装置4は、基板を所定温度に加熱し、基板の半田ペーストを一時的に溶かすことで、半田ペーストに接している基板と電子部品とを接着させる。つまり、リフロー装置4は、基板の表面に形成された半田ペーストのパターン上に実装された搭載型電子部品と基板とをパターンの半田ペーストで接着させ、挿入穴にリードが挿入されたリード型電子部品のリード挿入穴とを挿入穴に充填された半田ペーストで接着させる。
搬送装置6、7は、基板を搬送する装置である。搬送装置6は、パターン形成装置2で処理され搬出された基板を電子部品実装装置10に搬入する。搬送装置7は、電子部品実装装置10で処理され搬出された基板をリフロー処理装置4に搬入する。
電子部品実装装置10は、上述したように、基板に電子部品を実装する。ここで、電子部品実装装置10は、電子部品として、リード型電子部品を実装することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、リード型電子部品と搭載型電子部品の両方を実装することもできる。実装システム1は、以上のような構成である。
図163は、電子部品実装システムの動作の一例を示すフローチャートである。実装システム1は、ステップS960として基板に半田ペーストを印刷する。つまり、実装システム1は、ステップS960としてパターン形成装置2で、基板の表面に半田ペーストのパターンを形成し、挿入穴に半田ペーストを充填させる。実装システム1は、ステップS960で基板に半田ペーストを印刷したら、搬送装置6で基板を電子部品実装装置10に搬入し、ステップS962として、電子部品実装装置10で基板にリード型電子部品および搭載型電子部品を実装する。実装システム1は、ステップS962で基板に電子部品を実装したら、搬送装置7で電子部品が実装された基板をリフロー処理装置4に搬入し、ステップS964として、リフロー処理を実行し、本処理を終了する。
実装システム1は、このように、電子部品実装装置10でリード型電子部品および搭載型電子部品を実装することで、リード型電子部品および搭載型電子部品の両方を1回のフフロー処理で、基板に固定することができる。これにより、実装システム1は、製造ラインの構成を簡単にすることができる。
また、電子部品実装装置10でリード型電子部品および搭載型電子部品を実装することで上述したようにラジアルリード型電子部品のリードを短くした状態で実装することができる。これにより、実装システム1は、リード型電子部品および搭載型電子部品を同じ工程で実装し、リード型電子部品および搭載型電子部品に対して同時にリフローを実行しても、好適に電子部品を基板に接着させることができる。これにより、基板の生産効率を向上させることができる。
また、電子部品実装システム1は、挿入穴に予め半田ペーストを充填または塗布することで挿入したリードが半田ペーストを介して挿入穴に仮固定されることにより、従来行われていた部品を固定するために基板の裏側での部品折り曲げ工程を不用にできるのでリードを短くでき、これによって従来基板挿入の専用実装装置で基板の裏側に設けられていたリード折り曲げ装置を省略することができる。また、従来の電子部品実装装置(チップマウンタ)で利用されていた基板を支持する支持ピンを任意の位置に配置してヘッドにより基板搭載及び挿入穴に挿入できる。
なお、図162、図163に示す実装システム1は、上記効果を得ることができるため、好適な構成である電子部品実装装置を備える実装システムはこれに限定されない。例えば実装システムは、電子部品実装装置10を複数台備える構成としてもよい。また、実装システムは、電子部品実装装置10を、リード型電子部品のみを実装させる実装装置として用いてもよい。また、電子部品実装装置10は、リード型電子部品を好適に実装することができる装置であるが、一時的に搭載型電子部品のみを実装する装置としても用いることも可能である。