(第1実施形態)
以下、本願の作業機を部品装着機に具体化した第1実施形態について、図を参照しつつ詳しく説明する。
(部品装着機の構成)
図1に、部品装着機10を示す。部品装着機10は、回路基材12に対する部品の装着作業を実行するための装置である。部品装着機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、カットアンドクリンチ装置33(図5参照)、制御装置34(図9参照)を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とを備えている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、例えば、コンベアベルトを回転させて回路基材12を搬送する装置である。クランプ装置52は、回路基材12を挟持して作業位置に固定的に保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向(横方向)と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向(前後方向)と称し、鉛直方向をZ方向(上下方向)と称する。つまり、部品装着機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と、作業ヘッド移動装置64と、開閉装置86(図9参照)と、駆動装置90(図9参照)とを有している。各作業ヘッド60,62は、チャック65(図2、図3参照)を有しており、チャック65によって部品を保持する。また、各作業ヘッド60,62は、押圧部66(図2、図4参照)を有している。押圧部66は、チャック65によって回路基材12に装着した部品を押し倒すのに使用される。
また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68と、Y方向移動装置70と、Z方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68及びY方向移動装置70によって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されている。Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
チャック65は、図3に示すように、チャック本体部101と、1対のチャック爪103と、当て金105を有している。1対のチャック爪103は、チャック本体部101の下面から下方に延び出すように配設されている。開閉装置86及び駆動装置90(図9参照)は、例えば、作業ヘッド60,62の各々に内蔵されている。開閉装置86及び駆動装置90は、例えば、駆動源として電磁モータを備える。1対のチャック爪103は、開閉装置86(図9参照)の作動に応じて互いに接近又は離間する。これにより、チャック65は、1対のチャック爪103を接近させることで、1対のチャック爪103によって部品、例えば、図3に示すようにリード部品110の部品本体部111を狭持する。
また、当て金105は、チャック本体部101の下面であって、1対のチャック爪103の間における中央に設けられている。当て金105の材料は、例えば、アルミである。当て金105は、1対のチャック爪103に挟持されたリード部品110の部品本体部111の上面に接触する。当て金105は、チャック本体部101に内蔵されたバネ106によって下方に向かって付勢されている。当て金105は、部品本体部111の上面に接触し、バネ106の弾性力に応じて部品本体部111を下方へ付勢する。従って、当て金105は、例えば、チャック爪103に挟持された部品本体部111の高さが高い場合に、部品本体部111を下方に向かって押圧する。これにより、チャック爪103に挟持された部品本体部111のZ方向における高さ、即ち、リード部品110の高さを所定の位置に補正することが可能となる。
また、チャック65は、1対のチャック爪103を離間させることで、1対のチャック爪103の間からリード部品110を離脱する。チャック65は、作業ヘッド60,62の各々の下端部に着脱可能に装着される。なお、リード部品110を保持する装置は、チャック65に限らない。例えば、作業ヘッド60,62の各々は、リード部品110を保持する装置として、部品を吸着して保持する吸着ノズルを備えても良い。また、作業ヘッド60,62は、例えば、部品本体部111ではなくリード線113を挟持する爪等を備えても良い(図21参照)。また、リード部品110は、図3に示すように、リード部品110の下方から一方向にリード線113を突出さるようなラジアル部品でも良く、2方向にリード線を突出させるアキシャル部品でも良く、他のリード線を備える部品でも良い。従って、本願におけるリード部品としては、リード線113に対して部品本体部111を折り曲げ可能な様々な部品を採用することができる。
押圧部66は、図4に示すように、チャック65と同様の構成となっている。押圧部66は、チャック65のチャック爪103を取り外した構成となっている。当て金105は、チャック本体部101の下面から下方へ突出した状態となっている。本実施形態の部品装着機10は、押圧部66の当て金105を、回路基材12に装着されたリード部品110の部品本体部111に押し当てる。これにより、部品本体部111を、回路基材12側へ押し曲げる。
作業ヘッド60,62は、駆動装置90を駆動させて、チャック65や押圧部66をZ方向(上下方向)に移動可能となっている。これにより、チャック爪103及び当て金105は、駆動装置90の駆動に応じて、Z方向に沿って移動する。また、作業ヘッド60,62は、駆動装置90を駆動させて、チャック65や押圧部66を回転可能となっている。これにより、チャック爪103及び当て金105は、駆動装置90の駆動に応じて、Z方向に沿った回転軸L1(図3参照)を中心に回転する。なお、チャック65及び押圧部66を回転させる回転軸L1は、Z方向に沿った回転軸に限らず、Z方向と所定角度をなす方向に沿った回転軸でも良い。
また、図2に示すように、作業ヘッド60,62の各々には、チャック65によって保持された部品を撮像するサイドカメラ67が取り付けられている。サイドカメラ67は、例えば、チャック65に部品本体部111を挟持された状態のリード部品110の全体を側方から撮像可能となっている。
また、図2に示すように、マークカメラ26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向、Y方向及びZ方向に移動させられる。これにより、マークカメラ26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像でき、回路基材12に装着された部品の状態や、回路基材12の表面に設けられたマーク等を撮像できる。また、図1に示すように、パーツカメラ28は、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態、即ち、撮像方向を上方に設定された状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60,62のチャック65に保持された部品(リード部品110など)を撮像可能となっている。
図1に示すように、部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側(前側)の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置97とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置97は、トレイ上に載置された状態の部品(リード部品110など)を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
また、ばら部品供給装置32は、Y方向(前後方向)におけるフレーム部40の他方側(後側)の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品(リード部品110など)を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。
なお、部品供給装置30及びばら部品供給装置32によって供給される部品としては、電子回路部品、太陽電池の構成部品、パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リード線を有するリード部品110(ラジアル部品やアキシャル部品など)、あるいはリード線を有さない部品等が有る。
カットアンドクリンチ装置33は、搬送装置50の下方に配設されており、図5に示すように、カットアンドクリンチユニット130とユニット移動装置131とを有している。カットアンドクリンチ装置33は、回路基材12に形成された貫通孔に挿入されたリード部品110(図3参照)のリード線113を切断するとともに、屈曲させる装置である。図6及び図7に示すように、カットアンドクリンチユニット130は、ユニット本体133と、1対のスライド体134と、ピッチ変更機構135とを含む。ユニット本体133の上端には、スライドレール136が、X方向に延びるように配設されている。そして、そのスライドレール136によって、1対のスライド体134が、スライド可能に支持されている。これにより、1対のスライド体134は、X方向において近接又は離間可能となっている。カットアンドクリンチ装置33は、各装置や機構に対応した複数の電磁モータ140(図9参照)を有している。ピッチ変更機構135は、電磁モータ140の作動により、1対のスライド体134の間の距離を変更する。
また、図7に示すように、1対のスライド体134の各々は、固定部138と、可動部139と、スライド装置141とを有する。1対のスライド体134の各々は、固定部138において、スライドレール136にスライド可能に保持されている。固定部138の背面側には、X方向に延びるように、2本のスライドレール142が固定されている。可動部139は、それら2本のスライドレール142によって、スライド可能に保持されている。これにより、可動部139は、固定部138に対してX方向にスライドする。また、スライド装置141は、電磁モータ140を作動させ、可動部139を固定部138に対してスライド移動させる。
また、固定部138の上端部は、先細り形状とされており、その上端部を上下方向に貫通するように、第1挿入穴143が形成されている。第1挿入穴143は、上端において、固定部138の上端面に形成した開口と連通している。第1挿入穴143の上端の開口縁には、リード線113(図3参照)を切断するための固定刃203(図11参照)が形成されている。また、第1挿入穴143は、下端において、固定部138の側面に開口している。その側面の開口の下方には、廃棄ボックス145が配設されている。
また、図8に示すように、可動部139の上端部も、先細り形状とされている。可動部139の上端部には、L字型に屈曲された屈曲部147が形成されている。屈曲部147は、固定部138の上端面の上方に延び出しており、屈曲部147と固定部138の上端面とは、Z方向において僅かなクリアランスを介して対向している。また、固定部138の上端面に開口する第1挿入穴143(図7参照)は、上方に配置された屈曲部147によって覆われている。屈曲部147には、第1挿入穴143と上下方向で対向するように、第2挿入穴149が形成されている。
また、第2挿入穴149における下端の開口縁には、可動刃205(図11参照)が設けられている。また、屈曲部147の上端面には、X方向、つまり、可動部139のスライド方向に延びるように、ガイド溝151が形成されている。ガイド溝151は、第2挿入穴149の開口をX方向で跨ぐように形成されている。ガイド溝151と第2挿入穴149とは繋がっている。ガイド溝151は、屈曲部147の両側面に開口している。
また、図5に示すように、ユニット移動装置131は、X方向移動装置153と、Y方向移動装置155と、Z方向移動装置157と、自転装置159とを有している。X方向移動装置153は、スライドレール160と、Xスライダ162とを有している。スライドレール160は、X方向に延びるように配設されている。Xスライダ162は、スライドレール160にスライド可能に保持されている。そして、Xスライダ162は、電磁モータ140(図9参照)の駆動により、X方向に移動する。Y方向移動装置155は、スライドレール166と、Yスライダ168とを有している。スライドレール166は、Y方向に延びるようにXスライダ162に配設されている。Yスライダ168は、スライドレール166にスライド可能に保持されている。そして、Yスライダ168は、電磁モータ140(図9参照)の駆動により、Y方向に移動する。Z方向移動装置157は、スライドレール172と、Zスライダ174とを有している。スライドレール172は、Z方向に延びるようにYスライダ168に配設されている。Zスライダ174は、スライドレール172にスライド可能に保持されている。そして、Zスライダ174は、電磁モータ140(図9参照)の駆動により、Z方向に移動する。
また、自転装置159は、概して円盤状の回転テーブル178を有している。回転テーブル178は、それの軸心を中心に回転可能にZスライダ174に支持されており、電磁モータ140(図9参照)の駆動により、回転する。そして、回転テーブル178の上には、上記したカットアンドクリンチユニット130が配設されている。このような構造により、カットアンドクリンチユニット130は、X方向移動装置153、Y方向移動装置155、Z方向移動装置157によって、任意の位置に移動するとともに、自転装置159によって、任意の角度に自転する。これにより、カットアンドクリンチユニット130を、クランプ装置52(図1参照)によって保持された回路基材12の下方において、任意の位置に位置決めすることが可能となる。
図9に示すように、制御装置34は、コントローラ190と、複数の駆動回路192と、画像処理装置195,196と、記憶装置197とを備えている。複数の駆動回路192は、上記した搬送装置50、クランプ装置52、作業ヘッド移動装置64、開閉装置86、駆動装置90、トレイ型部品供給装置97、ばら部品供給装置32、電磁モータ140等に接続されている。
コントローラ190は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路192に接続されている。コントローラ190は、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等を制御し、部品装着機10の動作を統括的に制御する。本実施形態のコントローラ190は、記憶装置197に保存された制御データD1を読み込んで、回路基材12に対する部品の装着作業を実行する。記憶装置197は、例えば、ハードディスクやメモリ等を備えている。また、制御データD1は、例えば、部品装着機10の作動を制御する制御プログラム、生産する回路基材12の種類、装着する部品の種類、部品の装着位置等のデータが設定されている。また、本実施形態の制御データD1には、後述するリード部品110を押し倒す際の設定値が保存されている。ここでいう設定値とは、例えば、押圧部66を配置する位置、押圧部66を移動させる速度、押圧部66を回転させる角度、押圧部66を移動させる距離などを示す値である。
また、コントローラ190は、画像処理装置195に接続されている。画像処理装置195は、部品装着装置24のサイドカメラ67によって撮像された撮像データを処理する。コントローラ190は、画像処理装置195の処理によって、例えば、チャック65に保持されたリード部品110のリード線113の曲がりや、部品本体部111とリード線113との位置の誤差などを検出する。
また、コントローラ190は、画像処理装置196に接続されている。画像処理装置196は、マークカメラ26及びパーツカメラ28によって撮像された撮像データを処理する。コントローラ190は、画像処理装置196の処理によって検出された各種情報を取得する。コントローラ190は、例えば、マークカメラ26の撮像データを画像処理装置196で処理することによって、回路基材12に装着された部品の状態や、回路基材12に設けられた識別情報を検出する。また、コントローラ190は、例えば、パーツカメラ28の撮像データを画像処理装置196で処理することによって、チャック65に保持されたリード部品110の保持位置等を検出する。なお、コントローラ190は、パーツカメラ28で撮像された撮像データに基づいて、リード線113の曲がり等を検出してもよい。
(リード部品110の装着の作動)
部品装着機10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業を行う。また、部品装着機10は、装着作業において、リード部品110の部品本体部111を、回路基材12側へ押し倒す作動を行う。
図10は、部品装着機10によるリード部品110の装着作動のフローチャートを示している。制御装置34のコントローラ190は、例えば、制御データD1に含まれる制御プログラムを実行することで、図10に示す処理を行う。制御プログラムは、例えば、部品装着機10の生産ラインを管理する管理コンピュータ(図示略)においてユーザによって生成される。制御プログラムは、管理コンピュータから部品装着機10へ送信され、コントローラ190の記憶装置197に記憶される。コントローラ190は、記憶装置197に記憶した制御プログラムに基づいて装着作業を行う。なお、以下の説明では、コントローラ190による制御を、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「基材搬送保持装置22が回路基材12を搬送する」という記載は、「コントローラ190が、制御プログラムを実行し、基材搬送保持装置22を制御することで回路基材12を搬送する」ということを意味する場合がある。
まず、図10のステップ(以下、単に「S」と記載する)1において、基材搬送保持装置22は、回路基材12を、例えば、生産ラインの上流の装置から部品装着機10に搬入し、作業位置まで搬送する。クランプ装置52は、作業位置において、回路基材12を固定的に保持する。また、マークカメラ26は、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。コントローラ190は、マークカメラ26の撮像データに基づいて、回路基材12に設けられた識別情報を検出する。また、コントローラ190は、マークカメラ26の撮像データに基づいて、回路基材12の保持位置等を検出する。
次に、S3において、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、リード部品110を供給する。作業ヘッド60,62の何れかは、リード部品110の供給位置の上方に移動し、チャック65の一対のチャック爪103(図3参照)によってリード部品110の部品本体部111を挟持して保持する。
また、S3において、作業ヘッド60,62は、サイドカメラ67によって、チャック65で挟持したリード部品110を撮像する。作業ヘッド60,62は、例えば、部品の供給位置から作業位置に移動しながらサイドカメラ67による撮像を実施する。コントローラ190は、サイドカメラ67の撮像データに基づいて、リード部品110の保持位置等に関する情報を演算する。
コントローラ190は、リード部品110を保持した作業ヘッド60,62を、回路基材12の上方に移動させ、リード線113を回路基材12の貫通孔に挿入する(S5)。コントローラ190は、移動中に作業ヘッド60,62を制御して、リード部品110の保持位置の誤差等を補正する。作業ヘッド60,62は、駆動装置90を駆動してチャック65を回転等させ、チャック65で保持したリード部品110の保持位置の誤差等を補正する。作業ヘッド60,62は、回路基材12の上方まで移動すると、駆動装置90を駆動してチャック65を下降させる。そして、チャック65により保持されたリード部品110の1対のリード線113が、回路基材12に形成された2つの貫通孔に挿入される。この際、回路基材12の下方には、カットアンドクリンチユニット130が移動されている。カットアンドクリンチユニット130は、リード線113の切断及び折り曲げを実行する(S7)。
図11は、リード線113を切断する前の状態を示している。まず、カットアンドクリンチ装置33は、ユニット移動装置131を制御して、カットアンドクリンチユニット130の位置や1対のスライド体134間の距離等を調整する。図11に示すように、第1挿入穴143、第2挿入穴149、及び回路基材12の貫通孔208は、Z方向において重なる状態となる。スライド体134の上端部は、回路基材12の下面12Aから下方に僅かに離間した位置に配置される。コントローラ190は、チャック65により保持されたリード部品110を下降させ、回路基材12の上面12B側から貫通孔208にリード線113を挿入する。一対のリード線113の各々は、一対の貫通孔208の各々に挿入される。リード線113は、第2挿入穴149の上方から挿入され、第2挿入穴149を介して第1挿入穴143に挿入される。
次に、図12に示すように、1対の可動部139は、例えば、固定部138に対して相対的に移動し近接する方向にスライドする。これにより、リード線113は、第1挿入穴143の固定刃203と、第2挿入穴149の可動刃205とによって切断される。そして、リード線113の切断により分離された先端部は、第1挿入穴143の内部において落下し、廃棄ボックス145(図7参照)に廃棄される。
1対の可動部139は、リード線113を切断した後も、さらに近接する方向にスライドされる。このため、切断によるリード線113の新たな先端部は、可動部139のスライドに伴って、第2挿入穴149の内周のテーパ面に沿うように屈曲する。さらに、可動部139がスライドすることで、リード線113の先端部は、ガイド溝151に沿うように屈曲する。これにより、リード線113は、概ね直角に屈曲し、貫通孔208からの抜けを抑制された状態となる。リード部品110は、リード線113をかしめた状態となり、回路基材12に装着された状態となる。なお、図12は、一例として、1対の可動部139を互いに近接させる場合、即ち、リード線113を内曲げする場合を示している。リード線113の外曲げは、1対の可動部139を互いに離間する方向へスライドさせることで、内曲げと同様に実行できる。
そして、本実施形態の部品装着機10は、図12に示す状態のリード部品110に対して、押圧部66によって部品本体部111を押す処理を実行する。まず、コントローラ190は、S7で装着されたリード部品110の種類を判定する(S9)。コントローラ190は、例えば、装着する部品の情報を制御データD1から検出し、リード部品110の種類を判定する。
次に、コントローラ190は、判定したリード部品110の種類に応じて、押圧部66の移動開始位置等を設定する(S10)。コントローラ190は、例えば、S10において、部品本体部111を押す移動を開始する移動開始位置P1(図13参照)、及び停止位置P2,P3(図15及び図16参照)を設定する。また、コントローラ190は、S10において、押す移動を開始する前に当て金105を回転させる回転角度θ(図13参照)を設定する。また、コントローラ190は、S10において、押圧部66を部品本体部111に向かって移動させる移動速度V1,V2(図14及び図15参照)を設定する。また、コントローラ190は、押圧部66を移動させる際の加速度や減速度を設定する。また、コントローラ190は、押圧部66を移動させる移動距離DT1,DT2(図15及び図16参照)を設定する。また、コントローラ190は、押圧部66によって部品本体部111を押圧する際の目標荷重を設定する。例えば、制御データD1には、リード部品110の種類に応じた移動開始位置P1の値等が設定されている。コントローラ190は、S9において判定したリード部品110の種類に応じた移動開始位置P1等を制御データD1から検索し、移動開始位置P1等の値を設定する。そして、コントローラ190は、後述するように、S10で設定した移動開始位置P1等に基づいて、押圧部66を移動させる(S13〜S17)。これにより、押圧部66の移動開始位置P1等を、リード部品110の種類に応じて自動で設定する。従って、リード部品110の種類に応じて押圧部66を配置、移動、及び停止することができる。
なお、図10に示す処理手順は、一例であり、その順番や内容を適宜変更することができる。例えば、コントローラ190は、S9における判定処理や、S10における設定処理を、S1とS3との間に実行しても良い。例えば、コントローラ190は、部品の実装を開始する前に、制御データD1の情報に基づいて、実装する全ての部品について移動開始位置P1等を設定しても良い。
また、コントローラ190は、移動開始位置P1等の変更を受け付けても良い。例えば、コントローラ190は、図1に示す表示装置13の入力情報に従って制御データD1を変更し、移動開始位置P1の座標値等を変更可能な構成でも良い。表示装置13は、変更情報を入力するためのタッチパネルを備えても良い。あるいは、ユーザは、例えば、生産ラインの管理コンピュータを操作して、部品装着機10の制御データD1を変更し、移動開始位置P1等を変更しても良い。これにより、ユーザは、制御データD1を変更することで、例えば、移動速度V1や加速度を小さくすることができる。そして、当て金105と部品本体部111との衝突によって部品本体部111に傷等が生じる場合に、移動速度V1や加速度を小さくすることで、部品本体部111の傷等をなくすことができる。逆に、ユーザは、移動速度V1や加速度を大きくすることで当て金105の作動を速くし、後述するS15やS17の処理をより短い時間で完了させることができる。即ち、装着時間の短縮を図ることができる。
図13は、部品本体部111を押す前の状態を示しており、部品本体部111や当て金105を側方から見た模式図である。図13に示すリード部品110は、リード線113を折り曲げた状態であり、回路基材12に装着されている。コントローラ190は、図10のS10において設定した移動開始位置P1へ当て金105を移動させる(S13)。コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64を駆動して当て金105を移動開始位置P1へ移動させる。本実施形態の作業ヘッド60,62は、図2に示すように、1つの作業ヘッドにチャック65と押圧部66との両方が設けられている。従って、コントローラ190は、例えば、S5において作業ヘッド60のチャック65でリード部品110を回路基材12に装着した後、作業ヘッド60をX方向やY方向に移動させることで、作業ヘッド60の押圧部66を移動開始位置P1に配置することができる。この際、作業ヘッド60は、X方向等に移動しながら、装着の終了したチャック65を上昇させ、押圧部66を下降させても良い。なお、作業ヘッド60,62は、押圧部66又はチャック65の一方を備える構成でも良い。この場合、例えば、作業ヘッド60のチャック65で装着した後、作業ヘッド62の押圧部66でリード部品110を押しても良い。また、コントローラ190は、駆動装置90を駆動して押圧部66の位置を変更し、押圧部66を移動開始位置P1に配置しても良い。
図13に示すように、当て金105は、移動開始位置P1に配置され、リード部品110に隣接した位置となる(S13)。当て金105は、この移動開始位置P1から部品本体部111に向かって移動し、部品本体部111を押す。換言すれば、移動開始位置P1は、押す作動を開始する前に押圧部66を配置する位置となる。上記したように、コントローラ190は、S10において、リード部品110の種類に応じて、移動開始位置P1等を設定する。例えば、部品本体部111の幅W1(図13参照)が大きい場合、コントローラ190は、移動開始位置P1の位置を、部品本体部111の中心からより離れた位置に設定しても良い。これにより、移動開始位置P1に当て金105を配置する際に、当て金105と部品本体部111との接触を回避することができる。また、例えば、部品本体部111の高さH1(図13参照)が大きい場合、コントローラ190は、移動開始位置P1の位置を、回路基材12の上面12Bからより離れた位置に設定しても良い。これにより、当て金105を、Z方向における部品本体部111の中央に当て、良好に部品本体部111を押すことができる。
また、部品本体部111の種類に応じて、コントローラ190は、回転角度θを変更しても良い。例えば、コントローラ190は、部品本体部111の平面と、当て金105の平面とが平行となるように、回転角度θを設定しても良い。これにより、当て金105の平面を、部品本体部111の平面に当て、良好に部品本体部111を押すことができる。なお、コントローラ190は、S10において制御データD1に予め設定された値に基づいて移動開始位置P1等を設定しなくとも良い。例えば、コントローラ190は、S9で判定したリード部品110の種類に応じたデータを制御データD1から検出する。そして、コントローラ190は、制御データD1から検出した部品本体部111の形状等に基づいて、移動開始位置P1等を設定しても良い。即ち、コントローラ190は、リード部品110の形状等を判定して、移動開始位置P1等を設定しても良い。
また、図13に示すように、部品本体部111を押す作動を開始する際、カットアンドクリンチ装置33の固定部138及び可動部139は、回路基材12の下面12Aに接触する様に配置される。例えば、コントローラ190は、S7でリード線113の切断等を実行した後、カットアンドクリンチユニット130を移動させる。一対のスライド体134(図6参照)の各々は、一対の貫通孔208の一方側(図13における左側)に配置される。一対のスライド体134の各々は、固定部138及び可動部139を下面12Aに接触させる。あるいは、一対のスライド体134の各々は、固定部138及び可動部139を下面12Aから僅かに下方の位置に配置する。固定部138の上面138A(図8参照)及び可動部139の屈曲部147は、回路基材12の下面12Aに接触した状態、又は下面12Aと僅かに離間した状態となる。コントローラ190は、制御データD1の情報に基づいて、例えば、貫通孔208、下面12A側の配線パターン、下面12A側に装着された電子部品などを回避した位置を決定し、固定部138及び可動部139を配置する。なお、図13は、図面の直交方向に並んで配置された一対のスライド体134のうち、手前側のスライド体134の固定部138及び可動部139のみを図示している。また、一対のスライド体134を、貫通孔208を挟むように配置しても良い。例えば、各スライド体134の固定部138及び可動部139を、図13の左右方向の両側からリード線113及び貫通孔208を挟むように配置しても良い。また、固定部138の上面138Aや屈曲部147に、回路基材12を保護するための弾性部材(ゴムなど)を設けても良い。
従って、本実施形態の部品装着機10は、上面12B(第1面の一例)側に配置された部品本体部111を押圧部66によって押す際に、回路基材12を下面12A(第2面の一例)側から支持するカットアンドクリンチ装置33(基材支持装置の一例)を備える。これによれば、平板状の回路基材12を下面12A側から支持することで、部品本体部111の押圧にともなって回路基材12が下方へ湾曲するのを抑制できる。回路基材12の湾曲を抑制することで、コントローラ190は、後述する押圧荷重N1,N2に応じた検出値等を適切に取得できる。即ち、押圧荷重N1,N2に応じた押圧部66の制御を精度良く実行できる。
また、本実施形態の基材支持装置は、押圧部66によって部品本体部111を押すのに先立って、貫通孔208に挿入されたリード線113を切断するとともに折り曲げるカットアンドクリンチ装置33である。これによれば、カットアンドクリンチ装置33は、リード線113の切断及び折り曲げを実行する装置と、押圧時に回路基材12を支持する基材支持装置との両方に使用される。換言すれば、リード線113の切断及び折り曲げを実行する装置を、回路基材12を支持する基材支持装置として併用することで、部品装着機10の小型化や製造コストの削減を図ることが可能となる。
次に、コントローラ190は、図13に示す移動開始位置P1に配置した当て金105を、上面12Bと水平な方向へ移動させる(S15)。コントローラ190は、移動開始位置P1から部品本体部111に向かって当て金105を移動させる。コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64を制御し、S10で設定した移動速度V1、加速度や減速度で当て金105を移動させる。なお、コントローラ190は、駆動装置90を制御して当て金105を移動させても良い。あるいは、コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64と駆動装置90の両方を制御して当て金105を移動させても良い。
図14に示すように、当て金105は、例えば、移動速度V1で移動し、部品本体部111に接触する。当て金105は、押圧荷重N1で部品本体部111を押す。本実施形態のコントローラ190は、当て金105によって部品本体部111を押圧する押圧荷重N1、あるいは、押圧荷重N1に応じた検出値を検出可能となっている。例えば、コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64を駆動する駆動回路192(図9参照)に発生する駆動電流の電流値に基づいて、押圧荷重N1に応じた制御を実行する。コントローラ190は、例えば、駆動回路192に発生する駆動電流の電流値の大きさと、S10で設定した目標荷重に応じた電流値とが一致するように、作業ヘッド移動装置64の作動をフィードバック制御する。これにより、押圧荷重N1を目標荷重に一致させることができる。
あるいは、コントローラ190は、駆動回路192に発生する駆動電流の電流値を押圧荷重N1の値に変換し、目標荷重と比較しても良い。即ち、コントローラ190は、電流値(検出値の一例)を荷重に変換してから、作業ヘッド移動装置64の制御を実行しても良い。
従って、本実施形態のコントローラ190は、S9においてリード部品110の種類に応じた目標荷重を取得する。コントローラ190は、押圧荷重N1が目標荷重に一致するように、作業ヘッド移動装置64を制御する。これによれば、目標荷重と押圧荷重N1とが一致するようにフィードバック制御を実行することで、回路基材12やリード部品110を破損させることなく、リード部品110を押し倒して回路基材12に適切に装着することができる。
図15に示すように、コントローラ190は、押圧荷重N1を目標荷重に一致させつつ、停止位置P2まで当て金105を移動させる。コントローラ190は、S10で設定した移動距離DT1だけ水平方向へ当て金105を移動させる。当て金105は、停止位置P2に配置される。リード部品110は、S7においてリード線113の先端を折り曲げられている。このため、リード部品110は、部品本体部111を押されることでリード線113を押圧方向(水平方向)へ折り曲げるように変形する。部品本体部111は、リード線113が折り曲がるのにともなって、傾きながら回路基材12の上面12Bに近づく方向へ移動する。例えば、図15に示すように、部品本体部111は、図15における反時計回り方向へ90度だけ回転した状態となる。停止位置P2に配置された当て金105は、部品本体部111の上方に配置される。
また、本実施形態の部品装着機10は、カットアンドクリンチ装置33の固定部138及び可動部139によって、回路基材12を下方から支持している。これにより、回路基材12の下方への湾曲を抑制し、部品本体部111の押圧に応じてリード線113を折り曲げることができる。即ち、押圧荷重N1に応じた力をリード線113に効率良く伝達し、リード線113を良好に折り曲げることができる。また、回路基材12の湾曲を抑制することで、コントローラ190は、押圧荷重N1に応じた駆動電流の電流値を適切に取得できる。即ち、押圧荷重N1に応じた押圧部66の制御を精度良く実行できる。
また、上記したように、コントローラ190は、S10において、リード部品110の種類に応じて、移動距離DT1や停止位置P2を設定する。例えば、部品本体部111の幅W1(図13参照)が大きい場合、コントローラ190は、移動距離DT1を大きくする。あるいは、コントローラ190は、停止位置P2の位置を、移動開始位置P1からより離れた位置に設定する。これにより、停止位置P2に配置された当て金105を、90度だけ回転した部品本体部111の上面における中央部の上方に配置することができる。その結果、後述するS17において、当て金105によって良好に部品本体部111を垂直方向へ押すことができる。
次に、図15に示す停止位置P2に配置した当て金105を、上面12Bと垂直な垂直方向、即ち、Z方向へ移動させる(S17)。コントローラ190は、停止位置P2からZ方向に沿って下方へ当て金105を移動させる。コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64を制御し、図16に示すように、S10で設定した移動速度V2、加速度、及び減速度で当て金105を移動させる。なお、コントローラ190は、駆動装置90を制御して当て金105を下方へ移動させても良い。あるいは、コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64と駆動装置90の両方を制御して当て金105を下方へ移動させても良い。
図16に示すように、当て金105は、例えば、移動速度V2で移動し、部品本体部111に接触する。当て金105は、押圧荷重N2で部品本体部111を押す。コントローラ190は、S15の水平方向と同様に、S17の垂直方向においても、押圧荷重N2を制御する。例えば、コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64を駆動する駆動回路192(図9参照)に発生する駆動電流の電流値の大きさと、S10で設定した目標荷重に応じた電流値とが一致するように、作業ヘッド移動装置64の作動をフィードバック制御する。これにより、押圧荷重N2を目標荷重に一致させることができる。なお、コントローラ190は、S15の押圧荷重N1及びS17の押圧荷重N2の一方のみを制御しても良い。あるいは、コントローラ190は、S15の押圧荷重N1及びS17の押圧荷重N2の両方を制御しなくとも良い。
図16に示すように、コントローラ190は、押圧荷重N2を目標荷重に一致させつつ、停止位置P3まで当て金105を移動させる。コントローラ190は、S10で設定した移動距離DT2だけ下方へ当て金105を移動させる。当て金105は、停止位置P3に配置される。リード部品110は、S7においてリード線113の先端を折り曲げられている。このため、リード部品110は、部品本体部111を下方へ押されることでリード線113を押圧方向(垂直方向)へ折り曲げるように変形する。部品本体部111は、リード線113が折り曲がるのにともなって、上面12Bに近づく方向へ移動する。図16に示すように、リード線113は、略L字に屈曲した状態となる。部品本体部111は、例えば、上面12Bに接触した状態となる。
従って、本実施形態のコントローラ190は、上記したように、回路基材12の上面12B(第1面の一例)と平行な水平方向へ押圧部66を移動させ(図15参照)、押圧部66によって部品本体部111を水平方向へ押す。また、コントローラ190は、部品本体部111を水平方向へ押した後、作業ヘッド移動装置64を制御し、上面12Bに垂直なZ方向(垂直方向の一例)へ押圧部66を移動させ、押圧部66によって部品本体部111を回路基材12に向かって押す(図16参照)。これによれば、水平方向及びZ方向の2段階に分けて押圧部66が部品本体部111を押す。このため、一度の押圧する作動における押圧部66の移動方向を一方向に限定することで、コントローラ190は、押圧荷重N1,N2に応じた検出値等を適切に取得できる。即ち、押圧荷重N1,N2に応じた押圧部66の制御を精度良く実行できる。なお、コントローラ190は、押圧部66を水平方向に移動させつつ、Z方向にも移動させ、押圧部66によって部品本体部111を押圧しても良い。
また、本実施形態の部品装着機10は、カットアンドクリンチ装置33の固定部138及び可動部139によって、回路基材12を下方から支持している。これにより、回路基材12の下方への湾曲を抑制し、部品本体部111を下方に押圧するのに応じてリード線113を折り曲げることができる。即ち、押圧荷重N2に応じた力をリード線113に効率良く伝達し、リード線113を良好に折り曲げることができる。また、回路基材12の湾曲を抑制することで、コントローラ190は、押圧荷重N2に応じた駆動電流の電流値を適切に取得できる。即ち、押圧荷重N2に応じた押圧部66の制御を精度良く実行できる。
また、本実施形態のコントローラ190は、押圧荷重N2と移動距離DT2との両方を用いた制御が可能となる。例えば、部品本体部111の下面を上面12Bに押しつけた場合、停止位置P3の高さは、部品本体部111の下面から上面までの距離、即ち、部品本体部111の幅W1(図13参照)と一致する。また、移動距離DT2は、停止位置P2,P3の位置に基づいて設定できる。そして、コントローラ190は、例えば、当て金105を移動距離DT2だけ下降させた際の押圧荷重N2が目標荷重に到達しない場合に、エラーを報知しても良い。この場合。回路基材12が下方へ撓む、部品本体部111や回路基材12が損傷するなどし、押圧荷重N2が増加しない虞があるためである。また、コントローラ190は、当て金105を移動距離DT2だけ下降させた際の押圧荷重N2が目標荷重よりも大きくなる場合に、エラーを報知しても良い。この場合、当て金105を、下降させ過ぎたため、押圧荷重N2が上昇した可能性があるためである。
また、上記したように、コントローラ190は、S10において、リード部品110の種類に応じて、移動距離DT2や停止位置P3を設定する。例えば、部品本体部111の幅W1(図13参照)が大きい場合、コントローラ190は、移動距離DT2を小さくする。あるいは、コントローラ190は、停止位置P3の位置を、停止位置P2からより近い位置に設定する。これにより、停止位置P3に配置された当て金105を、上面12Bから離すことで、部品本体部111を過剰に押圧することを抑制できる。
このようにして、本実施形態の部品装着機10は、リード線113を折り曲げて部品本体部111を上面12Bに接触させ、リード部品110の回路基材12への装着を実行する。また、上記した例では、1つのリード部品110を装着する場合について説明したが、複数のリード部品110を装着する場合も同様に実行できる。例えば、コントローラ190は、図10のS17を実行した後、S3からの処理を再度実行することで、2個目以降のリード部品110の装着を実行できる。
因みに、部品装着機10は、作業機の一例である。クランプ装置52は、基材保持装置の一例である。チャック65は、保持部の一例である。駆動装置90は、押圧部移動装置の一例である。部品本体部111は、本体部の一例である。コントローラ190は、制御装置の一例である。上面12Bは、第1面の一例である。下面12Aは、第2面の一例である。
以上、上記した第1実施形態では、以下の効果を奏する。
コントローラ190は、押圧部66によって部品本体部111を押す押圧荷重N1,N2に応じた検出値を取得する。コントローラ190は、作業ヘッド移動装置64等を制御し押圧部66を移動させ、取得した検出値に基づいて、押圧部66によって部品本体部111を押す作動を制御する。ここでいう「押す作動」とは、例えば、押圧部66から部品本体部111へ付加する押圧荷重N1,N2、押圧部66の移動速度、加速度、減速度、位置、回転角度などである。例えば、リード部品110を回路基材12側へ押しつける荷重が大きくなると、回路基材12やリード部品110を破損させる虞がある。また、リード部品110の小型化、薄型化等にともなって、リード部品110を適切な荷重で押しつけることが要求される。これに対し、本実施形態の部品装着機10では、押圧荷重N1,N2に応じて押圧部66の作動を制御することで、押圧部66から部品本体部111に付加される押圧荷重N1,N2を制御できる。その結果、回路基材12やリード部品110を破損させることなく、リード部品110を押し倒して回路基材12にリード部品110を適切に装着できる。また、部品本体部111を回路基材12側にしっかりと曲げることで、回路基材12の上方において、他のリード部品110等を装着するための空間をより確実に確保できる。
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。上記した第1実施形態では、リード線113を有するリード部品110の装着について説明した。これに対し、第2実施形態では、リード線113を有しない部品の装着について説明する。図17は、第2実施形態の部品230の平面図を示している。図18は、部品230の側面図を示している。図17及び図18に示すように、第2実施形態の部品230は、部品本体部231と、被固定部233とを有している。なお、以下の説明では、上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
部品230は、例えば、センサ、押しボタンスイッチ、ランプなどの部品である。部品本体部231は、円板形状をなしている。部品本体部231の下面には、端子235が設けられている。端子235は、図19に示す回路基材12の端子241と接続される。被固定部233は、例えば、3つ設けられている。3つの被固定部233は、部品本体部231の側面に設けられ、部品本体部231の周方向において等間隔に設けられている。
図19は、第2実施形態の回路基材12の模式図である。なお、図19は、部品230を取り付ける様子を分かり易くするため、回路基材12に対して部品230を大きくして図示している。従って、図19に示す回路基材12及び部品本体部231の大きさは一例である。図19に示すように、回路基材12の上面12Bには、3つの固定部243と、端子241とが設けられている。3つの固定部243は、被固定部233の位置に対応して設けられている。固定部243は、被固定部233を収容可能な大きさに形成されている。固定部243には、被固定部233を挿入する挿入孔が形成されている。端子241は、3つの固定部243に囲まれた領域の中央に設けられている。
次に、上記した部品230を、部品装着機10で装着する作動について説明する。図20は、チャック65のチャック爪103で部品230を挟持した状態を示している。例えば、一対のチャック爪103は、部品本体部231の側面であって、被固定部233を設けていない部分を挟持する。当て金105は、バネ106の付勢力によって、部品本体部231の上面に接触した状態となる。
部品230を回路基材12に取り付ける場合、まず、コントローラ190(図9参照)は、チャック65を移動させ、部品供給装置30等から供給された部品230をチャック爪103で挟持する。次に、コントローラ190は、チャック65を回路基材12の上方へ移動させる。チャック65は、図19に示すように、部品本体部231の端子235と、回路基材12の端子241との位置を合わせて、上面12Bに部品230を配置する。この際、チャック65は、固定部243と、被固定部233とを、部品本体部231の周方向においてずらした位置に配置する。部品230は、移動開始位置P1に配置される。そして、チャック65は、上面12Bに垂直な方向の回転軸L1(図20参照)を中心に回転角度θだけ部品本体部231を回転させる。被固定部233の各々は、固定部243の各々の挿入孔を介して、固定部243内に挿入される。これにより、部品230は、被固定部233を固定部243に係合させることで、回路基材12に装着された状態となる。
このような第2実施形態の部品230において、装着する際の移動開始位置P1、回転角度θ、回転速度は、第1実施形態と同様に重要となる。このため、コントローラ190は、例えば、部品230の種類に応じて、図19に示す移動開始位置P1、移動開始位置P1に配置する際の部品230の回転角度、移動開始位置P1に配置した後に回転させる回転角度θなどを設定する。これにより、例えば、部品230を移動開始位置P1に配置した際に、固定部243と被固定部233とをずらして配置し、固定部243と被固定部233との接触を回避できる。また、部品本体部231の高さを調整することで、端子235,241をより確実に接続できる。また、回転角度θを調整することで、部品230の被固定部233を、回路基材12の固定部243に良好に挿入できる。
また、コントローラ190は、表示装置13(図1参照)を介して、移動開始位置P1や回転角度θの変更を受け付けても良い。これにより、ユーザは、移動開始位置P1等を調整することで、部品230を回路基材12に良好に装着できる。
なお、コントローラ190は、図9に示すように、検出値取得部261と、作動制御部263と、目標荷重取得部265と、判定部267と、設定部269とを有している。検出値取得部261等は、例えば、コントローラ190のCPUで制御データD1の制御プログラムを実行することで実現される処理モジュールである。なお、検出値取得部261等を、処理モジュールなどのソフトウェアで構成せず、処理回路などのハードウェアで構成しても良い。また、検出値取得部261等を、ソフトウェアとハードウェアとを組み合わせて構成しても良い。検出値取得部261は、部品本体部111を押す押圧荷重N1,N2に応じた検出値を取得する。作動制御部263は、作業ヘッド移動装置64等を制御し押圧部66を移動させ、検出値取得部261によって取得した検出値に基づいて、押圧部66によって部品本体部111を押す作動を制御する。目標荷重取得部265は、リード部品110の種類に応じた目標荷重を取得する。判定部267は、リード部品110の種類を判定する。設定部269は、判定部267によって判定したリード部品110の種類に応じて、押圧部66の移動開始位置P1、移動速度V1,V2、及び移動距離DT1,DT2を設定する。因みに、検出値取得部261により実行される工程は、検出値取得工程の一例である。作動制御部263により実行される工程は、作動制御工程の一例である。
なお、本願は、上記各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記第1実施形態における押圧部66の構造は、一例であり、リード部品110を押圧可能な他の構造でも良い。例えば、押圧部66は、金属製の部材の外側にゴムやウレタンなどの弾性部材を貼り付けた構造でも良い。これにより、押圧部66と部品本体部111との衝突荷重を低減することができる。
また、図21に示すように、作業ヘッド60,62は、リード部品110を保持する装置として、リード線113を挟持する爪部250を備えても良い。図21に示す部品保持具253は、例えば、作業ヘッド60の下面に取り付けられる。部品保持具253は、駆動装置90(図9参照)の駆動に応じて、一対のスライド部255を開閉させ、4つの爪部250を開閉させる。部品保持具253は、爪部250によってリード線113を挟持し、リード部品110を保持する。また、部品保持具253には、本体部257に対してZ方向に移動可能なプッシャ259が設けられている。プッシャ259は、例えば、エアシリンダ(図示略)の作動により、Z方向へ昇降する。プッシャ259は、爪部250でリード線113を挟持して保持したリード部品110の部品本体部111に上方から接触する。そして、このような部品保持具253を用いて、リード部品110を回路基材12に装着しても良い。また、プッシャ259を用いて、部品本体部111を押してリード線113を折り曲げても良い。
また、部品装着機10は、押圧荷重N1,N2の値を直接検出する荷重センサを備えても良い。そして、コントローラ190は、荷重センサで検出した押圧荷重N1,N2の値に応じて作業ヘッド移動装置64及び駆動装置90を制御しても良い。
また、コントローラ190は、押圧部66によって部品本体部111を押圧する際、作業ヘッド移動装置64及び駆動装置90のうち少なくとも一方を制御しても良い。
また、上記実施形態では、コントローラ190は、カットアンドクリンチ装置33によって、リード線113を切断及び折り曲げる処理(S7)の後に、部品本体部111を押す処理(S15,S17)を実行したが、これに限らない。例えば、コントローラ190は、S7の処理を実行せずに、部品本体部111を押す処理(S15,S17)を実行しても良い。この場合、部品装着機10は、カットアンドクリンチ装置33を備えなくも良い。
また、上記実施形態では、コントローラ190は、押圧荷重N1,N2を目標荷重に一致させるように制御したが、これに限らない。例えば、コントローラ190は、目標荷重に所定の係数を乗算した許容範囲内おいて、押圧荷重N1,N2の変動を許容して制御を実行しても良い。即ち、押圧荷重N1,N2は、目標荷重と一致しなくとも良い。
また、コントローラ190は、押圧部66を移動させる際の押圧荷重N1,N2や、押圧部66を移動させた後の押圧荷重N1,N2を検出しながら制御を実行したが、これに限らない。例えば、コントローラ190は、押圧部66を移動させた後の押圧荷重N1,N2のみを判定する構成でも良い。
また、部品装着機10は、押圧時に、回路基材12を下面12Aから支持する基材支持装置を備えなくとも良い。
また、基材支持装置は、カットアンドクリンチ装置33とは別の装置でも良い。
また、部品装着機10は、押圧時に、回路基材12を上面12Bから押さえる装置を備えても良い。
また、本願の作業機は、部品を供給する部品供給装置30、ばら部品供給装置32等を備えなくともよい。即ち、作業機は、クランプ装置52(基板保持装置の一例)、作業ヘッド60,62、作業ヘッド移動装置64(ヘッド移動装置の一例)、制御装置34のみを備える構成でも良い。